◆再会の翌朝、それぞれの準備
グンジョウシティのポケモンセンター。
前日にシンヤと再会し、バトルの約束を取りつけたサトシは、朝からやる気満々だった。
「よーし! 今日は絶対にシンヤに勝つぞ!」
「ピカチュウ!」
サトシとピカチュウは、気合十分でポケモンセンターを飛び出そうとする。
しかし、タケシから待ったがかかる。
「サトシ、バトルの前にポケモンたちの体調を確認しておけ。昨日までの疲れが残っているかもしれないだろう?」
「大丈夫だって! みんな元気いっぱいだぞ!」
「元気かどうかと、バトルで十分に力を出せるかどうかは別の話よ!」
カスミに指摘されても、サトシはあまり気にしていない。
一方のシンヤは、すでに自分のポケモンたちの状態を確認していた。
今回の使用メンバーは、ゲンガー、ガラガラ、スターミー、ニドキング、リザードン。
ゲンガーとガラガラはセキチクでの育成を経て進化したばかりだが、連戦で経験を積み、実戦で使える技も増えている。
シンヤは波動の眼でそれぞれの状態を確認しながら、最後にリザードンへ目を向けた。
「お前は最後だ。出番が来るまでは、ゆっくり休んでいてくれ」
リザードンは力強く鳴き、翼を広げた。
「リザードン!」
「頼りにしてるぞ。でも、今日はお前だけに頼るつもりはないからな」
シンヤはほかの4匹にも視線を向けた。
今回のバトルは、単にリザードンの強さを見せるためのものではない。
ゲンガーとガラガラが進化後の力をどこまで発揮できるか。スターミーとニドキングが、どれほど的確に指示へ応えられるか。
それを確かめる意味もあった。
レンはそんなシンヤを見て、微笑んだ。
「ふふっ。準備万端ね」
「相手はサトシだからな。どんな結果になっても、きちんと戦えるようにしておきたい」
「サトシは、きっと全力で向かってくるわね」
「ああ。そこは間違いない」
シンヤは苦笑した。
サトシの戦い方は知っている。
強い攻撃を受けても、ポケモンを励まし、さらに攻撃を繰り出させる。
相性が悪くても、戦い方を変えるより、まずは正面からぶつかろうとする。
その熱意は立派だ。
しかし、ポケモンバトルは気合いだけで勝てるほど単純ではない。
今日はその違いが、はっきりと表れることになる。
◆バトル開始! 先鋒ゲンガーVSヒトカゲ!
二人が向かったのは、街の復旧作業区域から十分に離れた空き地だった。
周囲に建物や住民がいないことを確認し、バトルを行う場所として使用する。
「それじゃあ、始めようぜ!」
サトシがモンスターボールを構える。
「ああ。5対5だ。どちらかのポケモンが全員戦闘不能になった時点で勝敗が決まる。交代は自由。ただし、交代したポケモンはそのバトルでは再出場できない、というルールでどうだ?」
「分かった! それじゃあ行くぞ!」
サトシが最初に繰り出したのはヒトカゲ。
「行け、ヒトカゲ!」
「カゲーッ!」
シンヤが選んだのは、ゲンガーだった。
「頼むぞ、ゲンガー」
「ゲンゲロゲーー!」
ゲンガーが不気味な笑みを浮かべる。
サトシは一瞬驚くが、すぐに気合を入れ直した。
「よーし! ヒトカゲ、かえんほうしゃ!」
ヒトカゲが口から炎を放つ。
ゲンガーは身体を沈めるようにして攻撃をかわし、地面へ溶け込むように姿を消した。
「えっ!? どこ行ったんだ!?」
「ヒトカゲ、周りをよく見ろ!」
ヒトカゲは辺りを見回すが、ゲンガーの姿は見えない。
次の瞬間、背後の影からゲンガーが飛び出した。
「シャドーボール!」
至近距離から放たれた攻撃が、ヒトカゲを吹き飛ばす。
「ヒトカゲ!」
ヒトカゲは地面を転がりながらも立ち上がった。
「まだまだ! ヒトカゲ、かえんほうしゃだ!」
ヒトカゲが強烈な炎を放つ。
しかし、ゲンガーは正面から受け止めようとはせず、横へ滑るように移動して攻撃をかわした。そのままヒトカゲの側面へ回り込み、シャドーボールを放つ。
「くっ……ヒトカゲ、負けるな! もっと頑張れ!」
サトシはヒトカゲを励まし続ける。
ヒトカゲも声に応え、炎を吐き続けた。
だが、ゲンガーは攻撃の軌道を見極め、最小限の動きで回避していく。
