ドラコ・マルフォイ♀メインヒロイン化計画   作:楽手疎素

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タグに「R-15」と「残酷な描写」を追加しました。
後書きの下のおまけに対するものです。
いまのところ、本編においては保険としてつけてある状態です。


7冊目 ~不死鳥の騎士団 後編~

●クリスマス休暇前の一幕(ハリー、ドラコ)

 

 

「ハリー。ごきげんよう。…少し、相談に乗って欲しいのよ」

「相談?…君が、僕にかい?」

「ええ。集団自習の進捗はどう?」

「えーっと、まず武装解除術から始めて、失神呪文。妨害呪文をやって、今は浮遊呪文でゴムボールで呪文を防いだり、逆にゴムボールを追い返し呪文で相手に跳ね返したり…そんな感じかな?」

「なるほど…身を守る術に重点を置いたやり方ね?」

「うん。最終的には盾の呪文までやりたいかな。僕もまともに使えないし。あとは、守護霊の呪文をやりたいって希望者が多いから、そっちにも手を付けるかもしれない」

「良い判断ね。…呪いはほとんどやってないのかしら?」

「やってないなあ…武装解除術で杖を奪った方が早くない?」

「人間相手ならそうでしょうね。…けれど、魔法生物相手だったらどうするのかしら?」

「あー…地面にレダクトして追い払い呪文とか?」

「素直に結膜炎の呪いを使いなさい」

「ドラゴンにも有効なんだっけ?…やった方が良いかなあ」

「あら、他にも―」

「有意義な時間だったわ」

「こちらこそ。…そういえば、君の守護霊ってちゃんと見る前に走り去っちゃったから何なのか知らないんだけど」

「……そうね。機会があれば、その時に見せてあげるわ。…それでは、失礼するわね」

「うん、ばいばい。……ほんとに、平和だなあ」

 

 

 

 

 

●クリスマス前最後の集団自習教室にて(ハリー、チョウ)

 

 

「ハリー、ハリー!」

「チョウ?どうかした…って、あれ。もうみんな帰っちゃったんだ?」

「そうよ。ハリーが1人でうむうむ悩んでる間にひとりぼっちになったら可哀そうだから、待ってたのよ」

「ああ、それは、ありがとう。…セドリックは?」

「やらなきゃならない課題がたくさんあるからって、帰っちゃった。こんなにハリーにお世話になってるのに、薄情よね」

「……最終学年になっても、そんなに課題があるかと思うと今から気が重いよ」

「そうかもね!…そんなハリーに、お姉さんから朗報です!」

「……お姉さん?」

「細かいことは良いじゃない!…ハリーは、クリスマス休暇は当然!ホグワーツに残るのよね?」

「えっと、ロンの家にお邪魔することに―」

「駄目よそんなの!可愛い恋人がホグワーツに居るのに!?」

「……えーっと?誰が残るって?」

「マルフォイ、ドラコ・マルフォイ!たまたま聞いちゃったの。クリスマス休暇はホグワーツに残るんですって。…デートでも、誘ってあげたら?」

「……あー、貴重な情報提供感謝するよ」

「とんでもない!お礼は、休暇明けにお話聞かせてくれたらいいわ!じゃあ、私も帰るね!」

「……チョウって、こんな人だったんだ」

 

 

 

 

 

●談話室にて(ハリー、ロン、ハーマイオニー)

 

 

「やあ、遅かったじゃないか。どうしたんだい?」

「今後の予定を考えてたんだ。気づいたらチョウしか居なくて驚いたよ」

「へえ…じゃあ、二人きりだった訳ね?」

「やめてくれよ、セドリックに怒られたくない。…ドラコが、休暇中もホグワーツに残るから、デートに誘ってやれって言われたよ」

「えーっ!?それはダメだよ!?ママったら、君が来るからって大張り切りで準備してるんだから」

「ロン、駄目よ。初めての2人で過ごせるクリスマスなんだから。暖かく見送ってあげるのが親友でしょ?」

「待って。待ってよ!…どうしてデートに行く前提で話が進んでいるんだい!?」

「本気で言っているのならあなた、ロンよりも鈍感って評価をせざるを得ないけど?」

「ぐっ……誘います…」

「ちょっと待ってよ!?それはどういうことだい!?」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス(ハリー、フィニアスの絵画)

 

 

「逃げるのかね?」

「そうかもしれない。それでも、きっとこれが最適だと思う」

「ふむ。グリフィンドール寮に属しているが、むしろ私の寮の方にこそ近いようだ。我々は選択の余地があれば、自分を守る方を選び取る」

「そうだ。自分があって初めて、『目的』がある。その目的達成の為に、僕は今、1人で居た方が良いはずだ」

「くだらんな。自分の恐怖を正当化したいだけのそれを、我々は手段とは呼ばん。―そんな悩める愚か者に、アルバス・ダンブルドアから伝言がある」

「……どんな?」

「動くでない」

「……それだけ?」

「いかにも」

「そう……」

「……嫌に、物分かりが良いではないか。私が教師をしていた頃も、これ位の物分かりの良さが子供にあれば、まだマシだったろう」

「別に、考えは変わっちゃいないさ。僕の知らない事情があるように、ダンブルドアにも知らない事情があっておかしくない。…ここから動かず、可能な限り1人で過ごす。それが最適解ってだけだ」

「……中途半端な姿よ。まるでトカゲだな」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス その2(ハリー、ドラコ)

 

 

「ハリー」

「……」

「ハリー、ここに居るのは分かってるわ。開けなさい」

「……ドラコ?」

「そうよ。…起きているなら、さっさと開けなさい」

「……嫌だ」

「そう。…なら仕方ないわね」

「……何をっ、うわあっ!?」

「仕方ないから、壁を壊させてもらったわ。ハリー、ご機嫌いかがかしら?」

「……元気さ」

「そう。なら動けるわね。あなたの部屋に行くわよ」

「……」

「……モビリコーパス」

「うわぁっ!?…そこまでするかい!?」

「ええ。目的の為に、手段は選ばないの…知っているでしょう?」

「……知ってるとも」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス その3(ハリー、ロン、ドラコ、ジニー)

 

 

「ウィーズリーズに聞いたわ。…聖マンゴから帰ってから、誰とも会わないようにしてるって」

「……そう言ったのか?」

「言ったさ!実際君は、帰ってから誰とも目を合わせることすらしなかったじゃないか!」

「僕と目を合わせないのは、君たちの方だ!」

「お黙りなさい。…それから『伸び耳』での情報も聞いたわ」

「そうかい。それなら、僕が1人で居た理由もわかるだろう?わかったらさっさと―」

「ハリー。…わたくし、先ほどからあなたに向かって話しているけど、1度も目が合わないわ」

「そんなの―」

「それとも……目を合わせることで、何かが起こると思っているのかしら?」

「っ…そんなこと、ない」

「こちらを見なさい。ハリー。…さもなくば、力づくよ?」

「……っ、既に、力づくじゃないか」

「ええ、やっと目が合ったわね?」

「……近いよ。息が、くすぐったい」

「我慢なさい。…こうでもしないとあなた、目を逸らすでしょう。でも、この距離だとあなたの眼鏡が邪魔ね」

「それが無くちゃ何も見えやしないよ」

「それで、どうかしら。何か起こった?」

「……ちょっと、ドキドキする」

「そう。健全な証拠ね」

 

「勘弁してくれよ!僕らは一体何を見せられてるんだ!?ハリーの顔色は良くなったけど、こっちでジニーの顔色がどんどん悪くなってんだぞ!?」

「脳が…脳が壊れる…っ」

「ジニー!しっかりしろっ!?」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス その4(ハリー、ロン、ドラコ、ジニー)

 

