死の秘宝編、開始です。
●プリベット通り4番地でのシリウス通信(ハリー、シリウス)
「―ハリー、ハリー!聞こえるかい?」
「…シリウス?」
「ああ、よかった。君が両面鏡をトランクの中に仕舞っていやしないかと危惧していたんだ」
「大丈夫だよ。連絡が来るならこれだろうと思ってたんだ」
「流石だ、ハリー。…君に、報告と相談があってね」
「報告はともかく、相談って?」
「おいおい。君が一流の『策士』だということは、騎士団ならみんな知っている。闇の陣営と公に事を構えて1年経つが、君以上に『死喰い人』を捕縛した者は未だ居ないんだ。…その知略を借りたい」
「……うん。わかった」
「よし。まずは報告だ。君をそこから移動する手段が変わった。魔法省のある役人が寝返ってね。そこからは暖炉も『姿現わし』も使えなくなってしまった」
「それじゃあ、どうするの?」
「代理の作戦がある。まず、君の元へ13人の―」
「―ということだ。…ここからが相談だよ。君の意見が聞きたい」
「……その計画を知っているのは誰?」
「実行役の13人と私。そして今話した君だけだ」
「……発案者は?」
「ダングだ。まさか、あいつからこんなに冴えた作戦を思いつくとは思ってもみなかったと、皆で褒めていたところだよ」
「……決行日やペアの組み合わせまで含めて、ダングが?」
「いや、決行日はダングが発案したが、組み合わせはムーディだ」
「そっか。……シリウス。今の僕らは、『本人が思いつきそうもない作戦』を提案されたなら『服従の呪文』を警戒しなきゃいけない状況のはずだよ…違うかい?」
「!?…いや、そうか。ハリー、君の言う通りだ。…もしくは、裏切っている可能性もあるか」
「シリウス。僕らは今、仲間を信じなければならない。ダングは仲間だ。それは間違いない」
「っ!?……ああ、そうだ。すまない。私がどうかしていた」
「ううん。…最低限、作戦からはダングを外した方が良いと思う。その上で、組み合わせを決行直前で変更するべきだ。そうすれば、作戦自体はそのままで生かせるよ」
「ハリー!流石だ!!…わかった。私から必ず伝えておく。君の懸念は的確だよ」
「『知らない方が都合が良い事がある』…だから、知っている人間を警戒しなきゃいけないんだ。…可能なら、ダングの提案した決行日から前倒しした方が良いと思う。そうすれば、待ち伏せされる前に逃げ出せる」
「いや…残念だが、それは難しい。君のおじさんたちの輸送の事もあるし、なによりダングの提案した決行日は、明日だ。今からでは間に合わない」
「……それなら、せめて遅らせよう。翌日の深夜…いや、2日後の早朝が良い。僕たちにとって一番不利な飛び立った直後の奇襲を暗闇で防げるかもしれないし、その後は明るくなって移動が楽になる。…どうかな?」
「完璧だとも!…早速、皆に伝えてくる。ハリー、君に相談して良かった」
「勢い余ってダングに話さないでね」
「任せなさい。ここまでお膳立てしてくれたんだ。ダングが『服従』させられているかまで、明らかにしてやるさ」
「うん。任せたよ、シリウス」
「ああ。…おい、リーマス!ハリーが、ハリーはやっぱり天才だったんだ!ハリーが―」
「……大丈夫かなあ?」
●ダーズリー家との別れ(ハリー、バーノン、ダドリー)
「パパ、ママ。どうして、あいつは一緒に来ないの?」
「そりゃ、あいつは…来たくないんだ。そうだろ?え?」
「うん。それに、行く訳にもいかないんだ」
「おまえは、おれの命を救った。…だから、またな。ハリー」
「…多分ね。またな、ビッグD」
「……っ小僧!……お前が何をしでかすのか知ろうとも思わん!」
「ああ、それで良いよ―」
「だがなっ!…ドラコ嬢ちゃんを連れて帰るまで、二度とうちの敷居は跨がせんからなっ!!覚えておけよ!!」
「……わかった、覚えておくよ。おじさん」
「……フンッ」
●7人のポッター作戦(ハリー、シリウス、フレッド、ジョージ、ルーピン、ムーディ)
「油断大敵!…ポッター。まさか、おまえから学ばされるとはな。マンダンガスは強い錯乱の呪文を掛けられていたようだ。奴は最初、作戦は自分で思いついたと言っていたが、詳しく聞けば聞くほどに、話すことが支離滅裂になっていきおった。奴の言うままに作戦を実行していれば、わしらは全滅していたかもしれん」
「マンダンガスはどうしたんですか?」
「見張りを付けて大人しくさせている。少なくとも、この作戦が終わるまではな。そして、我々は敢えて当初の作戦通りにここに来た。お前の策を見破らせない為にな。出発は…何時だ?グレンジャー」
「はい!2日後の午前3時半です!」
「といった具合に、我々自身も作戦内容の決定権を分担した。作戦決行直前まで、作戦内容の全容を知っている者はおらん。油断大敵!」
「そこまでするんだ…」
「そりゃあ、ハリー。それだけ君の作戦がイカしてたって事さ」
「ああ。何しろ君のおじさんときたら、はしゃぎ過ぎてタコ踊りしていたくらいだ」
「フレッド。ジョージ。それは流石に言い過ぎだ。確かに誇らしかったが、そこまではしゃぎまわってはいなかったよ。なあ、リーマス?」
