七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。   作:ろやる

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 よう実、スーダン2共にネタバレ注意です!


 大長編です。
 本編の文字数を確認したら2万5千字越えでした。
 滅茶苦茶長いので休憩を取りつつお読みください。
 七海×よう実作品増えてくださいお願いします。

 本当に、楽しかったです。


第十一話 ゲーマーと最高傑作

「この学校はどうだ、綾小路」

 

「茶柱先生、質問の意図がわかりませんけど…楽しい…んだと思います。ゲーム友達も出来ましたし」

 

「…あいつか」

 

「?」

 

「いや、なんでもない。そうだな、もう一つ…お前はこの先、どうしたい?」

 

「どう、とは?」

 

「すまん、言葉が悪かった。どういう学校生活を送りたい?」

 

「それは…まあ、このまま平穏に、友達と遊びながら、ぼちぼちクラスのためにも頑張れたらとは」

 

「…そうか。わかった。バカンス前の貴重な時間をとって悪かった。この後はその友達と?」

 

「…ええ、もう一人居ますけど、必要なものを買いに。少し待ってもらってます」

 

「わかった。もう下がっていい。…楽(・)し(・)ん(・)で(・)こ(・)い(・)」

 

「?……言(・)わ(・)れ(・)な(・)く(・)て(・)も(・)、楽(・)し(・)ん(・)で(・)き(・)ま(・)す(・)が(・)。失礼しま「すまん、あと1つ」…?なんですか?まだ何か…」

 

「『イカロスの翼』。知っているか?」

 

「ええ、まあ」

 

「ダイダロスの忠告を破ったイカロスは自由を求めた結果、蝋で固めた翼が太陽に焼かれて溶け、墜落する。お前なら、どうする?」

 

 

「…創(・)り(・)ま(・)す(・)よ(・)」

 

 

「翼(道具)を?」

 

 

「未(・)来(・)を(・)」

 

 

「翼(道具)なんか無くても、自由に飛べる…そんな未(・)来(・)を(・)、創(・)り(・)ま(・)す(・)よ(・)」

 

 

「お前1人でか?」

 

 

「いいえ。友達(彼女)と…仲間(未来)と一緒に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。

 

 

 

劇場版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一話

 

 

ゲーマー

 

 

と

 

 

最高傑『ビー!!ビー!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーータイトルにエラーが発生しました。修正します。ーー

 

ーータイトルにエラーが発生しました。修正します。ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。

 

 

最終話

 

 

最高傑作(過去)とゲーマー(未来)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Now loading......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世の中にゲーム好きの人間は、男女問わず(比率は違えど)間違いなく一定数居るだろう。

 2000年代初頭はゲーム脳なんて言葉が流行ったのも今は昔ーー

 

 今の時代は親世代も子供と一緒にパーティーゲームで遊んだり、実際に体を動かしながら遊べ、同時に運動不足を解消できるゲームも少しずつ数を増やしている。

 配信者という、特定の、若しくは複数の配信プラットフォームを通じてゲーム実況をする者も、年々その数を増している。配信者の中には毎日ゲームをしたり、夜通しプレイしたり、時には24時間耐久プレイする者も。ーー"彼女"自身、既にクリア済みゲームの他者の実況プレイでの反応等を見て共感したり、笑ったりしたものである。

 

 しかし、そういうこと(ゲーム実況)を生業にしている者は別として、高校生にもなると常日頃から"彼女"ほどゲームを愛し、毎日ゲームをするくらい没頭しているかと言われると…

 

 

 

「しっかし、本当にゲーマー姫さんはゲーム好きだよなあ」

 

 

 平日の昼下がり、教室にてそう言葉に出したのは橋本正義。

 金髪をオールバックにしたその表情は、呆れ半分、感心半分と言ったところか。

 

 

「まあ、七海が本当にゲームが好きなのはここ1ヶ月でよく分かったわ」

 

 

 橋本の言葉への返答か、あるいは独り言か。

 わずかにため息にも似た息を吐きつつそう溢すのは神室真澄。

 紫髪のロングヘアーを揺らしながら彼女は座っている少女に顔を向ける。

 

 

「そうだな。ここまで来ると、七海はゲームが本体だと言われても納得出来る話だ」

 

 

 神室の独り言に返す訳ではないが、頷きながら彼にしては珍しく、ちょっとしたギャグを挟みながら言葉を発するは葛城康平。

 最近は眉間に皺を寄せる事も減ってきていたが、髪一本ない(スキンヘッドの)その顔は少し困惑しているように見える。

 いや、それは橋本も神室も同じだった。

 

 

 

 

 

「で」

 

「これは」

 

「どういうことなんだ?」

 

 

 そう、3人から顔を向けられた場所に居たのは銀髪をセミロングの長さで揃えている同学年の中でも一回り小柄な少女。坂柳有栖(七海の親友)であった。

 

「あら、どうされたのですか?皆さん一様にそのような表情を浮か「「「なんで((七海は))(こっちの姫さんは)ゲームをしていない時も上機嫌なんだ(なのよ)?」」」あらあら、うふふ」

 

「〜〜〜♪」

 

 

 そう、目の前で淡いピンクがかった薄い色素の少し外ハネした、癖のあるボブカットを揺らしながら楽しそうにしているのが、この物語の主人公ーー七海千秋である。

 

 

 

 

 

 

 彼女はここ最近いつも何処か楽しそうな表情をしている。今日は特に楽しそうである。

 以前もゲームをしている時は楽しそうな表情を浮かべていたが、最近はゲームをしていない時も何処か楽しそうに頬を緩ませ、ゲームのBGMか何かの曲を鼻歌まじりに口ずさむ。

 

 誰がどう見ても、七海は上機嫌であった。

 

 

「いやさ、別に上機嫌なのはいいんだけどよ。あん時(初日)みたいなキレ気味の雰囲気よりも全然良い。ただ、なあ?」

 

「別に嬉しいことがあったならあったでいいのよ。…なんか癒されるし」

 

「聞こえてるぞー、神室ちゃん」

 

「ん゛ん゛っ!!…それで、何があってあんなに楽しそうなの?」

 

「直接ご本人に尋ねられては?」

 

 

 坂柳は頭の上に疑問符が浮かんでいる顔の2人にそう返すも、似たような顔をしている葛城に「いや、何度か本人に聞いてみたのだが…」とさらに言葉を返される。

 

「だが…?」

 

「何度聞いても、あの様子でな」

 

 

「〜〜♪〜〜〜〜♪」

 

 

 3人が聞いてもマイペースに上機嫌に歌うのみである。完全に自分の世界に入っている。

 

「仕方ありませんね。ふふっ…まあ、私も似た気持ちなのですが」

 

「坂柳?」

 

「いえ、それでは…千秋さん」

 

「〜〜♪〜〜ーーん?有栖ちゃん?…ってあれ、みんなどうしたの?溜め息なんかついて」

 

 

 坂柳(親友)の言葉には普通に反応するのか(ね)と言わんばかりに溜め息をつきつつも、ようやく話が聞けると思い直す。

 そうして一体その上機嫌な理由は何なのか聞くと、「ふふ〜ん」と勿体ぶりながら理由を口にする。

 

 

「新しいゲーム友達が出来ました!」

 

 

 

 

 

 そう、七海についにゲーム友達がついに増えたのだ。

 

 先日…と言ってももう"1ヶ月以上は前の話"だが、教室にてAクラスの方針を発表したのは記憶に新しい。

 その時に裏のリーダーとして紹介された七海は、本人も危惧していたようにAクラスのラスボスと認識されてしまった。

 

 そのおかげ(せい)で、彼女もリーダーとして坂柳や葛城がいない時に質問や相談を受けるようになったのだが…

 

 

『…あの、七海さん』

 

『ん?キミは確か…(何か緊張してる…?)』

 

『△△です。その…』

 

『……?』

 

『あ、う…す、すみません!失礼します!』

 

『?はーい(急に顔を赤くして、どうしたんだろ?)』

 

 

 と、まあこんな感じである。

 上記はまだマシだった。リーダーとなった直後には『ヒッ!』と怯えて席に戻る者もいたくらいである。

 最近は減ってはいるものの、それでも必要以上に話す人はいつもの4人くらいしかいない。

 

 橋本や神室、葛城は会えば挨拶してくれるし、話もしっかりとする。偶にはゲームの話も聞いてくれる。

 

 しかし四六時中ゲームをし徹夜も辞さない彼女にとって、坂柳以外にゲーム友達が一向に増えないのは、頭を悩ませるのに十分だった。

 

 そんな中、七海はついに待望の新たなゲーム友達ができたのである。

 

 

 

 

 

ーー

 

 

ーーオレが初めて彼女と会った場所は、噴水のある公園のベンチだった。

 

 

 この学校に来て一ヶ月が経ち、最も愚かな不良品としてDクラスに配属されたことがわかった。

 クラスは阿鼻叫喚としていたし、隣の少女はずっと考え事をしていた。が、特に気にする事なく教室を後にし、担(・)任(・)の(・)先(・)生(・)に(・)呼(・)び(・)出(・)さ(・)れ(・)る(・)な(・)ん(・)て(・)事(・)も(・)な(・)く(・)ポイントを節約しながら暇を潰そうと思い、散策をしていた。

 

 そんな折、立ち寄った噴水公園のベンチに彼女はいた。いや、正確に言えば…

 

「スースー」

 

 

 気持ちよさそうに眠っていた。ベンチに座ったまま。

 

「スースー」

 

 

 足音を立てながら近くに来ても全く気づかれる様子もない。どうやら、完全に彼女は夢の世界にいるようだった。

 

「スースー」

 

 

 そうこうしているうちに、とうとうベンチの目の前まで来てしまった。

 何やら音楽が鳴っている。音楽はゲーム機から鳴っていた。

 

 画面には2頭身の赤と白の配管工のような男が映っていた。

 コースか何かの道中でとまっている。

 画面右上のタイマーが199、198、197と減り続けていた。

 

「スースー」

 

 

 少女は起きる気配がない。

 

(……いや、しかし……でも……)

 

 

 少し気になる。タイマーはどんどん減っていく。気がつけば残り130を切っていた。このままではタイムオーバーとなるのは時間の問題だろう。

 

「スースー」

 

 

(…………少しだけなら)

 

 

 意を決して、少しだけやってみることにした。

 幸いゲーム機は少女の手からは離れていたのもあったが、気になったのだ。

 おそるおそる、手に取り各ボタンを押して操作を確認する。

 

(…このボタンで炎を出すのか、こっちのボタンは…ダッシュか)

 

 

 そうこうしているうちに残り時間が100を切ったところで、進行方向と思われる右へと進む。

 どうやら中間地点を過ぎたあたりの安全地帯で止まっていたようだ。

 そこから先へ進むと、茶色い胴体に2本の足が生えた敵や、緑の甲羅を背負った亀、土管から鋭い牙を持った花などが襲ってくる。

 何度か被弾しながらも、?マークの描かれたブロックを叩いてキノコや赤い花?のようなものを回復のため取りながらゴールへと進んでいく。

 

「…この旗がゴールか」

 

 

 少女を起こさないように静かに声をこぼしながら、ゴールと思われる旗にジャンプする。

 

「〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

 

(クリアした、んだよな?)

