ポケットモンスター~波動の眼を持つ少年~   作:レイザル

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ゲームの中と現実味を感じているリアル、その差は大きい


第39話 タマムシゲームコーナーの大勝負! 景品にされているポケモン達!

レンとリーフのポケモンバトルは、レンの圧勝に終わった。

四匹全員を倒され、悔しそうにポケモンセンターへと入っていったリーフ。その背中を見送ったシンヤとレンは、再びタマムシシティの街を歩き始めていた。

 

 

「それにしても、レン。ずいぶん強くなったな」

 

 

「ふふっ、当然よ。シンヤと一緒に旅をしているんですもの。ポケモンのことを勉強する機会も多いし、実戦経験だって積んでいるわ」

 

 

レンは少し得意げに胸を張った。

 

 

「それに……シンヤに褒めてもらえるのは、悪い気分じゃないもの」

 

 

「ん? 何か言ったか?」

 

 

「なーんにも♪」

 

 

レンは楽しそうに笑い、シンヤの腕に自分の腕を絡めた。

そんなやり取りをしながら歩いていた二人だったが、やがてシンヤの足がぴたりと止まった。

 

 

「……おお」

 

 

「どうしたの?」

 

 

レンがシンヤの視線を追う。

そこにあったのは、タマムシシティでもひときわ目立つ巨大な建物だった。

派手な看板に、きらびやかな装飾。入り口からは楽しげな音楽が流れ、次々と客が出入りしている。

建物の正面には、大きくこう書かれていた。

 

 

 

 

『タマムシゲームコーナー』

 

 

 

 

「……大きいわね」

 

 

「大きいな……!」

 

 

シンヤの目が輝いた。

前世の記憶にあるゲーム内の施設とは違い、目の前にあるのは実際に人々が遊びに来る娯楽施設だ。

ゲームの中では一つの建物として認識していた場所が、現実の世界ではこれほどの規模を誇っている。

それだけでも、シンヤにとっては感慨深いものがあった。

 

 

「ゲームコーナーっていうから、もっと小さな遊び場を想像していたわ」

 

 

「俺もだ。これは……なかなか気合が入ってるな」

 

 

「ふふっ。そんなに楽しみなの?」

 

 

「ああ。こういう施設は、どういう仕組みになっているのか気になるからな」

 

 

「シンヤの場合、遊ぶことよりも調べることが目的になりそうね」

 

 

「失礼な。ちゃんと遊ぶぞ?」

 

 

「はいはい♪」

 

 

レンはくすくすと笑った。

二人が入り口へ向かうと、スタッフが笑顔で迎えてくれた。

どうやら、このゲームコーナーは年齢制限などを設けていない、誰でも気軽に楽しめる健全な娯楽施設らしい。

中から聞こえてくるのは、ゲームの効果音と客たちの歓声。

 

 

シンヤとレンは、そのまま建物の中へと足を踏み入れた。

そして、入り口付近を見回したシンヤが、隣接する別の建物に気づく。

 

 

「ん? あっちにも何かあるな」

 

 

「あら、本当ね。景品交換所……かしら?」

 

 

ゲームコーナーの隣には、集めたコインをさまざまな景品と交換できる店が併設されていた。

二人はまず、どんな景品が用意されているのかを確認することにした。

 

 

ところが――。

 

 

「……えっ?」

 

 

景品の一覧を見たレンが、思わず声を上げた。

 

 

「ポケモンの絵と、必要なコインの枚数が書かれているのだけど?」

 

 

「……ポケモンが景品?」

 

 

シンヤも目を丸くした。

そこには、ポケモンの名前と必要なコインの枚数が並んでいた。

しかも、ぬいぐるみやグッズなどではない。

本物のポケモンが、交換景品として記載されているのだ。

 

 

「いやいやいや……」

 

 

シンヤは思わず額に手を当てた。

確かに、前世で遊んでいたゲームでも、このゲームコーナーではポケモンを景品として交換できた。

しかし、それはあくまでゲームの中の話だ。

実際に生きているポケモンが、景品として並べられているとなると話は別だった。

 

 

「……ちょっと、スタッフに聞いてくる」

 

 

「ええ、行ってらっしゃい」

 

 

シンヤは近くにいたスタッフへと歩み寄った。

 

 

「すみません。一つ聞きたいことがあるんですが」

 

 

「はい、何でしょうか?」

 

 

