『天雲星系・銀河の記憶』   作:DanhDu_Chronicle

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第62話 殺韃:不屈の意志

赤眼黒龍が鎖を横薙ぎに振り抜く。

 

致命的な一撃。

 

陳國寶将軍はその場に立ち止まり、迷いなく大刀を地面へ強く突き刺し、足場にした。

 

鎖が嵐のような勢いで迫る。

 

鋼の刀身を激しく掠め――

 

二つの武器が空中で激しくぶつかり合う。

 

「ギギギギ……!!」

 

激しい摩擦によって、火花が四方八方へ飛び散る。

 

耳をつんざくような音が響き渡った。

 

陳國寶は刀の柄を強く握り締める。

 

その勢いを利用して身体を回転させ――

 

下から斬り上げる。

 

凄まじい力が鎖を空へ弾き飛ばした。

 

その隙を逃さず――

 

陳國寶は赤眼黒龍へ向かって一気に飛び出した。

 

まるで夜の闇を切り裂く一本の矢のように。

 

その姿を見た赤眼黒龍は、険しく目を細めた。

 

そして――

 

鎖を握る腕を素早く回転させる。

 

空中に浮かんでいた鎖が、突然、円を描くように回り始めた。

 

奴の手首から伝わる力によって、鎖が空中で高速回転する。

 

次の瞬間――

 

鎖の先端が軌道を逆方向へ折り返した。

 

まるで銃弾のような速度で――

 

陳國寶の背後へ真っ直ぐ飛んでいく。

 

だが――

 

軍人として生まれ持った鋭い反応。

 

陳國寶は迫り来る危険を即座に察知した。

 

突然、走っていた足を止める。

 

身体を傾け、脚を捻って横へかわす。

 

「シュッ!!」

 

鎖が身体のすぐ横を掠め――

 

肩当ての装甲に鋭い傷を刻んだ。

 

避けた――

 

そう思った瞬間。

 

鎖の先端が、突然、方向を変えた。

 

再び――

 

真っ直ぐ彼の顔へ飛んでくる。

 

陳國寶は一瞬だけ驚いた。

 

だが、紙一重の瞬間。

 

彼は両手へ力を集中させ、刀の柄を強く握り締める。

 

そして――

 

上から叩き割るように、大刀を振り下ろした。

 

「ズドォン!!」

 

千斤もの重さを持つ大刀の刃が、凄まじい勢いで叩き落とされる。

 

鎖の先端が――

 

岩の地面へ深々と叩き込まれた。

 

赤眼黒龍は鎖を掴み、力任せに引き抜こうとする。

 

だが――

 

刀身があまりにも重い。

 

さらに、陳國寶の全身の力が刀へ集中している。

 

鎖は――

 

ほんの僅かたりとも動かなかった。

 

陳國寶は赤眼黒龍を見据え、堂々と言い放った。

 

「これで、お前の凶器は封じた。」

 

「大人しく降参しろ」

 

その言葉を前にしても――

 

赤眼黒龍の目には、一切の動揺がなかった。

 

奴は傲然と立つ若き将軍を睨みつけ、歯の隙間から唸るように言った。

 

「降参だと……?」

 

「笑わせるな」

 

「その程度で、この俺を倒せると思うな」

 

言い終わった、その瞬間。

 

奴の胸――

 

鍵剣を差し込む溝から、紫黒色の気が凄まじい勢いで噴き出した。

 

今回は――

 

これまでとは比べものにならないほど強く。

 

そして濃い。

 

奴の眼球も徐々に――

 

血のような真っ赤な色へと染まっていく。

 

鍵穴の溝から溢れ出したエネルギーが、全身へ広がっていく。

 

腕を伝い――

 

そして鎖へと流れ込む。

 

赤く染まっていた鎖の一つ一つの輪が――

 

死を思わせる紫黒色へと変わっていく。

 

危険を感じ取った、その瞬間。

 

エネルギーが鎖の先端へ伝わる。

 

「ドォン!!」

 

凄まじい気が爆発した。

 

陳國寶はすぐさま後方へ跳び退く。

 

今や――

 

鎖全体が赤から紫黒色へと変わっていた。

 

赤眼黒龍が咆哮する。

 

そして腕を強く引き――

 

鎖を一気に引き戻した。

 

そのまま――

 

狂ったように鎖を空中で回転させる。

 

紫黒色のエネルギーが、ますます強くなっていく。

 

その力は凄まじく――

 

やがて巨大な旋風を巻き起こした。

 

砂埃が視界を覆う。

 

「ゴォォォォ……!!」

 

風が轟々と唸り声を上げる。

 

陳國寶将軍は、空中で高速回転する鎖を見上げ――

 

思わず息を呑んだ。

 

赤眼黒龍は陳國寶へ鋭く視線を突き刺す。

 

一言も発しない。

 

そして――

 

腕を振り抜いた。

 

「ブンッ!!」

 

鎖が恐ろしい速度で、真っ直ぐ陳國寶へ飛んでいく。

 

鎖が通り過ぎる場所は――

 

