北神三世の兄-弟に勝つため本気出す-   作:ドゥンピドゥンピ

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#30 間話・イゾルテと手紙

中央大陸の北方地帯、その最西端。

剣神流の総本山、『剣の聖地』。

 

木剣の打ち合う音が、何処からでも耳に聞こえる。

街だろうと、道場であろうと、居酒屋だろうと。

 

子供は、玩具より剣を持っている。

男児だろうと女児だろうと。

 

そんな場所である。

 

 

北方地帯は寒い。

一面の雪景色が広がっている中、道場が並ぶ。

彼等は剣神流の道着を身に纏い、剣を振るっている。

見ているだけで寒さを感じてしまうような格好だ。

 

そんな道場が並ぶ道を奥へ、さらに奥へ。

最奥に存在するのが、剣神流の本家である。

 

その、『当座の間』。

『剣神』ガル・ファリオンと『水神』レイダ・リィア……それとニナが見守る中、イゾルテはエリスと向き合っていた。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

張り詰めた空気の中、互いに真剣な目を向け合う。

剣を構えて、向き合う。

 

エリスは自身の間合いに持ち込めるよう、躙り寄る。

対してイゾルテも、不意に間合いに持ち込まれぬよう距離を調整していた。

 

当座の間、その床の木の板を擦るような音だけが響く。

 

 

「くぁ……」

 

 

そんな二人を見て、ガル・ファリオンは欠伸をした。

単純に退屈だったのだ。

 

その欠伸の声に、二人は。

集中力を欠いたとは言わない。

だが、確かに、無意識のうちにほんの少し、一割にも満たない僅かな意識を割いたのは事実だ。

 

その隙に、エリスは大きく踏み込んだ。

 

 

「……ッ!!!」

 

 

静からの、動。

ほんの一瞬、瞬きにすら満たない一瞬での切り替わり。

 

その一瞬で、エリスはイゾルテに肉薄していた。

 

 

「……っ」

 

 

イゾルテには声を上げる余裕すらなかった。

だが、油断もなかった。

瞬時に剣を横に構えた。

 

刹那、エリスが木剣を振るった。

剣神流奥義『光の太刀』である。

 

その一瞬の手前、イゾルテも木剣を構えていた。

水神流奥義『流』である

 

 

「……ッ!」

 

「……っ!」

 

 

互いに、流派の基礎とも言える奥義。

だが、奥義とはその流派の真髄である。

 

エリスの放てる最速で最強の一撃。

それを、イゾルテは最高の精密さで受け流した。

 

 

「チッ!」

 

 

エリスは舌打ちをしつつ、床を蹴った。

あまりの威力に床を踏み抜いたぐらいだ。

 

宙で回転しつつ、『流』による反撃を受け流そうとしたのだ。

 

 

「…………」

 

 

しかして、イゾルテも黙ってそれを見ている訳がなかった。

宙へ飛ぼうとしたエリスの力の流れ、その方向を『流』によって誘導する。

 

自分が足で生み出した力が、そのまま回転力に変わる。

 

 

「……ッ!?」

 

 

エリスはそのまま空中で一回転し……しかし、制御を失っていなかった。

力を流されたとして、抗うことを辞めたのだ。

そのまま己の力を自らの手中へと引き戻し──

 

 

「だあぁぁあッ!!」

 

 

エリスは一撃を放った。

咄嗟の、苦し紛れの一撃。

 

 

「なっ」

 

 

だがしかし、確実にイゾルテの不意を突いた。

それでも木剣を防御に向かわせられたのは、イゾルテの経験がそうさせたからだ。

 

不意の一撃には慣れていた。

元々、何でもありの北神流の使い手と日頃から鍛錬していたのだから。

 

だがしかし、咄嗟に防御で何とかなるような一撃では無かった。

 

 

バキィッ、と。

木剣の折れる音が『当座の間』に響いた。

 

 

宙を木剣の剣身が舞った。

それは、イゾルテの木剣だった。

 

エリスの木剣もひび割れていた。

だが、辛うじて剣の形を保っていた。

 

 

「……私の負け、ですね」

 

 

イゾルテは長さが半分になってしまった木剣を、床に落とした。

 

 

「……っ、やったわ!私の勝ちよ!」

 

 

対して、エリスは嬉しそうに笑みを浮かべていた。

そして直ぐに、目の前のイゾルテに気付き、声を詰まらせた。

 

イゾルテは知っていた。

こうして見えて、エリスは気が利く。

負けた相手を前で、子供のようにはしゃぐのはどうかと、自制したのだ。

 

それが少し面白くて、イゾルテは笑みを浮かべた。

 

 

「エリスさん、別によろしいのですよ?」

 

「な、なにがよ……?」

 

「ふふ、何でも。ですよ」

 

 

