まほ「聖グロリアーナ女学院、西住まほ。短期転校手続きは済ませてきた」 作:ゼブラーの野郎
~~朝
ローズヒップ<グオー クカー スピー Zzz・・・
ローズヒップ<パチリッ
ローズヒップ<ムクリ
ローズヒップ「あさですのー!」
タタター
ローズヒップ「朝がお越しになられましたわー!」バッ
ダージリン「ダゥッ!」ドッスゥ
ローズヒップ「ダージリン様ー!朝がやってこられましたわー!」グイグイ
ダージリン「・・・あ、ありがとうローズヒップ・・・ローズのヒップでのしかかってくれて目が覚めたわ・・・」
ローズヒップ「おやすいごようですの!これが毎日の日課ですもの!」
ダージリン「・・・あ、そうだ、せっかくだからまほさんも起こしてきてあげたら?」
ローズヒップ「!さっすがダージリン様!名案でござーませー!」タタタ
ローズヒップ<アサデゴザイマスワー!
バッ ドゴォ!
まほ<グエ!
ダージリン「ンッフフ」
まほ「な、なにを・・・」イテテ
ローズヒップ「まほ様!おはこんばんちわですの!」
まほ「・・・?・・・なんだそれは・・・イギリス語か?」
ローズヒップ「おはようございますこんばんわこんにちわ今日も元気だ牛乳が美味い!をぜーんぶまかなう魔法の挨拶ですの!」
まほ「後半どこに納めたんだ」
ローズヒップ「あ!みほ様も起こしてさしあげないと!ロォ~ズヒィーップ!」バッ ドッスゥ!
みほ「ミポッ!・・・な、なにを・・・」イテテ
ローズヒップ「おはこんばんちわですわー!」
みほ「・・・?・・・イギリス語?」
ローズヒップ「聖グロの朝は早いんですの!まずは朝一番に紅茶をクゥ~っと一杯!これが淑女のたしなみですわ!」
まほ「人の腹の上にケツで乗っかるのが淑女か・・・」
ローズヒップ「さあさ!部屋の扉を蹴破って、外の世界へ飛び出しましょう~!ロォ~ズキィーック!」ドカーン タタタ
まほ「朝からギア全開だな・・・」
みほ「麻子さんと絡んだらすごいことになりそう」
オレンジペコ「いつつ・・・」ウトウト アッサム「うぅ・・・」ウトウト ルクリリ「ってぇ~・・・」ウトウト
まほ「みんなローズのヒップで起こされたのか」
オレンジペコ「あ、まほさん、みほさん、おはこんばんちわです」ペコ アッサム「お二人共、おはこんばんちわ」 ルクリリ「おはこんばんちわ」
みほ「流行ってるんだぁ・・・」
ダージリン「みなさん揃ってるわね。あら?ローズヒップはどこかしら?」
アッサム「寮中の生徒を起こして回ってます」
ダージリン「ヒ↑ッ、ヒ↑ッ、ヒィ↑~~~ップ、ロォ↓~ズヒィ↑~ップ!」
ガチャバターン!
ローズヒップ「呼ばれて飛び出てジャジャジャヒ~ップ!ですわ!」
まほ「速い」
ローズヒップ「みなさんをおケツヒップで叩っ起こしてさしあげてましまりました!」
みほ「ろれつ回ってないよぉ」
まほ「ギアの回転が速すぎるんだ」
ダージリン「御苦労さまローズヒップ。さ、皆でモーニングといきましょう。驚きなさい、今朝の食事は私が作ったのよ」ドヤサァ
みほ「えっ、ダージリンさんが作った朝ご飯?」
ルクリリ「げっ、ダージリン様が作った朝ごはん・・・」
オレンジペコ「皆さん、今の内に胃腸薬と腹痛薬をお渡ししておきます。それから生命保険の確認を・・・」
ダージリン「んっふ、そう怖がることはないわ。こんな言葉を知ってる?『死なばもろとも』」
まほ「縁起でもないからやめろ」
スラァ~ッ
みほ「わ・・・すごい。こんなにたくさん作ったんですね」
ルクリリ「しかしオドロオドロしい見た目のものばかり・・・」
ダージリン「さ、まずは紅茶を飲んで口を潤してから食べましょう」カチャ
まほ「昨日から四六時中飲んでいるが、一体ダージリンは今まで何杯紅茶を飲んだんだ」
ダージリン「知りたいかしら?昨日までの時点で99822杯よ」エレガントッ
みほ「中毒なんてレベルじゃないよぉ」
ダージリン「ささ、みなさんビビッてないでご賞味あれ」
ルクリリ「・・・」ジッ・・・
オレンジペコ「・・・」チラッ・・・
ダージリン「ほら、鉄砲玉の譲り合いしてないで、腹ァくくりなさい」
まほ「これ朝食の時間だよな?」
みほ「それじゃあ、このキャラメルみたいな色したサンドイッチを・・・」
まほ「待てみほ。私が毒見を」サッ
ダージリン「あら、心外。ちゃんとキッチンにあるものしか使ってないわよ」
まほ「つまようじでも入ってるんじゃないかと思ってな。実食」ガブ
ダージリン「フフ、いってるいってる」
まほ「む!」クワ!
