思ったより時間かかって焦ったよね本当。例のごとく次話の更新は未定です。
「見て、見て」
「どこ?」
「赤毛のっぽの隣」
「眼鏡かけてるやつ?」
「顔見た?」
「あの傷見た?」
翌日ハリーが寮を出た途端に、ささやき声がつきまとってきた。教室が開くのを外で待っている生徒たちが、爪先立ちでハリーを見ようとしたり、廊下ですれ違った後でわざわざ逆戻りしてきてじろじろ見たりした。
ハリーにとっては迷惑この上なかった。教室を探すだけでも精一杯だったからだ。
こ の学校の階段は本当に面倒なもので、広い階段に狭い階段、長い階段に短い階段。しまいには動き出してしまう階段も少なくない。
やっとの思いで教室への道に慣れたからといって安心はできない。授業そのものが大変だったのだ。魔法とは、ただ杖を振っておかしな呪い(まじない)の言葉を発するだけではないと、ハリーはたちまち思い知らされた。
水曜日の真夜中には、望遠鏡で夜空を観察し、星の名前や惑星の動きを勉強しなくてはならなかった。週に3回、ずんぐり小柄なスプラウト先生と城の裏にある温室に行き、『薬草学』を学ぶ。不思議な植物やキノコの育て方、どんな用途に使われるかなどを勉強するのだ。
ゴーストが教えてくれる『魔法史』なんかは特に退屈で、話し方も相まって何を言っているのか分からない時もあるくらいで、思わず眠ってしまいそうになる。もはやそういう魔法だという人もいるくらいだ。
マクゴナガル先生はやはり他の先生とは違っていた。逆らってはいけない先生だというハリーの勘は当たっていた。厳格で奏鳴そのものの先生は、最初の授業で生徒たちが着席するなり説教を始めた。
「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。いいかげんな態度で私の授業を受ける生徒は出ていってもらいますし、二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます」
それから先生は机を豚に変え、また元の姿に戻してみせた。生徒たちは感激して、早く試したくてうずうずした。しかし、家具を動物に変えられるようになるまでには、まだまだ時間がかかる事がすぐに判明した。
散々複雑なノートを取った後に1人1人にマッチ棒が配られ、それを針に変える実習が始まったからだ。授業が終わるまでにマッチ棒をわずかにでも変身させることが出来たのは、ハーマイオニーとドラセラだけだった。マクゴナガル先生は、クラス全員の前で彼女たちのマッチ棒がどんなに銀色で、どんなに尖っているかを見せた後、2人に向かって滅多に見せない微笑みを見せた。
ハリーは、他の生徒に比べて自分が大して遅れを取っていない事が判明し、ほっとしていた。マグル生まれの生徒も多く、彼らもハリーと同様、ここに来るまでは自分が魔法使いや魔女だとは夢にも思っていなかったようだ。
学ぶことがあり過ぎて、ロンのような魔法家族の子どもでさえ、初めから優位なスタートを切ったわけでは無かった。
その日ハリーはいつも通り制服に着替えて談話室に行くと『お知らせ』が張り出されていた。その内容は……
『飛行訓練は木曜日に始まります。グリフィンドールとスリザリンの合同授業です。』
何よりも空を飛ぶ授業を楽しみにしていたハリーはこのお知らせの張り紙を見て喜んだ。同室のシェーマス・フィネガンは、子どものころいつも箒に乗って田舎の空を飛び回っていたと話していたし、聞いてくれる人さえいれば、ロンだってチャーリーのお古の箒に乗ってハングライダーにぶつかりそうになった話をしたに違いない。
魔法使いの家の子はだれかれを問わず、暇さえあればクィディッチの話に花を咲かせていた。ハリーは内心それが羨ましかったのだ。
しかしネビルは今まで、一度も箒に乗ったことが無いと言う。ばあちゃんが決して近づかせなかったからで、ハリーも密かにおばあさんは正しいと思っている。だいたいネビルは両足が地面についていたって、ひっきりなしに事故を起こすのだから。
