『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第20話 第二の一矢

古螺城の中で、砂埃がゆっくりと晴れていく。

 

巨大な穴の中心に――

 

ヴァン・ティエンが立っていた。

 

服はボロボロに破れ、腕には血が流れている。

 

それでも――

 

その瞳の光は、まだ消えていなかった。

 

空の上。

 

段鉄が彼を見下ろす。

 

その瞳が鋭く光った。

 

「まだ……立ち上がれるのか……」

 

彼は口元を歪める。

 

「なら……続けよう。」

 

段鉄の身体を包む赤いエネルギーが、一気に膨れ上がる。

 

今までとは比べものにならないほど強い。

 

周囲の空気が、歪み始めた。

 

戦艦に乗っていた黒衣の兵士たちは、それを見て後ずさる。

 

一人の兵士が震える声で呟いた。

 

「閣下が……本当の力を使っている……」

 

段鉄が戦槌を持ち上げる。

 

赤いエネルギーが、槌の先端へと集まっていく。

 

「Iron Dominion……」

 

「――Hellbreaker。」

 

戦槌が振り下ろされる。

 

ドォォォォォン!!!!!

 

巨大な赤いエネルギーの柱が、古螺城へ向かって一直線に落ちていく。

 

大地が激しく震える。

 

もし、この一撃が地面に直撃すれば――

 

古螺城そのものが消滅する。

 

だが、その瞬間――

 

巨大な黒い影が、その前に立ちはだかった。

 

神金亀。

 

神金亀は身体を回転させ、巨大な甲羅を盾のように立てた。

 

ドォォォォォォォン!!!!!

 

赤い攻撃が、亀の甲羅へ真正面から叩きつけられる。

 

赤と青の光が激しくぶつかり合う。

 

周囲の土や石が吹き飛んでいく。

 

しかし――

 

甲羅は、微動だにしなかった。

 

傷一つない。

 

段鉄が眉をひそめる。

 

「お前……本当に厄介だな。」

 

甲羅の後ろ。

 

ヴァン・ティエンは空を見上げた。

 

彼は分かっていた。

 

これが――

 

唯一のチャンスだ。

 

彼は振り返り、神弩連珠を見る。

 

古代の武器は、今も青い光を放っていた。

 

しかし今回は――

 

彼は躊躇した。

 

なぜなら、分かっているからだ。

 

もう一度撃てば――

 

自分の命を失うかもしれない。

 

その時、神金亀の声が彼の心の中に響いた。

 

「お前は、もう十分に戦った。」

 

「残りは……私に任せよ。」

 

だが、ヴァン・ティエンは首を横に振った。

 

「……いや。」

 

彼はハノイの空を見上げる。

 

そこには、まだ無数の戦艦が浮かんでいる。

 

数千もの砲口が、地上へ向けられていた。

 

「あなたが一人で戦えば……」

 

「人々は、それでも死んでしまう。」

 

彼は振り返る。

 

そして――

 

神弩の本体へ手を置いた。

 

その瞬間。

 

ヴァン・ティエンの身体から、青い光が一気に吸い出された。

 

神弩が震え始める。

 

古螺城全体が、青い光に包まれていく。

 

神弩の本体に刻まれた古代の紋様が、次々と目を覚ます。

 

まるで――

 

千年もの間、眠り続けていた武器が、再び目覚めたかのように。

 

空の上。

 

段鉄が目を見開く。

 

「まずい!!!」

 

彼はすぐに手を上げる。

 

「奴を止めろ!」

 

数百人の黒衣の兵士が、一斉に地上へ飛び降りる。

 

それを見た神金亀は――

 

初めて。

 

その瞳に激しい怒りを浮かべた。

 

そして――

 

咆哮した。

 

グオオオオオオオ!!!!!

 

巨大な青いエネルギーの波が、一気に爆発する。

 

ドォン!!!

 

数百人の兵士が、空から吹き飛ばされる。

 

近くの戦艦までも激しく揺れた。

 

古螺城の中心。

 

神弩が激しく輝く。

 

神の矢が、分裂を始めた。

 

一本。

 

十本。

 

百本。

 

千本。

 

そして――

 

数万本もの光の矢が、神弩の周囲に現れた。

 

それらはまるで、一つの銀河のように空中を漂っている。

 

しかし今回は――

 

その光は、前よりも遥かに強かった。

 

ヴァン・ティエンの身体が震える。

 

鼻から血が流れる。

 

耳からも血が流れ始めた。

 

身体そのものが、今にも壊れてしまいそうだった。

 

それでも――

 

彼は神弩の弦を引き続けた。

 

「……もう一度……」

 

そして――

 

叫んだ。

 

「撃てぇぇぇ!!!」

 

シュオオオオオオ!!!!!

 

数万本もの神の矢が、空へ向かって一斉に飛び立つ。

 

それらは無数の光へと分裂し――

 

巨大な流星群のように、空を覆った。

 

ドォン!

 

ドォン!

 

ドォン!

 

ドォン!

 

戦艦が次々と爆発する。

 

ハノイの空全体が、炎の海へと変わっていく。

 

わずか数秒の間に――

 

数万隻もの戦艦が破壊された。

 

煙と炎が空を覆い尽くす。

 

黒衣の兵士たちは混乱し、艦隊は完全に崩れ始めた。

 

地上。

 

ヴァン・ティエンは神弩の弦を離した。

 

そして――

 

その身体が、ゆっくりと倒れていく。

 

空の上。

 

段鉄は破壊されていく艦隊を見つめていた。

 

初めて――

 

その瞳に、凄まじい殺気が浮かんだ。

 

「……もう十分だ。」

 

赤いエネルギーが、彼の身体の周囲で激しく爆発する。

 

周囲の空間が、ひび割れ始めた。

 

「お前は……」

 

「……俺の計画を台無しにした。」

 

彼は戦槌を高く掲げる。

 

その力は、これまでとは比べものにならないほど凶悪だった。

 

「この手で……お前を殺す。」

 

しかし――

 

その瞬間。

 

神金亀が一歩前へ進み出た。

 

巨大な身体が、ヴァン・ティエンと段鉄の間に立ちはだかる。

 

青い光が湖面全体へ広がっていく。

 

そして――

 

古代の声が響いた。

 

「お前は……」

 

「……この子に触れることを、許さぬ。」

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