『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第84話 前世からの残響 (下)

凶暴に押し寄せてくる――

 

人の海。

 

五本の指が――

 

緑色の杖を強く握り締める。

 

クリスタルの白い竹の節が――

 

激しく燃え上がる。

 

まるで――

 

この主人とともに。

 

目の前に迫る嵐を迎え撃とうとしているかのように。

 

敵軍の咆哮。

 

その大波のような突撃を前にしても――

 

ヴァン・ティエンは一切ひるまない。

 

震える両腕へ――

 

すべての意志を集中する。

 

そして――

 

ゆっくりと。

 

星雲天聚を胸の高さまで横へ構えた。

 

まるで主人の決意を感じ取ったかのように――

 

杖に刻まれたクリスタルの白い竹の節が――

 

激しく輝き始める。

 

ヴァン・ティエンは歯を強く噛み締めた。

 

そして――

 

力強く。

 

大きな弧を描くように――

 

杖を横薙ぎに振り抜く。

 

「シュッ……ウゥゥン!!!」

 

杖の先端から――

 

緑色にクリスタルの白が混ざった、まばゆい星雲の光が放たれた。

 

それは――

 

巨大なエネルギーの帯へと変わる。

 

大地を――

 

一気に薙ぎ払っていく。

 

狂ったような勢いで横へ広がり――

 

その威力は凄まじかった。

 

前線にいた数十人もの敵兵が――

 

一気に空中へ吹き飛ばされる。

 

手にしていた武器が――

 

あちこちへ飛び散る。

 

勢いよく突撃していた敵軍の隊列が――

 

一瞬にして引き裂かれ。

 

ドミノ倒しのように――

 

次々と後方へ倒れていく。

 

しかし――

 

星雲の光の帯が消えた、その直後。

 

代償が――

 

一気に襲いかかってきた。

 

「ゴホッ……!」

 

強烈な反動が――

 

ヴァン・ティエンのひび割れた胸へ直接叩き込まれた。

 

彼は胸を押さえる。

 

そして――

 

鮮血を吐き出した。

 

全身が激しく震える。

 

先ほど電撃によって焼かれた傷が――

 

まるで再び引き裂かれたかのように激しく痛む。

 

その痛みは――

 

脳そのものを何度も揺さぶるほどだった。

 

呼吸も――

 

さらに苦しくなる。

 

戦艦の上に立つベリオスは――

 

怒りに歯をギリギリと噛み締めた。

 

そして叫ぶ。

 

「お前たちは何をしている!!」

 

「さっさと全員立て!!」

 

「早くあのガキを殺せ!!!」

 

地面に転がっていた兵士たちは――

 

怒鳴り声を聞くと、すぐに身体を起こした。

 

その隊列の大部分は――

 

すでに倒されている。

 

それでも――

 

立ち上がることのできた兵士たちは、再び突撃していく。

 

上空では――

 

ヴァン・ティエンの呼吸も徐々に落ち着きを取り戻していた。

 

しかし――

 

下から狂ったように迫ってくる兵士たちを見て。

 

もう休んでいる時間はない。

 

ヴァン・ティエンは身体を無理やり起こした。

 

手には――

 

星雲天聚。

 

その柄を強く握る。

 

そして――

 

決意に満ちた瞳で。

 

一気に――

 

下へ飛び降りた。

 

途中まで降下したところで――

 

ヴァン・ティエンは杖を背後へ引いた。

 

腕に力を込め――

 

投げるための勢いを作る。

 

その瞬間。

 

杖を放とうとした――

 

その瞬間。

 

脇腹の傷から――

 

突然、激痛が爆発した。

 

まるで――

 

皮膚も肉もすべて引き裂こうとしているかのような痛み。

 

ヴァン・ティエンの顔が苦痛に歪む。

 

冷や汗が一気に噴き出した。

 

それでも――

 

彼は諦めない。

 

青と白――

 

二色の瞳には、鋼鉄のような決意が燃え続けている。

 

歯を食いしばり。

 

脇腹の激痛を必死に押し殺す。

 

そして――

 

残された最後の力をすべて込めて。

 

星雲天聚を――

 

地上へ向けて力強く投げ放った。

 

「ヒュンッ!!!」

 

杖は――

 

恐ろしい速度で風を切り裂きながら地面へ向かって飛んでいく。

 

そして――

 

地面へ触れる寸前。

 

まるで主人の危機を感じ取ったかのように――

 

星雲天聚の杖身が突然、まばゆく輝いた。

 

クリスタルの白い竹の節が――

 

一斉にエネルギーを爆発させる。

 

そして――

 

自動的に分裂した。

 

一本。

 

十本。

 

数十本。

 

そして――

 

数百本へ。

 

まったく同じ杖が――

 

次々と現れていく。

 

それは――

 

空全体を覆い尽くす、神兵の雨となった。

 

下で凶暴に突撃していた兵士たちは――

 

空を見上げた。

 

その瞬間――

 

あまりにも凄まじい光景に。

 

全員が――

 

動きを止めた。

 

目を見開く。

 

恐怖。

 

「……!!!」

 

「ドン!! ドン!! ドン!!」

 

数百本もの杖が――

 

嵐のように降り注ぐ。

 

空中で自動的に激しく回転しながら――

 

正確に。

 

そして――

 

猛烈な力で。

 

地上にいる兵士たちの身体へ叩き込まれていく。

 

武器がぶつかる音。

 

悲鳴。

 

絶叫。

 

それらが――

 

連続して響き渡る。

 

