『天雲星系・銀河の記憶』 作:DanhDu_Chronicle
言葉が終わると同時に――
赤眼黒龍はヴァン・ティエンへ一直線に突っ込んだ。
その拳には――
千斤もの重さがあるかのような凄まじい力が込められている。
まるで巨大な槌を振り下ろすかのように――
ヴァン・ティエンの胸へ向かって叩き込む。
だが――
ヴァン・ティエンは怯まなかった。
すぐさま両腕を斜めに交差させ――
防御する。
ドォン!!
二人は――
全身の内力を振り絞り。
互いに相手を押し潰そうと力をぶつけ合う。
赤眼黒龍は目を見開き――
凶悪に唸る。
「まずはお前を倒す……」
「その後は――あいつらの番だ!!」
そう言った瞬間――
奴は攻撃を変えた。
下から上へ――
危険なフックを叩き込む。
ヴァン・ティエンは――
完全に反応できなかった。
ドゴッ!!
拳が顎へ直撃する。
その身体が――
空中へ跳ね上がった。
その隙を逃さず。
赤眼黒龍はさらに――
ヴァン・ティエンの胸の中央へ蹴りを叩き込んだ。
ドォン!!
凄まじい力。
ヴァン・ティエンの身体は――
糸の切れた凧のように真っ直ぐ地面へ落下する。
そして――
近くに停泊していた船の甲板へ、激しく叩きつけられた。
バキバキッ!!
木材が砕け散る。
ヴァン・ティエンは、壊れた木材の山に倒れ込んだ。
「ゴホッ……ゴホッ……!!」
激しく咳き込む。
致命的な蹴りによって――
胸が締めつけられるように苦しい。
だが――
ヴァン・ティエンが反応するより先に。
赤眼黒龍は――
まるで亡霊のように、すでに目の前へ現れていた。
奴は足を高く上げ――
ヴァン・ティエンが倒れている場所へ向けて、容赦なく振り下ろす。
「死ね!!」
ドォン!!!
煙と砂埃が一気に舞い上がる。
木片が四方八方へ吹き飛ぶ。
だが――
煙が晴れた時。
そこに――
ヴァン・ティエンの姿はなかった。
赤眼黒龍は目を大きく見開く。
その瞬間――
背後から。
煙と砂埃に紛れて――
ヴァン・ティエンが現れた。
ギリッ!!
腕へ力を込める。
そして――
淡い青い気が、拳の周囲へ狂ったように集中していく。
首にかかったペンダントも――
まばゆく輝く。
ヴァン・ティエンは――
標的を完全に捉え。
拳を――
赤眼黒龍の顔面へ叩き込んだ。
ドゴォン!!!
赤眼黒龍の身体が――
遠くへ吹き飛ぶ。
そのまま真正面から――
向かい側の木造船へ激突した。
バキバキバキッ!!
分厚い木材が――
大きくひび割れる。
赤眼黒龍は瓦礫の上でもがきながら――
「ゴホッ……ゴホッ……!!」
激しく咳き込む。
その時。
胸の痛みが――
さらに強くなっていた。
「アアアアアッ!!」
これまでとは――
比べものにならないほどの激痛。
胸が――
引き裂かれる。
何千、何万本もの毒針が心臓へ突き刺さっているかのように――
骨の髄まで響く痛みが、何度も何度も押し寄せてくる。
赤眼黒龍は苦しみながら、心の中で呟く。
「駄目だ……」
「胸が……痛すぎる……」
「このままじゃ……爆発する……」
「これ以上……戦いを長引かせることはできない……」
奴はほんの一瞬だけ、必死に考える。
「まさか……」
「あれを使うしかないのか……?」
だが――
首を横に振る。
「いや……!!」
「もう……迷っている時間はない!!」
赤眼黒龍は歯を食いしばり――
ふらつきながら立ち上がった。
その向こうでは――
ヴァン・ティエンが、なおもその場に堂々と立っている。
鋭い眼差し。
相手の一挙一動を――
決して見逃さない。
赤眼黒龍はヴァン・ティエンへ殺気を叩きつける。
そして――
自分の胸へ視線を落とした。
「いいだろう……」
「なら――」
「一緒に死ね!!」
奴は――
最初に使っていた鍵剣を取り出した。
その奇妙な行動を見た瞬間。
ヴァン・ティエンの眉が――
強く寄る。
警戒する。
赤眼黒龍は鍵を見つめながら――
心の中で考える。
「無理やり使えば――」
「俺は、その場で死ぬかもしれない」
「だが……」
「もう……後戻りはできない!!」
その思考が終わった瞬間。
赤眼黒龍は――
鍵剣を胸の中央にある溝へ、力いっぱい突き刺した。
今回は――
鍵を回さない。
ただ――
残されたすべての力を使い。
胸の奥の奥まで――
鍵を強引に押し込んだ。
バキッ!!