「この景品に書かれているポケモンって……本物ですよね?」

 

 

「もちろんです!」

 

 

スタッフはにこやかに答えた。

シンヤは一度、景品一覧へ視線を戻す。

そして、改めてスタッフを見た。

 

 

「……これは合法なんですか?」

 

 

「はい。合法ですよ」

 

 

「…………」

 

 

「まあ、必要なコインの枚数が多すぎて、今まで交換した人はいませんけどね!」

 

 

スタッフは笑顔のまま、あっけらかんと言い放った。

 

 

「ははは……」

 

 

シンヤは乾いた笑いを浮かべた。

なるほど。

法律上は問題ないらしい。

だが、だからといって納得できるかは別問題である。

生きたポケモンを、ゲームで集めたコインと交換する。

ポケモン自身の意思はどうなっているのか。交換された後、どのように扱われるのか。

 

 

気になる点はいくつもあった。

そして何より――。

 

 

 

 

(……待てよ)

 

 

 

 

シンヤの脳裏に、ある考えが浮かんだ。

前世のゲームでは、タマムシゲームコーナーはロケット団が運営していた。

地下には秘密基地があり、ゲームコーナーはその隠れ蓑になっていたはずだ。

だが、ここはゲームの世界ではなく、現実のポケモン世界。

前世の知識がそのまま当てはまるとは限らない。

 

 

「……そうですか。ありがとうございます」

 

 

シンヤはスタッフに礼を言うと、レンのもとへ戻った。

 

 

「何かわかった?」

 

 

「合法らしい。まあ、景品のポケモンを交換した人は今までいないそうだ」

 

 

「それは……なんだか複雑ね」

 

 

「まったくだ」

 

 

シンヤはゲームコーナーの内部へと視線を向けた。

 

 

「……少し、調べてみるか」

 

 

「調べる?」

 

 

「いや、こっちの話だ」

 

 

シンヤは何食わぬ顔で、ゲームコーナーの奥へと進んでいった。

レンも首をかしげながら、その後に続く。

店内は大勢の客で賑わっていた。

スロットマシンの前で真剣な表情を浮かべる者。

ポーカーの台を囲んで盛り上がる者。

コインを積み上げて喜ぶ子供たち。

 

 

その光景だけを見れば、どこにでもある普通の娯楽施設だった。

シンヤは店内を歩きながら、さりげなく壁や柱を確認していく。

 

 

ポスターの裏。

棚の陰。

従業員しか通らない通路の入り口。

前世のゲームで見覚えのある場所も、念のため調べてみた。

 

 

しかし――。

 

 

 

 

(……スイッチらしきものはないな)

 

 

 

 

壁を軽く叩いてみても、怪しい反応はない。

ポスターをめくってみても、隠しスイッチらしきものは見当たらない。

従業員用の通路も、普通に管理されているようだった。

少なくとも、ここから秘密基地に通じているような気配は感じられない。

 

 

 

 

 

(ふむ……)

 

 

 

 

 

シンヤは腕を組んだ。

 

 

 

 

 

(ロケット団とは関係なしか。前世の知識に引っ張られすぎるのもよくないな)

 

 

 

 

 

どうやら、このゲームコーナーは本当にただの娯楽施設らしい。

ならば、別の問題が残る。

シンヤは先ほど見た景品一覧を思い出した。

 

 

 

 

 

(……となると)

 

 

 

 

(元々、景品にされているポケモンは渡す気がない、ということだな?)

 

 

 

 

 

 

そもそも、今まで誰も交換したことがないほどのコインを要求しているのだ。

実質的に、交換できないようなものではないか。

合法だと言い張りながら、実際には手に入らない。

シンヤの表情から、すっと笑みが消えた。

 

 

そして――。

 

 

「……良かろう」

 

 

ぼそりと呟く。

 

 

「ならば、戦争だ」

 

 

その瞬間。

シンヤの目の色が変わった。

先ほどまで施設の構造を調べていた少年は、もうそこにはいない。

目の前のゲーム台を見つめるその眼差しは、まるで強敵を前にしたトレーナーのようだった。

 

 

ただし、相手はポケモンではない。

ゲームコーナーのコインである。

 

 

「……あー、うん」

 

 

レンは、シンヤの横顔を見て何かを察した。

 

 

「シンヤ?」

 

 

「……」

 

 

「長くなりそうなら、私は買い物をしてくるわよ?」

 

