ポケットモンスター~波動の眼を持つ少年~   作:レイザル

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というわけで前回、ヒロイン候補のレンちゃんでした
レンちゃんは作者、英雄伝説で一番好き。空の軌跡から界の軌跡までの
レンちゃんの成長などをマジでよかったのよ


第13話 ニビジム攻略準備!キャタピーとビードル、進化への挑戦!

ニビシティのポケモンセンター。

 

 

ポケモンたちの回復を終えたシンヤは、ジョーイさんからボールを受け取ると、さっそく待合スペースへ移動した。

 

 

「みんな、お疲れ様。今回はずいぶん激しい旅になったな」

 

 

ボールから出てきたポケモンたちを見渡す。

ヒトカゲ、ポッポ、コイキング、ニドラン♂、マンキー、キャタピー、ビードル、そしてピカチュウ。

合計八匹。

マサラタウンを出発してから、まだ一日も経過していない。それなのに、すでに八匹ものポケモンと出会い、仲間にしていた。

 

 

「改めて数えると、すごいことになってるな……」

 

 

シンヤは苦笑した。

もちろん、捕まえたポケモンの数を増やすことだけが目的ではない。

それぞれのポケモンと向き合い、個性や得意なことを知り、信頼関係を築く。それがトレーナーとして大切なことだ。

そして、彼には実家という心強い預け先がある。

 

 

「さて、今後の編成を決めようか」

 

 

シンヤはバッグからボールを取り出しながら、仲間たちに説明を始めた。

 

 

「まず、ポッポとコイキングには一度実家に戻ってもらう。二匹とも大切な仲間だけど、今は新しく加わったポケモンたちを育てたいんだ」

 

 

「ポッポー!」

 

 

ポッポは少し残念そうに鳴いた。

 

 

「もちろん、ずっと預けっぱなしにするわけじゃない。必要になったら呼び戻すし、実家でものびのび過ごしてくれ。コイキングも、向こうでしっかり食べて、元気にしていてくれよ」

 

 

「コイッ!」

 

 

コイキングは相変わらず元気よく跳ねた。

シンヤは二匹を安心させるように微笑み、それぞれのボールを専用の収納リングへと近づけた。

父マサユキが開発した、フーパのリングを応用した空間接続システム。

実家側に設置された対応リングを通じて、二匹を家へ送り届ける。

 

 

「よし。これで一旦、手持ちは六匹だな」

 

 

残る仲間は、ヒトカゲ、ニドラン♂、マンキー、キャタピー、ビードル、ピカチュウ。

今回のニビジムへの挑戦と、その後の旅を見据えた編成だった。

 

 

「それじゃあ、まずはキャタピーとビードルのことから考えよう」

 

 

シンヤは二匹の前にしゃがみ込んだ。

キャタピーは触角を揺らし、ビードルは小さな角を動かしている。

 

 

「二匹とも、進化が比較的早いポケモンだ。しっかり経験を積ませれば、早い段階で進化できる可能性がある」

 

 

キャタピーはトランセル、そしてバタフリーへ。

ビードルはコクーン、そしてスピアーへ。

どちらも進化を重ねることで、身体の形状だけでなく、移動方法や攻撃の幅も大きく変化する。

 

 

特にバタフリーは空中からの攻撃や状態異常を活用でき、スピアーは素早い接近と鋭い針による攻撃が期待できる。

今後の旅で、二匹がどのように成長するのか。

それを見届けるのも、シンヤの楽しみの一つだった。

 

 

「ただし、無理に進化させるつもりはない。二匹の体調や気持ちを見ながら、しっかり経験を積ませよう」

 

 

「キャタ!」

 

 

「ビード!」

 

 

二匹は元気よく返事をした。

 

 

「よし、その意気だ!」

 

 

シンヤは満足そうに頷いた。

 

 

もっとも、進化を目指すからといって、二匹をただ相手にぶつければいいわけではない。

現在、キャタピーが覚えている技は『いとをはく』と『たいあたり』。

ビードルは『いとをはく』と『どくばり』。

技の数だけ見れば、まだできることは限られている。

しかし、技が少ないからこそ、使い方を工夫する余地がある。

 

