セキエイリーグが終わり、しばらく経ったある日のこと。
俺はマサラタウンにある自宅で、手持ちのポケモンたちの体調確認や、今後のトレーニングメニューの調整を行っていた。
リーグという大舞台を終えたとはいえ、俺たちの旅が終わったわけじゃない。
むしろ、あの大会を通じて見つかった課題も多い。
だからこそ、次の旅に出るまでの時間を有効活用しようと考えていたのだが……。
「シンヤ、ちょっといいか?」
「ん? どうした、父さん」
作業の手を止めて振り返ると、そこには父さんと母さんがいた。
ただ、二人とも少し不思議そうな顔をしている。
「実はな、倉庫に保管していた木材や建築用の資材が、一部なくなっているんだ」
「……資材が?」
「あら、盗まれたってわけじゃないと思うのよ? ちゃんと整理されていたし、持ち出した跡もあったから」
母さんがそう補足する。
「それに、ポケモンたちから採取した素材も少し減っているみたいなの」
「素材って……確か、抜け落ちた羽とか、自然に剥がれた鱗とか?」
「ええ。あとは岩石や鉱物なんかもね」
父さんが腕を組みながら頷いた。
「工具も何種類か使われた形跡がある。しかも、きちんと元の場所に戻されていた」
「…………」
なんだろう。
その話を聞いているうちに、嫌な予感がしてきた。
いや、別に悪い意味じゃない。
ただ、うちのポケモンたちは妙なところで自主性が強い。
俺が知らないところで独自のトレーニングを始めたり、庭の環境を改造したりすることも珍しくない。
以前なんて、番長ピカチュウを中心に勝手に合同訓練が始まっていたこともある。
……まさか、今回も?
「分かった。ちょっと調べてみるよ」
「頼んだぞ。別に資材を使うこと自体は構わないんだが、何を作っているのかは知っておきたいからな」
「ふふっ。怪我だけはしないでね?」
「はいはい」
俺は二人に返事をすると、庭へ向かった。
◆ ピカチュウからの報告
うちの庭は、とにかく広い。
森や池、草原、岩場など、様々なタイプのポケモンが暮らしやすいように環境が整えられている。
そのため、普段あまり立ち寄らない場所も存在する。
「さて……どこから調べるか」
そう呟いた、そのときだった。
「ピカッ! ピカピカチュウ!」
「ん?」
振り返ると、ピカチュウがこちらに向かって走ってきた。
しかも、妙に慌てている。
「どうした、ピカチュウ?」
「ピカ! ピカピカ! ピッカチュ!」
ピカチュウは俺のズボンの裾を引っ張ると、庭の奥を指さした。
「……あっちに何かあるのか?」
「ピカッ!」
どうやら、そうらしい。
俺はピカチュウの案内に従い、庭の奥へと進んでいった。
そして、しばらく歩いたところで――。
「…………」
思わず足が止まった。
「ピピカッチュ……」
隣のピカチュウも、なんとも言えない声を漏らしている。
「……何これ」
目の前には、明らかに人工的に造られた施設が三つ並んでいた。
いや、並んでいるというより、それぞれが十分な距離を取って配置されている。
そして、その外観はどれも異様だった。
一つ目。
黒っぽい岩石と金属で造られた、巨大な発電施設のような建造物。
周囲には何本もの避雷針らしきものが立ち、建物の上部では絶えず電気が弾けている。
バチバチバチッ!!