空間そのものが引き裂かれたように、ぐちゃぐちゃに歪んでいく。

 

鎖の先端には、濃密な紫黒色のエネルギーが凝縮されていた。

 

そして――

 

その先端が陳國寶の目の前へ迫った瞬間。

 

彼はようやく我に返った。

 

すぐに内力を込め――

 

大刀を振り上げ、迎え撃つ。

 

「ドォォォン!!!!」

 

二つの強大な力が正面から激突した。

 

凶悪な衝撃力が跳ね返り――

 

陳國寶の身体が後方へ長く押し滑らされる。

 

その瞬間――

 

彼は目を大きく見開いた。

 

踵を地面へ強く踏み込む。

 

重心を必死に支える。

 

歯を食いしばり、両腕へ力を込める。

 

両腕の血管が、浮き上がるほど激しく隆起した。

 

「アアアアアッ!!!!」

 

彼は戦場全体を震わせるような咆哮を上げた。

 

そして――

 

大刀を一気に振り下ろす。

 

強烈な一撃が鎖を弾き飛ばし、遠くへ吹き飛ばした。

 

それを見た赤眼黒龍の目に、一瞬だけ驚愕が浮かぶ。

 

だが――

 

奴はすぐに構え直した。

 

鎖が奴のもとへ戻り――

 

再び空中で旋回する。

 

赤眼黒龍は血のように赤い目を陳國寶へ突き刺した。

 

「今度は――」

 

「受け止められるか、見せてもらおう」

 

言い終わると同時に――

 

奴は再び鎖を振り抜いた。

 

鎖が真っ直ぐ陳國寶へ飛んでくる。

 

だが――

 

今度、彼は守りを選ばなかった。

 

身体を沈め――

 

高く跳び上がる。

 

鎖をかわした。

 

しかし――

 

その鎖には、まるで意思があるかのようだった。

 

空中で突然、先端の向きを変える。

 

「シュンッ!!」

 

空中に浮かぶ若き将軍へ向かって、一気に飛んでくる。

 

陳國寶はすぐに刀の柄を使って受け止めた。

 

だが――

 

鎖から伝わる圧力があまりにも強い。

 

「ドン!!」

 

彼の身体が遠くへ弾き飛ばされ、そのまま地面へ落ちる。

 

だが――

 

地面へ触れた瞬間。

 

陳國寶はすぐに身体を跳ね起こし、立ち上がった。

 

しかし――

 

脚が地面へしっかり着いた、その瞬間。

 

すでに鎖の先端が、目の前まで迫っていた。

 

まさに――

 

紙一重。

 

陳國寶は素早く身体を低く伏せた。

 

鎖の先端が突然、方向を変える。

 

彼はすぐさま刀身で受け止めた。

 

「ガキン!!」

 

だが――

 

またしても後方へ弾き飛ばされる。

 

その瞬間。

 

陳國寶は大刀の刃を地面へ突き刺した。

 

そのまま刀を支点にして身体を数回転させ――

 

空中で身体を回しながら勢いを逃がす。

 

そして――

 

地面へ着地した。

 

陳國寶はしっかりと立ち上がる。

 

視線の先には――

 

今も空中で鎖を回し続ける赤眼黒龍。

 

彼は心の中で呟いた。

 

「どうやら……」

 

「少し、本気を出す必要があるな」

 

陳國寶は大刀を地面へ深く突き刺した。

 

その目は――

 

赤眼黒龍から一瞬たりとも離れない。

 

そして――

 

全身の伝承された内力を、一気に解放する。

 

胸が激しく震える。

 

陳家の王族の血が――

 

沸騰し始めた。

 

長い年月。

 

幾度もの苦難。

 

幾度もの戦場。

 

そのすべてを越えて積み重ねられてきた――

 

東亜の豪気。

 

今――

 

それが完全に爆発した。

 

「ゴゴゴゴゴ……!!」

 

目に見えない凄まじい力が、彼の身体から渦を巻いて外へ溢れ出していく。

 

そして――

 

彼の身体の周囲に、金色の気が立ち昇った。

 

その姿を包み込むように――

 

黄金の気が燃え上がる。

 

陳國寶の目も、眩しいほどに輝いていた。

 

天を突くほどの気迫。

 

それを見た赤眼黒龍。

 

鎖を握る手が――

 

僅かに震えた。

 

だが――

 

奴はまだ、自分が彼を倒せると信じていた。

 

「フン……」

 

「そんなもので俺を脅かせると思うな」

 

言い終わった瞬間――

 

奴は鎖を強く振り抜いた。

 

鎖の先端が陳國寶へ飛んでいく。

 

だが今回――

 

鎖の先端は、真っ直ぐ前を向いていなかった。

 

高速で回転している。

 

「ブンッ!!」

 

鎖が通過するたび――

 

その周囲の空間が歪み、押し潰されていく。

 

迫り来る狂気の鎖。

 

その前で――

 

陳國寶は大刀の柄を握った。

 

そして彼の両腕には――

 

二文字。

 

「殺韃」

 

深く刻み込まれた文字が、はっきりと浮かび上がっていた。

 