 

「糸は、相手の動きを制限するだけの技じゃない。足場を作ることもできるし、相手の視界を遮ったり、移動方向を変えたりすることだってできる」

 

 

シンヤは二匹を交互に見た。

 

 

「たいあたりだって、正面からぶつかるだけが正解じゃない。相手の体勢が崩れたときや、動きが止まった瞬間を狙えばいい。どくばりも、当てる場所やタイミングが大切だ」

 

 

キャタピーとビードルは、真剣な様子でシンヤの話を聞いていた。

 

 

「今日は、まず実戦を通して経験を積もう。相手の動きをよく見て、自分にできることを考えるんだ」

 

 

「キャタ!」

 

 

「ビード!」

 

 

二匹の目には、やる気が満ちていた。

シンヤはその様子を確認すると、次の仲間へ視線を移した。

 

 

「そして、ピカチュウ。君には少し協力してもらいたい」

 

 

「ピカ?」

 

 

ピカチュウは首を傾げた。

シンヤが注目していたのは、ピカチュウが野生の状態で使っていた二つの技だった。

『10まんボルト』。

そして、『かわらわり』。

 

 

「まさか野生で、この二つを使いこなすピカチュウに出会うとはな……」

 

 

シンヤは感心したように息を吐いた。

トキワの森で戦ったピカチュウは、単純に電気技の威力が高いだけではなかった。

相手の動きを読み、技を使うタイミングを見極め、状況に応じて接近戦にも対応していた。

野生で生き抜いてきた経験が、その戦い方に表れていたのだろう。

そして、その技の数々は、ほかの仲間たちにとっても大きな学びになる。

 

 

「ピカチュウ。まずは10まんボルトを使うとき、どんなふうに電気を集めているのか見せてくれないか?」

 

 

「ピカ!」

 

 

ピカチュウは元気よく頷いた。

シンヤはヒトカゲとマンキーにも声をかける。

 

 

「二人とも、よく見ておくんだ。電気を集める感覚や、身体のどこに力を込めるのか。自分たちが同じ技を使うならどうすればいいか、考えながら見てみよう」

 

 

ヒトカゲはピカチュウの前へ移動し、マンキーも興味深そうに近寄った。

 

 

「じゃあ、ピカチュウ。お願いするよ」

 

 

「ピッカァ――!」

 

 

ピカチュウの頬にある電気袋が、パチパチと音を立て始めた。

黄色い身体の周囲に、細かな電光が走る。

やがて電気が身体の周りに集まり、空気を震わせるような音とともに、強烈な電撃が放たれた。

 

 

「ピカチュウ!」

 

 

電撃は十分に安全を確保した方向へと飛び、少し離れた岩場を明るく照らした。

 

 

「なるほど……」

 

 

シンヤは目を細めながら、電撃が放たれるまでの動作を観察する。

 

 

(電気を生み出すだけじゃない。身体に蓄えた電気を集めて、放出するまでの流れがある。マンキーが覚えようとしているかみなりパンチも、電気を拳に集中させる感覚が重要になるはずだ)

 

 

もっとも、ピカチュウの電気袋とマンキーの身体構造は異なる。

そのまま真似をすれば完成するというものではない。

それでも、電気を集める感覚や、放出する際の力の込め方を観察できれば、練習の手掛かりになるはずだ。

ヒトカゲも、目を輝かせながらピカチュウを見ていた。

 

 

「カゲ……!」

 

 

「そうだ、ヒトカゲ。君もだ。焦らず、自分の身体でどうすれば再現できるか考えてみよう」

 

 

続いて、シンヤはピカチュウにもう一つ頼んだ。

 

 

「次は、かわらわりを見せてもらえるか?」

 

 

「ピカ!」

 

 

ピカチュウは少し離れた岩の前に立った。

身体を低く構え、片腕を引く。

そして、一気に踏み込んだ。

鋭い動きとともに腕が振り抜かれ、岩に強烈な衝撃が走る。

乾いた音が響き、岩の表面にひびが入った。

 