みほ「ど、どうしたのお姉ちゃん!まさかほんとに・・・」
まほ「まっじぃ~」
みほ「わぁ・・・」
オレンジペコ「じゃあ私もご相伴にあずかって」パク
オレンジペコ「うわっ・・・なんですかこれ・・・すんごい味・・・」ベー
ダージリン「それはママレードのシュガー添え、そっちのはピーナッツサンドのバター漬け」
オレンジペコ「甘くて苦くて目が回りそうです・・・」
みほ「うわぁ・・・ほんと、すごい味・・・」
ローズヒップ「メシマッズィですの!」ウエー
ルクリリ「ゲボを食べてるみたいだ」ゲー
ダージリン「料理というものは自由なのよ。こんな格言があるわ、『雨の中、傘を差さずに踊る踊る人間がいてもいい。自由とはそういうものだ』」
まほ「自由と無秩序は違う」
アッサム「その格言でこの料理が容認されると思ってる思考がすごいわ」
オレンジペコ「恥を知ってください恥を」
ダージリン「んっふ、ひどいいわれようね。たしかに完璧とは言い難いけれど、何度もやるうちにだんだん美味しくなるはずよ。人間は成長するの、してみせるわ」キリ
アッサム「何故やる気になっているのかわからないのだけど」
ダージリン「安心してちょうだい。昼食の時は今朝よりもきっと美味しくできるわ」
オレンジペコ「どぇ!?お昼もダージリン様が作る気なんですか!?」
ダージリン「もちのロン。『努力したものが皆成功するとは限らない。しかし、成功したものは皆すべからく努力している』」ドヤサァ
オレンジペコ「なんでこの腕前でドヤ顔できるのか理解できません・・・」
ルクリリ「もうダメだぁ・・・おしまいだぁ・・・」ガクッ
アッサム「今のうちにブラックジャック先生に予約入れておかないと・・・」
ローズヒップ「みなさん!来世でお会いいたしましょうぜ!」ビッ
まほ「これはまずい・・・まずすぎる。みほ、携帯電話をかしてくれるか?」
みほ「へ?うん。はい、600ミリ砲の直撃にも傷つかないって宣伝文句の島田流監修スマートフォン。愛里寿ちゃんからプレゼントでもらったんだ」
まほ「使わせてもらうぞ」
みほ「誰に連絡するの?」
まほ「最強の助っ人だ」
・ ・ ・ ・ ・ ・
[アンチョビ]
[おっ! どうした西住ー。パスタ巻いてるかー?]
[わたしはみほではない]
[わたしはまほ]
[あっ、なんだ、マルゲリータか]
[どうしたマルゲリータ。パスタ巻いてるか~?]
[すこし困ってふ]
[すこし困ってる]
[ん~? どうした?]
[聖グロにいるんだが]
[食事がやずい]
[まずい]
[助けてほきい]
[ほしい]
[あーそういうことか。完全に理解した]
[誤字しても大体わかるから訂正しなくていいぞ]
[助っ人を頼めるか?]
[任せろ!]
[40秒で支度する!]
・ ・ ・ ・ ・ ・
~40秒後~
ガチャバターン!
アンチョビ「たのもー!」
愛里寿「たのもー」
アンチョビ「いくぞ、ちゃんと練習した通りにな。せ~のっ」
アンチョビ「愛情いっぱい料理に込めて!」
愛里寿「まわせぐるぐるパスタマシーン」
アンチョビ「アンツィオ高校ドゥーチェアンチョビ!」
愛里寿「ボコが大好き島田の愛里寿」
アンチョビ&愛里寿『ご期待通りにただいま到着!』バーン
まほ「名乗り口上が変わってる」
みほ「わ~、愛里寿ちゃ~ん上手上手~」キャッキャッ
愛里寿「みほさ~ん」キャッキャッ
ダージリン「ちょっと、これは一体何なのかしら」
アンチョビ「西住まほ改めマルゲリータからのSOS信号をキャッチした!私が来たからにはもう安心だぞ!聖グロの食卓はこのドゥーチェがいただいたー!」
まほ「助かるが、なぜ島田流も」
アンチョビ「ふふふ、何をかくそう愛里寿は最近アンツィオで苦手な食べ物克服大作戦を行っているのだ!もうトマトもオリーブオイルも平気です!」
愛里寿「ドゥーチェのアンチョビのおかげ」ブイ
みほ「え~、いいな~愛里寿ちゃん。アンツィオでアンチョビさんと楽しくやってるんだぁ」
まほ「・・・」ジェラッ
アンチョビ「おっ、なんだったらお前もアンツィオに来るか!?ウチはいつでもおいでやすだぞ!」
愛里寿「みほさんも一緒だと三倍楽しい」
みほ「えっ、いいんですか?じゃあせっかくだし――」
まほ「ダメだ」グイ
みほ「あうっ」
アンチョビ「おー、なんだぁマルゲリータ。妹が取られるって心配なのか~?」
まほ「そうだ」
アンチョビ「お、おお・・・すごい正直に言うな」
まほ「アンチョビはすごくいいヤツだしアンツィオはすごく楽しいところだからみほが帰りたくなくなってしまうかもしれない」
アンチョビ「お、おお・・・すごい高評価してくれてるな」
みほ「お姉ちゃん、大丈夫だよ」
まほ「みほ・・・?」
みほ「私が唯一籍を置くとしたら大洗女子学園だよ。私はあそこがサイコーに気に入ってるんだから」
まほ「・・・フッ、そうか・・・ならいい」
ダージリン「西住流家元の立場ったらないわね」
アンチョビ「ちょちょいのチョビ~っと!できた!完成ー」パアー
愛里寿「さすがドゥーチェのアンチョビ」
アンチョビ「アンチョビ特製フィッシュ&チップスだ!せっかくだからイギリス料理をドゥーチェ流に美味しく仕上げたぞ」
ローズヒップ「うぇー、また油ギットギトのヤツですの」
アンチョビ「ふっふっふ、そう思うだろうが安心しろ!このフィッシュ&チップスはただのフィッシュ&チップスとは出来が違うでよ」
アッサム「データによるとアンチョビさんが作る料理はとても美味しいそうです。食べログに乗ってました」
ローズヒップ「アッサム様がそこまで言うならいたしかたないですわー!」ガブリンチョ
アッサム「ローズヒップだけに責を負わせられません。私も食べます・・・アッサム!」クワ!