勉強の鬼のハーマイオニーも飛ぶことに関してはネビルと同じくらいピリピリしていた。こればかりは、本を読んで暗記すればいいというものでもないからだ。それでも彼女が飛行の本を読まなかったわけでは無いようで、ネビルに色々と本の知識を話していた。
その内ふくろう便がやってきてハーマイオニーの講義が遮られたので、みな内心ホッとした。
この時間ハリーは他の人と違いふくろうが何かを届けてくることは無かった。そのため、たまに近くの誰かの元に送られてくる新聞を読むくらいしかすることが無い。
「ロン。この新聞読んでもいい?」
「もちろん」
「ありがとう」
各々のふくろうが届けてくれた手紙や包みを開けている中、ネビルの元にも小さな包みが運ばれてきた。ネビルはうきうきとそれを開けて中の物を取り出す。中身は白い煙のようなものが詰まっている様に見える大きなビー玉ぐらいのガラス玉だった。
「おい、ネビル。それ思い出し玉?」
「本で読んだことがある。中の煙が赤くなるのは、何か忘れている時よ」
ハーマイオニーが説明をしている最中にも、ネビルの手の中の思い出し玉の煙はどんどん赤く染まっていく。それを見てネビルは首を傾げていた。
「でも、何を忘れたのか…。それも思い出せないんだ」
それを聞いていた周りの人たちは皆それぞれ(まぁ、ネビルだしな…)と考えてそれ以上追及するのをやめた。
ハリーもネビルから視線を新聞に戻し、今日の見出し記事を見て驚愕した。
「ねぇロン。グリンゴッツに強盗が入った。ほら、『闇の魔法使い、または魔女の仕業だと思われるが、何も盗まれていないとグリンゴッツのゴブリンは主張している。713番の金庫はその日事件の前に空になっていたらしい。』」
この記事を読み上げながらハリーはとある疑問が浮かんできた。この事件が起こったのは7月31日。つまりはハリーの誕生日だ。その日はハリーがハグリッドと一緒にグリンゴッツに行った日だった。
その時にハリーはお金を、ハグリッドはホグワーツの用事でとある物を引き出していた。そしてハグリッドが物を取り出したのが713番の金庫だったのだ。
「変だな?僕とハグリッドが行った金庫だ」
ハリーのその一言に聞いていたロンとハーマイオニーはどういう事だ?と顔を見合わせていた。
「ふぅん……。ポッターが訪れた日にその金庫に強盗が入ったと……。これはなかなか面白そうですね?」
少しの沈黙の後この時間はあまり聞かない声が後ろから聞こえてきた。驚いたハリーが振り返ると、そこにはドラセラが居た。
その日ドラセラはいつも通りふくろう便を受け取り、人脈作りのためにいい人はいないかと周りの生徒の様子を観察していた。そこでふとグリフィンドールのテーブルの一角が目に入る。そこではハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビル等が何やら騒がしくしていた。(グリフィンドールが騒がしいのはいつもの事だが)
好奇心が湧いてきたドラセラはその一団に近づいてみることにした。すると聞こえてきたのは今日の新聞の見出し記事とその金庫にハリーが行ったという話だった。
グリンゴッツに侵入して金庫を破る事はそれなりに困難を極める。そんな凄い魔法使いが欲する物をハリーは知っているかもしれない。自分が偉大な魔女になるためのヒントをハリーは知っているかもしれない。そう考えると自然に口が開いていた。
「ふぅん……。ポッターが訪れた日にその金庫に強盗が入ったと……。これはなかなか面白そうですね?」
「君には関係無いだろうマルフォイ」
「そんな事を言って強くなるための秘密を自分だけのものにするつもりじゃなくて?」
「なんの話だよ?」
