覚悟ガンギマリ系一逸転生者による幻想郷破壊録 作:フリッツⅩ
最初の映像が投稿されたのは、山岳地帯を訪れた登山者が、帰宅後に撮影データを整理していた夜のことだった。
登山者は、登山道から外れた場所にある古い石段を撮影していた。
地図に記載されていない小道を進んだ先で、樹木の隙間から赤い鳥居のようなものが見えたため、珍しい景色として記録に残そうとしたのである。
ところが、帰宅後に映像を確認すると、撮影時には気づかなかった奇妙なものが、画面の奥に映り込んでいた。
木々の間を横切ったのは、赤と白を基調とした装束を身につけた若い女性だった。
登山者は、神社の巫女を思わせる服装に気づいたものの、山中でそのような格好をする理由までは思いつかなかった。
近くで祭礼か撮影企画でも行われていたのだろうと考え、映像を拡大して確かめたところ、女性の足元が地面から離れているように見えた。
さらに数秒後、彼女の周囲に淡い光がいくつも浮かび、互いに一定の間隔を保ちながら弧を描いて移動していた。
登山者は、撮影時の手ぶれや圧縮による映像の乱れを疑って何度も再生したが、光の動きは単純なノイズだけでは説明しにくかった。
女性の周囲には足場となる岩や枝も見当たらず、地面を歩いているようには見えなかったのである。
映像の終わり際には、女性が木々の向こうへ進んだ直後、背景の景色そのものが一瞬だけ歪んでいた。
その向こうに現れたのは、古い屋根の並ぶ集落らしき風景であり、現代の山間部で撮影された映像としては、あまりにも唐突な変化だった。
登山者は、現地で何か異常なことが起きたのか、それとも自分の知らない祭礼や撮影企画だったのかを確かめるため、動画をインターネット上に公開した。
説明文には撮影場所のおおよその情報と、現地では特に変わったものを見かけなかったことだけを書き添えたが、投稿直後はほとんど注目されず、しばらくは目立った反応もなかった。
状況が変わったのは、別の利用者が映像の一部を切り出し、短い動画として共有してからだった。
巫女のような女性と宙に浮かぶ光が目を引き、怪奇現象を扱う掲示板や動画投稿サイトへ転載されるようになった。
撮影場所についても、周辺の登山経験がある利用者が地形や道の特徴から候補を挙げ、映像を検証しようとする者が現れ始めたのである。
とりわけ注目を集めたのは、女性の服装と、周囲を漂う光の配置だった。
赤と白の組み合わせや大きな袖、髪に結ばれた飾りは、ある人気作品の登場人物を連想させたうえ、光の軌道も偶然の発光現象というより、意図的に配置されたもののように見えた。
映像を見た人々の中には、精巧な衣装を身につけた人物を撮影しただけだと考える者もいれば、合成映像や新作映像作品の宣伝ではないかと疑う者もいた。
こうして撮影者自身が説明していなかった部分にまで注目が集まり、元の投稿にはなかった解釈が次々と付け加えられていった。
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「……ようやく、か」
田中誠治がその動画を見つけたのは、執筆の合間に『東方Project』に関する話題を確認していたときだった。
関連する掲示板には、いつものように登場人物や新しい企画の話が並んでいたが、その中に、山中で撮影された不審な映像についての書き込みが混じっていた。
投稿者は、巫女のような女性が空中を移動していると説明し、映像の一部を切り出した画像を添付していたのである。
誠治は、その画像を見た瞬間、画面から目を離せなくなった。赤と白を基調にした装束は、博麗霊夢を連想させるものだった。
巫女装束に似た衣服を着ているだけなら、コスプレとして説明できる。
しかし、袖の形や頭部の飾りまで、自分が知る霊夢の姿と重なる部分があったため、偶然似ているという説明だけでは片づけにくかった。
彼は動画の掲載先を探し、元の投稿までたどり着いてから、最初から最後まで映像を再生した。
