感想、誤字報告ありがとうございます!
主人公とかぐやの名前は一緒なので、主人公の名前を漢字の輝夜にして差別化しております。
読みにくいと思いますが、竹取物語を組み込んだ二次創作なのでご了承ください笑
結婚条件に無理難題を突きつけられた五人の貴公子達。
まともに探せば永遠に見つからない品を最初に献上しに来たのは、石作皇子という名の貴公子だった。
彼が探したのは、
彼は輝夜に「天竺へ向かう」と文を残すと姿を消し、それから三年の月日を経てついに探していた鉢を見つけ出すことに成功したのだという。
そうして、輝夜に献上すべく持って帰ってきたのは
皇子は本物だと主張しているが、伝承にある『僅かな光でも神々しく輝く』という条件を満たしておらず、どう見ても偽物だった。
「ご覧くだされ。姫のため、天竺まで足を運び、ようやく見つけ出した仏の御石の鉢にございます」
世間知らずの姫だから、偽物を渡してもバレないと思ったのか、堂々と本物だと主張する姿に輝夜は呆れを通り越して感心してしまった。
念のため、解析してみたところ日本産の鉢で、作られて十年も経っていなかった。
『しかも盗品かよ』
鉢の汚れ具合から、普段から使われていた物であることは明白で、輝夜は近くの社寺から盗み出した品であることを容易に見抜くことができた。
輝夜は「はぁ」とため息を吐き、石作皇子に視線を向けると鉢を見つける過程でどのような苦難があったのかを語る皇子と、それに相槌を打つ翁の姿があった。
「旅の道中では、嵐に遭い──」
「ほうほう」
今まで村で暮らしてきた翁にとっては、外の話は新鮮だったのだろう。内容は全て嘘だが、興味深そうに話を聞いていた。
その姿に輝夜は苦笑いを浮かべながらも皇子の嘘を暴くことにした。
「嵐ですか。天竺への船旅はさぞ大変だったでしょうね」
「ええ、それはもう──」
輝夜は微笑んだまま、皇子の同意を無視して言葉を続けた。
「──行ったこともない割に、ですが」
その言葉に皇子の表情が凍りつく。
「『本物は光に当たると神々しく輝く』と伝えられておりますが、この鉢は蛍の光ほども輝いておりません。
この鉢は国内で手に入れたものではありませんか? 三年ほどの年月でこの国と天竺を行き来するのは不可能ですし……これは煤の汚れがひどすぎます。
日常的に使っていなければ、ここまで汚れるはずがありません。
まさかとは思いますが、近くの社寺から盗み出した品ではないのですよね?」
「っ……!」
輝夜の容赦ない追及に、御簾の向こう側にいる皇子はたちまち動揺した顔を浮かべた。これには翁も嘘だと気付いたようで、先程まで興味深そうに話を聞いていたが、今では驚いたように目を見開き、やがて気まずそうに視線を逸らした。
「そのご様子ですと、図星のようですね。それにしても想像だけで、ここまで見事な旅物語を紡がれるとは……歌人にでもなられた方がよろしいかと」
輝夜は袖で口元を隠しながら、小さく息を吐いた。
「では、縁談の話はなかったことにさせてもらいます。このままお帰りくださいませ」
輝夜は使用人を介して鉢を返却し、そう帰りを促すが皇子は帰らずにその場に残った。
先程まで嘘がバレて動揺していたというのに、今では開き直って輝夜に和歌*1を送り、口説き続けた。それに対して皇子に呆れきった輝夜は──
「お客様のお帰りですよ」
と、全く相手にせず皇子を帰らせた。
その後、輝夜には石作皇子からの文がたびたび送られてきていたが、輝夜は徹底的に無視を継続した。その結果、皇子は輝夜に姿を現すどころか、文を送ることもなくなった。
──────
次にやってきたのは車持皇子だった。彼に課された難題は根が銀、茎が金、実が真珠である、中国の伝説の島の木である蓬莱の玉の枝。彼も三年の月日を経て見つけたという。
もちろん。存在しない物なので偽物である。
しかし、目の前にある偽物は精巧に作られていた。
翁もあまりにも美しい出来栄えに見惚れていた。
「どうですかな、この玉の枝は。かの石作殿とは違い、まことの蓬莱より持ち帰った品。偽りなどございません。その目で、とくとご覧くださいませ」
「…………んふっ」