 

 

 どうやら、うまくいったようだ。

 すると、砦のような建物に入っていき旗が立ったと思ったら、すぐに次の面が始まる。

 次の面は、砦に土管が1つだけというシンプルな構図だった。

 

「スースー」

 

 

(彼女は起きそうにないな…タイマーも止まらない………もう少しだけ)

 

 

ーーこの時、オレは失念していた。ポーズボタンと呼ばれるものを押せば、画面は止まるということに。そして、少女が既に起きており、眠るフリをしながらオレのプレイする画面を見られていたということにーー

 

 

(土管だけかと思っていたら、地下だったのか。いや、洞窟…か?ブロックが多いな…大きい状態をキープし続けた方が良さそうだな)

 

 

(…こんなところに土管が?しかも番号が出てきた。2、3、4…4にするか。コースセレクトってことは、4にすれば一番先に進めそうだ)

 

 

(…急に難易度が上がったな。いや、2つも飛ばしたんだ。当たり前か)

 

 

(…しまった、天井に乗り損ねた。何か…お?隠しブロックか。他には…こことここもか。これなら…ツタ?上は天井しか無いが…何っ!?画面が切り替わった…空中か!こんなルートがあったとは…)

 

 

(…お、土管だ。6、7、8…5は無いのか…いや、もしかしたらさっきの天井上ルートが5だったのか?だとするとラッキーだったな。ここは当然、8だな)

 

 

(…っと、このコースは時間が短いな。短いということは…恐らくは焦らせて操作ミスを誘発するような作りになっているんじゃないか?…案の定だな。焦ってダッシュしたままジャンプしたらここは落ちていただろう。とはいえ、制限時間との勝負は変わらない。慎重に、かつ大胆に…)

 

 

(…ん?8ー"3"?各コース2面までじゃ無かったのか…土管でワープを続けたせいで気づかなかった)

 

 

(…8ー4。なんか、凄いところだな。魔王でも住んでいそうな感じだ)

 

 

(…?おかしいな、さっきから同じ景色が…ループしているのか?なら、正しいルートがあるはず…タイムは…まだなんとかなるかもしれない。やるだけやってみよう。残機っぽいものも後3機あるし、なんとかなるかもしれん)

 

 

 そして…

 

 

(…クリアした。亀の王様…魔王か?どちらにせよ…強かった。残機0にさせられたぞ…そう言えば彼女はーー)

 

 

 ゲームに夢中になり、ずっと気づかなかった。いつの間に起きていたのか、隣を見るとゲーム画面を凝視している。そして、エンディングムービーが終わると同時、こちらに視線を向けてくる。

 頬を赤くしている。勝手にプレイして、勝手にクリアしたことを怒っているに違いない。そう思い、オレは咄嗟に謝罪しようと口を開く。

 

「…えっと、すま「キミ、このゲームプレイしたことあるの!?」…え?」

 

 

 ないーーと謝ろうとした口は彼女の被せてきた声により中断された。

 改めて彼女の顔を観察すると、頬は赤いが口元は緩んでいた。笑みを浮かべながらも驚きつつ、彼女はこちらの言葉(答え)を待っている。

 

 滅茶苦茶瞳が輝いていた。総合すると、どうやら彼女はかなり興奮しているようだった。

 

「いや、その…初めてプレイした、が「初めてで完璧なショトカ使ってほぼノーミスプレイ!?キミもゲーマーなの!?」…ショトカ?ノーミス?何の「ゲーム用語も知らないってことは本当に初心者!?キミ、ゲーマーの才能あるって!!間違いなく!!」わ、わかった。わかったからちょっと落ち着いてくれ。周囲に人はいないことは分かってるが、その…近い」「え、あ…」

 

 

 話している内に思わず近づいてしまったのだろう。

 ほぼ0距離で彼女の胸の音まで聞こえてきそうなほどに密着されていたため、思わず離れてもらえるように少し大きめな声を出す。

 ようやく彼女も、今の自分の状態に気づいたみたいだった。

 

「…ごめんなさい。急に興奮して…またやっちゃった…私」

 

「いや、わかってもらえればいいんだ。それに、勝手にゲームをプレイしたオレも悪い。勝手にゲーム機を触ってクリアまでしてしまって…楽しみを奪ってしまった」

 

 

 恥ずかしそうに、いそいそと元々の位置に戻す少女。

 心なしか、その位置は先ほどよりもこちら側に偏っている気がする。

 そんな彼女に改めて、勝手にゲーム機を触ってクリアした事を頭を下げて謝罪するも、彼女は顔色を変えることなく、あっけらかんと言葉を返してくる。

 

「あ、それなら大丈夫。そのゲームは全ステ全クリしてるから。見てるのも楽しいし」

 

「全ステ…全クリ…?ああいや、七海が問題無いのなら、いいんだが…」

 

「あれ…キミ、私のこと知ってるの?」

 

「ゲーム機の裏側にラベルが貼ってあるのを見てな。『Nanami Chiaki』だったから、日本人なら苗字は七海だと思ったが…違ったか?」

 

 

 少女ーー七海千秋の言葉は所々専門用語が混じって理解に苦しむこともあるが、不思議と会話はスムーズに進む。

 

「ううん、合ってるよ。キミって頭も良いんだねえ」

 

「いや、そんなことはないが…」

 

「ふーん、そっかそっか。さっきのゲームの腕前に免じて、そういうことにしておいてあげよう」

 

「そういう事も何も、事実だが…」

 

 

 誤解を招いているような気もするが、まるでこちらを見透かすかのように七海はこちらの目を見ながら言葉を返してくる。

 

 

「うんうん、わかってるわかってる。そういうお年頃だもんねえ」

 

「…?よくわからないが、わかってくれたならいい」

 

 

 何だか変な誤解をされてしまった気がするも、とりあえずこれ以上は変に追及されないようでホッとする。

 

 

「…ん?んん?」

 

「どうした?」

 

「…ううん、なんでもない…と、思うよ。…あっ、そういえば聞くの忘れてた。キミの名前は?」

 

「ああ、言うのを忘れていたな。オレの名前は綾小路。綾小路清隆だ」

 

 

 

 オレーー綾小路清隆と七海千秋はこうして出会った。そしてそう遠くない未来、彼女と会えた事をこの先一生感謝することになるとは、この時はオレも七海も知らなかった。

 

 

 

「綾小路…清隆…うん、覚えた。これからもよろしくね、綾小路くん」

 

「ああ、よろしく、七海。…これから"も"?」

 

 

 

 思わず頷いてしまった後、そのまま流れで彼女の言うゲーム友達に引き合わされた。

 相手(坂柳)もいきなりで少し驚いているようだったが、お互いに初めましてと挨拶もそこそこに、チェスをして楽しんだ。

 坂柳は時折こちらを見ては何か考えていたようだが…親しいと思われる彼女の新しい友達が男だったのに複雑なのか、オレの顔が誰か知り合いに似ていたのだろうか?

 

 

 

 

 その後、しばらく経って知った彼女の情報はとにかく、凄かった。

 風の噂では、初日にクラスを支配したとか、強力な配下を従えているとか

 ついたあだ名が…Aクラスのラスボスだとか

 本人は不服そうに頬を膨らませていたがーー多分揶揄いも含まれている(それは違うぞ!)のではなかろうか。

 変な声が聞こえた気がしたが、そう呼ばれているのを知ってなお、オレの彼女に対する印象は変わることはなかった。

 

 彼女はただ、ゲームと友達(仲間)が大好きなのだと。

 

 

 

 

 

ーー

 

 

「今日は綾小路くんと有栖ちゃんと3人で遊ぶんだ〜」

 

 

 綾小路との出会いから友達になるまでを語った七海は、楽しそうに放課後の予定を口にする。

 

 

「「「……」」」

 

 一方で、七海の話を聞いていた橋本、神室、葛城の3人は口を半開きにし、絶句した。

 

 

「有栖ちゃん、放課後3人で何して遊ぶ?チェス?ゲーム?ゲーセンでもいいけど…綾小路くんは何か嫌そう?苦手そう?よくわからないけどこの前も遠慮してたから部屋のほうがいいよね。今日は誰の部屋にする?私?有栖ちゃん?綾小路くんも最近は中古のレトロゲームをいくつか買ってやってるみたいだし、たまには彼の部屋でも「「「それはやめておけ(やめとけよ)(やめておきなさい)」」」…?どうして?」

 