女性が木々の間を進み、足元が地面から離れているように見える場面では、誠治の指が止まった。
幻想郷には、空を飛ぶことのできる者がいる。
霊夢もその一人であり、彼女にとって飛行は、特別な儀式を必要とする行為ではない。
外界の常識に照らせば不可能に近い光景であっても、誠治には、その動きがどのようなものなのか見当がついた。
周囲に浮かぶ光の動きも気になった。それらは一定の速度で直線的に移動するのではなく、女性を中心に位置を変え、互いの間隔を保ちながら弧を描いていた。
その軌道には、幻想郷で見てきた弾幕を思わせる規則性がある。映像の品質が低く、光の正体までは判断できなかったが、記憶にある光景と重なる特徴がいくつも見つかった。
最後に映る背景も、誠治の注意を引いた。
木々の奥には、古い屋根が並ぶ集落らしきものが一瞬だけ現れていたのである。
現代の山間部にも古い集落は残っているため、それだけで幻想郷と結びつけるわけにはいかない。
しかし、建物の形や配置は、彼が暮らしていた人里の景色を思い起こさせた。
誠治は、映像を保存してから時間を置き、先入観に引きずられていないか確かめるつもりで再び確認した。
自分が書いた作品が広く読まれるようになり、幻想郷の名前や登場人物の姿が外界の人々の間に広まってきたことは、以前から意識していた。
だが、それまでに見てきた反応は、あくまで創作作品に対するものだった。
読者が霊夢の能力を語ったり、妖怪の山の地形を考察したりしていても、それは物語の設定を理解しようとする行為にすぎなかったのである。
今回の映像は、その意味で、これまでとは性質が異なっていた。
画面に映っているものが本物なのかどうか、誠治には判断できない。
合成や撮影者の演出という可能性は残っており、服装が似ているからといって、霊夢本人がそこにいたと断定することもできなかった。
何より、彼は外界へ出て以来、幻想郷の様子を直接確かめる手段を持っていないため、自分の記憶との一致だけで現実の出来事だと結論づけるわけにはいかなかった。
それでも、服装、浮かぶ光の動き、そして人里を思わせる背景が、一つの映像の中に重なっていることは、単なる衣装の類似以上の意味を持っていた。
誠治は、胸の奥に生じた期待を意識しながらも、まずは確認できる情報を集めることにした。
保存したのは動画だけではなかった。
撮影者が記載した場所の説明や、撮影日と公開日、話題になった時刻、第三者による検証内容も、自分用の記録にまとめた。
撮影者へ直接連絡したい気持ちはあったものの、匿名で活動している自分が唐突に接触すれば、余計な関心を集めるおそれがある。
現段階では、公開されている情報を調べるだけで十分だった。
記録を終えて書きかけの原稿へ視線を戻しても、しばらく文章は頭に入ってこなかった。自分が描いてきた世界の一部が、外界の現実と重なっているのかもしれない。その可能性を考えると、これまで積み重ねてきた仕事が、自分の手を離れた場所で動き始めたように感じられたが、それが計画の成果なのか、まったく別の現象なのかは、まだ分からなかった。
誠治は、最後にもう一度だけ映像を再生した。背景が歪み、古い集落のような景色が現れる瞬間、彼の脳裏には、人里の外れから眺めた夕暮れの屋根並みがよみがえっていた。
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映像が公開されてから数日後、大学で民俗資料と近代の怪異譚を研究していた研究者のもとにも、同じ動画が送られてきた。
彼は、地域に残る伝承や過去に記録された不可解な目撃談を調べる仕事を続けていた。
普段から怪談を集めているわけではなかったが、山間部で語られてきた異界への迷い込みや、身元を特定できなかった人物に関する資料を扱うことがあり、今回の映像も、関連する資料に関心を持つ知人から紹介されたものだった。
