『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
二本の柱から赤いエネルギーが放たれ、巨大なエネルギーの帯によって互いに繋がっていた。
そのエネルギーの流れは、古都コーロアからランドマーク72まで伸び、夜空の上で渦を巻きながら、まるで空間そのものが引き裂かれたかのように見えていた。
古都コーロアの外では、すでに人々が全員外へ逃げ出していた。
ミンもバーティーおばさんのところまで走ってきた。
しかし、ヴァン・ティエンがまだ中にいることに気づくと、彼は振り返り、再び城の中へ走ろうとした。
ミンが叫ぶ。
「兄さんがまだ中にいる!」
ミンが中へ飛び込もうとした瞬間、バーティーおばさんが彼を引き止めた。
「ダメ!」
ミンは必死にもがく。
「離して!」
しかし、おばさんの力はとても強かった。
ミンはただ、古城のほうを見つめながら、無力に叫ぶことしかできなかった。
「兄さぁぁぁん……!」
古城の中では、ドアン・ティエットが崩れた城壁の上に立っていた。
彼はヴァン・ティエンを見つめ、軽く笑う。
「また会ったな……」
「……ヴァン・ティエン」
ヴァン・ティエンは彼を睨む。
「何をするつもりだ?」
ドアン・ティエットは軽く肩をすくめた。
「何でもない……」
「ただの、ちょっとした実験だ」
彼は装置へ視線を向ける。
しかし、すぐに目を細めた。
「どうやら……まだエネルギーが足りないようだな」
ヴァン・ティエンはすぐに怒鳴った。
「その柱を今すぐ外せ!」
ドアン・ティエットは彼を見る。
「お前は何者だ……」
「俺に命令できるほどの存在なのか?」
ヴァン・ティエンの目が冷たくなる。
「なら……」
「俺が自分で壊す」
ドアン・ティエットは少し眉を上げた。
「ほう?」
「なら、やってみろ」
ヴァン・ティエンは拳を強く握った。
首にかかった十字架のネックレスが、ゆっくりと光り始める。
彼は助走をつけた。
そして――
シュッ!
空中へ飛び上がり、エネルギーの柱へ一直線に向かっていく。
だが――
バシッ!
一つの影が彼の前を塞いだ。
ドアン・ティエットだった。
彼は笑いながら、強烈な蹴りを放つ。
バキッ!
蹴りがヴァン・ティエンの腹部へ直撃する。
ドォン!
彼の身体は城壁へ叩き飛ばされ、石の破片が周囲へ飛び散った。
瓦礫の中で、ヴァン・ティエンはゆっくりと立ち上がる。
口元から血が流れる。
彼の目が冷たくなる。
そして、低く呟いた。
「5%……」
次の瞬間――
青いエネルギーが彼の身体の周囲で爆発する。
シュッ!
ヴァン・ティエンの姿が消えた。
一瞬後、彼はドアン・ティエットの目の前に現れる。
ドスッ!
強烈な拳が腹部へ叩き込まれた。
ドォン!
ドアン・ティエットの身体は吹き飛び、いくつもの城壁を転がりながら、ようやく止まった。
しかし、彼もすぐに立ち上がった。
そして、低く笑う。
「なら……俺も本気で戦うとしよう」
「Iron Breaker――Red Impact!」
彼が突進する。
赤く燃え上がる戦槌。
ヴァン・ティエンも拳を繰り出す。
二人は何度も互いに攻撃を繰り出した。
ヴァン・ティエンが拳を放つ。
ドアン・ティエットが戦槌を振り下ろす。
ドォン!
二つの力がぶつかり合い、衝撃波が古城中の砂埃と石の破片を吹き飛ばす。
ヴァン・ティエンが身体を回転させる。
バキッ!
ドアン・ティエットの腹部へ蹴りを叩き込む。
彼の身体が後方へ吹き飛ぶ。
ドォン!
しかし、ドアン・ティエットはすぐに立ち上がった。
次の瞬間、彼はヴァン・ティエンの背後へ瞬間移動し、戦槌を振り下ろす。
キィン!
ヴァン・ティエンはそれを受け止めた。
だが、戦槌の凄まじい力によって、彼の身体は地面へ押し付けられる。
ドォン!
