本来ならロケット団とかが襲い掛かるんだけど、シンヤの存在を組織内でリークされているので研究所を狙えないでいる感じです
前編――知られざる仲間、ぶつかり合う実力!
オーキド研究所のバトルフィールド。
サトシとシゲルが、それぞれの陣地に立っていた。
フィールドの周囲には、オーキド博士の研究所で暮らすポケモンたちが集まり、これから始まる勝負を楽しみにしている。
リーフとシンヤも、観戦席の最前列から二人を見守っていた。
「それでは、サトシとシゲルのポケモンバトルを始めるぞい!」
オーキド博士が審判役として声を上げた。
「今回のルールは、互いにポケモンを二匹ずつ使用する二対二のバトルじゃ。交代は自由。二匹とも戦闘不能になるか、トレーナーが降参した時点で勝敗を決める!」
「分かったぜ!」
「了解したよ、おじい様」
二人は同時に返事をした。
「じゃあ、サトシ。先にポケモンを選ばせてもらうよ」
シゲルはモンスターボールを一つ手に取った。
「僕が最初に選ぶのは、このポケモンだ!」
「いけっ、ニドキング!」
ボールから現れたのは、堂々たる体格のニドキングだった。
「ニドォォキング!」
鋭い角を持つ巨体が地面を踏みしめる。その迫力に、観戦していたポケモンたちもざわめいた。
「おおっ、ニドキングか!」
サトシは目を輝かせる。
シゲルのニドキングは、サトシが知る限りでも十分に強力なポケモンだった。しかし、その身体つきや立ち姿には、以前よりも戦い慣れた印象がある。
「さあ、サトシ。君はどうする?」
「へへっ、もちろんこいつだ!」
サトシが取り出したボールを投げる。
「いけっ、ウインディ!」
「ウオオオォォン!」
炎をまとったような美しい毛並み。堂々とした体格。そして、地面を蹴るだけで伝わってくる脚力。
ウインディがフィールドに降り立つと、観戦席から驚きの声が上がった。
「えっ、ウインディ!?」
シンヤは思わず身を乗り出した。
「サトシ、ウインディまで仲間にしていたのか……!」
「知っていたの?」
リーフが小声で尋ねる。
「いや、知らなかったよ。サトシがカントーで出会ったポケモンなら、ある程度は想像できるけど……ウインディは予想外だ」
シンヤはウインディをじっと観察した。
毛並みは整っている。身体に目立つ傷はなく、立ち姿にも力強さがある。一方で、サトシとの連携には、長い時間をかけて培われた相棒同士の呼吸とは少し違うものが感じられた。
サトシがウインディに短く声をかけると、ウインディは耳を立て、すぐに反応した。
しかし、その反応はまだ慎重だ。
「……最近、仲間にしたポケモンなのかな」
「どうしてそう思うの?」
「サトシの指示には反応できている。でも、サトシとウインディの間には、まだ互いの癖を完全に理解しきっていないような部分があるんだ。少なくとも、長い旅を最初から一緒に歩いてきた仲間とは違う印象だね」
シンヤはそこで言葉を切った。
「もちろん、これだけで断定はできない。実際のバトルを見れば、もっと分かると思う」
リーフは感心したようにフィールドへ視線を戻した。
「サトシも、私たちの知らないところで成長しているのね」
「そうだね。しかも、ウインディを選んだということは、シゲルのニドキングに対して何か考えがあるはずだ」
シンヤはサトシの立ち位置に注目した。
サトシはウインディをニドキングの正面に立たせず、少し斜めに位置取らせている。
真正面から力比べをするつもりではないらしい。
「それでは、バトル開始!」
オーキド博士の声が響いた。
「ウインディ、しんそくだぁ!」
「ニドキング、角で受け止めろ!」
ウインディが地面を蹴った。
その身体が一気に加速し、ニドキングの側面へと回り込む。
ニドキングはすぐに身体をひねり、角を突き出して迎撃しようとした。
だが、ウインディは直前で進路を変えた。
「今だ、ニドキング! じしん!」
ニドキングが地面を踏み鳴らす。
衝撃がフィールドを走り、ウインディの足元を揺らした。
「ウインディ、跳べ!」
サトシの指示に反応し、ウインディが高く跳躍する。
地面から伝わる衝撃を避けたウインディは、そのまま空中で身体をひねり、ニドキングの背後へと着地した。
「いいぞ、ウインディ!」
「なるほどね……」
シゲルが目を細めた。
「単純な速さだけではない。ニドキングの攻撃範囲を見極めて、着地点まで考えていたんだね」
「ウインディ、かえんほうしゃ!」
ウインディの口から炎が放たれる。
「ニドキング、避けてからどくづき!」
ニドキングは炎を横へかわし、紫色の毒をまとった角をウインディへ向けた。
「ウインディ、右へ回り込め!」
ウインディは身体を低くし、角の突進をぎりぎりでかわした。
しかし、ニドキングはすぐに足を踏み替え、ウインディの進路をふさぐ。
シゲルはニドキングの動きを通じて、ウインディの次の行動を読もうとしていた。
「ニドキング、つのでつく!」
「ウインディ、後ろへ!」
ウインディは飛び退いたが、角の先端が肩をかすめた。
「ウインディ!」
サトシの表情が引き締まる。
ウインディは着地すると、すぐに体勢を立て直した。