 若干、興奮を抑えながら矢継ぎ早に繰り出される言葉の乱舞(マシンガントーク)に驚きながらも聞き捨てならない言葉(コトダマ)が聞こえ、思わず静止の声を上げる3人。七海はなぜ?と小首を傾げる。

 止められる理由や意味がこれっぽっちも思い浮かばなかった。

 

 

「…綾小路くんの部屋には変なものはなかったよ?」

 

「「「もう行ったことがあるの(か)(かよ)!?」」」

 

 

 さらに彼女から爆弾(天然)発言が飛び出すと、もはや収拾はつきそうになかった。

 

 

「なんで姫さんも止めないんだよ!?」

 

「いえ、彼は…"綾小路くんなら、そういうことはされないとわかっております"から…」

 

「いやいや、そういうことじゃないでしょ…」

 

「そういうこと?」

 

「あ、いや…その……かっ、葛城!何とかこの子(七海)に言ってやって!!」

 

「お、俺が!?それは、その……そういうこと、だ」

 

「「葛城!?ちょっと!?」」

 

「ふふふっ仲がよろしいようで何よりです。ね?千秋さん」

 

「?うん。そうだね、有栖ちゃん」

 

 

 何をそんなに慌てているのかまるでわかっていない七海(シロ)と坂柳(クロ)は、顔を見合わせて笑う。

 一先ず3人は、2人(特に七海)に、くれぐれも気をつけるように念を押すように何度も何度も言われた。

 

「いい?絶対に部屋で2人きりは駄目だからね?」

 

「そうそう。姫さんならともかく、ゲーマー姫さんはそういうのわかってなさそうだし」

 

「橋本くん?私を何だと思っているのですか?」

 

「おお、こわいこわい」

 

「とにかく七海、何かあったらすぐに助けを呼ぶんだぞ。"何があっても、俺たち3人はお前の味方だ"」

 

「?よくわからないけど、わかった。"その時は"よろしくね?」

 

「葛城くん?私の心配はしてくれないのですか?」

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 とある日、オレは友達と遊んでいた。

 友達…そう、友達だ。つい先週にひょんな、ある意味忘れられない出会いをした1人の人物(少女)。そう、その人物(少女)の名はーー

 

 

「あっ、そっち行ったよ綾小路くん」

 

「大丈夫だ、気づいてる。タイミングを合わせて投げるから、ダウンしたら頼む」

 

「おっけー、任せて!ハンター歴=年齢の私の大剣が火を吹くよ!」

 

「"産まれた時から七海はゲームをしてた"のか…?」

 

「ふっふっふー。私の美技に酔いしれな!綾小路くん!」

 

「美技って…ただモーションに合わせて剣を振り下ろすだけだろう。美技も何もあるか」

 

「むー!言ったね?今に見ているがいいよ!思い知らせてやるから!」

 

「オレたちの目標は、モンスターだよな?間違ってもオレじゃないよな(フレンドリーファイアは辞めてくれよ)?」

 

 

 

 目の前で目を輝かせながら楽しそうに話す少女ーー七海千秋。

 何の冗談か、今日は2人きりでゲームをするとになってしまった。

 

 それだけなら何も問題ない。いや、年頃の男女が2人で居るというのは…確か世間一般の常識では恋人と言うんだったか。

 もちろん、オレと七海はそんな関係ではないし、お互いにその気もない。

 

ーー仮にそうなった場合、流れで出来たもう1人の友達(杖をついた少女)に良くて嫉妬されるか(杖で小突かれる)、悪ければ今後一生戻ることのない関係(絶交宣言後、2度と会うことがない)になってしまうのは、普段の彼女(坂柳)を観ていれば火を見るより明らかだった。

 

 まあ、何が言いたいかというと…

 

 

 

 

「そういえば、前に来た時に比べて綾小路くんの部屋、少し賑やかになった?」

 

「賑やか…かは知らないが、前よりモノ(ゲーム)は増えたな。とは言っても、うち(Dクラス)は金欠だから、少しでも安いレトロゲーム中心にはなってしまうが…」

 

「あの後買った続編の2もクリアしたんだっけ」

 

「ああ。今はあの時(2の購入時)一緒に買った3をやってる。前作までとは毛色が違うから、探り探りだが…」

 

「あーあれね。色々と仕様もモーションも変わってるもんね。Pダッシュとか始めて見たでしょ?」

 

「ああ、あれには驚いたな。上手くアイテムと組み合わせれば、永遠に飛び続けられるなんて…夢みたいなアクションだ」

 

 

 同じ(オレの)部屋に、七海がいた。

 異性同士で、だ。

 

 

 まあ、こうして一つの部屋に一緒にいても彼女に緊張や戸惑いの様子は見られない。

 あくまでもゲーム友達としか見られていないことに安堵しつつ、そういうことをされるとは欠片も思っていない様子に、少し心配になる。

 

 

 

 

 

ーー七海の容姿は整っている。

 少し外ハネした癖のある髪型も、彼女の魅力の一つだろう。

 瞳も優しい色をしており、本人の性格が現れているかのようなピンク…いや桜色だろうか?色素の薄い髪色と良くあっている。

 多分、男(ク)が(ラ)い(ス)た(メ)ら(イ)放(ト)っ(は)て(誤)お(解)か(し)な(た)い(ま)の(ま)で(の)は(た)な(め)い(心)だ(配)ろ(は)う(な)か(い)。

 無防備な彼女を見守れる人物が増えれば良いのだが…(この話(2人きり)を聞いたAクラスの3人(七海の仲間)は後に話し合い、これからは橋本、神室、葛城のうち1人は常に七海に付き添うことになったらしい)

 

閑話休題(蛇足だったな)

 

 

 

 

 

 

 

ーー彼女と知り合うことになった例の場所(公園のベンチ)にて、オレが図らずもクリアしてしまったゲーム。

 あの後七海にゲームショップに連れて行かれて、「あのゲームはね、続編がいっぱいあるんだよ!私も全部余すことなくクリアできたかと言われると…うん、クリア出来たね」と言葉にしながら2と3をおすすめしてきた。

 

 

「2は前作よりも難易度はかなり上がってるんだけど、それがまたクリアした時の達成感に繋がるんだよねぇ」

 

「3はシステム周りががっつり変わってるけど、その分新鮮な気持ちでプレイできるよ。最近発売されたゲームにも同じシステムが搭載されてたりするから、そういうのをやる時にもとっつきやすいし、おすすめかな」

 

 

 そう、キラキラした瞳でまるで宝物を発見した子供のような笑顔を浮かべながら、七海は言葉を続ける。

 

「どう?どっちも面白いしおすすめだけど、綾小路くんの腕前なら2からやってもすぐにクリアするかもね。もちろん、3をやっても間違いなく楽しめるし、敢えて3からやった後に2に戻るっていうのも乙なものですぞ」

 

 

 本当に、楽しそうに、自分がプレイするわけでもないゲームなのに、自分のことのようにワクワクしながら言葉をポンポン生み出し続ける様子を見ながら、オレは問いかける。

 

「七海なら、"どっち"を選ぶんだ?」

 

 

 そう問いかけるとキョトンとした後、満面の笑みでこう答えた。

 

「…もちろん、どっち"も"だよ!」

 

 

 その言葉を聞いたオレはどこかむず痒い気持ちになりながらも、「それじゃあどっちかしか選べなかったらどうするんだ」と問いかける。「オレもポイントは節約しておきたいんだ」と続けて口にしながら。

 

「うーん…そうだねぇ…」

 

 

 我ながら、意地悪な質問をしたものだと思うも、実際にこの少女(ゲーマー)ならどうするのだろうと気になり言葉を待つ。

 

 しばらく口を閉ざした後、彼女はオレの予想を超えた言葉を口にした。

 

 

ーーどっちも選べるようになんとかするーーと

 

 

 

 

 

 あの後、結局オレは2つとも(中古というのもあり、値段が安かったため)買い、彼女にレトロゲーム専用のゲーム機を貸してもらった。

 

 

「これで綾小路くんも、私とゲーム友達だね!」

 

 と、嬉しそうに笑いながらーー

 

 

 

「綾小路くん?」

 

「ああ、すまない。少しぼーっとしてた」

 

「大丈夫?具合悪い?」

 

「いや、大丈夫だ。本当に、"ちょっと考え事をしてた"だけだ」

 

「ふーん。まあ、いいけど。もうすぐクエスト終わるよ?」

 

「ああ、今剥ぎ取る」

 

 

 オレが少し前のことを思い出していたら、七海の呼びかけで意識を今の舞台に戻す。

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、七海」

 

「なに?綾小路くん」

 

 

 ゲームのキャラ(ハンター)を操作しながらーーなんとなく、本当になんとなく、前と同じように、しかしながら以前(ゲームの時)とは違う問いを、口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「『力を持っていながら、それを使わないのは愚か者のすることだ』って…"昔ある知人に聞いた"んだが、七海はどう思う?」

 

 

 七海はその言葉に、珍しく、ほんの少し、動きを止めた。

 やがて、「力っていうのが何のことなのかはわからないけど…」と言いながら、彼女はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「圧倒的な才能(力)があるからって、それに縛られる必要は無い…と思うよ?」

 

 

 

「だって、才能(力)を持つことがゴールじゃないもん」

 

 

 

「才能(力)があろうとなかろうとさ、それよりもっと大事なことがあるから」

 

 

 

「大事なこと?」

 

「うん」

 

 

 彼女の紡ぐ言葉(コトダマ)に、思わず問いかける。

 才能(力)以外に何が必要だというのだろうか。オレにはわからない。

 オレの様子を知ってか知らずか、彼女はその答えを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…自分(キミ)自身を信じてあげる事だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それができなかったら…いくら才能(力)があっても自分に胸なんか張れないよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「きっと…昔その言葉を言った人(言われたキミ)がそうだったみたいにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉(コトダマ)の意味は、"その時のオレには理解できなかった"。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日はそれを最後に、また遊ぼうと約束を交わし別れた。