 

「……すまない」

 

 

シンヤは少しだけ我に返った。

 

 

「せっかく一緒に来たのに、付き合わせてしまって悪いな」

 

 

「気にしてないわよ。私も補充しておきたい化粧品があるし、ちょうどいいわ」

 

 

レンは微笑んだ。

 

 

「それに、シンヤが何かに夢中になると、なかなか止まらないことくらいわかっているもの」

 

 

「……否定できない」

 

 

「ふふっ。それじゃ、また後でね」

 

 

そう言って、レンはゲームコーナーを後にした。

シンヤはその背中を見送る。

そして、ゆっくりと視線を戻した。

その先には――。

ずらりと並んだスロットマシン。

 

 

「…………」

 

 

シンヤは静かに歩き出した。

 

 

「さて、と」

 

 

こうして、シンヤとゲームコーナーの長い戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~二時間後~

 

 

 

「流石に、シンヤもそろそろ終わらせている頃よね?」

 

 

タマムシシティの商店街。

レンは両手に買い物袋を提げながら、ゲームコーナーへと戻ってきていた。

この二時間で、美容液や化粧品、日用品など、旅に必要な消耗品をしっかりと補充できた。肌の手入れに必要なものも揃ったし、ポケモンたちのケア用品も買い足せた。

実に有意義な時間だった。

 

 

「ふふっ。シンヤったら、どれくらいコインを集められたのかしら?」

 

 

レンは少し楽しげに笑いながら、ゲームコーナーの入り口をくぐった。

そして――。

 

 

「か、勘弁してください、坊ちゃん!」

 

 

「…………え?」

 

 

レンは足を止めた。

目の前では、ゲームコーナーのスタッフが床に手をつき、見事な土下座を披露していた。

その正面には、腕を組んで仁王立ちするシンヤ。

そして、その後ろには――見慣れないポケモンたちが何匹もいた。

 

 

「……えっと」

 

 

レンは、思わず瞬きをした。

 

 

「何があったの?」

 

 

近くにいた一般客に、そっと尋ねる。

すると、その客は呆れたような、それでいてどこか感心したような表情で答えてくれた。

 

 

「いやあ……最初は普通にスロットで遊んでいたみたいなんだけどね」

 

 

「スロット?」

 

 

「そう。それでコインを稼いでいたんだけど、途中で効率が悪いって気づいたらしくてさ」

 

 

「効率……?」

 

 

レンは嫌な予感がした。

 

 

「そこからポーカーに切り替えたんだよ」

 

 

客は遠い目をした。

 

 

「最初の手札で、いきなりキングのフォーカードを揃えたらしい」

 

 

「……えっ?」

 

 

「それで、ダブルアップに挑戦したんだ」

 

 

「ダブルアップ?」

 

 

「次に出るカードが、今のカードより高いか低いかを当てるゲームだよ。ここのポーカーは、連続で当てるたびにコインが倍になっていくんだ」

 

 

「なるほど……」

 

 

レンは頷いた。

そこまでは、普通のゲームの話だ。

問題は、その先だった。

 

 

「ただし、一度に挑戦できる回数には制限があってね。最大十回までなんだ」

 

 

「十回……」

 

 

「そう。ところが、この少年は――」

 

 

客は、シンヤの背中を指差した。

 

 

「十回全部、当てたんだよ」

 

 

「…………」

 

 

「しかも、それを何度も繰り返してるんだ」

 

 

「………………え?」

 

 

レンは固まった。

客は、もはや笑うしかないという顔で続けた。

 

 

「一回だけなら、運が良かったで済むんだけどね……。この二時間で、何度も何度もコインを上限まで増やしてるんだ」

 

 

「コインの上限って……?」

 

 

「九千九百九十九枚だよ」

 

 

「……九千九百九十九枚?」

 

 

レンはゆっくりとシンヤを見た。

そして、もう一度、客を見た。

 

 

「それを……何度も?」

 

 

「そう。上限に達したら景品と交換して、また遊んで、また上限に達して……。もう何回繰り返したのか、誰にもわからないよ」

 

 

「…………」

 

 

レンは口を開けたまま、しばらく動けなかった。

波動の眼で相手の動きを見極めるシンヤなら、ポケモンバトルで強いのはわかる。

知識も豊富だし、判断力もある。

 

 