「ウオォン!」
「大丈夫か? 無理はするなよ!」
サトシが声をかける。
ウインディは一度サトシを見上げ、それから再びニドキングへ向き直った。
その目には、まだ戦う意思があった。
「……いいね」
シンヤが小さくつぶやいた。
「サトシは、ウインディの状態を確認してから次の指示を出そうとしている。攻撃を続けるだけじゃなく、仲間の様子を見ているんだ」
「それは大切なことね」
リーフがうなずいた。
「でも、シゲルも負けていないわ。ニドキングの力を活かしながら、ウインディの動きを少しずつ制限している」
「うん。二人とも違う方法で、相手の選択肢を狭めようとしている」
シンヤは目を離さなかった。
サトシはウインディの速さと機動力を活かし、シゲルはニドキングの力強さと広い攻撃範囲を活かしている。
どちらも、ポケモンの特徴を理解した戦い方だった。
◇
「ウインディ、もう一度しんそくだ!」
ウインディが地面を蹴る。
「ニドキング、しっぽを振って迎え撃て!」
ニドキングが大きな尻尾を振り回した。
「ウインディ、地面を蹴って横へ!」
ウインディは直前で跳び、尻尾をかわす。
そのままニドキングの横を駆け抜けようとした瞬間、シゲルが声を張り上げた。
「今だ、ニドキング! つのでつく!」
ニドキングは身体を反転させ、ウインディの進路へ角を突き出した。
「しまった!」
サトシが叫ぶ。
ウインディは急停止しようとしたが、勢いを完全には殺せない。
角がウインディの身体を捉え、ウインディは地面を転がった。
「ウインディ!」
サトシが一歩踏み出す。
ウインディは苦しそうに息を吐きながらも、前脚に力を込めて立ち上がった。
「ウオォォン!」
「……そっか。まだ戦えるんだな!」
サトシは一瞬だけ目を閉じ、それから力強くうなずいた。
「分かった! じゃあ、一緒に最後まで頑張ろうぜ!」
「ウインディ!」
ウインディの尻尾が大きく揺れた。
シゲルはそのやり取りを見逃さなかった。
「なるほど。君はポケモンの意思を尊重するんだね、サトシ」
「当たり前だろ! ウインディがまだ戦いたいって言ってるんだ!」
「でも、気持ちだけでは勝てないよ」
「分かってる!」
サトシは笑った。
「だから、勝つために一緒に考えるんだ!」
その言葉に、シゲルは一瞬だけ黙った。
そして、楽しそうに笑う。
「いい答えだね。だったら、こちらも全力で応えよう!」
「ニドキング、じしん!」
「ウインディ、かえんほうしゃを地面に撃て!」
ウインディが地面へ向けて炎を放つ。
熱と噴き上がる土煙で、ニドキングの視界が一瞬だけ遮られた。
「なにっ!?」
シゲルが目を見開く。
ウインディは炎そのものを盾にするのではなく、地面の土を巻き上げて視界を乱していた。
「今だ! ウインディ、横から回り込め!」
ウインディが土煙の向こうを駆け抜ける。
「ニドキング、足音を聞け!」
シゲルも即座に対応した。
ニドキングは視界に頼らず、地面から伝わる振動と音でウインディの位置を探ろうとする。
だが、そのときにはすでにウインディが背後へ回り込んでいた。
「フレアドライブ!」
炎をまとったウインディが、ニドキングへ突進する。
「ニドキング、メガホーン!」
ニドキングも角を構え、正面から迎え撃った。
炎と角が激突し、衝撃がフィールドを揺らす。
双方が弾き飛ばされ、距離を取った。
「ウインディ!」
「ニドキング!」
二匹は息を荒げながらも、相手を見据えていた。
まだ決着はついていない。
サトシはウインディの様子を見て、静かにうなずいた。
「よし。ここからだ!」
シゲルもまた、ニドキングへ声をかける。
「君ならまだいける。相手の動きを見て、次の一手を考えるんだ!」
「ニドォォキング!」
両者の闘志が再び燃え上がる。
観戦席のシンヤは、思わず拳を握っていた。
「……すごいな」
「シンヤ?」
「サトシは、ウインディの意志を尊重しながら、戦況に応じて戦い方を変えている。一方のシゲルは、相手の戦術を分析して、すぐに対抗策を考えている」
シンヤは真剣な表情で続けた。
「どちらも、オレが大切にしていることだ。でも、二人のやり方を見ていると、まだまだ学べることがある」
リーフはフィールドを見つめながら微笑んだ。
「私もよ。ポケモンを信じることと、勝つために冷静に考えること。その二つは、どちらか一方だけでは足りないのね」
「そうだな」
シンヤはうなずいた。
「信じるだけでも、考えるだけでも駄目なんだ。信頼しているからこそ観察する。観察するからこそ、そのポケモンに合った指示を出せるんだと思う」
フィールドでは、サトシとシゲルが再び指示を出し合っていた。
まだ勝負の行方は分からない。
だが、四人が目指すポケモンリーグ優勝という頂点へ向けて、今日のバトルは確かな刺激になっていた。
そしてシンヤは、サトシが隠していた新たな仲間たちの存在を、改めて意識していた。
ウインディだけではない。
サトシは、まだほかにも自分の知らないポケモンを仲間にしている。
その事実が、シンヤの胸に新たな興味を芽生えさせていた。
中編――炎の激突! そして明かされる新戦力!
