『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
ヴァン・ティエンたち一行がブンチャーを食べ終えると、全員で店の外へ出た。
空は、すでに夕方へ近づいていた。
黄金色の陽光が、首都ハノイの街を照らしている。
トゥーおばさんが手を払う。
「ここはもう終わりね!」
「さて、次はどこへ行く?」
バーおばさんがすぐに答えた。
「ホアンキエム湖に行かない?」
「聞いた話じゃ、あそこの景色、めちゃくちゃ綺麗らしいよ!」
ナムおじさんも頷く。
「うん、俺も一度行ってみたいな」
みんなで話し合った結果、一行はホアンキエム湖へ向かうことになった。
湖へ到着すると――
湖から吹いてくる風が、とても涼しかった。
街の蒸し暑さを、一気に吹き飛ばしてくれる。
ヴァン・ティエンは、湖の澄んだ水の匂いと、トランティエンの香ばしいコムアイスの甘い香りを感じ取った。
夕方だというのに、ここはとても活気に満ちている。
週末ということもあり、両側の店は人でいっぱいだった。
歩いている人も、とても多い。
ヴァン・ティエンは周囲を見回した。
年配の男性たちは、のんびりと中国将棋を指している。
別の中年の男女は、ゆっくりと健康体操をしながら歩いている。
若者たちの中には、ペットを連れて散歩している人もいる。
そして――
手を繋ぎながら、仲良く歩いているカップルもいた。
その姿は、とても微笑ましかった。
ヴァン・ティエンの耳に、ドンドンと響く音楽が聞こえてくる。
音のする方向を見る。
そこでは、若者たちのグループがストリートダンスを踊っていた。
別の場所では、縄跳びをしている人や、ダーカウを楽しんでいる人もいる。
子供たちの楽しそうな声も聞こえてきた。
見ると、何人かの子供たちが「オー・アン・クアン」という伝統的な遊びをしている。
「一つ、二つ、三つ……ここで止めて、ここは空のマスね! じゃあ、このマスを取っちゃうよ!」
「ちゃんと均等に撒いてよ! 一つのマスに二個ずつ撒くなんてズルはダメだからね! ちゃんと遊ぼうよ!」
「見て! もう駒がほとんどなくなってるよ!」
「ちゃんと計算しておかないと、今に破産するからね!」
若者たちだけではない。
外国から来た観光客も、湖の周りを歩いている。
写真を撮っている人。
ベンチに座って休んでいる人。
ヴァン・ティエンは湖の手すりへ近づいた。
遠くを見る。
湖の中央には――
亀塔が、ホアンキエム湖の中に堂々と立っていた。
夕日が湖面を照らし、水面全体が鏡のようにキラキラと輝いている。
その時。
ヴァン・ティエンの首にかかっている十字架のペンダントが、かすかに震えた。
ヴァン・ティエンが首元を見る。
「……?」
だが、何も起こらなかった。
その時、トゥーおばさんが声を上げた。
「じゃあ、ここからはみんなバラバラに行きましょう!」
「見たいものを見て、食べたいものを食べていいからね!」
「夜8時ちょうどに、ここへ集合!」
「それからみんなで帰りましょう!」
バーおばさんが答える。
「賛成!」
その後、一行は何組かの小さなグループに分かれて、それぞれ別の場所へ向かっていった。
ヴァン・ティエンも、その場を離れる。
――同じ頃。
地球の外。
宇宙空間に浮かぶ巨大な戦艦。
その艦内では――
統帥が巨大なガラス窓越しに、地球を見つめていた。
一人の士官が近づいてくる。
「閣下、実験装置の準備が完了しました」
統帥は小さく笑った。
「よし」
そして、片手を上げる。
その時。
巨大なハンマーを右腕に装着した黒い装甲の男が、統帥のもとへ歩いてきた。
男の声は歪んでいた。
「断鉄、参上いたしました。閣下」
統帥は、実験装置を彼へ手渡す。
「下へ降りて偵察しろ」
「その後、この武器を実際に試してみろ」
「どれほどの力を持っているのか……この私が見てみたい」
断鉄は頭を下げた。
「命令、承りました」
艦内の格納庫が開く。
断鉄と、四人の部下たちがそこから飛び出した。
そのまま一気に加速し――
地球へ向かって降下する。
そして――
大気圏を真っ直ぐに突き抜けていった。
一方、地球。
ヴァン・ティエンは突然、何かを感じ取った。
彼は空を見上げる。
目を細める。
「……何か……来てる?」
何かがこちらへ近づいている。
そんな感覚だった。
だが――
「ティエン兄ちゃん!」
後ろから声が聞こえた。
ヴァン・ティエンが驚いて振り返る。
そこにいたのは、バーおばさんの甥っ子、ミンだった。
ミンが指を差す。
「兄ちゃん、あの橋、すっごく綺麗!」
「一緒に上まで行こうよ! ね?」
ヴァン・ティエンは笑った。
「分かった分かった」
「じゃあ、兄弟二人で行こうか!」
だが――
ヴァン・ティエンの中には、まだ何か不安なものが残っていた。
二人は橋へ向かう。
橋の周囲には、多くの人々が行き交っている。
橋は深い赤色に塗られていて、ホアンキエム湖の青い水面を背景に、とても鮮やかに映えていた。
そして――
夜になると、橋には明かりが灯る。
橋の両側に設置された照明が、鮮やかに輝いている。
その光景は、とても幻想的だった。