 

「そもそもだけど、闇の帝王に取りつかれるってどういう状態か…なぜ、わたくしに聞かなかったの?」

「え?…あっ」

「忘れていたのね。…まあいいわ。あなた、蛇に取りついていた間の事も覚えているのでしょう?」

「うん…覚えてる」

「だったら、少なくともわたくしと同じケースは当てはまらないわ。…その傷跡を通した別例ってことならば、話が変わるけれど…今回の場合、それは無いとダンブルドアは判断しているわ」

「それにハリー、少なくとも君はずっとベッドにいたぜ?うなされながらベッドでのたうち回ってたよ、1分くらい」

「……じゃあ、僕が操られてるわけじゃ、ない?」

「あら、そんなに不安なら添い寝でもする?」

「はあっ!?」

「冗談よ。…別に、本気にしても良いけど」

 

「脳が…脳が…っ」

「やめてくれよっ!ジニーがもう限界だっ!!」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス その5(ハリー、ロン、ドラコ)

 

 

「今更だけど、どうして君がここに居るの?」

「どこかの誰かさんが毎年恒例のウジウジを発揮したから、ダンブルドア先生に送り込まれたのよ」

「なら君は、ここがどんな場所か知っているの?」

「いいえ、知らないの。…知るべきではない、が正確かしら?移動キーで着いた後からずっと目を瞑っていたわ。だからわたくしは、ここが何処にあるのかも、どんな場所なのか…は、察しはついているけれど、正確には知らないわ」

「知るべきではないってどういうことだい?」

「その方が安全なのよ。知らなければ、話しようが無いでしょう?…分かっていると思うけれど、わたくしがここに居たことを、ホグワーツでは他言無用よ」

「分かってるって…何もわからないよ。どうして他言無用なのさ?」

「……そう。ここの大人たちは本当に、あなたたちに何も教えていないのね」

「へえ。それじゃ君は、大人たちが何をしているか知っているってことかい?」

「いいえ。むしろ、あなた達に『知らせない理由』を教えていないことにあきれているのよ」

「その話は後で、大人が居る時にさせてもらうわ。…そういうことよ、ハリー」

「……えっと、どういうこと?」

「ダンブルドア先生は、あなたを大切に考えているわ。…ここに、わたくしを送り込むリスクを許容する程度にはね」

「……そっか」

 

 

 

 

 

●アーサー面会後のグリモールド・プレイス その6(ハリー、ロン、ドラコ、シリウス)

 

 

「ああ、ハリー!ハリー!!よかった、出てきてくれたんだな!飯は食べたか?何か―」

「シリウス。あー、えっと…その…心配かけて、ごめんなさい」

「とんでもない!君の不安を見抜けなかった私が不甲斐ない!ああ、マルフォイの…ドラコ嬢。君のおかげだ」

「いいえ、おじさま。ただ、無理やり引きずり出しただけよ。…その為に、部屋の壁が無くなっちゃったけど、許して下さる?」

「もちろんだとも!よーし、いますぐ修理してこよう!…ゴッド・レスト・ユー・メリー・ヒッポグリフ♪―」

「君の保護者、だんだんうちのママに似てきてないかい?」

「試行錯誤してるのよ。…ほら、そこに出しっぱなしになってる読みかけの本とか?」

「……『思春期の息子との接し方』。なんだこれ?…ハリー、もっとシリウスに優しくしてやれよ」

「あー…肝に銘じておくよ」

 

 

 

 

 

●グリモールド・プレイスでのクリスマス(ハリー、ドラコ、ロン、ジニー)

 

 

「メリークリスマス、ドラコ」

「ええ。メリークリスマス、ハリー。…素敵なプレゼントをありがとう」

「ううん。君には去年も、今年もお世話になったからね。…その、気に入ってくれれば良いんだけど」

「とても気に入ったわ!…素敵なリングだもの。裏に『H to D』だなんて…恋人みたいね?」

「そ、そんなこと!?…考えてもみなかった!」

「あらそう?…だったら、わたくしはどの指に嵌めればいいのかしら?」

「……チェーンを付けて、首から下げたらいいんじゃないかな?」

「……そう」

「うん。それがいいよ!」

「……意気地なし」

「!?」

 

「……いや、うん。だからさ。他の部屋でやってくれないかな!?」

「脳が…脳がぁ…」

「ほら、またジニーがおかしくなってる!!!」

 

 

 

 

 

●グリモールド・プレイスでのクリスマス その2(ハリー、ロン、ドラコ、ジニー)

 

 

「そもそも気にはなっていたのだけれど…ジニー・ウィーズリー。あなた、レイブンクローの何某とお付き合いしてるのではなかったかしら?」

「……そうよ。どうして知っているの?」

「敵情視察は基本でしょう。…それなら、わたくしとハリーがどんな関係でも、あなたには関係ないでしょう?」

「ぐっ…その。ハーマイオニーに相談したのよ」

「相談先が明らかに間違っているじゃないの。…彼女の男の趣味がソレよ?挙句に、言い合いばかりしてるじゃない」

「……あなたに相談すれば、力になってくれたの?」

「そんな訳無いじゃない。適当なこと言って、今と同じような状況にするわよ」

「だったら駄目じゃない!」

「そうよ」

 

「……彼女たち、なんの話をしているんだ?」

「さあ?さっぱりわからないよ」

 

 

 

 

 

●グリモールド・プレイスでのクリスマス その3(ハリー、ロン、ドラコ、シリウス、モリー、ルーピン)

 

 

「楽しいクリスマスランチに口を挟むのも憚られるのだけれど…1つだけ、いいかしら?」

「ふむ。…確かに、君と話す機会は多くはないだろう。聞かせておくれ」

「ありがとう、ルーピン先生。…あなた達が、子供を危険に巻き込みたくないと考えているのは、理解しているつもりよ。でも、それにしても何も伝えなさすぎではないかしら?」

「子供たちに知らせないのは、子供たちを守るためです!!部外者が口を出すことでは無いわ!」

「ええ。もちろんですわ、モリーおばさま。…しかし『なぜ危険なのか』を知らなければ、それを危険行為と知らずに行ってしまうこともあるでしょう?」

「なるほど。一理あるね。…それで、君は何を知らせるべきだと考えているんだい?」

「『秘密の守り人』という魔法の有用性についてよ」

「……ハリー。君は、『秘密の守り人』についてどれほど知っている?」

「えっと…『秘密の守り人』が明かさなければ、その場所は誰にも認識できない。だっけ?」

「ああ……モリー。これは、伝えるべきだ。この子達は、なぜ我々がここを『本部』と呼ぶのか、理解していない」

「どういうこと?ダンブルドアが『秘密の守り人』で、安全だからじゃないの?」

「それでは50点しかあげられない。ハリー、この呪文が優れているのは『記憶』にも作用することなんだ」

「…記憶?」

「そうとも。優れた魔法使いの中には、他人の記憶を覗き見ることが出来る者が何人かいる。ヴォルデモートもその1人だ。…では、ここで問題だ、ハリー。こうして我々は今、クリスマスランチを楽しんでいる訳だが、ヴォルデモートはこの記憶を覗くことはできるだろうか?」

「えっと…ちょっと考えさせて。……ここは、『秘密の守り人』に守られてて、認識できない。だから、認識できない場所にいる僕らの記憶も、認識が出来ない?」

「完璧だ、ハリー。私がまだ教師だったら点数をあげていただろう」

「グリフィンドールに100億万点だっ!!」

「黙っててくれ、親馬鹿犬(パッドフット)。…だから我々は情報交換をここで行い、ここで話したことを外で公言しない。そうすることで、例え記憶を読まれたとしても、秘密を守ることが出来るからさ」