 

「おお……!」

 

 

シンヤは思わず感嘆の声を漏らした。

 

 

(踏み込み、腰の回転、腕を振り抜くタイミング……ただ腕を振っているわけじゃない。全身の動きを連動させて、威力を生み出しているんだ)

 

 

マンキーは興奮した様子で両拳を握りしめた。

 

 

「マンキーッ!」

 

 

「おっ、興味津々だな。マンキーは格闘タイプだし、こういう動きは参考になるはずだ」

 

 

ヒトカゲも前のめりになっていた。

 

 

「カゲッ!」

 

 

「ヒトカゲも、身体の使い方という意味では参考になるだろう。ただし、無理に同じ動きをする必要はない。自分の身体に合ったやり方を探していこう」

 

 

シンヤは二匹の反応を確かめながら、心の中で考えた。

 

 

(マンキーは、すでに三種類のパンチ技を覚えようとしている。ほのおのパンチ、かみなりパンチ、れいとうパンチ。どれも未使用で未完成だが、戦いを見て自分なりに動きを理解しようとしているんだろう)

 

 

そして、ヒトカゲにも新たな可能性がある。

二匹がピカチュウの動作から何かをつかめれば、今後の戦術にも幅が生まれるはずだった。

 

 

「ありがとう、ピカチュウ。すごく参考になったよ」

 

 

「ピカピカ!」

 

 

ピカチュウは誇らしげに胸を張った。

シンヤはその頭を優しく撫でた。

 

 

「これからも、みんなで成長していこうな」

 

 

 

 

 

 

◆ヒトカゲの新たな炎技

 

 

一通りの確認を終えたところで、シンヤはヒトカゲに向き直った。

 

 

「さて、次は君の番だ」

 

 

「カゲ?」

 

 

「トキワの森での戦いを振り返ってみたんだが……どうやら、ひのこが新しい技に変化したみたいなんだ」

 

 

ヒトカゲが覚えていた『ひのこ』。

それは、比較的小さな炎を放つ基本的な炎技だった。

しかし、強敵のピカチュウとの戦いでは、以前よりも明らかに威力のある炎を放っていた。

シンヤは、ヒトカゲの状態を確認するため、もう一度技を使ってもらうことにした。

 

 

「ヒトカゲ、少し離れた場所に向けて、炎を放ってみてくれ」

 

 

「カゲーッ!」

 

 

ヒトカゲは前方へ向き直り、口を開いた。

 

 

次の瞬間。

 

 

 

ゴオオッ!

 

 

 

勢いよく噴き出した炎が、前方へと伸びていく。

それは、以前の『ひのこ』とは明らかに異なっていた。

炎は一瞬だけ散るのではなく、一定の時間、まとまった流れとなって放出されている。

シンヤは目を見開いた。

 

 

「やっぱり……かえんほうしゃだ!」

 

 

『かえんほうしゃ』。

 

 

ヒトカゲが、新たに使えるようになった炎技だった。

 

 

「すごいじゃないか、ヒトカゲ!」

 

 

「カゲーッ!」

 

 

ヒトカゲは嬉しそうに鳴いた。

しかし、シンヤは喜ぶだけでは終わらなかった。

 

 

「よし、威力だけじゃなくて、射程と範囲も確認しよう。どれくらいの距離まで届くのか、どの程度まで方向を変えられるのか。それから、連続して使ったときの疲労も調べたい」

 

 

技を覚えたことと、その技を実戦で使いこなせることは別問題だ。

『かえんほうしゃ』は、強力な技である一方、炎を放出し続けるための集中力や体力も必要になる。

また、直線的に放つのか、扇状に広げるのか、途中で方向を変えられるのかによっても、戦術は大きく変わってくる。

 

 

「まずは遠くの目印を狙ってみよう。次は少し横へずらす。その次は、短く放ってすぐ止めてみるんだ」

 

 

「カゲ!」

 

 