地面が大きくひび割れる。
ヴァン・ティエンは痛みを感じた。
口元から血が流れる。
彼は口元の血を軽く拭い、ドアン・ティエットを見上げる。
首のネックレスも、さらに強く光り始めていた。
彼は突進する。
二つの技が激突し、まばゆい光が辺りを包み込む。
街の外では、一人の市民が空を指差した。
「見ろ!」
古都コーロアの空。
青と赤、二本の光が何度も激しくぶつかり合っている。
キィィン!
ドスッ!
ザシュッ!
古い城壁が次々とひび割れていく。
その時、ヴァン・ティエンがドアン・ティエットの腹部を蹴った。
バキッ!
ドアン・ティエットの身体が遠くへ吹き飛ぶ。
しかし、彼はすぐに体勢を立て直した。
そして、再び攻撃しようとした――その時。
装置から警告音が鳴った。
「エネルギー充填率……100%」
ドアン・ティエットはそれを見ると、微笑んだ。
「時間だ」
ヴァン・ティエンは眉をひそめる。
「時間だと?」
ドアン・ティエットは彼を見る。
「すぐに分かる」
ヴァン・ティエンがまだ意味を理解できないでいると――
二本の柱を繋いでいたエネルギーの帯が激しく震え始めた。
そして、光を放ちながら、二つに分かれていく。
徐々に……大きく……広がっていく。
そして――
空間を引き裂いた。
巨大な空間ゲートが、夜空に出現した。
そのゲートの向こうから――
一隻。
また一隻。
さらに一隻。
わずか数分の間に――
十万隻を超える戦艦が、ハノイの空に浮かび上がった。
戦艦の扉が開く。
そこから何十万もの黒い兵士たちが降りてくる。
その隊列は海のように広がり、長い列を作っていた。
ドアン・ティエットは空中へ飛び上がり、軍勢の中央に立つ。
そして両手を広げた。
「紹介しよう……」
「これが俺の偵察軍団だ」
「第4艦隊」
ヴァン・ティエンは目を見開いた。
上空に広がる軍勢から、とてつもない圧力を感じる。
古都コーロアの外でも、そしてハノイの街でも、人々は空間ゲートから現れた巨大な軍勢を目撃していた。
ハノイの市民も観光客も、恐怖に震えながら、あれが一体何なのか分からずに空を見上げていた。
ヴァン・ティエンはドアン・ティエットと、その軍勢を見つめる。
拳を強く握る。
そして――
シュッ!
空へ飛び上がり、ドアン・ティエットへ向かって突進した。
ドアン・ティエットは彼を見て、軽く鼻で笑った。
そして手を上げる。
すると、十人の黒い兵士がヴァン・ティエンへ向かって飛び出した。
十人全員が槍を振り上げる。
しかし――
ヴァン・ティエンはすべての攻撃を受け止めた。
そして槍を跳ね上げる。
そのまま一人の兵士の槍を掴み、身体ごと振り回した。
シュッ!
シュッ!
ブン! ブン!
兵士の身体が残り九人へ次々と激突する。
ドスッ!
バキッ!
ドン!
ドサッ!
十人全員が吹き飛び、下にある城壁へ突き刺さった。
ドォン!
それを見たドアン・ティエットは少し驚いた。
しかし、すぐに冷静さを取り戻し、再び合図を送る。
今度は――
二十人の黒い兵士。
ヒュッ!
二十人が一斉に飛び出す。
ヴァン・ティエンはすぐに高く跳び上がった。
首のネックレスが激しく光り始める。
青いエネルギーが彼の身体の周囲から放たれる。
前方から五人。
さらに後方から五人が飛び出し、棍棒を振り上げる。
その瞬間――
ヴァン・ティエンの姿が消えた。
シュッ!
彼は五人の兵士の背後へ現れる。
ドスッ!
拳が二人に直撃し、二人の身体が遠くへ吹き飛ぶ。
残りの三人も蹴り飛ばされる。
残った五人がすぐに迫り、棍棒を振り下ろそうとする。
しかし――
ヴァン・ティエンはそれを受け止めた。
そして、二発の高速キックを二人の兵士へ叩き込む。
バキッ!
二人が遠くへ吹き飛ぶ。
残り三人の棍棒をヴァン・ティエンは強く掴んだ。
そして三人をそのまま持ち上げ――
投げ飛ばした。
だが、その瞬間。
ヴァン・ティエンは動きを止めた。
身体に痛みを感じた。
そして、激しい不快感が全身を走る。
残り十人の兵士が一斉に彼へ襲いかかる。
棍棒が振り下ろされる。
その直前――
ヴァン・ティエンが大きく叫んだ。
「うああああっ!」
ドォン!