刀の柄を強く握り締める。

 

若き将軍の目には――

 

一切の揺らぎがない。

 

彼は大刀を高く掲げた。

 

全身の力を腕へ集中させる。

 

その瞬間――

 

彼の身体に刻まれた蛟龍の刺青が、まるで生きているかのように蠢き始めた。

 

「ゴゴゴゴゴ……!!」

 

爆発する剛力。

 

そこには――

 

低く響く龍の唸り声が混じっていた。

 

「グォォォ……!!」

 

手にした大刀が激しく震える。

 

そして――

 

鎖の先端が、彼の目の前まで迫った、その瞬間。

 

陳國寶将軍は大刀を振り上げた。

 

視線は――

 

狂ったように迫り来る鎖へ。

 

そして――

 

咆哮する。

 

「蛟龍勁月――!!」

 

大刀が真っ直ぐ振り下ろされた。

 

刀身から凄まじい剛力が、荒れ狂う海の波のように次々と放たれる。

 

「ズドォォォン!!!!」

 

迫り来る鎖の先端を――

 

真正面から食い止めた。

 

二つの強大な力が激突する。

 

その凄まじい圧力によって――

 

空気そのものが押し潰される。

 

「ゴゴゴゴ……!!」

 

足元の大地にも、次々と亀裂が走っていく。

 

陳國寶は叫ぶ。

 

「アアアアアッ!!!!」

 

身体の中に眠る剛力が――

 

さらに強く噴き出していく。

 

腕へ全力を込める。

 

そして――

 

大刀を強く押し込んだ。

 

「グググ……!!」

 

鎖が徐々に押し返される。

 

そして――

 

弾き飛ばされた。

 

だが――

 

赤眼黒龍が鎖を引き戻すより早く。

 

陳國寶は大刀を強く握り締め――

 

高く跳び上がった。

 

全身の力を込める。

 

そして――

 

斧のように、大刀を真っ直ぐ振り下ろした。

 

「キィィィン!!!!」

 

紫黒色の鎖が――

 

粉々に砕け散った。

 

無数の小さな破片が、空中へ飛び散る。

 

赤眼黒龍の目が大きく見開かれた。

 

「な……に……?」

 

だが――

 

奴が我に返る時間すらなかった。

 

陳國寶は地面を強く蹴り――

 

真っ直ぐ前へ飛び出した。

 

次の瞬間。

 

彼は赤眼黒龍の目の前に現れていた。

 

そして――

 

全身の体重と筋力を、刀身の一点へ集中させる。

 

武術陣の構え――

 

「大地へ釘を打ち込む」。

 

両腿。

 

背中。

 

そして上腕。

 

全身の筋肉が、圧縮されたバネのように強く捻り込まれる。

 

その力が――

 

大刀の峰へ一直線に伝わっていく。

 

だが――

 

赤眼黒龍は一歩早かった。

 

残った鎖の半分を使い――

 

頑丈な盾を作り上げる。

 

奴は――

 

これで防げると思った。

 

だが――

 

陳國寶に迷いはない。

 

その眼差しは、なおも鋭く冷たい。

 

そして――

 

大刀を振り下ろした。

 

派手な光などない。

 

ただ――

 

「シュッ!!」

 

耳を切り裂くような鋭い音だけが響いた。

 

千斤もの重さを持つ一撃が――

 

紫黒色の鎖の盾へ叩き込まれる。

 

「ドォン!!」

 

大刀と盾が激突した瞬間。

 

凄まじい力が正面からぶつかり合う。

 

鎖の盾が――

 

大きくへこんだ。

 

それでも赤眼黒龍は信じていた。

 

こいつに――

 

この盾を破ることなどできない。

 

だが――

 

「パキッ」

 

小さな音が響いた。

 

鎖の盾に――

 

亀裂が走った。

 

徐々に。

 

そして――

 

大きく。

 

赤眼黒龍の目が、信じられないものを見るように見開かれる。

 

陳國寶は腕へ全力を込めた。

 

「アアアッ!!」

 

大刀から伝わる凄まじい圧力。

 

その前に――

 

鎖の盾は完全に亀裂だらけになり――

 

そして――

 

「ガシャァン!!!!」

 

完全に砕け散った。

 

「あり……えない……」

 

大刀の刃が、そのまま奴の身体へ振り下ろされる。

 

だが――

 

刃は奴の腕を掠めるようにして滑った。

 

それでも――

 

その一撃に込められた恐ろしい力は消えない。

 

赤眼黒龍の身体が――

 

そのまま後方へ吹き飛ばされた。

 

大刀の一撃が僅かに外れたため――

 

奴は命を拾った。

 

赤眼黒龍は陳國寶を睨みつける。

 

歯を食いしばり――

 

怒りに震えながら吐き捨てた。

 

「忌々しい……!!」

 

陳國寶は大刀を高く持ち上げ――

 

そして地面へ突き刺した。

 

その将軍の目は――

 

なおも眩しいほどの気迫を宿している。

 

煙と砂埃が舞い上がる戦場の中。

 

陳國寶は――

 

ただ堂々と立っていた。

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