『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
その頃――
ヴァン・ティエンは、まだそこに横たわっていた。
一切……動かない。
その心臓も――
すでに止まっていた。
しかし――
その瞬間。
ヴァン・ティエンの身体を取り囲むように――
白い、クリスタルのような光が現れた。
一筋。
また一筋。
無数のクリスタルの光が徐々に一点へ集まっていく。
そして――
その光は、ヴァン・ティエンの胸に残された白い布へと流れ込んだ。
白い布から流れ出したエネルギーが――
ヴァン・ティエンのペンダントへ伝わる。
そして――
ペンダントから放たれたエネルギーが、彼の全身へと広がっていく。
青いエネルギー。
そして――
クリスタルの光。
二つの力が混ざり合いながら――
ヴァン・ティエンの身体へ侵入していく。
血管を流れ。
身体中を駆け抜け。
そして――
まっすぐ心臓へ。
ヴァン・ティエンの心臓へ集まっていく。
その瞬間――
青い電流が激しく走った。
「バチィィッ!!」
一直線に――
心臓へ突き刺さる。
そして……
息も詰まるほどの静寂。
ヴァン・ティエンの胸が――
小さく跳ねた。
止まっていた心臓が――
「ドクン……」
弱々しく――
一度、動いた。
そして――
二度。
「ドクン……」
三度。
「ドクン……」
徐々に――
その鼓動は速く。
そして――
強くなっていく。
外では――
ヴァン・ティエンの全身が青い光とクリスタルの光に包まれ。
その光によって――
ゆっくりと空中へ持ち上げられていく。
戦艦の上では――
ベリオスが、何かの光を見つけた。
小さな光。
彼が目を凝らす。
そして――
それがヴァン・ティエンだと気づいた。
ベリオスの目が大きく見開かれる。
驚愕。
その身体が持ち上げられた後――
ヴァン・ティエンは空中で静止した。
身体の中を流れていた血液が――
徐々に戻っていく。
腕の血管も――
再び鼓動を刻み始める。
そして――
最初の呼吸が。
ヴァン・ティエンの身体へ戻ってきた。
その時――
二つのまぶたが、ゆっくりと開いていく。
そして――
目を開いた瞬間。
瞳から――
まばゆい青い光が、一気に放たれた。
同時に――
ヴァン・ティエンの身体から、凄まじい威圧が爆発した。
見えない嵐のような圧力が――
一瞬にして下へと吹き荒れる。
「ヴゥゥゥン!!!」
その凶暴な威圧が――
敵軍の隊列へ真正面から叩きつけられた。
兵士たちの目が――
激しく揺れる。
その顔に――
明らかな恐怖が浮かんだ。
固く握っていた武器を持つ手が――
ガタガタと震える。
「カン……カン……!!」
耐えきれなかった兵士の一人が――
手にしていた槍を落とした。
また別の兵士は――
両膝から力が抜け。
「ドサッ!!」
その場へ崩れ落ちた。
しかし――
この威圧の嵐は、それだけでは終わらない。
そのまま――
ベリオスのいる場所へと一直線に進んでいく。
ベリオスの目が――
わずかに見開かれた。
顔の筋肉が大きく引きつる。
目の前で起きていることが――
どうしても信じられない。
つい先ほどまで死にかけていた男。
その男から――
空間そのものを押し潰すような圧力が放たれている。
ベリオスの声が――
わずかに震えた。
そして――
絶望するように呟く。
「これは……」
「……天王覇気……」
ヴァン・ティエンの瞳。
その片側は――
青い光。
そしてもう片側は――
まばゆいクリスタルの白。
その手から流れる血は――
今もゆっくりと地面へ落ちている。
口元には――
先ほどの戦いで流れた濃い赤い血が残っている。
身体に刻まれた焼けるような火傷も――
まだ消えていない。
痛みも――
少しも和らいでいない。
それでも――
ヴァン・ティエンは、その傷をまったく気にしていないかのようだった。
その瞳に残っているのは――
ただ、冷たさ。
そして――
極限まで研ぎ澄まされた威厳。
一切の揺らぎもない。
空高くから――
恐怖に震える兵士たちを見下ろす。
そして――
その先に立つベリオスを。
ヴァン・ティエンは――
ただ静かに、見下ろしていた。