ポケットモンスター~波動の眼を持つ少年~   作:レイザル

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第9話 トキワジムはまさかの留守!?目指せ、ニビシティ!

◆午後の旅立ち、次なる目的地へ!

 

 

トキワシティのポケモンセンター。

 

 

「よし、みんな回復できたな!」

 

 

昼食を終えたシンヤは、カウンターで返却されたモンスターボールを確認しながら、満足そうに頷いた。

ヒトカゲ、ポッポ、コイキング、ニドラン♂、マンキー。

現在の手持ちは五匹。

 

 

そのうち、ポッポは22番道路で六連戦をこなしたばかりだった。ポケモンセンターでしっかり休ませたおかげで、先ほどまで見られた疲労もだいぶ和らいでいる。

 

 

「ポッポー!」

 

 

ポッポが元気よく鳴き、シンヤの肩の近くを飛び回る。

 

 

「おっ、もう元気いっぱいだな。でも、無理はするなよ。野生の頃の自分と今日の自分は違うんだからな」

 

 

「ポッポ!」

 

 

「いや、わかってるのか……?」

 

 

シンヤは苦笑した。

その足元ではヒトカゲが尻尾の炎を揺らし、コイキングは水の入った携帯用容器の中で元気に跳ねている。

 

 

ニドラン♂とマンキーも、外の様子が気になるのか、落ち着かない様子だった。

 

 

「さて、午後はどうするかな……」

 

 

シンヤは地図を広げた。

マサラタウンを出発し、トキワシティへ到着。22番道路ではポッポの実戦経験を積みながら、新たに六匹のポケモンと出会った。

 

 

まだ旅の初日だというのに、なかなか濃密な時間を過ごしている。

だが、旅の目的を忘れてはいけない。ポケモンリーグへの挑戦。

そのためには、ジム戦を重ねてバッジを集める必要がある。

 

 

「せっかくトキワに来たんだ。まずはジムを見に行こうか」

 

 

「ヒトカゲ!」

 

 

「ポッポー!」

 

 

二匹が元気よく返事をする。

 

 

「よし。それじゃ、トキワジムへ出発だ!」

 

 

シンヤは荷物を整え、仲間たちとポケモンセンターを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

◆トキワジム――あれ、閉まってる?

 

 

しばらく歩くと、目的の建物が見えてきた。

トキワジム。

ゲームで何度も訪れた場所であり、カントー地方のジム巡りをするうえで重要な施設だ。

シンヤは建物を見上げた。

 

 

「おお……ここがトキワジムか」

 

 

ゲーム画面越しに見ていた場所が、実際に目の前に存在している。

その感動は、何度味わっても薄れそうにない。

建物の造り、入口の門、周囲の景観。細かいところまで、現実の風景として目に入ってくる。

 

 

「さて、ジムリーダーはいるかな?」

 

 

シンヤは期待を込めて入口へ近づいた。

しかし――。

 

 

「…………ん?」

 

 

門は閉じていた。

入口の扉も開く気配がない。

 

 

建物の中から、人の声やポケモンの鳴き声も聞こえてこなかった。

シンヤは入口の前で立ち止まり、左右を見渡した。

 

 

「……あれ?」

 

 

もう一度、門を見る。

やはり閉まっている。

 

 

「いやいやいや。まさか……」

 

 

念のため、入口の近くまで行って確認してみる。

だが、どう見ても営業している様子はなかった。

 

 

「……留守?」

 

 

思わず、そんな言葉が口から漏れた。

ゲームなら、ジムリーダーが待ち構えていたり、イベントを進めることで挑戦できるようになったりする場所だ。

 

 

しかし、ここはゲームの画面ではない。

ジムリーダーにも都合があるし、ジムを運営する人々にも日常がある。

いつでも必ず挑戦できるとは限らないのだ。

 

 

「うーん……せっかく来たんだけどなぁ」

 

 

シンヤが困ったように頭を掻いていると、近くを歩いていた住民がこちらに気づいた。

 

 

「おや? 君、もしかしてトキワジムに挑戦しに来たのかい?」

 

 

「はい。これからジム巡りを始めようと思いまして」

 

 

「そうかそうか。だけど、残念だったね」

 

 

住民は、閉じた門を見ながら説明を始めた。

 

 

「トキワジムは、しばらく留守にするそうなんだ。ジムに挑戦したいなら、後日改めて来てくれって話らしいよ」

 

 