なぜかここ最近ハリーは私を敵対視、とまではいかなくともあまり良い印象を持たれていない様子がする。別に何か『ハリーに』嫌われるような事はしていないはずだ。せいぜいがマグル出身のハーマイオニーに呪文学や変身術の授業で力の差を分からせたり、同じ聖28一族としてロンに相応の振る舞いとは何かを講義したりといった具合だ。どれもおかしな行動はしていない。
「まぁいいわ。私は物に頼らずにあなたより偉大な魔女になってみせるから」
「???」
私の言葉に訳が分からないといった表情をしているハリーにいまいち釈然としないまま、ドラセラはその場を後にした。
「さっきのマルフォイは何だったの?」
「「さぁ……?」」
ドラセラが去った後のテーブルではハーマイオニーがハリーに疑問を投げかけていたが、検討もつかないハリーとロンは口をそろえて分からないと言った。
一方ネビルはその間もずっと思い出し玉とにらめっこで格闘していた。
その日の午後3時半、ハリーもロンも、グリフィンドールの仲間と一緒に初めての飛行訓練を受けるため、正面階段から校庭へと急いだ。
よく晴れた少し風のある日で、足元の草がサワサワと波立っていた。傾斜のある芝生を下り、校庭を横切って平坦な芝生まで歩いていくと、校庭の反対側に見える「禁じられた森」の、遠く暗い木々が揺れていた。
スリザリン寮生は既に到着していて、20本の箒が地面に整然と並べられていた。
少し待っているとマダム・フーチがやって来た。白髪を短く切り、鷹のような黄色い目をしている。
「何をぼやぼやしているんですか!みんな箒のそばに立って。さぁ、早く!」
ハリーは自分の箒をちらりと見下ろした。古ぼけて、小枝が何本かとんでもない方向に飛び出している。
「右手を放棄の上に突き出して」
マダム・フーチが掛け声をかけた。
「そして、『上がれ!』と言う!」
全員が「上がれ!」と叫んだ。
ハリーの箒はすぐさま飛び上がってハリーの手に収まった。しかし、飛び上がった箒は少なかった。ハーマイオニーの箒は地面をコロリと転がっただけで、ネビルの箒に至ってはピクリともしない。
多分箒も馬と同じで乗り手の恐怖が分かるんだ、とハリーは思った。ネビルの震え声では、あからさまに地面に両足を着けていたいと言っているようなものだ。
次にマダム・フーチは、箒の端から滑り落ちないように箒にまたがる方法を実演して見せ、生徒たちの列の間を回って、箒の握り方を直した。ほぼ全員が先生に指摘されているなか、全く指摘されていなかったのはマルフォイだけだった。
「さぁ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないように押さえ、2メートルぐらい浮上して、それから少し前かがみになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ。1、2の」
ところがネビルは、緊張と怖気の合わせ技に、1人だけ地上に置いてきぼりを食いたくないという気持ちが加わって、先生の唇が笛に触れる前に思いきり地面を蹴ってしまった。
「こら!もどってきなさい!」
フーチ先生の大声をよそに、ネビルは抜けたシャンパンのコルク栓のようにヒューっと飛んで行った。4メートル、6メートル、ハリーはぐんぐん離れていく地面を見下ろすネビルの真っ青な顔を見た。とたんに声にならない悲鳴を上げ、ネビルは箒から真っ逆さまに落ち、そして……。
ドサッ、ポキッという嫌な音を立てて、ネビルは草の上にうつぶせに墜落し、草地にこぶができたように突っ伏した。
マダム・フーチは、ネビルと同じくらい真っ青になってネビルの上に屈み込んだ。
「手首が折れてるわ。さぁさぁ、ネビル、大丈夫。立って」
先生は他の生徒の方に向き直った。
「この子を医務室に連れていきます。その間、動いてはなりませんよ。箒もそのままにして置いておくように。さもないと、クィディッチの『ク』を言う前にホグワーツから出て行ってもらう事になりますからね!さぁ、行きましょう」