オーキド研究所のバトルフィールド。
ウインディとニドキングが、互いに距離を取って向かい合っていた。
双方ともに疲労が見え始めている。しかし、その瞳から闘志は消えていなかった。
「ウインディ、まだいけるか?」
「ウオォン!」
サトシの問いかけに、ウインディは力強く吠えた。
「よし! じゃあ、最後まで一緒に頑張ろうぜ!」
「ウインディ!」
サトシは笑顔でうなずく。
一方、シゲルもニドキングの様子を確認していた。
「ニドキング、相手は速い。でも、君の力なら十分に対抗できる。焦らずに、相手の動きを見極めよう」
「ニドォ!」
ニドキングが地面を踏みしめた。
「では、続けて!」
オーキド博士の声が響く。
「ウインディ、しんそく!」
ウインディが地面を蹴り、低い姿勢で駆け出した。
「ニドキング、つのでつく!」
ニドキングは正面から迎撃しようと角を構える。
だが、ウインディは直前で身体をひねり、角の脇をすり抜けた。
「いいぞ! そのまま後ろへ回れ!」
ウインディがニドキングの背後へ走る。
「ニドキング、しっぽで叩き落とせ!」
ニドキングの尻尾が大きく振り回された。
「ウインディ、跳べ!」
ウインディが跳躍する。
尻尾が足元を通り過ぎた瞬間、ウインディは空中で身体を丸め、着地と同時に地面を蹴った。
「今だ、フレアドライブ!」
炎をまとったウインディが、ニドキングの側面へ突進する。
「ニドキング、メガホーンで迎え撃て!」
ニドキングも角を前に突き出し、真正面からぶつかり合った。
轟音が響き、二匹の身体が激しく弾き飛ばされる。
土煙が晴れたとき、ウインディは四本の脚で踏みとどまっていた。
対するニドキングも、片膝をつきながら地面に爪を立てている。
「すごい……!」
リーフが思わず声を漏らした。
「どちらも、相手の攻撃を受け止めながら次の行動につなげようとしているわ」
「ああ。でも、ここまでのダメージを考えると、次の一手が勝負を決める可能性が高い」
シンヤは二匹の呼吸や足運びを観察していた。
ウインディはまだ素早く動けるものの、先ほどの激突で消耗している。ニドキングも同じだが、体格と耐久力では依然として優位にある。
サトシが速さを活かして攻め切れるか。
それともシゲルがニドキングの一撃を当てるか。
その差が勝敗を分ける。
「ウインディ、もう一度しんそく!」
サトシが指示を出した。
ウインディが一気に加速する。
「ニドキング、じしん!」
ニドキングが地面を踏み鳴らした。
衝撃がフィールドを走る。
「ウインディ、地面の揺れを見ろ! 揺れが来る前に、岩場へ跳べ!」
ウインディは地面の亀裂と土の動きを見極め、フィールドに設置された岩場へ飛び移った。
「何っ!?」
シゲルが目を見開く。
ウインディは地震そのものを消したわけではない。揺れの伝わり方と地形を利用して、衝撃を受けにくい場所へ移動したのだ。
「よし! ウインディ、そこから飛び降りてフレアドライブ!」
ウインディが岩場を蹴り、炎をまとって飛び出す。
「ニドキング、迎撃だ!」
ニドキングは角を構えた。
しかし、ウインディは空中で進路をわずかに変え、角の正面を避けた。
炎をまとった身体がニドキングの肩口へと激突する。
「ニドォォォッ!」
ニドキングが後方へ押し戻された。
それでも倒れまいと踏ん張る。
「ニドキング、まだだ! つのでつく!」
ニドキングが最後の力を振り絞り、角を突き出した。
「ウインディ、かわして!」
ウインディは横へ跳ぼうとした。
だが、疲労で反応がわずかに遅れた。
角がウインディの身体をかすめ、二匹はもつれるように地面へ転がった。
「ウインディ!」
「ニドキング!」
サトシとシゲルが同時に叫ぶ。
二匹は地面に倒れたまま、しばらく動かなかった。
やがて、ニドキングが片腕をついて立ち上がろうとする。
しかし、足に力が入らず、再び膝をついた。
「ニドキング、戦えるか?」
シゲルが問いかける。
ニドキングは立ち上がろうとしたものの、身体が大きく揺れ、そのまま地面へ倒れ込んだ。
「ニドキング、戦闘不能!」
オーキド博士が宣言した。
「よく頑張ったね、ニドキング。戻って休んでいてくれ」
シゲルはボールを向けた。
赤い光に包まれ、ニドキングがボールへ戻る。
「ウインディも、よく頑張ったな!」
サトシが声をかける。
ウインディはまだ立っていた。
しかし、その身体は大きく上下し、呼吸も荒い。
数秒後、前脚が折れ、ゆっくりと地面へ伏せた。
「ウインディ、戦闘不能!」
オーキド博士が続けて宣言した。
「相打ち……!」
リーフが息をのんだ。
シンヤは静かにうなずく。