「そして。そもそも何も知らなければ、記憶を読まれても何も起こらないし、外でうっかりここで知ったことを話してしまう事も無いわ。だから、わたくしは此処が何処なのか、『知るべきではない』し…そうした姿勢を示す必要があるの。…本当なら、ルーピン先生とも顔を合わせたくは無かったわ。…そういう事情なの。わかったかしら、ハリー?」

「うん、ありがとう。…僕らには、『知るべきでない』ことがあるんだね」

「ああ。分かってくれて嬉しいよ。…素晴らしい人材が来たぞ、モリー。君の懸念を一気に払拭し得る逸材だ」

「ええ、そうね。その当人が、知るべきではない情報がたくさんある、ということを除けば、そういえるでしょうね」

「……なんで、モリーおばさんはドラコに冷たいんだろう?」

「そりゃ簡単さ。君を正式に『義息子』にする機会を奪ったからだよ」

「どういうこと?」

「マーリンの髭!ってことさ」

 

 

 

 

 

●グリモールド・プレイスでのクリスマス その4(ハリー、ロン、ドラコ)

 

 

「えっ?ドラコは行かないの?」

「当たり前じゃない。言ったでしょう?わたくしは、この場所が何処なのか知らない方が良いの。そもそも、聖マンゴにあなた達と居る所を誰かに見られたらどう説明するのよ」

「……そっか」

「本当なら、先にわたくしだけホグワーツに戻った方が都合が良いのでしょうけれど、その手段も、人手も無いの。おとなしくあなたのおじさまと、クリスマスディナーの準備をしているのが最善なのよ」

「……僕も残ろうかな」

「駄目よ。クラウチ氏が、あなたと話したがってるって言ってたじゃない。…それとも、そんなにわたくしと離れるのが嫌なのかしら?」

「そ、そんなことは無いさ!!……って、君。そういう言い方すれば、僕が反発するって分かってて言ってるだろう?」

「あら、それを理解したなら、相応の態度が取れるようになって欲しいわね?」

「むぅ……」

「むくれないの。…ほら、もう準備できたみたいよ」

「……行ってきます」

「ええ。いってらっしゃい、ハリー」

「……」

「……こういうのも悪くないって顔してるぞ、君」

「う、うるさいなっ!!」

 

 

 

 

 

●聖マンゴ、ヤヌス・シッキー棟にて(ハリー、ロン、クラウチ、ロックハート、ストラウト)

 

 

「ここは長期療養の病棟なの。さて、私は届いたクリスマス・プレゼントを配ってしまわないと。みんな、お話ししていてね」

「さて、それでは皆さん、私のサインを―」

「もしかして、ハリー・ポッター…ポッター君か?」

「あなたは…クラウチさん?」

「ああ、そうだとも。私に、会いに来てくれたんだね?」

「えっと、その…今、ここに来たのは偶然なんです。でも、後で会いに来るつもりでした」

「大いに結構だ。…どうしても君に、礼が言いたかった。ポッター君。きみのおかげで、『最悪の事態』を免れた。ありがとう」

「とんでもない!…僕は、なにもしていないんです。ヴォル…『例のあの人』の復活を見ているだけだった」

「……どうやら、君は勘違いしている」

「勘違い、ですか?」

「そうとも。私の考える最悪の事態とは、そのまま何もできずに私が死ぬことだとも!しかし、君のおかげでそれは回避された。君のおかげで、私は自分の罪に対して、償うことが出来る」

「……はい」

「ここから出られたとて、魔法省に私の席が残されているとは考えにくい。それどころか、アズカバン送りもあり得る話だ。…それでも、それでもだ。君が望むのならば、必ずや私は君の力となろう」

「はい。…ありがとうございます」

「礼を言っているのは私の方だよ。…む。待ちたまえストラウト、それは悪魔の罠だ。見舞い品ではない」

「なんですって!?」

「すぐに送り主の確認をしなさい。…すまない、ポッター君。ここは慌ただしくなる。早く帰った方が良いだろう」

「え?えっと、わかりました。失礼します」

「あれ?…そこに居るのは、ネビルじゃないか?おーい、ネビル―」

 

 

 

 

 

●聖マンゴから帰宅後の一幕(ハリー、ロン、ドラコ、シリウス)

 

 

「あら、ハリー。おかえりなさい」

「……うん。ただいま」

「ああ、ハリー。おかえり…少し、こちらに来なさい」

「うん?わかったよ」

「……シリウスの奴、どうしちまったんだ?」

「どうもしないわ。ただ、少し学校の話をしただけよ?」

「ハリー。君は、もうすぐOWL試験を受けるね?」

「え?うん。そうだね」

「その、君の…将来の仕事に、あまり口出しする気は無いんだが…魔法薬学は、大事だぞ?」

「……何を言ってるの?」

「魔法薬学の担当がスネイプの奴で、君が不当な評価を受けているのはわかる。しかし、ドラコ嬢の話では、君の見落としによるミスも多いという話じゃないか」

「えっと、それは―」

「……本当に、シリウスがうちのママみたいになっちゃった」

「喜ばしい事じゃないの。…ハリーも、満更でもないじゃない?きっとね」

 

 

 

 

 

●休暇最終日の一幕(ハリー、ドラコ、モリー、シリウス、スネイプ)

 

 

「ハリー、それに…ドラコお嬢さん。スネイプ先生がお話があるんですって」

「…スネイプが?」

「ああ。やっと来たのね」

「君は、なんの話か知ってるの?」

「もちろん。…ほら、早く行くわよ」

「ごきげんよう、スネイプ先生」

「ああ。マルフォイ君。…ポッターの癇癪で、このようなところに連れてこられるとは、君も災難だった」

「いいえ、先生。わたくし自身が、望んで来たのです」

「ぐっ…ぬ。そうか」

「先生。毎回思うのですが、自傷することを分かっていて皮肉を飛ばすのは止した方が良いのでは?」

「……肝に銘じておこう」

「はい。先生」

「さて。ポッターも居るな。…ブラック。我輩はこの2人とだけ会う予定だったのだが?」

「ああ。承知している…1つだけ、お前に伝えることがある」

「……なんだね。ここで引き籠っているだけの君が、我輩に渡せるような情報があるとはとても思えんがね」

「その…なんだ。…いつも、うちの子がお世話になっている」

「……は?」

「OWL試験が近いのでな。…どうか、見捨てずに指導してやって欲しい」

「……よもや、犬に変身して出歩いて、どこぞで服従の呪文でも受けたのではないか?」

「ハリーには親が必要だ!親代わりの私が、早々危険など犯すものか!」

「……ブラック。早々に去れ。あいにく、頭痛薬の持ち合わせは無い」

「む。…では、ハリー。何かあったら呼んでくれ」

「えっと……うん。わかった」

「……どうしてああなった?」

「えっと…わからないです。ちょっと前から、なんかあんな感じ…です」

「前の状態をわたくしは知らないけれど、良い変化だと思いますわ」

「……不本意ではあるが、同意しよう」

 

 

 

 

 

●休暇最終日の一幕 その2(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「出鼻をくじかれたが…校長が君たちに伝えるように我輩をよこしたのだ。校長は、君たちが『閉心術』を学ぶことをお望みだ」

