『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
食事を終えた後――
ヴァン・ティエンとヒュエン・ゴックは、二人で後片付けをしていた。
ヴァン・ティエンは皿を洗い。
ヒュエン・ゴックは家の中を掃いていた。
その時、ヴァン・ティエンの母親がやってくる。
「ゴックちゃん、うちのティエンを助けてくれたのに……」
「まだちゃんとお礼もできてないのに、今度は家の掃除までしてもらって……」
「なんだか申し訳ないわ」
ヒュエン・ゴックは笑う。
「そんな、大丈夫ですよ、おばさん」
「私は気にしてませんから」
「それに――」
「おばさんが作ってくれた美味しい料理も食べさせてもらったので」
「私も何かお手伝いしたいんです」
「本当にいい子ね」
しばらくして――
ヴァン・ティエンとヒュエン・ゴックは、ようやく後片付けを終えた。
その時、ヴァン・ティエンが家の裏で母親へ声をかける。
「母さん」
「俺、ゴックを家まで送ってくるよ」
母親が後ろから声を返す。
「ちょっと待って!」
そして――
母親が急いで走ってくる。
その手には――
五つの笹の葉で包まれたバイン・イットがあった。
母親はそれをヒュエン・ゴックへ渡す。
「はい、これ」
「笹の葉のバイン・イットよ」
「おばさんが自分で作ったの」
「持って帰って食べなさい」
ヒュエン・ゴックは五つの餅を受け取る。
そして――
嬉しそうに微笑む。
「はい!」
「ありがとうございます、おばさん」
二人はその後、家を出る。
そして――
田舎道を歩いていく。
朝の陽射しが、黄金色に実った稲穂を照らしている。
ヴァン・ティエンは歩きながら、田んぼの中で輝く黄金色の稲穂を眺める。
ふと振り返ると――
ヒュエン・ゴックが歩きながら、先ほどヴァン・ティエンの母親からもらった五つの餅をじっと見ていた。
ヴァン・ティエンは彼女を見て、口を開く。
「食べてみろよ」
ヒュエン・ゴックはそう言われると、一つ取り出す。
そして――
ゆっくりと、外側の笹の葉を剥いていく。
最後の葉が剥がされると――
中から餅が姿を現した。
円錐のような形。
そして――
透き通る琥珀色をしている。
ヒュエン・ゴックは思わず声を漏らす。
「きれい……」
彼女は一口かじる。
すると――
目を大きく見開いた。
「何、この味……!」
「もちもちしていて……」
「それなのに、すごく爽やかで……」
「ほんのり優しい甘さもある……」
その時。
餅の中に――
淡い黄白色のものが入っていることに気づく。
ヒュエン・ゴックはヴァン・ティエンを見る。
「お兄ちゃん、これは何?」
「ああ、それは緑豆餡だよ」
それを聞いたヒュエン・ゴックは――
もう一口かじる。
滑らかで柔らかな餡。
そこへ、砂糖の優しい甘さが混ざり合い――
口いっぱいに広がっていく。
少女は思わず口元を手で覆う。
「おいしい……!」
「こんなに美味しいお菓子があるなんて……」
少女は続けて、もう一つの餅を取り出して食べ始める。
ヴァン・ティエンはそんなヒュエン・ゴックを見て――
小さく微笑んだ。
しばらく歩いた後。
ヴァン・ティエンがふと口を開く。
「昨日は……ありがとうな」
ヒュエン・ゴックは首を少し傾け、ヴァン・ティエンを見る。
口にはまだ餅を入れたままだ。
ヴァン・ティエンは続ける。
「もしお前がいなかったら……」
「俺はたぶん――」
「今日の太陽を見ることもできなかった」
ヒュエン・ゴックは餅を食べ終える。
そして――
ヴァン・ティエンより少し前へ走っていく。
くるりと振り返り――
彼の方を向く。
