まほ「聖グロリアーナ女学院、西住まほ。短期転校手続きは済ませてきた」 作:ゼブラーの野郎
――聖グロリアーナ女学園
ローズヒップ「かえって来ましたわー!やっぱり聖グロがいっちゃん落ち着きますの!」クツポーイ クツシタポーイ
アッサム「ローズヒップ!帰るなり靴と靴下を脱ぎ捨てないの!」
ローズヒップ「おっとと、すまんあそばせ」クツソロエソロエ クツシタヒロイヒロイ
ダージリン「ご覧なさいまほさんみほさん。ウチのローズヒップは着実に淑女の階段を上っているわ。日進月歩」
まほ「・・・」クツソロエソロエ
みほ「・・・」クツソロエソロエ
オレンジペコ「お二人が無言のまま後ろ脚で靴を揃えている」
ダージリン「やはり西住姉妹にも淑女教育をキチンと仕込む必要があるわね」
まほ「えっ」
ダージリン「ダージリンの名に懸けて、あなたとまほさんをきっと立派なLadyにしてみせるわ」
まほ「みほ、あんなこと言ってるぞ」フフ
みほ「私達を淑女になんてできっこないのにね」アハハ
アッサム「お二方がどういうキャラクターの方向性でいきたいのかわかりかねます・・・」
ダージリン「いいわ。そこまで言うのなら我が聖グロの淑女学習をお見舞いしてあげる。ペコ」パチン
オレンジペコ「はい」カチャ
まほ「ティーセット?放課後でも無いのにティータイムか」
ダージリン「まずはアフタヌーンティーのマナーから学ぶのよ」
ローズヒップ「淑女大原則ひとーつ!淑女たるもの、アフティーのマナーは完璧に身に着けるべし!」
まほ「アフタヌーンティーをガンダム用語みたいに略して言うのは淑女としてどうなんだ」
ダージリン「紅茶を飲むだけでも実はたくさんマナーがあるの。ローズヒップ、西住のお二人に手本を見せてあげなさい。以前教えたことをそのままやればいいわ」
ローズヒップ「はい!お任せくださいませっ!」
ローズヒップ「1で構えて、2で掴み!」バッ ガッ
ローズヒップ「3、4が無くて5でごっくん!」グイィ!
ローズヒップ「ぷはー!まずーいもう一杯!」ガチャーン
ダージリン「これだもの」フー
まほ「一体どういう教育をしとるんだ」
アッサム「ローズヒップ、ティーカップを持つ時は指をどうするのだったかしら?」
ローズヒップ「はっ!わたくしとしたことがトンだ間違いをしちまいましたわ!」イッケネ~
アッサム「そうそう、気付いただけでもエライわ」
ローズヒップ「スタッフの方~、ストローをくださいませ~」オーイ
アッサム「ローズヒップ」
ダージリン「ティーカップの取っ手に指を通すのはよくないのよ。取っ手は指でつまむように持つの」
みほ「へぇ~、穴に指を通すんだと思ってました」
ローズヒップ「・・・?・・・ここに指を通すのはダメなんですの?」
アッサム「そうよ。マナーとしてあまりよろしくないの」
ローズヒップ「おあつらえ向きに穴があるのになぜ通してはいけませんの?そもそも何故穴があるんですの?」
アッサム「え・・・」
ローズヒップ「ちょうど指を通しやすい位置にワザと穴を作っておいて、指を通すのはダメというのはどう考えてもおかしいのですわ。なぜ制作者の方はそんな罠をお仕掛けになったのですか?」
アッサム「・・・えっと」
ローズヒップ「穴を開けずに耳たぶみたいな形にしておけばこのような罠にひっかかる方もおりませんの。わざわざ穴を空けるという謎采配が意味わからんですわマジで。どういうことですの?」
アッサム「・・・そ、それはそういうものなのです。わかるわね?ローズヒップ」
ローズヒップ「なぁるほどぉ!これはこういうものなのですね!理解しましたわ!」
まほ「ブン投げたな」
みほ「うわぁ、指でつまんで持つとけっこうカップが揺れちゃうよ」カタカタ
オレンジペコ「慣れるまではプルプルしちゃいますね」
まほ「お、おお・・・こ、これはなかなか・・・」プルプルカタカタパキン!