その瞬間――
二本目の鍵剣が深く突き刺さる。
すると――
胸の中央にある溝が、ゆっくりと開き始めた。
そしてその奥から――
奇妙なエネルギーの球体が姿を現す。
深く秘められていた――
異様なエネルギーの塊。
その色は――
鮮血のような真紅と。
妖しく幻想的な紫色が。
不気味なほど美しく混ざり合っていた。
それはまるで――
深い宇宙の彼方で燃え盛る、無数の星雲の帯のようだった。
遠くから見ていたヴァン・ティエンは――
何かがおかしいと感じ取った。
両手に勁力を集中させ――
武器を強く握りしめる。
そして――
身体の重心を低く落とした。
完全な防御態勢。
いつでも迎撃できるように――
身構える。
赤眼黒龍は――
ヴァン・ティエンを見つめた。
一言も発さない。
ただ――
鍵をさらに強く押し込む。
その鍵は――
胸の奥にある星雲の球体を、真正面から貫いた。
その瞬間。
星雲の球体が――
鍵へ反応した。
鍵穴の奥から――
内部に秘められていたエネルギーが、ゆっくりと外へ広がり始める。
鮮血のような真紅。
そして――
幻想的な紫色の星雲。
二つの色が狂ったように絡み合い――
赤眼黒龍の胸の前へ集まっていく。
そして徐々に――
巨大なエネルギー球へと膨張していった。
ギギギギ……!!
濃密な圧縮力が――
球体から一気に解き放たれる。
周囲の空気そのものが――
直接、押し潰されていく。
空間が歪む。
今にも――
砕け散りそうになる。
その凄まじい圧力に――
赤眼黒龍自身でさえ、呼吸が苦しくなる。
それでも――
血のような星雲球は、さらに膨張する。
妖しく渦巻きながら。
そして――
ついに最大まで膨れ上がった。
戦場の一角すら――
完全に覆い隠すほどの巨大さ。
赤眼黒龍は苦しげにヴァン・ティエンを見る。
球体から放たれる圧力に耐えながら――
それでも口元を吊り上げた。
狂気に満ちた――
不気味な笑み。
だが――
次の瞬間。
その笑みは――
完全に消えた。
悪魔のような顔が――
突然、死の世界のように冷たい表情へ変わる。
そして――
主人公へ向けて。
すべてを巻き込む――
相討ち覚悟の一撃を放とうとする。
「これを……受け取れ」
その言葉が終わった瞬間――
巨大な血色の星雲球が、突然――
真正面へ向かって撃ち出された。
ズオォォォォン!!!
夜を引き裂き――
長大な破滅の光となって。
ヴァン・ティエンへ一直線に迫る。
その速度は――
あまりにも速い。
その勁力が通過するだけで――
白藤江の川面そのものが引き裂かれ。
水流が――
真っ二つに綺麗に割れる。
そして――
凄まじい勢いでヴァン・ティエンへ襲いかかった。
ヴァン・ティエンは――
すぐさま重心を低く落とす。
両手を前へ出し――
全身の力を込める。
青い光が――
両手の間へ集まっていく。
そして――
両手を高く掲げる。
ドォン!!
二つの力が――
真正面から激突した。
ヴァン・ティエンは吠える。
「うおおおおおおッ!!」
残されたすべての霊力を――
両腕へ集中させる。
淡く残った青い気が――
狂ったように両手の周囲へ集まり。
そして――
必死に受け止める。
二つの力が空中で真正面から激しく衝突する。
ドォォォォン!!!
天地を揺るがすほどの衝撃。
その圧力によって――
ヴァン・ティエンの目尻と口元から。
鮮血が滲み出した。
真っ赤な血が――
傷だらけの顔を伝って、ゆっくりと流れ落ちていく。
その姿を見た赤眼黒龍は――
相手が今にも力尽きそうになっていることを悟った。
そして――
さらに力を込める。
「死ねぇぇぇぇ……!!」
星雲球から放たれるエネルギーが――
さらに強く爆発する。
ヴァン・ティエンの身体が――
少しずつ押し込まれていく。
両足が――
地面を滑る。
ひび割れた大地の上を――
数十メートルも後方へ押し戻される。
それでも――
鉄のような意志で。
歯を食いしばり――
全身を震わせながら耐える。
決して――
膝をつかない。
倒れない。
赤眼黒龍は、その姿を見ると――
狂ったように大声で笑った。
「死ね!!」
ドォォォン!!!
星雲球のエネルギーが――
再び爆発的に膨張した。
凶悪な勁力が――
ヴァン・ティエンの血に濡れた両手を突き抜ける。
そして――
容赦なく、その全身へ叩き込まれた。
その一瞬。
息すらできないほどの極限状態の中で――
首にかかったペンダントが。
突然――
激しく震え始めた。
ガタガタガタガタ……!!
そして――
パキッ!!
その表面に――
一本の亀裂が走った。
ドォォォォン!!!
天地を揺るがすほどの大爆発が――
戦場の空間を引き裂いた。
砂。
土。
煙。
霧。
すべてが一気に舞い上がる。
そして――
主人公の姿を――
完全に飲み込んだ。