「『閉心術』…って、何ですか?」

「外敵からの侵入に対して心を守る魔法だ、ポッター」

「先日、ルーピン先生から聞いたでしょう?優れた魔法使いは、他人の記憶を読めるって。簡単に言えば、その記憶を守る魔法が『閉心術』なの」

「……マルフォイ君、いささか、過保護が過ぎるように思えますな」

「あら。先生の説明が足りなすぎるのではなくて?…情報無くして学びもモチベーションもありませんわ」

「……良かろう。君たちは週に1度、個人授業を受ける。誰にも知られてはならない」

「誰が教えて下さるのですか?」

「我輩だ。月曜の夕方6時から。誰かに聞かれたら、『魔法薬学』の補習だと言いたまえ」

「えっと、先生。…マクゴナガル先生にも、お伝えしてはいけませんか?自習教室の引率をして頂いてるので、日程調整の時に…困りそうで」

「……よかろう。ならば、我輩の方から伝えておこう」

「ありがとうございます…ドラコの言い訳も、補習で良いのかな?」

「優秀者への特別授業も、補習に違いは無いでしょう」

「……そうかなあ?」

「大丈夫よ。…先生。確かに、承りましたわ」

「よろしい。…それでは、我輩は失礼する」

 

 

 

 

 

●休暇最終日の一幕 その3(ハリー、ドラコ)

 

 

「どうしてダンブルドアは、僕らに『閉心術』を学ばせたいんだろう?」

「あなたの場合とわたくしの場合では、理由が違うけれど…そうね。では、ハリー。他人の記憶を覗く魔法を『開心術』と呼ぶのだけれど、あなたの身に起きたことで、思いつくことはあるかしら?」

「僕に起きたことで?うーん…わからないよ」

「言い方を変えるわ。…他人の記憶を、自分の記憶だと勘違いしたこと、ない?」

「っ!!ある。…アーサーおじさんを襲ったときだ!」

「そうね。…言ってしまえばその時、あなたは無意識に闇の帝王に強い『開心術』を掛けていた…いいえ、お互いが無意識に掛け合っていたような状態だったと、ダンブルドアは考えているのよ」

「なるほど。…でも、今回は…今までも、そのおかげで役に立ったじゃないか。わざわざ『閉心術』を学ぶ必要があるの?」

「ええ、もちろんよ。…優れた『開心術』の使い手は、相手の記憶を思い通りに操作できると言われているわ。だからもし、闇の帝王が、今回のアーサーおじさまの救助があまりにも『早過ぎた』ことに違和感を持っていたら、あなたとの精神の繋がりに気づいて、あなたに偽の記憶を見せる可能性があるの」

「偽の記憶?」

「ええ。それこそ、誰かが襲われている記憶を見せて、慌てて助けに行ったところを待ち伏せして急襲。なんてことも、あり得るわ」

「……」

「そうでなくても、あなたがショックを受けるような記憶を捏造して、あなたを廃人にすることも考えられるの」

「ショックを受けるような記憶?」

「そうね……わたくしが、闇の帝王の手に堕ちる、とか?」

「っ!?!?」

「冗談、とは言えないのよ。…そういったことが、可能ってこと。わかったかしら?」

「……わかった。『閉心術』を、僕は学ばなきゃいけないんだね」

「そうよ。わかったなら、それで良いわ」

 

 

 

 

 

●グリモールド・プレイス出発前の一幕(ハリー、シリウス)

 

 

「ハリー、これを持っていってほしい」

「なにこれ?」

「両面鏡だ。暖炉が使えなくなってしまったから、代わりの通信手段だよ。私の名前を呼べば、私の持っている鏡に繋がる。…人払いを済ませたうえで、忍びの地図で確認しながら使ってくれ。リーマスから、地図は君が持っていると聞いているが、今も持っているね?」

「もちろん!…ありがとう。相談したいことが出来たら、使わせてもらうよ。」

「保護者として、子と連絡が取れないのは大問題だからな。当然のことだ。…そう言って、モリーも説得したんだよ」

 

 

 

 

 

●初めての閉心術(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「さて。君たちがここに居る理由は分かっているな?『閉心術』を君たちに教えることを、校長はお望みだ。…ポッター、魔法薬学より少しはマシなところを見せてくれることを期待する」

「……もしかして、魔法薬学よりも出来なさそうって言われてます?」

「『閉心術』に必要なのは、感情のコントロールよ。…あなた、絶対に苦手じゃないの」

「うっ……えっと、先生。先に情報を整理させてください」

「よかろう」

「『閉心術』は、外部から心を守る魔法。人によって向き、不向きがある。それは感情のコントロールの上手さによる。…これで、あっていますか?」

「大雑把ではあるが、よいだろう」

「その上で、先生は閉心術の達人であるとか?」

「……そのように呼ぶ者もいる」

「であれば、先生を真似すれば・・・えっと、偏屈で、無愛想で、陰気で…」

「グリフィンドール5点減点」

「なんで!?分析してただけなのに!?!?」

「黙って分析することですな」

「そもそも、真似でどうにかなるのかしら?」

 

 

 

 

 

●初めての閉心術 その2(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「よし。…とりあえず、何も準備無しでやってみたいです」

「よかろう…では、いくぞ。レジリメンス!」

 

「……初回にしては、思ったほど悪くない」

「はあ…はあ…ありがとうございます。……ふう。では、次は…わ、わがはいに、もう一度『開心術』を掛けるのだ」

「グリフィンドール5点減…まあ、よかろう。レジリメンス!」

 

「……違いありました?」

「ミジンコ程度だ」

「うーん…おかしいなあ?」

「おかしいのは貴様の発想の方だ、ポッター。…むしろ、効果があったことが驚きだ」

「先生の考えるコツをお聞きしたいです」

「よかろう―」

「……意外といいコンビしてるじゃない」

 

 

 

 

 

●初めての閉心術 その3(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「……全然、出来る気がしない」

「ポッター、時間切れだ。…次、マルフォイ君。構えたまえ」

「ええ、先生」

「いくぞ。…レジリメンス!」

「……初めてとは思えん。上出来だ」

「当然ですわ」

「しかし、抵抗が強過ぎる。…これでは『読まれまい』と構えていることが明白。弾くのではなく、受け流すのだ。読まれても良い情報と、隠す情報を選別しろ」

「はい、先生」

「……ドラコの真似をすればいいのかな?」

「やったら呪うわ」

「冗談だよ…ほんとに」

 

 

 

 

 

●初めての閉心術 その4(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「本日は終わり。次回は来週の同刻だ」

「はい、先生」

「毎晩寝る前に、心から感情を取り除くのだ。心を無にし、平静を保て」

「はい。スネイプ先生の真似と併せて、行います」

「……まあ、よかろう」

「良いんだ…」

「一応、効果があったもの…ミジンコ程度に」

「ミジンコを尊ぶくらいの出来なんだね…」

 

 

 

 

 

●閉心術の授業開始後のある日の一幕(ハリー、ロン、ハーマイオニー)

 

 

「……ちゃんと練習してるのに、毎晩夢を見るんだ」

「ものまねの練習が足りてないんじゃないか?もっとスネイプに似せれば、『例のあの人』も大笑いして逃げていくさ」

「見覚えがあると思ってたんだけど、きっとあそこは『神秘部』だ。あいつは神秘部でなにをしたいんだろう?」

「ハリー。でもそれは罠かもしれないんでしょう?」

「うん。そうなんだけどさ。罠だとしても、わざわざ魔法省の地下を選ぶって事は、そこにあいつにとって重要な何かがあるって事じゃない?」

「それは、そうだけど…」

「何があるんだろう?それが分かれば…」

「ねえ、ハリー。あなた…『例のあの人』と、戦いたがっているように見えるわ」

「……そうかもしれない。けど、大丈夫。危ないことはしないつもりだよ」

「でも、そうした関心が『閉心術』の妨げになっているかもしれないわ」

「あー……今度、スネイプに聞いてみるよ」

 

 

 

 

 

●何度目かの閉心術の授業(ハリー、スネイプ)

 

 