「……おいおい」
二つ目。
白い岩石と氷で覆われた、巨大な洞窟のような施設。
入口からは冷気が漂い、周囲の地面には霜が降りている。
しかも、建物の一部には氷柱まで形成されていた。
「……いや、ちょっと待て」
そして三つ目。
赤黒い岩石を積み上げた、火山を思わせる施設。
内部からは赤い光が漏れ、煙突のような部分から熱気が立ち上っている。
「…………」
電気。
氷。
炎。
この三つの組み合わせ。
しかも、それぞれが自然環境を模したような造り。
「……いやいやいや」
俺は額を押さえた。
まさか。
まさかとは思うが……。
「ピカチュウ。これ、いつからあった?」
「ピカ、ピカピカ……」
「……少し前から?」
「ピカッ」
「俺に知らせなかったのは?」
「ピカチュ……」
ピカチュウは少し気まずそうに目を逸らした。
……お前も知ってたのか。
どうやら、建設が始まっていたこと自体は把握していたらしい。
ただ、完成したものを見て、さすがに俺へ報告する必要があると判断したようだ。
「……とりあえず、誰が造ったのか確認するか」
そう言った直後だった。
ガコンッ。
電気施設の扉が開いた。
「エレキブル!」
「ジバジバ!」
中から出てきたのは、エレキブルとジバコイル。
続いて、氷の施設からはラプラスとムチュール。
「クーン♪」
「ムチュッ!」
さらに、炎の施設からはリザードンとブーバーンが現れた。
「グオォ!」
「ブバァ!」
「…………」
見事にタイプ別の顔ぶれである。
「……お前ら、ちょっと集合」
俺がそう言うと、六匹は素直に集まってきた。
「一つ聞きたいんだけどさ」
六匹がこちらを見つめる。
「……これ、お前らが造ったの?」
「エレキブル!」
「ジバッ!」
「クーン♪」
「ムチュ!」
「グオォ!」
「ブバァ!」
全員が、誇らしげに頷いた。
「…………」
なるほど。
つまり。
「父さんたちが言ってた資材の行方、これかぁ……」
俺は思わず空を見上げた。
◆ 三つの施設の正体
まずは、電気施設から調べることにした。
「エレキブル、ジバコイル。案内してくれるか?」
「エレキ!」
「ジバジバ!」
二匹に案内されて中へ入る。
すると、内部は想像以上に本格的だった。
金属製の柱が何本も立ち、壁面には電気を通しやすい鉱物が組み込まれている。
天井付近には放電用の装置らしきものまであった。
ただし、無闇に電気が外へ漏れないよう、絶縁材も配置されている。
「……よく考えて造ってるな」
エレキブルが得意げに胸を張る。
ジバコイルも嬉しそうに身体を回転させていた。
そのとき。
バチィッ!!
奥から強烈な放電音が響いた。
「……ん?」
視線を向けると、巨大な岩場の上に一匹のポケモンが止まっていた。
黄色い身体。
鋭く尖った翼。
全身から放たれる電気。
「……サンダー」
「ギャアァァ!」
サンダーは俺に気づくと、大きく翼を広げた。
その瞬間、周囲の金属柱に電流が走る。
「……なるほど」
ようやく理解した。
「ここ、お前の住処なのか?」
「ギャア!」
サンダーが力強く頷いた。
……マジか。
続いて、氷の施設へ向かった。
内部は外よりもさらに気温が低く、壁や天井には美しい氷の結晶が形成されている。
奥には大きな水場があり、その一部が凍りついていた。
「ラプラスが水場を整えて、ムチュールたちが氷を作ったのか?」
「クゥーン♪」
「ムチュムチュ!」
二匹が頷く。
そのとき、奥から冷たい風が吹いた。
ヒュオォォォ……。
「……ああ、やっぱり」
青白い翼を広げ、優雅に姿を現したのは――。
「フリーザー」
「フリィィ……」
フリーザーは静かに鳴くと、俺の前へ降り立った。
そして、どこか満足そうに翼を畳む。
「……気に入ってるんだな、ここ」
「フリィ♪」
うん。
これは完全に自分の家だと思ってる顔だ。
最後は炎の施設。
入口に近づいただけで、かなりの熱気を感じる。
「……これ、中は大丈夫なのか?」
「グオォ!」
「ブバァ!」
リザードンとブーバーンは自信満々だった。
内部に入ると、そこはまるで小さな火山地帯だった。
赤黒い岩盤。
熱を帯びた岩石。
一部には溶岩のように赤く輝く場所まである。
ただし、熱気を逃がす通気口が設けられており、炎が燃え広がらないよう区画も分けられていた。
「……ここまで造るか、普通」
その瞬間。
ゴォォォォッ!!
