七海千秋(別人)のようこそ実力至上主義の教室へ。 作:ろやる
暫く経ってガヤガヤと少しだけ騒がしくなった頃、私ーー七海千秋は意識を浮上させる。
ポヤポヤとしながら辺りを見回すと、ほとんどの席が埋まっている。
空いている席の生徒はお手洗いか、ちょっと遠くの席の生徒とおしゃべりをしているようだった。
ふと有栖ちゃんの席を見ると、近くの席の2人の男女と何やら話をしている。
少しだけよく見ると、1人の男子が喋り続けているのを女子2人が適当に聞いているだけの様に見える。
そんな様子をぼんやりと見ていると、教室の前の扉がガラリと開く。
入って来たのはおそらくこのクラスの担任と思われる1人の男性だった。
それを察した生徒達は席につき、私語を止める。
「皆、席に…はついているようだな。おはよう、新入生諸君。私はAクラスの担任を務める真嶋智也だ。担当教科は英語を担当している。"
(クラス替えが存在しない…希望ヶ峰学園なら当たり前の話だったけど、ここはそうじゃない…と思う。うーん?もしかして?)
「まずは、この学校の特別なルールを説明しておきたい。既に入学前のパンフレットである程度の内容を知っているだろうが、改めてこれからこの学校に関するものをまとめたプリントを前の席に渡すから、後ろに回してくれ。」
少しずつ増えていく情報に疑感を覚えつつも、真嶋先生の話が続き、見覚えのある、合格発表を受けてから貰った資料が回って来る。
気になる事といえば、この学校は在学中は例外を除き外部に連絡が取れないこと。そして、学校の敷地から出ることも固く禁止されていること。
そしてSシステム。
七海はプリントと同じように前から配られてきた学生証カードを確認する。
(学生証…すなわち、電子生徒手帳…よりは分厚いけど。何より見た目はただのスマホだよね、これ。)
七海が支給されたスマホを見ながらそんなことを考えている間にも、真嶋先生の話は続く。
「学校の敷地内にあるものなら、この学生証があれば何でも購入可能だ。敷地内の各施設では専用の機械にこの学生証を通す、もしくは提示することで使用可能だ。それから、
(10万も?……それに、
七海がそう考える他所で、ざわざわっと軽い喧噪が教室内に広がる。
入学早々、学校側から10万円もお小遣いが渡されたのだ。一高校生に与える金額としては、かなり大きなものだということは誰の目にも明らかだった。
「支給額に驚いているようだが、"この学校は
Sシステムと学校の説明を終えたAクラスの担任・真嶋先生はそう問いかける。
(実力…生徒…測る…監視カメラ…A〜Dのクラス分け…3年間変わらない…10万ポイント…毎月1日…まだ情報が足りない…)
「先生、早速ですが質問いいでしょうか」
「先生に1つ、お伺いしたいことがあります」
七海の頭の中でいくつもの
「若干だが葛城のほうが早かったな。そちらから聞こう。なんだ?」
「先ほど先生は『毎月1日にポイントが振り込まれる』と仰っていましたが、それは"
「それについては悪いが"
(答えることができない?…現時点では…なら答えられる日が来るのは…毎月1日?もう一歩、後一つ何か、情報が…)
「質問は葛城くんと概ね似たようなものでした。ですので少し変えます。今の先生の言い方を鑑みれば、"
「………それについても、"
(ポイント支給額が変動する?…しかも、また答えることはできない…もしかしてポイントの支給額って…この学校の仕組みって…)
この世に七海千秋として転生した本人は気づいていなかったが、元々原作の七海は、主人公である日向創と、七海千秋と狛枝凪斗の3人を合わせて、ネット上ではトライアルポイントゲッターズと呼ばれていた。
というのも本編中、主人公・日向創が、裁判ポイントゲッター的存在である七海千秋と狛枝凪斗から事件核心に近いヒントを与えられ、事件を紐解き真実に至る構図になっている所から。
要するに、
やがて真嶋先生が質問者がいないか確認し終わる頃、七海の頭の中で、一つの仮説が浮かび上がる。
その瞬間、七海は手を挙げる。仮説が正しいのか否かを確認するための、
「七海か。他に質問がある生徒はいないか?……いないようだな。では質問はこの場では最後とする。他に何かあったら職員室に来てくれ。待たせたな、七海。質問の内容は?」
「2つ、あります。1つ目は、仮にポイントが変動するとしたら、それは"
「仮の話とはいえ、坂柳の質問とあまり変わらないな。それについても"
ここまでは、想定通り。次の質問への繋ぎ。決定的な
「では、最後の質問です。仮にクラス単位だとした場合ーー来月から、いえ、既に今月から"
「ーーーー」
ピタリ、と明確に真嶋先生の言葉と体が止まった。それはまるで、学級裁判でクロとして銃弾で撃ち抜かれ唖然としているみたいに……。
そんな真嶋先生を見て坂柳は微笑みを深くし、葛城は眉間に皺を寄せ、他の生徒たちは困惑する。
「は?競争?何の話?」
「どうせまた答えられないで終わりでしょ。」
そんな様子に気づいていない他の生徒達の声が密やかに聞こえてきた時、ようやく真嶋先生は動きだす。顔色は心なし…いや、かなり悪くなっているようにも見える。
「……七海、悪いが、この後の入学式が終わった後、すぐに職員室に来てくれ。他の生徒は七海に対して、今の質問に対しての問いかけを禁止にする。」
「わかりました。」
今度こそ、生徒たちの間でどよめきが強くなる。答えられない、どころか個人で呼び出しを受け、更には七海個人への問いかけすら禁止にされたのだから無理もない。
クラスのほとんどの視線を受ける七海は、
(まあ、そうなる…と思ったけど。とりあえずゲームいっぱい買えるだけのポイントが受け取れたら良いなぁ)
と、マイペースにそんなことを考えていた。
ここまで七海が踏み込めた根拠については次回以降にて。
文章は完成しているのですがルビ振りの作業に追われています。
最初は綾小路と坂柳と七海の絡みを書きたいと思って始めたのに何故か初日の話が膨らんでしまった。