①最新話書く
②見直しをする
③誤字脱字の訂正。文章を修整する
④疲れた
⑤気分転換がてら先に頭に浮かんでいる展開を箇条書きで書く
⑥箇条書きじゃなくて、きちんとした文にしたくなる
⑦①に戻る
これの繰り返しです……
輝夜のお願いを聞き入れた翁は、五人の貴公子達を屋敷に招いた。意中の輝夜姫に会えると聞いた彼等は早朝から屋敷の敷地に足を踏み入れ、輝夜を待っていた。
一方その頃。
輝夜は貴公子達に述べる結婚の条件を頭の中で整理していた。
彼等は富、名声を生まれたときから持っていた。そんな貴公子達が達成できない条件。
それは、
輝夜はこの三年間で読み聞きした神話や物語に登場した品物を献上することを結婚条件にすることにしたのだ。
もちろん。存在しないので全て失敗に終わる出来レースだが、屋敷の周りで張り付く五人のストーカー達を諦めさせるのに丁度いいものだった。
そうして献上する品とその品を言う貴公子を頭の中で決めたところで、輝夜は御簾の隙間からそっと大広間の様子を伺った。そこには案の定、待ちきれないといった様子で集まっている男たちの姿がある。
輝夜は五人の貴公子の姿を眺めながら、ほんの少しだけ息を吐いた。
全員が上品な衣と高価な装飾品を身につけており、誰も彼もが自分こそが輝夜を妻に迎えるに相応しい男だと言わんばかりの顔をしていた。
────
うーわ……見るからに金持ち。
身振りだけでなく、所作からも高度な教育が施されたことが分かった。確かにお爺さんが婚姻を勧める訳だ。
どこの馬の骨か分からない奴よりも良い家柄できちんと教育を受けた奴のほうが良いに決まっている。
しかも、全員顔が良い。
小太りの人もいるけど、痩せたらきっとイケメンだ。
でも、俺は男だし、もう月に帰るから結婚なんかするつもりはないんだよな…………
「輝夜」
横にいるお婆さんに肩をトントンとされ、俺はすっと姫の顔に戻した。
どうやら、貴公子達を待たせてるので彼等の元へさっさと行けとのこと。
俺はお婆さんに頷いて、重い着物を引きずって歩き出した。
さてと。求婚を回避するために、頑張りますか。
──────
今か今かと待ち続ける貴公子たちの前に、御簾の向こうから一人の女性の人影が現れた。
待ち望んでいた女性の登場に彼等の心は躍るかのように湧き上がった。しかし、表には出さずに和歌や季節の情景にかけた雅な言葉で挨拶をすると、簾越しに女性の声が響いた。
「皆様。私のために、このような場所までお越しいただきありがとうございます」
凛とした華やかさもありつつ、男を惑わせる魔性の声。
輝夜の声に一瞬、貴公子達は返事をするのを忘れてしまったが、我に返り慌てて返事をした。
「……こ、こちらこそ。ようやく姫君のお姿を拝見できること、嬉しく思います」
「私も同じ気持ちにございます」
次々と返ってくる言葉に、輝夜は微笑みながら頷いた。
そして、少しだけ間を置いて、再び口を開いた。
「皆様が私との婚姻を望んでいることは、存じております。ですが……私は、まだ皆様のどなたとも夫婦になるつもりはございません」
その言葉に、場の空気が変わった。
貴公子達の顔に浮かんでいた笑みが消え、辺りは静かになった。
その静まり返った空気に翁も息を飲むしかなかった。翁は輝夜が婚姻に乗り気だと聞いて貴公子達を招いたのに、当の本人はする気はないと発言したのだ。
翁の視界には、貴公子達の姿が写っていた。
輝夜の魂胆が分からず首を傾げる者。
弄ばれたと憤慨する者。
輝夜に対する愛を綴った文を送り続けた者は絶望していた。
誰一人として言葉を発することができず、重苦しい静寂だけがその場を支配していた。
そうして、数十秒経った後、一人の貴公子が輝夜に尋ねた。
「………では、なぜ我々をお呼びになったのでしょう?」
貴公子のもっともな疑問に輝夜は袖で口元を隠しながら、にこりと笑った。
「簡単なことです。私は皆様のことを存じ上げません」
実際、輝夜は一方的に文を送ってきて、屋敷の周りにいただけの貴公子達がどういう人物なのかは知らなかった。