まほ「取っ手が取れた。すまん」
アッサム「なんという握力・・・」
ダージリン「気にしないでまほさん。それは私が祖母から譲ってもらったもので、元々は王室で使っていたものをツテを使って手に入れた時価数百万はするカップだけど、どうせ古い物だから」
まほ「あわわ・・・」ゾ~ッ
みほ「お、お姉ちゃん・・・大変なことしちゃったよ・・・」ゾ~
ローズヒップ「わ、わたくしこの前そのカップでガラガラうがいしてしまいましたわ・・・」ゾ~
ダージリン「フフフッ、冗談。それは私が趣味で作った手作りのカップよ。ちなみにうちの祖母はMr.ビーンが大好き」
みほ「なんだ・・・冗談だったんですか・・・」ホッ
まほ「そうとわかれば安心した。なら思う存分壊してもかまわんな」ブン! ガシャーン!
ダージリン「まほさんどうして」
オレンジペコ「こうしてテーブルで飲む時はカップの下のお皿(ソーサー)は手でもつ必要はありません。テーブルから離れる時や立食パーティーなどでは別ですが」
アッサム「アフタフーンティーは紅茶だけではありません。こちらのケーキスタンドにあるティーフードも頂くんですよ。サンドイッチ、スコーン、スイーツの順でどうぞ」
ダージリン「サンドウィッチは中のキュウリが――」
まほ「このスコーンという食べ物はどう食べるんだ?」
アッサム「手かナイフで割るんですよ。かぶりつくのはNGです」
ダージリン「キュウリが一番美味し――」
みほ「わあ、スイーツってケーキなんですね!やった!」
オレンジペコ「ケーキ以外にもシュークリーム等の場合もありますよ」
ダージリン「挟まれた方がいい味――」
ローズヒップ「あーマンプクですわー。お腹ポンポンでございますー。おゲップしちゃってもよろしいですの?」フー
アッサム「ローズヒップ!」
ローズヒップ「マジごめんあそばせ」
まほ「?・・・ダージリン、さっき何か言ったか?」
ダージリン「・・・」シュン
ローズヒップ「あっ、ゲップで思い出したんですわが――」
アッサム「ローズヒップ、淑女がそんなお下品な言葉を軽々しく口にしてはいけないわよ」
ローズヒップ「すまんあそばせ。おゲップを出して思い出したことがありますの」
アッサム「そうそう、それでいいの」
みほ「いいの?」
ローズヒップ「わたくし、一つ気になることがございますの。淑女たるもの凛々しくあらねばとは言いますが、おへをしちゃいそうになった時はどうすればよいのでございますか?」
まほ「おへ?」
ローズヒップ「おガスのことでございます。プップップですわ」
アッサム「淑女はそんなものしません」プイ
ローズヒップ「でもでもわたくし達は哺乳類でございます!お放屁しないと身体に悪いのですわよ!お腹が爆発しちまいますわ!」
ダージリン「知ってるかしら?パリの貴婦人は子犬を連れて歩いていたの」
みほ「へぇ~、みんな犬好きだったのかな?」
ダージリン「貴婦人が粗相をした際、犬がやったことだと言い張ることができるからよ。犬がやったのなら仕方がないからね」
みほ「はっ、つまりおならしたのは私じゃないって言い訳するために犬を連れて・・・」
まほ「ずっこいな」
みほ「ずっこいね」
ダージリン「ローズヒップ、この話を聞いてどうすればいいのかわかるわね?」
ローズヒップ「なるほど!わたくしもお犬さんになればいいのでございますわね!」ワンワーン!
アッサム「あなたのその発想はどこから来るのかしら」
ローズヒップ「あれ?でもダージリン様だってお犬さんをお連れになっていませんわ。いつどこでプップしても恥ずかしくないのでございますの?」
ダージリン「私がいつもオレンジペコを連れているのは何故だと思う?」
ローズヒップ「ああ!な~るっほど!」ガッテン!
