□■〈霊都アムニール〉
あなたは準備を整え【インビジブル・シェイド】との決戦に向かう。
既にジョブは【魔獣師】に変更済みだ。
あなたが仲間達とともに狩場でジェノサイドを噛ましていると、想定通り世界が暗闇で包まれた。
UBMのお出ましだ。
それを見るや否や即座にあなたは【ディバイン・ライト】に魔法を打つ様に指示した。
その通りに人狐は
光の槍が夜闇を駆け、雲を貫く。
そしてガラスが割れるような甲高い音がした後
『GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』
今まで一度も聞こえなかったUBMの悲鳴が聞こえる。
そう、【口蓋無外 インビジブル・シェイド】
その正体は
結界の形をしたアンデッドである。
先日あなたが【イレギュラー・アイ】で正体を探ろうとした所、周囲を取り囲む半球状の壁が感知出来た。
UBMのスキルは領域を展開する能力ではなく、結界を展開する能力だったのだ。
ついでにアンデッドと判断した理由は怨念。
この空間は妙に怨念が多い、そしてその供給元を辿ると端の壁に行き着く。
このことからあなたはこのUBMを結界型のアンデッドと推察した。
そりゃあ対処出来ない訳である。
テリトリーかと思ったらラビリンスで、ついでに本体が結界だから本体を見つけられない。
初見殺しが満載のクソボス、理不尽すぎる。
まぁそれは兎も角、UBMはアンデッドである訳で。
つまり聖属性魔法は相性バツグン!
あなたは【ディバイン・ライト】に魔法をバンバン撃つ様に指示を出した。
《ホワイトランス》が風を焼き、闇を割る。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!??』
乱れ打ちされた《ホワイトランス》により結界はボロボロだ。
UBMは即死以外何も出来ないのか手も足も出ない。
あなたは勝利を確信した。
あなたは念の為あたりを警戒しておきながらもう勝利宣言を考えている。
と、遂に結界が薄れていき…
『《SLAUGHTER FANG》』
――あなたは闇に抉られた。
◇◆
■【口蓋無外 インビジブル・シェイド】について
古代伝説級〈UBM〉【口蓋無外 インビジブル・シェイド】は虐殺者への怒りから生まれたモンスターだ。
本来、モンスターが死んでも大した怨念は残らない。
それはリソースの大部分が変換されるということでもあるし、知性がそれほど発達していないということでもある、そして
生きることは殺すことで、食べることは奪うことでもある。
それを彼らは本能か経験かで理解しているのだ。
自身は強きものでありその特権を享受しているが故に、自分より強き者に殺され、食べられると言うなら仕方ないと納得しているのだ。
されど、されども、
己の肉にも、骨にも、皮にも興味なく、食物連鎖を無視して、ただ
なればこそ、我等が驕りに驕った虐殺者を食い殺し、食物連鎖の輪に飲み込もう。
そうして怨念が募り、怨霊が生まれた。
その怨霊は無為な虐殺者を恨み、殺し、己の糧とした。
そうして成長して行くうちに、ただ虐殺者を殺すモンスターへと成り果てた頃、ジャバウォックの目に留まり、〈UBM〉となった。
【インビジブル・シェイド】の固有スキルは
第一スキル、《完全棺食》
自分の身体を空間に変え、内部に人を閉じ込め吸収するスキル。
一定時間以内に外に出ない場合即死させる非常に強力なスキルだが、見破られると弱い。
この戦闘でこのスキルは使えないと言っていいだろう。
第二スキル、《遊星無地》
とある〈UBM〉を捕食して獲得したスキル。
自らの姿を希薄化して、見つからないように移動するスキル。
発動に隙があるので戦闘では使わない、専ら移動用。
突然出現する原因。
そして
それを【インビジブル・シェイド】は使うことにした。
それはこの虐殺者を絶対に殺すと判断したからでもあるし、《完全棺食》を打破したこの敵を認めたからでもある。
故に【インビジブル・シェイド】は既に意味の無くなった《完全棺食》を解いて、魔物どもを率いる指揮者を喰らい、
――光の柱に貫かれた。
◇◆
▢【魔獣師】あなた
あなたは突如背後から出てきた怨念で出来たような闇の顎に反応も出来ず喰らわれた。
しかし、【身代わり龍鱗】のお陰で生き残った!