奥から炎が噴き上がった。
「うおっ!?」
思わず身構える。
そして、炎の向こうから姿を現したのは――。
「ファイヤー……」
「キュオォォォ!!」
燃え盛る翼を広げたファイヤーが、堂々と岩場に降り立った。
その姿は、まるで火山の主そのもの。
「……お前も、ここが気に入ったのか?」
「キュオォ!」
ファイヤーは満足そうに鳴いた。
「…………」
俺はしばらく三鳥を見つめたあと、深く息を吐いた。
「……つまり、そういうことか」
サンダー。
フリーザー。
ファイヤー。
三匹の伝説のポケモンが、それぞれ快適に暮らせるように造られた専用施設。
それが、目の前にある三つの建造物の正体だった。
「……三鳥専用の住処を、みんなで造っちゃったわけね」
◆ まるで『ぽこ あ ポケモン』
その後、俺は建設に関わったポケモンたちから、詳しい経緯を聞くことになった。
もちろん、ポケモンたちの鳴き声や身振りを通じての説明だが、長年一緒に過ごしてきた仲間たちなので、大体のことは理解できる。
どうやら、始まりは三鳥だったらしい。
サンダーは電気が満ちた場所。
フリーザーは冷気に包まれた静かな場所。
ファイヤーは高温で、炎の力を十分に発揮できる場所。
それぞれが自分に合った環境を求めていた。
ただ、庭には様々なタイプのポケモンが暮らしている。
三鳥が好き勝手に力を放てば、ほかのポケモンたちに影響が出てしまう。
そこで、エレキブルたちが中心となり、専用の住処を造ることになったらしい。
「……なるほどなぁ」
俺は腕を組んだ。
「それで、みんなで協力したのか」
エレキブルが頷く。
ジバコイルが金属資材を運び、電気設備を整える。
ラプラスが水場を造り、氷タイプのポケモンたちが冷却を担当する。
リザードンとブーバーンが岩石を加熱し、炎の施設を整備する。
さらに、地面タイプや岩タイプのポケモンたちが地盤を固め、力自慢のポケモンたちが資材を運搬。
草タイプのポケモンたちは周囲の植生を整え、建設で傷んだ地面を回復させる。
そして、完成した施設の周囲には、ほかのポケモンたちが安全に暮らせるよう十分な距離を確保したという。
「……なんか、すごいな」
いや、本当に。
ポケモンたちが協力して環境を整えていく光景。
前世の記憶にある『ぽこ あ ポケモン』を思い出してしまう。
「……リアルでやるとは思わなかったぞ」
俺は苦笑した。
もっとも、考えてみれば不可能な話ではない。
うちには多種多様なポケモンがいる。
それぞれが得意分野を活かして協力すれば、人間だけでは何日もかかる作業だって短期間で終わらせられる。
まして、資材も道具もある程度揃っている。
「……いや、確かに俺の手持ちの数なら、全員で手分けしてもそんなに日数かかんないけどさ」
それでも。
「普通、トレーナーに一言くらい相談しない?」
「ピカピカ……」
隣でピカチュウが気まずそうに笑う。
エレキブルたちも、少しだけ目を逸らした。
「……まあ、怒ってるわけじゃないんだけど」
俺は三つの施設を見渡した。
どれも、想像以上によく出来ている。
しかも、三鳥は明らかに満足している。
「ただ、次からは先に言ってくれよ? 父さんと母さんが資材がなくなったって不思議がってたんだから」
「エレキブル!」
「ジバッ!」
「グオォ!」
ポケモンたちは揃って返事をした。
……本当に分かってるんだろうな?