「先生。ヴォルデモートとつながった夢の件で相談です」

「ふむ。…言ってみたまえ」

「心を閉ざそうとしながら、夢の分析をすることって『閉心術』の妨げになりますか?」

「……理論上は可能ではある。が、ミジンコには不可能。ポッター、貴様にはまだ早い」

「はい、先生。…では、不死鳥の騎士団にとって、この分析…ヴォルデモートの狙いを探る事は、不要ですか?」

「不要だ。…話はここまでだ。構えたまえ」

「わかりました…わがはいに『開心術』など効かぬ」

「っレジリメンス!」

「……まことに不本意ながら、上達している」

「やった!」

「ミジンコが3匹に増えた程度だ」

「ミジンコ2匹分かあ…」

 

 

 

 

 

●シリウスとの両面鏡通信(ハリー、シリウス)

 

 

「なるほど、閉心術に苦戦しているのか」

「うん。…スネイプの物真似だけは、割と上達したんだけど」

「ほう。…やって見せてくれないか?」

「『我輩に向かってやってみせろとは、良い度胸だな。ブラック』」

「はっはっは…よく特徴をとらえている…くくくっ、それが、『閉心術』にも影響があったと?」

「そうみたい。だから、スネイプにも止めるに止められないみたい」

「そいつは傑作だ!…しかし、『閉心術』が上手くいっていないのは、良くはないな」

「うん。だから何か良いアドバイスが無いかと思って呼んだんだ」

「なるほどな。ふむ……ところで、ハリーはドラコ嬢のどこが好きなんだ?」

「はっ?なっ…なんで今そんな話になるのさ!?そ、そもそも好きじゃないし!?」

「はっはっは、声が上ずっているぞ?図星だな?」

「そっ…そ、そんなことないよっ」

「ああ。まだ動揺が見えるが、ある程度は隠せている。……それを心で行うのが閉心術さ」

「……なるほど」

 

 

 

 

 

●シリウス通信後の閉心術(ハリー、ドラコ、スネイプ)

 

 

「……どうですか?」

「……妙に、一部分だけ硬く閉心術が出来ていますな」

「やった!」

「荒野に岩が1つ転がっているような状態。…他が見え透いている分、岩の中身もまた自明だ」

「うーん…でもそれって、先生が普段の僕を知っているからですよね?だから、『無い訳が無い記憶』が分かってる」

「……ふむ。筋は通っている。が、『閉心術』としては未熟」

「はい、先生。…岩を大きくするイメージで良いですか?」

「むしろ、岩の数を―」

 

「……ここだとちゃんと教師と生徒なのに、他だと今まで通りなのが不思議ね」

 

 

 

 

 

●ホグズミード行き前(ハリー、ドラコ)

 

 

「あら、ハリー。ごきげんよう。あなたを探していたのよ」

「やあ、ドラコ。何か用かい?」

「ええ。今度のホグズミード休暇の日程が貼られたのは知ってるかしら?」

「ああ、知ってるよ。アンジェリーナがクィディッチの練習に充てるとか言いだして、危うく無くなるところだったけど」

「そう、それは良かったわ。そうなっていたらわたくしも困っていたもの」

「…?なにか用事かい?」

「ええ。ハリー、今度のホグズミード。わたくしと一緒に行ってくれるかしら?」

「もちろん、構わないよ」

「そう、ありがとう。…それでは、楽しみにしているわね」

「うん、ばいばい」

「……」

「……?」

「……」

「……もしかして、デート?」

 

 

 

 

 

●ホグズミード休暇(ハリー、ドラコ)

 

 

「やあ、ドラコ。…人が多かったから、無事に会えてよかったよ」

「ええ、ごきげんよう。ハリー。…行きましょうか」

「うん。…そういえばドラコとホグズミードであまり会った記憶が無いなあ」

「そもそも、機会自体があまりないもの。去年も一昨年も、あなた誰かに命を狙われてるって言われてたじゃない」

「そういえばそうだっけ?…いつもと違って、学校が静かだから忘れてたのかな?」

「…そう。それなら、良いの」

「……?」

「ところで、今日はどこに行くつもりなんだい?」

「ええ。いくつか気になるお店があるから立ち寄って、それからゆったりお茶でもいかがかしら?」

「良いね。…僕も、いくつか寄りたい店があるんだけど、良いかい?」

「ええ、もちろん」

 

 

 

 

 

●スクリベンシャフト羽ペン専門店にて(ハリー、ドラコ)

 

 

「羽ペン専門店なんて、よく経営が成り立つよね」

「マグルの羽ペンと違って、魔法が掛けられるから、色々種類が作りやすいのよ」

「へえ。…ん?これと、これってどう違うの?」

「左右の翼の違いね。利き手によって、どちらの翼から取られた羽かで使い勝手が変わるのよ」

「そうなの?…気にしたことなかったよ」

「だいたいの羽ペンは右利き用に左翼の羽が使われているから、こうしたお店でもなければ見かけないかもしれないわね」

「へえ……ヤマアラシの、羽ペン。…羽?」

「軽くて頑丈だから、人によっては使いやすいそうよ?…高級というだけで、孔雀の羽ペンを使っているお馬鹿さんもいるけれどね」

「大き過ぎるけど、どっかで見たような…?こんなの、顔に当たって文字が書けないよ」

「ハグリッドくらい大きければ使えるのではないかしら?脆いからすぐに折れそうだけれど」

「ハグリッドくらいになれば、羽ペン位自作するんじゃないかな」

「……そうね」

 

 

 

 

 

●ロサ・リー・ティーバッグにて(ハリー、ドラコ)

 

 

「……ホグズミードにこんなお店があったんだね」

「ええ。だいたいの子はマダム・パディフットの店に行くから、あまり目立たないの。お茶を楽しむなら断然こっちよ」

「へえ…僕、紅茶なんてよくわからないけれど、おススメはあるかい?」

「それなら、ホグワーツにちなんだ紅茶があるわ。4つの寮と同じ名前をしているの」

「そりゃいいや。…なら、折角だから、僕はスリザリンで」

「そう。ならわたくしは、グリフィンドールね」

「……ん。悪くないよ」

「そう。わたくしも、この味嫌いじゃないわ」

「……そっか」

「ええ、そうよ」

 

 

 

 

 

●ある日の一幕(ハリー、ドラコ、アンブリッジ)

 

 

「あら、ハリー。ごきげんよう」

「やあ、ドラコ。…なんだか久しぶりだね」

「ええ。少し前まで、補習でよく顔を合わせてたものね」

「そうだね。…君が羨ましいよ。僕も早く補習を免除されたい」

「頑張ってミジンコの数を増やしなさいな」

「ぐぬぬ…ミジンコも積もれば岩となる、かなあ?」

「なれば良いわね」

「ェヘン、ェヘン!―ああ、ミスター・ポッター。こんなところにいたのね」

「……アンブリッジ先生?」

「あなたを探していたのよ。…少しお話があるの。わたくしの部屋に来てくれる?」

「えっと。はい、わかりました。…そういうことだから。じゃあね、ドラコ」

「ええ、頑張りなさい。ハリー」

 

 

「さあ、お掛けなさい。ミスター・ポッター」

「……はい、先生」

「飲み物は何にする?」

「えっと、先生。何の用なんでしょう?」

「話を始める前に、飲み物の用意をするわ。紅茶?コーヒー?かぼちゃジュース?」

「……要りません」

「一緒に飲んで欲しいのよ。飲みなさい」

「それじゃあ…紅茶を」

「わかったわ……どうぞ。冷めないうちに飲んでね」

「ありがとう、ございます」

「いいのよ。…あなた、集団自習教室の代表でしょう?色々疲れてるんじゃないかと思って、おしゃべりでもどうかと思ったのよ」

「……そうですか」

「ええ。…あら、飲んでいないじゃない!お砂糖でも欲しいの?」

「いいえ。…頂きます」

「ええ。それでいいわ」

「……」

「さて、ミスター・ポッター。…シリウス・ブラックは何処にいるの?」

「先生。僕、知りません」

「あらそう?ほら、もっと飲んで飲んで」

「……」

「シリウス・ブラックが暖炉を使っていたことは分かっているわ。その相手があなただったことも。わたくしには魔法省の後ろ盾があるの。だから、学校を出入りする通信網は、全て筒抜けなのよ。…ミスター・ポッター。答えなさい。シリウス・ブラックはどこ?」