しかし、今の話に出てきたのはポケモンバトルではない。

単なるカードゲームだ。

しかも、シンヤ自身が言うところの――。

 

 

 

「波動の眼とは何の関係もない、本人の直感」

 

 

 

それだけで、連続十回のハイ&ローを何度も成功させたというのか。

 

 

「……シンヤって、そんなに勘が良かったのね」

 

 

レンは呆然と呟いた。

すると、シンヤの背後にいたポケモンたちが、興味深そうにレンを見た。

その顔ぶれを見て、レンはさらに驚くことになる。

まず目に入ったのは、小さな水色の体に、丸い頭を持つポケモン。

 

 

「……ミニリュウ?」

 

 

その隣には、鋭い鎌のような腕を持つ緑色のポケモン。

 

 

「ストライクまで……!」

 

 

さらに、白く滑らかな体に、どこか機械的な雰囲気を持つポケモン。

 

 

「えっ……この子は?」

 

 

シンヤが振り返った。

 

 

「ポリゴンだ」

 

 

「ポリゴン……?」

レンは初めて見るポケモンに目を丸くした。

 

 

そのほかにも、立派な角を持つカイロスや、両手を大きく広げたバリヤードの姿がある。

そして、レンの目を引いたのは――。

 

 

「……イーブイ?」

 

 

三匹のイーブイだった。レンも手持ちに一匹いるので間違えるはずがない。

三匹ともよく似ているが、互いに寄り添う様子から、どうやら兄妹らしい。

一匹がシンヤの足元に近づき、もう一匹がその後ろを追いかけ、最後の一匹が二匹の間に割り込む。

まるで、離れたくないと言っているかのようだった。

 

 

「この子たちも……景品だったの?」

 

 

「ああ」

 

 

シンヤは頷いた。

 

 

「交換できる状態だったから、全員引き取った」

 

 

「全員って……」

 

 

レンは改めて、シンヤの背後を見渡した。

 

 

ミニリュウ。

ストライク。

ポリゴン。

カイロス。

バリヤード。

そして、三匹のイーブイ。

合計八匹。

 

 

どのポケモンも、それぞれに魅力がある。

特にミニリュウやポリゴンなどは、簡単に出会えるポケモンではない。

そんなポケモンたちが、まとめてシンヤのもとにいるのだ。

レンは思わず額に手を当てた。

 

 

「……一体、何枚のコインを使ったのよ」

 

 

「さあ?」

 

 

「さあ、じゃないでしょう!?」

 

 

珍しくレンの声が大きくなった。

シンヤは少しだけ肩をすくめる。

 

 

「正確な枚数は数えていない。上限に達したら交換して、また増やして……を繰り返したからな」

 

 

「それを二時間で!?」

 

 

「うん」

 

 

「うん、じゃないわよ……!」

 

 

レンは深く息を吐いた。

その間にも、スタッフは床に手をついたまま、必死にシンヤへと訴えていた。

 

 

「お願いです! これ以上、景品を持っていかないでください!」

 

 

「……は?」

 

 

シンヤは冷ややかな視線を向けた。

 

 

「しかもですね! ミニリュウもストライクもポリゴンも、うちの目玉商品なんですよ!?」

 

 

「ほう」

 

 

「交換されることなんて、想定していなかったんです! まさか、本当に交換する人が現れるなんて……!」

 

 

「…………」

 

 

「せめて、残りの景品だけは! うちの看板なんです! どうか、どうかご慈悲を!」

 

 

スタッフは、再び深々と頭を下げた。

シンヤは腕を組んだまま、しばらく沈黙した。

やがて、静かに口を開く。

 

 

「……それは、おかしな話だな」

 

 

「は、はい?」

 

 

「そちらが合法だと言った。コインを集めれば交換できるとも言った。俺はルールに従ってコインを集め、必要な枚数を支払ってポケモンを引き取った」

 

 

シンヤは、足元に寄り添う三匹のイーブイへ視線を落とした。

一匹が、シンヤの靴に頬を擦りつける。

その様子を確認してから、シンヤはスタッフへ視線を戻した。

 

 

「それなのに、交換されると困る?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

「だったら最初から、交換できない景品にするべきだったんじゃないか?」

 

 

スタッフは何も言い返せなかった。

シンヤの言い分は、あまりにも正論だった。

景品としてポケモンを掲示し、交換に必要なコイン数を設定している。

 

 

