『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第85話 嵐の後の流星雨 (前)

ベリオスは手を上げた。

 

すると――

 

ヴァン・ティエンの頭上に、いくつもの電子コアが出現した。

 

それらは瞬く間に互いへ接続し、檻を形成する。

 

だが――

 

檻が閉じ切るより先に、ヴァン・ティエンは身を低くし、横へ跳んだ。

 

そのまま身体を地面へ叩きつけ、何度も重く転がる。

 

そして――

 

神兵、星雲天聚を地面へ突き立て、その杖身を支えにして立ち上がった。

 

呼吸は――

 

ますます苦しくなっていく。

 

だが、彼に息を整える暇すら与えない。

 

頭上に再び電子コアが現れた。

 

今度は盾を形成するのではない。

 

青い雷撃を放ち――

 

ヴァン・ティエンへ向かって、真っ直ぐ叩き落とす。

 

ヴァン・ティエンは素早く跳び上がり、上空から落ちてくる雷撃を避ける。

 

だが――

 

電子コアから放たれる雷は、次第に数を増し、速度も上がっていく。

 

ヴァン・ティエンは連続して回避する。

 

一筋の雷が――

 

目の前へ飛び込んできた。

 

彼は足を踏み込み、跳び上がって避けようとした。

 

その瞬間――

 

胸に激痛が走った。

 

「……ッ!」

 

顔が苦痛に歪み、動きが一瞬止まる。

 

雷撃は――

 

あと数センチ。

 

だが、間一髪。

 

身体が本能的に動いた。

 

ヴァン・ティエンは星雲天聚を横へ振り、胸の前へ構える。

 

バチィィィン!!

 

雷撃が杖身へ直撃した。

 

胸はまだズキズキと痛んでいる。

 

それでも――

 

止まることはできない。

 

頭上の電子コアは、絶え間なく雷を放ち続ける。

 

一秒たりとも休ませるつもりはない。

 

ヴァン・ティエンは跳び越え――

 

身を低くして電子コアを避ける。

 

片手には星雲天聚。

 

もう片方の手で――

 

痛む胸を強く押さえる。

 

呼吸は――

 

ますます苦しくなっていく。

 

それでも――

 

止まれない。

 

彼は唇を強く噛み――

 

血が滲むほどに耐えながら、鼻からゆっくりと息を吸い込む。

 

そして――

 

口から静かに吐き出す。

 

胸の神経を落ち着かせるように。

 

左手を痛み、激しく鼓動する胸へ強く押し当てる。

 

しばらくすると――

 

少しずつ呼吸が戻ってきた。

 

二色――

 

青と白の瞳が、頭上に浮かぶ電子コアを鋭く捉える。

 

電子コアは――

 

空中で一直線に横へ並んでいた。

 

そして一斉に――

 

前方へ雷撃を蓄積し始める。

 

ヴァン・ティエンは眉をひそめ、頭上の光を見据えた。

 

雷撃が放たれた瞬間――

 

彼は地面を蹴って高く跳び上がる。

 

両手で星雲天聚を強く握りしめる。

 

杖からエネルギーが渦を巻いて立ち上がる。

 

杖身の白いクリスタルの竹節模様が――

 

一斉に爆発的な光を放った。

 

ヴァン・ティエンは歯を食いしばり――

 

杖を高く掲げ、電子コアへ接近する。

 

杖先が電子コアの位置へ重なった、その瞬間――

 

星雲天聚を力いっぱい振り下ろす。

 

鉄拳を纏ったような一撃が――

 

電子コアへ叩き込まれた。

 

「ドォォン!!! ガシャァン! ガシャァン! ガシャァン!!!」

 

連続した破砕音が途切れることなく響き渡る。

 

杖が進む先――

 

横一列に並んでいた電子コアが、次々と砕け散っていく。

 

無数の光のガラス片となって――

 

空中へ飛び散った。

 

ヴァン・ティエンは一回転してから、荒れ果てた大地へ着地する。

 

星雲天聚を地面へ突き立て、身体を支える。

 

その冷たく鋭い眼差しが――

 

戦艦の上に立つベリオスを真っ直ぐ捉えた。

 

ベリオスは上空から一部始終を見ていた。

 

電子コアのシステム全てが――

 

たった一撃で粉々にされた。

 

その場で――

 

三秒ほど完全に固まった。

 

その隙を逃さない。

 

ヴァン・ティエンは身体をわずかに傾け、星雲天聚を後ろへ引く。

 

腕に力を込め――

 

振り抜くための力を溜める。

 

その瞬間――

 

脇腹の痛みが再び襲ってきた。

 

「……ッ!」

 

顔がわずかに歪む。

 

だが――

 

止まるわけにはいかない。

 

二色の青と白の瞳が、ベリオスを真っ直ぐ見据える。

 

そして――

 

星雲天聚を力いっぱい投げ放った。

 

「ヒュッ!!」

 

杖は凄まじい速度でベリオスへ一直線に飛んでいく。

 

暗闇の中に――

 

青と白が混ざり合った光の軌跡を描く。

 

ベリオスが我に返った時には――

 

もう目の前まで来ていた。

 

「なっ……!」

 

ベリオスは慌てて身を引く。

 

だが、その瞬間――

 

身体の周囲に電磁シールドが展開された。

 

ギィィン!!