オレンジペコ「・・・ダージリン様・・・」
ダージリン「冗談よ。冗談」
みほ「うわぁ・・・ダージリンさん・・・」
まほ「恥を知れ恥を」
ダージリン「冗談だってば!ジョークも淑女の嗜みなのよ!」
オレンジペコ「フシン・・・」
ダージリン「不審がらないでペコ!」
アッサム「ダージリン、そろそろ・・・」トケイ チラ
ダージリン「おっと・・・オホン、もうこんな時間ね。皆さん、マナー講座はこの辺にして、戦車道の訓練に行くわよ」
みほ「え?聖グロの戦車道訓練に参加させてもらえるんですか?」
ダージリン「当然よ。みほさんも今は聖グ口リアーナの生徒なのだから」
アッサム「私達はティータイムの後片付けをしてから向かうので、訓練場までルクリリに案内してもらってください」
ルクリリ「まほさん、みほさん、どうぞこちらに」スッ
ツカツカツカ・・・
みほ「やっぱり聖グ口リアーナって廊下まですごく立派でキレイだな~。まるで本当にイギリスに来たみたい」
まほ「ずいぶんお金をかけている造りだな」
ルクリリ「・・・あ、あの・・・まほさん、少しよろしいでしょうか」
まほ「?・・・どうした」
ルクリリ「じ、実は私、以前からまほさんのご活躍を拝見していまして・・・かっこいいなーって思っていたんです。どんな時も決して退かず、前進し続けて戦う姿が」
ルクリリ「あっ、ダージリン様もカッコイイですよ。でもまほさんの勇猛果敢な戦いぷりに憧れているんです。敵の攻撃など全く意に介さない戦いが」
まほ(ふむ、脈絡なく突然の褒め言葉・・・これはきっと面白い回答を求められているのだろう。ダージリンが言っていたように、淑女となる為にもジョークをたしなまねば。ここは冗談で返そう)
まほ「ありがとう。実は私も君の雄姿は以前から注目していた。すごくかっこよかったぞ」
ルクリリ「ほ、ホントですかぁ!?///」
まほ「嘘だ」
ルクリリ「」
みほ「お、お姉ちゃん・・・!不器用にもほどがるよぉ・・・」
ルクリリ「・・・・・・乙女の純情を・・・踏みにじりやがって・・・ゆ”る”ざ”ね”ぇ”!」グオアァ!
ダージリン「ルクリリ、なにを大声あげているの」ダジッ
ルクリリ「!・・・ダージリン様」ピタリ
ダージリン「何があったのかは知らないけれど、聖グロの戦車女子たるもの、いかなる時も優雅でいなさい」
ルクリリ「・・・はい」シュン
ダージリン「気を取り直して訓練場行きますわよ。まほさんもみほさんも」
まほ「ああ」
ルクリリ「メラメラメラメラ・・・」ジー
まほ「?・・・なぜ睨まれているんだろう」
みほ「お姉ちゃん・・・淑女どうこうより人の気持ちを学ばないと・・・」
~ソレカラドシタノ~
ダージリン「パンツァージャケットに着替え終わったわね。では、戦車の前に集合よ」
ルクリリ「西住まほ・・・コケにしやがって・・・いつかきっと私の無敵っぷりを認めさせてやるっ・・・」ブツブツ
まほ「む、ルクリリ、君のパンツァージャケット姿、ダージリンよりも上手く着こなしているな。赤がとても似合っている」
ルクリリ「バカめ二度も騙されるか!」
まほ「?・・・嘘じゃないが」
ルクリリ「っ!?・・・なっ、なっ///・・・バ、バカめ!そんなお世辞っ・・・///」カァ~ッ
みほ「ああ~、また一人お姉ちゃんの天然っぷりにやられる人が・・・黒森峰にいたころから変わってないや」
\ギャラギャラギャラ・・・/ \グワ!/ \ドーン!ドーン!/
みほ「うわわっ!こ、こんなの・・・」グラグラ
まほ「むむっ・・・」グラグラ
ダージリン「ほらほら、この程度の揺れでカップに気を取られているようでは、試合なんて到底無理よ。身体の芯をずらさないようにするの」
みほ「そ、そうは言っても・・・」グラグラ
まほ「ダージリンの戦車に同乗しろと言われたから何をするのかと思ったが、まさか紅茶をこぼさないようにする訓練とは・・・」グラグラ
オレンジペコ「聖グロの戦車道はまず第一ステップがこれですから」
ダージリン「ほら、また砲撃が来るわよ」
マチルダⅡ<グワ! \ドーン!/
みほ「わぁ!」バシャア
ダージリン「・・・」ビッショリ
みほ「わわわ!ご、ごめんなさいダージリンさん!」
ダージリン「これくらいなんともないわ。頭から紅茶をかぶるなんて、ある意味英国人の夢よ」
マチルダⅡ<ゴバ! \ドゴーン!/
まほ「わっ」バシャア
ダージリン「・・・」ビッショビショ
まほ「すまん」
ダージリン「・・・いいのよ。髪に紅茶の香りが沁みてイイ感じ――」
オレンジペコ「はい、ダージリン様。ハンカチを」スッ
ダージリン「ペコ・・・ありが――」
アッサム「おっと。失礼」バシャ
ダージリン「さすがにわざとでしょう!?ねえ!」
まほ「なるほどこれが英国ジョークか」
みほ「聖グロのみなさんウチのお姉ちゃんに間違った教育しないでください」
・ ・ ・ ・ ・
ローズヒップ「っはぁ~!今日の戦車道も楽しかったですわー!」ンー!
