七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。 作:ろやる
2人は早めのバスに乗って来たからか、学校前にいる人だかりもまだそこまで混んでいなかった。
玄関前に白いボードとそれに貼り付けられた紙が4枚。A〜Dのクラスと、それぞれの下に名前が記載されている。
それを確認した結果、2人ともAクラスだった。
「有栖ちゃんと同じクラスで嬉しい、と思うよ?」
「ふふっ私も嬉しいですよ、千秋さん。」
坂柳の鞄を手に持ち、七海は彼女の歩幅に合わせてゆっくりと隣を歩く。
人はまだ少なかったが、2人が一緒に歩くと非常に絵になる光景だった。廊下ですれ違った相手は一瞬振り返ったり、立ち止まってぼーっと視線で追い続けたり。
「見られていますね。」
「有栖ちゃんが可愛いからじゃないかな、と思うよ?」
「いえ、それだけでは…どちらかと言うと…」
「有栖ちゃん?」
「いえ、何でもありませんよ。それよりも千秋さん、気づいてますか?」
「ん?監視カメラ?」
「ふふっ。えぇその通りです。やはり洞察力も長けておりますね。」
「たまたまだよ。丁度高校入学前にスニーキングミッションで有名なゲーム(メタ◯ギア)にハマってて、それでかな。」
「ふふっ。では、そう言うことにしておきましょうか」
何が楽しいのか、坂柳はクスクスと笑う。七海は(まあ、有栖ちゃんが楽しいのならそれでいっか。)と呑気に考えていた。
ーー
(あっちこっちに監視カメラが…ダンガンロンパを思い出しますなぁ〜)
さっきまでクスクス笑っていたが、今はずっと考え事をしながら歩いている有栖ちゃんを横目に、私は前世で一番楽しいと思えたゲーム、その一作目を思い出した。
ーーダンガンロンパ〜希望の学園と絶望の高校生〜
ダンガンロンパシリーズの一作目であり、今までなかったハイスピード推理アクションゲーム。
学校内でコロシアイが起きる度に、学級裁判を通じて主人公が捜査で得た情報や証拠、証言をコトダマに変えて打ち出し、議論を進めてクロを見つける。
制限時間の中、しっかりと矛盾を見つけコトダマを放ち、反論が成功した時の爽快感は一度覚えたらヤミツキになること間違いなしである(転生者談)
閑話休題
前世の記憶を思い出した後、私は当然、この世界のことを調べた。
この世界と言っても、希望ヶ峰学園や超高校級の才能、ダンガンロンパなどの単語をインターネットで検索しただけ。検索結果はどれも該当なし。もう少し詳しく個人名、◯◯◯◯◯◯◯(ネタバレ防止)についても調べたが当然のように該当なし。全国の高校名一覧なども調べたが該当なし。念の為に英語でも調べたがこちらも該当なし。
どんなに探しても該当なしなのを知り、半分嬉しく、半分寂しい気持ちになった。
(日向くんや苗木くんは居ないのか…)
1作目の主人公の苗木誠、2作目の主人公の日向創、念の為に3作目の主人公なども調べてみたが該当なし。もしかしたら何処かに居るかもしれないが、なんとなく、居ないんだろうなと理解した。
(それはそれとして、ゲームは楽しい!!)
その寂しさを埋めるわけではないが、今世ではありとあらゆるゲームに没頭した。
チェス、将棋、囲碁、リバーシを始め、アクションゲームやロールプレイングゲーム、ミステリーアドベンチャーにホラーゲーム、格闘ゲーム、FPS、音楽ゲーム、レトロゲームetc古今東西ありとあらゆるゲームを堪能した。お金は5歳の頃の闇歴史()にて優勝賞金があったため、問題はなかった。
両親もゲームに対して偏見を持つことはなく、勉強や受験を疎かにしないならオッケーと言ってくれた。
そうして問題も起こすことなく(黒歴史は例外)すくすくと育ち、あっという間に高校生になった。
ふと、隣を見る。一旦考えがまとまったのか、私と同じで情報不足で保留にしたのかは定かではないが、有栖ちゃんはこちらを見る。その顔を見るに、おそらく前者のようだ。
「もしかしたら、とても楽しい学校生活になるかもしれませんね。」
「有栖ちゃんにとって?」
そう聞くと、有栖ちゃんはふるふるとゆっくり首を振り、再びこちらを見る。
「千秋さんにとっても、ですね」
そう言い、不敵な笑みを浮かべるのだった。
ーー
Aクラス内は、まだ人はぽつぽつと数人席に着いているだけだった。スマホをいじっていたり、本を読んでいたり、近くの人に話しかけたりとさまざまだった。
七海は一旦坂柳とは別れて(入学式が終わったら合流する約束をした)、自分の席に座る。
視線をふと感じ、天井にさらっと視線を向けると、巧妙に隠してあるもののよくよく見ればそうだとわかる監視カメラが教室内の天井に2台設置されていた。
(うぅ〜ん、まさかコロシアイなんて起きない…よね?)
定期的にダンガンロンパに関係するのは調べていたため、今現在もそういった学校や言葉は存在していないのはわかっているものの、ここまで1作目を彷彿とさせる景色に七海は少しだけ辟易していた。
(とりあえず私も
七海は、そうして軽く眠りについた。