『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
興道大王が放った天地を滅ぼすほどの威力を目の当たりにして――
ヴァン・ティエンは完全に立ち尽くし、何を言えばいいのかさえ分からなくなっていた。
その時――
バシッ!!
突然、背中を強く叩かれる。
ヴァン・ティエンを現実へ引き戻したのは――
陳國寶だった。
まだ呆然としている後輩の姿を見て、若き将軍は口元をわずかに吊り上げ、急かすように声をかける。
「どうした?」
「さっきの俺の叔父上の一撃に驚きすぎて、立ったまま固まっちまったのか?」
ヴァン・ティエンは答えない。
ただ――
小さく頷き、認めた。
陳國寶は高く顔を上げる。
その視線の先――
高い崖の上には。
白藤江の天地の中で、偉大なる興道大王――陳國俊の姿が、堂々とそびえ立っていた。
その光景を見つめる陳國寶の瞳には――
揺るぎない決意が宿っていた。
「あの方が……俺たちのために道を切り開いてくださった……」
「なら――」
「今度は俺たち自身の手で、この死闘に決着をつける番だ!!」
その力強い言葉を聞き――
ヴァン・ティエンも、迷いなく頷いた。
その一方――
先ほどの一撃を目の当たりにした赤眼黒龍は、完全に肝を冷やしていた。
奴は興道大王へ視線を向け――
思わず心の中で呟く。
「あいつは……一体……何者なんだ……」
「神か……それとも……一体、何者だ……」
バキッ!!
突然――
胸が激しく締めつけられた。
「ぐ……ああああああッ!!」
赤眼黒龍は苦痛に顔を歪め、胸を強く押さえながら悲鳴を上げる。
先ほどの一撃が――
黒い星の鍵を、直接真っ二つに叩き折ったのだ。
その影響で――
身体の中に蓄積されていた、すべての暗黒の凶力が狂ったように逆流する。
そして――
五臓六腑へ、激しい反噬となって襲いかかっていた。
「くそ……」
「まさか……さっきの一撃が、ここまで強いとは……」
途切れ途切れになる呼吸を必死に整えながら――
赤眼黒龍は絶望の中で考える。
「もう……これ以上は長引かせられない……」
「全力を出して……終わらせるしかない……」
その頃――
こちらの戦線。
若き将軍、陳國寶はヴァン・ティエンへ振り返り、堂々と声を上げた。
「もう完全に目を覚ましたんだな……」
「なら――こいつは……」
そう言いながら――
陳國寶は大刀の切っ先を、雄々しく赤眼黒龍へ向けた。
そして――
確信に満ちた声で言い放つ。
「……お前自身の手で、決着をつけろ!!」
「俺は、お前なら必ずやれると信じている!!」
ヴァン・ティエンは――
目の前の大敵をじっと見つめた。
そして――
傷だらけになった自分の身体へ視線を落とす。
胸の奥で――
英雄の気概が。
そして――
不屈の大越の血が。
激しく燃え上がった。
ギリッ!!
拳を強く握りしめる。
その指の節が白くなるほど。
燃え上がる決意の眼差し。
そして――
鋭く答えた。
「俺が……必ず奴を倒します!!」
陳國寶はヴァン・ティエンを見つめ――
豪快で誇らしげな笑みを浮かべた。
「よく言った……」
「俺がすべてを託した、新たな時代の末裔に相応しい!!」
「なら――」
「早く行け!!」
ヴァン・ティエンは迷いなく頷いた。
無駄な動きは一切ない。
ドンッ!!
強く地面を踏み込む。
青い勁力を利用し――
その身体は一筋の光となって、空中へ飛び上がった。
一直線に――
敵のもとへ向かっていく。
その頃――
赤眼黒龍も、ようやく呼吸を取り戻していた。
だが――
顔を上げた瞬間。
目の前には――
矢のような速度で自分へ迫ってくるヴァン・ティエンの姿。
赤眼黒龍はすぐさま手を上げ――
紫黒色の気を爆発させ、迎撃しようとする。
しかし――
その瞬間。
ドクンッ!!
胸に激痛が走った。
先ほど折れた鍵が――
身体の中で激しく反噬している。
「ぐ……ッ!!」
奴は片手で胸を強く掴む。
痛みは止まらない。
それでも――
その頑固な性格は、戦うことを諦めることを許さなかった。
ギリッ!!