少しだけ不安になったが、そこは信じることにした。
◆ 両親への報告
「……というわけで、三鳥の住処が完成してました」
「…………」
「…………」
事情を説明すると、父さんと母さんは揃って固まった。
「……三鳥の?」
「うん」
「……住処?」
「うん」
「……ポケモンたちが、自分たちで?」
「うん」
父さんはしばらく無言になったあと、額に手を当てた。
「……まさか、うちの資材で伝説のポケモンの専用施設が造られるとはな」
「俺もびっくりしたよ」
一方、母さんはというと――。
「あらあら♪ みんなで協力して造ったのねぇ。素敵じゃない!」
……うん。
母さんならそう言うと思った。
「でも、資材を使うなら相談してほしかったなぁ」
「そこはちゃんと注意したよ」
「ふふっ。それならいいわ」
父さんは少し考え込むと、何か思いついたように顔を上げた。
「シンヤ、その施設、あとで詳しく調べてもいいか?」
「ん? 別にいいけど」
「電気の制御設備や冷却構造、それに高温環境の維持方法……ポケモンたちがどうやって実現したのか、技術的に興味がある」
「……父さんらしいな」
「当然だろう。特に電気施設の絶縁構造は確認しておきたい。火災や漏電が起きたら大変だからな」
「それは確かに」
というわけで、後日、父さんによる安全点検が行われることになった。
結果として、いくつか補強や調整が必要な箇所はあったものの、基本構造は非常によく出来ていたらしい。
父さん曰く、
「……ポケモンたちの発想には、時々人間の技術者が思いつかないものがあるな」
とのこと。
なんだかんだ、かなり楽しそうだった。
◆ 思わぬ特訓場
そして、さらに数日後。
俺は三つの施設に、もう一つの役割があることを知った。
それは――。
「……え、ここで特訓してるの?」
「ピカッ!」
ピカチュウが頷く。
案内されて電気施設へ向かうと、そこでは何匹ものポケモンたちがトレーニングを行っていた。
バチバチバチッ!!
「ギャアァァ!!」
サンダーが翼を広げ、強烈な電撃を放つ。
それに対し、ポケモンたちは地形を利用しながら電撃を回避していた。
中には、あえて弱めに調整された放電を受け、電気への耐性を鍛えているポケモンもいる。
「……なるほど」
単純に攻撃を受け続けるわけではない。
電撃の発生する方向を見極め、回避のタイミングを学ぶ。
電気が流れやすい場所と、そうでない場所を把握する。
さらに、電気タイプのポケモンたちは、サンダーの放電を観察して自分たちの技の精度を高めていた。
「……これ、かなり実戦的だな」
続いて氷の施設。
こちらでは、フリーザーが冷気を操り、内部に吹雪を発生させていた。
「フリィィ……!」
ヒュオォォォ!!
吹雪の中をポケモンたちが進んでいく。
足元は滑りやすく、視界も悪い。
そんな環境でも姿勢を崩さず、相手の位置を把握する訓練らしい。
氷タイプのポケモンたちは冷気の制御を学び、それ以外のポケモンたちは寒冷地での行動に慣れていく。
「……これなら、氷のフィールドで戦うときにも役立つな」
ただし、長時間の訓練は危険なので、ラプラスたちが体調を確認しながら交代制で行っていた。
そして炎の施設。
「キュオォォォ!!」
ゴォォォォッ!!
ファイヤーが翼を広げると、周囲の熱気が一気に高まる。
その中で、リザードンやブーバーンをはじめとしたポケモンたちが訓練していた。
炎タイプのポケモンたちは火力や熱の制御を磨き、それ以外のポケモンたちは高温環境での立ち回りを学んでいる。
もちろん、火傷や熱中症を防ぐため、温度が低い区画も設けられていた。
「……なるほどなぁ」
俺は感心してしまった。
電気。
氷。
炎。
それぞれの環境に対応する力を鍛えられる。
しかも、相手を務めているのは――。
「……伝説の三鳥、か」
普通なら、そう簡単に実現できる訓練環境ではない。
電気への対応。
冷気への対応。
高温への対応。
それだけでなく、三鳥自身の攻撃を見極めることで、強敵との戦闘経験まで積める。
「……これ、下手な特訓施設よりずっとすごいぞ」
「ピカピカ!」