シンヤは落ち着いて指示を出した。
「ゲンガー、こごえるかぜ!」
冷気が地面を這うように広がる。
ヒトカゲは冷気を受けて動きが鈍り、次の攻撃に反応するのが遅れた。
「今だ。シャドーボール!」
攻撃が直撃する。
ヒトカゲはしばらく踏ん張ったものの、ついに力尽きた。
「ヒトカゲ、戦闘不能!」
審判役を務めるタケシが判定を下す。
「そんな……!」
サトシは悔しそうに拳を握る。
シンヤはゲンガーを褒めた。
「よくやった。相手の攻撃を無理に受けず、動きを見ながら戦えたな」
ゲンガーは得意げに笑う。
サトシはヒトカゲをボールに戻した。
「よく頑張ったな、ヒトカゲ。次は絶対に勝とうぜ!」
ヒトカゲはボールの中へ戻る直前、悔しそうに鳴いた。
サトシは次のボールを握りしめる。
「次はお前だ!」
この試合のポイント
ヒトカゲは炎技を繰り返し、ゲンガーを力ずくで倒そうとした。
しかし、ゲンガーの動きに対応するための具体的な指示が足りず、同じような攻撃を繰り返してしまう。
サトシはヒトカゲを信じている。
だが、信じることと、相手を倒すための方法を考えることは別なのだ。
◆ガラガラVSゼニガメ! 進化したばかりの意地
サトシが繰り出したのはゼニガメだった。
「行け、ゼニガメ!」
「ゼニッ!」
シンヤはゲンガーを戻し、ガラガラを繰り出した。
「ガラガラ、頼むぞ!」
「ガラッ!」
ガラガラは骨を構え、相手を見据える。
サトシは勢いよく指示を出した。
「ガラガラ……カラカラの進化系なら地面だよな!ゼニガメ、水鉄砲!」
ゼニガメが水を放つ。
ガラガラは横へ飛び退き、攻撃をかわした。
「ホネブーメラン!」
ガラガラが骨を投げる。
ゼニガメは甲羅へ身を引っ込め、攻撃を受け止めた。
「よし! そのまま水鉄砲だ!」
ゼニガメが甲羅から身を出すと同時に、水を放つ。
ガラガラは直撃を受け、後退した。
「いいぞ、ゼニガメ! もっといけ!」
サトシは勢いづく。
しかし、シンヤは落ち着いていた。
「ガラガラ、相手の攻撃をよく見ろ。受け止めるだけじゃなく、避けられるものは避けるんだ」
ガラガラは頷き、ゼニガメの水鉄砲をかわしながら距離を詰める。
「ボーンラッシュ!」
骨を振るい、ゼニガメへ連続攻撃を仕掛けた。
ゼニガメは甲羅へ引っ込み、攻撃を耐える。
「負けるな、ゼニガメ! 水鉄砲で押し返せ!」
ゼニガメが水を放ち、ガラガラを押し戻す。
ガラガラは一瞬よろめいた。
だが、倒れない。
進化する前なら、ここで怯んでいたかもしれない。
今のガラガラは違う。
シンヤの指示を信じ、自分の判断で動こうとしていた。
「よし、ガラガラ! 相手が攻撃してくる瞬間を狙え!」
ゼニガメが再び水鉄砲を放つ。
ガラガラは攻撃を紙一重でかわし、懐へ飛び込んだ。
「かわらわり!」
強烈な一撃がゼニガメに決まる。
ゼニガメは吹き飛ばされ、地面を転がった。
「ゼニガメ!」
サトシが叫ぶ。
ゼニガメは立ち上がろうとしたが、足元がふらつき、ついに倒れた。
「ゼニガメ、戦闘不能!」
二連敗。
サトシは歯を食いしばった。
「くそっ……!」
しかし、ガラガラも無傷ではない。
水技を何度か受けたことで、呼吸が荒くなっていた。
シンヤはガラガラを褒める。
「よく頑張ったな。進化したばかりなのに、最後まで指示についてきた。
今後は進化した身体の動かし方を覚えていこう」
ガラガラは嬉しそうに骨を掲げた。
レンも微笑んだ。
「カラカラだった頃と比べると、ずいぶん堂々としたわね」
「ああ。自信がついたんだろうな」
シンヤはガラガラをボールへ戻した。
その様子を見て、サトシは次のポケモンを繰り出す。
「次はフシギダネだ!」
◆スターミーVSフシギダネ! 技の使い方の差
「フシギダネ、頼むぞ!」
フシギダネがボールから飛び出す。
シンヤはスターミーを選んだ。
「スターミー、行こう!」
スターミーは身体の中央にある赤い宝石を輝かせた。
サトシはすぐに指示を出す。
「フシギダネ、つるのムチ!」
二本のつるがスターミーへ伸びる。
スターミーは素早く横へ移動してかわした。