強烈な気流が発生し、十人の兵士が一斉に吹き飛ばされる。
その後、ヴァン・ティエンは激しく咳き込んだ。
身体が限界に近づいている。
上空のドアン・ティエットは目を細めた。
そして、再び合図を送る。
今度は――
五十人。
五十人の兵士が一斉に突進してくる。
ヒュン!
「殺せぇぇぇ!」
ヴァン・ティエンがまだ状況を理解できていないうちに、五十人がすでに目の前まで迫っていた。
彼は咄嗟に防御する。
しかし――
五十本の棍棒が一斉に彼の身体を打ちつける。
ゴンッ!
ガキッ!
彼の身体が吹き飛ぶ。
体勢を立て直す暇もない。
五十人が一斉に襲いかかり、何度も攻撃を繰り返す。
ヴァン・ティエンはすべてを防ぐことができない。
次々と身体へ攻撃が叩き込まれる。
ドンッ!
ドサッ!
彼はそのまま古都コーロアのヴォン湖へ向かって吹き飛ばされた。
ドォン!
壁が大きく崩れ落ちる。
ヴァン・ティエンは瓦礫の中に倒れていた。
必死に身体を起こす。
口から大量の血が流れている。
身体中が傷だらけだった。
彼は歯を食いしばる。
「……本当に、腹が立つな……」
ドアン・ティエットは彼を見下ろしていた。
その目は鋭く、口元には静かな笑みが浮かんでいる。
「ヴァン・ティエン……俺はお前が本当に気に入った」
「だが……残念だな」
「どうやら、ここまでのようだ」
そう言って、彼は手を上げる。
すると――
空を覆う何千もの戦艦の砲門が、次々とエネルギーを蓄え始めた。
赤い光がハノイの空全体を覆っていく。
地上の人々はパニックに陥った。
至る所から叫び声が上がる。
ヴァン・ティエンは空を見上げた。
その目に、徐々に絶望が浮かんでいく。
「終わり……」
「……なのか……」
だが、その瞬間――
ヴォン湖の底から、青い光が放たれた。
その光が周囲を照らし出す。
ヴァン・ティエンも。
ドアン・ティエットも。
同時に驚いた。
大地が、さらに激しく揺れ始める。
ヴォン湖の水面が激しく波打つ。
そして――
湖の底から、一つの巨大な影がゆっくりと浮かび上がってきた。
湖の水が、まるで津波のように高くせり上がる。
ヴァン・ティエンは目を大きく見開いた。
巨大な亀が姿を現した。
その甲羅は、まるで古代の山々のように高くそびえ、荒々しく隆起している。
その背中には、東山の銅鼓に刻まれた神聖で精巧な紋様が深く刻まれていた。
その中心には――
十四本の光線を持つ太陽が、神聖な青い光を放っている。
そこから、原初の力を思わせる波動が絶え間なく広がっていた。
太陽の周囲では、伝説のラク鳥たちが舞っていた。
それは、ただの彫刻ではなかった。
古代から流れ続けるエネルギーに支えられながら、永遠の飛翔を続けている。
そして――
神獣が目を開いた。
その瞳は、金箔のように輝く黄金色。
数千年という時を見通してきた、古代の瞳だった。
神獣は咆哮した。
その声は、現実そのものを震わせるほどだった。
目を高く上げ――
そして、咆哮する。
「グォォォォォ……ン!」
周囲の空間が激しく震える。
エネルギーの波が空全体へ広がっていく。
戦艦の砲撃エネルギーは乱れ始め――
そして完全に消えた。
黒い兵士たちは一斉に動揺する。
「何だ、あれは!?」
「そんなはずがない!」
ドアン・ティエットでさえ、完全に動きを止めていた。
その瞳が大きく縮む。
「神獣……」
「そんな……あり得ない……」
ヴァン・ティエンは目の前の巨大な存在を見つめていた。
ただ、呆然としていた。
これまで見たどんなものよりも遥かに大きく、重厚で、荘厳な存在。
その瞬間――
古代の声が、ヴァン・ティエンの頭の中に響いた。
低く。
ゆっくりと。
まるで千年の歴史の彼方から響いてくるような声。
「星力を宿す者よ……」
「お前は……もう十分に戦った」
神獣の身体を取り囲むように、水面が高くせり上がる。
青い光が古都コーロア全体を照らしていく。
「残りは……」
「我に任せよ。」