オレンジペコ「そんなポケモンみたいに自分の名前叫ばなくても・・・」
ローズヒップ「うっ・・・!」
アッサム「ウッ・・・!」
ローズヒップ&アッサム『うんまぁ~~~い!」パァー
アンチョビ「ニコニコ」
ローズヒップ「ウチで食べるヤツよりスンゲーおいしいですわ!味がちゃんとありまする!ダージリン様のお料理なんか比べるのもオコガマシイですの!」
アッサム「私達が今まで食べていたのは油の塊でしかなかったんですね・・・ダージリンの作った料理など食えた物じゃないわ・・・!」
ダージリン「傷つくわ」
アンチョビ「それからイギリスらしいパイ料理も作ったぞ。中にミートくんがぎっしりのミートパイとー、エビと卵を詰めたエビパイだー!」
オレンジペコ「おいしい・・・おいしい・・・胃の悪い人なんかこれ一口食べただけで治っちゃいます・・・」ポロポロ
アンチョビ「再現しやすい簡単なレシピもあるぞ。トーストに胡椒まぶし目玉焼きのせ、スライスしたトマトを少し焼いたものと焼きベーコン、トマトで煮込んだ白いんげん豆だ」
ルクリリ「本物のイギリスのブレックファースト・・・うう・・・美味い・・・インゲン豆がシャッキリポンと舌の上で踊るわ・・・」グスッ
アンチョビ「ふっふーん!そうだろそうだろー!ここにレシピをまとめといたから自分達で作れるようになれよ。簡単だからすぐ作れるさ」
オレンジペコ「なんとお礼を言えばいいのか・・・これで聖グロは年を越せます・・・」ペコペコ
アンチョビ「思ったよりも深刻だったんだな」
愛里寿「みんな今までどんなもの食べてたの」
ダージリン「だが待ってちょうだい。我が聖グ口リアーナはイギリスを模した学園・・・料理が美味しくなってしまえば、それはイギリスではなくなってしまうのではないのかしら」
まほ「えっ」
アッサム「またヘンなところでこだわりを・・・」
愛里寿「昔イギリスに行ったことがあるけど、言われているほど美味しくない料理ばかりではなかった。ちゃんとしたところで食べればちゃんと美味しい」
アンチョビ「その通り!それにマズイマズイと言いながら食べるんじゃあせっかくの食材がもったいない。ちゃんと美味しく調理して、笑顔で美味しく食べるのが一番だ!」
まほ「ああ、なにより食材に失礼だ」
ダージリン「・・・・・・そうね・・・私はいつの間にか、イギリスというイメージに固執してしまっていたわ。こんな詩があるわ。『生まれた所や皮膚や目の色で、一体この僕の何がわかるというのだろう』」
オレンジペコ「ブルーハーツですね」
まほ「いい話に持っていこうとするな。バレているぞダージリン」
ダージリン「チェッ」
アンチョビ「それじゃ、おいしい料理も提供したことだし、私達はこれにて!愛里寿、引き上げだー!」
愛里寿「お邪魔しました。じゃあねみほさん」バイバーイ
みほ「またねー」バイバーイ
アンチョビ「寝る前にちゃんと歯ぁ磨けよ~!」バターン
アッサム「嵐のような方でしたね」
オレンジペコ「でもこれでウチの食卓に革命が起きますね」
ローズヒップ「ダージリン様、ドゥーチェ様のおレシピを参考にお料理上手になってくださいまし!あんなひっでぇ朝飯は二度と勘弁ですわ!」
ダージリン「努力するわ」
オレンジペコ「いえ、もう台所に立たないでください」
アッサム「ダージリンの料理を食べるくらいなら自分の足食べるほうがマシですわ」
ダージリン「なによっ、私だってやれば出来る子なんだから。ちゃんとやれないだけで、やれればできるんだから」
まほ「そういえばイギリスのジョークでこんなものを聞いたことがある。『長い間待たなければならないのは、国王の謝罪だ』」
オレンジペコ「英国王のスピーチですね」
ダージリン「あら、そこまで言うのならまほさんも料理ができるんでしょうね。んっふ、ごめんなさい、あなたも戦車以外はポンコツちゃんだったわね」
まほ「できる」
ダージリン「あら・・・言ったわね。それじゃあご自慢の腕前を見せてもらえるかしら」
まほ「いいだろう」フンス
みほ「お姉ちゃん料理なんてできないのに・・・昔、誕生日だからってお父さんに手作りのクリームシチュー作ったらお父さん2カ月も入院したじゃない・・・」
まほ「私もいつまでも昔のままではない。みほのように、変わったのだ」
みほ「フシン・・・」
まほ「できた」ドン
ローズヒップ「わぁいカレー!ローズヒップカレー大好きですの!」
ダージリン「貴方ほんとうに好きねえ」
みほ「クンクン・・・匂いから毒素は感じられない・・・食べても命に別条はなさそう・・・」
まほ「そう警戒するな。私がアンツィオに短期転校して何を学んだと思っている」
ダージリン「そこまで言うなら実食」パクッ
ダージリン「む!」クワ
みほ「このパターンはやっぱり・・・」
ダージリン「・・・美味しい」
みほ「えっっっっっ!!!!!???」ガタタッ
まほ「みほ、驚きすぎだ」
アッサム「あっ、ほんとだ。美味しいですね」パクパク
オレンジペコ「ついついもう一口、もう一口と催促させるようないい辛み加減ですね」モグモグ
ローズヒップ「バチクソうめぇですわぞ!」
ルクリリ「くっ・・・美味しい!///」パクパク
まほ「そうだろうそうだろう。ボンカレーはどう料理しても美味いのだ」フンス
ダージリン「ボンカレー作ってこうまで胸を張れるのも大したものね」