ピカチュウも得意げに頷いていた。
……いや、お前は建設したわけじゃないだろ。
そう思ったが、口には出さなかった。
◆ 三鳥にもメリットがあるらしい
さらに驚いたのは、三鳥自身もこの環境を気に入っていたことだ。
「……お前ら、みんなの特訓相手をしてくれてるのか?」
俺が尋ねると、サンダーが翼を広げた。
「ギャア!」
フリーザーも静かに頷く。
「フリィ……」
ファイヤーは胸を張るように鳴いた。
「キュオォ!」
どうやら、三匹とも積極的に協力してくれているらしい。
考えてみれば、三鳥をリーグなどの公式戦で使う機会はほとんどない。
俺自身、伝説のポケモンの力に頼りきりになるつもりはないし、三鳥も普段は自由に過ごしている。
だが、だからといって、何もしなければ戦闘感覚が鈍る可能性はある。
もちろん、伝説のポケモンだから簡単に弱くなるわけではない。
それでも、実際に身体を動かし、技を使い、ほかのポケモンたちと戦うことには意味がある。
つまり――。
「……みんなの特訓相手をしながら、自分たちも力を維持してるってことか」
三鳥が揃って頷いた。
「……合理的だなぁ」
俺は思わず笑ってしまった。
しかも、三鳥は相手の実力に応じて力を調整しているらしい。
経験の浅いポケモンには、技の威力を抑えて動き方を教える。
実力のあるポケモンには、より強力な攻撃を繰り出し、実戦に近い訓練を行う。
そして、俺の主力級のポケモンたちが相手となれば――。
「……遠慮なく本気に近い力を出せるわけか」
「ギャア!」
「フリィ!」
「キュオォ!」
三鳥は、どこか嬉しそうだった。
……ああ、なるほど。
こいつらも、やっぱり強い相手と戦うのが好きなんだな。
「……まったく」
俺は苦笑する。
「うちのポケモンたちは、本当に戦うのが好きな連中ばっかりだな」
「ピカピカ!」
ピカチュウが胸を張る。
……お前が一番その傾向強いと思うぞ、番長。
◆ 新たな日常
それからというもの、三鳥の施設は我が家の新たな名物となった。
朝になれば、電気施設から放電音が響き。
昼には、氷の施設で吹雪の中を駆け回るポケモンたちの姿が見られ。
夕方には、炎の施設で熱気に負けず特訓するポケモンたちがいる。
もちろん、周囲に影響が出ないよう安全管理は徹底した。
父さんが設備の点検を行い、母さんがポケモンたちの体調管理を手伝ってくれる。
そして俺は、各施設での訓練内容を確認しながら、必要に応じてメニューを調整していく。
「……まさか、こんな形で新しい訓練環境が整うとはなぁ」
ある日の夕方。
俺は三つの施設を眺めながら、そんなことを呟いた。
サンダーの施設では、電撃が空を照らしている。
フリーザーの施設では、白い冷気が静かに漂っている。
ファイヤーの施設では、赤い光が岩肌を照らしていた。
三つとも、それぞれの主にふさわしい立派な住処だ。
「……まあ、みんなが気に入ってるならいいか」
「ピカチュウ!」
隣のピカチュウが元気よく鳴く。
俺はその頭を軽く撫でた。
「でも、次に何か造るときは、ちゃんと相談してくれよ?」
「ピカッ!」
「……本当だな?」
「ピ、ピカチュ……」
……なんでそこで目を逸らすんだ。
嫌な予感がする。
「……おい、ピカチュウ」
「ピカ?」
「まさか、ほかにも何か造ってたりしないよな?」
「…………」
ピカチュウが黙った。
「…………」
俺も黙った。
そして。
「……ピカチュウ?」
「ピ、ピカピカァ!」
ピカチュウは慌てて走り去っていった。
「……おい! ちょっと待て!」
俺はその後を追いかける。
……まさか、まだ何かあるのか!?
そんな俺の声が、広大な庭に響き渡るのだった。
ちなみに。
その様子を遠くから眺めていた三鳥は――。
「ギャア」
「フリィ……」
「キュオォ」
それぞれ満足そうに、自分たちの住処へと戻っていったという。
**――こうして、我が家には伝説の三鳥専用の住処兼特訓施設が誕生したのだった。**
なお、後日。
父さんから渡された資材使用記録を見た俺が、想像以上の使用量にもう一度頭を抱えることになったのは、また別の話である。