セキエイリーグが終わり、しばらく経ったある日のこと。
マサラタウンにあるシンヤの実家では、今日もポケモンたちの模擬戦が行われていた。
「リザードン! そこからドラゴンクロー!」
「グオォォォッ!!」
「カイリュー、正面から受けるな! 身体を捻って流せ!」
「バウッ!」
リザードンの爪が青白い光を帯び、カイリューへ振り下ろされる。
しかし、カイリューは身体を僅かに捻り、その一撃を受け流した。
直後、太い尻尾が横薙ぎに振るわれる。
「グオッ!」
リザードンは翼を広げ、後方へ跳んで回避。
着地した瞬間、再び距離を詰める。
「……よし、そこまで!」
シンヤが声をかけると、二匹は動きを止めた。
「いい感じだな。カイリューはさっきの受け流しが良かった。ただ、反撃の前に少し隙があったから、そこは改善しよう」
「バウ」
「リザードンも、最初の踏み込みは良かったぞ。ただ、カイリューが受け流すことを考えて、次の動きまで繋げられるともっといいな」
「グオォ!」
二匹が力強く頷く。
シンヤは満足そうに笑った。
セキエイリーグを制したとはいえ、彼らの鍛錬が終わることはない。
むしろ、大会を通じて得た経験を活かし、さらなる高みを目指している。
そして、その様子を少し離れた場所から見守っているポケモンがいた。
「ピカ、ピカチュウ」
ピカチュウである。
シンヤの手持ちの中でも、リザードンに次ぐ実力を持つ古参の一匹。
しかも、庭で暮らすポケモンたちのまとめ役として、日々の自主練習を取り仕切ってい
る。
その堂々とした振る舞いから、いつしか仲間たちの間では――。
**番長ピカチュウ。**
そんな呼び名が定着していた。
本人も、まんざらではないらしい。
「……さて、次は誰と誰を組ませるかな」
シンヤが次の模擬戦を考えていた、そのときだった。
ガサガサッ!
「……ん?」
近くの草むらが大きく揺れた。
「ピカ?」
ピカチュウも耳を立てる。
リザードンとカイリューも、そちらへ視線を向けた。
ガサッ!
そして。
「ライライラーイ!!」
黄色い影が、勢いよく飛び出してきた。
「……んん?」
シンヤは目を丸くする。
現れたのは、一匹のライチュウだった。
オレンジ色の身体。
長い尻尾。
そして、頬にある電気袋。
見た目は普通のライチュウだ。
しかし。
「……なんだ、こいつ?」
身体のあちこちに傷がある。
毛並みも少し乱れており、かなり長い距離を旅してきたことが窺えた。
それなのに、目だけは異様に輝いている。
いや、輝いているというより――。
「……すげえ気合いだな」
そう。
そのライチュウは、凄まじい覇気を纏っていた。
そして。
ビシィッ!!