凶暴だった敵軍の攻撃は――

 

一瞬にして完全に消し飛んだ。

 

ヴァン・ティエンは静かに降りる。

 

空中に分裂していたすべての杖が――

 

瞬時に一つへと戻っていく。

 

そして――

 

ヴァン・ティエンの元へ飛んでくる。

 

彼は手を上げ――

 

その杖を掴んだ。

 

しかし――

 

後方に残っていた兵士たちは。

 

恐怖に震えながらも――

 

戦艦の上から響くベリオスの怒号に押され。

 

再び槍を構えた。

 

そして――

 

四方八方からヴァン・ティエンを取り囲み。

 

一斉に突撃してくる。

 

ヴァン・ティエンは――

 

一歩も退かない。

 

杖を振りながら――

 

包囲の中へ飛び込んでいく。

 

緑色の杖身。

 

そこへ――

 

クリスタルの白い光が絡みつく。

 

その一撃一撃が――

 

縦横無尽に敵兵を薙ぎ払う。

 

武器を弾き飛ばし。

 

何人もの兵士を次々と地面へ叩き伏せる。

 

しかし――

 

これまでの電撃による拷問で、すでにボロボロになっていた身体が――

 

すぐに反撃を始めた。

 

「ゴホッ……!」

 

焼けついた肺から――

 

針で刺されたような鋭い痛みが走る。

 

ヴァン・ティエンの動きが――

 

ほんの一瞬、止まった。

 

たった一つの小さな隙。

 

それを――

 

敵兵の一人が見逃さなかった。

 

鉄の槍柄を――

 

ヴァン・ティエンの肩へ叩きつける。

 

「ドゴッ!!」

 

激痛が走る。

 

ヴァン・ティエンの身体が――

 

よろめきながら後ろへ下がる。

 

しかし――

 

まだ立て直す暇もない。

 

別の二本の長槍が――

 

同時に襲いかかってきた。

 

脇腹。

 

そして腕をかすめる。

 

鮮血が滲む裂傷が――

 

身体へ刻まれた。

 

ヴァン・ティエンは――

 

地面に片膝をつく。

 

荒い呼吸を繰り返す。

 

胸の古傷から――

 

再び血が流れ出す。

 

口元からも――

 

鮮血が溢れる。

 

そして――

 

服を赤く染めていく。

 

敵兵たちは――

 

ヴァン・ティエンが押されているのを見ると。

 

一斉に歓声を上げた。

 

武器を高く掲げ――

 

とどめを刺そうと、一気に突撃する。

 

しかし――

 

ヴァン・ティエンの青と白の瞳には。

 

恐怖も。

 

諦めも。

 

一切なかった。

 

そこに燃えているのは――

 

狂おしいほどの決意。

 

「ウゥゥン!!!」

 

残されたわずかな力。

 

そして――

 

生き残ろうとする意志。

 

そのすべてを両手へ込める。

 

ヴァン・ティエンは杖を地面へ突き立て――

 

身体を一気に跳ね起こした。

 

そして――

 

星雲天聚を高速で回転させる。

 

まばゆい防御の輪が――

 

一瞬にして生まれた。

 

敵の槍先が――

 

すべて外側へ弾き飛ばされる。

 

直後――

 

杖に刻まれたクリスタルの白い竹の節が――

 

再びエネルギーを爆発させた。

 

ヴァン・ティエンが咆哮する。

 

そして――

 

決着の一撃を放つ。

 

星雲天聚が――

 

360度。

 

完全な円を描くように振り抜かれる。

 

青と白の光の波が――

 

凄まじい勢いで周囲へ放たれた。

 

敵兵たちの武器が――

 

次々と砕け散る。

 

そして――

 

残っていた兵士たちも全員。

 

遠くへ吹き飛ばされ。

 

荒れ果てた大地の上へ――

 

次々と倒れ伏した。

 

ヴァン・ティエンは――

 

杖を地面へ突き立てる。

 

細く。

 

傷だらけになった身体が――

 

崩れ落ちないように。

 

その杖に全体重を預ける。

 

そして――

 

戦場の中央で。

 

必死に荒い呼吸を繰り返していた。

 

その時――

 

残っていた敵兵たちは。

 

仲間が次々と倒されたのを見ると――

 

武器を捨て。

 

背を向けて逃げ始めた。

 

しかし――

 

数メートルも走らないうちに。

 

彼らの周囲に――

 

電磁檻が次々と出現した。

 

そして――

 

無数の青い電撃が。

 

上空から一斉に――

 

兵士たちの身体へ降り注ぐ。

 

「アァァァァァ!!!」

 

凄まじい雷撃。

 

兵士たちの身体は耐えきれず――

 

完全に崩壊した。

 

その身体は――

 

無数の塵となって消えていく。

 

電磁檻も――

 

それと同時に消滅した。

 

ヴァン・ティエンはその光景を見ても――

 

恐怖を感じなかった。

 

ただ――

 

ゆっくりと上を見上げる。

 

戦艦の上では――

 

ベリオスがゆっくりと歩き出していた。

 

一歩。

 

また一歩。

 

降りながら――

 

低く、冷たい声を響かせる。

 

「戦場から逃げようとする者は――」

 

「生きる資格などない」

 

そして――

 

その瞳がヴァン・ティエンを真正面から捉える。

 

「兵士たちにお前を殺せないというのなら――」

 

ベリオスの視線が――

 

ヴァン・ティエンへ突き刺さる。

 

「ならば――」

 

「私が、お前をもう一度……殺してやろう」

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