ヒトカゲはシンヤの指示を受け、慎重に炎を放ち始めた。

最初は勢いよく炎を伸ばし、次に狙いを少しずつ変えていく。

何度か繰り返すうちに、炎の広がり方や放出を止めるタイミングに、少しずつ違いが見えてきた。

ただし、まだ完全に制御できているわけではない。

炎が思った以上に広がることもあれば、狙いを変えた際に威力が落ちることもある。

 

 

それでも、確かな成長だった。

 

 

「いいぞ、ヒトカゲ。今のはよかった。だけど、無理はするなよ」

 

 

「カゲ!」

 

 

シンヤは満足げに頷いた。

 

 

(ひのこから、かえんほうしゃへ。技の威力が上がっただけじゃなく、使い方そのものも変わっている。これならニビジムでも、大きな武器になるかもしれない)

 

 

ただし、相手は岩タイプの使い手だと予想されるジムリーダー。

炎技が通用しにくい場面も考えられる。

だからこそ、シンヤはヒトカゲが持つほかの技にも注目していた。

『アイアンテール』、『げんしのちから』、『りゅうのいぶき』、『ほのおのキバ』。

炎以外の技も活用すれば、戦い方はさらに広がるはずだ。

そして、今回のジム戦でヒトカゲを選んだ理由は、単純に技の種類が多いからだけではなかった。

 

 

(ヒトカゲは、確実に進化へ近づいている)

 

 

トキワの森で戦った強敵のピカチュウ。

あの戦いで、ヒトカゲは最後まで諦めず、相手の動きを見極め、自分にできることを考え続けた。

その経験が、今の成長につながっているのかもしれない。

ゲームのように、決められた数値が一定に達したから進化する。

この世界では、必ずしもそれだけではないのだろう。

 

 

ポケモンの成長には、身体の成熟だけでなく、強くなりたいという気持ちや、困難を乗り越えようとする意志も関わってくる。

もちろん、強い気持ちがあれば必ず進化できるというわけではない。

それでも、強敵との戦いがヒトカゲに大きな刺激を与えたことは確かだった。

 

 

「ニビジムでは、君にも頑張ってもらうことになる。けれど、進化するかどうかは君自身の成長次第だ。俺は、君がどんな姿になっても、君のトレーナーであることに変わりはない」

 

 

「カゲ……!」

 

 

ヒトカゲは、まっすぐシンヤを見つめた。

 

 

そして、力強く鳴いた。

 

 

「カゲーッ!」

 

 

その声には、次の戦いへの意欲が満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

◆ニビジムへの準備開始!

一連の確認を終えたシンヤは、手持ちのポケモンたちを見渡した。

ヒトカゲは『かえんほうしゃ』を覚え、マンキーは格闘技に加えて新しいパンチ技の習得を目指している。

キャタピーとビードルは、進化を目指して経験を積む段階。

ニドラン♂は豊富な技の可能性を秘めているが、まだ実戦で確認すべきことが多い。

そして、ピカチュウは野生で培った経験と技術を持つ、新たな仲間だ。

 

 

「よし。まずはニビジムに向けたトレーニングだな」

 

 

シンヤは拳を軽く握った。

 

 

「今回のジム戦に出てもらうのは、ヒトカゲとマンキー。この二匹で挑むつもりだ」

 

 

マンキーが反応し、拳を打ち合わせた。

 

 

「マンキーッ!」

 

 

「やる気十分だな」

 

 

シンヤは笑った。

マンキーを選んだ理由は、まず格闘タイプであること。

岩タイプのポケモンに対して、格闘技は有効な攻撃手段になり得る。

それに、マンキーは身体能力が高く、岩場のような不安定な地形でも動き方を工夫できる可能性がある。

 

 

岩を足場にして移動したり、相手が岩を動かした瞬間に間合いを詰めたり、地形を利用して攻撃を避けたりすることも考えられる。

ただし、岩タイプだからといって、格闘技を使えば簡単に勝てるわけではない。

相手の身体の大きさや攻撃力、地形の利用方法によっては、こちらが不利になる場面もあるだろう。

だからこそ、マンキーには攻撃だけでなく、相手の動きを見て判断する力も身につけてほしい。

 

