『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第18話 神箭の代償

ハノイの空は、いまだ燃え続けていた。

 

巨大な戦艦の破片が、隕石のように次々と落下していく。

 

ドォォン!

 

ドォォン!

 

ドォォン!

 

炎と赤い煙が、空一面を覆い尽くしている。

 

古螺城の中央では、ヴァン・ティエンがいまだ連珠神弩のそばで膝をついていた。

 

息は荒く、口元から血が流れている。

 

両手もわずかに震えていた。

 

たった一度の発射だけで、彼の生命力の一部が奪われていた。

 

しかし、彼が顔を上げると――

 

まだ数万隻もの戦艦が残っている。

 

ヴァン・ティエンの目が沈む。

 

「……まだ足りない」

 

空の上では、段鉄が自軍の中に立っていた。

 

周囲には、まだ無数の戦艦が残っている。

 

彼は自らの艦隊が破壊されていく光景を見つめていた。

 

だが、その顔に焦りはない。

 

ただ……少しだけ表情が険しくなった。

 

「古代の神器……」

 

彼は地上のヴァン・ティエンを見下ろし、そして大声で笑った。

 

「お前のことが、ますます気に入ってきたぞ」

 

しかし、その目はすぐに冷たくなる。

 

「だが……」

 

「その玩具は……破壊しなければならない」

 

彼は戦槌を高く掲げた。

 

赤いエネルギーが、身体の周囲で爆発する。

 

「Iron Breaker……」

 

身体が、赤い隕石のように空から落下する。

 

「――Crimson Collapse」

 

一瞬で、段鉄は古螺城の上空へ到達した。

 

戦槌を高く振り上げる。

 

標的――

 

連珠神弩。

 

もし神弩が破壊されれば、この戦いのすべての希望が消えてしまう。

 

その瞬間――

 

巨大な黒い影が、段鉄と神弩の間に立ちはだかった。

 

金亀神が身体を回転させ、巨大な甲羅を盾のように前へ向ける。

 

そして――

 

戦槌が振り下ろされた。

 

ドォォォォォン!!!!

 

大爆発が起こり、古螺城全体を揺るがす。

 

衝撃波が周囲の土や石を吹き飛ばしていく。

 

だが――

 

煙と砂埃が晴れた時。

 

そこには、ひび一つ入っていなかった。

 

金亀神の甲羅は、微動だにせず立ちはだかっている。

 

段鉄は空中で動きを止めた。

 

「……フン」

 

「この防御……本当に厄介だな」

 

金亀神は彼を見つめる。

 

その古代の瞳は、静かだった。

 

そして――

 

低く重い声が響く。

 

「お前は……この大地の者ではない」

 

段鉄は笑った。

 

「俺も、ここに留まるつもりはない」

 

「俺はただ……」

 

「ここを奪いに来ただけだ」

 

甲羅の後ろで、ヴァン・ティエンはなんとか立ち上がろうとしていた。

 

だが、足が震えている。

 

身体中が痛む。

 

彼は神弩を見上げた。

 

分かっている。

 

もし、もう一度撃てば――

 

支払う代償は、さらに大きくなる。

 

もしかすると――

 

死ぬかもしれない。

 

彼は拳を強く握った。

 

「……でも、撃たなければ」

 

「みんなが死ぬ」

 

再び、神弩へ手を伸ばす。

 

しかし、その瞬間――

 

金亀神が言った。

 

「やめろ」

 

ヴァン・ティエンは顔を上げる。

 

「お前は、すでに大きすぎる代償を払った」

 

彼は首を横に振った。

 

「……まだ足りない」

 

空の上から、段鉄は彼の行動を見ていた。

 

そして、声を上げて笑った。

 

「まだ撃てると思っているのか?」

 

彼は手を上げる。

 

「奴を止めろ」

 

風を切る音が響く。

 

二十万を超える黒い兵士たちが、空から一斉に降下してくる。

 

無数のエネルギー槍が、ヴァン・ティエンへ向けられた。

 

しかし――

 

「グオオオオオオッ!!!」

 

金亀神が咆哮した。

 

青いエネルギーの波が、一気に広がる。

 

ドォォン!

 

すべての兵士が吹き飛ばされた。

 

だが――

 

あまりにも数が多い。

 

一層、また一層。

 

黒い兵士たちは次々と降下してくる。

 

ヴァン・ティエンは必死に弦を引こうとした。

 

しかし――

 

今回ばかりは、身体が耐えられなかった。

 

血が手へと流れ落ちる。

 

弦が震える。

 

だが、引くことができない。

 

その瞬間――

 

首にかけた十字架のネックレスが、激しく光り始めた。

 

見慣れた青いエネルギーが、身体の中から溢れ出していく。

 

だが――

 

前とは違う。

 

今回の力は、さらに強い。

 

ヴァン・ティエンの身体が震える。

 

まるで――

 

身体の中に眠っていた何かが、目を覚まそうとしているようだった。

 

彼は小さく呟く。

 

「……もう、他に方法はない」

 

次の瞬間――

 

青いエネルギーが、彼の身体から爆発した。

 

ゴォォォォッ!!

 

風が古螺城全体を渦巻く。

 

大地が震える。

 

ヴァン・ティエンは顔を上げた。

 

その瞳が、強い光を放つ。

 

「8%……」

 

一瞬で――

 

ヴァン・ティエンの姿が消えた。

 

ヒュッ!

 

次の瞬間、彼は空中へ現れた。

 

降下してくる軍勢のど真ん中。

 

ドン!

 

拳一発。

 

三人の兵士が吹き飛ぶ。

 

ドン!

 

回し蹴り。

 

五人がまとめて吹き飛んだ。

 

ヒュッ!

 

彼は稲妻のように空中を駆ける。

 

一撃。

 

一蹴り。

 

そのすべてが、黒い兵士たちを次々と空から叩き落としていく。

 

数秒のうちに――

 

百人を超える兵士が撃ち落とされた。

 

空中で、段鉄は目を細める。

 

「奴の力が……増している」

 

初めて――

 

彼は本当の意味で興味を示した。

 

「そういうことか……」

 

「まだ隠し玉を残していたんだな」

 

ヴァン・ティエンは空中に立っていた。

 

呼吸は荒い。

 

それでも、その目は揺るがない。

 

その後ろで――

 

金亀神が空を見上げる。

 

彼には分かっていた。

 

本当の戦いが――

 

今、始まろうとしている。

 

段鉄は再び戦槌を持ち上げた。

 

赤い光が、彼の身体を包み込む。

 

「いいだろう」

 

彼は笑った。

 

「今度は……」

 

「この俺自身の手で、お前を殺してやる」

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