「最後の攻撃を当てたのはウインディ。でも、ニドキングも最後まで反撃していた。どちらも一歩も譲らなかった」
「そうだね」
シゲルはウインディを見つめた。
「サトシ、いいポケモンを仲間にしたじゃないか」
「へへっ、だろ?」
サトシはウインディの前にしゃがみ込んだ。
「ウインディ、ありがとな! すごくいいバトルだったぜ!」
「ウオォン……」
ウインディは嬉しそうに目を細めた。
サトシはボールを取り出し、無理をさせないようにウインディを戻した。
その表情には、勝敗への悔しさだけでなく、共に戦った仲間への誇りがあった。
◇
「さて、サトシ」
シゲルが二つ目のボールを手に取った。
「一匹目は引き分けだ。次のポケモンで決着をつけよう」
「おう!」
サトシもボールを取り出す。
だが、その手が一瞬止まった。
シンヤはその仕草を見逃さなかった。
(今の反応……次に出すポケモンも、俺が知らない仲間なのか?)
サトシは少しだけ笑みを浮かべた。
「よし……お前の出番だ!」
ボールが空中へ放たれる。
「いけっ、スピアー!」
「ビィィィィー!」
黄色と黒の身体。鋭い二本の針。そして、羽音を響かせながら宙に浮かぶ大きなハチ型のポケモン。
スピアーがフィールドに姿を現した。
「スピアー!?」
シンヤは思わず声を上げた。
「サトシ、スピアーまで仲間にしていたのか……!」
リーフも驚いた表情でフィールドを見つめた。
「サトシって、もっとピカチュウやフシギダネたちを中心に戦っていると思っていたわ」
「俺もだ」
シンヤはスピアーの飛行を観察した。
動きには鋭さがある。針の向きを変える動作にも無駄が少ない。
だが、サトシが短い指示を出したとき、スピアーはわずかに反応を遅らせたあと、すぐに姿勢を整えた。
(やっぱり……このスピアーも、最近仲間にした可能性が高そうだ)
サトシはウインディのときと同じように、スピアーの様子を確かめてから指示を出している。
長年連れ添った相棒に対する呼吸とは、少し違う。
しかし、信頼関係がないわけではない。
サトシはスピアーを急かすことなく、スピアーもサトシの声を聞こうとしている。
「なるほど……」
シンヤは目を細めた。
「サトシは、知らないポケモンを捕まえただけじゃない。ちゃんとバトルで力を発揮できるように、育てているんだ」
「しかも、リーグ前に私たちへ見せていなかったのね」
リーフが言った。
「リザードンを温存したのと同じ理由かもしれない。手持ちをすべて見せてしまえば、リーグで戦う相手に手の内を知られてしまうから」
シンヤは真剣な表情になった。
サトシは、いつもの仲間だけで勝負しているわけではない。
ウインディ、スピアー。おそらくまだ見ぬ仲間がいるかもしれない
それらのポケモンを、いつ、どの相手に、どのように使うつもりなのか。
今のシンヤには、まだ分からないことが多い。
しかし、それこそが警戒すべき点だった。
(サトシは、俺の知らない戦力を複数育てている。しかも、リーグに向けてその手札を隠している可能性がある……)
シンヤは腕を組んだ。
(もしリーグで当たるなら、ピカチュウたちのことだけを考えていては足りない。新しい仲間の能力も、サトシがどんな状況で起用するのかも、見極める必要がある)
◇
「それでは、第二戦を始めるぞい!」
オーキド博士の声が響いた。
「シゲル、次は誰を出すんだ?」
サトシが尋ねる。
「そうだね……」
シゲルはボールを一つ手に取り、スピアーを見据えた。
「空中戦を得意とする相手なら、こちらも機動力で対抗しよう」
「いけっ、僕の相棒――――カメックス!」
「カメェェックス!」
水色の巨体がフィールドに降り立ち、甲羅の砲口をスピアーへ向けた。
スピアーは空中で向きを変え、カメックスの動きを探る。
「カメックスか……!ってことはシゲルはゼニガメを選んでいたんだな?!」
サトシが笑顔を浮かべた。
「いいぜ! スピアー、思いっきりいこう!」
「スピアー!」
羽音が高く響く。
シゲルはカメックスの背中に手を向けた。
「カメックス、相手の動きをよく見て。焦って攻撃を撃つ必要はないよ」
「カメェッ!」
第二戦が始まろうとしていた。
スピアーの素早さと鋭い針。
カメックスの防御力と水の攻撃。
そして、それぞれのポケモンを信じて戦う二人のトレーナー。
サトシの意外な手持ちを知ったシンヤは、もはやこのバトルを単なる幼なじみ同士の再会戦とは考えていなかった。
これは、ポケモンリーグで頂点を目指すライバルたちが、互いの実力を確かめる真剣勝負なのだ。
後編――空を舞う針、迎え撃つ水の要塞!