 

星雲天聚がシールドへ激突する。

 

凄まじい反発力によって――

 

杖はそのまま上空へ弾き飛ばされた。

 

ベリオスは――

 

これで助かったと思い、わずかに息を吐く。

 

だが――

 

まだ呼吸を整える暇すらなかった。

 

いつの間にか――

 

ヴァン・ティエンが目の前まで迫っていた。

 

その速度に――

 

ベリオスは完全に意表を突かれる。

 

ヴァン・ティエンの手が、落下してくる星雲天聚を掴んだ。

 

武器を握った瞬間――

 

身体から放たれる青と白の光が、狂ったように杖身へ流れ込んでいく。

 

両腕へ――

 

全ての力を込める。

 

そして――

 

星雲天聚を高く振り上げ――

 

ベリオスの頭上へ、力いっぱい振り下ろした。

 

ガキィィン!!

 

間一髪。

 

二枚目のシールドが展開され、ヴァン・ティエンの一撃を受け止めた。

 

だが――

 

ヴァン・ティエンは止まらない。

 

両腕の筋肉へ全ての力を込め――

 

身体の重量ごと杖身へ乗せ、シールドを押し潰す。

 

二色の瞳が――

 

眩い光を放つ。

 

杖身からも――

 

青と白の光が激しく爆発する。

 

凄まじい圧力が――

 

ベリオスのエネルギーシールドへ、真っ直ぐ叩き込まれていく。

 

ベリオスは――

 

まだ自信を失っていなかった。

 

自慢の電磁シールドが破壊されるはずなどない。

 

シールドの内側から――

 

残り僅かな力を振り絞ってシールドを破ろうとしているヴァン・ティエンを見て、彼は嘲笑う。

 

「諦めろ!」

 

「お前には、このシールドを破ることなどできない!」

 

そう言いながら――

 

彼はシールドの内側へ手のひらを当てる。

 

次の瞬間――

 

手から青い電撃が噴き出した。

 

それはエネルギーシールドを貫き――

 

そのまま星雲天聚へ流れ込む。

 

そして――

 

ヴァン・ティエンの身体へ直撃した。

 

凄まじい電流が――

 

一つ一つの細胞を荒々しく引き裂いていく。

 

重傷を負った身体へ――

 

容赦なく叩き込まれる。

 

「アアアアアアッ!!」

 

胸を引き裂くような絶叫が――

 

静まり返った田園に響き渡る。

 

その声を聞いたベリオスは――

 

心底楽しそうに笑った。

 

「そうだ……それだ!」

 

「叫べ!」

 

「苦しめ!」

 

「それこそ、俺がお前に望んでいたものだ!」

 

ベリオスはさらに――

 

ヴァン・ティエンの身体へ流し込む青い電力を強める。

 

次の雷撃は――

 

先ほどの何倍もの威力と破壊力で身体を貫いた。

 

「アアアアアアアアアッ!!」

 

ヴァン・ティエンの叫び声が――

 

さらに大きくなる。

 

その電流は――

 

すでに普通の人間が耐えられる限界を遥かに超えていた。

 

これで――

 

彼は諦め、倒れるかと思われた。

 

だが――

 

ヴァン・ティエンの両手が、さらに強く力を込めた。

 

視線は――

 

ベリオスから一瞬たりとも離れない。

 

歯を食いしばり――

 

血が滲むほど噛み締める。

 

全身を焼き尽くすような激痛を――

 

ただ耐える。

 

腕に走る青い血管が激しく浮かび上がる。

 

同時に――

 

星雲天聚から青と白の光が激しく噴き出す。

 

ヴァン・ティエンは――

 

杖身をさらに強く押し込んだ。

 

それを見たベリオスは――

 

ただ冷たく嘲笑う。

 

「無駄な努力だ。」

 

さらに――

 

電力を増幅する。

 

だが――

 

どれほど痛くても。

 

何度、死にそうになっても。

 

ヴァン・ティエンは歯を食いしばり――

 

一歩も引かなかった。

 

両腕へさらに力を込め――

 

杖を押し下げる。

 

ベリオスはシールドの内側から――

 

こいつは本当に無意味で時間の無駄なことをしていると思っていた。

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