ローズヒップ「まほ様!」ガシッ
まほ「わ」
ローズヒップ「わたくし、まほ様の美味しい美味しいカレーに感銘を受けましたわ!これからまほ様のことをお姉さまと呼ばせてください!」
まほ「えっ」
みほ「!そ、それはダメだよ。お姉ちゃんは私のお姉ちゃんなんだから」
ローズヒップ「ああお姉さま!ああ麗しきお姉さまぁ~!」ギュー
みほ「ダメー!私のお姉ちゃんだよー!」グイー
まほ「いてて」
アッサム「とても高校生とは思えないやりとり」
オレンジペコ「それもこれもまほさんのカレーがおいしいからですね。ダージリン様の料理とは月とスッポン。ビートルズとずうとるびくらい違いますね」
ダージリン「くっ、まさか本当にまほさんの料理がおいしいとは・・・私の負けね」
まほ「えっへん」エッヘン
アッサム「ほんとにえっへんて言いながら胸を張る方はじめて見ました」
ダージリン「それじゃあ、勝者への手向けとしてまほさんに私の大切なものをさしあげるわ」
アッサム「ダージリンの大切なもの・・・?」
ローズヒップ「きっとファーストキスですわ!」
ダージリン「いいえ、それは結婚式までとっておくの。代わりにこんなジョークをあなたに贈るわ」
まほ「じょーく」
みほ「たいしたもんじゃないやぁ」
ダージリン「オホン、いくわよ」
ダージリン「ある男が、医者を訪ねた。『自分の人生に価値が見いだせない。毎日つらく、生きがいもなにもない。自分を理解してくれる人間もいない。どうか助けてほしい』」
ダージリン「医者は治療法を教えた『ボコの着ぐるみショーを見に行けばいい。どれだけ痛めつけられても立ちあがる雄姿が、きっとあなたに生きる希望を与えてくれますよ』」
ダージリン「すると、男は泣きだした。『先生・・・』」
ダージリン「『私がそのボコなんです』」
まほ「・・・」ゾクッ
ローズヒップ「・・・?どういう意味でござんすの?」
アッサム「わからないのならそれでいいのよ。貴方はそのままでいなさいローズヒップ」
ダージリン「よくできたジョークでしょう?このジョークをまほさんに譲るわ」
オレンジペコ「ダージリン様も本で読んだジョークですけどね」
みほ「まってください。そのショークは成立しません。ボコはそんなこと言わないもん」
ダージリン「えっ」
みほ「ボコはどんなに居たくても辛くてもめげないからボコなんです。泣き言言ってメソついてる時点でそんなのボコじゃありません。撤回してください」
ダージリン「・・・あ・・・はい、すみません」
アッサム「これがボコガチ勢ですか」
ダージリン「オホン、と、とにかく、これでもうあなた達も立派な淑女と言ってもいいくらいに成長したわね」
まほ「えっ、もう」
アッサム「紅茶のマナー、テーブルマナー、料理スキル、ジョーク、そして戦車道・・・お二人はもう我が聖グ口リアーナの生徒として相応しいとデータが導きだしています」
みほ「案外簡単なんだ・・・」
オレンジペコ「晴れてお二人にはティーネームが正式に与えられます。これからはみほさんをミルクティー様、まほさんを抹茶様と呼ばせていただきます」
まほ「辞退していいか」
ルクリリ「こんなに早くティーネームを与えられるとはさすが西住まほ・・・くっ、認めるしかないな///」
ローズヒップ「お姉さまとみほ様が聖グロの仲間になるなんてワタクシ感激雨あられ!ハッピーウレピーピーチティーですわ!」ワーイワーイ
ダージリン「けれど気を抜かないこと。淑女の道に終わりはないわ。常に己を律し、知を修め武を究め、向上心を持って淑女として淑女らしく淑女であり続けるのが大事よ」
みほ「はい、それなりにがんばります」
ダージリン「そして偉そうなことばかり言う大人たちに反抗しなさい。権力の傀儡にならず、若者の怒りをぶつけるの」
まほ「淑女とは」
アッサム「黄色い潜水艦に乗って昨日のことを思い出しながら『ヘルプ!』って叫びなさい」ビートルズ
ルクリリ「女王陛下の為にウェンブリースタジアムの天井に穴空けてやれ!」クイーン
オレンジペコ「サンダースが流すメディアやプロパガンダに飲まれてはいけません」グリーンデイ
ローズヒップ「ロックいたしましょうぜ!」グッ
みほ「もうなにがなんだか・・・」
まほ「みほ、これ以上ここにいては我々の方がおかしくなってしまう。そろそろ退散しよう」
みほ「ヒドイいいよう・・・」
まほ「みんな、世話になったな。色々と貴重な体験をさせてもらって感謝している。ありがとう。いつまでも居座るわけいんもいかないし、そろそろ帰還させてもらう」
みほ「短い間でしたがお世話になりました。私も大洗に帰りますね」
ダージリン「帰る?なにを言っているの?あなた達はもう正式に聖グ口リアーナの生徒なのよ。帰るなんてできないわ」
まほ「えっ」
みほ「あはは、そのジョーク、大学選抜戦でみなさんが駆けつけてくれた時に使えばよかったなぁ」
ダージリン「これはジョークじゃないわ。あなた達二人はもう名実共に聖グロ所属になっているのよ」
みほ「へ?」
まほ「なにを言ってる。短期転校は短期間のみの転校で――」
ダージリン「短期じゃないわ。お二人が提出した書類・・・正規の転校手続きのものよ」
まほ「なに・・・?」
アッサム「こちらがその書類です」スッ
みほ「あっ!本当だ!」
まほ「・・・すり替えておいたのか!」
ダージリン「ご名答」スリカエテオイタノサ!
