『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
言葉が終わった瞬間――
巨大な球体をヴァン・ティエンへ向かって投げ放った。
青い雷を周囲へ纏った巨大な球体が――
猛烈な速度で回転しながら落下していく。
その周囲の空気は――
恐ろしいほど圧縮されていく。
小惑星ほどもある巨大な球体を前にして――
ヴァン・ティエンの眼差しには、一切の揺らぎがなかった。
星雲天聚を――
強く握りしめる。
その瞳には――
決意だけが満ちていた。
ゆっくりと――
身体を低くする。
星雲天聚を後方へ引く。
巨大な球体は――
どんどん近づいてくる。
さらに――
近く。
あと僅かで――
触れる。
その瞬間。
ヴァン・ティエンは――
一切迷わず、星雲天聚を力いっぱい振り上げた。
「ドォォォォォォン!!!!」
星雲天聚と――
巨大な球体が真正面から激突した。
二つの力が――
一気に爆発する。
凄まじい衝撃波が周囲を薙ぎ払い――
大地の一片一片を吹き飛ばしていく。
ヴァン・ティエンは――
瞬く間に押され始めた。
あまりにも巨大なエネルギーが――
杖身を強烈に押し潰す。
両足が――
田畑の地面へ深く沈み込んでいく。
全身の骨や関節が――
「パキ……パキ……」
と乾いた音を立てる。
千斤にも及ぶ圧力。
傷ついた腕から――
血が流れ落ち、杖身を赤く染める。
「ゴフッ……」
ヴァン・ティエンは――
暗い血を吐き出した。
両膝は――
すでに地面すれすれまで落ちている。
回転する雷の球体が――
荒れ狂いながら、青い雷を放つ。
その雷が――
ヴァン・ティエンの姿を飲み込んでいく。
そして――
彼を灰へ変えようとしていた。
遠くでは――
ベリオスが口元を歪める。
勝利を確信した笑み。
だが――
その生死の瀬戸際の瞬間。
ヴァン・ティエンの瞳の奥深くから――
二色の光が突然、激しく爆発した。
青と白。
それは――
ただの肉体の力ではない。
前世から受け継いだ戦闘本能。
そして――
決して倒れることを許さない、強靭な意志。
ヴァン・ティエンは――
空間を引き裂くような咆哮を上げた。
低く――
重く――
凄まじい威圧を孕んだ声。
「アアアアアアアアアアアアッ!!!!」
星雲天聚の全ての光が――
一気に爆発した。
ヴァン・ティエンは――
残された全ての力と、全身の神経を極限まで引き絞る。
そして――
巨大な球体自身が持つ回転運動。
さらに――
大地を足場として利用し。
身体を捻り――
星雲天聚を大きく振り抜いた。
力任せではない。
相手の力そのものを――
利用した一撃。
「ウオォォォォォン!!!!」
巨大な雷球が――
強制的に軌道を変えられた。
一瞬――
ほんの半秒ほど、その場で止まる。
そして――
次の瞬間。
狂ったように――
逆方向へ回転し始めた。
そのまま――
ベリオスへ向かって一直線に飛んでいく。
しかも――
先ほどより、さらに速い。
ベリオスは――
この反転を完全に予測していなかった。
狂ったように自分へ跳ね返ってくる巨大なエネルギー球を見て――
目を見開く。
恐怖に満ちた声が――
喉から漏れた。
「あり得ない!!!!」
「ドォォン!!」
電撃の球体は、ベリオスの姿を完全に飲み込んだ。
それは止まることなく、そのまま空間を引き裂き、分厚い雲の層を突き破り、大気圏を越えて――広大な宇宙空間へと一直線に飛び去っていった。
そして……
ドォォォォン!!!