「ああ、そうだね。犬に変身していないのに尻尾をぶんぶん振り回していた程度だよ」
「リーマス!?」
●7人のポッター作戦 その2(ハリー、シリウス)
「シリウスも参加することになったんだね」
「あたりまえさ。ダングの抜けた穴に誰かが入らなければこの作戦は成立しない。それならば、元々作戦を知っている私が参加した方がリスクは少ないだろう」
「6人のポッターじゃダメだったの?」
「ゲン担ぎさ。魔法において7という数字は特別な意味を持つ。知っていたかい?」
「……うん」
「それに、この手のかく乱は人数が多い程良い。みすみす、成功率を下げるような真似をしたくはない」
「そうだね。…でも、気を付けて」
「もちろんだ。それにハリー、私は当然君の随行護衛を勝ち取るつもりでいる。ペアの組み合わせはルーピンが担当だ。あいつの性格は熟知しているよ。きっと、くじにするはずだ。ならばあとは気合で、君のペアを勝ち取るとも!」
「あー…そうなんだ。頑張って」
●7人のポッター作戦 その3(ハリー、シリウス、ルーピン、ムーディ)
「どういうことだ、リーマス!?どうして私が偽ハリー役なんだ!どう考えても私は護衛側だろう!?」
「いいや、シリウス。そもそも、君はマンダンガスの代役だろう。そして、マンダンガスは偽ハリー役のはずだった。ならば、その代役たる君が偽ハリー役になるのは当然の流れだろう?」
「ならば配役を変えればいい!まだ若いビルやトンクスを偽ハリー役に回して、私を護衛側にすればいいだろう!」
「いいや、それも認められない。確かに2人とも若いが、ちゃんと場数を踏んだ一流の魔法使いだ。一方、君は長年のアズカバン生活からの逃亡生活、屋敷での缶詰と、ブランクが長過ぎる。以前の勘を取り戻していない君を護衛役に回すことは出来ない」
「ぐっ…しかし…しかしだなあ…」
「そして、君がハリーの護衛役を熱望していることも知っているから敢えて言うが、仮に君が護衛役になったところでハリーの護衛役になれないよ」
「何故だっ!?私ならば何としてでもハリーを守り抜くと分かっているだろう!?」
「ああ。この場の誰であれ、そうするだろう。問題は、ハリーが箒の名手であることをあちらも承知していることさ。これは、作戦変更前から話していたことだろう?そして、君の乗り物は箒だ」
「ぐっ…ぐぬぬ…」
「ああ、そうだ。ハリー、ファイアボルトを貸してくれるかい?収縮呪文を掛けるから、ポケットにでも入れておくと良い。いざと言う時に、1人で脱出するんだ。エンゴーシオは使えるね?」
「うん。…使うような事態にならなければいいけど」
「ああ。それはもちろんだ。しかし、油断大敵!そうだろう?」
「うん。油断大敵!」
「そうだ!油断大敵!!!」
「やっぱり本家が言うと違うね…」
●7人のポッター作戦 その4(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ムーディ)
「そうだ。ヘドウィグをどうしよう?襲われるかもしれない中に連れてはいけないよ」
「一時的にフィッグに預かって貰うのはどうだ?おまえがここを飛び立ったのを連中が確認した後に隠れ穴へ飛ばせば良かろう」
「わかりました。…良いかい?ヘドウィグ。僕らがここを飛び立って30分位したら、フィッグおばさんの所に行ってこの手紙を見せるんだ。少しの間、君の面倒を見てくれるように書いてある」
「……当たり前のように言い聞かせているが、ふくろうに理解できるのか?」
「できるさ。ヘドウィグは頭が良いんだ。帰ってきた時に『死喰い人』の1人でも仕留めていたとしても僕は驚かないね」
「あなた、一昨年散々突かれ回されてたものね…」
「きっとあれもハリーの指示だったに違いないよ…まあ、今となってはもういいけどさ」
●7人のポッター作戦 その5(ハリー、ハグリッド、シリウス、ムーディ)
「さあ。組み合わせが決まったね」
「ハリー!お前さんは俺とだ!ええか?」
「うん。ハグリッドはバイクだっけ?」
「そうだ。そこにいる、シリウスから貰ったもんだな」
「……ハグリッド。今だけそのバイク、私に返してもらうことは―」
「そんなことしたらハグリッドだけ置いてけぼりになっちゃうよ!!」
「……そうだな。すまない、忘れてくれ」
「そういうシリウスは…ムーディ先生と?」
「先生…?まあいい。そうだ。ブラックが相方ならば異存はない」
「ああ。君の後を追えない様に、大暴れしてやるさ」
「それじゃ変身した意味が無いよ…」
●7人のポッター作戦の顛末(ハリー、ハグリッド、ジニー、モリー)
「ハリー!ハリー!!良かったわ!あなたたちも、ちゃんと着いたわね!」
「僕たち『も』?ってことは、皆ちゃんと到着したんだね?」
「ええ。もちろんよ!ロンとトンクスが最初で、フレッドとアーサーが2番目。ちゃんと予定通りよ」
「ロンとトンクスったらおおはしゃぎだったのよ?あなたの作戦が嵌って、慌てている『死喰い人』にロンが呪いを当てたんですって!」