御簾の奥から漏れた微かな声。それは、石作皇子とは違うと言い張りながら同じように偽物を持ってきた車持皇子の滑稽な姿に、輝夜が堪えきれなくなって出たものだった。
「どうかしましたか?」
「………いえ」
輝夜は咳払いを一つすると、何事もなかったように続けた。
「それにしても、伝承の中でしか存在しないと言われた蓬莱の玉の枝を僅か三年で見つけ出されるとは、素晴らしいですね。多くの苦難があったのでしょう」
「ええ。唐へ渡るための船、人員、物資を揃えるのに多くの金を使いました。道中、命を落とした者もいます。この枝を手に入れるため、私は多くのものを犠牲にしました」
皇子は誇らしげに胸を張った。
皇子としては、
輝夜は静かに視線を走らせると、傍に控える使用人へ向けて、すでに屋敷の門前に到着していた"お客様"をここへ通すよう、指示を出した。
「なるほど。では、そのツケをいまお支払いいただくことになりそうですね」
「それは、一体どういう──」
「車持皇子!!」
その瞬間、怒号とともに屋敷へ数人の男達が乗り込んできた。
何事かと翁が驚いて蓬莱の玉の枝の前から身を引くと、リーダーらしき男が、飾られた枝に指を差した。
「それの代金がまだ支払われていないですよ!」
「……な、何のことだ。私には身に覚えがない」
男の言葉に皇子は顔を引きつらせながらも、どうにか平静を装おうとした。
「とぼけないでくださいよ! 銀の根に、金の茎、真珠の実まで付けて作れって言ったのあんたでしょうが!」
「屋敷の工房に三年も閉じ込められて、不眠不休で作らされた俺達の苦労をどう思ってんだ!」
「褒美を与えると言っていたのに!」
皇子の白々しい態度に、職人達が反発して、次々と怒りの声を上げる。
すると、一人が懐から、何度も折りたたまれた紙切れを取り出し、皇子の目の前に叩きつけた。
「ほら、これ。発注書ですよ。あんたの名前と花押、ちゃんと書いてあるでしょうが……!」
「……っ」
突きつけられた紙に、皇子の顔から血の気が引いていく。
その様子を、輝夜は袖で口元を隠しながら冷ややかに眺めていた。
「おやおや〜?枝を探すために、唐へ渡られたのではなかったのですか? 」
惚けるように輝夜が首を傾げて尋ねると、職人達の間にどよめきが走った。
「それは……」
「唐?何言ってんです?この枝はまる三年かけて俺達が作ったんだ」
「皇子は屋敷に籠もって早く作るように催促してきただけで、どこにも行ってやしない!」
次々と暴かれる真実に、皇子は恥辱のあまり顔を真っ赤にして、返す言葉を失っていた。黙ったまま微動だにしない皇子の様子に輝夜は仕方ないな、と息を吐くと彼に視線を向けた。
「車持皇子。偽物と分かった以上、これはお返します。そして、縁談の話はなかったことにさせていただきます」
そう言い、蓬莱の玉の枝を皇子に返却すると、今度は困惑している翁の方へと視線を向けた。
「翁、皇子の代わりにその方々に労いの褒美を与えてください」
輝夜の言葉に翁は戸惑いながらも頷き、使用人達に山のような食料に絹織物、さらには袋一杯の銭を運ぶように指示し、職人達に与えた。
「こ、こんなにも……本当によろしいのですか?」
「ええ。三年もの間、骨を折って働いてくださったのですから。これでも、まだ足りないくらいです」
職人達は何度も頭を下げながら、喜びを隠せない様子で屋敷を後にした。
一方、車持皇子は蓬莱の玉の枝を抱え、ふらつく足取りで屋敷の門をくぐった。誰とも目を合わせることなく、無言のまま立ち去っていく。
見送る屋敷の使用人達の視線さえ、今の彼には刃のように突き刺さったのだろう。
その後、車持皇子は恥をかかされたことを逆恨みし、帰路についた職人たちを待ち伏せして暴行を加えた。そして、輝夜から与えられた褒美をことごとく奪い去ると、そのまま山中へと姿を消したのだった。
(訳:あなたが白山のようにあまりにも眩しく美しいので、本物の鉢の光も消えてしまったのでしょう。私は鉢(恥)を捨ててでも、あなたを頼りに想い続けています)
輝夜
思い通りに事が進んでて内心大喜びな人。
職人達を労ろうと色んな物をあげたら意図せず車持皇子の面子を粉々にした。
あとの三人も石作皇子みたいに楽だったらいいな〜と思っているが……
かぐや
輝夜姫が同じ時代にいることをまだ知らない。