音のない爆発が宇宙空間で眩い光を放ちながら炸裂した。
巨大な球体は爆発し、何万もの煌めく光の粒へと変わり、再び地球へと降り注いでいく。
それは――
地球の大気圏を横切る、眩い流星雨となった。
地上では、負傷した住民たち、民兵、そして救助にあたっていたボランティアの若者たちが、一斉に足を止めた。
彼らは夜空を見上げる。
呆然としながら――
空いっぱいに伸びていく、無数の輝く光の軌跡を見つめていた。
破壊をもたらした嵐の後に訪れた――
不思議なほど美しく、そして穏やかな光景だった。
ヴァン・ティエンは、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳は、夜空を照らす流星雨をぼんやりと見つめている。
そして――
口元に、疲れ切った小さな笑みを浮かべた。
途切れ途切れの息の中で、彼は小さく呟く。
「やっと……勝った……」
目の前の景色が――
ゆっくりと揺らぎ始める。
ぼやけて……
そして――
完全に暗闇へと沈んだ。
力を使い果たしたヴァン・ティエンの身体が、ゆっくりと――
冷たい田畑の上へ倒れ込んでいく。
その瞬間。
首にかかったペンダントから、小さな光の粒が一つ、静かに落ちた。
それは――
大地へ触れる。
すると。
大地そのものが、まるで意志を持っているかのように――
一瞬にして目覚めた。
地中から何千もの淡い青い光が湧き上がる。
深く穿たれた穴を通り抜け、
砲撃によって生じた無数の亀裂を這うように進み――
ゆっくりと。
そして静かに。
本来の大地の姿を取り戻していく。
その癒しの光は、そのまま地面を漂い――
やがて空高く舞い上がった。
夜空に光を織りなしていく。
息を呑むほど美しい――
幻想的な光景だった。
同じ頃。
広大な宇宙空間の彼方。
漆黒の巨大戦艦が――
無数の星のような光を身に纏いながら、ゆっくりと地球の軌道へ向かって進んでいた。
中央操縦室。
一人の兵士が突然、声を上げる。
「副艦長!」
「彼のエネルギー反応を確認しました!」
指揮席にもたれていた一人の少女が――
ゆっくりと立ち上がる。
漆黒の長い髪が、しなやかな歩みに合わせて静かに揺れる。
彼女は操縦室の強化ガラスの前まで歩いていき――
眼下に広がる青い惑星を、じっと見つめた。
整った顔立ち。
完璧なほど均整の取れた輪郭。
自信と人を惹きつける魅力を漂わせながらも――
どこか物思いに沈んだ、静かな雰囲気を纏っている。
淡い灰色の瞳は、水面のように静かだった。
その瞳の奥に――
温かな光が一筋、宿る。
そして。
彼女の口元に、優しい微笑みが浮かんだ。
低く静かな声。
そこには――
長い間、会えなかった者への想いが込められていた。
「やっと……見つけた……」
「……船長。」
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( 以前、第80章でもお知らせしましたが、この章の後、数週間ほどお休みさせていただく予定だとお伝えしました。
今回のお休み期間は――
3週間です。
お休みする理由は、いくつか個人的な仕事を片付けなければならないためです。
最近は以前より仕事も忙しくなってきました。
そして、もう一つの理由として――
これから始まる次のArcに向けて、準備をしたいと思っています。
そのため、皆さんには申し訳ありませんが、約3週間ほどお休みさせてください。
どうかご理解いただければ嬉しいです。
私は正式に、11月23日から再び章の投稿を開始する予定です。
なので――
3週間後の月曜日に、また皆さんにお会いしましょう!
その時から、また新しい展開を書き続けていきます。
そして――
第85章の最後まで読んだ皆さんは、最後に登場したあの女の子が一体誰なのか、かなり気になっているんじゃないでしょうか?
少しだけ秘密を明かすと――
彼女は次の章に登場します。
そして、彼女が登場することで――
ヴァン・ティエンの正体について、さらに詳しく明らかになっていきます。
それだけではありません。
彼と妹のヒュエン・ゴックとの関係。
そして――
第85章の最後に登場した、あの彼女との関係についても、少しずつ明らかになっていきます。
今、私から明かせるのはここまでです。
この先、一体どんな展開が待っているのか――
それは、次の章が公開されるまで楽しみに待っていてくださいね!
そして、もう一度――
ここまでヴァン・ティエンと一緒に、私の物語を追いかけ、応援してくださった皆さん。
本当に、本当に、本当にありがとうございます!
感謝してもしきれません。
それでは――
3週間後の月曜日に、またお会いしましょう!
バイバイ!)