 

「マンキー、君の持ち味は攻撃力と積極性だ。でも、勢いだけで突っ込むと反撃を受ける。相手の攻撃を見て、避けるべきときは避ける。攻めるときは、一気に攻めるんだ」

 

 

「マンキー!」

 

 

マンキーは力強く拳を突き上げた。

 

 

「うん、その意気だ」

 

 

そして、シンヤはヒトカゲへと目を向けた。

 

 

「ヒトカゲを選んだ理由は、技の種類が多いこと。それに、今は進化が近いように感じるからだ」

 

 

ヒトカゲは首を傾げた。

 

 

「カゲ?」

 

 

「もちろん、俺の予想が必ず当たるとは限らない。でも、強敵と戦うことで、自分の限界を超えるきっかけになるかもしれないだろ?」

 

 

シンヤは優しく微笑んだ。

 

 

「ニビジムの相手がどれほど強いのか、実際に戦ってみないと分からない。だからこそ、今のうちにできることを増やしておこう」

 

 

ヒトカゲは頷いた。

 

 

「カゲッ!」

 

 

「よし!」

 

 

シンヤは立ち上がると、ポケモンセンターの外へと視線を向けた。

街の外には、トレーナーたちが行き交う道が続いている。

ニビジムへ挑戦する前に、実戦経験を積むにはうってつけの場所だ。

そして、シンヤにはもう一つ、やっておきたいことがあった。

キャタピーとビードルの進化である。

 

 

「さて……」

 

 

シンヤは周囲を見渡した。

ちょうど、近くの広場では何人かのトレーナーがポケモンを連れて歩いている。

その姿を見て、シンヤの口元にいたずらっぽい笑みが浮かんだ。

 

 

「おーっす、その辺のトレーナーさんたち!」

 

 

彼は軽く手を上げた。

 

 

「悪いけど、少し経験値になってもらおうか!」

 

 

もちろん、相手のポケモンを道具のように扱うつもりはない。

互いに全力で戦い、その経験を自分たちの成長につなげる。

それがシンヤの考えだった。

 

 

「まずはキャタピーとビードルを中心に戦ってもらおう。二匹とも、準備はいいか?」

 

 

「キャタ!」

 

 

「ビード!」

 

 

二匹は元気よく返事をした。

 

 

「よし。じゃあ、行こう!」

 

 

こうして、ニビジム攻略に向けたトレーニングが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆キャタピーとビードル、初めての実戦連戦!

 

 

最初に声をかけたのは、ニビシティの広場でポケモンの練習をしていた少年トレーナーだった。

 

 

「えっ、バトル? いいよ! こっちは準備できてるぜ!」

 

 

少年はモンスターボールを構えた。

 

 

「行け、コラッタ!」

 

 

「コラッ!」

 

 

現れたのは、すばしっこそうなコラッタだった。

シンヤはキャタピーの前にしゃがみ、目を合わせた。

 

 

「キャタピー、君からだ。相手は動きが速そうだから、正面から追いかけるだけじゃ追いつけないかもしれない。まずは相手の動きを観察しよう」

 

 

「キャタ!」

 

 

「じゃあ、バトル開始!」

 

 

少年の声とともに、コラッタが勢いよく走り出した。

 

 

「コラッタ、たいあたり!」

 

 

コラッタは地面を蹴り、キャタピーへと突進する。

 

 

「キャタピー、いとをはく! 相手の進路を狙って!」

 

 

キャタピーの口から糸が放たれた。

糸はコラッタの身体に直接絡みつかなかったものの、進路の先に張り巡らされ、コラッタは慌てて方向を変える。

その一瞬。

 

 

「今だ、たいあたり!」

 

 

キャタピーは小さな身体を動かし、横からコラッタへぶつかった。

 

 

「コラッ!?」

 

 

コラッタの身体がわずかに傾く。

だが、相手も経験のあるポケモンだった。

すぐさま体勢を立て直し、もう一度キャタピーへ向かってくる。

 