「ライラーイ!!」
ライチュウが、真っ直ぐピカチュウを指さした。
「……ピカ?」
ピカチュウは首を傾げる。
だが、数秒後。
「…………」
何かに気づいたらしい。
その表情が、見る見るうちに面倒くさそうなものへ変わっていった。
「……ピィーカ……」
まるで、昔の厄介な知り合いに遭遇したかのような反応だった。
「……知り合いか?」
シンヤが尋ねる。
ピカチュウは深いため息を吐いた。
「ピカ……」
その様子を見て、シンヤはますます首を傾げる。
「……何があったんだ?」
◆ トキワの森から来た挑戦者
「ライラーイ!」
「ピカ、ピカチュウ」
二匹は何やら話し始めた。
しかし、シンヤには詳しい内容が分からない。
「……うーん」
そんなときだった。
「ポリポリ!」
近くにいたポリゴンが、シンヤの図鑑へ近づいてきた。
「ん? どうした、ポリゴン」
「ポリ!」
ポリゴンは図鑑の画面を操作し始める。
すると、画面に新しい項目が表示された。
**《ポケモン音声翻訳機能 起動》**
「……ああ、そういえば」
シンヤは思い出した。
父マサユキが最近、図鑑に追加した機能だ。
ポケモンの鳴き声や感情の変化を解析し、ある程度の意味を文章として表示するというもの。
まだ試験段階ではあるが、ポリゴンが補助することで精度を高められるらしい。
「……ちょうどいいな」
シンヤは画面を確認した。
そして、表示された文章を見て――。
「…………」
思わず固まった。
そこには、こんな会話が表示されていた。
**ライチュウ**
『久しぶりだな、ピカチュウさんよぉ!!』
**ピカチュウ**
『……お前、もしかしてトキワの森にいた、俺に負け続けてたピカチュウか?』
**ライチュウ**
『おう! 覚えててくれたか!』
**ピカチュウ**
『……忘れようにも、何度も勝負を挑んできたからな』
**ライチュウ**
『ガッハッハ! そりゃそうだ!』
**ピカチュウ**
『……それで、なんでここにいる?』
**ライチュウ**
『お前が人間に負けて捕まったって聞いてな!』
**ピカチュウ**
『……ああ』
**ライチュウ**
『そんで、トキワの森を飛び出したんだよ! お前を追いかけて、追いかけて、追いかけて……ようやくここにいるって突き止めたのよ!』
**ピカチュウ**
『…………』
**ライチュウ**
『いやぁ、長かったぜ! 途中で何度も道に迷ったし、知らねえポケモンに喧嘩売られたりもしたけどよ!』
**ピカチュウ**
『……お前、よく無事だったな』
**ライチュウ**
『おう! 俺は丈夫だからな!』
**ピカチュウ**
『……それはそうと』
**ライチュウ**
『ん?』
**ピカチュウ**
『……なんで進化してるんだ?』
**ライチュウ**
『ああ、それか!』
**ピカチュウ**
『……ああ』
**ライチュウ**
『いやぁ、偶然道に落ちてた石にぶつかったと思ったら、身体が光り始めてよ! 気づいたら進化してた! アッハッハッハ!!』
**ピカチュウ**
『…………』
**ライチュウ**
『いやぁ、進化ってすげえな! 前より力が湧いてくるぜ!』
**ピカチュウ**
『……それでいいのか、おめぇは』
**ライチュウ**
『強くなるなら問題なーい!!』
**ピカチュウ**
『……はぁ』
**ライチュウ**
『というわけで!』
**ピカチュウ**
『……嫌な予感しかしねえ』
**ライチュウ**
『勝負だ、ピカチュウ!!』
「…………」
シンヤは図鑑を見つめた。
そして、ゆっくりとピカチュウへ視線を向ける。
「……お前、トキワの森にいた頃から番長だったの?」
「ピカ……」
ピカチュウは、なんとも言えない表情で頷いた。
「……マジか」
思えば、シンヤがピカチュウを捕まえたときも、かなりの実力者だった。
野生のポケモンとは思えないほど技の使い方が巧みで、判断力も高かった。
その後も、仲間たちとの特訓を率先して行い、今では庭のまとめ役を務めている。
(……なるほどなぁ)
シンヤは納得した。
(……元々そういう性格だったのか)
そして、もう一度ライチュウを見る。
「……それにしても」
シンヤは苦笑する。
「……進化の理由が雑すぎるだろ」
「ライラーイ!」
ライチュウは豪快に笑った。
……本人が気にしてないなら、まあいいか。
◆ 番長ピカチュウVSライチュウ
「……で、どうする?」
シンヤはピカチュウへ尋ねた。
「勝負するのか?」
「ピカ」
ピカチュウは短く頷いた。
その表情は、どこか諦めたようなものだった。
どうやら、ライチュウが勝負を諦めないことを、よく知っているらしい。
「……分かった」
シンヤは周囲を見渡した。
「じゃあ、少し場所を空けるぞ!」
リザードンたちが移動し、模擬戦用のフィールドが空けられる。
その中央へ、ライチュウが勢いよく飛び出した。
「ライラーイ!!」
対するピカチュウは、ゆっくりと歩いていく。
「ピカ……」
その姿には、妙な貫禄があった。
まるで、挑戦者を迎える熟練の格闘家のようだ。
「……よし」
シンヤは二匹を見渡した。
「それじゃあ、始め!」
その瞬間。
「ライラーイ!!」
ライチュウが地面を蹴った。
速い。
進化によって強化された脚力を活かし、一気に距離を詰める。
本来ライチュウになればピカチュウの頃ほどの素早さは出ないはずなのだがな。
その尻尾には、電気が集まっていた。
「ライチュウ!」
バチバチッ!!