「それを言っちゃあハリーもすごかったぞ?連中が出てくるなりハリーが『アクシオ!パンツ!』って叫んだら、あいつら姿勢を崩して落っこちて行っちまった。俺なんて笑っちまって、あやうくひっくり返るところだったぞ」
「……ハリー?」
「いや…だって、アクシオなら当てる必要無いしさ…」
●7人のポッター作戦の顛末 その2(ハリー、ハーマイオニー、フレッド、ジョージ、ハグリッド、アーサー、トンクス、キングスリー)
「あ、次の人が来たわ。リーマスとジョージのはずよ」
「―ママッ!ハリーっ!!手を貸してくれっリーマスがっ!!」
「っ…僕が足を持つ。ジョージは肩を」
「よし来た。せーのっ―」
「リーマス!?リーマスッ!そんなっ―」
「落ち着くんだ、トンクス。出血は激しかったが、既に血は止まっているようだ。…ジョージ、いったい何が起こった?」
「スネイプだ。フードが外れたのを見た。あいつが後ろから呪いを撃ってきたんだ。そして、リーマスがとっさに僕を庇ったんだ。…クソっ」
「いいや。お前はよくやった。リーマスを連れてここに帰ってきたんだ」
「今戻った。…怪我人が出たか。いや、予想の範疇だ。ハリーの策が功を奏したのは間違いない。聞こえた限りの奴らの会話から察するに、本来ならばヴォルデモートがあの場に居たようだ」
「なんだって!?」
「ええ。本当よ。私も聞いたもの。…ハリー、無事でよかったわ!」
「ああ、ハーマイオニーも、無事でよかった」
「あなたが『死喰い人』を落としているのが少しだけ見えたわ。呪いが当たった様子はなかったけど、あなた今度は一体何をしたの?」
「……その、えっと」
「おお、聞いとくれるか。ハーマイオニー。ハリーはな、連中のパンツをアクシオしたんだ!あっちゅうまに姿勢を崩して奴ら、箒から落ちていきおった!」
「……ハリー?」
「そんな隠し玉を持っていたのかよ!」
「どうして事前に俺たちに教えてくれなかったんだ?そうすりゃ今頃、俺たちは今後のパンツに困らない生活を送れていたんだぜ?」
「ああ。今頃奴らは『ハリー・ポッターの前ではパンツを履いてはならない』とか大真面目に対策しているだろうさ」
「それはそれで嫌だなあ…」
●7人のポッター作戦の顛末 その3(ハリー、ジニー、モリー、ビル、フラー)
「ママっ!セストラルだわ!ビルが帰ってきたのよっ」
「ああっ!無事でよかったわ!あとは、マッドアイとシリウスだけね」
「マッドアイたちは帰ってこないよ」
「……どういうこと?」
「しばらくはね。…ハリー。君のクールな魔法を使った瞬間をシリウスが見ていたようでね。『やはりハリー…僕は天才だっ!』って叫びながらアクシオを連発していた。一応、ハリーの姿に変身している自覚はギリギリあったみたいだ。それを見たマッドアイも『なるほど合理的だ』とか言って計画を忘れたように『死喰い人』共にアクシオを掛け始めてたから…あの勢いだと、全部のパンツを集めるまで帰ってこないんじゃないか?」
「ひどーい光景でしーた…アリー。責任もってパンツの処分はお願いしまーす」
「奴らの本拠地がわかれば送り付けるんだけどね…」
●7人のポッター作戦の顛末 その4(ハリー、シリウス、モリー、ビル、ムーディ)
「ハリー、ハリー!良かった、無事だったか!!」
「うん。シリウスも、その…楽しんでたみたいだね?」
「君のアイデアは最高だった。唯一、スネイプの奴を引きずり落とせなかったのは心残りだがね」
「加えて、大きな収穫があった。姿勢を崩させたことで、追手の大多数の顔が割れた。アズカバンに収容されているはずの者の姿も認めている。つまり、アズカバンは既に敵の手に堕ちたということだ」
「管理を吸魂鬼に任せていた時点でこうなることは分かり切っていたことだ。…今は、全員が生きのびたことを喜ぼう」
「いいや、その前に、だ。…全員、手持ちの荷物からパンツを出せっ!わしが片っ端から保護呪文を掛ける」
「必要ありません!もしも必要なら、私がお洗濯の時に掛けておきます」
「む。…ならば良い。ポッターの戦術はとても有効に働いた。つまり、次からは向こうも同じ手を使ってくるということだ。油断大敵!装身具には忘れずに保護呪文を掛けておけ。ポッター、お前の眼鏡もだ」
「オーケー、わかったよ」
「ならば良し!」
●スクリムジョールとの問答(ハリー、ロン、ハーマイオニー、スクリムジョール)
「―そしてもう1つ。ダンブルドアが君に形見を残した。ゴドリック・グリフィンドールの剣だ。とはいえ、剣はダンブルドアの占有財産だった訳ではない。よって君に引き渡すことは出来ないが…なぜ、ダンブルドアは君に渡そうとしたのか、分かるかね?」
「……ダンブルドアから、その剣について過去に聞いたのは1度だけです。『真のグリフィンドール生だけが扱える』とだけ、聞きました。すると…僕の勇気をダンブルドアが称えたかった、以外に解釈しようが無いのでは?」
「……例えば、だ。ゴドリック・グリフィンドールの剣だけが、スリザリンの継承者を撃ち滅ぼせるとダンブルドアが解釈したからではないのか?それならば、君こそが『あの人』を撃ち滅ぼす運命にあると、信じたからではないのか?」
