『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第6話 闇の中の信号

車はゆっくりと、広大なロンタイン国際空港の敷地内へ入っていった。

車から降りた瞬間、ヴァン・ティエンは思わず圧倒された。

目の前に広がっていたのは、巨大な空間。

高くそびえ立つガラス張りの建物。

広々とした通路。

そして、空港中を行き交う大勢の人々。

ヴァン・ティエンは小さく呟いた。

「……広いな……」

全員が荷物を受け取ると、トゥーおばさんが言った。

「チケットは全部あたしが手配してあるからね!」

「今から顔認証で手続きして、ちょっと待てばすぐ出発よ!」

一行はスーツケースを引きながら空港の中へ入っていく。

まだ朝早いというのに、空港はすでに大勢の人でごった返していた。

本人確認と保安検査を終え、一行は搭乗口へ向かう。

しばらくすると、全員が機内へ乗り込んだ。

ヴァン・ティエンは窓側の席を選んだ。

彼は空を眺めるのが好きだった。

全員が席に着いた頃。

一人の女性客室乗務員が、穏やかな声でアナウンスする。

「お客様、シートベルトをしっかりとお締めください」

「座席の背もたれを元の位置に戻し、テーブルをお閉じください。また、窓のシェードをお開けください」

「電子機器は機内モードに設定するか、完全に電源をお切りください」

飛行機のエンジンが唸り始める。

ゴォォォォ……

機体がゆっくりと動き出す。

そして――

一気に加速する。

数秒後……。

飛行機は地面を離れ、大空へと舞い上がった。

眼下の街は、あっという間に小さくなっていく。

しばらくすると、機体は安定した高度へ入った。

窓の外には、白い雲がゆっくりと流れているだけだった。

ヴァン・ティエンは窓の外を眺めていた。

あまりにも穏やかな景色。

そのせいか、次第にまぶたが重くなっていく。

そして――

いつの間にか、彼は眠りについていた。

時間が流れる。

機内に客室乗務員の声が響いた。

「お客様、当機はこれよりノイバイ国際空港への着陸を開始いたします」

「現在のハノイ現地時刻は午前10時30分。外気温は28度となっております」

母親がヴァン・ティエンの肩を優しく揺する。

「ティエン、起きなさい。起きて!」

「もうすぐハノイよ。ほら、目を開けて。下の街を見てごらんなさい!」

ヴァン・ティエンはゆっくりと目を開ける。

そして、窓の外を見た。

目の前に――

ハノイの街並みが広がっていた。

高層ビルが隙間なく立ち並んでいる。

その中でも特に目を引くのは――

巨大なランドマーク72。

他の高層ビルを遥かに超える高さで、堂々とそびえ立っている。

遠くにはヴィンホームズの都市開発地区。

さらにその先には――

まるで赤褐色の絹の帯のような大河が、街を抱くように曲がりくねっている。

紅河だ。

そして反対側には――

太陽の光を受けて輝く、広大な西湖の水面。

ヴァン・ティエンは小さく息を吐いた。

「……綺麗だな……」

やがて飛行機はノイバイ国際空港へ着陸した。

一行は飛行機を降り、タクシーを呼んでホテルへ向かった。

車はハノイの賑やかな街を走っていく。

道路は車で埋め尽くされている。

クラクションが、あちこちから鳴り響く。

高層ビルも次々と建ち並んでいた。

ヴァン・ティエンは車の窓から外を眺める。

「……すごいな……」

しばらくすると、一行は宿泊するホテルへ到着した。

チェックインを終えると、ヴァン・ティエンはすぐに部屋へ入り、柔らかなベッドへ身体を投げ出した。

「……疲れた……」

そこへ、トゥーおばさんが声をかける。

「ちょっと休んでなさい!」

「あとでみんなで有名なところを観光するんだからね!」

「せっかくここまで来たんだから、元を取るくらい遊ばなきゃ!」

しばらくして。

一行はホテルを出て、タクシーを呼んで観光へ向かった。

最初の目的地は――

ホー・チ・ミン廟。

ハノイの街を走り抜ける。

道路の両側には、市場が並び、地元の人々が食事をしたり買い物をしたりしている。

ヴァン・ティエンは辺りを見回す。

「……すごいな……」

しばらくすると――

目の前に、ホー・チ・ミン廟が見えてきた。

一行が広場へ入る。

目の前に広がっていたのは――

広大で緑豊かなバーディン広場。

240区画の芝生が、巨大な絨毯のように広がり、その先には荘厳な廟がそびえ立っている。

広場の中央。

灰色の石で造られた巨大な廟が、堂々と立っていた。

その頂上には、赤い文字で――

「CHỦ TỊCH HỒ-CHÍ-MINH」

と刻まれている。