負けた悔しさはある。

実践形式の手合わせで負けたのは、これが初めてだ。

次も同じ結果になるとは思わないが、そんな言い訳は実際の殺し合いでは成り立たない。

 

エリスは強くなったのだ。

イゾルテは関心しつつ、染み染みと思った。

 

そんな二人を見て、ガル・ファリオンはため息を吐いた。

 

 

「……勝った負けた、だってのに、随分と清々しい顔じゃねぇか。もっと悔しそうにしろよ」

 

 

そんなガル・ファリオンの言葉に、レイダがため息を吐いた。

 

 

「んな事、言うもんじゃないよ。水神流(うち)はそういうのを売りにしてるんじゃないからね」

 

 

茶を飲みつつ、レイダは目を細めた。

 

 

「二人ともお疲れ様!」

 

 

そんな中、手合わせを見ていたニナが手ぬぐいを手に駆け寄った。

それをイゾルテは受け取った。

 

 

「ありがとうございます、ニナさん」

 

「……これぐらいしか、私に出来る事はないからね」

 

 

お礼に対して、どこか諦観したような言葉。

そんな事はない、とイゾルテは言おうとしたが──

 

 

「そんな事はないわ!私、まだ、ニナよりも早く剣は振れないもの!」

 

 

手合わせをしても、ニナは今、エリスに殆ど勝てない。

イゾルテに対しては、一度も勝てていない。

彼女の自信は喪失していた。

 

 

「二人とも……そうね。私も、もう少し頑張ってみるわ」

 

 

励まされていると気付いたのだろう、ニナが照れ臭そうに笑った。

そんな笑顔に釣られて、イゾルテも笑みを浮かべた。

 

 

「……ふふ」

 

「何笑ってんのよ」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

 

この空気感が、イゾルテは好きだった。

 

確信を持って、この二人とのことを友達と呼べる。

イゾルテはそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。

 

『水帝』イゾルテに手合わせで勝った事もあり、エリスはルーデウスの元へ向かう事となった。

ルーデウスの居る魔法都市シャリーアは、剣の聖地から東……早くとも約一ヶ月ほど掛かる。

 

それでも、エリスにとっては苦にならない旅であった。

腰に二本、剣を差し……剣聖以上に与えられる黒い外套を着ていた。

隣に居るギレーヌとお揃いの外套だ。

 

堂々たる格好である。

彼女こそが『狂剣王』エリス・グレイラットなのだ。

 

 

「あんた達には世話になったわね」

 

 

そんなエリスは、ニナへ目を向けていた。

 

 

「まぁ、エリスの世話は……したわね」

 

「そこは否定しなさいよ」

 

「事実だから仕方ないでしょ。ご飯炊いてあげたりね」

 

「ふん」

 

 

エリスの着ている外套は、魔物の毛皮だ。

エリス自身が討伐した魔物だが、道案内としてニナに協力して貰った。

ついでにイゾルテもついて来た。

ちょっとした思い出である。

 

ふと、蹄の音が聞こえた。

 

 

「ギレーヌが来たわね」

 

 

馬を先導するギレーヌの姿があった。

そこには四頭……ギレーヌだけではなく、イゾルテも手綱を引いていた。

そして、イゾルテの引く馬には水神レイダが乗っていた。

 

 

「やれやれ、ガルの坊やは見送りにも来ないのかねぇ」

 

「お師匠様、剣神様はお酒の飲みすぎでまだ寝ているのですよ」

 

「やだねぇ、良い歳して。子供っぽいったらありゃしない」

 

 

水神レイダとイゾルテ。

二人はエリスの鍛錬を手伝う目的で来た。

エリスが剣の聖地を離れるのであれば、ここに居座る意味もない。

アスラ王国に帰るつもりであった。

 

そんなイゾルテに対して、ニナは少し寂しそうな顔をした。

 

 

「イゾルテも帰っちゃうのよね」

 

「ええ、はい。アスラ王国に戻ります。剣術指南役として、お城に勤めようと思います」

 

「そうなんだ……寂しくなるわね」

 

「ええ、私もですよ。ニナさんも、アスラ王国に来る事があれば尋ねて下さい。案内ぐらい、致しますから」

 

 

そうイゾルテが告げると、ニナは笑みを浮かべた。

その様子を、レイダは満足げに見ていた。

 

気になる男を失って、復讐に執着し、友人すら作れなくなった孫娘が笑っているのだ。

それだけで剣の聖地に来た意味があるだろう。

 

そんなイゾルテは、エリスへ視線を向けた。

 

 

「エリスさん」

 

「何よ」

 

「……もし、オルステッドと戦う事になったら、呼んでくださいね?私も助太刀しますから」

 

「いいけど……あんたは戦いたいだけでしょ」

 

「ふふ、そうですね」

 

 