 

 

 

 

 その後は難しい話をすることもなく、綾小路は何度も七海と遊んだ。

 坂柳も含めた3人で、何度も。

 時には彼女達の護衛?のように着いてきた橋本や神室、葛城とも。

 そうして楽しんでいく中で綾小路の中に無意識に生まれた感情。

 それは友情…友愛と呼ばれるモノ(ココロ)だった。

 そうして月日は過ぎていった。

 

 

 

 

 7月に入っても何(・)も(・)問(・)題(・)が(・)起(・)き(・)る(・)こ(・)と(・)な(・)く(・)、綾小路の平穏な日々は続いていた。

 

 そんな中、彼は7月の第一週目の末、担任の茶柱先生から呼び出しを受ける。

 どこか、重苦しい表情が気になった。

 

 顔色の悪い茶柱先生に、呼び出した理由を途切れ途切れに告げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お前の、父親、を名乗る、人物から…連絡があった。お前を…ーー綾小路を退学させろーーと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、親父(絶望)からの言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これ以上共にいると、苦しくなる…さよならだ。七海、坂柳、みんな(他の3人も))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 最近、綾小路くんの様子がおかしい。

 つい先週までは、綾小路くんと有栖ちゃんと毎日ゲームをしていたのに、今週はまだ一回も会えていなかった。

 メッセージアプリ内のゲーム仲間のグループチャット(綾小路くんと有栖ちゃんと私の3人)で今日の予定を聞いても、有栖ちゃんはOKでも綾小路くんは「今日はちょっと1人で過ごしたい」とか「今日はクラスの友達と遊ぶ」とか「体調が優れないから今日は自室で休む」とか、そんなのばっかり。

 

 流石にこれはおかしいぞとなって、ある日の放課後に有栖ちゃんの部屋にお邪魔して2人で話し合う。

 

「綾小路くん…どうしちゃったのかな…」

 

「彼も、偶には1人でゆっくりしたい時期があるのではないでしょうか?グループチャットに返信はあるのですから、そこまで気にすることも無いと思いますけど…」

 

「そうだけどさ…やっぱり寂しいよ。…私と遊ぶのが嫌だったのかな…。ゲームしてる時の私、結構うるさいし…」

 

「いえ、"それはありえない"と思いますが。」

 

 そう、慰めるように言ってくる有栖ちゃんの様子がふと気になり、彼女を観察する。

 

ーー有栖ちゃんは気にしてない…ううん、気にしてないフリをしている…と思う。これはもしかしたらーー

 

 

 

「…有栖ちゃん、何か知らない?綾小路くんのこと」

 

「うーん、流石の私も今の彼「そうじゃなくて」…?」

 

 

 私が途中で遮っちゃったのを目の前で首を傾げる有栖ちゃんに「ごめんね」と返しながら私はずっと気になっていた言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綾小路くんの、過去のこと」

 

「!」

 

 

 ほんの、ほんの僅かに瞼がピクッと動いた有栖ちゃんを見て私は確信する。やはり、彼女は何か…綾小路くんの過去を知っているーーと。

 

「…何のことでしょうか?彼の過去ですか?そんなものは"私にはわかりませ「それは違うよ…ね、有栖ちゃん」っ!!」

 

 

 思わず言葉が飛び出す。きっと彼女は知ってる。さっきから、ほんの僅かにだけど声が上擦ってるのがわかる。

 それに何よりーー赤い文字が空中に見えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーこの世界に転生して、私は特殊な能力を2つ身につけていた。(神様に会った覚えは無いので、"特典とは違う"…と思うけど)

 一つは、瞬間記憶能力…ううん、『コトダマ記憶能力』。

 日常の些細な変化、人の話、様々な記録がなされた書物etc。

 そういったものを私(七海千秋)本来の記憶力とは別に、脳内のコトダマ一覧に取捨選択で記録し、いつでもどこでも好きな時に内容と共に思い出せる能力だった。

 幼少の頃にチェスで圧倒的な勝利を納めたのも、テストで常に満点を取れたのも、この能力があったから。

 

 

 

 そしてもう一つは、(相手の発言の)『重要(ウィーク)ポイント認識能力』だった。

 最初は何か相手発した言葉がぼんやりと空中に見えるくらいだったが、年齢と共に言葉に赤色だったり青色だったり…時には金色だったりと見えた当初は頭がおかしくなってしまったのかと思ったものだ。

 今思えば、それは非常に見覚えのある、それでいて懐かしいもの(システム)だった。

ーーダンガンロンパシリーズのノンストップ議論と一緒だーーと。

 反論できるポイント(嘘や間違い・勘違い)には赤色、賛成できるポイント(本当の話や情報)には青色、そのどちらでも無いーー恐らくそうだろうという私の推測だけどーー確定済みのポイント(論破不可能な言葉)には金色で色分けされている。

 この能力のおかげで、表面上ではわからない相手の嘘も、見破れるようになった。

 最も、論破や賛成するには対応するコトダマが脳内にないと、相手や周囲を納得させられないのは原作と変わらない。

 

閑話休題(説明終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー私、七海千秋(別人)からみた綾小路清隆の印象は、一言で言うと無機物っぽい…であった。

 

 最初に会った時から、世間知らずっぽいとは思っていたのだ。

 私が"そういうお年頃"といった言葉に対して、本当に何もわかっていないのが赤色(ウソ)の不在でわかってしまい首を捻ったが、その時はまあ…そういうものかと言葉を飲み込んだけど。

 

 その後に一緒に遊んでいる中でも、何度か似たようなことがあったのだ。

 

 それにーー最初のゲームをしている彼の表情や行動を今になって思い返してみれば、それは『失敗したら次はこうする』と、まるで機械によって決められたかのような正確さでプレイしていた。

 8ー4など、最たる例だった。

 最初は、彼も何度かループしていることに気づかず攻略に手間取っていたが、一度カラクリがわかるとスルスルと進みだし、あっという間に…一発でラスボスにまで辿り着いてみせたのだ。

 私もこの身体に転生してから様々なゲームをプレイして、また他者のプレイも見てきたが、綾小路くんの動き(操作)は…攻略法もわからない中で、本当のレトロゲーム初心者ができる動き(操作)ではない。

 

 あの時はそこまで考えが回っておらず、初見でゲームをクリアした彼は(未来の)同好の士だと私は思い込み、その後も様々なレトロゲームを渡したが、そのどれもクリアまでに要した時間は、あの最初のレトロゲームと変わらない。

 そう、変わらないのだ。

 

 2はともかく3も、彼の部屋を後にした(2人でゲームをした)あの日の夜、彼からクリアしたとの報告がグループチャットできた時は思わずベッドから飛び起きたものだった。

 

 そうした、彼との積み重ねが、沢山の言葉(コトダマ)が、私の口から飛び出していく。

 

 私の言葉(コトダマ)を聞き、やがて有栖ちゃんは重々しくその小さな口を開く。

 

 

「…流石は、千秋さんですね。彼について、ゲームでそこまで本質を理解されていらっしゃるとは…」

 

「有栖ちゃん、お願い。どうしても聞きたいんだ。綾小路くんの過去のこと。彼に、綾小路くんの過去に…一体何があったの?どうして彼は、あんなにも機械みたいに…何でもできる(カムクライズルの)ようになったの?」

 

「……」

 

 

 あの年齢であそこまで何でもできるなんて、それこそカムクライズルくらいのものだ。でも彼は、カムクライズルではない。ーー少なくとも、今はまだ。

 彼は彼(日向くん)じゃない。まだ、やり直せるはずだ。そう、願わずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……千秋さん、あなたの知りたい情報を私が口にする事は、普通なら絶対に許されないことです。彼や事情を知る者ならともかく…何も知らない一般人にこの事を話すのは、"本来私には出来ません"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……「ですが」…有栖ちゃん…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"貴女になら、良いでしょう"。いえ、貴女にこそ、聞いていただきたいのです。彼の…いえ、この国に存在する闇の施設(白い絶望)を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街中を走り回る。

 

 寮の部屋には居なかった。

 

 辺りが暗くなっていく。

 

 やがて、私は一つの場所を思いつきその場所へ走る。

 そこに…彼はいた。

 

 あの日、初めて会った公園のベンチに座っていた。

 

 私が貸した、レトロゲーム専用の携帯ゲーム機を手にしたまま、ボンヤリと遠くを見ながら。

 

 

 

 

「綾小路くん!!!」

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 ここ最近、綾小路清隆は放課後から夜遅くまで、ずっとこのベンチに座っていた。

 ゲーム機を片手にぶら下げたその姿は、誰かを待っているようであり、誰も待っていないようでもあった。

 そんな彼の元へ、1人の少女が息を切らせながらも走ってやってくる。

 

 

「綾小路くん!!!」

 

 

「…七海?こんな夜中に「それはこっちのセリフだよ!!!」…そんなに大声を上げてどうしたんだ?」

 

 急に大声を上げながら綾小路へと詰め寄るかのように言葉を発する七海千秋。

 

 

「ああ、そうだ。これを返そうと思ってた。ちょうど良いところに来てくれた」

 

 綾小路は、その様子を不思議そうにしながらもちょうど良いと言わんばかりにベンチから立ち上がり、七海のほうへとゲーム機を手にしながら近寄る。

 

 

「……」

 

「七海?」

 

 

 綾小路がゲーム機を突き付けても、七海は受け取ろうとしない。元々は彼女のモノなのに受け取りたくないと言わんばかりだ。

 

 

「…要らないのか?なら売りに「ホワイトルームって、何?」っ!?」

 

 ようやく顔を上げた七海の可愛い顔は鳴りを潜めていた。

 目尻には涙を浮かべており、悲しいような、怒っているような、苦しいような、とても一言では言い合わせられない表情を浮かべている。

 