研究者は、映像を最初に見た段階では、撮影技術に詳しい者が検証すべき事例だと考えた。
光の動きや背景の歪みには不自然な部分があるものの、動画だけを根拠に超常現象を認定することはできない。
撮影場所の地形を調べ、映像の加工の有無を確かめ、投稿者が実際にその場を訪れていたかどうかも確認する必要があった。
ところが、映像に寄せられたコメントを読み進めるうちに、彼は別の点にも関心を抱くようになった。
多くの利用者が、画面の女性を特定の創作作品に登場する巫女と比較していたのである。
衣装の細部や光の軌道、背景に映る集落の形を作品の設定と照らし合わせる者がいる一方、人気作品に便乗した宣伝や合成映像だと指摘する者もいた。
研究者は、その作品名が『東方Project』であることを確かめた。
ゲームや漫画、音楽作品など複数の媒体で展開され、幻想郷という架空の世界と、そこに暮らす人間や妖怪を描いている。
彼自身は詳しく追いかけていたわけではなかったが、今回の映像をめぐる議論では、その設定が繰り返し引き合いに出されていた。
彼は、映像の真偽を調べる作業と並行して、過去の資料も探してみることにした。
仮に今回の現象が映像上の細工だったとしても、同じ地域で似た目撃談が残されていれば、撮影者が何を参考にしたのかを考える手掛かりになる。
反対に、現代の映像とは無関係な古い記録が、後世に広まった創作作品と奇妙に似ているのであれば、それ自体が民俗資料として検討する価値を持つだろう。
研究者は、自治体の記録や新聞記事、古い調査報告を調べ始めた。
いくつかの資料はすでにデジタル化されており、山中で発見された身元不明者に関する短い記事や、山間部で語られていた異界への迷い込みの伝承など、普段なら互いに関連づけて考えない情報が検索結果の中に並んでいた。
その中に、時代にそぐわない服装をした人物が、来歴を説明できないまま保護されたという古い記録があった。
本人は山を越えた先に集落があり、そこで暮らしていたと話していたものの、語られた地名や道順は既知の地理と一致しなかった。
記録を作成した側は記憶が混乱していた可能性を考慮し、証言をそのまま事実として採用することには慎重な姿勢を示していた。
別の資料には、山中で保護された人物が、人間ではない存在も暮らしている村について話したという記述が残っていた。
証言の細部は伝わっておらず、記録者も本人の話をどこまで信用すべきか判断できなかったらしい。
さらに異なる年代の資料には、山間部で薬草を採取していたと説明する人物が、現地では見つからない草木について詳しく語ったという記録もあった。
三つの記録は別々の場所で異なる時期に作成され、登場する人物たちに直接のつながりがあることを示す証拠もなかった。
同じ現象が繰り返されていたと結論づけるには、情報が不足している。
民俗資料には土地の伝承や当時の価値観が反映されることもあるため、後世の創作作品と似ている箇所が見つかったからといって、超常的な出来事を想定する必要はなかった。
それでも研究者は、今回の映像をきっかけに、これまで別々に扱われてきた記録を比較する価値があると考えるようになった。
映像に登場する巫女のような人物と、古い記録に残された身元不明者たちが同じ現象に関係しているとは限らない。
しかし、山中での不可解な目撃談や、既知の地理では説明しにくい集落の話が、異なる時代に記録されていること自体は確かだった。
現在の映像に加工が施されていたとしても、それを理由に過去の記録まで一括して無価値なものとみなすべきではないだろう。
研究者は資料の所在と記述内容を一覧にまとめ、調査の経過を記録し始めた。
まだ論文にできるほどの結論は得られておらず、映像の撮影場所を確定することも、古い記録の背景を明らかにすることも、これからの作業だった。
それでも、今回の出来事を一時的なネット上の話題として片づけず、過去の記録とともに検討しようとする者が、少なくとも一人は現れたのである。
