『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
こちらでは――
赤眼黒龍も、水が徐々に引いているのを感じ取っていた。
奴は宝瑛を見る。
「……あの女か?」
興道大王は、厳しい眼差しのまま、
静かにその光景を見ている。
赤眼黒龍。
「フン……厄介な女だ。」
そう言うと、
奴は力を集め、一つの球体を作り出した。
「なら……」
「先にお前を殺してやる。」
それを見たヴァン・ティエンが、
すぐに飛び込んだ。
バシッ!!
彼はエネルギーを作り出している奴の腕を掴む。
「お前に……」
「彼女を傷つけさせはしない。」
そう言って蹴りを放つ。
だが――
赤眼黒龍がそれを防いだ。
その一方で――
宝瑛はなおも水の流れを制御していた。
だが……
その時。
彼女は何かがおかしいことに気づいた。
自分の力が……
少しずつ制御できなくなっている。
「あ……」
力が……
徐々に暴走し始める。
ヴァン・ティエンも、
宝瑛の力が制御を失い始めていることを感じ取った。
その隙を――
赤眼黒龍は見逃さない。
ドゴッ!!
蹴りがヴァン・ティエンを捉える。
彼の身体が吹き飛び、
小さな船へ叩きつけられた。
そして奴は、
その隙にエネルギーの球体を宝瑛へ投げつける。
ブンッ――
球体は光の速さで、
宝瑛へ向かって飛んでいく。
宝瑛は恐怖を感じた。
それでも――
水の流れを止めない。
ヴァン・ティエンを……
死なせないために。
ヴァン・ティエンはそれを見て、
すぐに駆け出そうとする。
だが――
間に合わない。
「宝瑛……!!」
球体が――
宝瑛に触れた。
その瞬間。
首にかかったペンダントが、
強烈な光を放つ。
ドォン!!
大爆発。
赤眼黒龍は煙の中を見つめ、
愉快そうに笑った。
「これで一人……」
「邪魔者を消せたな。」
ヴァン・ティエンは、
宝瑛がいた場所を見つめる。
その瞳から……
一滴の涙が落ちた。
「宝……」
「……瑛。」
だが――
その時。
煙の中から、
強烈な光が放たれた。
その中心で――
宝瑛の首にかかったペンダントが、
宙に浮かび、激しく揺れている。
「……宝瑛?」
「……何だと?」
宝瑛の瞳が、
桃色の光を放つ。
彼女は両手を合わせた。
そして――
強大な力が、
彼女の身体から一気に広がっていく。
その瞬間。
川面が激しく震えた。
水が……
少しずつ。
少しずつ……
引き始める。
宝瑛の身体も、
力を使い果たしたように崩れ落ちた。
同時に――
ペンダントの光も消える。
赤眼黒龍が、
何が起きたのか理解できずにいると――
「トン……」
一つの音。
とても……
小さい。
「……トン……」
二度目。
赤眼黒龍が眉をひそめる。
「……この音は……」
その背後。
陳興道は、
静かに目を閉じた。
そして――
目を開く。
「……十分だ。」
一秒。
二秒。
そして――
その瞬間。
「トォンッ!!」
太鼓の音。
もう遠くない。
もう小さくない。
空間そのものの中で……
爆発した。
ドォォォォン!!!!!!!!
水面が――
弾け飛ぶ。
川底から――
数百本もの木の杭が、
黄金の光を放ちながら一斉に突き上がった。
バキッ!!
バキッ!!
バキッ!!
船体を貫く。
水が……
船内へ流れ込んでいく。
「……!!」
ドォン!!
二隻目の船が、
真っ二つに折れた。
「……あり得ない!!」
赤眼黒龍が目を見開く。
「……杭……だと!?」
もはや川面は、
ただの水ではなかった。
巨大な……
一本の杭の森だった。
突っ込んできた船は、
止まることができない。
パァン!!
パァン!!
パァン!!