「…」

 

「…ねえ、答えてよ。ホワイトルームって何?非人道的な実験施設って何?…最高傑作(綾小路くん)って…何?」

 

「…"何のこと「質問に答えて!!」…"坂柳から聞いた"のか…」

 

「私が無理に聞いたんだ。"有栖ちゃんは悪くない"…よ」

 

 

 ゲームをしている時は天真爛漫な、そうでない時はほのぼのとしている七海からは考えられないほどの、強い声。彼女の口癖である「…と思う」も消えている。

 

 綾小路の惚けるような言葉(ウソ)にも耳を貸さず確信している彼女を見て、これ以上隠すことはできないと悟り、彼は真実を話し始める。

 

 

 

 

 

ーー綾小路清隆は、産まれた時から自由が無かった。

 ずっと彼は、この高校に来るまでホワイトルームで過ごし(軟禁され)ていた。

 いつも白い部屋で寝て起きて、朝食を食べた後は父親によって別室に連れて行かれ、その日のカリキュラムをこなす。それ(教育)が終わると部屋へと戻され、そのまま差し出された夕食を食べ終え何もする事なく就寝する。

 そんな変わり映えのしない(外の自由を知らない)毎日を、綾小路はほぼ14年間ずっと続けていた。

 

 その日常は、ホワイトルームが一時的に1年間閉鎖された際に唐突に終わりを迎える。

 彼の父親に仕えていたとある執事により、外(自由)へ逃れる。

ーー厳重な警備を突破して無理やり逃げ出したというよりは、当時のホワイトルーム側の管理の甘さや一時的な閉鎖のタイミングが重なった面もあるようだが。

 

 その後は執事の協力を経て、七海達も入学した高度育成高等学校へと、普通の一般社会や高校生活(束の間の自由)を求めて綾小路も進学した。

 

 

 

 

「…以上が、"オレの知る全て"だ。"これ以上の隠し事は一切ない"。そもそも、"ホワイトルームを知られてしまった以上、隠す意味もない"というのが正しいか」

 

 

「…」

 

 

 

 綾小路の告白(過去)を聞いた七海は、途中から顔を俯かせていた。

 

 

 

 

 

ーー怒っているのだろうか…憐んでいるのだろうか…

 

ーーはたまた、あまりに荒唐無稽な話すぎて、呆れているのだろうか。

 

 

 

 

 

ーー…軽蔑、されただろうか。

 

 

 

 

 

ーーもしそうだったら、何か、嫌だな…

 

 

 

 

 

 そんな事を無意識のうちに抱きながらも綾小路は、彼女からの返答を待つ。

 顔は今も俯いたままであり、辺りも暗くなってしまい、よくわからない。

 

 やがて目元を腕で乱暴に拭った七海は、顔を上げて、綾小路を見る。月明かりの下に確認できた彼女の表情は、静かな微笑みだった。目元がまだ若干滲んでいるのを見るに、泣き笑いのようにも見えたが。

 

 

(…笑ってる、のか?…もしや、面白かったのか?だが彼女(コイツ)がそんなーー)

 

 

 何度目かもわからない彼女の予想外に直面した綾小路は、何を言われるのか全く想像がつかなかった。

 そして案の定、七海から発せられた言葉に彼はまたも驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「過去はやり直せない…けどさ…」

 

 

 

「未来のことは、これから(キミ次第)じゃん!」

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、七海の心からの説得(願い)だった。

 

 

 

 

 

 

 

「綾小路くんがいつも無表情だった(感情がない)理由も、なんとなくわかった。きっと、このままだと高校生活が終わったらその場所(ホワイトルーム)に帰ることになることもね。」

 

 

「…」

 

 

 

 

「でも…」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲームを一緒にしている時の綾小路くんは、"楽しそうだった"…と思うよ?」

 

 

「だって、そうじゃなきゃ」

 

 

 

 

 

 

「"「また遊ぼう」なんて言わないでしょ?"」

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

 

 

 静かだが、耳に良く届く彼女の言葉(コトダマ)が、綾小路の中に溶けていく。「だから、さ…」と続ける七海の言葉(コトダマ)を、綾小路は静かに、しっかりと聞き続ける。

 まるで、彼女に言われたことを忘れないようにしようとしているかのように、その顔は無表情ながらに真剣だった。

 

 

 

 

 

 

 

「今からだって、きっとやり直せるよ」

 

 

 

「あの場所に戻らなくても、これからも一緒にゲームで遊ぶ未来にだって…」

 

 

 

「私も有栖ちゃんも協力するよ。みんなでやればなんとかなるよ!」

 

 

 

「未来だって、変えられるはずだよ!」

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七海の言葉(説得)を受けた綾小路は、ほんの僅かだが嬉しそうにしーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーやがて、諦(・)め(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)首(・)を(・)横(・)に(・)振(・)っ(・)た(・)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…すまない。オレの未来は決められているんだ。オレに、"自由な未来が訪れることはない"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…えっ」

 

 

 そこに現れた論破ポイントは、金色(絶望)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウソ…だよね?」

 

「ウソじゃない。"確定した未来なんだ"」

 

 

 見えた金色の文字(圧倒的な絶望)に、呟いた七海。

 

 綾小路に対してのも返事ではなかったが、そうとは知らない綾小路は言葉(絶望)を発する。

 

 

「そ、それは違うよ!」

 

「違わない。誰にも変えられないんだ。オレにも、七海にも、坂柳にも」

 

 

 思わず反論を言葉に出すが、綾小路には響かない。寧ろ、より絶望が濃くなっているようにも感じる。

 

 

「い、や…いや、だ。やだやだやだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言われてもな…"無理なものは無理なんだ。諦めるしか"「いやああああああああああアアアアアアア!!!」な、七海!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あっ…だめ…意識が………………あやのこうじく………………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…ちょっとまずいね。少し"私の手伝い"が必要かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…う、ん…ここは?」

 

 

 気がついたら、謎の場所にいた。

 辺りを見渡すと、そこはゲームで一杯の部屋だった。

 見覚えのあるようなゲーム機もあれば、全く知らないゲーム機…ゲーム機なのかもわからない機械もある。

 

 

 暫くぼーっとしていると、椅子に誰か座ってるのに気づいた。

 

 背を向けているため姿がよくわからないが、僅かに見える外(・)側(・)に(・)跳(・)ね(・)た(・)薄(・)い(・)色(・)素(・)の(・)髪(・)が見えた瞬間、あり得ないと思いつつも、そこにいる人物はそうとしか考えられなくなる。

 やがてクルッと椅子を回転させたその姿は…名前は…

 

「…え?」

 

「やっほー、もう1人の私」

 

「えっ…えええええええ!?」

 

 

 そこには、もう1人の"七海千秋(本物)"が居た。

 

 

 

 

 

ーー

 

「わっ…びっくりした。急に大声上げてどうしたの?」

 

「そりゃ、そうなるって!!ここはどこ!?私今現実でどうなってるの!?もしかしてゲームだったの!?綾小路く「落ち着いて」むぐっ!!」

 

 

 七海(別人)は混乱の極致にいた。

 無理もない。自分の中にもう1人の…それもどう見ても本物としか思えない存在(スーダン2の衣装を着た七海)が居たのだから。

 慌てふためく七海(以降、この部屋では別七海とする)の口を、もう1人の七海(以降、この部屋では本七海とする)が人差し指でピッと止める。

 ようやく別七海は自分がパニック状態になっていたことに気づき、未だに訳がわからない状態ではあるが一先ず深呼吸をして落ち着く。

 

「すぅー、はぁー。…えっと、落ち着きました。」

 

「あれ、何で敬語なの?」

 

「いや、その…畏れ多いと言いますか…恥ずかしいと言いますか…」

 

「もう15年もその体で過ごしてるんだから、"私じゃなくても私だよ"。だから気にしないで。」

 

「う、は……わ、わかった」

 

「うむ。よろしい」

 

「あぁ…本物の七海だぁ…ここに本物がいる…うぅ……ぐすっ…ぐすっ」

 

「ちょっと、泣かないでってば。ここにいられる時間は長くないんだから。さっきまで見ていたから何となくわかるけど、どうしちゃったのか教えてくれないと、私にも攻略法がわからないよ。」

 

「!!攻略法、あるの!?あの核心ポイント!!」

 

「わっ!ちょ…ちょっと…落ち着いてってば!」

 

 

 別七海は本七海の肩に縋りつくようにして涙目で問いかける。

 まるで、双子のやり取りみたいな光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがてひとまずは落ち着いた後、別七海は説明する。

ーー自分(私)は特別な能力(才能)を持っていること。

ーーそれによって見えた金色の言葉(核心ポイント)を打ち壊せないこと。

ーーこのままじゃ綾小路がいなくなってしまう(バッドエンドになる)こと。

ーー今の別七海(私)ではどう頑張っても無理(絶対的に攻略不可能)だということ。

 

 

 

 それを静かに聞いていた本七海は、目の前で今にもまた泣きそうな顔をしている別七海に向かって、諭すように、少し怒っている風に言葉(コトダマ)を発射する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はゲームの中の(意識の中だけの)存在だけど、あなたはゲームじゃない(私とは違う)でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「生まれ持った能力(才能)に縛られて、出来ないって決めつけるの?それが、私のことを一番よく知ってくれた、あなたの答え(未来)なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私(あなた)は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが私に望んだ未来(エンド)は、そんなに苦しいもの(バッドな結末)だった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…七海、さ……あなた(私)、は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さてっ!そろそろ"私"(あなた)のカッコ良い所、見せてもらおうかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も、"一緒に"手伝うからさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 長い間、眠っていたかのような感覚と共に、"私"(2人)の意識が浮上する。

 