涙でぐしょぐしょの顔をしたネビルは、手首を押さえ先生に抱きかかえられるようにして、よれよれになって歩いて行った。
2人がもう声の届かないところまで行った途端、マルフォイはやれやれと声を出した。
「まったく…。あれで聖28一族なんですから不思議ですよね……」
「あ、ドラセラ。あれってネビルの……なんだっけ?」
「はぁ…。思い出し玉よ。さっきの暴走の時に落としたのかしら」
ゴイルは草むらで太陽の光を反射して光っている思い出し玉を拾い上げドラセラに渡す。ドラセラは受け取った思い出し玉を手の中でもてあそびながら何かを考えている。
「マルフォイ、こっちへ渡してもらおう」
ハリーの静かな声に、誰もが話を止めて2人に注目した。
「それではロングボトムが私の元に直接取りに来るようお伝え下さい。ついでに彼がもう少しマシになるように説教でもしますかね?」
「こっちに渡せってば!」
ハリーの口調が強くなり、ドラセラから思い出し玉を奪い取ろうと腕を伸ばす。ドラセラはそれをひらりと躱すと杖を取り出した。
「あら、情熱的ですね。しかし殿方が簡単に女性に手を上げようとするのはいただけませんよ?奪い取りたいならぜひこれをキャッチしてみてください 。
ドラセラが知らない呪文を唱えると、思い出し玉は凄い速度で飛んで行ってしまう。あんな速度で壁にぶつかりでもしたら粉々になってしまうと思ったハリーは、地面に転がっている箒をつかむ。
「だめ!フーチ先生がおっしゃったでしょう!?動いちゃいけないって。私たちみんなが迷惑するのよ!」
ハーマイオニーの叫びを無視して、ハリーは箒にまたがり地面を強く蹴って急上昇した。高く高く、風を切り、髪がなびく。マントがはためく。強く激しい喜びが押し寄せてくる。不思議なことに、どうすればよいかハリーには分かっていた。前かがみになる。そして箒を両手でしっかりとつかむ。すると箒は槍のように思い出し玉めがけて飛び出した。
思い出し玉の描く放物線が山を越え、落下を始める。ハリーはそれを見てさらに加速させる。見る見るスピードを上げて、落下する思い出し玉と競争していた。そして、とうとう思い出し玉が城壁に激突する直前にハリーは間一髪それをキャッチした。
ハリーは崩れかけた体制を立て直し、そのまま草の上に滑るように着陸した。
「ハリー・ポッター…!来なさい」
マクゴナガル先生が走ってきた。先生の有無を言わさない雰囲気に誰も何も言えない中、ハリーは黙って付いて行くしか出来なかった。
ハリーは自分が退学になると思っていた。2週間も持たなかった。きっと10分後には荷物をまとめるハメになっている。
正面階段を上がり、大理石の階段を上り、それでもマクゴナガル先生はハリーに一言も口をきかない。マクゴナガル先生はとある教室の前で立ち止まり、ドアを開けて中に首を突っ込んだ。
「フリットウィック先生。申し訳ありませんが、ちょっとウッドをお借りできませんか?」
ウッドとはたくましい5年生で、何事だろうという顔をしていた。
「ポッター、こちらオリバー・ウッドです。ウッド、この子は最高のシーカーですよ!」
夕食時に、マクゴナガル先生に連れられてグラウンドを離れてから何があったか、ハリーはロンに話して聞かせた。
「シーカー!?でも1年生がチームに入ったこともないのに。ハリー君最年少だよ!何年ぶりかな?」
「先生100年ぶりだって!」
結果的にハリーはお咎めなしだった。しかもそれに限らず、ハリーはグリフィンドールのクィディッチチームに入る事になった。そしてその噂はたちまち学校中に広がってしまい、ただでさえよく視線を感じていたのに、感じる視線の量が増えてしまった気がする。
その時、双子のウィーズリーがホールに入ってきて、ハリーを見つけると足早にやって来た。
「おいやったなハリー!ウッドから聞いたよ!」
「フレッドとジョージも選手だよ。ビーターだ」
「俺たちはお前がボコボコにされないように守るのが役目。保証は出来ないけどな。クィディッチ荒っぽいから」