「その剣に秘められた力と言うならば、僕よりもグリンゴッツのゴブリンに聞いた方が有益ですよ。……大臣、残念ながらダンブルドアは『簡単なヴォルデモートの倒し方』なんて便利なものは残してくれませんでした。その上で、僕を魔法省へ協力させたいならば、お聞きしなければならないことがあります」
「ふむ、伺おうか」
「なぜ、僕の家からの煙突ネットワークや『姿現わし』を切るような真似をしたんですか?その所為で僕らは、危うく全員が死ぬところでした」
「む。……それは―」
「魔法省に協力しろと言うならば、僕に『魔法省は味方である』と思わせて欲しい。誰が敵で、誰が味方なのか分からない組織に、僕は背中を預けることは出来ません。…逆に、あなた個人が騎士団に入ると言うならば、僕としては歓迎します」
「なるほど、道理だ。だが、夢物語だな。……最後にもう1つ、聞かせてくれ」
「はい、なんでしょう?」
「君のその話術は、ダンブルドアに仕込まれたのかね?」
「いいえ。……大切な、友人に、教わりました」
「……友人?恋人じゃなくて???」
「しっ、ロン。黙って」
●結婚式後、グリモールド・プレイスにて(ハリー、シリウス)
「今のは…ムーディが仕掛けた、呪い?」
「おおっ!ハリー、ハリー!!無事だったか」
「シリウス!……シリウスだよね?」
「そうとも。君の後見人で、君と対になる両面鏡を持っている。先日は君の姿に変身してマッドアイと共に『アクシオ!パンツ』で大暴れした」
「……よし。あれ?僕らの場合、何も言わずに両面鏡を見せた方が早い?」
「いや、流石にここに居る時は常に持ち歩いていない。今のやり方で問題ないだろう」
「そっか。他のみんなは?」
「ここには私だけだ。先ほどアーサーから全員無事だという連絡が来た。見張られているから返事をするな、と言っていたから余り状況は芳しくはないだろう」
「うん。…シリウスは、ずっとここに居るの?」
「いいや、私も此処に滞在し始めたのは最近さ。一度、家探しされたような形跡はあったが、今のところスネイプも他の『死喰い人』も見ていないよ」
「そうなんだ。…それなら、僕らもここを拠点に使わせてもらっても良い?」
「もちろんだとも!ハリー。ここは君の家でもあるんだ。許可を取る必要などもとから無いさ」
「うん、ありがとう。…ロン、ハーマイオニー。とりあえず、荷物と情報を整理しよう」
●クリーチャーの証言後の一幕(ハリー、シリウス、クリーチャー)
「馬鹿なっ…あいつが…ヴォルデモートを裏切っていただと…?」
「クリーチャー。僕らは今、奇しくもそのレギュラス様と同じ目的で行動している。君が水盆に入れたロケットはこれだろう?レギュラスの…シリウスの弟の形見だ。きっと、君が持っているべきだと思う。…いいかい?シリウス」
「……ああ。問題ない」
「代わり、でもないけれど。君にお願いしたいことがある。マンダンガス・フレッチャーをここに連れてきてほしい。そいつから、本物のロケットを取り戻して…僕らの手で、破壊するんだ」
「はい。…はい。坊ちゃま。必ずや…っ」
「っ…クリーチャー!…その、なんだ。……いままで、すまなかった」
「……では、クリーチャーめは行ってまいります。ご主人様」
「!?…ああ。ちゃんと帰ってこい」
●クリーチャー外出後の一幕(ハリー、シリウス)
「……さて。図らずも、君たちに課されたダンブルドアの遺言を聞いてしまったようだ」
「うん。……同じように、破壊しなきゃいけないものがいくつかあるんだ。それを探す旅をするつもりだったんだ」
「そうか。…私もついていく、と言ったら君は嫌がるだろうな」
「うん。ダンブルドアは、ロンとハーマイオニーにしか伝えるなって言ってた。だから、僕らでやらなきゃいけないんだ」
「……よし。わかった。ならば、ここを拠点にすればいい。もう『姿現わし』はできるだろう?現地にとどまる必要が無い時は、『姿現わし』でここに帰ってきなさい。私が、この場所を守る。代わりに、行先だけは私に伝えていって欲しい。何かあれば、守護霊か両面鏡で伝えよう。私は、君たちの最低限の安全を守れて、君たちは常に安全な食事と寝床が確保できる…悪い話ではないだろう?」
「……いいのかな?」
「ダンブルドアも、君たちがわざわざ過酷な旅をすることを望まないだろう」
「……そっか。うん。じゃあ、お願いします。シリウス」
「ああ。任された。……とりあえずは、玄関前の階段にピンポイントで『姿現わし』しなければならない。しばらくは練習した方が良いだろう」
「うん。どっちにしてもクリーチャーを待たなきゃいけないし、当面は『姿現わし』の練習かなあ」
「それが良い。……あと、それはそれとしてなんだが」
「うん?どうしたの?」
「……ドラコ嬢は仲間に入れてあげないのか?」
「……彼女は僕を裏切って、自ら離れて行ったんだよ」
「そうか。いや、すまなかった」
「ううん。……でも、彼女の性格上、何も関わってこないとは思えないんだ。変かな?」
「……むしろ、『恋』だろう?」