オーキド研究所のバトルフィールド。
空中にはスピアー、地上にはカメックス。
第二戦の開始を前に、両者は互いの動きを探るように向き合っていた。
「スピアー、準備はいいか?」
「ビィィー!」
サトシの声に、スピアーは鋭い羽音で応える。
「カメックス、相手の動きをよく見て。最初は様子を探ろう」
「カメェッ!」
シゲルも落ち着いて指示を出した。
「それでは、第二戦……始め!」
オーキド博士の声が響いた瞬間、サトシが先に動いた。
「スピアー、こうそくいどう!」
スピアーの身体が一気に加速した。
右へ、左へ、さらに上空へ。
その動きは直線的ではなく、まるで空中に見えない道を描くかのようだった。
「カメックス、落ち着いて。まだ撃たなくていい」
シゲルはすぐに攻撃を指示しなかった。
カメックスは甲羅の砲口をスピアーへ向けるが、相手の動きが速く、狙いを定めるのは難しい。
「今だ! スピアー、ダブルニードル!」
二本の鋭い針が、カメックスの側面へ迫る。
「カメックス、甲羅にこもって!」
カメックスは素早く身体を縮め、甲羅の中へ身を隠した。
針が甲羅に当たり、乾いた音を立てる。
「ビィッ!?」
スピアーはすぐに距離を取り、再び上空へ舞い上がった。
「へへっ、いいぞスピアー! その調子だ!」
サトシが拳を握る。
しかし、シゲルは焦らなかった。
「なるほど。甲羅の防御を確かめたわけだね」
シゲルはカメックスに目を向けた。
「カメックス、今度は水の流れを作ろう。みずでっぽう!」
カメックスが口から水を放つ。
スピアーは横へ飛び、攻撃をかわした。
「よし、避けたな! スピアー、上から回り込め!」
スピアーはカメックスの頭上へ移動する。
「そこだ! ダブルニードル!」
二本の針が再び襲いかかる。
だが、カメックスは攻撃を受ける直前に身体を傾け、片側の甲羅で針を受け止めた。
「カメックス、れいとうビーム!」
「なにっ!?」
甲羅の陰から放たれた冷気が、スピアーの進路を横切る。
「スピアー、急上昇だ!」
スピアーは羽ばたき、間一髪で冷気を避けた。
しかし、攻撃をかわしたことで、今度はカメックスとの距離が大きく開いてしまった。
「危なかった……!」
サトシが息をつく。
シゲルは口元に笑みを浮かべた。
「君のスピアーは確かに速い。でも、速いだけなら狙いをつけずに攻撃をばらまけばいい。空中を自由に飛べるからといって、こちらが何もできないわけじゃないよ」
「へへっ、そうこなくっちゃな!」
サトシは楽しそうに笑った。
「スピアー、まだまだいけるよな!」
「ビィィー!」
スピアーは翼を大きく広げ、再びカメックスの周囲を飛び始めた。
◇
「シゲルは、スピアーの速度に対応し始めたな」
観戦席でシンヤがつぶやいた。
「最初から無理に攻撃を当てようとせず、甲羅で防ぎながら相手の攻撃パターンを見ている。スピアーの動きに慣れてから、冷気で進路を制限したんだ」
「サトシも、ただ速く飛ばせているわけじゃないわ」
リーフが続ける。
「スピアーの動きは、カメックスの照準をずらすために変化しているのね。正面から攻撃せず、側面や頭上へ回り込んでいるもの」
「そうだな。ただ、スピアーが同じ攻撃を繰り返せば、シゲルはさらに対応してくるはずだ」
シンヤはスピアーの飛行経路を目で追った。
スピアーは速い。
だが、カメックスの周囲を飛び続ければ、次第に飛行経路が絞られてしまう。カメックスが防御を固めている以上、単純な突撃だけでは決定打になりにくい。
(サトシがこの状況をどう崩すか……)
シンヤはサトシの表情を見た。
サトシは困っているわけではなかった。
むしろ、何かを思いついたように目を輝かせている。
◇
「スピアー、カメックスの周りを回り続けろ!」
サトシが指示を出す。
「ビィーッ!」
スピアーが再び速度を上げ、カメックスの周囲を旋回する。
「カメックス、相手を追いかけなくていい。身体の向きを少しずつ変えて、中央を守るんだ」
シゲルはカメックスに無理な追跡をさせなかった。
カメックスは地面にしっかりと足をつけ、砲口を旋回するスピアーへ向ける。
「いいぞ、そのまま……」
シゲルの目が鋭くなった。
「みずのはどう!」
カメックスから水の波動が放たれた。
「スピアー、上へ!」
スピアーはすぐに高度を上げる。
水の波動が足元を通り抜けた。
「よし、今度は反対側へ回り込め!」
スピアーは急旋回し、カメックスの背後へ向かう。
「カメックス、背中を守って!」