 目の前には、急に奇声を上げたかと思ったら、目を瞑って、落ち着いたと思ったら目を開いて睨むように、怒るように、願うように、複雑な色を宿した深い桜色の瞳となった私を見て、滅多に表情を変化させることの無い彼の驚いた顔が見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なみ?その瞳「「綾小路くん」」!?」

 

 

 私(2人)の口から出た言葉は、2人分の声量を伴い、風に乗って彼へと届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー今なら、行ける。

ーー大丈夫?緊張してない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー全然。 私(2人)だから。

ーーそっか、私(2人)だもんね。…懐かしいなあ。彼の時は、こんなんだったっけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程までとは違い、明確な答え(未来)を持った"私(私達)"は、彼にもう一度、問いかける。

 

 

「「…本当に、それがキミの答え(未来)?」」

 

 

 彼は半ば苛立つように、同じ言葉を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もうこれきりにしてくれないか。何度も言ったように、オレの未来は決められているんだ。オレに、"自由な未来が訪れることはない。絶対に"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう答える彼の核心ポイント(論破不可能な言葉)ーーではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっと奥。言葉の裏に隠された、小さな小さなノイズのようなもの。

 

 今なら、わかる。彼の言葉の裏に隠された本当のココロ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…どうせ、この箱庭に閉じこもっていられる3年だけだ)

 

(…それが終われば、またあの白い場所に連れ戻される)

 

(…仮に、ここから卒業して逃げ出しても…どこかで足がついて捕まる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっと奥。もっともっと奥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…面倒だ)

 

(…疲れた)

 

(…どうでもいい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっと奥。もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとーー

 

 

 最も、奥。

 見つけた。ほんの小さな、綻び。

 彼が多くの白で塗りつぶしたココロの中央。

ーーそこに、居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(オレは、"親父からは逃げられない")

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "私(私達)"は、放つ。

 

 

 彼(シロ)を縛り続けている、今まで見てきた中で最もひどい(悲しい)論破ポイント(ウィークポイント)に向けて…

 

 

 

 思いっきり、腹の底から。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それは違うぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーふっ。はっはっはっはっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 気がつくとオレは、真っ白な空間に居た。

 隣りには、七海が居た。服装は…今まで見てきたどの服とも違う、だが彼女にピッタリと思える服(スーパーダンガンロンパ2の衣装)。

 その瞳は、元のピンク色に戻っていた。

 

「七海、ここは…いや、そもそもさっきの「綾小路くん、喋ってる余裕は無いかも」…え?」

 

 

 彼女の額には汗が滲んでいる。

 まるで、ゲームで強敵に挑んでいる時のようなーー強敵?

 

 そう、何か引っかかりを感じたと同時に、辺り一面が真っ黒に染まる。隣に居るはずの七海の姿が見えなくなり、声も聞こえない。

 

「いったい、何がどうな「清隆」…はっ?」

 

 

 気がつくと、目の前に父ーー綾小路篤臣(絶対的な絶望)がいた。

 

「何で、アンタが「お前は、俺から逃げられない」っ!!」

 

 

 訳がわからなかった。急に白い空間に居て、急に暗くなったと思ったら、急に親父(?)が現れて、わかりきったことを言ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この先、お前はずっと俺の元で、俺の支配下で暮らす」

 

 

「高校を卒業するか、退学すれば再び白い部屋に戻ることになる」

 

 

「最終的には、政治の駒としてお前を飼い殺す」

 

 

「間違ってもこの檻からは出られない」

 

 

「お前は産まれた瞬間からこうなる運命だった」

 

 

「お前は一生、俺の道具だ」

 

 

「お前「もうやめてくれ!!」

 

 

 思わず、気がついたら声が出ていた。

 なんなんだ、本当に…

 もう、放っておいてくれ。

 言うとおりにするから、それ以上話さないでくれ。

 頼むからーー

 

「誰か、助けてくれ…」

 

 

 この変な空間から、この目の前の父親(絶望)から解放してくれ…

 

 オレは耳を塞ぎ、その場にしゃがみ込む。

 

 ああ、このまま深く、沈んでしまおうか…

 何か大事なことを忘れているような気もするが、もう…どうでもよかった。

 オレの、ココロが、コわレテーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?へんな、ゆめをみたような…」

 

「清隆、起きてるか?」

 

 

 いつもの部屋。白い場所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はい」

 

「今日のカリキュラムを説明する。朝食を食べながら聞け。まずはーー」

 

 

 同じ時間。同じ人物(父親)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、前回よりも記録が伸びているようだな。ご苦労。今日はもう、部屋に戻れ。」

 

「わかりました」

 

 

 同じ行動。同じ生活。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、綾小路自身の記憶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カラッポの、何もない(誰もいない)、真っ白な記憶(ひとりぼっちの自分)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、誰だ?」

 

 影は何も話さない。

 気がついたら、記憶の再生は終わっていた。

 目の前にいるのは、よくわからない、モヤのような黒い影。

 口元には笑みを浮かべているが、その口は指一本入らないくらいに固く閉じられている。

 

 

「なあ、オレはどうすれば良いんだ?」

 

 影は話さない。

 その表情は困っているような、苦笑という表現が相応しい。

 

 

「オレには、何も無かった。あの白い場所で、1人で…誰か側に居たような気もするが、それも少しの間だけだった」

 

 影は話さない。

 静かに、綾小路の話を聞く。

 

 

「オレには、何も無いんだ。これまでも、これからもそれは変わらない。そのはずなんだ」

 

 影は話さない。

 話を一つも聞き漏らすまいと、綾小路の目をしっかりと見てーー

 

 

「オレには、何も…これから先の未来、何も残らない。そう、決められて…」

 

 影は首を振る。

 それは違うぞ、と言わんばかりに。

 

 

「何が言いたいんだ?」

 

 

 影は、綾小路の背後を指し示す

 

 

「?背後…?一体なに、が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背後を見た瞬間、思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「七海……坂柳……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには、七海と坂柳(2人のゲーム友達)がいた。

 他にも、2人を通じて知り合ったAクラスの生徒達3人を始めとして、自クラスのたまに喋る生徒や他クラスの知らない顔までーー

 実際にそこに本人がいるわけではないが、間違いなく綾小路の目の前にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 視線を、前に戻す。

 

「これは、お前が見せたかったものなのか?」

 

 影は首を振る。

 

 

 

「それじゃあ、七海が見せているのか?」

 

 影は首を振る。

 

 

 

「なら、坂柳が?」

 

 影は首を振る。

 

 

 

「一体誰なんだ?誰がこんな景色を…」

 

 影はゆっくりと人差し指を1本、伸ばす。

 

 

 

「…」

 

 影は、指を途中まで上げると停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 影は、そのまま動かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…う、そだ」

 

 影は首を振る。指は、綾小路を指したままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…オレにそんなもの、あるわけがーー」

 

 影は揺れる。小刻みに。まるで、笑っているかのように。

 

 

「っ…」

 

 

 思わず、言葉が詰まる。顔が少し赤くなっている気がする。

 自分にそんなものなど、何も残っていないはずだと思っていた。

 空っぽのはずだったーー彼女に会うまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…オレは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沢山いた。

 七海、坂柳、橋本、神室、葛城

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレには…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沢山いた。

 ツンな態度だが何故だか成長が楽しみな黒髪の少女

 誰に対しても優しく、さわやかなイケメン

 不良然としているが、バスケには人一倍真剣に取り組む少年

 他にも、まだ会ったことのない人物(未来)まで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー沢山(未来)の仲間がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなにも、仲間が居たのか…」

 

 影は、頷く。

 それに賛成だ、と言わんばかりに。

 いつの間にか涙が流れていたことに、綾小路は気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『圧倒的な才能がいくつもあるからって、それに縛られる必要は無い…と思うよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出会ってしばらく経ってから、彼女にぶつけられた言葉を思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自由になりたいんじゃなかったのか?』

 

 

『だから、学校(外の世界)に憧れたんじゃなかったのかよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 忘れていた。いや、忘れさせられていた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キミはゲームなんかじゃないんだよ。』

 

『それなら、未来だって創れるはずだよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変な空間に落ちる前に、綾小路のココロに響いた言葉(コトダマ)を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やればなんとかなるってヤツだよ。』

 

『私も、私の友達(仲間)も手伝うからさ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七海のココロからの言葉(コトダマ)を、今ーー全て思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、七海…教えてくれないか?」

 

「オレは…どっちを選ぶべきなんだ?」

 

 

 思わず、いつの間にか目の前にいた七海に問いかける。

 

 

「自分の希望(あの施設から逃げ続けること)と…親父の希望(諦めて卒業後に戻ること)と…」

 

「どっちを選ぶべきなんだ?」

 

 

 何も知らない赤子が無邪気に問いかけるように、思わず綾小路は聞いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キミの未来は…キミだけに権利があるんだよ。もちろん責任もだけどね』

 

「自分で選べ…って事か?」

 

 

 拗ねるような口調で、七海からの言葉に綾小路は聞き返す。

 七海はそれに小さく笑いながら『さっきも言ったけど…』と言葉を紡ぐ。

 優しく、綾小路のココロに寄り添うように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どっちも選べないなら…創っちゃえばいいんじゃないかな?"彼"みたいに』

 

「創る…?…"彼"?」

 

 

 想像もしていなかった言葉に、目を丸くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲームは未来が決まってるけど、キミはゲームなんかじゃないんだよ。』

 

 

『"選ぶ"だけじゃなくて…"創る"事だってできるはずだよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレなんかに…できるのか?」

 

 

『ゲームじゃないんだから、才能(生まれ)やスキル(環境)やレベル(育ての親)なんて気にしなくていいんだよ』

 

 

『キミには…そんなものを乗り越える、私が教えたとっておきの必殺技があるじゃん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほら、『やればなんとかなる』ってヤツだよ!もう忘れたの?』

 

 

「や、やればなんとかなるって…」

 