アッサム「昨日よりもスコアを伸ばしてきたわね。エライわローズヒップ」ナデナデ
ローズヒップ「ふふーん!昨日よりも今日のわたくし、今日よりも明日のわたくしはきっとすごくなっておりますわ!」
アッサム「あなたの前向きさには頭が下がるわ」
ローズヒップ「?」ナデナデ
アッサム「なっ・・・何をするのです!」
ローズヒップ「頭が下がるとおっしゃったので、ナデナデしてほしいのかと思いましたのですわ」
アッサム「あなたという人は・・・」ハア~
ルクリリ「ダージリン様?なぜビショビショなのですか?それになんだか甘い香りが・・・」スンスン
ダージリン「なんでもないのよ」ビシャビシャ
まほ「君があのマチルダに乗っていたのか。正確な砲撃だったぞ」
ルクリリ「バ、バカめ!三度もひっかかるか!///」
まほ「砲撃がチャーチルの真芯を捕らえていたから車内が揺れる揺れる。いい腕だな」
ルクリリ「そ、そうやって私を舞いあがらせようとしても引っかかるかバカ!バーカ!///」
まほ「む、バカっていう方がバカだ」
ルクリリ「うるさいバーカバーカ!///」
まほ「むむむ」
みほ「お、お姉ちゃん・・・やる気かコノヤロウってスタンスとらないで・・・」
ローズヒップ「う~ん!戦車道の後のシャワーでスッキリしましたわー!」スッキリー
アッサム「ほらローズヒップ、髪の毛を濡らしたままじゃダメ。拭いてあげるからこっちに来なさい」
ローズヒップ「やーですのー!」タタター
アッサム「こら!待ちなさいローズヒップ!」
ダージリン「まったく、元気な子達ね・・・ふあっ・・・ふわぁっ・・・」プルプル
ダージリン「ダァッ!」クシャミー
まほ「ダージリンのくしゃみはウルトラマンみたいだな」
みほ「もしかしてさっき紅茶を脳天から浴びたから・・・ごめんなさい」
ダージリン「フフ、平気よ。こんな言葉を知っている?『バカは風邪をひかない』・・・ふわっ・・・ふわぁっ・・・ヘアァッ!」クシャミー
みほ「やっぱりダージリンさんのくしゃみってウルトラマンみたいですね」
オレンジペコ「ほら、ダージリン様、ちーんしてください」ティッシュ
ダージリン「ちーん」ビー
ダージリン「ありがとうペコ」ズズ
オレンジペコ「まだ鼻出てますよ。ほら、ちーん」スッ
ダージリン「じりーん」ビー
まほ「オレンジペコが1年でダージリンが3年だよな?私の認識が間違っているのか?」
・ ・ ・ ・ ・
カチャッ・・・
まほ「ごちそうさまでした。夕飯は美味しかったな。肉が多くて」
ダージリン「フフ、イギリス料理がマズイというのは今や昔の話・・・料理の研究は進んでいて、ちゃんとした所で食べれば美味しいものよ」
ローズヒップ「お昼はすっげーまずいでございますけどね!」
アッサム「ローズヒップ」
ローズヒップ「おっと!淑女大原則ひとーつ!人のわるくちは言ってはいけなーい!」ドーン
ダージリン「それにしてもお二人とも、ディナーのテーブルマナーはきちんとできるのね。驚いたわ」
まほ「黒森峰でも食事のマナーは礼義として覚えるものだからな。ドイツとイギリスでは多少違う部分もあるだろうが」
みほ「なんだか聖グロに来てからというものの、お昼食べてお茶を飲んで戦車に乗って晩御飯食べて・・・全然勉強してないけどいいのかなぁ」
まほ「案ずるな。私が今まで短期転校してきた学校はどこもまともに授業をしていなかった」
ダージリン「『算数の勉強よりも、もっと大事なものが学校にはある』・・・この言葉を胸に刻みなさい」
みほ「日本の将来が不安です・・・」
ダージリン「さっ、ディナーの後はお待ちかねのレクリエーション大会よ」