「今はそういう話じゃないだろ!?」
「はっはっは、すまんすまん」
●ルーピンからの情報(ハリー、シリウス、ルーピン)
「誰だっ!?出て来い!」
「撃つな。私だ。ルーピンだ。仲間からはムーニーと呼ばれている。教員時代は君に個人授業で守護霊の呪文を教えた。君の守護霊は牡鹿だ。そして隣のパッドフットをからかうときは『おすわり』と言って―」
「そこまでで結構だ!……怪我はもう大丈夫なのか?」
「もちろんだとも。シリウス、君がこの子たちと一緒に居てくれて助かった」
「あの後、どうなったの?」
「キングスリーのお陰で助かった。あの警告で、大半は『姿くらまし』が間に合った。しかし、些か不可解な点があってね」
「不可解…?」
「広報的にも、魔法省内の動きとしても、スクリムジョールは死んだことになっている。しかし、それにしては動きが妙だとアーサーは感じているようだ」
「どういうこと?」
「上層部の…つまり、『死喰い人』共がスクリムジョールの目撃情報を集めているという噂があるそうだ」
「つまり……スクリムジョールは生きている?」
「可能性の話だ。どちらにしても魔法省が陥落したことに変わりはない。奴らはどんなに残酷な呪文を使っても逮捕されることはない。『死喰い人』除けの呪文を破り、住民を尋問して…ハリー。君の居場所を探している」
●ルーピンからの情報 その2(ハリー、シリウス、ルーピン)
「ハリー。シリウスから聞いたかもしれないが、騎士団はダンブルドアが君に使命を残したと考えている。内容は明かさずとも構わない。私も同行させてくれないか?きっと、君の役に立てると思う」
「待って。リーマス。トンクスは?」
「トンクスは実家に帰ることになるだろう。今は、妊娠しているからね」
「おめでとうっ!」
「やったな、リーマス!」
「ありがとう…それで、私の申し出を受けてくれるだろうか?」
「待ちたまえ、リーマス。…例えハリーが同行を許したとしても、私が許すつもりはないぞ」
「今、ハリーと共にいる君が言うのかい?」
「そうとも。私はハリーの保護者だからだ。だからハリーの帰ってくる『家』を私は守ると決めた。リーマス、君も親になる者として、そうするべきだ」
「……シリウス。君ならわかってくれると思ったのだがね?そもそも、私は親になるべきではなかったんだ」
「しかし、親になるのだろうが!?ならば、君が語るべきは『どうあらねばならなかったか』ではない。『今後どうあるべきか』だろう!!」
「うん。…シリウスの言うとおりだと思う。リーマス、あなたがどうあればいいかわからないなら、僕らは相談に乗ることが出来る。けれど…あなたの同行は僕には必要ない」
「どうだ?百人力だろうが、リーマス。我らが『策士』様がどれほど優秀か、君も身をもって知っているはずだ」
「……降参だ。シリウス、まさか君に窘められる日が来るとは思わなかった」
「それが親になるということだ、リーマス」
「親になる、か…。わかった、ではハリー。また、親として…至らぬ身でどうすべきか、相談に来てもいいかい?」
「もちろん!大歓迎だよ!!」
「わかった。…それでは、私はトンクスの元に戻る。君たちがここに滞在していることを他の騎士団に伝えても?」
「問題ない。ただ、『姿現わし』には細心の注意を払う様に伝えてくれ」
「了解したよ。…では、また会おう」
●マンダンガス捕獲後(ハリー、ロン、ハーマイオニー)
「頭にリボンを付けたガマガエルみたいな魔法省の女…他に居ると思うかい?」
「居ないでしょう」
「ああ。居たとしたらきっと双子だ!…うえぇ、想像しなきゃよかったよ」
「とりあえず当面の目的は決まった。魔法省に忍び込む。すると…やっぱりポリジュース薬かな」
「ええ。魔法省の入り口を見張って、情報収集をしながら誰に変身すべきか見極めましょう。…3人、丁度いい人が居ればいいんだけど」
「いいや、2人だ。1人は透明マントを被って潜入した方が良い」
「それだと他の2人がマントを被れなくなってしまうわ!やるなら3人とも変身した上でマントを被るべきよ」
「それだと出勤するはずの人が来ていないことになってしまう。むしろ、変身したことでやむを得ず3人バラバラになってしまうことを危惧した方が良い。あらかじめ1人だけ透明なら、最低でも2人と1人に分かれるだけで済む。マントも、2人までならギリギリ被れるはずだ。どちらにしてもマントを被るときは人目が無い状態じゃないといけないから、やっぱり1人は変身している必要が無いよ」
「……そうね。わかったわ。では、情報収集のやり方だけど―」
●魔法省潜入中の一幕(ハリー、ロン、ハーマイオニー)
「……ここまでは予定通り、だね」
「ああ。…ハーマイオニー、ちゃんとついてきてるかい?」
「ちゃんとついて行ってるから、話しかけないで」
「おっと、ごめん」
「何度も言ったけれど問題は、アンブリッジはドラコの奴隷になっていたはずってことだ。その首輪が今も掛かっているならば…どうなるか、読めない」
「こちらも何度も言ったけれど、それは首輪が掛かっていなくても同じことさ。どうなるかわからないってね」