「怖いぞ~。でも、死んだ奴はいないな。たまに消えちゃう奴はいるけど…」
「1月やそこらで出てくるけどね!」
フレッドとジョージもいつもの冗談(であってほしい)も交えながらハリーのチーム入りを祝福してくれた。2人が離れていくと、今はあんまり見たくない顔が現れた。クラッブとゴイルを従えたドラセラだ。
「随分とご機嫌そうですね?クィディッチのチームに入れたことがそんなに喜ばしいですか?」
「あぁ、とっても嬉しいよ。ある意味では君にも感謝したほうが良いかな?マルフォイがあんな事しなかったら僕が先生に見出されることも無かったわけだし?」
ニヤニヤと笑いながら見下ろしてくるドラセラに少し腹が立ったハリーは、嫌味ったらしく反撃することにした。ドラセラもまさかこんな反撃が飛んでくるとも思っておらず、苦い顔をしてしまう。
「くっ……まぁ、良いわ。魔法使いや魔女の実力にクィディッチは関係ありませんからね。たとえクィディッチが上手だろうと、結局は魔法の腕ですから」
「じゃあ1対1で決闘すればいいじゃん。魔法使いの決闘、ハリーとマルフォイで。ハリーの介添人は僕がする」
ドラセラの発言にロンが強気に返す。ロンの発言に、一瞬ドラセラは驚いた顔をしたがすぐ強気に返してきた。
「…い、良いでしょう。こちらはクラッブを介添人にします。時間は真夜中にトロフィー室でどうですか?あそこならいつも鍵が開いているはずです」
マルフォイが居なくなると、ハリーはロンに詰め寄った。
「魔法使いの決闘って何だい?介添人ってどういう事!?」
「魔法使いの決闘は、杖だけで戦う、相手に触っちゃいけないルールなんだ。介添人っていうのは、君が死んだら代わりに僕が戦うって意味さ」
ロンは気軽にそう言ってのけた。しかしハリーの顔色が変わったのを見て、ロンは慌てて付け加えた。
「死ぬのは、本当の魔法使い同士の本格的な決闘の場合だけだよ。君とマルフォイだったらせいぜい火花をぶつけ合う程度さ。2人ともまだ本当のダメージを与えられる魔法なんて使えないと思うし、マルフォイも売り言葉に買い言葉で引けなかったんだと思うよ」
「もし僕が杖を振っても何も起こらなかったら?」
「杖なんか捨てちゃえ。鼻にパンチを食らわせろ」
今しがたロンが自分で杖だけで戦い、相手に触らないと言ったばかりなのに殴っていいのか?と疑問に思いながらもとりあえず魔法使いの決闘について理解した。
「ちょっと失礼」
2人が見上げると、今度はハーマイオニーが立っていた。
「まったく…。ここじゃ落ち着いて食べることも出来ないんですかね?」
ハーマイオニーはロンの言葉を無視してハリーに向かって話し始める。
「聞くつもりは無かったんだけれど、貴女とマルフォイが言い争っている声が聞こえちゃったの……」
「聞くつもりがあったんじゃないの…?」
相変わらず無視されているロンがぼそりと呟く。ハーマイオニーはちらりとロンを見たが、すぐにハリーに向き直り続ける。
「……夜、校内をうろうろするのは絶対ダメ。もし捕まったらグリフィンドールが何点減点されるか考えてよ。それに捕まるに決まってるわ。なんて自分勝手な人なの?」
「まったく大きなお世話だよ」
ハリーはハーマイオニーの忠告に聞く耳を持たずにロンと一緒に夕食を再開した。
ドラセラはスリザリンの席に座り今夜の事を考えていた。売り言葉に買い言葉で魔法使いの決闘なんて受けてしまったが、そもそも夜中に校内を歩き回るのは校則違反だし、もしフィルチ等に見つかってしまってはとんでもなく減点されるに違いない。
しかし、一度受けてしまったものをこちらで勝手に反故にするというのも、由緒正しい魔法族としてのプライドが許さない。
「まぁ、ここで私の実力を見せつけてやれば、きっとポッターも私の仲間になりたがるはずよ!」
寮を抜け出す覚悟を決めたドラセラは、どうやって見つからずにトロフィー室に向かうかに考えを巡らせ始めた。