まほ「れくりえーしょん」
みほ「えくりれーしょん?」
ダージリン「メンバーの絆を深めるための催しよ。黒森峰にはそういうお楽しみ文化なんて無いかもしれないけれど」
まほ「む、あるぞ。みんなで料理を作ったり歌を歌ったり、スポーツをしたり・・・最近はアンツィオ流やサンダース流を取り入れているんだ」
ダージリン「短期転校の成果ってホントにあったのね。てっきりまほさんにポンコツ属性上乗せされるだけで無駄だと思ってたわ」
まほ「なんだと」
みほ「私も・・・」
まほ「なんだと」
オレンジペコ「第一回ブリテンの使いやあらへんで!チキチキ!利き紅茶大会~!」ワー ドンドンパフパフ~
まほ「ききこうちゃたいかい」
みほ「ここきいちゃかいたい」
ダージリン「フフ、今週の企画は私の土俵ね。飲んだ紅茶の種類を言い当てるゲームよ」
アッサム「データによりますと利き紅茶大会は今日で127回目の開催です」
まほ「これは本当に有意義な交流なのか?・・・」
ルクリリ「ダージリン様、目隠しさせていただきます」スッ
オレンジペコ「では一杯目です」カチャ
ダージリン「・・・リプトンのピーチティーね」
アッサム「正解です」
ローズヒップ「さっすがダージリン様ぁ!」
オレンジペコ「二杯目を・・・」カチャ
ダージリン「・・・紅茶花伝」
アッサム「正解」
オレンジペコ「三杯目」カチャ
ダージリン「午後の紅茶、ストレートティー」
ダージリン「リプトンレモンティー」カチャ
ダージリン「ブレンディーのしょうが紅茶」カチャ
みほ「すごい!・・・けどコンビニで売ってるようなのばっかり・・・」
まほ「普通こういうのは本格的な茶葉でやるんじゃないのか」
オレンジペコ「本物の茶葉はここぞという時の為に取っ手あるんです。わが校では世界各地の茶葉をたくさん揃えてるんですよ」
ダージリン「世界の紅茶は全てこのダージリンのコレクションに」キリッ
まほ「悪役みたいな台詞を」
ダージリン「次はまほさんよ。安心しなさい。紅茶だと難しいだろうから、あなたの得意そうなコーヒーで準備したわ」
まほ「ほう」
オレンジペコ「ダージリン様・・・本当によろしいんでしょうか」
ダージリン「問題ないわ。まほさん、このコーヒーがどこの何の豆かを言い当ててごらんなさい」スッ
まほ「缶コーヒーのジョージアだとかBOSSだとかエメマンだとか言うオチじゃないだろうな」
ダージリン「これはとても高価なものよ。安心して、品質だけは保証するわ」
まほ「フシン・・・」
ダージリン「あら、不審がってるわね。西住流は逃げないんじゃなかったかしら?」
まほ「西住流に逃げるという文字はない」ゴクッ
まほ「む・・・なんだろうな。初めて飲む味だ・・・なんとも言えない風味と香りだな」
まほ「独特の酸味があって・・・不思議な味のコーヒーだ」
ダージリン「プププッ!・・・フフフ」クスクス
ローズヒップ「ダージリン様なにをニヤニヤ笑っておりますの?」
ダージリン「いえ・・・なんでもない・・・なんでもないのよ・・・クククッ」
まほ「降参だ。これは何と言う豆なんだ?」
ダージリン「ンッフフ・・・ペコ、教えてあげなさい」
オレンジペコ「・・・はあ、あの、まほさん、すみません」
まほ「?」
オレンジペコ「これはコピルアックというコーヒー豆です。世界最高級のコーヒーとされているのですが、この豆が育つあるスマトラの村には、ジャコウネコという猫が住んでいるんです」
オレンジペコ「その猫達はコーヒーの豆を食べ、体内で消化しそして・・・フンをします。村人達はそのフンの中の種を加工するのです」