「えっ、そうなんですか?」

 

 

「うん。どうやら、ジムの関係者がしばらく外に出ることになったらしくてね」

 

 

シンヤは門を見つめたまま、黙り込んだ。

 

 

(マジか……。初日にジム戦を見学できるかと思ったんだけどな)

 

 

いや、見学どころか、挑戦すらできない。

もっとも、考えてみれば当然の話でもある。

ジムリーダーも常にジムにいるとは限らない。ポケモンの調整や仕事、外部との用事など、ジムを離れる理由はいくらでもあるだろう。

 

 

「それで、いつ戻ってくるんですか?」

 

 

「詳しい日程までは聞いていないんだ。ジムの門下生たちが案内の看板を用意しているそうだけど、まだ間に合っていないみたいでね」

 

 

「看板もですか……」

 

 

「急な話だったのかもしれないね。だから、今は入口に何も出ていないんだよ」

 

 

シンヤは改めて門を眺めた。

確かに、入口には休業を知らせる看板も、再開予定日を記した掲示もない。

事情を知らなければ、単に誰もいないだけの建物にしか見えなかっただろう。

 

 

「なるほど……教えてくださってありがとうございます」

 

 

「いやいや。君も旅を始めたばかりだろう? 頑張りなよ」

 

 

「はい!」

 

 

住民に礼を言い、シンヤはジムから少し離れた場所まで歩いた。

そして、仲間たちを振り返る。

 

 

「……というわけで、トキワジムはお預けだ」

 

 

「カゲ?」

 

 

ヒトカゲが不思議そうに鳴いた。

 

「簡単に言うと、今日はジム戦ができないってこと。相手がいないんだから、どうしようもないだろ?」

 

ヒトカゲは門の方を見て、それからシンヤを見上げた。

ポッポも、何となく事情を察したように翼を動かす。

 

 

「ポッポー……」

 

 

「まあ、仕方ないさ。旅は予定どおりに進むとは限らないからな」

 

 

シンヤは肩をすくめた。

 

 

(こういうところも、ゲームとは違うんだよな)

 

 

ゲームなら、ジムの攻略は物語の進行に合わせて用意されている。

しかし、現実の世界ではそうはいかない。

相手が不在なら、別のことをする。

 

 

目的地までの道が通れないなら、別の道を探す。

旅の途中で予定外の出会いがあれば、そちらに目を向けることもある。

それこそが、旅の面白さなのかもしれない。

 

 

「よし、気持ちを切り替えよう!」

 

 

シンヤは地図を開いた。

次の目的地は、ニビシティ。

その途中には、広大な森が広がっている。

 

 

「トキワの森を抜けて、ニビシティを目指そう!」

 

 

「ヒトカゲ!」

 

 

「ポッポー!」

 

 

二匹の声が響く。

コイキングも携帯容器の中で跳ね、マンキーは拳を突き上げた。ニドラン♂も、前へ進もうとするシンヤの足元についてくる。

 

 

「お前たち、やる気満々だな。だけど、森に入る前に準備を確認しておこう」

 

 

シンヤは荷物を開き、水や食料、ポケモンたちの状態を一つずつ確認した。

森の中では、街中のようにいつでも店や施設が見つかるとは限らない。

野生ポケモンとの遭遇も増えるだろうし、道に迷う可能性だってある。

だからこそ、準備は怠らない。

 

 

「水よし、食料よし、救急用品よし。ポケモンたちの状態も問題なし……っと」

 

 

確認を終え、シンヤはバッグを背負い直した。

 

 

「それじゃ、出発だ!」

 

 

こうしてシンヤと五匹の仲間たちは、トキワシティを後にする。

目指すは、トキワの森。

 

 

そして、その先にあるニビシティ。

まだ知らない野生ポケモンとの出会い、新しい環境での経験、そしてこれから待ち受けるジム戦。

 

 

そのすべてが、シンヤの旅を形作っていく。

森の木々が遠くに見え始めたところで、シンヤは足を止め、仲間たちに笑いかけた。

 

 

「さあ、ここからが本番だ。みんな、楽しんでいこうぜ!」

 

 

「ヒトカゲーッ!」

 

 

「ポッポー!」

 

 

「コココココッ!」

 

 

「ニッド!」

 

 

「ウッキー!」

 

 

元気な鳴き声を背に、シンヤはトキワの森へと歩き出した。

 

 




今回は特に更新するものはなし。
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