◆手持ちの整理!誰と旅をする?
トキワシティの小さな池で、コダック、ヤドン、コイキング、ニョロモ、トサキントの5匹を捕まえたシンヤ。
ポケモンセンターへ戻る道すがら、彼はバッグの中に収めたモンスターボールを見つめていた。
「さて……どうするかな」
現在の手持ちは、ヒトカゲとポッポ。それに、今回捕まえた5匹を加えれば、合計7匹になる。
この世界でも、トレーナーが持ち歩くポケモンは基本的に6匹まで。7匹目以降は別の場所で預かってもらうことになる。
幸い、シンヤには実家でポケモンたちを預かってもらえる仕組みがある。だから全員を捕まえたこと自体は問題ない。
しかし、旅の最初から7匹全員を連れ歩くわけにはいかなかった。
「ヒトカゲとポッポは、もちろん手持ちに残すとして……」
ヒトカゲは最初の相棒だ。これから一緒に成長していく、大切なパートナーである。
ポッポも、トキワシティへ来るまでに出会い、仲間になったばかりだ。まだまだ実力を確かめたいし、空を飛ぶポケモンとしての可能性にも期待している。
となれば、シンヤはしばらく考えたあと、ひとつのモンスターボールを取り出した。
「……よし。3匹目はお前に決めた!」
そのボールに入っているのは――コイキングだった。
なぜ、コイキングなのか。
答えは、捕獲時のバトルにあった。
◆コイキングの意外な実力!ただの「はねる」じゃなかった!
「コイキングを手持ちにする理由は、いくつかあるんだよな」
シンヤは、先ほどのバトルを思い返す。
コイキングは確かに、基本的にはねてばかりだった。
しかし、あの跳躍は普通の「はねる」とは少し違っていた。
高さだけではない。空中での姿勢、跳躍後の移動距離、着地する方向。どれを見ても、ただその場で跳ねているだけとは思えなかったのだ。
「もしかして……」
シンヤはモンスターボールを手に持ち、コイキングを外に出した。
「コイッ!」
元気な鳴き声とともに、コイキングが地面へ現れる。
「ちょっと確認したいことがあるんだ。さっきのバトルで、普通の『はねる』よりも高く、遠くまで跳んでいたよな?」
「コイ?」
コイキングは首をかしげるようにして、シンヤを見上げた。
「もう一度、見せてもらえるか?」
「コイッ!」
コイキングはその場で体をくねらせ、勢いよく跳躍した。
ぴょおおおんっ!
「おおっ!?」
シンヤは目を見開いた。
コイキングの体は、先ほどの捕獲バトルで見せたものと同じように、予想以上に高く跳び上がった。しかも空中で体勢を変え、少し離れた場所へと着地したのだ。
「やっぱりだ……!」
シンヤは波動の眼を集中させ、コイキングの技の状態を確認する。
そして、表示された情報に思わず声を上げた。
「……『とびはねる』を覚えているのか!?」
「コイッ!」
コイキングは、まるで「そうだよ!」とでも言いたげに、もう一度跳ねた。
シンヤは笑みを浮かべる。
「なるほどなあ。確かに、バトル中に普通の『はねる』よりも派手に跳んでいた気がしたんだよ」
コイキングは、見た目や一般的なイメージだけで評価できるポケモンではなかった。
もちろん、「とびはねる」を覚えているからといって、すぐに高い戦闘能力を発揮できるとは限らない。跳躍の高さや着地点の制御、空中での身のこなし、着地後の立て直しなど、確認すべきことは多い。
それでも、これは大きな発見だった。
「コイキング。お前、思っていた以上に面白いポケモンだな!」
「コイッ!」
コイキングは嬉しそうに跳ねた。
シンヤがコイキングを選んだ理由
シンヤがコイキングを手持ちに選んだ理由は、単に珍しい技を覚えていたからだけではない。
第一に、進化後のギャラドスが持つ可能性だ。
「コイキングはレベル20でギャラドスに進化する。もちろん、実際の進化がゲームと完全に同じ条件で起きるかは、これから確かめていく必要があるけどな」
前世の知識を持つシンヤにとって、ギャラドスは非常に魅力的なポケモンだった。
高い攻撃力を生かしたアタッカーとして育てることもできるし、耐久力や技の選択を工夫して、相手の攻撃を受けながら戦う型を目指すこともできる。
さらに、水中だけでなく陸上でも戦えることは大きな強みだ。
水辺の戦闘、陸地でのバトル、移動時の水上行動。ギャラドスの特性を理解して育てれ
ば、旅のさまざまな場面で頼れる存在になってくれるだろう。
「それに、今の段階からコイキングの動きを観察しておけば、進化したあとにも役立つはずだ」
「コイ?」
「もちろん、進化することだけが目的じゃないぞ。今のお前にも、できることはあるんだからな」
シンヤはコイキングの頭を優しく撫でた。
コイキングは一瞬だけ動きを止めたあと、嬉しそうに尾びれを振った。
「これからよろしくな、コイキング!」
「コイッ!」
こうして、シンヤの手持ち3匹目はコイキングに決定した。
◆ポッポの出番!今度はお前の実力を見せてくれ!