「スターミーならカスミが持ってるからわかるぜ!はっぱカッターだ!」
葉が鋭く飛ぶ。
スターミーは身をひねって回避し、サイコキネシスでフシギダネの動きを押さえ込もうとした。
「フシギダネ、負けるな! つるのムチで引っ張れ!」
フシギダネはつるを地面へ打ちつけ、何とか体勢を立て直した。
サトシはさらに攻撃を命じる。
「はっぱカッター、連続攻撃だ!」
葉が次々と飛ぶ。
しかし、スターミーは攻撃の合間を縫うように移動し、距離を詰めていく。
「ねっとう!」
熱い水流がフシギダネを襲う。
「フシギダネ!」
フシギダネは苦しそうに鳴いた。
「まだまだ! つるのムチで攻撃だ!」
フシギダネはつるを伸ばし、スターミーへ攻撃する。
スターミーは一度距離を取ったあと、再びサイコキネシスを放った。
今度はフシギダネの動きを完全に封じる。
「これで終わりだ。パワージェム!」
宝石から放たれた光がフシギダネへ直撃した。
フシギダネは地面へ倒れ、起き上がれなくなった。
「フシギダネ、戦闘不能!」
サトシは悔しそうに唇を噛む。
「くそっ……フシギダネまで……!」
シンヤはスターミーを労った。
「よくやった。相手のつるに気をつけながら、距離を保って戦えたな」
スターミーは静かに輝いた。
レンはサトシの様子を見ながら、小さく息を吐いた。
「サトシ君は、ポケモンを信じるバトルをするのね」
「ああ。でも、今の戦いでは、フシギダネが攻撃を当てる方法を考える前に、攻撃を繰り返させてしまっていた」
「……そうね」
「フシギダネは頑張っていた。でも、スターミーの動きに対応するための指示が足りなかったんだ」
シンヤの言葉に、レンは頷いた。
サトシのポケモンたちは、どれも諦めずに戦っている。
しかし、戦う気持ちだけでは、相手の動きを止めることはできない。
◆ニドキングVSピジョン! 空中戦の結末
「まだまだ! 次はピジョンだ!」
サトシは4匹目のポケモンを繰り出した。
ピジョンは翼を広げ、空へ舞い上がる。
シンヤはスターミーを戻し、ニドキングを繰り出した。
「頼むぞ、ニドキング!」
「ニドォォッ!」
ピジョンが上空から突っ込んでくる。
「ピジョン、つばさでうつ!」
ニドキングは腕を構えて攻撃を受け止めた。
ピジョンはすぐに上昇し、再び旋回する。
「いいぞ! もう一度だ!」
サトシは同じように攻撃を繰り返させた。
ニドキングは何度か攻撃を受けながらも、落ち着いて相手の飛行軌道を見極めていく。
シンヤは波動の眼でピジョンの動きを観察した。
飛行速度は十分。
しかし、攻撃へ移る直前には、翼の角度がわずかに変化している。
そして何より、ニドキングもまた、古参に数えられるシンヤの主力の1匹。
同じで既に進化しているピジョットと何度も特訓しているので動きを読むのは容易かった。
「ニドキング、相手が降りてきたところを狙え。れいとうビーム!」
ニドキングが冷気を放つ。
ピジョンは急上昇してかわした。
「よし! そのまま、つばさでうつだ!」
ピジョンが再び急降下する。
ニドキングは今度こそ動きを合わせた。
「10まんボルト!」
電撃が空へ走る。
ピジョンは攻撃を受けて大きくよろめいた。
「ピジョン!」
それでもピジョンは翼を広げ、再び飛び上がろうとする。
サトシは声を張り上げた。
「頑張れ! まだ戦えるぞ!」
ピジョンはその声に応えようとした。
だが、翼の動きが乱れ、高度が下がっていく。
「ニドキング、進行方向に向かってメガホーンで突っ込め!!」
ニドキングが地面を蹴り、ピジョンの進路へ踏み込む。
強烈な一撃が決まり、ピジョンは地面へ落下した。
「ピジョン、戦闘不能!」
これでサトシのポケモンは残り一匹。
シンヤ側は、ゲンガー、ガラガラ、スターミー、ニドキングの4匹が勝利を収めている。
ニドキングは軽く胸を張り、シンヤのもとへ戻ってきた。
「よくやった。相手の動きを見極めてから攻撃できたな」
ニドキングは満足そうに鳴いた。
サトシはピジョンをボールへ戻した。
残るはピカチュウだけ。
サトシはピカチュウを肩から下ろし、正面に立たせた。