みほ「ど、どうしてこんなことを!」
ダージリン「どうして?みほさん率いる大洗女子学園は来年の全国大会でも大きな脅威となるわ。今の内に手を打っておかないと、来年も聖グロの優勝は危うい・・・手元に残すか、消しておきたかった」
ダージリン「『イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない』・・・優勝するためなら、我々はあらゆる手を尽くすわ」
ダージリン「まほさんは卒業するからさほど重要ではなかったけれど、西住姉妹揃って聖グロに移籍とあればいい宣伝にもなるし、入学希望者も増えるでしょう。だったら、囲んでおいて損はないという判断よ」
ダージリン「それともなにかしら?私達が何の利益も無いのにあなた達を招き入れ、戦車道訓練に参加させたり手の内を見せていたとでも思っていたの?」
ダージリン「私達は敵同士なのよ。甘ったるい慣れ合い相手だとでも思っていたのなら大間違いよ」
ダージリン「あんまり舐めてもらっちゃ困るわね」
まほ(そうか・・・すっかりお笑いキャラが先行して忘れてしまっていたが・・・聖グ口リアーナのダージリンは狡猾な策士。油断していた)
みほ「そんな・・・ダージリンさん・・・ひどい」
ダージリン「あらあら、乙女の涙でほだそうって魂胆かしら。ずいぶん古典的ね」フフ
ダージリン「でも、そうね・・・確かに騙したみたいで少し気が引けるわ。なら、こうしない?戦車で勝負して、あなた達が勝てばこの話は無かったことにしてあげる。私達が勝てば、あなた達は聖グロの戦車女子として最前線で戦ってもらうわ」
まほ「勝手なことを・・・」
みほ「受けます。勝負させてください」
まほ「みほ」
みほ「他に方法は無いよ。せっかく大洗の皆と仲良くなれたのに、離れるなんて嫌だから・・・」
まほ「・・・そうだな。いいだろう、ダージリン、勝負してやる」
ダージリン「決まりね。簡潔に済ますために2on2のフラッグ戦にしましょう。マチルダⅡと乗員、それとローズヒップ車を貸し与えるわ。安心して。貴方たちの勝利に全力で貢献するように指示しておくわ」
まほ「どうだか・・・」
ダージリン「んっふふ、信用ないのね。ルクリリ、こちらのフラッグはあなたに任せるわ。必ず勝ちなさい」
ルクリリ「はっ」ビシッ
まほ(ダージリンがフラッグではないのか・・・何か企んでるな)
ダージリン「それじゃ始めましょ。あなた達の居場所を賭けた・・・闘技(ゲーム)をね・・・」ニヤァ
・
・
・
マチルダⅡ<ギャラギャラギャラ・・・ クルセイダー<ギャギャギャ・・・
まほ「まさかこんなことになるとはな。すまんみほ、私が巻き込んだせいで・・・」
みほ「ううん。お姉ちゃんのせいじゃないよ。それに・・・謝るのは私の方だよ。去年の決勝で私のせいで負けて・・・逃げだして・・・」
まほ「・・・」
みほ「お姉ちゃんにもエリカさんにも黒森峰の皆にも・・・お母さんにも迷惑かけて・・・ずっと謝らなきゃって思ってたの。いつかお母さんにもちゃんと謝らないと・・・」
まほ「・・・」
~~~
みほが大洗に転校したすぐ後の頃・・・
まほ「失礼します。お母様、話とは――」ガラ
しほ「・・・」ズーン
まほ「・・・お母様が机に突っ伏している」
しほ「まほ・・・私はサイテーな親だわ」
まほ「・・・」
しほ「あの子の行動は、人として正しいことだったとは思う。しかし西住流としては褒められたことではない。私は西住の後継者として、厳しく叱った・・・西住流の師範として」
しほ「だってそうしないとお偉いさん連中が目くじら立てるんだもん!『あんな試合をした娘をちゃんと指導するように』って言われてて、あの座敷での私達のやりとりを録音して提出するようにって!」
まほ「こわい」
しほ「・・・私、自分がなりたくなかった大人になっている気がするわ。体裁だなんだというくだらないものを押し付けるような、昔の私が心底毛嫌いしていた大人に・・・」
まほ「・・・」
しほ「昔なら・・・西住流家元なんて立場から遠かったあの頃なら・・・あの子と真っ直ぐ接することができたんでしょうね・・・」
まほ「・・・お母様、もしお母様があの時のみほと同じ状況、同じ立場だったなら・・・どうしていましたか?西住流としてではなく、一人の戦車女子として」
しほ「・・・私は――」
~~~
みほ「――ちゃん!お姉ちゃん!」
まほ「!」ハッ
みほ「敵だよ!こんな崖路で遭遇するなんて・・・」
マチルダⅡ<ギャラギャラギャラ チャーチル<ギャラギャラギャラ
ローズヒップ「まほお姉さま!あそこですわ!崖を沿うように進んできますの!」
まほ「敵車輛発見。これより交戦に入る」
<ドワ! \ドーン!/ \ズズーン!/
ローズヒップ「やぁーってやりますわ!」ギャギャギャ!