そしてあなたが身体に仕込んで置いた《ホワイトランス》のジェムを発動して距離を離した。
次いでに【ディバイン・ライト】が放った《ホワイトランス》のお陰で背後から離れたそれは、一言で言うなら幽霊だった。
よく見える割れた頭蓋骨にボロボロの黒い布を巻いた骨、浮いた身体、それは正しく幽霊だった。
見るからに対話とか出来なさそうな外見である。
人は見かけに寄らないとも言うし、一応対話を試みようとするあなたを襲ったのは先程と同じ深い闇でできた顎だった。
『GYIAA《SLAUGHTER FANG》!!!』
闇の顎を間一髪で回避したあなたは対話を諦め距離を取った。
そもそも人は見かけに寄らないって人の為の言葉じゃんね
そうやってあなた反省し、壁役のモンスターを前に出した。
『《SLAUGHTER FANG》!!!』
幽霊が放った怨念の顎によって壁役全滅した。
その一撃は地面を丸ごと吹き飛ばし周囲の地形を変えた。
うっそだろお前!??
あなたは驚愕した。
その一撃の凄まじさにあなたは一つの文言を思い出した。
UBM捜索スレでのUBM情報の一つ
曰く――このUBMの通った所には骨すら残らないとか。
骨どころか地形すら残らないが、とあなたは思った。
勿論第一形態の話だろうが妙に思い出してしまった。
というか【身代わり龍鱗】があるとはいえあなたが生きていることが不思議だ。
というかそれに追加でまずいことが起きている。
見るからにボロボロだった【インビジブル・シェイド】の傷が全て塞がっている。
恐らく攻撃回復の能力があったのだろう。
今までは見ることさえ叶わなかったが。
状況は
中近接即死級攻撃持ち万全UBM
VS
特攻魔法持ち遠距離従魔&非戦闘職瀕死敗北条件
である。
詰みかな?
というか明らかに遠距離職じゃないと倒せない第一形態から中近距離即死持ち不意打ち第二形態なの悪意あるだろ。
ナーフしろ運営。
だが、意外にも戦況は悪くない。
幸いAGIは高くない様なのでこのまま距離を取って魔法を引き撃ちすれば勝てるだろう。
【ディバイン・ライト】に《ホワイトランス》を乱れ打ちさせる。
【インビジブル・シェイド】もこれにはダメージを負い、前に進むことが出来ない。
『GYIAAAAAAAAAAAAA!!!?』
さすがのUBMも弱点属性の乱れ打ちには堪らないのかどんどん傷を負う。
これにはあなたも思わず手を止めニッコリ笑顔。
この状況で【インビジブル・シェイド】に選ぶことの出来る手札は少ない
一つは、このままゴリ押しで突き進んで殺すこと。
だが闇の顎の有効射程からは随分と離れている、
この距離を無防備に突き進むことは自殺に等しい。
もう一つは、
『GYAA《SLAUGHTER FANG》!!!』
第四スキル、《無相転為》
生物の視界外への即時転移。
【インビジブル・シェイド】の姿が掻き消え、あなたの背後に迫る。
そして。闇の顎によってあなたの儚き命が掻き消える
――前に【インビジブル・シェイド】が光の柱に貫かれる。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!??????』
あなたはこの状況に入った時点で勝ちを確信していた。(人はそれを慢心と呼ぶ)
だが賢いあなたは慢心しないので万が一の可能性を考えて対策していた。
そう、例えば、登場以降一度も使っていない転移に対する対策とか。
恐らくこのUBMには転移能力がある。
そうじゃないと突然の領域〇開も出来ないだろうしそもそもあなたは不意打ちを受けた時《気配察知》を使って居たのだ。
あなたはもしもの時に備えて罠を仕掛けた。
あなたは買い込んでおいた《ホワイトランス》のジェムを隠しておいて即席のトラップにしておいたのだ。
幸いここには、闇の顎の攻撃で飛び散った土が沢山あるので隠しやすかった。
束ねられた《ホワイトランス》を直撃され怨霊の体が薄れゆく…。
やはりあなたは天才かもしれない…。
あなたはドヤ顔で勝利を宣言した。
まあこれ、あなたも死ぬんですけどね。
あなたはバッサリダイエットされて下半身が無くなった身体が落ちる中、遠くなった耳でアナウンスを聴きながらデスペナを食らった。
【<UBM>【――無外 インビジ――・シェイド】が――――ました】
【MVPを選――――】
【――がMVPに選出――ました】
【――――に――特典【口―― インビジブル・シェイド】を――】
【致死ダメージ】
【パーティ全滅】
【蘇生可能時間経過】
【デスペナルティ:ログイン制限24h】
・あなた
もうちょっと頭が良ければ完封出来た。
・【ディバイン・ライト】
実はこの先生き残れる道がある。
・【インビジブル・シェイド】
条件特化型UBM。
広域殲滅型なら〈超級〉でも殺せる可能があったが何の変哲もないバカ【従魔師】にやられた。
一応死体を無駄にしない人間なので良かったと言えば良かった。