カメックスは身体をひねり、甲羅を背後へ向ける。
スピアーの針が甲羅にぶつかった。
またしても、防御を崩せない。
「しまった……!」
サトシが悔しそうに声を漏らした。
その瞬間、スピアーの羽音がわずかに乱れた。
長時間の高速飛行と急旋回で、疲労が出始めている。
「スピアー!」
サトシが呼びかける。
スピアーはすぐに返事をするように羽ばたいたが、先ほどまでの速度には届いていなかった。
シゲルはその変化を見逃さなかった。
「カメックス、今だ! れいとうビーム!」
「スピアー、急降下して避けろ!」
スピアーは地面すれすれまで高度を下げた。
冷気が頭上を通り抜ける。
だが、カメックスはすでに次の行動へ移っていた。
「みずでっぽう、地面へ撃て!」
水流がフィールドの地面に叩きつけられ、土や砂が飛び散った。
スピアーは水流そのものを避けたものの、飛び散った泥で視界を乱される。
「スピアー、落ち着いて! カメックスの位置を確認するんだ!」
サトシが声を張る。
スピアーは羽ばたきながら、必死にカメックスの姿を探した。
その隙を、シゲルは逃さなかった。
「カメックス、みずのはどう!」
水の波動が、スピアーの進路を塞ぐように放たれる。
「スピアー、右へ!」
スピアーは身をひねったが、回避がわずかに遅れた。
水の波動が身体をかすめ、スピアーは地面へ落下する。
「スピアー!」
サトシが駆け寄りそうになる。
しかし、スピアーは地面に針を突き立てて身体を支え、再び宙へ浮かび上がった。
「ビィィ……!」
まだ戦う意思はある。
だが、消耗は明らかだった。
◇
「シゲルの戦術が、うまく機能しているわね」
リーフが真剣な表情で言った。
「カメックスは、スピアーを無理に追いかけていない。防御を維持しながら、攻撃で飛行経路を制限しているわ」
「ああ。さらに地面を濡らして泥を飛ばすことで、スピアーの視界まで乱した。相手の長所を直接打ち消すんじゃなくて、長所を活かしにくい状況を作っているんだ」
シンヤは感心していた。
カメックスは水タイプのポケモンだ。
水技を攻撃に使うだけでなく、地形を変化させることで相手の機動力にも影響を与えている。
そのうえ、甲羅の防御力があるため、多少の攻撃を受けても簡単には崩れない。
「でも、サトシもここで諦めるつもりはなさそうね」
リーフが指摘した。
サトシはスピアーを見つめ、静かに声をかけていた。
「スピアー。無理に速く飛ばなくてもいいぞ。お前ができる動きで、もう一度考えてみよう」
「ビィ……?」
スピアーがサトシを見る。
「お前の針は鋭いし、動きも速い。でも、相手が守りを固めているなら、同じ攻撃を繰り返しても通じない。だから、一緒に別の方法を探そうぜ!」
サトシは笑顔を見せた。
「オレも考える。お前だけに任せたりしないからな!」
スピアーはしばらくサトシを見つめていた。
やがて、鋭く羽ばたき、再び空へ舞い上がった。
「ビィィィー!」
その羽音には、先ほどとは違う力強さが戻っていた。
シンヤは思わず目を見開いた。
(サトシは、スピアーにただ指示を出しているんじゃない。戦い方を一緒に考えているんだ)
スピアーはサトシと長く旅をしてきた相棒ではないのかもしれない。
それでもサトシは、相手の性格や経験に合わせて接し方を変えていた。
命令に従わせるだけではなく、ポケモン自身が持つ長所を信じ、戦いの中で引き出そうとしている。
シンヤが大切にしている考え方と重なる部分がある。
しかし、サトシのやり方には、理屈だけでは説明しきれない何かがあった。
◇
「スピアー、もう一度こうそくいどう!」
スピアーが加速した。
ただし、先ほどまでのようにカメックスの周囲を同じ軌道で旋回するわけではない。
低く飛んでから急上昇し、カメックスの頭上を横切る。そこから一気に高度を下げ、今度は正面へと向かった。
「カメックス、れいとうビーム!」
シゲルが指示を出す。
冷気がスピアーの進路を追う。
「スピアー、急旋回!」
スピアーは攻撃の軌道を見極め、ぎりぎりでかわした。
「そのまま、カメックスの周りを飛び続けろ!」
スピアーが旋回を続ける。
「カメックス、相手を追いかける必要はない! みずでっぽうで進路を制限するんだ!」
カメックスが水流を放つ。
スピアーはそれを避け、再び別の方向へ移動した。
「今だ、スピアー! ダブルニードル!」
二本の針が、カメックスの側面へ迫る。
「カメックス、甲羅で防げ!」
カメックスが身体をひねる。