みほ「ローズヒップさん、何をする気ですか!?そんなに前に出たら・・・」
ローズヒップ「つまんねーことをお聞きにならないでくださいませ!先陣切って切り込むのがわたくしの生きざまですわ!オラァ敵チームの皆様方ぁ!まほお姉様とみほ様を討ち取りたいというのなら、先にこの私をやっつけてみんしゃんせー!」ギャギャギャ!
ダージリン「砲撃」
チャーチル<ズワ! \グワァ!/
クルセイダー<シュポッ
ローズヒップ「GOMEN ASOBASE!」
ルクリリ「鉄砲玉は落ちた!後はフラッグだけだ!ぶっ飛ばしてやる!」ギャラギャラギャラ!
まほ「チャーチルは放っておけ。フラッグのマチルダを狙うんだ」ギャラギャラギャラ!
\ズドーン!/ \ゴゴーン!/ \ドガーン!/
ダージリン「フフフ・・・聖グロの演習場で、ましてやイギリス戦車で、私達に勝てると思ってるの?」ギャラギャラギャラ!
みほ「お姉ちゃん!チャーチルが回り込んで来る!後ろを取られるよ!」
まほ「構うな。前だけを見ていればいい」
ダージリン「サンドウィッチは中のキュウリが一番美味しいの・・・喰らいつくしてあげるわ」ギャギャギャ!
ガラガラガラ・・・
ダージリン「あら?」
ガラガラガラ!
ガガガガガ! ギャギャギャギャギャ!
まほ「!」
みほ「ああっ!崖が崩れてチャーチルが川に・・・!」
ルフナ「きゃー!流されちゃいますー!」
オレンジペコ「水が入ってきます!は、早く逃げないと・・・!」
ダージリン「落ち着きなさい。冷静に、非常訓練を思い出すの。この救命胴衣を装着しなさい」
オレンジペコ「は、はい!」アタフタ
ルクリリ【ダージリン様!ご無事ですか!?救援を――】
ダージリン「その必要はないわ。こっちは何とかなる。あなたはフラッグ車を撃破しなさい」
ルクリリ【・・・はい!】
まほ「乗員達が戦車から脱出している。心配はなさそうだな・・・」
みほ「お姉ちゃん!フラッグが来るよ!」
まほ「・・・?・・・おかしい・・・ダージリンが出てきていないぞ」
みほ「お姉ちゃん!今は試合に――」
<ドッ! \グワア!/
みほ「わあっ!・・・今は試合に集中しないとやられちゃうよ!お姉ちゃん!」
まほ「・・・」ガパッ
みほ「お姉ちゃん!?なんでハッチを・・・まさか助けに・・・!」
まほ「・・・」バッ
みほ「お姉ちゃん!」
~~~
しほ「私なら・・・貴方達と同じくらいの頃の私なら・・・きっと、みほと同じように助けに飛び出していた。だって、苦楽を共にした仲間を見捨てるなんて、そんなの・・・できっこないもの」
~~~
ダージリン「まずいわ」
ダージリン「非常にまずいわ」
ダージリン「これはまずいわね。まさか私の救命胴衣に穴があいてるなんて。皆はもう脱出したけれど・・・」ザザザ
ダージリン「さて、どうしたものかしらね。水がどんどん入ってくるわ。試合が終わって救助が来るまで息が持つかしら・・・」ザザザ
ガパッ
ダージリン「!・・・まほさん」ザザザ
まほ「助けに来ましたお姫様。そんなことだろうと思って救命胴衣を二つ持ってきた」
ダージリン「どうして来たの。試合をほっぽり出して人助けなんて・・・いつかのみほさんと同じ間違いをするつもり?」ザザザ
まほ「私はみほの行動が間違っていたとは思っていない。さ、これを着るんだ」
ダージリン「急いで脱出を・・・あら、服がひっかかっちゃった」グイグイ
まほ「こんな時にまでポンコッチーなことを」
ダージリン「もう水が胸の高さまできているわ。私のことはいいからまほさんだけでも逃げなさい」ザザザ
まほ「待ってろ。いま外してやる」グッ・・・
ダージリン「そんなことしてる間に二人共間に合わなくなるわ!早く逃げなさいったら!」ザザザ
まほ「・・・決して・・・友を置いて逃げたりはしない。私は西住まほだ。かつて、みほがそうしたように・・・」
まほ「みほ、みほ聞こえるか」
みほ【お姉ちゃん!】
まほ「車体を斜め45度に傾け、敵の砲撃を受け流せ。相手が砲撃を終えた直後に反撃。一撃では仕留めきれんから砲撃後すぐに車体を敵の真横に着けろ」
まほ「装填が完了次第、敵の背後に回り砲撃。エンジン部を撃ち抜くんだ」
みほ【う、うん!】
まほ「これで試合の心配はいらない。後はお前を助け出すだけだ」
ダージリン「・・・欲張りな人。二択の両方を取るなんて」ザザザ
ルクリリ「往生せいやあああ!」ズドォ!
マチルダⅡ<ガァン!
みほ「今です!撃って!」
<ドワ! \グワア!/
<ギャギャギャ! ガィン!
みほ「装填が完了したら背後に回って!」
<ギャギャギャ!
みほ「撃て!」
\グワァン!/
<シュポ
ザバァ!