しかして、そんな会話にレイダは額を揉んだ。

友人が出来て心は穏やかになったのだろうが、根本は変わっていないのだろう。

 

 

「イゾルテ」

 

「はい?どうかしましたか、お師匠様」

 

 

復讐なんて諦めろ、と喉元まで来ていた。

レイダはオルステッドと相対した事がある。

手も足も出なかったのだ。

孫娘を案じて、諦めるべきだと言おうと思った。

 

 

「はぁ……何でもないよ」

 

 

だが、黙った。

 

 

「……変なお師匠様ですね」

 

 

イゾルテは不思議がるが、レイダはため息を吐いた。

 

 

「エリスさん!手紙でーす!」

 

 

そんな中、ジノが手紙を持って現れた。

 

 

「手紙……?誰からよ」

 

「あっ」

 

 

エリスはその手紙をひったくると……裏に、ルーデウスという署名が見えた。

 

 

「ルーデウスじゃない!」

 

 

そして、爪で封筒の端を引っ掻いて開けようとしたが……開かない。

無理矢理開けば破れるかもしれない。

 

苛立ったエリスは手紙を宙へ投げて、剣を抜いた。

 

 

「ハッ!」

 

 

一閃、手紙の封は切られて、手元へ便箋が落ちた。

そして急いで手紙を読み始めたが……エリスは顔を顰めた。

 

 

「エリスさん、どうかしたのですか?」

 

 

イゾルテが問い掛けたが、顔を顰めるばかりである。

 

 

「ねぇ、エリス。何が書いてあるの?教えてよ」

 

 

ニナに声を掛けられた瞬間、エリスは顔をあげた。

 

 

「うっさいわね!ちょっと難しい字が多くて、読むのに時間かかってるだけよ!」

 

「え?あ、そうなの?」

 

「ニナが読んでよ!」

 

「えぇ……私、読めないんだけど……イゾルテは?」

 

 

ちらと、ニナはイゾルテを見た。

 

 

「読みましょうか?」

 

「お願いするわ!」

 

 

エリスは素直に、イゾルテへ手紙を渡した。

 

そして、イゾルテは手紙というものに想いを馳せていた。

昔、手紙が届くのを毎日のように心待ちしていた頃がある。

アルフレッドの手紙だ。

好きな男からの手紙というのは、貰えるだけで嬉しいものだ。

 

エリスがはしゃいでいる状況に、イゾルテは共感していた。

そんなイゾルテは便箋へと目を落として、中身を読み始めた。

 

 

「『前略、エリス様。ご無沙汰しております。ルーデウス・グレイラットです。私のことを覚えているでしょうか?あの時のことを、私は忘れることはないでしょう。あなたとの夜、あなたと添い遂げようと心に誓っていました』」

 

 

なんとも赤裸々だな、とイゾルテは思った。

というか友人のそういった夜の関係の話など、あまり読みたくないな、とも思っていた。

 

 

「『しかし、朝目覚めた時。あなたは居ませんでした。その時の喪失感や虚脱感は言い表せるものではありません』」

 

 

内容が不穏になってきた。

イゾルテとニナは、エリスを一瞥した。

 

 

「……か、書き置きは残したわ」

 

 

イゾルテは思った。

アルフレッドも昔、同じように黙って旅立とうとした時があった。

残された人からすれば、たまったものではないのだ。

 

ため息を吐いて、気を取り直し、手紙へ目線を戻した。

 

 

「『さて、こうして筆を取ったのは、あなたがまだ私のことを好きだと聞いたからです。てっきり、私は捨てられたと思ってましたが。もし、あなたが以前と変わらぬ気持ちであるのなら、私には受け入れる準備があります』」

 

 

何とも上から目線な手紙だ。

イゾルテは、ルーデウスとあった事はないが……既に、若干の嫌悪感を感じていた。

 

 

「『しかし現在、私には二人の妻が居るため、三番目の妻という事になります』……?」

 

 

あまりの内容に、イゾルテは手紙を見直した。

だが、何度読んでも同じ内容である。

 

妻が二人居るにも関わらず、そちらが良ければ三人目として迎えてやってもよい……という手紙だ。

 

思わず、イゾルテは手紙を握り潰した。

 

 

「酷い男ですね!既に妻が二人居ること自体がおかしいのに!三人目なら別にいいという態度……女を舐めてるとしか思えません!」

 

 

その場に居ないにも関わらず、ルーデウスに対する好感度は急降下した。

イゾルテはミリス教徒である。

伴侶は一人、生涯を持って一人を愛せという教えを持って生きている。

こんな性にだらしない男に、好感を抱く訳がない。

 

激怒するイゾルテに対して、ニナはちょっと引いた顔をしていた。

 

 

「そ、そう?エリスに配慮した手紙だと思うけど……」

 

「配慮!?愛してるの一言も無いのですよ!?それなのに、上から目線で!私はこのルーデウスとかいう男が、既に嫌いです!」

 