「お兄ちゃん……」
「私にありがとうなんて言わなくていいよ」
「だって私は――」
「絶対に……絶対に、お兄ちゃんに何も起こさせないから」
彼女は静かに顔を伏せる。
「だって私……」
「一度、お兄ちゃんを失ったことがあるから」
「……今、何て言った?」
「何でもないよ」
「気にしないで」
「それより……」
「昨日、お兄ちゃんのお母さんが『集団に殴られた』って言ってたのを聞いた時……」
「私、ちょっとびっくりしたんだよ」
「へへ……」
「仕方なかったんだよ」
「あの時は、それしか思いつかなかったから」
ヴァン・ティエンも、それを聞いて笑う。
「まあ……そうだな」
「それでも、ありがとうな」
「ううん、どういたしまして」
少女はヴァン・ティエンを見つめ――
とても無邪気な笑顔を浮かべた。
その時。
どこからか声が聞こえてくる。
「あれ?」
「ティエンじゃん」
ヴァン・ティエンとヒュエン・ゴックは、声のした方へ振り返る。
そこには――
近所の子供たちがいた。
そして子供たちと一緒に――
二十四、五歳くらいの女性が歩いている。
一行は二人のところまでやってくる。
「ティエン!」
「姉ちゃん、どこ行くんだ?」
「ん?」
「私はね、子供たちと一緒にネズミ捕りの罠を回収しに行くの」
「昨日の夜に仕掛けたからね」
「朝になったし、何匹か捕まってるか見に行くのよ」
ヴァン・ティエンはそれを聞いて、少しからかう。
「もうすぐ結婚するっていうのに、まだこんなことして遊んでるのかよ」
すると――
トゥエン姉ちゃんはすぐに言い返す。
「私の勝手でしょ!」
「結婚するからって何よ」
「遊びに行きたいんだから、それは私の自由でしょ」
「誰が私を止められるのよ!」
「ははは……分かった、分かった」
「やっぱり俺は姉ちゃんには勝てないな」
「自分でも分かってるじゃない」
その時。
彼女はようやくヒュエン・ゴックに気づく。
少女は少し警戒するように――
ヴァン・ティエンの後ろへ隠れる。
「後ろにいる可愛い子、誰なの?」
「ああ、こいつはヒュエン・ゴック」
「俺が小学校の頃から知ってる子だよ」
「へえ……」
「本当に可愛い子ね」
彼女はヒュエン・ゴックへ近づく。
「こんにちは」
「私はトゥエン」
「私のことは、トゥエン姉ちゃんって呼んでね」
ヒュエン・ゴックはまだ少し警戒している。
すると――
ヴァン・ティエンが彼女の手を軽く握る。
「怖がらなくていい」
「俺は小さい頃から姉ちゃんを知ってるけど、すごくいい人だから」
「見た目はこうだけど――」
「子供が大好きなんだ」
「特に女の子がな」
「ちょっと!」
「私はそんなこと言ってないでしょ!」
「ティエンの言うことなんて聞かなくていいからね」
それを聞いたヒュエン・ゴックは――
思わず笑ってしまう。
「分かりました」
少女は手を差し出す。
「私はヒュエン・ゴックです」
「よろしくお願いします」
トゥエンも嬉しそうに手を握り返す。
「こちらこそ」
「会えて嬉しいわ」
「あっ、そうだ」
「ゴックちゃんも、私たちと一緒にネズミ捕りに行かない?」
「ネズミ捕り?」
「そう!」
「罠を仕掛けるの、すごく楽しいんだから」
それを聞いた瞬間――
ヒュエン・ゴックの目が輝いた。
彼女はとても行きたそうにしている。
そして――
ヴァン・ティエンを見る。
彼はそれを見ると、小さく微笑んだ。
「じゃあ、二人で行こうか」
それを聞いたヒュエン・ゴックは、とても嬉しそうな顔をする。
こうして――
ヴァン・ティエンとヒュエン・ゴック。
そしてトゥエンと子供たちは――
一緒に田んぼへ向かった。
* * *