「僕、知りません。どうして先生が僕が知っていると思っているのか、わかりません」

「……あら、やっぱり飲んだふりをしてたのね。駄目じゃないの」

「……」

「仕方ないわね。…わたくしには、実績が必要なのよ。大きな成果があれば、大臣もその過程の小さなシミには目を瞑るはずよ。…だから、これは仕方ないの」

「先生、何を―」

「エクスペリアームス!…さあ、ポッター。最後にもう一度だけ聞くわ。シリウス・ブラックは何処にいるの?」

「……僕は、何も知りません」

「そう。…強情なのね。だから、無理やりにでも、飲ませるしかないわ。…インペリ―」

 

「あら、気になって来てみれば…ずいぶんと、楽しそうなことをしていらっしゃいますわね?アンブリッジ先生」

 

 

 

 

 

●ある日の一幕 その2(ハリー、ドラコ、アンブリッジ)

「ミス・マルフォイ。あなたに入室許可を出していないわ」

「あら、失礼致しました。…先生の『許されない』の基準を勘違いしていたようですわ」

「……ええ、酷い思い違いのようね」

「それでは、思い違いついでに…こちらの書面の解釈について、伺おうかしら。吸魂鬼への指示書に、『ハリー・ポッターを追え』と書かれておりますわ」

「そ…そんな書類、デタラメよっ!」

「あら、そう?ちゃんと、『本人』たちの証言のうえで、作成した贋作なのだけれど?」

「は…?本人?」

「ええ。本人よ。現場に居た吸魂鬼本人。…わたくしのお父様がどのような『立場』だったかご存じないのかしら?…ああ、魔法省は『嘘』と断定する立場だったわね」

「……まさか。そんな……そんな馬鹿なことが!?わたくしは大臣の為にやったというのに、ルシウス・マルフォイは大臣を裏切ったと言うの!?」

「へえ。…それは、認めたと考えてよろしいかしら?あなたが、ハリー・ポッターに吸魂鬼を差し向けた、と」

「……は?」

「嘘よ。この書類も、吸魂鬼の証言もね。お父様からも何も聞いていないわ。…聞いたのは、今のあなたの自白だけ」

「……ふん。だから、どうしたと言うの?上級次官のわたくしと、単なる小娘のあなた。どちらの発言に信ぴょう性があるか、明白だわ」

「ええ。そうね。…わたくしが、その程度の事を理解せずに来たと思っているのならば、それで良いわ」

「……何、を?」

「だから、選びなさい。今ここで。小娘の戯言として聞き流して、今の地位を失うか。今の地位を維持したまま、わたくしの奴隷として生きるか」

「馬鹿な、小娘が…馬鹿なことを…」

「あら、わたくしはどちらでも良いのよ?ただ、手荒な真似はお勧めしないわ。…まもなく、真実薬を盗んだ犯人を探して、スネイプ先生がいらっしゃるもの」

「……この、小娘が」

「ええ、そうよ。そしてあなたは、その小娘にいいようにされる程度の器でしかなかったのよ」

「……従うわ」

「そう。窓際に居るコガネムシが残念がっているでしょうね。スネイプ先生には上手い事言っておいてあげる。書類も、あとでフクロウで送るわ。杖も、返してもらうわね。…では、行きましょうか。ハリー」

「え?う、うん…」

「それでは先生、ごきげんよう」

 

 

 

 

 

●ある日の一幕 その3(ハリー、ドラコ)

 

 

「えっと…ドラコ。ありがとう」

「ええ。どういたしまして。…杖を取られるだなんて、油断しすぎよ」

「…ごめん」

「良いわ。丁度いい人材が手に入ったもの」

「……知ってたの?あいつが吸魂鬼をけしかけた犯人だって」

「いいえ。せいぜい犯人候補止まり、完全にはったりだったわ」

「……凄いことするね。違ったらどうするのさ?」

「その時はあなたに真実薬を盛った事と、許されざる呪文を使おうとした事で追い詰める予定だったわ。どこかのコガネムシが最初から見ていたもの」

「アンブリッジを見張らせていたの?」

「違うわ。見張らせていたのはあなたよ」

「……僕を監視っ!?」

「お馬鹿っ…アンブリッジについて行った時に付けたのよ」

「あっ、そうなんだ…」

「あの権力欲に取りつかれた女が、何もせずに終わるだなんて思ってなかったもの。あなたが、あそこまで良いようにされるとは思ってなかったけど」

「うっ…いや、真実薬には気づいてたよ」

「当たり前よ、お馬鹿。…あら、ハリー。あなた唇が乾燥しているんじゃない?」

「え?そうかな」

「ええ…唇を舐めたわね?」

「?…うん」

「わたくしのこと、好き?」

「ええっ!?急に何を言ってるんだい!?」

「あら、残念。真実薬が残ってると思ったのだけど…さて、そろそろ失礼するわ。スネイプ先生を止めに行く約束だもの」

「え?ああ、うん。…ばいばい」

 

 

 

 

 

●魔法史の試験後(ハリー、ドラコ)

 

 

「ドラコ!ドラコ!!」

「…ハリー?どうしたのよ」

「一緒に校長室に来て!…あいつが、仕掛けてきたっ!!」

「…わかったわ。歩きながら、説明してちょうだい」

「……そう。スナッフルズがね」

「うん。両面鏡は持ってきたけど、まだ確認はしてない。どちらにしても、だ。きっと今、奴らは神秘部に居る。本当ならシリウスを助けに行かなきゃいけないし、罠なら、逆に奴らを一網打尽に出来るかもしれない!」

「……ええ、そうね」

 

 

 

 

 

●校長室にて(ハリー、ドラコ、ダンブルドア)

 

 

「―そうか。では、ハリー。両面鏡は?」

「繋がりました。シリウスは、捕まっていません」

「それは朗報じゃ。…それならば、こちらは何もせず静観するという手を打てる。しかし、君は打って出るべきだと考えているのじゃな?」

「はい、先生。クリスマスに、クラウチさんのお見舞いに行った時、同じ部屋にボードという人が居ました。お見舞いに見せかけた悪魔の罠で、殺されるところでした。…僕は、この人を知っています。今年の初めに裁判所に行ったときに会いました。…アーサーおじさんから、神秘部の人だと、聞いています」

「…ふむ。続けなさい」

「ヴォルデモートの欲しいなにかが、神秘部にあるはずです。だから、ボードさんを利用しようとしたり、僕をおびき寄せて、なにかをさせようとしているんじゃないですか?…そしてその何かについて、騎士団は既に情報を持っていると、スネイプ先生が言っていました」

「慧眼じゃ、ハリー。しかし、それと打って出ることと、どのような関係がある?」

「守っているだけじゃ、犠牲が増えるだけだ!罠に掛けたと向こうが油断してる今こそ、犠牲なしで勝つチャンスなんです!」

「なるほどの。…一理ある」

「……ハリー。闇の帝王が求めているのは、『予言』よ」

「予言?」

「そう。神秘部に保管されているの。その保管棚から予言を手に取れるのは、その予言に関わる者だけ。だから、闇の帝王はあなたを利用して、予言を手に入れようとしているの」