ライチュウが電撃を纏った尻尾を振り下ろす。
しかし。
「ピカ」
ピカチュウは、ほんの僅かに身体をずらした。
ブンッ!
攻撃が空を切る。
「ライ!?」
その瞬間。
ドンッ!
ピカチュウの尻尾が、ライチュウの脇腹へ叩き込まれた。
「ライッ!?」
ライチュウが横へ吹き飛ぶ。
だが、すぐに体勢を立て直した。
「ライラーイ!!」
今度は電撃を放つ。
バチバチバチッ!!
しかし。
「……あ」
シンヤは思わず呟いた。
(……そういや、こいつの特性)
ピカチュウの特性。
**ひらいしん。**
電気タイプの技を引き寄せ、無効化し、自分の特攻を高める特性だ。
当然、ライチュウの電撃も――。
バチィッ!!
「ピカァ……」
ピカチュウの身体へ吸い込まれた。
「ライ!?」
ライチュウが目を見開く。
「……あー」
シンヤは苦笑した。
「相性悪いなぁ……」
もっとも、ライチュウはすぐに気を取り直した。
「ライラーイ!!」
再び突進。
今度は電気を使わず、身体能力で勝負するつもりらしい。
しかし。
「ピカッ!」
ピカチュウが地面を蹴った。
その姿が、一瞬でライチュウの視界から消える。
「ライ!?」
次の瞬間。
ドガッ!!
ピカチュウの一撃が、ライチュウの腹部へ突き刺さった。
「ライィッ!?」
身体が浮く。
さらに。
「ピカァッ!」
ピカチュウが回り込み、尻尾を振り抜いた。
バキィッ!!
ライチュウは地面を転がった。
「ライ……!」
それでも立ち上がろうとする。
だが。
「ピカ」
ピカチュウが目の前に立っていた。
その表情は、どこか呆れたようだった。
そして。
トンッ。
軽く額を小突いた。
「ライ……」
ぐらり。
ライチュウの身体が傾く。
そのまま。
バタンッ!
「ライ~~~~……」
目をぐるぐると回し、倒れてしまった。
「…………」
シンヤはしばらく沈黙した。
そして。
「……勝負あり。ピカチュウの勝ち」
「ピカッ」
ピカチュウは、やれやれと肩をすくめた。
……いや、まあ。
分かってたけどさ。
(……そりゃそうだよな)
シンヤは苦笑する。
ピカチュウは、シンヤの手持ちの中でもリザードンに次ぐ実力者。
セキエイリーグでも数々の強敵を相手に戦い抜き、日頃から仲間たちの特訓を取り仕切っている。
いくら進化して強くなったとはいえ、野生で独自に鍛えてきたライチュウが簡単に勝てる
相手ではない。
しかも、電気技は特性で無効化される。
(……むしろ、よくあそこまで食い下がったな)
シンヤはライチュウを見つめた。
少なくとも、根性だけは相当なものだった。
◆ 舎弟にしてください!
「……さて」
シンヤはライチュウへ近づこうとした。
そのとき。
ガバッ!!