「き、嫌いって……勝手に出てったエリスにも責任があると思うけど……」

 

 

激昂するイゾルテと、宥めるニナ。

そんな二人に対して、当人であるエリスは空を見上げていた。

 

無表情で。

何も考えず。

 

ただ、空を見ていた。

 

 

「エリスさん!どうせなら、シャリーアなどには行かず、私達とアスラ王国に──

 

「……あれ?イゾルテ、もう一枚、手紙があるけど」

 

「……あら、そうですね。どうせ、下らない内容だと思いますが読みましょうか」

 

 

イゾルテはもう一枚の便箋を取り出した。

 

 

「『追伸。これから私は、龍神オルステッドに戦いを挑みます。勝てるかどうかは分かりません。もし生きて帰って来れたら、話の続きをしましょう』……?」

 

 

そこまで読んで、イゾルテはエリスへ目を向けた。

エリスの顔には笑みが浮かんでいた。

 

 

「急がないと遅れちゃうわね……イゾルテも来るんでしょ?」

 

 

ギレーヌが連れて来た馬に乗りながら、エリスはそんな事を口にした。

 

 

「……ええ、そうですね。その為に、剣を磨いて来たのですから」

 

 

ルーデウスとやらがどうなろうと、イゾルテには知った事ではない。

だが、友人がオルステッドに挑むと言っているのだ。

仲間を思う気持ちと、復讐心。

それを手に、イゾルテも馬に乗った。

 

 

「待ちな、イゾルテ」

 

「……お師匠様?」

 

 

そんなイゾルテに対して、レイダが待ったを掛けた。

龍神オルステッドという言葉を聞いて、表情を歪めたままだ。

 

 

「あんたが行くことを許した覚えはないよ」

 

「……しかし、お師匠様。千載一遇の機会なのですよ?龍神オルステッドと戦う機会です」

 

「だからこそ、言ってるんだ。孫娘をそうみすみすと無駄死にさせる婆は居ないよ」

 

「私が無駄死にすると?」

 

「そう言ってんだよ。あんたは龍神を何も分っちゃいない」

 

 

正直なところ、レイダは薄情である。

エリスが龍神と戦うというのに対して、剣士なのだから勝手に戦って死ねば良いと思っている。

だが、孫娘は別である。

イゾルテは次期、水神にも近い才気溢れる剣士である。

龍神と戦って死ねば、水神流の大きな損失となる。

 

 

「分っている相手としか戦ってはいけないのですか」

 

「そうは言ってないよ。でも、今はまだ未熟さね。そんな剣の腕で龍神と戦った所で、勝てはしないよ」

 

「そう言って、どれだけ剣を磨いても、戦わない理由を探し続けて……いつまでも龍神と戦わないのではないですか?」

 

「……言うようになったね」

 

 

無理矢理、手足を折って止めなければならないのか。

そう考えるレイダに対して、イゾルテは首を振った。

 

 

「止めないで下さい。この時のために私は剣を磨いて居たのです。戦う機会を、私から奪わないで下さい」

 

 

そう語るイゾルテの姿を見て、レイダは躊躇った。

昔の自分に似ていると思ったのだ。

やるべき事、なすべき事……そんなものより、やりたい事だった。

龍神オルステッドとも、戦ったことがある。

増長していた鼻をへし折られたことがある。

 

だが、生きている。

まだ生きている。

 

イゾルテの成長の機会を迂闊に奪うことが、正しい事なのだろうか。

 

 

「行くわよ!イゾルテ!急いでるから!ギレーヌも!」

 

 

そんな問答を無視して、エリスが馬を走らせた。

白い雪を蹴飛ばして、門を飛び出した。

 

遅れて、ギレーヌが追いかけるように出ていった。

このまま時間が経てば、追い付けなくなるだろう。

 

 

「では、お師匠様……いえ、お婆ちゃん。ありがとうございました」

 

 

イゾルテは話を切り上げて、馬を走らせた。

龍神オルステッドと戦うであろうエリスに、同行するために。

 

 

「ちょっと、待ちな!話はまだ終わってないよ!」

 

 

レイダは声を荒げたが、既にイゾルテの背中しか見えなかった。

ただ、ぽつんと……その場に、レイダとニナ、ジノは取り残されてしまった。

 

 

「……あの、バカ孫娘が」

 

 

レイダは後悔しつつも、馬を走らせられなかった。

龍神と戦うと口にする孫娘を追いかける事すらできなかった。

 

心は3つに裂けていた。

剣士ならば、戦って死ぬべきだという……剣士としての心。

孫娘に死んで欲しくないから、ついて行くべきだという……祖母としての心。

そして、龍神オルステッドと戦いたくないという……臆病な心。

 

渦巻く感情のまま、レイダはその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

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