針が甲羅に当たった。
しかし、スピアーはその場にとどまらなかった。
攻撃が弾かれた瞬間、針を引き戻し、カメックスの視界の外へ移動する。
「何っ……!」
シゲルが目を見開いた。
スピアーは、甲羅を破壊することにこだわっていない。
攻撃を当てることだけが目的でもない。
カメックスが防御を選ぶたびに、その向きを変えさせ、照準をずらし、次の行動を遅らせている。
「そうか……!」
シンヤは思わず声を上げた。
「スピアーはカメックスを倒すために、無理に正面から攻撃する必要はないんだ。防御を維持させ続けることで、カメックスが反撃に移るタイミングを奪っている!」
「つまり、相手の防御を利用しているのね」
リーフも理解したようにうなずいた。
「ええ。カメックスは甲羅で守れる。でも、どの方向から攻撃が来るのか分からなければ、ずっと防御だけを続けることになるわ」
その通りだった。
スピアーは針を当てることよりも、カメックスの動きを制限することを優先していた。
そして、サトシはその戦い方に合わせて指示を変えている。
「カメックス、れいとうビームで上空を狙え!」
シゲルが指示を出した。
カメックスが冷気を放つ。
スピアーは上昇してかわした。
「今だ! カメックス、みずのはどう!」
水の波動がスピアーへ向かう。
「スピアー、地面すれすれまで下りろ!」
スピアーが急降下した。
水の波動は頭上を通り過ぎ、フィールドの端へ着弾する。
「よし! スピアー、そこから一気に上昇だ!」
スピアーは地面をかすめるように飛び、カメックスの正面へ迫った。
「カメックス、甲羅にこもって!」
カメックスが身体を縮める。
「今だ、ダブルニードル!」
スピアーの二本の針が、甲羅の側面へ連続して突き刺さった。
カメックスの身体がわずかに揺れる。
しかし、スピアーはまだ攻撃を続けた。
針を引き抜き、急旋回して、今度は反対側へ回り込む。
「カメックス、向きを変えて!」
シゲルの指示に、カメックスが身体をひねった。
その動きは、先ほどまでよりも明らかに遅れていた。
防御を維持しながら、連続する攻撃に対応し続けたことで、カメックスにも負担が蓄積していたのだ。
「サトシ、ここまで考えていたのか……!」
シゲルは驚きながらも、すぐに気持ちを切り替えた。
「カメックス、ここから反撃だ! みずのはどう!」
カメックスが水の波動を放つ。
「スピアー、上へ!」
スピアーは急上昇した。
水の波動がその下を通り抜ける。
「今度は、カメックスの背後へ!」
スピアーが空中で方向を変える。
「カメックス、後ろだ!」
シゲルが叫ぶ。
カメックスが振り向こうとした瞬間、スピアーは急降下し、針を突き出した。
「ダブルニードル!」
二本の針が、カメックスの肩口へ命中した。
「カメェェッ!」
カメックスが大きくよろめく。
それでも倒れず、地面に足を踏みしめた。
「カメックス、れいとうビーム!」
最後の反撃。
冷気がスピアーへ迫る。
「スピアー、かわしてから、こうそくいどう!」
スピアーは冷気をぎりぎりで避け、急加速した。
カメックスが照準を合わせ直すよりも早く、スピアーはその側面へ回り込んでいた。
「これで決めるぞ! ダブルニードル!」
スピアーが最後の力を振り絞り、二本の針を突き出した。
攻撃が命中する。
カメックスは踏みとどまろうとしたが、ついに膝をつき、そのまま前方へ倒れた。
静寂が訪れる。
オーキド博士はカメックスの様子を確認し、ゆっくりと旗を上げた。
「カメックス、戦闘不能! よって、この勝負はサトシの勝利じゃ!」
「やったあああっ!」
サトシが拳を突き上げた。
「やったな、スピアー!」
「ビィィィー!」
スピアーは嬉しそうに羽ばたいた。
サトシはスピアーを迎え、笑顔で声をかける。
「すごかったぜ! 最後まで諦めずに、ちゃんと自分の戦い方を見つけたな!」
スピアーは誇らしげに胸を張った。
だが、その直後、疲労で高度を保てなくなり、ふらついた。
「おっと、大丈夫か?」
サトシはすぐにスピアーを支えた。
「よく頑張ったな。あとはゆっくり休もうぜ」
サトシはボールを取り出し、スピアーを戻した。
◇
「いやあ、まさかスピアーがあそこまで戦うとはね」
シゲルはカメックスをボールへ戻し、サトシへ向き直った。
「最初は、速さを活かして攻撃してくるだけだと思っていた。でも、途中からこちらの防御を利用して、カメックスの動きを制限する戦い方に変えてきた」