「ライラーイ!!」
「うおっ!?」
倒れていたライチュウが、勢いよく起き上がった。
「……おいおい、元気だな」
ライチュウはピカチュウを見つめる。
そして。
「ライ! ライラーイ!!」
何やら興奮した様子で話し始めた。
図鑑の翻訳機能が、再び起動する。
**ライチュウ**
『……すげえ!』
**ピカチュウ**
『……ん?』
**ライチュウ**
『すげえぜ、ピカチュウさん!!』
**ピカチュウ**
『……何がだ』
**ライチュウ**
『その強さ! 健在どころか、前よりずっと研ぎ澄まされてるじゃねえか!!』
**ピカチュウ**
『……まあな』
**ライチュウ**
『俺だって進化して強くなったはずなのに、全然歯が立たなかった!』
**ピカチュウ**
『……お前も昔よりは強くなってたぞ』
**ライチュウ**
『本当か!?』
**ピカチュウ**
『ああ。ただ、動きが大雑把すぎる』
**ライチュウ**
『ガッハッハ! 細かいことは苦手でな!』
**ピカチュウ**
『……そこを直せって言ってんだよ』
**ライチュウ**
『それにしても、どうやってそこまで強くなったんだ!?』
**ピカチュウ**
『……そうだな』
ピカチュウは、ちらりとシンヤを見た。
**ピカチュウ**
『そこにいるトレーナー……シンヤのもとで、仲間たちと切磋琢磨してきたから、かな』
**ライチュウ**
『……シンヤ?』
**ピカチュウ**
『ああ。俺を捕まえた人間だ』
**ライチュウ**
『……なるほど!』
バッ!!
ライチュウが勢いよくシンヤへ顔を向けた。
「……ん?」
シンヤは首を傾げる。
「……なんだ?」
すると。
「ライラーイ!!」
ライチュウが胸を張り、ピカチュウへ向き直った。
**ライチュウ**
『なるほど……分かったぜ!』
**ピカチュウ**
『……何がだ?』
**ライチュウ**
『俺の負けだ! 完敗だ!』
**ピカチュウ**
『……ああ』
**ライチュウ**
『だからよ!』
**ピカチュウ**
『……ん?』
**ライチュウ**
『ピカチュウさん! 俺を舎弟にしてくれ!!』
**ピカチュウ**
『…………』
**ライチュウ**
『俺もあんたみたいに強くなりてえ! だから、あんたの下で鍛えさせてくれ!!』
**ピカチュウ**
『……いや、舎弟って』
**ライチュウ**
『頼むぜ、兄貴!!』
**ピカチュウ**
『……兄貴?』
**ライチュウ**
『おう! 兄貴!!』
**ピカチュウ**
『…………』
「…………」
シンヤは、図鑑を見つめた。
そして、ゆっくりとピカチュウへ視線を向ける。
「……お前、舎弟ができたぞ」
「ピカァ……」
ピカチュウは、深いため息を吐いた。
その様子を見て、リザードンが小さく笑う。
「グオォ……」
カイリューも、どこか楽しそうだった。
「バウッフッフ♪」
……いや、笑い事じゃないかもしれないけど。
ピカチュウはしばらく考え込んでいた。
そして。
**ピカチュウ**
『……とりあえず、同じ仲間になるってことならいいぞ』
**ライチュウ**
『……本当か!?』
**ピカチュウ**
『ああ。ただし、俺の言うことだけ聞いてれば強くなれるわけじゃない。自分でも考えて鍛えろよ』
**ライチュウ**
『おう!!』
**ピカチュウ**
『……あと、舎弟って呼び方はやめろ』
**ライチュウ**
『分かったぜ、兄貴!!』
**ピカチュウ**
『……聞いてねえな、こいつ』
「……ははは!」
シンヤは、思わず笑ってしまった。
「……まあ、いいんじゃないか?」
ピカチュウがこちらを見る。
「ピカ?」
「本人もやる気満々だしな。それに、強くなりたいって気持ちは大事だろ?」
「……ピカ」
ピカチュウは、少し考えたあと頷いた。
すると、ライチュウがシンヤの前へやって来た。
「ライラーイ!」
「……ん?」
図鑑に文章が表示される。
**『シンヤ! 俺も仲間に入れてくれ!!』**
「……おお」
シンヤは少し驚いた。
「……俺のポケモンになりたいのか?」
「ライッ!」
力強い返事。
「……そっか」
シンヤは笑った。
「じゃあ、よろしくな」
そして、モンスターボールを取り出す。
「……入るか?」
「ライラーイ!!」
ライチュウは勢いよく頷いた。
そして。
自分からボールへ飛び込んだ。
ポンッ!