オレンジペコ「ジャコウネコの胃液とコーヒー豆のコンビネーションがなんとも言えない風味と香りの要因といわれています」
まほ「」ブフッ
みほ「ふ、フン!?そ、それってつまり・・・このコーヒーは猫のフンの中の豆を使ってるってことですか!?」
ダージリン「ふふふ・・・ッそ、そうよ・・・まほさん、どうだったかしら?高級豆のお味は?あまりの風味にコウフンしたかしら?なーんて、フフフ」クスクス
まほ「・・・猫の・・・」
オレンジペコ「やっぱり短期転校を後回しにしたことを根に持ってるようで・・・ダージリン様のイタズラ心です。でもご安心ください。ちゃんと本物で、高級品であることに違いはありませんから」
まほ「・・・いや、大丈夫・・・美味しかったのは事実だ。それになんだか・・・クセになりそうな味だな。いい物を飲ませてもらった。ありがとう」
ダージリン「ムッ・・・それはそれで面白くないわね」ツーン
アッサム「あなたの負けね、ダージリン」フフ
みほ「それにしても紅茶だけじゃなく高級なコーヒーまであるなんてすごいですね。これもダージリンさんの趣味ですか?」
ダージリン「いいえ、コーヒー農園を経営している他校の友人からもらったものよ。慕ってくれているようで、よくくれるの」キリマンジア~ロ
ローズヒップ「ふわぁ~・・・あら?ヘンですわ・・・なんだか目がポヤ~っと・・・」ウトウト コテン
ダージリン「あら、ローズヒップの電池が切れたわ。これが就寝時間の合図なの」
まほ「えっ」
アッサム「まったく、眠くなるとすぐ寝ちゃうんだから・・・よっこいせ」グイ
ダージリン「まほさん、みほさん、寮へご案内するわ。学園内にあるのよ」
コツコツコツ・・・
ダージリン「ここよ」
まほ「ここと言っても・・・行き止まりじゃないか。絵画がかけられた壁があるだけだぞ」
ダージリン「フフ、見てなさい。ひらけ~ヘソのゴマ!」ポチ
ゴゴゴゴゴ・・・
みほ「わ・・・すごい。絵画が動いて奥に通路が」
ダージリン「フフン、どうかしら?魔法学校みたいでカッコイイでしょう」
みほ「あぁ・・・イギリスだから・・・」
ダージリン「ここがグリフィ・・・聖グロ生徒の談話室よ。で、こっちがあなた達二人の部屋」
まほ「暖炉まであるとは。立派だな」
アッサム「朝は7時に起床です。部屋の中の紅茶やお菓子はご自由に。私はローズヒップをベッドに運びますので、これで。おやすみなさい」ペコ
ルクリリ「私も寝るとしよう。西住まほ、朝寝坊したらティーパックでビンタだからな。夜更かししないように!」
まほ「ああ、おやすみルクリリ」
ルクリリ「ンぐっ///・・・そ、そんな優しい顔で微笑みかけるな!騙されないぞバーカ!///いい夢見ろよ!///」タタタ
みほ「あれ?ダージリンさんは?」キョロキョロ
ダージリン「じゃーん、どうかしらまほさん、みほさん、私のこの姿」バーン
まほ「わ・・・すごい」
みほ「紅茶の絵がいっぱい描かれたパジャマだあ・・・先端に丸いポンポンが付いた三角帽子まで・・・」
ダージリン「今日のために寝巻を新調したのよ」フフーン
オレンジペコ「ダージリン様、そろそろ戻らないとお二人に迷惑ですよ。それと、寝巻というよりもパジャマと言った方が・・・」
ダージリン「それもそうね。睡眠不足はお肌の敵だもの。ではみなさん、おやすみちゃん」バイバ~イ
まほ「あいつの考えてることはよくわからん」
オレンジペコ「右に同じです・・・ではみなさん、良い夢を」バイペコ
みほ「私達も寝よっか。なんだか色々あってすごく眠いよ・・・」フワ~
まほ「ああ」