残された、ほとんど枯れ果てた力を――
すべて絞り出す。
「アアアアアッ!!」
直後――
手から紫黒色の気が放たれた。
以前ほど強くない。
以前ほどの威力もない。
だが――
それでもヴァン・ティエンの身体を引き裂き、その進撃を止めるには十分だった。
その一方――
ヴァン・ティエンは、死神のような黒紫色の気がこちらへ押し寄せてくるのを見ていた。
だが――
今の彼は、空中に浮かんでいる。
足場はない。
身体を支える場所もない。
このままでは――
避けることができない。
その瞬間。
ヴァン・ティエンは歯を食いしばった。
ならば――
賭けるしかない。
紫黒色の気へ真正面から突っ込み――
生死を懸けた一撃で相殺する。
そう決めた、その時――
地上。
若き将軍、陳國寶が――
青龍刀を一気に持ち上げた。
その瞳には――
まばゆい正気が宿っている。
迫り来る弱々しい死気を見ながら、陳國寶は心の中で判断する。
「さっきの死気の嵐なら――」
「この疲弊しきった俺の身体では、絶対に耐えられない」
「だが……」
「この程度の残りカスの力なら――」
「俺を止められると思うな!!」
思考が終わった瞬間――
ドンッ!!
陳國寶は強く地面を踏み込む。
両足を大地へ根付かせ――
大刀を高く掲げた。
そして――
刀身を逆方向へ翻し、見事な動きで回転させる。
手首の力を意図的に緩め――
武器を円を描くように振るう。
その軌道は――
狂った波のように。
連続する渦のように。
大きくうねりながら流れていく。
ブンッ!!
ブンッ!!
その刀の軌道が――
周囲に濃密な、目に見えない風圧を生み出した。
まるで――
川の上に巨大な水の渦が生まれ、あらゆるものを飲み込んでいくかのようだった。
千斤もの重さを持つ大刀から――
凄まじい遠心力が爆発する。
周囲の濃い霧。
足元に溜まった水。
泥。
すべてが狂ったように吸い寄せられ――
大刀の軌道に沿って渦巻いていく。
そして――
十分な回転と勁力が蓄積された、その瞬間。
陳國寶は突然、刀の柄を強く握りしめた。
戦袍の下で、腕の筋が激しく浮き上がる。
そして――
戦場を引き裂くほどの声で叫んだ。
「新たな時代の末裔――」
「早く伏せろ!!」
言葉が終わると同時に――
大刀の回転が生み出した凄まじい慣性力に乗せ。
陳國寶は――
突然、刀の軌道を大きく折り曲げた。
刃先を――
一気に天へ向ける。
「白藤江・巻き波――!!」
ズオォォォン!!!
大刀が――
極限の威力を伴って振り下ろされた。
水の渦のようにしなやかな横薙ぎの一閃。
そこから――
王者の黄金色の勁力が爆発する。
その一撃は――
狂ったように前方へ突き進み。
暗黒の夜を――
真っ二つに切り裂いていった。
ヴァン・ティエンは稲妻のような速さで、わずかに頭を傾ける。
黄金色に輝く鋭い勁力が――
彼の顔を掠めた。
ヒュオォォォン!!
風を引き裂く音を響かせながら――
そのまま真正面から、赤眼黒龍の紫黒色の死気へ突き進む。
ドォン!!!
二つの衝撃が、空中で激突した。
だが――
赤眼黒龍の紫色の気は、すでに以前ほど強くない。
そのため――
陳國寶の技によって。
真っ二つに――
綺麗に切り裂かれた。
そして――
二つに分かれた紫黒色の気は、そのまま吹き飛ばされ――
虚空へ消えていく。
それでも――
大刀の威力は、一切衰えなかった。
そのまま赤眼黒龍へ向かって突き進む。
幸い――
赤眼黒龍は身体を横へ傾け、間一髪で避けた。
黄金色の勁力が――
奴の腕を掠める。
あと一瞬遅ければ――
命はなかった。
こうして――
戦場の中に一本の道が切り開かれた。
ヴァン・ティエンはその瞬間を逃さない。
一直線に――
その道へ飛び込んだ。
赤眼黒龍がようやく体勢を立て直した、その時。
すでに――
ヴァン・ティエンは目の前まで迫っていた。
ギリッ!!
全身の力を拳へ集中させ――
赤眼黒龍の顔面へ向けて、凄まじい一撃を叩き込む。
だが――
赤眼黒龍の生存本能が働いた。
とっさに腕を上げ――
拳を受け止める。
ガキン!!
しかし――
ヴァン・ティエンが反応するより早く。
奴は――
凶悪な蹴りを、ヴァン・ティエンの腹部へ叩き込んだ。
バゴッ!!
凄まじい蹴りの威力。
ヴァン・ティエンの身体が――
数十メートルも吹き飛ばされる。
だが――
新たな時代の末裔が持つ不屈の意志によって。
ヴァン・ティエンは空中で一回転すると――
そのまま素早く着地した。
ズンッ!!
両足で大地を踏みしめ――
再び、しっかりと体勢を整える。
その一方――
胸の痛みはまだ消えていない。
それでも――
赤眼黒龍の執念深い眼差しは、ヴァン・ティエンから離れなかった。
「もう紫黒色の気は使えない……」
「だが……今の俺の力でも――」
「お前を叩き潰すには十分だ!!」