 

 思わず綾小路は呆れ半分苦笑半分の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ま、それでなんとかなったら…ゲームならクソゲー扱いだけどね』

 

 

「だ、だがそんな都合の良い『それにね』…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さっきも言ったけど、私の友達(仲間)も手伝うからさ』

 

 

「手伝う…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーおー、しけたツラしてんなあ、綾小路」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、急に夢の中に現れて"助けて欲しい"だなんて言って、七海のやつ…帰ったら全部説明してもらうわよ」

 

「な、なんで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、ここが綾小路のココロの中か」

 

「なんでお前らが、ここに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ…思った以上に、あなたは友達思いに…感情豊かになっていたのですね」

 

「何で…オレのココロの中にいるんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか、橋本正義、神室真澄、葛城康平、坂柳有栖の4名がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくわかんねーけどよ、綾小路」

 

「お前は確か…橋本、だったか?」

 

「ああ、ってそんなのは今はいい。お前が消えちまったら、こっちの姫さんはともかく…」

 

「橋本くん?」

 

「そこのゲーマー…七海ちゃんは間違いなく絶望するぞ」

 

「!」

 

「もし七海ちゃんがそんなこと(未来)になったら、Aクラスは夢のまた夢だ。お前だけじゃなく、俺の未来まで絶望一色になっちまう。俺は、そんなもの(絶望)は絶対にごめんだね」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、綾小路」

 

「神室…」

 

「あんた、バカじゃないの?」

 

「え…」

 

「なんで、誰にも相談しないのよ」

 

「!!」

 

「言っとくけどね、アンタが閉じ込められてたっていう、ホワイトルーム?白い場所?なんでも良いけど、世間一般に知れ渡ったら間違いなく炎上モノよ。SNSで滅茶苦茶燃え上がって、ニュースにもなって、とんでも無い騒ぎになるわよ。もちろん、相手は政財界とのパイプもある人物、揉み消そうとするでしょうけど…」

 

「ああ。だからオレが声を上げても「だから、なんで1人で戦おうとしてるのよ!」!!」

 

「そりゃ、1人2人なら間違いなく揉み消されるでしょうよ。ここにいるみんなでも、無理でしょうね」

 

「ああ」

 

「なら、この学校の生徒達は?教師達は?」

 

「!」

 

「今年だけじゃない。来年、再来年に入学してくる生徒達も含めたらもっと増えるわ。話を繋いでいけばもっともっと増える。それでも無理なんて言うの?」

 

「…」

 

「あのねえ、ホワイトルームが消えなかったら、将来的には私達の…子供まで誘拐されるかもしれないのよ?それを、黙って見過ごせって?日本のため?世界のため?ふざけんじゃないわよ!!私達はゲームの駒じゃないのよ!?どう考えても鎮火なんてできるわけないでしょ!ホワイトルームが消えるまで…あんたの親父が消えるまでは、絶対に終わらないわよ。そんなこともわからないわけ?」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それだけ、洗脳されていたということだろうな」

 

「!!葛城…」

 

「そんなこと、考えつかないように…考えついても、無駄な事だと思うように刷り込まれていたのだろう。本当に…本当に…巫山戯た話だ。自分の息子を何だと思っているのだ」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とも思っていないのでしょうね。きっと、チェスのクイーンのように、自分が自由にできる駒程度にしか考えていなかったのでしょう。そして、自分はそれを操れるプレイヤーだと…そう、錯覚していたのでしょうね。…哀れな話です、本当に…絶望的なまでに」

 

 

「坂柳…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、綾小路くん…』

 

 

『誰か(父親)の為じゃないよ。キミは…自分(キミ)自身の為にやるんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレ…自身?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さてと!じゃあそろそろ、綾小路くんのカッコイイところを見せて貰おうかな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほら、ここからは『私』も手伝うからさ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手伝う…?」

 

 

 

 

 

 

 

 七海に手を引かれる形で、上へ上へと昇っていく。

 その手からは何故か、2人分の温もりを感じた。

 

 

 

 

 

ーー

 

 

「ー隆」

 

 

 声が聞こえてくる。

 

 

「ー前は、俺ーら逃げらーーい」

 

 

 それは誰よりも聞き覚えのある声でーー

 

 

「こー先、お前はずっと俺ーーで、俺の支配下で暮らす」

 

 

 誰よりも耳障りなーー

 

 

 

 

 ーー忌々しい声(クソ親父の声)だった。

 

 

 

 

 恐らく、オレが意識の底にいる間も、ずっと同じ言葉を投げ続けていたのだろう。

 

 

「高校を卒業するか、退学すれば再び白い部屋に戻ることになる」

 

 

 先程から、同じ内容が何度もループするように繰り返される。

 

 

「最終的には、政治の駒としてお前を飼い殺す」

 

「間違ってもこの檻からは出られない」

 

「お前は産まれた瞬間からこうなる運命だった」

 

「お前は一生、俺の奴隷だ」

 

「お前はーー」

 

 

(ああ、そうか。そういうこと、だったのか…)

 

 

 今ならわかる。この声は…この言葉は…

 

 

(オレ自身が、無意識のうちに作り上げた幻だ)

 

 

 幼少の頃、親父に言われ続け、知らず知らずのうちに自分のココロを守るかのように…"真実"から目を逸らすように作った、防波堤。

 

 最も、その真実は今となってはとても脆く、弱いものであったが。

 

 

(ずっと、オレは勘違いをしていた)

 

 

(オレはずっと、守っているフリをして逃げ続けていた)

 

 

(偽りの真実を本当だと信じ込んで、より深くに埋め込んでいた)

 

 

(本当は、"そんなもの(未来)は存在しない"(確定していない)というのに…)

 

 

(何とも、滑稽な話だな)

 

 

 不意に、口元が僅かに緩む。

 

 

(…七海に、みんな(仲間)に謝らないとな)

 

 

 

 

 

 

 

 現実ではどうなっているかはわからない。

 時が止まっているのか、2人して倒れているのか。

 誰かに拾われて寝ているのか…

 夜中だからそれはないか。

 

 

 

 

 

 

 

(そういえば、七海は何処に…?)

 

 

 ふと、先程までオレを引っ張ってくれていた七海の気配が何処にもない。

 

 

(…先に帰った?……いや、違う)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(オレの中に、いる?)

 

 

 何故そう感じたかはわからないが、何だかとても、心地良い。

 今なら、何でも…本当に何でもできそうな気がする。

 多分、この空間にいる間の一時的なモノだと思うが、それで十分だった。

 

 

(やればなんとかなる…だったか。さっきまでのオレなら、そんなゲームみたいな都合のいい話があるかと…そう思っていただろうな…だが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これ(オレ)はゲームじゃないんだよな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こういう時、アイツ(七海)はなんて言ってたか…そうだ、アレだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ もしよろしければ、ここからは『希望のダンガン』の1番目の歌詞(曲)をバックにお楽しみください。(歌詞の一部分は本文の内容に脳内変換すると、よりお楽しみ頂けると思います)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレは、放つ。

 

 

 オレを縛り続けている、ひどい論破ポイント(ウィークポイント)全部に向けて…

 

 

 

 思いっきり、腹の底から。

 

 

 

 

 

 金色(オレ)と桜色(アイツ)の混ざり合った瞳で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それは違うぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷路のような 嘘まみれの世界(ホワイトルーム)

 

 

 

「何が違う」

 

 

 

欺瞞に満ちた 作られたゲーム(育てられた駒)

 

 

 

「昔からお前は、俺の道具だった」

 

 

 

 

答え(自由)を求め 彷徨い続ける

 

 

 

 

「俺の言いなりだった」

 

 

 

 

自分(オレ)自身の 出口(未来)探してる

 

 

 

 

 

「お前1人で何が出来る」

 

 

 

 

 

オレ(キミ)に 何が 出来る?

 

 

 

 

 

「お前は特別じゃない。ただの人間(息子)だ」

 

 

 

 

 

オレ(キミ)は 特別じゃない

 

 

 

 

 

「お前は一生」

 

 

 

 

だけど

 

 

 

 

 

「俺の」

 

 

 

 

 

オレ(キミ)を 救う ための

 

 

 

 

 

 

「道具(息子)だ」

 

 

 

 

 

 

 

未来《奇跡》なら、胸-ココ-にある!

 

 

 

 

 

 

『それは違うぞ!』

 

 

 

 

 

絶望の罠に

 

 

 

 

『もうオレ《キミ》は迷わない』

 

 

 

 

脅かされ 傷付けられても

 

 

 

 

 

『たとえ辛く、実現困難な未来《奇跡》でも』

 

 

 

 

 

絶望を払う

 

 

 

 

 

 

『絶対に掴み取る』

 

 

 

 

 

 

ただ一つの オレら(私達)の武器

 

 

 

 

 

『オレ《キミ》は…オレ《キミ》の望む未来《奇跡》は…』

 

 

 

 

 

「未来《奇跡》」を放つ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 七海《キミ》と、みんな《仲間》と共に歩く自由な未来《奇跡》だ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そう、奇跡だって起こせる。…今なら、そう思える。だってここ(オレ)は、ゲーム(1人)じゃないんだからな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『イカロスの翼』。知っているか?」

 

「ええ、まあ」

 

「ダイダロスの忠告を破ったイカロスは自由を求めた結果、蝋で固めた翼が太陽に焼かれて溶け、墜落する。お前なら、どうする?」

 

「…創りますよ」

 

「翼(道具)を?」

 

「未来(奇跡)を」

 

「翼(道具)なんか無くても、自由に飛べる…そんな未来(奇跡)を、創りますよ」

 

「お前1人でか?」

 

「いいえ。友達(彼女)と…仲間(未来)と一緒に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私(彼女)のこと、これから"も"よろしくね、綾小路くん」

 

 

 

 

 

「ああ、よろしく、七海。…これまでも、これから"も"、このさきも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綾小路くん」

 

 

 

 

「七海」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり」

 

 

 

 

「ああ、ただいま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これはスーパーダンガンロンパ2の七海千秋に転生しちゃった元男(現少女)が、実力至上主義の教室でゲーム友達を増やしたり、たまに核心をついた発言をしてクラスにちょっとだけ貢献したり、親友となったとある少女や少年とチェスをしたり、色々なゲームで遊びながら高校生活を駆け抜けていく未来(奇跡)のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。

 

 

最終話

 

 

最高傑作(過去)とゲーマー(未来)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー本作品に発生していたエラーは全て取り除かれました。ウィークポイントを自動的に訂正し"本来のタイトル"に戻りますーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七海千秋(2人)のようこそ実力至上主義の教室へ。

 

 

第十一話

 

 

ゲーマー(未来)と最高傑作(奇跡)

 

 

fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 大!満!足!
 これにて完結です!(それは違うぞ!)

