七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。 作:ろやる
【お知らせ】
最後に第十一話のアンケートを追加しました。
気になる方は、投票をお願いします。
10月15日追記
投稿が終わったため、当アンケートは削除しました。
投票いただきありがとうございました。
Q.未定ってなに?
A.よくわかんない。気づいたら出来てた。
過去一の長さです
※ アンケートに投票いただきありがとうございました。
予想以上に3.が多くて驚きましたが、励みになります。
時間がある時に頑張って執筆します。
尚、当作品一番のキャラ崩壊は坂柳有栖です(重要)
「おはよう、ゲーマー姫さんよ。また夜更かししてゲームしてたのか?」
七海は、近くで聞こえた声に顔を上げる。
視線を彷徨わせ、声を掛けてきた相手に返答する。
「……おはよう、橋本くん。昨日は2時には寝た…と思うよ?」
「夜更かししてんじゃん」
ケラケラと笑う橋本をよそに七海は眠気を覚ますように目をゴシゴシと軽く擦る。
橋本正義。
入学初日に坂柳と話していた(正確には橋本から勝手に話しかけていた)男女のうち男子が彼である。
当時その場にいたもう1人の女子共々、坂柳から「お願いがあります。損はさせませんよ?」と言われ、自己紹介を後回しにされたクラスメイトが不満の声を漏らすのを抑えるのに一役買っていた。
七海と彼は3日目に坂柳の紹介で知り合った。
金髪の、いかにもチャラチャラとした風貌だがその目は意外にも冷静に、今も現在進行形で七海を観察していた。
ーー初日に職員室からAクラスへ帰ってきた時の七海は疲れて気づいていなかったが、その時も橋本は彼女をよく観察していた。
別に身体つきをジロジロ見ているわけでは無く、七海の顔…瞳の奥をよく見ようとしているのか、今もぽけーっとしている彼女の目をじっと見つめている。
「橋本、キモいわよ。」
「!?ってなんだ、真澄ちゃんじゃん」
「おはよう、神室さん」
「おはよ、七海。それと気安く名前で呼ぶな。チャラ男」
「おいおい、相変わらず手厳しいねぇ神室ちゃんは。」
神室真澄。
入学初日に坂柳と話していた(正確には巻き込まれた)男女のうち女子が彼女である。
坂柳に橋本と共にお願いをされ、「なんで私が…」とぼやきながらも自己紹介が先延ばしになった際、周囲の反感を買いながら女子の反発を睨みを利かせて抑えるのに一役買っていた。
彼女も橋本同様に、七海とは3日目に坂柳の紹介で知り合った。
見た目は紫髪のロングヘアーで、一見するとクール美少女に見える。しかしながらその顔は、どこかダルそうで不良っぽい。
勝気で気だるげな雰囲気をまとっているものの、七海からの朝の挨拶にもしっかりと返しながら、チャラチャラした様子の橋本にも悪態を突きつつも返事をする。
「…チャラ男か。良いね、私も今度からそう呼ぼうかな?」
「ちょおい!?ゲーマー姫さんにそう言われるのは地味に傷つくからやめてくれ!」
「…え〜。じゃあそのゲーマー姫呼びをやめてくれたら、橋本くんのままでいいよ」
「…うーん、困った。それを言われるとなあ」
「普通に七海呼びにすれば良いんじゃないの?なんで言いにくい名前で呼んでんのよ。」
「いやあ、姫さんと区別をつけるためにだな…」
「大体その"姫さん"って言うのもどうなの?坂柳は何も言ってないから私ももう気にしてないけど」
「まあ、色々とあるんだよ。色々とな」
「何それ。アホくさ」
「…アホくさ」
「うっ…神室ちゃんはともかく、ゲーマー姫さんに言われるのは効く…」
「「なんで?」」
そんなふうに談笑している3人の元へ、また1人やってくる。
「おはよう。七海、神室、橋本」
「お、葛城くん。おはよー」
「はよ。葛城」
「おーおはよう、葛城」
葛城康平。
入学初日に七海をアシストしたスキンヘッドの男である。(本人は当然そんなつもりは無かったが、七海からの評価は高い。)
