『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第25話 川底の黒い影

田舎の午後は、穏やかに過ぎていった。

 

淡い黄金色の陽射しが、風に揺れる稲田を覆っている。

 

村の入り口に並ぶ竹林からは、スズメたちのさえずりが聞こえていた。

 

ヴァン・ティエンは家の縁側に座り、熱いコーヒーを手にしていた。

 

彼は遠くの田んぼをぼんやりと見つめていた。

 

頭の中には、昨夜の夢がまだはっきりと残っている。

 

戦艦……。

 

宇宙空間……。

 

そして、自分を――

 

「船長」と呼ぶ声。

 

彼は小さく呟いた。

 

「船長……結局、俺は……昔、何者だったんだ……」

 

首にかけたペンダントが、かすかに震えた。

 

とても小さな震えだった。

 

しかし今回は……。

 

ヴァン・ティエンにもはっきりと感じられた。

 

何かが……目を覚まそうとしている。

 

彼は眉をひそめた。

 

「また……か。」

 

その時、一人の見知らぬ男がヴァン・ティエンの家の前まで歩いてきた。

 

ヴァン・ティエンは男を見る。

 

背が高く、少し太った男だった。

 

灰色のストライプ柄のシャツに、黒い長ズボンを履いている。

 

男はヴァン・ティエンに尋ねた。

 

「君、お父さんは家にいるか?」

 

ヴァン・ティエンは答える。

 

「はい。父なら家の中にいます。」

 

男は下を見ながら言った。

 

「じゃあ、お父さんを呼んできてもらえるか?」

 

ヴァン・ティエンは頷いた。

 

そして家の中へ入る。

 

「父さん、誰か父さんを訪ねてきたよ!」

 

「おう!」

 

父親が家の中から出てきた。

 

男の顔を見ると、父親は驚いたように声を上げる。

 

「あれ、末っ子じゃないか。遊びに来たのか? ほら、早く中に入って座れ。」

 

そして父親はヴァン・ティエンの方を振り向いた。

 

「ティエン、下に行って湯を沸かしてくれ。」

 

ヴァン・ティエンはすぐに家の下へ向かった。

 

お湯を沸かし、茶を淹れる。

 

そしてそれを二人の前へ運んだ。

 

「どうぞ。」

 

茶を置くと、ヴァン・ティエンはすぐに下へ戻った。

 

しかし、家の下にいても――

 

彼の耳には、父親と叔父の会話がはっきりと聞こえていた。

 

末っ子の叔父が口を開く。

 

「兄貴、実は今、トゥイ・グエンとクアン・イェンの近くで工事をしてるんだ。」

 

「それで困ったことがあってな。」

 

「作業員たちが木杭を打ち込んでるんだが、どうもうまくいかないんだ。」

 

「兄貴はこういう仕事が得意だろ?」

 

「だから、ちょっと現場まで来て手伝ってくれないか?」

 

ヴァン・ティエンの父親は茶を一口飲んだ。

 

「俺も本当は手伝ってやりたいんだが……。」

 

「そこまで行くのは遠いからな。行く金が足りるかどうか……。」

 

叔父はすぐに答えた。

 

「そのことなら心配しなくていい。」

 

「交通費も何もかも、全部俺が出すよ。」

 

しばらく考えた後――

 

ヴァン・ティエンの父親は答えた。

 

「分かった。」

 

「それなら、手伝いに行くよ。」

 

父親が了承すると、叔父は嬉しそうに笑った。

 

「本当か? 助かるよ、兄貴!」

 

しかし、父親は続けた。

 

「ただし、一つ条件がある。」

 

「ヴァン・ティエンも一緒に連れて行きたい。」

 

それを聞いた叔父は少し驚いた。

 

しかし、すぐに笑った。

 

「そんなの簡単だよ。」

 

「兄貴が手伝ってくれるなら、俺はそれで十分嬉しいよ。」

 

帰る前に、叔父は言った。

 

「じゃあ、二日後に車を手配して、兄貴とティエンを迎えに来させるよ。」

 

そう言って、叔父は家を出ていった。

 

その時、ヴァン・ティエンが下から上がってきた。

 

「さっきの人、父さんに何の話をしてたの?」

 

父親は息子を見る。

 

「何でもない。」

 

「叔父さんが、仕事を少し手伝ってほしいって言ってきただけだ。」

 

父親はヴァン・ティエンの頭を撫でる。

 

「今回は父さんと一緒に、お前も連れて行くぞ。」

 

ヴァン・ティエンは驚いた。

 

「俺も行くの?」

 

父親は笑った。

 

「お前は毎日家でゴロゴロしてるか、田んぼに出てるだけだろ。」

 

「だから今回は、父さんと一緒にあちこち見て回ってこい。」

 

ヴァン・ティエンは――

 

本当は、あの出来事の後、ずっとどこかへ行きたいと思っていた。

 

しかし、少し考えた後、頷いた。

 

「うん。じゃあ、父さんと一緒に行くよ。」

 

――場面は変わる。

 

クアン・イェンの川。

 

川の中を進む、漆黒の装甲潜水艇。

 

その船内で――

 

赤眼黒龍は、とても悠然と座っていた。

 

その時、一人の兵士が近づいてくる。

 

「閣下、あの男の居場所が判明しました。」

 

そう言うと、兵士はホログラム画面にヴァン・ティエンの現在地を映し出した。

 

赤眼黒龍は画面を見上げる。

 

そして――

 

小さく笑った。

 

「そのまま監視を続けろ……。」

 

兵士は頭を下げる。

 

「はい。」

 

赤眼黒龍は指を上げる。

 

その手には、赤い炎を纏った黒いナイフが握られていた。

 

彼は画面に映るヴァン・ティエンを見つめる。

 

その目が、冷たく光った。

 

「俺たちは……」

 

「もうすぐ会うことになるぞ、小さな友よ。」

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