「うん…さて、ここからは黙ろう。エレベーターは、あっちだ」
●魔法省潜入中の一幕 その2(ハリー、ロン、アンブリッジ)
「……どこかに、アンブリッジの部屋があるはずだ」
「一つ一つ扉の名札を確認するしかないな。僕はこっちから—」
「アルバート、それにカターモール。ごきげんよう。何かお探しかしら?」
「……あ、アンブ—いや、君の手を煩わせることではない」
「あら、そう?…ちょうど、あなたたちを呼びに来たところだったの。わたくしのお部屋までいらして下さる?」
「っ!?…ああっ、もちろんだとも」
「……そう。それじゃ、着いて来なさい」
●魔法省潜入中の一幕 その3(ハリー、ロン、ハーマイオニー、アンブリッジ)
「さあ、お入りなさい。……全員、入ったのかしら?」
「……君は、何を言っている?」
「お黙りなさい。アルバート…その警戒心は、あなたね。あなたはわたくしの『ご主人様』を知っているでしょう?」
「……は?」
「実は、廊下にこっそり『隠密探知呪文』を掛けてあったの。この時間にこの階層へ、それも『あなたたち』が来ることはあり得ない。……だから、あなたたちの行動がバレるのは時間の問題。もっとも、それはわたくしが『あの人』に怪しまれている所為だけれど—」
「あなたは、何を言っているのです?」
「っ…探知に引っかかった。やはり、もう来たわね。追手が来ているわ。『これ』を取りに来たのでしょう?これを持って、そこの暖炉からお逃げなさい。移動先は固定。1度しか通れないし、記録も残らないように細工してあるわ」
「待って!どうして、あなたが?」
「あなたたちの行動なんて、『ご主人様』がお見通しなのよ。…思ったより行動が遅くて、やきもきさせられたけれど…これで『ご主人様』に良い報告が出来るわ」
「あなたは…味方、なの?」
「……わたくし、『今の立場』になってきっと、初めて褒められたのよ。『閉心術』がうまく、演技も上手い人材が、最高の立場に居る、ですって。…案外、悪くなかったのよ」
「アンブリッジ…?」
「さあ、お行きなさい。…そして、『ご主人様』に、よろしく言っておいてちょうだい。さあっ、早く!!」
「……わかった、行こう」
「アンブリッジ貴様!ここに誰かをかくまっている—」
「ステューピファイ!……わたくしは魔法大臣付上級—いいえ、『ご主人様』の奴隷、ドローレス・ジェーン・アンブリッジです!あなた達を一人でも多く道連れにして、褒めていただくのよ!!」
●暖炉の先(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ドラコ)
「言われるがままに暖炉に飛び込んじゃったけど…どこだ、ここ?」
「すごく豪華なお屋敷ね…」
「……わかった気がする。多分、ここは—」
「あら、お久しぶりね。あなた達。ごきげんよう」
「マルフォイ!?」
「あなたが居るってことは…ここはマルフォイ邸なのね!?」
「ああ、やっぱり…」
「久しぶりだって言うのに、つれない態度ね?ハリー」
「そりゃあそうさ。何と言っても君は、僕を裏切ったのだから」
「ええ、そうね。…でも、裏切ったからと言って、あなたの敵になるとは言っていないわ」
「……それはおかしくないかい?」
「そうかしら?なら、おかしいのは言葉の定義の方よ。…本題に入るわね。あなたをここに呼んだ理由は3つあるわ。まず…ヘルガ・ハッフルパフの杯は、おそらくグリンゴッツ銀行のベラトリックス・レストレンジの金庫の中よ」
「っ!?…どうして、君がそれを?」
「わたくしの共犯者が誰だったのか、お忘れかしら?」
「……それじゃあ、ダンブルドアは君にも話したんだね?」
「ええ。詳しくは聞いていないけれど…ホグワーツ創始者の関連品をあなたに探させている、とだけ」
「……そっか。うん、わかった」
「そう。それでは2つ目。ここでオリバンダー老を保護しているわ。ここから連れ出して、彼に詳しく話を聞きなさい」
「オリバンダー!?確か、ヴォル—」
「ストップ。…そこからさらにドビーにお願いして攫ったのよ。今は、闇の陣営でもオリバンダーは行方不明ってことになっているわ。…それから、闇の帝王の名は今、言ってはならないわ。魔法省のシステムを使って、その名を呼んだ人に掛かっている保護呪文を解除したうえで、居場所がわかるようになっているの」
「……それだわ!それで、トテナム・コート通りに『死喰い人』が現れたのよ!」
「そうか。…うん、わかった」
「ええ、それじゃ3つ目。これが一番重要なのだけれど……ハリー、わたくしに武装解除術を撃ちなさい」
「……はい?」
●マルフォイ邸でのカオスな一幕(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ドラコ)
「いきなり君は何を言っているんだい?」
「御託は良いわ。早く、やりなさいな」
「……エクスペリアームス」
「…良いわ。わたくしの杖を持ってみて、どう?」
「どうって…何が?」
「自分の杖と比べて、違和感はある?」