赤い光に包まれ、ライチュウの身体がボールへ吸い込まれる。
コトン。
地面に落ちたボールが、一度揺れる。
二度。
三度。
カチッ!
捕獲完了。
「…………」
シンヤはボールを拾い上げた。
そして。
「……ライチュウ、ゲットだぜ!」
「ピカチュウ!」
ピカチュウが、少し呆れたように鳴いた。
その隣では、リザードンが楽しそうに笑っている。
「グオォ!」
カイリューも嬉しそうだった。
「バウ!」
こうして。
トキワの森から番長ピカチュウを追いかけてきた一匹のライチュウが、新たにシンヤの仲間となったのだった。
◆ 新入りライチュウの決意
その日の夕方。
庭では、早速ライチュウの歓迎会が開かれていた。
「ライラーイ!!」
ライチュウは、集まったポケモンたちへ元気よく挨拶している。
しかし。
「ライ! ライライ!」
その様子を見ていたピカチュウは、どこか嫌な予感を覚えていた。
図鑑の翻訳機能が、再び文章を表示する。
**ライチュウ**
『俺は今日から兄貴の舎弟になったライチュウだ! よろしく頼むぜ!!』
**ピカチュウ**
『……だから舎弟じゃねえって』
**ライチュウ**
『兄貴のように強くなるため、全力で鍛えるつもりだ!』
**ピカチュウ**
『……ああ、それはいい』
**ライチュウ**
『まずは兄貴の一番弟子として――!』
**ピカチュウ**
『……おい』
**ライチュウ**
『いつか兄貴を超える!!』
**ピカチュウ**
『…………』
ピカチュウは、しばらくライチュウを見つめた。
そして。
『……まあ、それくらいの気概は持ってろ』
そう答えた。
ライチュウは、嬉しそうに笑った。
『おう!!』
その様子を見ていたシンヤも、自然と笑みを浮かべる。
「……いいコンビになりそうだな」
すると、リザードンが隣で小さく鳴いた。
「グオォ」
「……ん?」
シンヤが振り返る。
リザードンは、ピカチュウとライチュウを見つめていた。
その表情は、どこか楽しそうだった。
「……ああ、そうか」
シンヤは笑った。
「……ピカチュウも、昔はお前に挑んでたもんな」
「グオォ!」
リザードンが頷く。
ピカチュウも、かつてはリザードンの背中を追いかける立場だった。
何度も挑戦し。
何度も負け。
それでも諦めずに鍛え続けた。
そして今では、シンヤの手持ちの中でも屈指の実力者となっている。
そんなピカチュウに、今度はライチュウが憧れ、追いかけるようになった。
「……なんか、いいな」
シンヤは呟いた。
強い相手を目標にする。
追いつこうと努力する。
そして、いつか追い越そうとする。
その積み重ねが、ポケモンたちを強くしていく。
「……よし!」
シンヤは立ち上がった。
「ライチュウ! 明日からお前もみんなと一緒に特訓だ!」
「ライラーイ!!」
「ピカチュウ、面倒見てやってくれよ?」
「……ピカ」
ピカチュウは、少しだけ肩をすくめた。
そして、ライチュウへ向き直る。
「ピカチュウ!」
「ライッ!!」
二匹が、力強く頷き合う。
その姿を見て、シンヤは満足そうに笑った。
……もっとも。
翌朝。
「ライラーイ!!」 -兄貴ぃぃ!!-
「ピカァァ……」
早朝からライチュウに叩き起こされたピカチュウが、盛大にため息を吐くことになるのだが。
それは、また別の話。
**――こうして、番長ピカチュウに、何とも騒がしい舎弟が誕生したのだった。**