ならば、客がその条件を満たして交換を求めたとき、店側がそれを拒むのは筋が通らない。

もちろん、実際の交換に際しては、ポケモンの状態や譲渡に必要な手続きなどを確認する必要はある。

 

 

だが、少なくとも「店の目玉商品だから」という理由だけで、交換した客に返せと迫るのはおかしい。

 

 

「……俺は、ポケモンが好きなんだ」

 

 

シンヤは静かに言った。

 

 

「だから、ポケモンを景品にすること自体に疑問を持った。だが、そちらは合法だと言ったし、交換できるとも説明した」

 

 

「…………」

 

 

「なら、俺はそのルールに従っただけだ」

 

 

「ううっ……!」

 

 

スタッフは、とうとう言葉を失った。

その様子を見ていたレンは、ふと苦笑した。

 

 

 

 

 

(……まあ、ポケモンを景品にしているのだから、シンヤが怒るのも仕方ないわね)

 

 

 

 

 

先ほどまでの呆れは、いつの間にか納得へと変わっていた。

シンヤは、ただ珍しいポケモンが欲しくて交換したわけではないのだろう。

 

 

少なくとも、目の前のポケモンたちを見れば、そう思えた。

ミニリュウはシンヤの隣に寄り添い、ストライクは周囲を警戒するように立っている。

ポリゴンはシンヤの顔を見上げ、カイロスは大きな鋏を動かしていた。

バリヤードは、まるでスタッフとシンヤの間を取り持とうとするように、両手を動かしている。

 

 

三匹のイーブイは、シンヤの足元で仲良く身を寄せ合っていた。

どのポケモンも、少なくとも今はシンヤのそばにいることを嫌がっていない。

 

 

「……シンヤ」

 

 

「ん?」

 

 

「その子たち、これからどうするの?」

 

 

レンの問いに、シンヤは少しだけ表情を和らげた。

 

 

「まずはポケモンセンターで状態を確認してもらう。そのあと、本人たちの様子を見て考えるよ」

 

 

「そう」

 

 

レンは微笑んだ。

 

 

「それなら安心ね」

 

 

「……ああ」

 

 

シンヤは頷くと、改めてスタッフへと向き直った。

 

 

「というわけで、交換の手続きについて確認したいことがある。あと、ポケモンたちの健康状態や、これまでの飼育環境についても説明してもらいたい」

 

 

「ま、まだ何かあるんですか!?」

 

 

「あるに決まっているだろう」

 

 

シンヤの声は、どこまでも冷静だった。

 

 

「この子たちを引き取った以上、今後の世話は俺が責任を持つ。そのために必要な情報は、可能な限り確認しておきたい」

 

 

「ううう……!」

 

 

スタッフは再び頭を抱えた。

その背中を見ながら、レンは小さく笑った。

 

 

「ふふっ……。本当に、シンヤらしいわね」

 

 

そして、買い物袋を持ち直すと、シンヤの隣へと歩み寄った。

 

 

「それじゃ、私も手伝うわ。ポケモンたちのケア用品なら、さっき買ってきたものが役に立つかもしれないし」

 

 

「助かるよ、レン」

 

 

「どういたしまして♪」

 

 

レンは三匹のイーブイへ視線を向け、そっとしゃがみ込んだ。

 

 

「初めまして。私はレンよ。これからよろしくね?」

 

 

三匹のイーブイは、揃って彼女を見つめた。

やがて、そのうちの一匹がレンの手に鼻先を寄せる。

 

 

「まあ……可愛い!」

 

 

レンの顔がぱっと明るくなった。

その隣で、シンヤはようやく小さく息を吐く。

こうして、タマムシゲームコーナーでの大騒動はひとまず収束へと向かい始めた。

 

 

 

しかし――。

景品として扱われていたポケモンたちを引き取ったことで、シンヤの手持ちと預かりポケモンの数は、またしても増えることになる。

しかも、その中には珍しいポケモンが何匹も含まれていた。

 

 

 

 

(……さて、これからどうするかな)

 

 

 

 

シンヤは、嬉しそうにレンへ甘えるイーブイたちを見下ろした。

新たな仲間たちとの旅は、まだ始まったばかりだった。

 

 

感想でもあったのですが特性を出すか出さないかについて。期限はある程度表が集まり次第まで

  • 出す。セキエイリーグから出す
  • 出さないか。ホウエンからでいいやろ
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