 

「キャタピー、無理に受け止めなくていい! 少し横へ!」

 

 

キャタピーは身体をひねり、突進をぎりぎりでかわした。

コラッタが通り過ぎたところで、キャタピーは張っていた糸を引く。

糸がコラッタの足元に触れ、動きが一瞬だけ鈍った。

 

 

「今だ!」

 

 

キャタピーは、もう一度たいあたりを繰り出した。

小さな身体がコラッタにぶつかり、今度こそ相手を後退させる。

 

 

「コラッタ、もう一度だ!」

 

 

少年も負けじと指示を出した。

コラッタは駆け出す。

しかし、先ほどまでのように真っすぐ突っ込めば、糸に引っかかる可能性がある。

コラッタは途中で進路を変え、横からキャタピーへ迫った。

 

 

「キャタピー、糸を足元に!」

 

 

キャタピーは地面へ向けて糸を吐いた。

コラッタが踏み込んだ瞬間、足元に糸が触れ、わずかにバランスを崩す。

その隙を逃さず、キャタピーは身体をぶつけた。

 

 

「コラッ!」

 

 

コラッタが倒れ込み、動きを止める。

少年は驚いた表情を浮かべた。

 

 

「やるじゃないか! キャタピーなのに、糸をそんなふうに使うなんて!」

 

 

シンヤはキャタピーのそばへ歩み寄り、優しく頭を撫でた。

 

 

「よくやったな、キャタピー! 相手の動きを見て、ちゃんと考えて戦えたぞ!」

 

 

「キャタキャタ!」

 

 

キャタピーは嬉しそうに身体を揺らした。

 

 

(よし。技が少なくても、工夫すれば十分に戦える。あとは経験を積みながら、動きの精度を上げていけばいい)

 

 

シンヤは心の中で頷いた。

そして、次のトレーナーを探す。

 

 

「次、誰かバトルしないかー?」

 

 

「おっ、俺がやるぜ!」

 

 

すぐに別の少年が名乗りを上げた。

 

 

「今度は俺のイシツブテが相手だ!」

 

 

「なるほど。岩タイプか」

 

 

シンヤは笑みを浮かべた。

ニビジムを見据えるうえでも、ちょうどいい相手だ。

 

 

「よし、次はビードルだ!」

 

 

「ビード!」

 

 

ビードルは元気よく前へ出た。

相手のイシツブテは、空中に浮かぶように身体を持ち上げ、ビードルを見下ろしている。

 

 

「イシツブテ、たいあたり!」

 

 

イシツブテは勢いをつけて接近してきた。

 

 

「ビードル、いとをはく! 地面と岩に糸を張って、動きを制限しよう!」

 

 

ビードルは素早く糸を吐いた。

糸が地面の岩に絡み、イシツブテの進路に張り巡らされる。

しかし、イシツブテは勢いを落とさず、そのまま突っ込んできた。

糸が引っ張られ、岩がごろりと動く。

 

 

「ビードル、右へ避けろ!」

ビードルは小さく跳ねるようにして、イシツブテの突進をかわした。

イシツブテは糸に引っかかりながら、動きを止める。

 

 

「今だ、どくばり!」

 

 

ビードルは針を構え、イシツブテへと突き出した。

だが、相手の身体は硬い岩でできている。

針が当たったものの、思ったほどの効果はなかった。

 

 

「イシツブテ、もう一度たいあたりだ!」

 

 

イシツブテが身体を引き、再び突進する。

シンヤは状況を見て、すぐに指示を変えた。

 

 

「ビードル、真正面で受けるな! 糸を岩に巻きつけて、横へ逃げろ!」

 

 

ビードルは地面の岩へ糸を吐き、身体を引っ張るようにして横へ移動した。

イシツブテの突進が目の前を通り過ぎる。

その勢いで、イシツブテ自身が張られた糸を引っ張り、岩が動いた。

足場が崩れたことで、イシツブテの姿勢が乱れる。

 

 