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その頃、誠治は、映像をめぐる話題が思いのほか長く続いていることに気づいていた。単に奇妙な動画が拡散されたのであれば、数日で別の話題に押し流されることも多い。
しかし、今回は加工の有無や撮影者の意図をめぐる議論にとどまらず、古い目撃談や身元不明者に関する記録を探し出す動きまで生じ始めていた。
人々は映像の真偽を確かめようとする一方で、それに似た出来事が過去にもなかったかを調べていたのである。
誠治は、匿名掲示板で怪談を投稿していた頃の反応を思い出した。
山奥の村や、現代とは異なる暮らしを持つ人々の話を書いた際、一部の読者は、過去に聞いた怪談や身元不明者の記録との類似を指摘していた。
当時の反応は小さなものにすぎなかったが、今では映像が公開され、作品の設定との比較が始まり、過去の資料を探す研究者まで現れている。
以前は互いに無関係だと思われていた情報が、少しずつ同じ方向を向き始めていた。
誠治は、この動きを利用して、映像が実在の幻想郷を証明していると主張することはしなかった。
現段階では、映像にどのような加工が施されているのかすら確定していない。
人々が『東方Project』との類似を指摘しているのも、作品を知っているからこそ、その設定に当てはめて映像を見ている可能性がある。
自分の期待に合う形で情報がつながっているように思えても、そこに確実な因果関係があると決めつけるわけにはいかなかった。
それでも、今回の映像が引き起こした反応は、これまでの創作活動とは明らかに異なっていた。
作品の読者は幻想郷の住民や風景を知っているため、映像の人物や背景を見て、以前に読んだ小説や遊んだゲームを思い出した。
一方で、作品を知らない人々も、彼らの話題を通じて『東方Project』という名前を知り、映像と過去の記録を照らし合わせ始めている。
作品によって蓄積された知識が、現実に起きたかもしれない出来事を解釈する際に使われ始めていたのである。
誠治は、保存しておいた資料を改めて開き、映像から客観的に確認できる特徴と、自分の記憶から連想した内容を分けて整理した。
女性の服装や浮遊する光、背景の歪みは記録できても、あの人物が霊夢本人なのか、それとも別の存在なのかまでは確かめようがない。
彼が確実に言えるのは、自分が描いてきた世界を連想させる映像が外界で撮影されたものとして公開され、大勢の人々の目に触れたということだけだった。
それでも誠治は、計画の先にあった変化が始まった可能性を感じていた。
幻想郷に関する情報を外界へ広めるため、彼は怪談を書き、小説を発表し、作品を複数の媒体へと展開してきた。
いずれ外界の人々が幻想郷を理解するための枠組みを持てば、未知の現象をただの迷信として切り捨てず、過去の記録と比較するようになるかもしれない。
今回の映像をめぐる反応は、その方向へ進む最初の兆しに見えた。
ただし、計画が動き始めたことは、幻想郷の側にも何らかの変化が伝わる可能性を意味していた。
誠治は、境界を扱い、幻想郷の維持に関わる紫や藍が、外界の情報の変化に気づくかもしれないと考えた。
作品が広まり、そこに描かれた世界に似た映像や証言が注目されるようになれば、幻想郷と外界の関係も、少しずつ変わっていく可能性がある。
そのとき、自分の計画がどこまで見抜かれるのか、誠治には予測できなかった。
*
幻想郷では、八雲紫が、いつもとは異なる感触を博麗大結界の境目に覚えていた。
それは、結界に穴が開いたというような明白な破損ではなかった。
外界との境界は依然として機能しており、幻想郷の住民が突然外の世界へ流れ出したり、外界の物が無秩序に入り込んだりしているわけでもない。
ところが、境界を成り立たせているはずの隔たりに、以前にはなかった微かな揺らぎが生じていたのである。