その容姿は高校生とは思えない風貌をしている。スキンヘッドになっているのは全頭無頭症により、若くして頭髪を失っているからである。
七海と彼は、4日目にカラオケボックスにて初めて直接話をした。
何故そんな場所でなのかは、部屋に監視カメラもなく他人が勝手に出入りしたりしない場所である必要があったから。
そんな場所で一体何を話したのかは、後半明らかになる。
「何の話をしていたんだ?」
「橋本くんはチャラ男だって話」
「ちょいちょい、ゲーマー姫さーん?」
「…?橋本の容姿の話か?」
「いや、そうなんだけどよ…そうじゃないって言うか…」
「…??神室、どういうことだ?」
「ごめん、私に聞かないで。私にもよくわかんないのよ(そもそも橋本が変なあだ名で呼ばなきゃいいのよ)」
「…???七海?」
「…?なに、葛城くん」
「いや……橋本はチャラ男というのは…」
「うん?…橋本くんはチャラ男だよ?」
「…すまない、チャラ男。説明を頼む」
「ぅおい!葛城もかよ!」
「…?……ハッ!!すまない、橋本。間違え……"も"?」
声はそこまで大きいわけではないが、七海の周りがワイワイガヤガヤと賑やかになる。
そこへーー
コツ…コツ…
杖をつく音が近くまで聞こえてくると、その場の4人とも会話を止め、音の主へと顔を向ける。
「あら?皆さんお揃いのようで…今日は私が最後でしたか。おはようございます、皆さん」
「おはよう、有栖ちゃん」
「おはよう、姫さん」
「はあ…おはよう、坂柳」
「坂柳か、おはよう」
こうして、特に各々友達と話したり色々な用事がなければ朝に5人揃って話をするのが基本となって3日が経っていた。
こうなったのには訳がある。
話は同じく3日前に遡るーー
ーー
「クラスのリーダーは、姫さんお二人だろ?」
「それは違うよ?」
「…?なら、姫さんのどっちかか?」
「それ"も"違うよ?」
「は?」
「葛城くんも含めた3人で、リーダーだよ。」
「……は?」
時は七海が橋本や神室と知り合った翌日…入学4日後のことである。
入学してから今日に至るまで、葛城はある一つの事について考えていた。
そして、つい今し方一つの結論を出した。
(このクラスは、七海と坂柳が引っ張っていくだろう)
それが、葛城の出した結論であった。
そう、葛城が考えていたのはクラスのリーダーのことだ。
最も、それは初日の件からクラス中の誰もがずっと思っていた。
これから先、他クラスと競い合う中でリーダーの存在は必須であり、皆は自然とその座に七海と坂柳が座るのだろうと思い込んでいる。
2人が引っ張っていくのは別に構わない。坂柳はほんの少し危ういところがあるが、それは彼女と仲の良さげな、それでいて(キレると怖いが基本は)温厚な様子で話をしている七海が抑えることで上手く機能するだろうと。
そう結論付けた後、己に出来ることは何だろうかと考えた葛城は、前日の部活動説明会をきっかけに、中学時代の経験も活かして生徒会に入ろうと考えていた。
(生徒会長の件の演説を聞くに厳しい世界だとは思うが…生徒会に入ることが出来れば、何かしらの形で七海や坂柳を助ける事ができる時もあるだろう。…そういえば、あの時の生徒会長はどこか落ち込んでしていたような…)
葛城は知る由も無いが、七海は現生徒会長のお気に入りのようになっていた。
部活動説明会に来ていたら、希望は薄いが帰り際に勧誘をしてみるか、たとえ無理でも生徒会書紀も含めて3人で夕食でも食べに行く提案でもしてみようかと思っていた。
ーーちなみにちょうどその時七海は放課後の部活動説明会には行かず、坂柳に誘われる形で少し高級そうな喫茶店の個室に行き、橋本と神室という2人の生徒を紹介されていた。
生徒会長にとってみれば、なんとも悲しきすれ違いであったーー
閑話休題
(っと、いかんいかん。余計な事を考えてしまった。思い立ったが吉日…今日か明日にでも真嶋先生に申請をーー)
と考えていたその日の朝に、教室につくなり声を掛けられる。
「葛城くん、おはようございます」