「今だ、もう一度どくばり!」

ビードルは素早く近づき、今度は相手の動きが止まったところへ針を突き出した。

イシツブテは衝撃に耐えようとしたが、姿勢が崩れていたため、うまく踏ん張れない。

 

 

「イシツブテ、戻れ!」

 

 

トレーナーが声を上げたものの、イシツブテはすでに地面へ落ち、動きを止めていた。

 

 

「そこまで! ビードルの勝ち!」

 

 

シンヤが宣言すると、ビードルは嬉しそうに鳴いた。

 

 

「ビード!」

 

 

「よくやったな。相手の硬さを見て、正面からの攻撃にこだわらなかったのがよかった」

 

 

シンヤはビードルを撫でた。

 

 

「ただし、今のどくばりが相手にどれくらい効いたかは、相手の体質や状態によって変わる。次も同じようにいくとは限らない。そこは覚えておこうな」

 

 

「ビード!」

 

 

ビードルは元気よく返事をした。

シンヤは満足そうに頷く。

 

 

(いいぞ。二匹とも、技の数は少なくても工夫する力がある。経験を積ませれば、もっと戦えるようになるはずだ)

 

 

こうして、シンヤはニビシティの広場で出会ったトレーナーたちに、次々とバトルを申し込んでいった。

キャタピーとビードルを交互に出し、相手のポケモンや地形に応じて戦い方を変える。

糸で進路を塞ぐ。

岩に糸を巻きつけて移動する。

相手の突進を利用して体勢を崩す。

そして、隙を見つけてたいあたりやどくばりを当てる。

勝てることもあれば、相手の動きについていけず、攻撃を受けることもあった。

そんなとき、シンヤはすぐに戦い方を見直した。

 

 

「今のは相手を追いすぎたな。次は、もう少し相手の動きを見てから仕掛けよう」

 

 

「キャタ……」

 

 

「大丈夫だ。失敗したっていい。そこから学べばいいんだから」

 

 

キャタピーは、再び顔を上げた。

ビードルもまた、疲れを見せながらも、次の戦いに向けて気持ちを切り替えていた。

シンヤは二匹の様子を確かめながら、無理のない範囲でトレーニングを続けた。

 

 

 

そして――。

 

 

 

何度目かのバトルを終えたとき、キャタピーの身体に変化が起き始めた。

 

 

「……ん?」

 

 

キャタピーの身体が、淡い光に包まれる。

その光は少しずつ強くなり、周囲を照らしていった。

シンヤは目を見開いた。

 

 

「まさか……!」

 

 

キャタピーの身体が光の中で変化していく。

小さな身体が形を変え、やがて光が収まったとき――そこにいたのは、以前とは違う姿のポケモンだった。

 

 

「トランセル……!」

 

 

進化だった。

 

 

「やったな、キャタピー! いや、これからはトランセルだな!」

 

 

シンヤは思わず声を弾ませた。

トランセルは少し身体を揺らし、嬉しそうに鳴いた。

 

 

「トラ……!」

 

 

その姿を見て、シンヤは笑顔になった。

 

 

「よく頑張った。ここまでの戦い、ちゃんと君の力になったんだな」

だが、進化したのはキャタピーだけではなかった。

少し離れた場所で、ビードルの身体にも淡い光が灯り始めていた。

 

 

「おっ、ビードルもか!?」

 

 

ビードルは身体を震わせ、光の中で姿を変えていく。

やがて光が消えたとき、そこには硬い殻を持つポケモンが立っていた。

「コクーン!」

「よし! ビードルも進化したな!」

 

 

シンヤは喜びながら、二匹の様子を確認した。

キャタピーはトランセルへ。

ビードルはコクーンへ。

 

 

二匹とも、旅の中で最初の大きな成長を遂げたのだった。

ただし、進化したからといって、すぐに戦い方が大きく変わるわけではない。

トランセルもコクーンも、身体が硬い殻に包まれた状態であり、動きには制約がある。

ここからさらに成長し、バタフリーやスピアーへと進化するまでには、もう少し時間が必要だろう。

 