紫は、その感触を確かめるように、結界の一部へ意識を集中させた。
博麗大結界は、単に地理的な距離を隔てる壁ではない。
外界で常識とされるものと、幻想郷に残された非常識との間に境目を作り、両者がそのまま交わらないようにする仕組みでもある。
妖怪をはじめとする存在が幻想郷に居場所を保つうえで、その隔たりは重要な意味を持っていた。
紫は、結界そのものが壊れかけているとは考えなかった。
しかし、境目を支える条件に何らかの変化が生じている可能性は、無視できなかった。
外界の人間が、これまで非常識として片づけていたものをどのように受け止めるかは、幻想郷の成り立ちとも無関係ではない。
ここ最近、外界の情報を通じて感じ取れる認識の一部に、妙な偏りが生まれていた。
単発の噂や一時的な怪談というより、ある種の存在や場所について、具体的な特徴を伴った情報が広がり始めているようだった。
紫は、境界に現れた変化を偶然として処理せず、外界の様子を探るために開いた隙間から、情報の流れを確かめた。そこには、山中で撮影された不可解な映像についての話題が広がっていた。
赤と白の装束を身につけた女性、宙に浮かぶ光、山の奥に現れた古い集落らしき景色。
映像を見た人々は撮影の仕掛けを疑いながらも、ある創作作品との類似を話題にしていた。
紫は、その作品名が『東方Project』であることを確かめた。
内容まではまだ詳しく把握していなかったが、外界の人々が幻想郷に似た設定を持つ物語を広く知り、その作品を手掛かりに現実の映像を解釈し始めていることは確認できた。
紫にとって、厄介なのは映像そのものだけではなかった。
外界の人間が、幻想郷に似た世界を創作の中で思い描くこと自体は珍しくない。
妖怪や異界の物語は古くから存在し、さまざまな姿で語り継がれてきた。
しかし、具体的な名前や地名、人物の特徴を持つ作品が広く流通し、それと一致するように見える映像が現れれば、人々が非常識を受け止める方法にも変化が生じるかもしれない。
紫は、隙間の向こうに広がる外界の情報をしばらく眺めていた。
映像を本物と断定する者もいれば、創作だと決めつける者もいる。
大半の人々は、面白い話題として楽しんでいるにすぎないだろう。
それでも、これまでなら互いに無関係なものとして忘れられていた事柄が、一つの作品を介して結びつき始めている。
その情報の流れと、結界に現れた揺らぎが関係しているのかどうかを、彼女は確かめる必要があると判断した。
紫は隙間を閉じる前に、外界の情報がどのように広がっているのかを記録した。
現段階で、幻想郷の存続を脅かすほどの異常が起きているとは言えない。
しかし、境界に小さな変化が現れた以上、その原因を調べるのは賢者としての責務だった。
もし外界の認識が変わり始めているのであれば、その流れがどこから生じ、どのような影響を及ぼすのかを早い段階で把握しなければならない。
彼女は、藍を呼ぶ準備を始めた。
外界の作品と映像の関係を調べ、過去に同様の目撃談が記録されていないかを確認し、並行して大結界の変化を継続的に観察する。
いずれも、今すぐ幻想郷全体を動かすほどの事態ではないが、放置してよい問題でもなかった。
紫はまだ、外界で『東方Project』を書いている人物の正体を知らない。
作品がどのように生まれ、誰の手によって広められてきたのかも把握していなかった。
それでも、外界で流通する情報と、幻想郷の境界に生じた変化が、どこかで結びついている可能性を感じ始めていた。
その頃、外界では、誠治が保存した映像を手掛かりに、研究者が過去の記録を調べ続けていた。
一方、幻想郷では、紫が境界の微かな変化から、外界の情報の流れに異常が生じていることを察知し始めている。
互いの存在を知らないまま、二つの世界で起こり始めた変化は、少しずつ同じ方向へ向かっていた。
誠治が思い描いてきた計画は、初めて、幻想郷の側にも影響を及ぼし始めたのである。