「……どうして、君がそんなことを?」

「あら、決まっているわ。…騎士団に、その情報を流したのはマルフォイ家だもの」

「…ええっ!?」

 

 

 

 

 

●校長室にて その2(ハリー、ドラコ、ダンブルドア)

 

 

「ハリー。闇の帝王は、あなたを神秘部に誘導して、予言を手に取らせようとしているわ。逆を言えば、あなたが予言を手に取るまでは一切手を出してこないはずよ」

「そっか。それなら、やろうと思えば魔法道具を使ってトラップも作れるね」

「ええ。双子のウィーズリーズなら、良い道具をもっているのではないかしら?あなたが短慮を起こして大人に頼らずにやって来たと錯覚させることもできるはずよ」

「うん。あとは、ロンとハーマイオニーも呼ぼう。君は、絶対についてきたら駄目だ」

「……ええ、元からそのつもりよ。透明になれる大人の魔法使いも何人か同行して、それ以外は先に魔法省へ入って近くで待機するのが安全ね。…アーサーおじさまに用事で来たという体が良いのではないかしら」

「うん。…でも、僕らの移動はどうしよう?」

「あら、それこそ大人に任せるべきところよ。…まず、明確にすべきは『目的』よ。『蛇の流儀』を思い出しなさい」

「うん。…でも、目的ってヴォルデモートの討伐じゃないの?」

「いくら罠に掛けて奇襲できるとは言っても、それで易々と倒れてくれるなら、とっくに誰かが倒しているわよ。必要なのは、向こうの戦力を削って、こちらの戦力を増やすこと。さて…あなたの近くに、死蔵せざるを得ない有効な戦力が、居たわよね?」

「……もしかして、シリウス?」

「そう。場所は魔法省の地下。そこに闇の帝王が現れて目撃してしまえば、魔法省も闇の帝王の復活を認めざるを得ないはずよ。そうなれば、あなたやクラウチ氏の証言の正当性が認められるわ。結果、あなたのおじさまの冤罪は晴れるし、魔法省も味方につけることが出来る」

「そっか。つまり、この奇襲の目的は、ヴォルデモートをおびき寄せること?…大丈夫かな?」

「ダンブルドアと騎士団、それに魔法省には闇祓いもいるわ。闇の帝王でも、一気にそれらを相手には出来ないと判断するはずよ。だから問題は、おびき寄せる方法よ」

「……怒らせるとか?いっそ、『予言』って壊しちゃ駄目なのかな?」

「良い手段だと思うわ。…いかがかしら、ダンブルドア先生?」

「うむ。大人の魔法使いにも劣らぬ、非常に良き作戦じゃ。…ドラコ。本当に、これで良いのかの?」

「ええ、もちろん。…わたくし自身が、立案したことだもの」

「そうか…ならば、良い。わしの方から、騎士団へ連絡をする。君たちは、必要な仲間と、準備を進めるのじゃ」

「はい、先生!」

 

 

 

 

 

●ことの終わり(ハリー、ドラコ)

「おかえりなさい、ハリー。…無事に、終わったのね」

「うん。…みんな無傷とはいかなかったけど、大勢の『死喰い人』が捕まったよ」

「そう。……お母さまから、フクロウが届いているわ。魔法省が闇の帝王の復活を正式に認めたそうよ。クラウチ氏も、聖マンゴから、職場復帰したって。…あなたのおじさまの冤罪も、晴れるわね」

「うん。作戦大成功だ!全部、君のおかげだよ」

「……ええ。そうね」

「どうしたんだい?いつものキレが無いよ?」

「……ねえ、ハリー。今年は、楽しかった?」

「え?…うん。なんか、初めて…学生らしい1年だった気がする。最後は、いつも通りだったけど」

「そう。…わたくしも、楽しかったわ」

「……ドラコ?」

「一緒に嫌な先生と戦って、自習教室をそれぞれに、相談しながら主導して。一緒にクリスマスを過ごして…デートをして。本当に、満ち足りた1年だったの」

「いったい、どうしたんだい?」

「……お別れよ、ハリー」

「は?いきなり、何を―」

「この神秘部での出来事まで、闇の帝王の復活を知っていたのは闇の陣営と、ハリー…あなただけだった」

「…うん。だから、ダンブルドアが情報操作をして、ヴォルデモートを油断させたって…」

「そうよ。その情報操作を実際に行ったのは、お父様なのよ。『ダンブルドアは闇の帝王の復活に半信半疑だ。故に思い切った行動に出られない。ハリー・ポッターが余計な真似をしない様に、我が娘を監視に置いてある』。そう伝えることで、この束の間の均衡と、わたくしの身の安全を守っていたの」

「……君の、身の安全?」

「……ええ。闇の帝王はわたくしの身柄を欲しているわ。事情はわからないわ。お父様の忠誠を試しているのか。なんらかの触媒か。…あるいは、純血の母体として」

「ぼ、母体!?」

「お父様が作ってくれた情報の鳥籠は、先日の戦いで壊れてしまった。…わたくしが行かなければ、お父様の立場が危うくなるの。だから、お別れなのよ、ハリー」

「そんな…」

「どうか忘れないで。所属が違っても、わたくしの身体がどうなっても…わたくしは、あなたの味方よ。心だけはあなたの傍にある。今までと、何も変わらないわ」

「どうして、今更そんなこと…」

「今だからこそ、よ。…愛しているわ、ハリー。あなたの往く長く険しい道のりを、滅ぼしてしまえるような魔法を本気で求めていたわ。けれど、わたくしがあげられたのは、この1年の平穏だけだった」

「……」

「さようなら、ハリー。…わたくしの、希望」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハリー?」

「嫌だ」

「ハリー…手を、離して」

「嫌だ。君を、ヴォルデモートなんかにくれてやるもんか」

「ハリー!…分かるでしょう?仕方ないのよ」

「知らないね!…ヴォルデモートにくれてやるくらいなら、僕が貰う!!」

「……えっと、ハリー?」

「ギリギリ迄僕の監視を続けていた君は、ようやく終わる任務に油断したんだ。その油断から任務がバレて、そのままハリー・ポッターに誘拐された!」

「……何を言っているの?」

「何って、今後の筋書きだよ。要はヴォルデモートを納得させる筋書きがあれば良いんだろう?君は、僕に誘拐された。だからヴォルデモートに献上できない」

「誘拐って…死喰い人の襲撃に遭うわよ!?」

「ダーズリー家は血の護りで襲えない。下手な待ち伏せは逆効果だって今回の件で思い知らせたし、何よりそんな戦力は残っていないはずだ。バーノンおじさんには…全力で、頭を下げるよ」

「……肝心の、誘拐はどうしますの?魔法を使えば今度こそ裁判で有罪ですわよ」

「フレッドとジョージに協力してもらう。…あと、セドリックにも頼んでみる。みんな成人しているから魔法の制限を受けないし、あとはホームにシリウスに来て貰えば見せかけの戦力は十分だ」

「……そう。それなら……最後の問題点はどうするつもり?」

「最後の問題点?」

「ええ。……わたくし、まだあなたから何も言って貰っていないのだけど?」

「……」

「……ねえ、ハリー?」

「えっと…あー、その。冷静になると…ちょっと、恥ずかしいね」

「……意気地なし」

「ごめん」




お読みいただきありがとうございました。
後書きです。
なぜか今回は非常に難産でした。
それでは、解説していきます。

●本話における原作との乖離点(本編記載内容省略)
・アンブリッジの原作での悪行全削除。伴ってトレローニーが教師継続。フィレンツェが群れを追放されない。ハリー・フレッド・ジョージがクィディッチ続行。ジニーがクィディッチ不参加。etc...とても平和になりました。
・ハーマイオニーがクリスマス休暇にスキーを満喫
・ボード生存。ストラウト癒者継続。
・ハリー達がグロウプの存在を知らないまま。
・強権が振るえないアンブリッジがスネイプの研究室から真実薬を盗み出す
・シリウスお留守番により生存。
・ドラコ、ダーズリー家へ居候へ。