 

「二匹とも、本当によく頑張った。今日はここまでにしよう。進化したばかりだし、身体の状態も確認しないとな」

 

 

「トラセル!」

 

 

「コクーン!」

 

 

二匹は、それぞれ元気に返事をした。

シンヤは満足げに頷き、仲間たちを見渡す。

 

 

「よし。次は、ヒトカゲとマンキーのトレーニングだ。ニビジムに向けて、まだまだやることは多いぞ!」

 

 

そうして、ニビシティでのトレーニングは続いていく。

キャタピーとビードルが進化を遂げたことで、シンヤの仲間たちはまた一歩、成長した。

だが、ニビジムのジムリーダーがどれほどの実力を持つのかは、まだ分からない。

 

 

ヒトカゲの進化は訪れるのか。

マンキーは新たな技を完成させられるのか。

そして、岩タイプの強敵を相手に、シンヤはどのような戦術を見せるのか。

ニビジムへの挑戦が、少しずつ近づいていた。

 




【シンヤの手持ち一覧】

・ヒトカゲ LV:18→LV:19

・ニドラン♂ LV:10→15

・マンキー LV:10→15

・トランセル LV:9

・コクーン LV:9

・ピカチュウ LV:15


【実家のポケモン】


・コラッタ LV:9

・コダック LV:10

・ヤドン LV:10

・ニョロモ LV:10

・トサキント LV:10

・ニドラン♀ LV:10

・オニスズメ LV:10

・ポニータ LV:10

・ドード LV:10

・ポッポ LV:16

・コイキング LV:15

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ポケットモンスター ―君と目指す頂―(作者:あああああ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンを愛し、アニメもゲームも知り尽くした青年が目を覚ますと、そこはポケモンが本当に生きる世界――そして自分は、幼いサトシになっていた。▼未来の知識と波導の才能を武器に、幼いピチューとの絆を育み、セレナとの出会いを経て始まる新たな物語。▼原作と同じ数々の事件や出会いを経験しながらも、その選択は未来を変えていく。▼目指すは世界最強、そしてポケモンマスター。▼…


総合評価:384/評価:8.83/連載:80話/更新日時:2026年10月12日(月) 08:13 小説情報

ポケットモンスター ―頂への軌跡―(作者:あああああ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンの世界に転生し、マサラタウンで育った少年・レン。▼前世の知識と類まれな育成の才能を持つ彼は、8歳の頃に出会ったヒトカゲ、そして四天王シバのもとで知り合ったリオルと共に成長していく。▼10歳になったレンは、幼なじみのサトシと共に冒険の旅へ。▼目指すはただ一つ――世界最強のポケモントレーナー。▼数多くの出会いと激闘を乗り越え、相棒たちと共に世界の頂点を目…


総合評価:48/評価:-.--/連載:41話/更新日時:2026年10月07日(水) 23:57 小説情報

めざせ、ポケモンマスター!(作者:瓶詰め蜂蜜)(原作:ポケットモンスター)

アニポケのサートシくんに転生した。▼けど、この世界はどうやら前世で見ていたアニポケのものとは違うようで……。▼どうせサートシくんに転生したのなら、全ての種類のポケモンと出会い、ポケモンマスターになる事を目指してもいいよな!▼


総合評価:795/評価:7.82/連載:26話/更新日時:2026年10月11日(日) 18:34 小説情報

逆行サトシの大冒険(作者:鉄壁拡散)(原作:ポケットモンスター)

サトシとその仲間達はそれぞれの夢に向かって歩みを進めたが、寿命には勝てず一生を終えてしまう。▼だがある日、サトシは気が付くと前世の記憶を持って逆行していた。▼サトシ「俺は今度こそポケモンマスターになるぜ!ピカチュウ、君に決めた!」▼ピカチュウ「ピッカ!」


総合評価:440/評価:7.88/連載:32話/更新日時:2026年10月10日(土) 16:05 小説情報

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:2771/評価:7.42/連載:37話/更新日時:2026年10月11日(日) 00:05 小説情報


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