『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
ベリオスのいる場所では――
彼は一度、足を止めた。
そして……ゆっくりと後ろを振り返る。
ヴァン・ティエンは、まだ冷たい草原の上に横たわっていた。
一切……動かない。
ベリオスは何も言わず、ただ静かに顔を戻すと、そのまま歩き始めた。
数歩進む。
すると――
上空に浮かぶ戦艦から、青い光を放つ階段が下ろされていた。
一本、また一本と階段が伸びていき……
やがて地面へと突き刺さる。
ベリオスが一段ずつ上っていく。
彼が踏み越えた階段は、後ろから徐々に消えていった。
そして――
彼の足が戦艦の船体に触れた瞬間。
最後の階段も……完全に消えた。
男はゆっくりと振り返る。
下を見下ろす。
視線が――
広がる田畑を横切り。
家々を横切り。
そして、その下で倒れている人々を見つめる。
遠くには……
市場で話をしている人々の姿も見える。
男は小さく息を吐いた。
そして耳元の通信機へ手を伸ばす。
冷たい声で――
「地球侵攻の準備をしろ」
操縦室に座っていた兵士が答える。
「了解」
男はすぐに黒いボタンを一つ押した。
その瞬間――
戦艦の後方で、無数の宇宙ゲートが徐々に姿を現し……
大きく開いていく。
その内部から――
青い戦艦が一隻。
そしてまた一隻。
それぞれの船体には、オレンジ色と黄色が混ざったエネルギーの溝が走っている。
次々と――
戦艦が宇宙ゲートから飛び出していく。
近くの市場にいた人々も……
空から降りてくる戦艦を見つけた。
何人かが不思議そうに尋ねる。
「……あれは何だ???」
数人の子供たちは母親に抱きつく。
「怖いよ……!!!」
「大丈夫よ。怖がらなくていいから」
次々と戦艦が飛び出していく。
そして――
宇宙ゲートも閉じた。
その中央の戦艦に立つベリオスが、静かに口を開く。
「やれ」
「了解」
指揮戦艦の操縦室にいた兵士が赤いボタンを押す。
そして――
他の戦艦へ通信を送る。
「全艦、配置につけ。準備開始」
各戦艦が一斉に命令を受け取る。
同時に――
船体の格納庫が開き始めた。
分厚く巨大な鋼鉄の扉が――
「ゴゴゴゴ……」
重々しい音を響かせながら、左右へとゆっくり滑っていく。
その奥に広がるのは――
暗く、深い……巨大な空間。
その闇の中から。
機械の歯車が噛み合う音が――
「ガラガラガラ……!!」
と響き渡る。
鋼鉄の床そのものが震える。
油圧式の巨大な昇降システムが作動し始める。
ゆっくりと……
巨大な砲台が、暗闇の中から光の下へと押し出されていく。
青い鋼鉄で作られた砲身。
その周囲には――
黄色とオレンジ色のエネルギー溝。
それがゆっくりと船体の外へ伸びていき……
冷たい砲口を、地上へ向ける。
機械の関節が――
「カチッ」
と鋭い音を立てる。
戦闘位置へ完全に固定された。
圧力排出システムが作動する。
砲身の周囲から――
白い蒸気が勢いよく噴き出した。
そして――
すべての砲口が。
戦場全体を破壊するための一斉射撃の準備を整えた。
指揮戦艦の操縦室にいる兵士が叫ぶ。
「砲撃準備!」
その瞬間――
上空に並ぶ無数の砲口がエネルギーを集め始める。
砲身を取り囲む黄色とオレンジ色の輪状の溝が――
徐々に強烈な光を放ち始める。
光が砲身に沿って流れていく。
戦艦のあらゆる場所から集められたエネルギーが――
狂ったように砲口へ流れ込む。
「キィィィィィ……!!」
耳をつんざくような音を響かせながら。
そして――
砲口の中心へと集まっていく。
青いエネルギーが凝縮される。
渦を巻きながら――
まばゆい光の球体へと変わっていく。
その球体は――
どんどん大きく。
そして……濃密になっていく。
「ヴゥゥゥン……ヴゥゥゥン……ヴゥゥゥン!!!」
数百もの青いエネルギー球から放たれる熱と圧力が周囲へ広がる。
空間そのものが――
歪んでいく。
暗かった空は一瞬にして――
鮮やかな青へと染まった。
しかし――
それは美しい青ではない。
死を感じさせる……青。
砲口から放たれる光は強烈すぎて。
空気中の埃さえ焼き尽くし――
「パチ……パチパチ……!!」
小さな爆発音を連続して響かせる。
地上では――
あらゆる物の影が長く引き伸ばされ。
まばゆい光の中で激しく震えている。
無数の巨大な砲口は今や――
怒り狂う小さな太陽のようだった。
ただ一つの命令を待っている。
戦場へ――
破壊の怒りを吐き出すために。
地上の人々は――
上空から降り注ごうとしている終末の光景を目の当たりにした。
全員が……固まった。
誰一人として動かない。
突然――