●アンブリッジについて
下巻の終盤で許されざる呪文の行使に出たことで、当初のプロットから変更。
何もせずフェードアウトしてもらう予定でしたが、手柄を求めてシリウス捕縛へと乗り出しました。
その結果、その権力欲が仇となり、ドラコの「奴隷」に堕ちることに。
経緯は悲惨ですが、うちのマルフォイ家は「猿を煽てて木を登らせる」タイプなので、たぶんそれなりに自己肯定感を満たしつつ働くのではないでしょうか。
真実薬について、教師が生徒に対して使用することを禁じていますので、本作では「ただの教師」に過ぎないアンブリッジに、スネイプは真実薬の提供を拒否できてしまいます。
よって、まさかの窃盗に走ることになりました。原作でも、必要ならやりかねないと思っています。

●マルフォイ家
かなり露骨でしたが、当然のようにスパイです。
物語がハリー視点の為、今後本編で語ることがなさそうなので、ここで語ります。
秘密の部屋の最後で、ルシウスとダンブルドアは2つの決め事をしました。
「ルシウスはダンブルドアのスパイとなること」これ自体が忠誠の魔法により、ルシウス自身が秘密の守り人になりました。
その上で、「ダンブルドアがルシウスが裏切ったと判断した時、闇の呪物をルシウスが扱っていた事実を公表する」という脅迫を行いました。
これにより、ヴォルデモートからはルシウスの怪しい感情が、「ダンブルドアに脅されていることによる躊躇い」に見えます。
炎のゴブレットにおいても、ハリーを助けるような行動は「娘を助けられたことによる情」と「ダンブルドアとの契約による躊躇い」とみなされました。
明確に危険なやり取りはすべて、閉心術師であるナルシッサに任せており、その一種の「ヴォルデモートに対するうしろめたさ」に対するカモフラージュとして働いていました。
一方で、ドラコからもたらされる情報も一度ナルシッサのフィルターを通したうえでルシウスへと伝えられ、「ドラコがハリーを監視して向こうの情報を盗み取っている」という「嘘ではない」状況を作り上げました。
炎のゴブレットではドラコからもたらされるハリーとヴォルデモートの繋がりによる情報を元に、他の死喰い人よりも早く駆け付けることに成功した為、信頼を得ました。
リドルの日記についても、原作のように政争の為の道具として扱った訳ではなく、結果的にはマルフォイ家が開いたことでお咎めは少なめ。ただし、失敗しているために娘の献上を求められています。
ドラコはその状況を伝えられずとも察しては居たので、ヴォルデモートに捧げられた時用に閉心術が必要だったのです。
感情と記憶を見通すならば、それらでは見通せない形で裏切ればよいという『蛇の流儀』です。
クリスマス休暇中には突如クリーチャーが訪ねてきて驚くも、事情を明かさず原作と同じムーブをします…が、「ハリー・ポッターにとって一番大事な人」を聞いてポーカーフェイスを保てたかどうかは不明。
終盤は泣く泣く娘を闇の帝王に捧げる覚悟を決めていたら娘が攫われてどっきり&にっこり。
ナルシッサさんは特に大歓喜で、たぶんフレッド&ジョージに脅されながらウィンクで意思疎通してます。

●シリウスについて
親心に目覚め、モリーに似てきたと騎士団員全員から言われています。
当のモリーとは意気投合中。
神秘部の作戦は、そもそも罠にかかったふりをしなければならない為、お留守番でした。
スネイプは嫌いだけど息子が世話にはなってるし…という思考から、態度が若干軟化。
スネイプ側は思考が追い付かずフリーズする為、この2人が一緒に居ても平和?になりました。

●ジニーについて
本話のコミカル犠牲者担当です。
一番近しい相手なのは分かりますが、どう考えても恋愛相談の相手としてハーマイオニーは間違ってるだろ!?としか思えませんでしたので、ドラコに突っ込んでもらいました。
クリスマス休暇でのヒロインムーブを完全に奪われた挙句、ネビル、ルーナと共に終盤の出番が全カットされました。
終盤のネビル頼もしすぎて滅茶苦茶好きなのでどっかで活躍させられないかなあ…?

●ドラコについて
この1年でお別れするつもりで過ごしていました。
『ハリーに平穏な1年をプレゼントする』ことを目的にしていましたが、ヴォルデモートの夢による干渉の前に敗北。
それでも、目一杯ハリーと楽しい思い出を作るために頑張っていました。
その末に、まさかの自分が伝授した『蛇の流儀』に予定を崩され、あれよあれよと気付いた時にはダーズリー家です。
次回、謎のプリンス ~同棲編~ からスタートです。

後書きは以上です。
続きは謎のプリンスの前半を読み終えてからになるかと思います。
なお、今回は下部におまけがございます。
『IF.ハリーが「嫌だ」と言えなかった未来』です。
これを書いたが為に「R-15」と「残酷な描写」を追加いたしました。
読まなくても今後の展開には一切支障はございません。
ご興味のある方のみ、覚悟のうえでお読みください。

また、感想を頂きまして、ありがとうございます。
執筆の励みになっております。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
おまけはこの下です




























IF.ハリーが「嫌だ」と言えなかったホグワーツ決戦数年後

「ああ、ハリー。…久しぶりだ」
「シリウス。久しぶり。…怪我は、もう良いの?」
「おいおい、どれだけ経ったと…いや、それだけ長い間会っていなかったのか。君はずっと働き詰めだったそうじゃないか…ちゃんと、休んでいるかい?」
「大丈夫だよ。みんな、助けてくれる。…まだまだ、やらなきゃいけないこともたくさんあるんだから、休んでいられないよ」
「そうか。…そうだ、ハリー。君に会ったら、聞きたいことがあったんだ。…えっと、どこにしまったかな…?」
「ん?どうかしたの?」
「えっと…ああ、見つけた。ハリー。この指輪に見覚えがあるかね?」
「これはっ…僕が、ドラコに渡した……指輪、だ」
「……間違い、ないのか?」
「裏に『H to D』って……ドラコは、ドラコは…どこにいるの?」

「……残念だが、母子共に亡くなっていた」

「……っ」
「酷い状態だった。君は見ない方が良い。…死後、どれほど経っているのかすら、わからない。強く、この指輪を握りしめたまま、亡くなっていた。…君のおかげで、身元がわかった。それだけでも幸運だ」
「あ…あっ……」
「ハリー!おい、ハリー!!!しっかりしろ!気を確かにもつんだ!!」
「あの時っ…僕が引き止めていれば…っ!」

「わかっていたはずじゃないかっ!こうなるって事くらい!!」

『しかし、それは娘だけだろう?ルシウス・マルフォイに命じられた時、その子はどちらの味方をするんだ?』

「ドラコはっ……自分を捨てて、両方を選ぶことを……僕は知っていたはずだっ」

『忘れないで、ハリー。…目的の明確化と、自分に取れる手段の模索。それが、スリザリンのやり方よ。それを怠った先に、望んだ未来などあり得ないわ』

「考えればっ、わかったはずだ!…僕は…っ」

『愛しているわ、ハリー』

「どんな手を使っても、君を引き止めなきゃいけなかったんだっ…!!」

『ハリー・ポッター!わたくしは、あなたがその目をすることだけは許すつもりがないの』

「ほら……もう、君が居ないから……」

『さようなら、ハリー。…わたくしの、希望』

「あは、は……初めまして、僕の、絶望」
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