コイキングをボールに戻したところで、すぐそばから元気な鳴き声が聞こえてきた。
「ポッポー!」
シンヤが振り返ると、ポッポが翼を広げてこちらを見つめていた。
その表情は、どことなく不満そうだ。
「……はは、わかってるよ、ポッポ」
「ポッポ!」
「さっきの水ポケモンとのバトル、ヒトカゲばっかりだったもんな。次はお前の番だ」
「ポッポー!」
ポッポは嬉しそうに翼を広げた。
もちろん、ヒトカゲに5連戦を任せたのには理由がある。
シンヤはヒトカゲの炎技が水ポケモン相手では通りにくいことを承知していた。だからこそ、あえて水ポケモンとのバトルを経験させたのだ。
相性の悪い相手と戦う経験は、決して無駄ではない。
有利な技が通りにくい相手にどう立ち回るのか。攻撃を避け、地形を利用し、相手の隙を見つけるにはどうすればいいのか。
そうした経験は、ヒトカゲがこれから成長するうえで役立つはずだ。
そして、もうひとつ。
シンヤには、ヒトカゲに覚えさせたい技があった。
「カゲェ?」
ヒトカゲは不思議そうに首をかしげた。
シンヤはしゃがんで、ヒトカゲと目線を合わせる。
「実はな。お前に覚えさせたい技があるんだ。だから、あえて水ポケモンたちとのバトルを経験してもらったんだよ」
「カゲ?」
「もちろん、無理やり覚えさせるつもりはないぞ。お前の体の動かし方や得意なことを見ながら、合っているかどうかを確かめたいんだ」
ヒトカゲはしばらくシンヤを見つめたあと、力強く鳴いた。
「カゲーッ!」
どうやら、やる気は十分らしい。
シンヤは笑みを浮かべ、目的の技を口にした。
「俺がお前に覚えてほしい技――それは、かみなりパンチだ!」
「カゲッ!?」
ヒトカゲは驚いたように目を丸くした。
炎タイプのヒトカゲに、電気タイプの技。
一見すると、少し意外な組み合わせに思えるかもしれない。
だが、シンヤには明確な狙いがあった。
◆なぜ「かみなりパンチ」なのか?
「かみなりパンチは、いろいろな場面で役に立つ技なんだ」
シンヤは地面に小枝を置き、簡単な図を描くように説明を始めた。
「まず、相手が水タイプだった場合。電気技が有効な相手なら、炎技だけに頼らず攻撃できる。これが一番大きい」
ヒトカゲは小枝とシンヤの顔を交互に見た。
「それに、進化してリザードンになったあとも、物理攻撃を使う戦い方を目指すなら、かみなりパンチは候補になる。相手との距離が近いときにも使えるし、炎技とは違った攻撃の選択肢が増えるんだ」
シンヤは一度言葉を切った。
「ただし、ひとつ勘違いしてほしくないことがある」
ヒトカゲが顔を上げる。
「かみなりパンチを覚えれば、相手の電気技を何でも防げる……というわけじゃない」
これは重要な点だった。
かみなりパンチは、拳に電気の力をまとわせて攻撃する技だ。相手が放った電撃に対して拳をぶつければ、状況によっては互いの攻撃がぶつかり合うこともあるかもしれない。
だが、電気技を完全に無効化できる防御技ではない。
相手の攻撃範囲、電撃の強さ、技を出すタイミング、そしてヒトカゲ自身の制御能力によって結果は変わる。
「だから、かみなりパンチを覚えたら、まずは技の出し方と電気の制御を練習する。それから、相手の技に対してどう使えるのかを確かめよう」
「カゲーッ!」
ヒトカゲは理解したように鳴いた。
シンヤは満足そうに頷く。
「よし。じゃあ、まずはお前がどこまでできるか、少しずつ確かめていこう!」
◆リザードンになった先の構想
シンヤはバッグを背負い直しながら、これからの育成計画について考えていた。