「……うん。どうにも、しっくりこない感じがする」
「やっぱり、そうよね。…ハリー、杖を返して」
「うん。……君は一体何がしたいんだい?」
「合意では無理で、実際の決闘は危険すぎるのよね。…だから、仕方ない。ええ、これは仕方ないのよ」
「……ドラコ?どうしたのさ」
「ハリー…杖を使わず、力づくでわたくしから杖を奪いなさい」
「はあっ!?…君、どうしたのさ?どっかで頭でも打ったのかい?」
「残念ながら大真面目なの。さあ、掛かっていらっしゃい」
「うん。…で、杖は何処なんだい?」
「教えたら奪うことにならないじゃない。当然、わたくしも抵抗もするわ」
「ほんとに、いったいなにがしたいのさ…」
「あなたに杖を奪われないといけないのよ」
「……わかった。…えっと、いくよ?…えいっ」
「きゃっ、ちょっと、変なところ触らないでっ…あっ」
「!?…へ、変な声出さないでよ!?」
「なんだ?…僕らは一体、何を見せられているんだ?」
「マルフォイのすることだもの。何か意味はあるはずよ。…なんか、私欲が混じってそうだけど」
「どちらかというと、ほぼ私欲だろ」
●マルフォイ邸でのカオスな一幕 その2(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ドラコ)
「っ!?なっ、なんで抱き着いてくるのさ!?」
「杖を奪われないように妨害しているだけよ!」
「逃げろよ!?」
「あなた相手じゃなければそうしてるわよ。…実際、身動き取りづらいでしょう?」
「っ!?…ああ、もう!!」
「……ふふっ」
「ねえ、やっぱりいちゃついてるだけだって!?僕らとんでもなく時間を無駄にしてないか?」
「さあ?でも、オリバンダーに話を聞けってことは、杖に関して何かがあるのかもしれないわ…多分」
「それを利用していちゃついているようにしか見えないぞ」
「……それも目的の一部かもしれないわ。さあ、ロン。見ちゃダメ。あっち向くわよ」
●マルフォイ邸でのカオスな一幕 その3(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ドラコ)
「はあ…はあ……やっと、やっと奪えた…」
「…どうかしら、その杖。しっくりくる?」
「え?…うーん。…いまいち、かな」
「そう。…やっぱり、こんな方法じゃダメなのかしら?そうなると、他の手段としては―」
「またぶつぶつ言い始めちゃったぞ?」
「やっぱり、何か意味自体はあったみたいね」
「……ねえ、ドラコ」
「―って、あら?なにかしら?…きゃっ」
「その…久しぶりだから…普通にハグとか、したくてさ……ごめん」
「っ……!?」
「……あれ?なんか杖がしっくりきた。…なんで?」
「っ!?…し、知らないわよ!?お馬鹿っ」
●マルフォイ邸でのカオスな一幕 その4(ハリー、ドラコ、ドビー)
「これで、すべきことはしたわね。…ドビー!いらっしゃい!」
「はいっ!ドラコお嬢様!」
「ハリー達と、オリバンダー老を安全なところまで送って差し上げて」
「承知いたしました!ドラコお嬢様!」
「…ハリー。最後に」
「……うん」
「あなたの信用を裏切ったことを、謝罪するわ。ごめんなさい。…そして、その上でもう一度…わたくしは、あなたを惚れさせてみせる。……今度は、ちゃんと愛を囁いてもらえるくらいに」
「え?え?…え?」
「ドビー、お願い」
「わかりました!…では、若旦那様。準備はよろしいですかな?」
「ちょっとまって、若旦那って何の――」
「行きなさい!ドビー!!」
「ちょっと待っ――」
●マルフォイ邸のカオスな一幕のその後(ハリー、ロン、ハーマイオニー)
「ドラコは居るし、杖を奪わされるし、若旦那って言われるし……もう一度惚れさせるって…そんなの…なんなんだよお!?」
「あ。うずくまっちゃったわね。…でも、ロケットはちゃんと手に入ったし、次の情報は手に入った。オリバンダーにも会えたんだもの。作戦としてこの上ない成果よ!!有意義な時間だったわ!」
「……」
「あ、無言で立ち上がった……と思ったら、頭抱えちゃったよ。どうしたの?」
「ローブからドラコの匂いがする…」
「マーリンの髭!」
「ハリーならヴォル…『例のあの人』を倒せるって信じてるけど、あの子には一生勝てそうもないわね」
「若旦那って…若旦那ってなにさ…?」
「ワーオ。すげえや、ハーマイオニー。あのハリーが完全に機能停止してるよ。しかもあの館で僕ら完全に空気だったぜ?」
「いつものことでしょ。…そのいつもを、取り戻すために戦うの」
「モチのロンさ!」
お読みいただきありがとうございます。
後書きです。
死の秘宝収集RTAと化しつつありますが、さっそく解説していきます。
●本話における原作との乖離点(本編記載内容省略)
・ムーディ生存。
・ジョージ負傷せず。
・7人のポッターにヴォルデモート不在により、ルシウスの杖が折れていない。(そもそも杖を奪われていない可能性有)
・リータ・スキーターが飼われている為ダンブルドアに関する本も記事も書いていない。
・スクリムジョール生存?