まほ「はぁ・・・はぁ・・・」
みほ「お姉ちゃん!ダージリンさん!大丈夫ですか!?」タタタ
まほ「ああ、よくやったなみほ」
みほ「ううん、私はお姉ちゃんの指示をそのままやっただけで・・・」
オレンジペコ「お二人ともよくぞご無事で・・・」ウルウル
アッサム「まほさん、ダージリンを救っていただきありがとうございます」
ルクリリ「くっ///西住姉妹に敗れるとは!///」
ローズヒップ「さっすがまほお姉さま!やはりお姉さまをお姉さまと認めたわたくしの目に狂いはありませんでしたわ!ああ麗しきまほお姉さま!」
ダージリン「・・・完敗ね。何もかも・・・」
まほ「何があっても勝利を掴む。それこそ西住流だ」フンス
ダージリン「・・・んっふ」
ダージリン「もう撮れ高は十分ね」
まほ「・・・?」
ダージリン「ペコ、あれを」
オレンジペコ「はい」ソッ
ダージリン「いくわよ・・・」ウズウズ
ダージリン「てってれー」
【ドッキリ大成功!】
まほ「・・・」
まほ「・・・」
まほ「えっ」
ダージリン「ンフフフッ、まほさんたら、豆が鳩鉄砲を喰らったような顔しちゃって」クスクス
アッサム「ドッキリ計画大成功ですね」
まほ「ちょっと待て」
オレンジペコ「すみませんまほさん。ダージリン様のイタズラ心です」
ダージリン「ずっと映像を撮ってたのよ。戦車にも小型カメラを設置しておいたの。演技もとっても凝っていたでしょう?」
まほ「待て」
アッサム「心配いりませんよまほさん。今回撮影した映像は外に出ないよう厳重に管理します」
ダージリン「私達だけでクスクス笑いながら見るから安心して」
まほ「待てと言っている!どういうことだ!」
ダージリン「んっふ、まほさんがあの状況になったらどうするか、試してみたかったのよ。まさか救助と勝利と両方取るなんて思わなかったけど」
みほ「ごめんねお姉ちゃん」
まほ「みほもグルなのか!?」
オレンジペコ「聖グロに正式転校という話も嘘ですよ。試合も展開まで全部仕組んだ八百長です。みんなで共謀してたんです」
ローズヒップ「わたくし聞いていませんでしたわ!」
ダージリン「んっふふ、私を助けに来てくださったときのまほさんのキメ顔と口説き文句と言ったら、心奪われちゃいそうになっちゃったわ。なーんて、んっふふふ」
まほ「っ~~~・・・・・・きさまら~・・・」プルプル
まほ「許るさーーーん!」
・ ・ ・ ・ ・
オレンジペコ「紅茶が入りましたよ」カチャ
まほ「・・・」ムス~
ダージリン「ンッフフ、まほさんったらブーたれちゃってかわいい」クスクス
みほ「お姉ちゃん機嫌なおしてよー」
まほ「知らん」プイッ
アッサム「少し意地が悪すぎましたね」
ルクリリ「バカめまんまと騙されおって///」
ダージリン「まほさん、これからも私達はベッタベタの慣れ合いで仲良くしていきましょ♪」ウニャン
まほ「フン、聖グロと黒森峰は外交禁止にしてやる」
ダージリン「んもう、いけず」
ダージリン「あ、そうそう。転校の話から試合まで全部嘘だったけど、一つだけ本当のことがあったわ」
ダージリン「来年こそ・・・聖グロが優勝してみせるんだから」
まほ「・・・どうかな。エリカが率いる黒森峰は強いぞ。それに・・・みほ達大洗もな」
ダージリン「こんな詩があるわ。『100万ドルでも夢は買えない。だから掴みたい』・・・張り合いがあるわね」
まほ「ふっ・・・」
アッサム「ともあれ、一時はどうなるかと思ったけど一見落着ですね」
まほ「いや私はまだ怒ってるぞ」プン
アッサム「ともあれまほさんもみほさんも、もう立派な淑女です。これからはいつでも聖グロに来てください。一度ティーネームを授かった方は、いつでも聖グロの淑女ですよ」
みほ「ありがとうございます。これからはミルクティーを意識的に飲むようにしますね」
まほ「ダージリンなんて料理がてんでダメなのに淑女を名乗っていていいのか」
ダージリン「人には向き不向きがあるのよ。かのエジソンは国語の点数0点、アインシュタインは鉄棒超ヘタの落第生だったと言うわ」
ローズヒップ「さすがはダージリン様!モノは言いよう、朝はオハヨウ、夜の挨拶コンバンハですわ!」カ~ッカッカッカ!
ダージリン「自分が『そう』だと思えば、それでいいのよ。そうありたいと思い続け、努力することが大切なのよ」
まほ「それっぽいこと言って正当化しているだけにしか聞こえんが」
みほ「ところでダージリンさん、賭けの話ですけど・・・」
まほ「賭け?」
みほ「お姉ちゃんにドッキリ作戦する時に賭けをしたんです。お姉ちゃんがどういう行動をとるかって。私はお姉ちゃんがダージリンさんを助けに行くって賭けたの」
オレンジペコ「そういえばダージリン様は、まほさんが自分を見捨てる方に賭けてましたね」
ダージリン「んっふ」
まほ「・・・貴様」
ダージリン「あのね、まほさんってね、戦車にマジメで妥協しないじゃない。だから、その、ね、私よりもね、勝つことを取るんじゃないかな~って・・・」
まほ「・・・」ジト
ダージリン「そもそも賭けなんかしたっけ?」ハテ?