かみなりパンチは、あくまで候補のひとつ。
ヒトカゲがリザードンへと成長したとき、どのような戦い方をするのか。物理攻撃を中心にするのか、特殊攻撃を中心にするのか、それとも両方を使い分けるのか。
その方向性によって、覚えさせたい技も変わってくる。
「もし両刀型を目指すなら、候補はいろいろあるな……」
シンヤの頭の中には、前世のゲーム知識から得た技の候補が次々に浮かんでいた。
物理攻撃の候補
- ドラゴンクロー
- いわなだれ
- かわらわり
- かみくだく
- シャドークロー
- きあいパンチ
- かみなりパンチ
接近戦や相手の弱点を突く場面で活用できる技。実際に習得できるか、どの程度適性があるかは、本人の成長と練習次第。
特殊攻撃の候補
- りゅうのはどう
- ねっぷう
- きあいだま
- ソーラービーム
- エアスラッシュ
遠距離攻撃や範囲制圧、相手のタイプや戦場に応じた対応力を伸ばす方向。
変化技・戦術技の候補
- りゅうのまい
- カウンター
- つるぎのまい
- えんまく
- はらだいこ
攻撃能力を高める、相手の攻撃を利用する、視界を遮るなど、単純な火力以外の戦術を広げる技。
「ただ、全部覚えさせればいいって話じゃないんだよな」
シンヤは自分に言い聞かせるように呟いた。
技の候補が多いことと、実戦で使いこなせることは別問題だ。
たとえば、りゅうのまいやつるぎのまいを使うなら、技を使う隙をどう作るかが重要になる。きあいパンチのように集中や溜めが必要な技なら、相手に妨害されない立ち回りを身につけなければならない。
ソーラービームのような技も、天候や日差し、発射までの時間など、実際の戦場で考えるべきことがある。
そして、技を覚えるには、ポケモン自身の適性や練習も必要だ。
「まずは、かみなりパンチ。それから、ヒトカゲが何を得意としているのかを見ながら、次の技を考えよう」
「カゲッ!」
ヒトカゲはやる気に満ちた声で答えた。
その様子を見て、シンヤは笑った。
「焦らず、ひとつずつだ。強くなるのは、俺とお前が一緒に進んでいくためなんだからな」
ヒトカゲはシンヤの手に頭を擦り寄せた。
その小さな炎は、今日も力強く揺れていた。
◆ポッポも忘れない!3匹で次の街へ
「さて、今日は新しい仲間も増えたし、そろそろ一旦、ポケモンセンターに戻ろう。ヒトカゲを回復させたい」
シンヤはヒトカゲをボールに戻し、ポッポの方へと向き直った。
「ポッポ。次はお前の飛行能力を調べてみよう。どのくらい飛び続けられるか、旋回の得意不得意、風を受けたときの動き……確認したいことはたくさんある」
「ポッポー!」
「もちろん、いきなり全部やるわけじゃないぞ。まずは軽い飛行訓練からだ」
ポッポは嬉しそうに羽ばたいた。
シンヤはポッポを見つめながら、旅の先を考える。
ヒトカゲには、技の幅を広げるための練習を。
ポッポには、飛行能力を生かした戦い方と移動の訓練を。
コイキングには、跳躍力や体力、そして「とびはねる」の制御を。
それぞれ違う個性を持つポケモンたちだからこそ、育て方も同じではいけない。
「よし。明日からも忙しくなりそうだ!」
「ポッポー!」
シンヤとポッポは並んで歩き出した。
そのバッグの中には、3匹の仲間たちのモンスターボールが収まっている。
ヒトカゲ、ポッポ、コイキング。
旅はまだ始まったばかりだ。
そして、シンヤが知らない場所には、まだ出会ったことのないポケモンたちが待っている。
「次はどんな出会いがあるかな……!」
そう呟いたシンヤの目は、期待に満ちていた。
今回は特に更新するべきレベルや技はなし