「ピカチュウ……頼むぞ」
「ピカ!」
サトシの表情は真剣だった。
ここまで4連敗。
それでも、諦める気はない。
「絶対に勝とうな!」
「ピカピカ!」
シンヤはその様子を見つめた。
(最後はピカチュウか……)
サトシの旅の相棒。
これまでの4匹とは違い、サトシとの息の合った連携を見せるポケモンだ。
しかし、それだけで勝てるほど、今回の相手は甘くない。
シンヤはニドキングを戻し、最後のボールを手に取った。
「それじゃあ、俺も最後の一匹だ」
ボールを掲げる。
「来い、リザードン!」
◆リザードンVSピカチュウ! 最後の勝負
大きな翼を広げ、リザードンがフィールドへ降り立つ。
その姿を見たサトシは、思わず息を呑んだ。
「リザードン……!」
ピカチュウも目を見開く。
リザードンの身体からは、これまでの4匹とは違う圧倒的な存在感が放たれていた。
サトシは一瞬だけ緊張したものの、すぐに拳を握りしめた。
「ピカチュウ! 負けるな! 最後まで頑張ろうぜ!」
「ピカッ!」
ピカチュウが電気を帯びる。
「それじゃあ、始めよう!」
サトシの声が響いた。
「ピカチュウ、でんこうせっか!」
ピカチュウが地面を蹴り、リザードンへ突進する。
リザードンは身体をわずかに傾けてかわし、翼を広げた。
「かえんほうしゃ!」
炎が地面を走る。
ピカチュウは横へ飛び退き、攻撃をかわした。
「よし! 10まんボルトだ!」
ピカチュウが強烈な電撃を放つ。
リザードンは翼を使って飛び上がり、攻撃を回避した。
「そのまま、でんこうせっかだ!」
ピカチュウは再び突進する。
リザードンは空中で身を翻し、ピカチュウの進路を見極めていた。
「りゅうのまい!」
リザードンが空中で舞うように身体を動かす。
その動きに合わせて、攻撃の勢いと身体のキレが増していく。
「今だ、ドラゴンクロー!」
リザードンが急降下し、鋭い爪を振るう。
ピカチュウは直前で飛び退いたものの、衝撃を完全には避けきれず、地面を転がった。
「ピカチュウ!」
サトシが叫ぶ。
ピカチュウは何とか立ち上がる。
「まだまだ! 頑張れ、ピカチュウ!」
サトシはひたすら励ます。
ピカチュウもその声に応え、再び電気を蓄えた。
「10まんボルト!」
電撃がリザードンを襲う。
リザードンは腕を交差させて受け止めた。
リザードンは内心「この程度の電撃屁でもない」と言わんばかりの表情を浮かべている。
「リザードン、かえんほうしゃ!」
炎が電撃を押し返し、ピカチュウへ迫る。
ピカチュウは横へ飛び退き、かろうじて直撃を避けた。
しかし、炎の熱と衝撃で動きが鈍る。
「ピカチュウ、まだいけるぞ! もう一度だ!」
サトシは声を張り上げた。
ピカチュウは歯を食いしばり、再び突進する。
「でんこうせっか!」
「リザードン、迎え撃て。ほのおのパンチ」
炎をまとった拳と、突進するピカチュウが激突した。
衝撃がフィールドに響く。
その攻撃はカウンター並みのタイミングで命中し、ピカチュウは弾き飛ばされ、地面へ落ちた。
「ピカチュウ!」
サトシが駆け寄ろうとする。
だが、ピカチュウは再び立ち上がろうとしていた。
「ピカ……!」
「もういい、ピカチュウ!」
サトシは思わず叫んだ。
「十分頑張った! もう休んでいいんだ!」
ピカチュウはサトシを見つめたあと、ゆっくりと身体を伏せた。
「ピカチュウ、戦闘不能!」
タケシの判定が響く。
これで、勝者はシンヤ。
5対0。
サトシのポケモンたちは、全力で戦った。
しかし、シンヤのポケモンたちを倒すことはできなかった。
◆敗北、そしてシンヤの言葉
サトシはピカチュウを抱き上げ、悔しそうに俯いた。
「……負けた」
声は小さかった。
5匹すべてが敗北した。
一方のシンヤは、リザードンを労いながら、サトシの様子を見つめていた。
「リザードン、よく頑張ったな。戻って休んでいてくれ」
「リザードン!」
リザードンは満足そうに鳴き、ボールへ戻った。
シンヤはサトシのもとへ歩み寄った。
「サトシ」
「……なんだよ」
「お前がポケモンたちを信じていることは、よく分かった」