聞こえてきた声に顔を向けると、そこにはまだ誰もいない中1人で待っていたのか坂柳がいた。
「坂柳か、何のようだ?」
「人に物をお尋ねになる前に、まずはご挨拶をなされては?」
「む……確かに。すまない、礼を欠いた行いだった。おはよう、坂柳」
「はい、おはようございます、葛城くん」
そう言って彼女はクスクスと口に手を当ていつものように笑う。
「…気は済んだか?それなら「葛城くん、今日の放課後は予定は開いておりますか?」…なにっ?」
まだあまり話したことのない相手からの急な誘いに、葛城は戸惑う。
また、さっきと同じように揶揄っているのかとその顔を見れば、口元こそ笑みを浮かべているがその紫色の瞳は真剣な色を帯びているのを見て、開きかけた口を閉じる。
最早クラスのリーダーとして立つのは間違いのない少女の1人から、己への誘い。
「どうでしょう?互いにとって悪くない…いえ、寧ろとても良い話が出来ると思うのですが…」
間違っても色恋沙汰でないのは、彼女の理知的な眼差しを見ればわかる。
しばし頭の中でどうするか考えを纏め、問いかけに対して葛城は…
(…はあ。仕方ない、生徒会は明日に延期だな…)
「…判った、話に付き合おう。」
そう、頷きながら葛城は言葉を残し、「ありがとうございます。よろしくお願いしますね?」と先程より少し笑みを深くしながらも、感謝の言葉を口にした彼女とのコミュニケーションはそこで一旦、区切りとなった。
一体全体、何の話なのか…葛城は想像が全くつかないまま、舞台は放課後…監視カメラもなく、基本的に他人が出入りすることはないカラオケボックスに移り、その場には坂柳と葛城の他に、七海と橋本と神室の合計5人がいた。
発起人の坂柳や、おそらく彼女から話を聞いているのだろう落ち着いている七海とは反対に、他の3人は放課後の予定の有無のみを聞かれ、各々特に予定はないため集まったようで何の話が行われるのか知らないらしい。
若干困惑しつつも、互いに挨拶や自己紹介を一通り終わった所で、七海が議論の開始を告げる。
議論の内容は、クラスを率いていく者ーー"リーダーをどうするのか" である。
「クラスのリーダーは、"姫さんお二人"だろ?」
「それは違うよ?」
「…?なら、姫さんの"どっちか"か?」
「それ"も"違うよ?」
「は?」
橋本は最初、理解できなかった。
それは2人の会話を聞いていた神室と葛城も同じくである。
「どういうこと?"坂柳でも七海でもない"って」
「俺も同じ意見だ。…てっきり"2人で引っ張っていく"のか、"片方をリーダーに、もう片方をサブリーダーに"でもするのかと思っていたんだが」
「クラスを纏めるのは有栖ちゃん1人でも私1人でもないし、2人でリーダーをするのも違うよ?」
ーーもし七海がいなければ、そもそもリーダーは坂柳と葛城に二分され、暫く泥沼の派閥争いが繰り広げられていただろう。
が、この世界線では七海が居る。
詰まるところ、
それを知る者はこの場には、この世界には存在しないため彼女達が知ることもないのだが…
ーークスクス
七海達のやりとりを傍観していた坂柳が思わずと言った具合に声を漏らす。その口元は、笑っていた。
「やはり、"皆さん勘違いされて"いらっしゃるようですね、千秋さん」
「だね、有栖ちゃん」
「おいおい、2人の世界に行かないできちんと説明してくれって。」
3人の気持ちを代弁するように橋本が内心困惑しながら七海と坂柳に先の議論の解答を求める。
「もう良いでしょう、千秋さん。このままでは3人とも答えには辿り着きそうにありません」
「そうだね…それでは、発表しまーす。答えは…」
七海は葛城の方を見て、
「"葛城くんも含めた3人"で、リーダーだよ。」
と、正解の
「……は?」
葛城はいつもの仏頂面が嘘かのようにポカンと口を開け、固まる。
「橋本くんと神室さんには、"私達3人の補佐"をお願いしますね?」
「へぇ」「は?何?補佐?」
続く坂柳の