次々と――
貫かれていく。
それを見た赤眼黒龍が、
大声で叫ぶ。
「……撤退!!」
艦隊全体が一斉に方向を変える。
だが――
遅すぎた。
水面の下。
イェット・キエウは敵船の船尾へ潜り込んでいた。
そこには、
船の進行方向を制御する機構が集中している。
イェット・キエウは、
手にした鉄の槌を振り下ろす。
ガキン!!
舵の軸が折れた。
船は……
動けなくなる。
外側にいた船が、
後退して他の船の逃げ道を作ろうとする。
だが――
水の中でイェット・キエウは、
まさにこの瞬間を待っていた。
さらに船尾へ――
大きな穴をいくつも開ける。
そこから大量の水が流れ込む。
船尾が重くなる。
船首が……
高く持ち上がる。
完全に……
バランスを失う。
そして船は、
水流に横へ押し流される。
船腹が――
杭の森へ向けられる。
方向転換したくても……
もう、できない。
その一方で――
ヴァン・ティエンは宝瑛のもとへ走った。
そして彼女を抱き起こす。
「宝瑛……!!」
宝瑛の目が、
ゆっくりと開く。
彼女は彼を見る。
「……ティエン兄さん……」
ヴァン・ティエンは、
彼女が目を覚ましたことを見て、
心から安堵した。
そして彼女を支える。
「もう大丈夫だ。」
「……私、どうしたの?」
「大丈夫。」
「お前が……」
「俺たちを救ったんだ。」
宝瑛はそれを聞いて、
小さく笑った。
「……じゃあ……」
「私、兄さんを助けられたんだね。」
「……ああ。」
その時。
二人は――
赤眼黒龍の方を見る。
奴は沈み始めた船を見て、
怒りに震えていた。
「……忌々しい。」
「なら……」
「全員、上陸しろ!!」
「奴らは……」
「たった四人だ。」
「数で押し潰すぞ!!」
全兵士がそれを聞き、
一斉に船から船へ飛び移り、
岸へと上がっていく。
それを見たヴァン・ティエンは、
宝瑛を連れて高い場所へ走る。
「宝瑛。」
「ここでじっとしていろ。」
「絶対に……どこへも行くな。」
「でも……兄さんは?」
彼女は彼の手を掴む。
「俺は大丈夫だ。」
「いい子だから……」
「ここで待っていろ。」
そう言って――
ヴァン・ティエンは走り出した。
下へ。
こちらへ迫ってくる敵軍の方へ。
彼は小さく呟く。
「……8%。」
その瞬間――
身体から青い光が一気に噴き出した。
シュッ!!
バフッ!!
ヴァン・ティエンが突っ込む。
三人へ連続して拳を叩き込む。
三人の兵士が、
まとめて吹き飛んだ。
さらに五人。
槍を手に突っ込んでくる。
ヴァン・ティエンは身体を傾け――
回転蹴り。
バフッ!!
バフッ!!
バフッ!!
五人を蹴り飛ばす。
さらに十人。
一斉に槍を突き出してくる。
ヴァン・ティエンはその一本を掴んだ。
力を込める。
一人の敵兵を持ち上げ――
そのまま投げ飛ばす。
ドォン!!
そして――
奪った槍を手に取る。
さらに二十人が迫ってくる。
ヴァン・ティエンは、
彼らを見つめる。
槍を強く握る。
そして――
シュッ!!
突っ込む。
十人が一斉に棒を振り下ろす。
だが――
ヴァン・ティエンは受け止めた。
ガキッ!!
十本の槍を弾き上げる。
そして――
槍を横薙ぎに振るう。
バフッ!!
十人がまとめて吹き飛んだ。
さらに十人が迫ってくる。
四方八方から、
ヴァン・ティエンを包囲して攻撃する。
彼は棒を地面へ突き立て、
それを強く握る。
そして――
跳び上がる。
連続して蹴りを放つ。
バフッ!!
バフッ!!
バフッ!!
十人が吹き飛んだ。