・魔法省からの逃走経路変更によりグリモールド・プレイスの守りは健在。
・アンブリッジ死亡?
・ベラトリックスと邂逅していない為、髪の毛と杖を奪っていない。
・マルフォイ家へ行った時期が異なるためルーナ、ディーン、グリップフックと遭遇していない(そもそもマルフォイ家に囚われない可能性有)
●7人のポッター作戦について
気付いたらちょっとお下品なパートになっていました。申し訳ありません。
本作においてはシリウス生存、そして両面鏡が健在の為にハリーがいつでも騎士団と連絡を取ることが出来ます。
その上で、『蛇の流儀』に基づいた策略を練られることを神秘部の戦いの折に騎士団は知っていますので、意見を求めた結果の改変ですね。
元々、開心術に対して閉心術を使わずに対抗する為に描写した『知らない方が都合が良いことがある』理論ですが、メタ認知として便利過ぎました。
怪我人がジョージからルーピンに移ったのは、死喰い人の人数が減ったことによる変化として描きました。
咄嗟にかわす余裕はあったものの、かわし切れなった位の想定です。
また、猛威を振るってしまった呼び寄せ呪文。
呪文の性質上、呪文の閃光を相手に当てる必要が無く、撤退戦の空中戦により姿勢を崩して箒から落とせば脱落させられるという状況にかみ合い過ぎました。
杖は保持しているので、クッション呪文等を使えば死は免れるので、殺す心配があまりないのも評価点です。
保護呪文を掛けられるだけで封殺されてしまうので、これっきりの戦術ですね。
●マルフォイ家の扱い
リドルの日記を失ってしまったとはいえ、事故的なものであったことに加え、ヴォルデモートの元へ駆けつけるのが早かった上に、事実上ダンブルドア暗殺作戦を成功させた為に原作よりははるかに扱いが良くなっています。
結果としてマルフォイ家が闇の陣営の本部になることは無く、ドラコはハリーに誘拐されたという名目のもと、家でのんびりしています。
ルシウスは開心術対策の為にナルシッサから事情も伝えられずに家に帰ってくるなと言われている為、本部に缶詰めです。
本作での本部は特に決めていませんが、原作の扱いから見てよく不興を買っているエイブリー家あたりではないでしょうか。
●ヴォルデモートの行動
基本的には原作と変わりません。
7人のポッター作戦に参加できなかったことで死喰い人の誰かから借りた杖は折られませんでしたが、使い勝手が良くないことからオリバンダーを脅迫し、原作同様にニワトコの杖を求めて行動中です。
また、ハリーの移動日をスネイプは外してしまいましたが、シリウスやロンが「ハリーの読み通りだ!」と散々騒いでいた為、スネイプのミスというよりは「ポッターに上をいかれた」という認識です。
功績や信頼は原作よりも下ですが、ホグワーツの掌握において校長における人材が他に居ない為、本作でもスネイプが校長になっています。
●アンブリッジについて
まさかの見せ場が発生しました。
元々、ロケットの入手難易度を下げるためにドラコの奴隷化していました。
アンブリッジの過去の設定を見た作者からの印象は『取り入ることと持ち上げることがうまい人』という認識です。
原作では権力欲の権化として書かれていますが、逆にそれ以外に手に入るものが無い環境だった可能性を考えています。
すると、ドラコの目的至上主義的な評価からくる『アンブリッジ自身の能力』に対する誉め言葉は、誰も想定していないぶっ刺さり方をするのでは?という発想が生まれた結果…滅茶苦茶ヒロイックなシーンになりました。
結局のところ、執着の対象が『権力』から『ご主人様の褒め言葉』に変わっただけなので、浄化かと言われると首を傾げざるを得ない変化ですね。
生死は未定。追手を全員道連れに死亡したかもしれませんし、まんまと『姿くらまし』で逃げおおせたかもしれません。
どちらにせよ、翌日の『日刊予言者新聞』の一面を飾ったことでしょう。
●スクリムジョールについて
改変に至った理由については後編にて描写する予定です。
以上、後書きでした。
死の秘宝は読了しているので、次は今回ほど間を空けずに投稿できるかと思います。
気長にお待ちくださいませ。
感想を頂きまして、ありがとうございます。
執筆の励みになっております。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。