「正確には、表向きのリーダー及び男子と女子それぞれに指示を出す役割と、作戦の立案・検討を私と葛城くんの2人で担当します。千秋さんは裏のリーダーとして
「うん。あとは…主にこの先起こるクラス対抗の裏技や裏道を考えて、2人に提案する担当かな。勿論神室さんと橋本くんの2人も思いついた事や考えついた事があれば、提案してもらってほしい、と思ってる。有栖ちゃんはわかってるけど、葛城くんもどんどん提案してね。…あと有栖ちゃん、やっぱり裁判長は荷が重いといいますか…せめて委員長くらい、と言うか決定権じゃなくて優先権くらいで私は良い、と思うんだけど…」
「はて?決定権も優先権も大差は無いと思いますが…それに千秋さんの役割的には裁判長の方が近いと思ったのですが…いえ、そうですね。そもそも我々は学生ですからね。遊び心も含めて、それらしく倣う形で行きましょうか。それでは千秋さんは裁判長ではなく、委員長ということで。千秋さんがそこまでおっしゃられるのであれば、決定権も優先権にしましょうか。それでよろしいですか?」
「それなら……うん、わかった。私、やってみる。……よろしくね、有栖ちゃん」
「はい。よろしくお願いいたします。」
「「ちょっと待て!!!」」「ちょいちょい、ストップストーップ」
「どうされましたか?皆さん」「どうかした?みんな」
一体どうしたのだろうと七海と坂柳は顔を見合わせる。
一方で葛城達3人は、急に目の前でさも当然かのように繰り広げられた言葉の応酬に目を回す。内1人はそこまで混乱してはいないようだが。
「俺もリーダー?は?どういうことだ?」
「えーっと?んーと?補佐なのは別にいいけどよ…思いついたこと?提案?えっ俺が?」
「ちょ、ちょっと。2人で勝手に決めないで。進めないで。そこのチャラ男はともかく…私もそうだけど葛城も混乱してるわよ。」
「ちょっと真澄ちゃん?これでも驚いてんだけど?あとチャラ男じゃなくて橋本」
「うっさい。名前で呼ぶな。ちゃん付けすんな」
「2人とも落ち着け。七海、坂柳。どういう事か、詳しく説明してくれ。このままでは収拾がつかん」
完全に寝耳に水だったため、無理もない。
3人とも、初日のやり取りからこのクラスを率いていくのは七海と坂柳か、あっても一方をメイン、もう一方をサブで…と思っていたのだ。
「ふむ…そうですね。千秋さん、私がご説明してもよろしいですか?」
「…うん、お願い。」
「まず、私達2人でクラスを治める場合、確かにクラスは一挙に纏まり、言うことも聞いてくれるでしょう。特にクラスの皆さんは千秋さんに頭が上がらないようですし…ね?」
「それならば、なぜ俺など…」
「勿論、理由ならありますよ」
坂柳はいつの間にか携帯ゲーム機を持って何かのゲームを始めている彼女を見てクスッと笑った後、視線を目の前の3人に戻し、口にする。
「2人よりも3人のほうが、メリットが大きいのです。」
「メリット…?」
「2人だと、どっちも間違えちゃったらおしまいだもん。
それに、意見が割れた時に2人だけだと纏まらないから。
3人いれば、話し合って議論の結論が出なかったとしても最終的に多数決で決められるし、今ここにいる橋本くんと神室さんに参加してもらうのもいいんじゃないかな。
有栖ちゃんが選んだってことは、2人ともそういうの悪くない…と思うし…。
あとは…2人だけだったら気づけない落とし穴に嵌ってしまうことも、3人…いや、5人もいれば誰かは気付きやすくなるし…」
「あの、千秋さん?私がご説明すると先ほど…」
「…3人の私への視線が物凄いから。ちゃんと話は聞いてるよって言うのと、ゲームしながらでも問題ないってことの証明かな」
「…言いたいことはわかった。七海の
葛城の言葉に被せるようにして「私が葛城くんを3人目のリーダーに選んだ一番の理由だけど…」と続けて、クリアしたのか流れるエンディングロールをバックに七海は言葉をぶつける。
「私がクラス間の競争に気づけたのは"葛城くんと有栖ちゃん、2人のおかげ"なんだよ?