サトシが顔を上げる。
「でもな、信じるだけじゃ勝てないこともある」
サトシは黙って聞いていた。
「ヒトカゲもゼニガメも、フシギダネもピジョンもピカチュウも、みんな最後まで頑張っていた。お前の声に応えようとしていたんだ」
「……ああ」
「だけど、相手の攻撃をどう避けるか、どの技を使えば有利になるか、どうすれば攻撃を当てられるか。そういうことを考えて指示を出さないと、ポケモンたちの頑張りを勝利に繋げられない」
サトシは悔しそうに拳を握った。
「俺は……もっと頑張れって言ってただけなのか?」
「それだけじゃない。お前はポケモンたちを応援していたし、最後まで諦めなかった。それは大事なことだ」
シンヤははっきりと伝えた。
「でも、トレーナーには、ポケモンが頑張ってくれる分、勝つための方法を考える責任もあるんだ」
サトシは何も言わなかった。
悔しさはある。
しかし、シンヤの言葉が間違っているとも思えなかった。
自分はポケモンたちを信じていた。
もっと頑張れと応援していた。
けれど、どうすれば相手を倒せるのか、どうすれば自分のポケモンを守れるのか。
そこまで考えていたかと問われれば、答えに詰まってしまう。
「……くそーっ! 次は絶対に勝つからな、シンヤ!」
やがてサトシは顔を上げ、いつものように声を張り上げた。
「もっと強くなって、今度こそお前に勝つ!」
シンヤは笑った。
「ああ。楽しみにしてるよ」
ピカチュウも元気を取り戻し、サトシの肩へよじ登った。
「ピカ!」
レンは二人を見ながら、穏やかに微笑んだ。
「いいバトルだったわね」
「そうだな」
シンヤは頷く。
「サトシには、まだまだ学ぶことがある。でも、ポケモンたちと一緒に強くなっていくんだろうな」
そして、シンヤはサトシに手を差し出した。
サトシは一瞬驚いたあと、その手を力強く握り返した。
「次は負けないからな!」
「分かってるよ」
二人は笑い合った。
◆バトルの後に見えてきたもの
バトルを終えた一行は、ポケモンセンターへ戻った。
サトシたちのポケモンを回復させながら、タケシが口を開く。
「それにしても、シンヤはずいぶん戦い慣れているな。ポケモンの動きだけでなく、相手の攻撃の癖まで見て指示を出していた」
「まあ、いろいろ経験してきたからな」
シンヤは苦笑した。
カスミはサトシを見て、呆れたように肩をすくめる。
「サトシも、少しは考えて戦うようにしなさいよ。ずっと『頑張れ』『負けるな』ばかりじゃ、ポケモンだって困るでしょ」
「分かってるよ!」
サトシは反論しかけたが、すぐに口を閉じた。
先ほどのバトルを思い返しているのだろう。
その様子を見て、シンヤは話題を変えた。
「ところで、街の環境問題についても、少し調べたいんだ。サトシたちは、ベトベトンを捕まえるまでに何があったのか、詳しく聞かせてくれないか?」
タケシが頷いた。
「俺たちも、街の状況を調べていたところだ。ベトベターたちが大量に出現した原因には、環境汚染が関係している可能性がある」
「そうなのか……」
シンヤは考え込んだ。
「なら、俺たちも協力できそうだな」
レンも頷く。
「街の人たちから話を聞いて、工場や海の様子を調べましょう。何が起きているのか、まずは正確に知ることが大切だわ」
こうして、シンヤとレンはキョウからの依頼に本格的に取り組むことになった。
サトシたちもまた、ベトベトンとベトベターたちの暮らしを守るため、調査に協力することを決めた。
バトルでは大きな差があった二人。
しかし、ポケモンたちを大切に思う気持ちは同じだった。
その気持ちを出発点に、彼らはグンジョウシティの問題へ向き合っていく。
感想でもあったのですが特性を出すか出さないかについて。期限はある程度表が集まり次第まで
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出す。セキエイリーグから出す
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出さないか。ホウエンからでいいやろ