「もちろん、皆様がどれほど立派な家柄で、どれほど高い位におられるのかは、翁から聞き及んでおります」
「ですが、それだけで夫を決めることはできません。私は、これから長い年月を共に過ごす方を選ばなければならないのです。お顔や身分だけを見て、この方に決めました……などと簡単に決めるわけにはいきません」
輝夜の言葉に場は確かに……と納得した空気が流れ始めた。
もっともらしい言葉を並べながら、望んでいた雰囲気になって『ここまでは順調』と輝夜は内心でほくそ笑んでいた。
「そこで皆様に、お一人ずつ願いがございます」
「願いとは……?」
「ええ」
輝夜は五人を見渡す。
「私がこれから申し上げる品を、探し出して、私のもとへお持ちください」
「それができた方とならば──
私も婚姻について真剣に考えてみたいと思います」
その言葉に、五人の貴公子達の表情が変わった。
なるほど、姫は自分達の愛と熱意を試すつもりか。そう受け取った彼等からはやる気が満ち始めていた。
「……姫君は、我々の覚悟をお確かめになりたいのですね」
「ええ。皆様の想いがまことであるならば……ぜひ、
想いが本当なら、行動で示せという輝夜の言葉を受けて、貴公子たちは婚姻条件である品物の献上を快く受け入れた。
それもそのはず、輝夜の提示した条件は貴公子達からすれば、メリットしかないのだ。本来、一人の姫を巡った男の争いは血に塗れた熾烈なものになる。
しかし、輝夜は指定した品物の献上という明確な条件を示してくれている上、一人一人に異なる品を指定すると明言している。
そのため、貴公子達はそれぞれが課された品物を探すことに没頭でき、ライバルからの妨害に怯える必要も少なくなる。
彼等にとって、これほど公平で望ましい勝負はなかった。
────
それから輝夜は、五人の貴公子たちにそれぞれ持ってこさせる品物を告げていった。
石作皇子には、
車持皇子には、根が銀で茎が金、実が真珠である伝説の木の枝「蓬莱の玉の枝」
右大臣・阿倍御主人には、火に入れても燃えない「火鼠の皮衣」
大納言・大伴御行には、竜の首にある五色に光る「龍の頸の玉」
中納言・石上の麻呂には、巣くう燕が産むとされる「燕の子安貝」
輝夜の難題に微かに顔を顰める者。
余裕だと笑みを浮かべる者まで、多種多様な表情を浮かべながら貴公子達は屋敷を去っていった。
そんな様子を見ていた翁は、心配そうな表情で輝夜に尋ねた。
「のう輝夜。あんな難題、流石に無理があるのではないか?」
翁が心配しているのは、このままでは伴侶ができないことなのだろう。しかし、輝夜の目的はそもそも伴侶を作らないことにある。今後の輝夜を見据えて嫁に出したい翁に、その本音を悟られるわけにはいかなかった。
「ええ。ですが、これは必要なことなのです。婚約の条件として難題を課しましたが、これをどう解決するかで、あの方々の本当の人となりが分かるはずですから」
だが、輝夜は五人がどのような対応をするか予想していた。
十中八九、見つけられず偽物を持ってくるだろう。
貴族の面子が邪魔をして、正直に「ありませんでした」とは言えないはずだ。
そのため偽物を本物と言い張り、結婚を迫る人がいるだろう。
だが、高度な技術の塊である『もと光る竹』を使って解析すれば偽物を見破ることは容易い。
『偽物を持ってきて本物と言い張ったときは、その偽物がどこで作られたのかも当ててやるぜ……』
へっへっへ、と内心で笑う輝夜とは逆に翁は感心したように頷いていた。
「なるほどぉ……輝夜はよく考えておるの〜」
輝夜の言葉に納得して、笑みを浮かべる翁。
その純粋な賞賛とは裏腹に、輝夜の頭の中では五人の貴公子たちが辿る結末を、すでに思い描いていた。
輝夜
本当は月からの迎えが来るまで、のんびりと過ごしていたかった月人。しかし、求婚を正面から断れば、翁を悲しませるうえ、貴公子たちとの間にも面倒な問題が生じかねないので、誰にも達成できない無理難題を婚姻の条件にすることで、穏便に求婚を退けようと画策した。
かぐやと型番が近いので、丁寧に話すとヤチヨのような声が出せる。見た目は髪を下ろした黒髪のヤチヨで目の色がかぐやと同じオレンジと黄色。