みほ「あっ!スっとぼける気だ!」
ダージリン「こんな格言があるわ。『都合の悪いことは忘れよ』。淑女には記憶力の欠如が必要なのよ」
ローズヒップ「いけませんわダージリン様!淑女大原則ひと~つ!約束は必ず守るべし!」
オレンジペコ「ダージリン様、賭けは賭けですよ」
ダージリン「・・・んもう、仕方ないわね。みほさん、何が欲しいのかしら?」
アッサム「ダージリンの秘蔵格言集とか」
ダージリン「それだけは絶対ダメッッッ!!!」
オレンジペコ「聖グロが誇る茶葉コレクションとか」
ダージリン「それもやめてえええぇぇぇ!」
ローズヒップ「オージョーギワが悪いですの」
ルクリリ「往生せいや」
みほ「ねえお姉ちゃん、何かダージリンさんにしてほしいことある?」
まほ「私か?」
みほ「騙しちゃったお詫びだよ。なんでもいいんだよ。お金、戦車、聖グロの植民地化・・・」
オレンジペコ「常識の範囲内で勘弁してください」
まほ「ふむ・・・そうだな」ニヤ
・
・
・
ダージリン「・・・」ガタガタブルブル・・・
オレンジペコ「まさかまほさんが提示した報酬が『一週間紅茶禁止』だなんて・・・」プルプル・・・
アッサム「それも私達まで・・・致し方ありませんね。悪趣味な騙し方をしたんですから・・・ローズヒップ以外」カタカタカタ・・・
ルクリリ「もう15時間も紅茶を飲んでないなんて・・・頭がおかしくなりそう・・・」ガチガチガチ・・・
ダージリン「ヒュー・・・ヒュー・・・」プルプルプル・・・
オレンジペコ「ダージリン様が虫の息ですよ。何か他のもので紛らわせないと・・・」
ローズヒップ「こんな格言がありますの!『紅茶が無ければコーヒーを飲めばいいじゃない』!お紅茶が飲めない皆さんのために、代わりのコーヒーをお持ちいたしましたわー!」
アッサム「あなたの優しさには涙が出るわローズヒップ」
ローズヒップ「さ、皆さま!遠慮せずにズズズイィッと飲んじゃってくだしゃーせー!」
ダージリン「い、頂くわ・・・」プルプル・・・ クイ~ッ
ローズヒップ「わー!さっすがダージリン様!見事な飲みっぷりでござんすわー!」ヒューッ
ダージリン「ブフォホハァッ!」ブバッ
アッサム「わー!ダージリンの舌と喉が拒絶反応を起こして吹き出したわー!」
ローズヒップ「キッタネーですのー!」アッハハハ
ダージリン「・・・やっぱり紅茶じゃないとだめだわ・・・頭痛もするし目まいも・・・ローズヒップ・・・こっそり紅茶入れてくれない?」プルプル・・・
ローズヒップ「つまんねーことをお聞きにならないでくださいませ!ズルは無しでございますのよ!まほお姉様の言いつけはしっかり守りますの!」
ダージリン「・・・いけず」プルプル・・・
アッサム「うーん、コーヒーもたまにはいいものですね。でもなんだかすごく独特な味・・・」ズズ
オレンジペコ「ローズヒップさん、どの豆を淹れたんですか?」
ローズヒップ「なんか知らねーですけどテキトーにその辺にあったやつですわ!」
オレンジペコ「あ・・・これ・・・コピルアック・・・」
ローズヒップ「こぴ・・・それって、えーっと・・・・・・アッ!」タラ~ッ
ダージリン「ようやく慣れてきてなんとか飲めるようになったわ。紅茶の代わりにしては苦いけれど、何も飲まないよりマシね」ゴクゴク
アッサム「なんだかクセになりそうな味ですね。私、ハマってしまうかも」グイグイ
ローズヒップ「・・・」コソ~ッ
ダージリン「確かに、個性のある味。これは一体何という豆なのかしら?」
アッサム「あ、豆の袋が置いてあります。えーっとこれは・・・っ!?・・・こ、コピルアック・・・」
ダージリン「ブフゴバァッ!」ブプッ
<ドドドドドド!
チャーチル<ドガシャアアアン!
アッサム「ローズヒップのお馬鹿さんはどこですか!あの大馬鹿さんは!」ドガーン!
オレンジペコ「高貴な淑女になるためだと言ってマジノ女学院に向かいましたが・・・」
~the end~
~おまけ~
エリカ「隊長が聖グロから戻って一週間」
エリカ「姿勢やマナーが前にも増して綺麗になって、とっても麗しい淑女隊長になってくれてホント最高にお美しい」
エリカ「だけど・・・」
まほ「こんな言葉がある。『笑いの無い日は、無駄にしてしまった一日だ』」
まほ「こういう格言を知っているか?『この世に悪と呼べるものがあるとすれば、それは人の心だ』」
まほ「『心に愛が無ければ、スーパーヒーローじゃないのさ』・・・素晴らしい詩だと思わないか?」
まほ「いい言葉を教えてやろう。『まじめにふまじめ』」
まほ「『ボンカレーはどう作っても美味いのだ』」
エリカ「うっとうしい!」バシーン
エリカ「うざったらしいったらないわ!」バシーン
エリカ「端々にドヤ顔で格言垂れるし!無駄知識ひけらかして満足げだし!最後のもう格言でもなんでもないし!隊長の気持ちだし!」バシーン
エリカ「あなた妹でしょ!なんとかしなさいよ!」
みほ「エリカさん、こんな言葉を知ってますか?『同じ阿呆なら踊らにゃ損々』」
エリカ「ッ!?・・・ま、まさか・・・みほ・・・あ、あなたまで・・・」
みほ「こんな言葉があります。『睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに、美容にもよくない』」
エリカ「あ、ああ・・・そ、そんな・・・西住流も・・・もうおしまいなのね・・・」
みほ「こんな言葉があります。『ガルパンはいいぞ』」
エリカ「・・・さようなら・・・私が愛した・・・西住姉妹・・・・・・」ポロポロ
~おしまい~