私も含めた3人のうち1人でも欠けたら辿り着けなかった…と思うんだ。
だから、葛城くんにもクラスを引っ張るのを一緒にしてほしいなって…だめ?」
七海が小首を傾げ、そう問いかけると葛城は目を見開いた。かと思うと、今度はゆっくりと目を閉じる。その仏頂面の口角は僅かながらに弧を描いているように見える。
それに気づいたのはこの場では七海と坂柳だけだった。
「……駄目、ではない。寧ろ、そう言ってもらえて嬉しく思う。」
「おー」
「だが…」
「?」
歯切れが悪い。葛城は何やら言いづらそうにしていたが、意を決して七海から坂柳に視線を移す。
「七海はそれでいいとして、坂柳はそれで良いのか?」
「それで、とは?」
「いや…俺がいる事で…その、俺と坂柳では、考え方の違いや互いに取りたい方針で真っ向から対立する事も多くなるんじゃないか?初日の様子を見るにどうもそんな気がするのだが…」
声量こそ小さいが、よく響くーーおそらくバリトンボイスと呼ばれる声質ーー葛城の言葉が飛び出す。
(ふむ…初日の質問といい、やはり彼も頭が切れるようですね。)
(おー、葛城くんやっぱりいいね。どことなく主人公っぽい。)
葛城の懸念は、とりあえず黙って話を聞いていた橋本と神室も思っていたことである。
「もしどうしてもお互いに譲れないものがあったなら、どっちかが譲ればいいんだよ。」
「何?だがそれでは「その代わり、次にまた同じようなことがあったら、今度は譲ってもらうようにするんだよ。」!!」
「仮に、譲ってもらった方が失敗しても、次頑張ればいいんだよ。何度でも、何度でも…高校生活は長いんだしさ。ほら…やればなんとかなるってヤツだよ」
元々七海は、前世のゲームの学級裁判を思い出し、これから先のクラス対抗についてみんなで考えようと思っていた。
しかし、相談した坂柳に「その提案がすぐ出るのは千秋さんの長所ではあるのですが…」と前置きした上で、流石にそれだと意見もバラバラで纏まらずに大変なことになると諭され、考えた結果がこうであった。
七海(別人)自身も前世のゲームをよくよく思い返してみれば、学級裁判は多くても15人、そこから議論を推し進め推理を行うのが3〜多くても5人くらいだったと考えると、コロシアイのない、クラス対抗があるとはいえそれ以外は普通の高校生活の範疇ではそんなに話し合いの人数も要らないなと思えたのも大きかった。
2人からの言葉に、3人とも表情こそ変わらないものの、その様子は先ほどまでとは違っていた。
「…なるほどな。坂柳はそれでいいのか?」
「私も、千秋さんと概ね同じですよ。
"船頭多くして船山に登る"とは言いますが、ここにいる頭の回転が速く、言いたい事もしっかり伝わる3人であれば、多少たどり着き方で迷うことはあれど目的地までしっかりと進むことができると思いますよ?沈む事など、私には考えられません。
仮に沈みそうになっても…諦めずに、何度でも立て直せばいいだけです。次はより強固で、頑丈な船に。
…『やればなんとかなる』ですか。ふふっ良い言葉です」
「…そうか。そうだな、判った。その役目、俺でよければ喜んで引き受けよう。これから宜しく頼む、七海、坂柳」
「…うん、私も嬉しいよ。よろしくね葛城くん」
「ええ、私達は貴方を歓迎します。よろしくお願いしますね葛城くん」
こうして無事、葛城を納得させることができた。
これからAクラスは、この3人を中心にまとまってクラス間闘争を続けていく。
が、実際七海(別人)の心の内側は…
(私と有栖ちゃんと葛城くんの3人で、Aクラス版トライアルポイントゲッターズだ!)
などとアホな事を考えていた。台無しである。
ちなみに翌日の放課後に、Aクラスの皆には表向きのリーダーを坂柳と葛城、裏のリーダーとして七海、3人の補佐として橋本と神室がつく事を通達された。
裏のリーダーとなった七海は
(よく考えたら私のポジション、ゲームのラスボス…?)
と内心思った。
Aクラスの皆も言葉は違えど凡そそんな解釈だったため、勘違いは加速した。
尚、橋本は元より自分が補佐に就くのは構わないし納得していた。
神室については、四方からの視線を受け、そのままなし崩し的に了承した。(させられたとも言う)
ーー
「おや、神室さんどうされたのですか?ため息などついて。幸せが逃げますよ?」
「神室さん、大丈夫?」
「いや、あんた達のせい…はあ、もう良いわよ。この関係にもちょっとは慣れたし、暫くしたら退屈はしなさそうだし…悪くはないわよ」
「ヒューヒュー、真澄ちゃんがデレた!」
「ち、違うわよ!橋本あんたちょっと黙ってて!!」
(…悪く無いものだな、こんな日々も)
「葛城くん?どうかした?」
「いや、なんでもない。…七海」
「?」
「ありがとう」
「???」
七海が居る上に坂柳が憧れている以上、こうなるかな…と思いながら書きました。
以下、十話の登場キャラ紹介と軽い次回予告(この小説十話経つのにまだ入学1週間しか経ってないってマジですか?)
