『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
ドォォォン!!!!!!
光が爆発する。
水、風、大地が、一瞬で引き裂かれた。
そして――
すべてが、静まり返った。
残ったのは、
水滴が落ちる音だけ。
煙と土埃が、ゆっくりと晴れていく。
そこには、
完全に荒れ果てた大地が広がっていた。
その中心に――
ひとつの人影が、跪いていた。
「……ゴホッ……」
ヴァン・ティエン。
身体が震えている。
口の端から血が流れている。
それでも――
彼の手は、固く握られていた。
「……ウエン……」
目の前。
バオ・ウエンは、静かに立っていた。
彼女を包んでいた光が、
少しずつ消えていく。
渦巻いていた水も、
ゆっくりと勢いを失っていった。
「……お兄……」
かすかな声。
瞳が、少しずつ元に戻っていく。
「……ティエン……?」
一秒。
二秒。
彼女の身体が、崩れ落ちる。
ヴァン・ティエンは、すぐに彼女を支えた。
「俺はここにいる……」
彼女は、彼の服を弱く握る。
「……私……さっき……」
「大丈夫だ。」
彼が遮る。
掠れた声。
「……俺が、お前を連れ戻した。」
しばらくの沈黙。
風が……
再び吹き始めた。
だが――
「……まだ終わってないぞ。」
歪んだ声が響いた。
ヴァン・ティエンが顔を上げる。
三つの影が――
まだそこに立っていた。
黒殺団。
身体は、ボロボロだった。
それでも――
倒れてはいない。
「……しぶといな……」
ヴァン・ティエンが息を吐く。
そして、
バオ・ウエンをそっと地面に寝かせた。
「……休んでろ。」
彼は立ち上がる。
ゆっくりと。
だが――
その瞳は、先ほどとは違っていた。
三人が、同時に飛びかかる。
今度は――
一切の手加減なし。
速度型が消える。
盾を持つ男が、真正面から突っ込む。
巨体の男が、上空から叩き落とす。
三方向。
三つの必殺の一撃。
ヴァン・ティエンは、避けなかった。
首のペンダントが――
眩く輝く。
蒼い光が、
紅い光と重なっていく。
「……終わりだ。」
彼が、一歩踏み出す。
シュッ!!
速度型が、背後に現れる。
だが――
バキッ!!
ヴァン・ティエンが身体を回転させ、
拳を叩き込む。
相手が触れるよりも――
先に。
速度型の身体が、
黒い煙となって砕け散った。
「……!!」
残る二人が、動きを止める。
ヴァン・ティエンは、
そのまま歩き続ける。
盾の男が突っ込んでくる。
キィン!!
激しい衝突。
だが――
パキッ!!
盾に、亀裂が走る。
光が――
その隙間を突き抜ける。
ドォォン!!
男の身体が吹き飛び、
空中で砕け散った。
残るのは――
巨体の男だけ。
「グオオオオオッ!!」
男が咆哮し、
上空から突っ込んでくる。
ドォォン!!!
拳が地面を叩きつける。
大地が爆発した。
だが――
空振り。
ヴァン・ティエンは、
すでに消えていた。
「……ここだ。」
ドン!!
拳が、巨体の胸を真正面から貫く。
身体の内部から――
光が爆発する。
巨体の男が、目を大きく見開く。
そして――
崩壊した。
静寂。
黒殺団は――
消滅した。
「……終わった……」
ヴァン・ティエンが息を吐く。
身体がふらつく。
それでも――
彼は立っていた。
その後ろで、
バオ・ウエンが彼を見つめている。
瞳には、まだ震えが残っていた。
「……ティエン……」
その瞬間――
鋭い痛みが身体中を駆け抜ける。
「……っ!」
ヴァン・ティエンの身体が崩れ落ちる。
バオ・ウエンは、すぐに駆け寄って彼を支えた。
「お兄ちゃん!」
ヴァン・ティエンは、
彼女の手を握る。
「大丈夫だ……」
「ちょっと疲れただけだ。」
しばらくすると、
彼の状態も少しずつ落ち着いていった。
呼吸も、安定してくる。
そして――
彼はゆっくりと立ち上がる。
それでも、
バオ・ウエンは彼の腕を離さなかった。
ヴァン・ティエンが彼女を見る。
「もう大丈夫だ……」
彼は、
彼女の頭をそっと撫でる。
「……心配するな。」
その言葉を聞いた瞬間――
バオ・ウエンは彼に抱きついた。
涙が、こぼれ落ちる。
「ごめんなさい……」
「私のせいで……
お兄ちゃんが怪我した……」
「全部……私のせい……」
ヴァン・ティエンは、
彼女を抱きしめながら頭を撫でる。
「お前のせいじゃない。」
彼は、バオ・ウエンを見る。
「もしお前がいなかったら――」
「俺は、あの黒殺団の三人に
やられていたかもしれない。」
そして――
「お前が、俺を助けてくれたんだ。」
「……ありがとう。」
その言葉を聞いて、
バオ・ウエンはさらに強く彼を抱きしめた。
ヴァン・ティエンも、
彼女を抱きしめる。
そして――
空を見上げた。
「……これで、本当に終わったのか?」
――その頃。
黒い戦艦の中。
赤眼黒龍は、
先ほどの戦いをすべて見ていた。
彼はゆっくりと腰を下ろす。
そして――
笑った。
「……いい……実にいい。」
「日に日に……二人とも……」
赤い瞳が、ゆっくりと輝きを増していく。
「……日に日に……」
「……お前たちを、この手で……
もっともっと……」
「……粉々に潰したくなってきた。」