みほ「お姉ちゃんと同じ部屋で寝るの久しぶりだね」
まほ「そうだな。それより、そっちの方がシーツが綺麗じゃないか?」
みほ「フフ、気にしすぎだよ。でももしかしたらダージリンさんのイタズラかも」
まほ「・・・あり得る。枕の中が紅茶の茶葉だったりしてな」
みほ「あはは、大丈夫だよ。それにもしそうだったとしても、こんなにフカフカのベッドだからきっとぐっすり眠れるよ」
まほ「ふふ・・・どうかな。みほのことだから夜中に目が覚めて私を起こすかも」
みほ「え~?なんで?」
まほ「覚えていないか?子供の頃・・・」
~~~
まほ「Zzz・・・Zzz・・・」クー
みほ「おねえちゃん、おねえちゃん」ペチペチ
まほ「っ・・・うぅん・・・・・・なに・・・」ウトウト
みほ「めがさめちった」
まほ「・・・んん・・・それで?・・・」ウトウト
みほ「なんかしてあそぼうよ」
まほ「えぇ~・・・」ウトウト
みほ「ねーねー、ドイツぐんがしょうすうでソれんぐんをくいとめてみかたをまもったナルヴァのたたかいごっこしようよー。ねーおねえちゃーん」グイグイ
まほ「うぅ~ん・・・こんな夜中におきてるわるい子は親衛隊につれていかれちゃうんだよ・・・はやくねなさい・・・」ウトウト
みほ「えっ!ほ、ほんと?・・・」
まほ「ほんとほんと・・・だからちゃんとねようね・・・」ウト・・・
みほ「あわわ・・・」ブルブル
しほ「Zzz・・・うぅ~ん・・・マロニエの並木が窓辺に揺れてる・・・」ネゴト
ガラ
モゾモゾ・・・
しほ「・・・っ・・・・・・?・・・みほ?・・・どうしたの?」ウトウト
みほ「めがさめちった」
しほ「・・・それで・・・眠れなくて私の布団に?」
みほ「おねえちゃんがいってたの・・・よなかにおきてるわるいこはシンエイタイにつれてかれるって・・・」
しほ「ああ・・・それで怖くなったのね・・・仕方のない子」
みほ「わたし、わるいこだからつれてかれちゃう?」オド
しほ「安心しなさい。お母さんは強いのよ。親衛隊なんか帰り討ちにしちゃうんだから。みほを怖がらせる輩なんか西住流破顔拳でぶっ飛ばしてあげる」
みほ「・・・おかあさんありがとう」
しほ「みほのことはお母さんが守ってあげるから。さ、いい子だから寝なさい・・・」
ガラ
まほ「おかーさま・・・こわくて眠れない」
しほ「まほ・・・自分でみほに話したことを怖がる必要はないのよ」
まほ「いっしょに寝てもいい?」モゾモゾ
しほ「はいはい・・・まったく、二人とも子供なんだから」
みほ「おねえちゃんのこわがりー」
まほ「みほだって親衛隊がおっかないんでしょ」
みほ「みほこわくないもん!」
まほ「じゃあもう西住流まよなか行軍訓練いっしょにいってやんない」
しほ「ほらほら、静かにしなさい。隣でお父さんも寝てるんだから・・・」
常夫<・・・ ムクリ
しほ「ほら、起きちゃったじゃない。ごめんなさい常夫さん、騒がしくて――」
常夫<・・・ ズリズリ
まほ「?・・・おとーさま、布団をこっちにひっぱって、どうしたの?」
常夫<・・・ スッ・・・
みほ「おとうさんもいっしょにねるんだー。やったー」
しほ「・・・常夫さん・・・もしかして今の話聞いてた?」
常夫<・・・ コクリ
しほ「・・・親衛隊?」
常夫<・・・ ギュ
しほ「・・・布団の中で手を握られても・・・」
~~~
まほ「――あれから、みほは時々夜中に起きては私かお母様の布団にもぐりこんできたものだ」
みほ「えぇ~、そんなことあったっけ」
まほ「お父様は夜眠る時、今でもお母様の手を握って眠っているそうだ」
みほ「それはなんだか聞きたくなかった・・・」