 Q.途中からの流れ全部トンチキやないかい!!!!!
 A.すみません。気づいたらこうなってたんです。反省しています。後悔はありません。
※ ここから下はお読みになられなくても大丈夫ですが、気になる方はどうぞ













 当小説を書こうと思い、実際に第一話を書き始めたのが10月8日の夕方頃でした。
 そこから丸一日かけて第八話まで書き切り、加筆や修正を重ねてお出しした後続きを書くかどうするか…お気に入りや感想を見て決めるかと思い、寝て起きた翌日、お気に入りが一気に増え、感想も続きを求める声があり変な汗が出ました。
 とりあえず出来上がったらあげるかーとどこまで筆が乗り続けるかなとか呑気に考えてたら次の話が出来上がり…本当に九話以降は未定の予定だったんです!…未定の予定って何?

 最初はさらっと流して3人の日常を書きたかったのですが書いてくうちに色々と書きたいものが増えていって、話が伸びに伸びてここまで引っ張ってしまいました。坂柳と綾小路の絡みについてはほとんどありませんでしたね…3人の絡みを見たくて来られた方には大変申し訳なく思っております。すみませんでした。

 後は細かい描写はなく、日常回もぼちぼち書きつつ原作部分はダイジェスト風に飛ばし飛ばし進んでいくかもしれません。時系列が前後するかもしれないので書きたいイベントやお話を作った話の間に差し込む形になるかも。何から書くかも、どういう流れにするのかも全く何も思いついてません。ヘトヘトです。(いつ書くかは完全に未定。疲れたので一度筆を置き、更新は当面の間ありません)
 ここまでご愛読いただき、本当にありがとうございました!

〜10月15日追加〜
 ハッピーエンドルートが確定したため、完結状態にさせていただきます。
 番外編として今後のちょっとしたお話や日常回がひょっこり出るかもしれません。


以下、第十一話のキャラクター紹介
※ 滅茶苦茶長いので読まなくて大丈夫です。(物語の補完のために書いてましたがこの先って見る人いるんですかね?)













七海千秋(別人)
 普段は心の奥底(七海(別人)が認識できない空間)にいる七海(本人)とシンクロすることでスーパー七海千秋ちゃんモードになる(命名:2人の七海千秋)。髪の色や見た目は変わらないものの、瞳の色が(綾小路や坂柳など、見る人が見ればわかる程度に)深いピンク色に変わる。
 このモードになると、金色の言葉自体は打ち抜けない(論破できない)が、その言葉の裏に潜むココロのウィークポイントを論破できるようになる。
 が、これは非常に消耗が激しいため、1日1回しかできないし、七海(本人)からのアクセスと手助けが必要となるため普段は使えない。
 今後使われることはない。(多分)


七海千秋(本人?)
 普段は七海の心の奥底でゲームをしていたり七海(別人)のモニタリングをして楽しんでいる。
 実は、彼女のあり得た未来を見せてくれるお礼として、七海千秋(別人)に2つの能力を付与した張本人。
 何故彼女が七海(別人)の中に生まれたのかは、想像にお任せする。


綾小路清隆
 "機械化ルート(絶望のバッドエンド)、消滅"
 原作主人公。
 ずっと自分で自分の未来を決めつけていた(決めつけられていた)ため、彼の言葉は核心に満ちていた。
 スーダン2の"彼"のようになりかけていた(半分以上はなっていた)が、2度とそんなことにはさせないという七海(2人)の言葉(ダンガン)により確信した未来を改変(ロンパ)された。
 その後は自身を蝕む過去(親父)に一度は飲み込まれるも、謎の影と七海に他の4人の手助けや言葉を受け、七海(仲間)と協力して自身の過去(クソ)を消し去った。
 直ぐに動くことはしないが、ひとまずは七海や坂柳を始めとした5人と自クラスの担任に自身の境遇と自身の望む未来の話をした。


影
 綾小路をそれとなく手助けをした謎の影。
 何やらアンテナのような髪が生えているようだが…?
 何故綾小路のココロに現れたのかよくわからないが、きっと奇跡が起きたのだろう(七海が何かした)。


坂柳有栖
 今回のMVP。彼女が七海に真実を話さなかったら綾小路は救えなかった。
 今作での彼女は七海に憧れており、綾小路との関係は良きゲーム仲間(ライバル)。

 当初綾小路を例の施設で知った直後は、彼は私が超えなければいけない(倒さなければいけない)と思っていたが、その後七海のことを知り脳を焼かれたと同時に彼のことは頭の片隅に眠っていた。高校にて綾小路と七海を通じて出会う(再会する)まで忘れていた。

 出会った後は、少なくとも高校3年間は彼が平穏に暮らせるように願っていた。それはそれとして彼とはチェスやゲームでよく競い合っている。

 そんな折、綾小路が遊ばなくなった時は彼の心境を考え、そっとしておこうと考えていた(3年後には別れることになるため、感情が芽生えた彼は将来的な寂しさや苦しさを感じているのだろうという考えであった)。
 が、七海の泣きそうな表情と嘆願により考えを改める(ルート変更)。

 自分の性格(未来)を変えてくれた(救ってくれた)七海なら、彼のことも救ってあげられるのではないかと考えを新たにし、七海に彼と例の施設の情報を託す。
 全て話し、最後に「何かありましたら、微力ながら"お力添え致します"」と言った直後に七海が外へ綾小路を探しに出た後暫くは起きて待っていた。
 が、時間が掛かっているなと思いながらいつの間にか寝てしまった後、夢の中に七海(別人)が(なんやかんやして)現れ「助けて欲しい」と言われる。間違いなく彼のことだろうと思い快諾。
 その後は彼女に導かれ綾小路のココロに入り込んだ直後、謎の過去の映像を流される。
 彼のことだと直ぐに分かった彼女は、やはりあそこはとんでもない場所だと思いながら映像が終わった後、綾小路と合流した。


橋本正義
 今作では気のいいチャラ男ポジ。
 葛城の言葉(コトダマ)に巻き込まれる形になった。
 突然夢の中に七海(別人)が現れ、「助けて欲しい」と言われて何のこっちゃと思いつつも、彼女のただならぬ雰囲気と自身の直感を信じて承諾。
 彼女に導かれる形で綾小路のココロに潜り込んだと思ったら急に謎の過去の映像が流れて、多分彼のことなんだろうなと思いつつよくわからないままに綾小路と合流した。


神室真澄
 今作ではツンだか七海にはよくデレる可愛いお姉さんポジ。
 橋本と同じく葛城の言葉(コトダマ)に巻き込まれる形となった。
 突如夢の中に七海(別人)が現れ、「助けて欲しい」と言われた直後は「急に何…」と口にした。が、彼女の泣きそうな顔を見るなり溜め息をつきつつ「後で全部説明してもらうわよ」と約束を交わし、承諾。
 彼女に連れられ綾小路のココロに乗り込んだ直後、謎の過去の映像が流れてきて困惑したが、彼の過去だろうと分かり、内心彼にも映像で見えた施設にも怒りながら綾小路と合流した。


葛城康平
 今作の準MVP。彼の"言葉"(コトダマ)があったおかげで七海は助けを求められた(綾小路を助けられた)。(よくわからなかった方は前半部分に答えがあるので探してみてほしい)
 今作では面倒見のいい長男ポジ。
 自身の言葉(コトダマ)が原因とは露知らず、突然夢の中に現れた七海(別人)に驚きながらも「助けて欲しい」という声に以前約束した言葉を思い出し、夢の中であろうと「俺でよければ、手を貸そう」快諾。
 葛城は良い男である。
 その後、彼女の後をついていき綾小路のココロに突入後すぐに謎の過去の映像が流れ、彼のことなのだろうと思うと同時に神室以上に例の施設への激しい怒りが内心湧き上がりながらも綾小路と合流した。
 葛城は良い男である。間違いない。



茶柱佐枝
 綾小路(Dクラス)の担任。七海の数々の行動により、勝手に光堕ち(キャラ崩壊)した。
 本来(原作)は勝手に入試のテストを他人に見せたり退学を盾に脅したり、色々と教師としてあり得ない問題行動ばかり取る。今作では一切そんなことはしていない。したくなくなった。
 電話で脅された後は暫く混乱しており、ひとまず綾小路に話をした。その後の綾小路の様子から、話した事を後悔していた。
 が、後に当人から2人で話をしたいと言われ、話を聞き大人として、教師として守るために行動を水面下で開始することになる。



綾小路篤生
 今回の件のクロ。いや、真の黒幕(ラスボス)。
 今作では、実際に7月に入ってすぐに電話をして茶柱を脅した。
 長い年月を経て、息子(清隆)のココロの奥深くに傷をつけた張本人(本人は無自覚の為なおのことタチが悪い)
 彼がこの先どうなるのかは、筆者にもわからない。
 ただし、先が見えないほどの真っ暗闇(世界からのオシオキルート)なのは間違いない。

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