「へへっ! スピアーが自分で気づいたんだぜ!」
サトシは誇らしげに答えた。
「オレは、そいつがやりたいことを見つけられるように、ちょっと手伝っただけさ!」
「……そうか」
シゲルは少しだけ目を細めた。
「君は、新しく仲間にしたポケモンでも、短い時間で信頼関係を築いているんだね」
「そりゃあ、仲間だからな!」
サトシは当然のように言った。
「ポケモンが何を得意にしているのか、どうすれば一緒に強くなれるのか。それを考えるのは、トレーナーの仕事だろ?」
シゲルはしばらく黙っていた。
やがて、笑みを浮かべる。
「ふっ……。やっぱり君は、面白いトレーナーだよ(それでこそ、僕のライバルを名乗れるだけはあるよ――――サートシ君)」
◇
観戦席では、シンヤが深く息を吐いていた。
「……これは、予想以上だ」
「サトシの新しいポケモンたちについて?」
リーフが尋ねる。
「それもある。でも、もっと驚いたのは、サトシがスピアーの戦い方を変化させたことだ」
シンヤはフィールドを見つめながら続けた。
「最初のスピアーは、速さを活かして相手を翻弄していた。でも、それだけではカメックスの防御を崩せなかった。そこでサトシは、スピアーの速さを攻撃だけでなく、相手の動きを制限するために使ったんだ」
「防御を破るのではなく、防御を続けさせることで相手を疲れさせた……ということね」
「そう。しかも、スピアー自身がその戦術を実行できるように、指示を細かく変えていた」
シンヤは腕を組んだ。
「俺はポケモンの特徴を分析して、それを戦術に落とし込むことを重視している。でも、サトシはポケモンと一緒に戦いながら、その場で新しい答えを見つけていくんだ」
「どちらも、ポケモンをよく見ているという点では同じなのね」
「ああ。ただ、サトシの戦い方には、俺がまだ十分に取り入れられていない部分があると思う」
シンヤは素直に認めた。
サトシは、相手の行動を分析するだけではなく、味方のポケモンが戦いながら学ぶことまで勝利につなげている。
ウインディも、スピアーも、サトシと共に戦うことで、その場で自分の可能性を広げていた。
それは、事前に戦術を組み立てるだけでは得られない強みだった。
「リーグでサトシと戦うなら、今まで以上に注意しないといけないね」
シンヤの表情が引き締まる。
「サトシは、こちらが知らないポケモンを使うだけじゃない。バトルの最中に、想定していなかった戦術を生み出す可能性がある」
「ふふっ。シンヤがそこまで警戒するなんて、珍しいわね」
「警戒するのは当然だ。強い相手から学べることは多いし、何より……」
シンヤはサトシを見た。
「俺だって、優勝を譲るつもりはないからね」
リーフは楽しそうに笑った。
「私も同じよ。サトシもシゲルも、簡単には勝たせてくれそうにないわね」
◇
「さて、これで二匹ずつのバトルは終了じゃな」
オーキド博士が二人に声をかけた。
「いやあ、実に見応えのある勝負じゃった!」
「ありがとう、博士!」
サトシが笑顔で答える。
「カメックスもよく頑張ったね。ゆっくり休んでくれ」
シゲルもボールを見つめてから、サトシへ向き直った。
「今回は僕の負けだ。だけど、次―――リーグで戦うときはこう簡単にはいかないよ」
「へへっ、望むところだぜ!」
二人の間に、確かなライバル意識が生まれていた。
その一方で、シンヤはサトシが使った二匹を頭の中で整理していた。
ウインディは機動力と炎の攻撃を活かし、ニドキングと互角に渡り合った。
スピアーは高速飛行と連続攻撃を組み合わせ、カメックスの防御を崩した。
どちらも、ただ珍しいポケモンを仲間にしたというだけではない。サトシは、そのポケモンの強みを理解し、実戦で使えるように育てている。
そして、おそらくまで知らないメンチも控えている。
(サトシ……君は、俺が思っていた以上に手強いライバルになっているんだな)
シンヤは心の中でそうつぶやいた。
ポケモンリーグで優勝する。
その目標は、四人とも同じだ。
だからこそ、今日のバトルで得た気づきは、決して無駄にはならない。
シンヤはサトシの姿を見ながら、リーグでの戦いを想像した。
サトシがどのポケモンを選ぶのか。
どんな戦術を繰り出してくるのか。
そして、自分はそれにどう応えるのか。
考えるべきことは、まだまだ多い。
しかし、それこそがライバルと競い合う面白さでもあった。
というわけで以前のアンケートにあったようにサトシが原作で捕獲してないメンツを仲間として出してみました。