恐ろしいほどの静寂が、その場を支配した。
砲口から放たれる青い光が地上を照らす。
血の気が完全に失われた人々の顔。
見開かれた目。
大きく開いた瞳孔。
突然襲いかかってきた恐怖があまりにも大きすぎて――
彼らの神経は完全に麻痺していた。
身体は極度のショック状態に陥る。
脚は力を失い。
地面に釘で打ち付けられたかのように――
動かない。
生存本能は叫んでいる。
「逃げろ」と。
しかし――
今の彼らの身体には、その命令に従う力さえなかった。
指一本すら――
動かせない。
ただ……立ち尽くす。
そして見上げる。
空に浮かぶ――
怒り狂った「青い太陽」たちを。
息をすることさえできないまま。
自分たちの頭上へ――
破壊の怒りが降り注ぐ瞬間を待つ。
上空では――
数百もの小さな青い太陽が、ついに限界へ達していた。
通信システムを通して――
鋭い命令が響く。
そして、その直後――
破壊が始まった。
「ドォォォン!!! 轟轟轟!!!」
無数の砲台が一斉に火を噴く。
その爆発音は――
かつてないほどの凄まじい衝撃波を生み出した。
空気を引き裂き。
そして――
無数の破片へと粉砕する。
強烈な衝撃波が周囲の雲をすべて吹き飛ばした。
艦隊を取り囲むように――
巨大な空白の円が生まれる。
巨大な砲口から――
数百本もの青い光線が一斉に放たれた。
それらは唸り声を上げながら――
空を切り裂き。
長く、死を告げる光の軌跡を描いて飛んでいく。
砲撃の熱は酸素さえ焼き尽くし――
空を――
まばゆい青い炎の絵画へと変えた。
直視すれば――
目を焼かれてしまうほどの光。
田畑に広がる稲穂。
一本一本の木。
草。
そして周囲の家々まで――
青いエネルギー光線が通過した場所から、すべてが消し飛んでいく。
破壊の砲撃は――
田畑の端。
そして周囲の開けた土地へ――
次々と突き刺さった。
進路を遮るすべての障害物を――
平らに薙ぎ払う。
「オォン!! オォン!! ドォォン!!!」
凄まじい爆発が連続して起こった。
地面が深くえぐられる。
巨大な穴が次々と生まれていく。
土砂と煙が――
数十メートルもの高さまで壁のように巻き上がる。
幸いにも――
青い死のエネルギーそのものに直接撃ち抜かれた者はいなかった。
しかし――
近くで起きた爆発の衝撃波だけでも凄まじかった。
空間そのものが震えるほどの衝撃。
荒々しい空気の圧力が――
立ち尽くしていた人々を一気に吹き飛ばした。
彼らは地面へ叩きつけられ。
そして――
砂利と石にまみれながら、何度も転がっていく。
煙と土埃が視界を完全に覆う。
砕けた石や土があちこちへ飛び散り――
皮膚へ突き刺さる。
血の滲む擦り傷が次々と生まれる。
叫び声。
苦痛の呻き声。
恐怖に満ちた声。
それらが――
あたり一面に響き始めた。
人々は土埃の中へ埋もれていく。
しかし――
幸運だった。
攻撃の軌道がわずかにずれていたため――
死神は、ほんの紙一重のところを通り過ぎた。
誰一人――
命を失わなかった。
全身に傷を負い。
顔は煤と土埃で真っ黒になり。
耳鳴りで意識さえ朦朧としている。
それでも――
この雷の雨によって、命を落とした者は一人もいなかった。
やがて――
砲口から放たれていた青いエネルギーも徐々に弱まり。
そして……消えていく。
砲身からは白い煙が立ち上る。
その後――
巨大な砲口がゆっくりと下がり始めた。
油圧式の昇降システムが逆回転する。
「ヒュゥゥゥ……」
小さくなっていく機械音とともに――
重い鋼鉄の塊が、船内の暗闇へとゆっくり戻っていく。
機械の関節が――
「カチッ」
と鋭い音を立てた。
固定完了。
直後――
分厚い鋼鉄の扉が再び滑り。
左右から閉じていく。
「ガンッ!!」
格納庫を完全に閉ざした。
そして――
先ほど地上を破壊した最新鋭の兵器を、完全に闇の中へ隠した。
一隻。
また一隻と――
戦艦が地上へ降下していく。
戦艦の下から吹き出す空気が――
残された草を激しく揺らす。
そして――
戦艦が大地へ直接着地した。
その瞬間。
各戦艦の扉が――
ゆっくりと開いていく。
中から――
兵士たちが次々と姿を現した。
規則正しく歩く。
まるで一つの軍隊のように。
彼らが身につけているのは――
青い軍装。
そこには灰色の細い線が走っている。
顔には――
茶色がかった灰色の戦闘マスク。
手には――
頭上を遥かに超える長い槍。
次々と兵士たちが戦艦から降りてくる。
すべての戦艦から出てきた兵士を合わせれば――
その数は、およそ千人。
その上から見下ろすベリオスは――
満足そうな顔をしていた。
そして――
口元に冷たい笑みを浮かべる。
「この惑星は……」
「……私のものになる」