深紅のルビー色の石で作られた文字が、厳かな雰囲気を醸し出していた。

廟の周囲を取り囲む四角い石柱。

光と影が複雑に交わり、重厚で頑丈な建築物としての存在感を際立たせている。

広場の中央では――

赤地に黄色い星が描かれた国旗が、風を受けて大きくはためいていた。

廟の入口には、真っ白な制服を着た衛兵たちが、厳かな表情で警備に立っている。

誰も大声で話さない。

その場にいる全員が、静かだった。

一行は廟へ入る前に、携帯電話や電子機器、刃物などを預けなければならなかった。

ヴァン・ティエンはホー・チ・ミン廟の前に立つ。

その瞬間。

彼は、この土地から強い守護のエネルギーを感じた。

「……なんだ、この力……?」

そして、一行は廟の内部へ入っていく。

滑らかに磨かれた大理石の廊下と階段を進む。

内部は驚くほど静かだった。

聞こえるのは――

自分たちの足音だけ。

部屋の中央。

ガラスケースの中に、ホー・チ・ミンの遺体が安置されていた。

赤いビロードの毛布がかけられている。

その顔は穏やかで、白い髭をたくわえている。

まるで、ただ眠っているかのようだった。

とても優しく、そして身近に感じられる姿だった。

ガラスケースの四隅には、四人の衛兵が直立している。

微動だにしない。

ただ静かに――

その眠りを守っている。

ヴァン・ティエンは歩きながら、ホー・チ・ミンの遺体へ静かに頭を下げた。

その瞬間。

彼は、とても奇妙な感覚を覚えた。

まるで――

この土地そのものが、古代から続く何か巨大な力によって守られているような。

「……不思議だ……」

廟を出ると、何人かがその場に残って写真を撮った。

そして、一行もすぐにその場を離れた。

全員が車へ戻る。

トゥーおばさんが尋ねる。

「さて、次はどこへ行く?」

「それとも、先に何か食べる? お腹に入れてから考えましょう!」

ナムおじさんが腹をさする。

「そうそう! 早く食べに行こうぜ!」

「さっきから歩きっぱなしで、腹が減って震えてきたわ!」

バーおばさんが言う。

「そういえば、近くにすごく美味しいブンチャーの店があるって聞いたわよ!」

「すぐそこらしいから、運転手さんに曲がってもらって、みんなでたらふく食べましょう!」

ナムおじさんがすぐに答える。

「じゃあ、すぐ行こう!」

「俺、本当に腹減ってるんだからな!」

それから間もなく――

一行はブンチャーの店へ到着した。

ヴァン・ティエンが店の看板を見上げる。

そこには――

「ブンチャー・トゥエット」

と書かれていた。

店内へ入る。

店はかなり狭く、少し窮屈だった。

ヴァン・ティエンが席に座ると、少し圧迫感を感じる。

だが――

鼻をくすぐる香ばしい焼肉の匂いが、一気に入ってきた。

ぐぅぅ……

ヴァン・ティエンの腹が鳴る。

みんなでブンチャーを一杯ずつ注文した。

ヴァン・ティエンも箸を取り、最初の一口を食べる。

その瞬間。

彼の目が大きく見開かれた。

「……うまい……」

昼になっても、店内は大勢の客で賑わっていた。

一行は食事をしながら、楽しそうに話を続けている。

誰も気づいていなかった。

――その頃。

ヴァン・ティエンたちが泊まっているホテル。

部屋に置かれた一つのバッグの中で――

あの小さなチップが、再び赤い光を放っていた。

チップの金属表面を、一行のデータが流れていく。

「目標信号:安定」

そして――

ごく小さな機械音声が響いた。

「……データ転送を開始」

その頃。

地球の大気圏外。

巨大な黒い戦艦が、静かに宇宙空間に浮かんでいた。

艦内。

指揮室の中央に、ホログラムスクリーンが浮かび上がる。

黒い装甲を身につけた一人の士官が、その前に立っていた。

「報告」

指揮官席から、低く静かな声が響く。

「目標は……確保したか?」

黒い装甲の士官が、虚空に浮かぶ仮想キーボードを強く叩く。

すると――

地図の中心。

ハノイの位置に、真っ赤な点が現れた。

そして、その点が激しく点滅する。

「目標、射程内に入りました」

「閣下」

指揮官席に座っていた男が、ゆっくりと目を細める。

「……実に、興味深いな」

男はゆっくりと立ち上がった。

そして、冷たい声で命令する。

「第二段階の準備を開始しろ」

「兵士よ」

「了解しました、閣下」

男は巨大なスクリーンに映し出された地球を見つめる。

その口元に、冷たい笑みが浮かんだ。

「……もう時間だ」

「実験を――開始する」 :::

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