七海千秋(別人)
大 体 こ い つ の せ い。(またはおかげ)
やはりラスボスだ間違いない。
クラスを率いていくのに絶対に合計3人は必要だと思った。(トライアルなんちゃらは関係ない。多分。)
葛城を無事説得できて内心ホクホク中(トライアルなんちゃらは())
本文の通りに、実際最初はクラスみんなで頑張ろうと考えていたが坂柳に相談したところ流石に厳しいと思い、それなら…とふと頭の中に思い浮かんだ何か(トライ())を元に、「3人ならいい感じになるんじゃないかな?」と坂柳に諸々説明し「では私と葛城くんは…」と彼女と共により詳細を詰めていった。
満足そうにしている。(わかるのは坂柳くらい)
坂柳有栖
大 体 上 の 人 の せ い。(またはおかげ)
やはり奴が元凶だ間違いない。
満足そうにしている七海を見れて当人もニッコリ。
本文の通り七海からの相談&提案を受け、色々修正した結果こうなった。
表向きのリーダーとなっているものの、余程重要な事以外は大体葛城に任せるつもり。「人手が必要なら橋本くんと神室さんにお願いします。私は(千秋さんと)私で色々と(ゲームに)忙しいので。」
クラス方針に関してもそこまで口出ししないが、Aクラスが負けない程度に提案や助言はする。
本人は5月以降も七海とチェスやらゲームで楽をしながら楽しむ気満々である。
クラスの支配<
橋本正義
クラス内外に友達は作ったが、原作のようにいろんなところに唾をつけることはしなくなった。いやする必要がなくなった。気がついたら補佐になってた。ある意味被害者(多分違う)。
やがてクラスの男子、そして一部の女子を纏めるようになり、リーダー格からの指示を伝えたりする。
神室真澄
原作のような問題行動は起こせない。いや起こさなくなった。気がついたら補佐になってた。ある意味被害者。でもなんだかんだ悪くないなと思っている。
やがてクラスの一部気の強い女子を中心に手綱を握るようになり、リーダー格からの指示を伝えたりする。
葛城康平
原作のような派閥争いは起きていない。いや起こらなくなった。気がついたらリーダーの1人になってた。ある意味被害…いや、一番良い空気を吸ってる。
まずはリーダーとして認められるよう、クラスの皆と打ち解けるところから始めている。(今まで1人でずっと眉間に皺を寄せており誰も寄り付かなかったため。)
そのうち原作のある男子生徒が慕うようになるが七海の影響もあり、盲信はすることなく、どこかのクラスを不良品呼ばわりする行動も起こさない
生徒会については保留とした。(七海のような生徒が生徒会に声を掛けられないはずがない。その七海が生徒会に
やがてクラスに認められ、誰よりも表に出て他クラスと戦っていくようになる。
堀北学
(気がついたら毎話何処かで登場している)当作品の準レギュラー的存在。
七海が部活動説明会に来るか内心ワクワクしていたが来なかったのでしょんぼりした。
が、後日1年Aクラスが3人リーダー体制になっていると聞き吃驚。自分や下の世代とも違うクラスの纏め方をしており且つ上手くまとまっているのをその後の中間テストやらバカンスやらの結果を見て確信し脳を焼かれる。
「お前は孤高でも孤独でも無いのだな、七海…それでこそだ」
「会長、次の体育祭の資料です。ぶつくさ言ってないで業務に集中してください」
「ああ、すまない。今確認する(橘…俺の勘違いじゃなければ少し雰囲気が変わったか…?)」
「…堀北君なんて知りませんっ」
次回、第十一話 ゲーマーと最高傑作
いよいよ、七海が彼と出会います。
七海は彼を見て何を思い、また彼は七海を見て何を感じるのか…(筆者自身何も知りません。何でしょうね(すっとぼけ))
今作で一番重要なお話かつほぼ何も決まってない0から書き始めるので暫く時間をいただきます。
最終回では無いのですが、膨大な文章量の執筆になりそうで戦々恐々としながら、後書きを書いております(今度こそ未定。間違いなく未定です。タイトルしか決まっていません。文章もまだ頭の中でふわっとした単語しか思いついてません)
以下、"本編とは関係ない内容"ですのでスルーして終わって大丈夫です。
『圧倒的な才能があるからって、それに縛られる必要は無い…と思うよ?』
『…すまない。オレの未来は決められているんだ。オレに、自由な未来が訪れることはない』
『それは違うぞ!』
『キミ自身はゲームなんかじゃないんだよ?』
『未来だって創れるはずだよ』
『やればなんとかなるってヤツだよ!』
『私も、私の友達も手伝うからさ…』
『オレは…オレの望む未来は…』
次回、"最終話?"
鋭意執筆中
執筆完了