咲-Saki-も異世界から来るそうですよ?   作:サイレン

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おっ待たせしましたー!

たくさんのお気に入り、感想、(高い)評価、感謝です!
これらはやっぱりモチベーションに繋がるので、是非とも今後もたくさん下さいです!

いや〜、このシリーズ書くの楽しいです!
咲様マジ魔王(笑)



ここからはステルスサキの独壇場っすよ!

"契約書類(ギアスロール)" 文面

『ギフトゲーム名 "FAIRYTALE in PERSEUS"

 

・プレイヤー一覧

逆廻 十六夜

久遠 飛鳥

春日部 耀

宮永 咲

・"ノーネーム" ゲームマスター

ジン=ラッセル

・"ペルセウス" ゲームマスター

ルイオス=ペルセウス

 

・クリア条件

ホスト側のゲームマスターを打倒

・敗北条件

プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

プレイヤー側のゲームマスターの失格。

プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・舞台詳細・ルール

* ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

* ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

* プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿()()()()()()()()()()()

* 姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う。

* 失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行することはできる。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム" はギフトゲームに参加します。

"ペルセウス" 印』

 

 

 

 

「姿を見られたら失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

「それだとあの()()も伝説に倣って睡眠中だということになるね」

 

十六夜の呟きに晴れやかな笑顔で咲が相づちを打つ。

因みに、ここでいう下種、下衆、又は外道というのは"ペルセウス"のリーダー、ルイオスのことである。

 

「流石にそこまで甘くはないと思います」

「YES! 恐らくあの()()は"契約書類"通り、この白亜の宮殿の最奥にて待ち構えていることでしょう」

 

ジンの主張に続く黒ウサギ。

あの比較的心優しい黒ウサギですら遠慮がない。

 

「そのため、まずはこの宮殿の攻略が最優先です。黒ウサギ達は透明になれるハデスのギフトを持っていません。ですので、綿密な作戦が必要になるでしょう」

 

このギフトゲームの肝は、姿を見られてはいけない、ということだ。

見られたプレイヤーは即失格。その時点でゲームマスターへと挑戦権を失う。但し、失格になったからといって参加資格は失わない。

そして最大の縛りとして、こちらのゲームマスターであるジンが失格したら敗北ということ。

纏めると以上のようになる。

 

この条件からとれる最善の作戦は一つ。

一人が囮役として姿を現し、敵戦力を殲滅。その最中に相手のハデスのギフトを奪い取り、宮殿最奥を目指す。

これが最も効率的である。

 

だがそれは、こちらが透明化出来ない場合の作戦。

 

「その必要はないよ、黒ウサギ」

「えっ?」

「だから、私たちに綿密な作戦なんて必要ない」

「どういうことですか?」

「……見せた方が早いかな?」

 

そう言って咲は、制服のスカーフを取り外す。

 

「みんな、よく見ててね」

 

咲はそのスカーフを真上へと投げ放った。

 

人の習性として、動いているものを目で追ってしまう、というものがある。

特に男性にその性質が顕著に現れ、それは原始の時代、狩りに行くことが多かったことからその時の経験がDNAに刻み込まれているとかなんとか。

そして、これを意図的に行うことを視線誘導、またはミスディレクションと言う。主にマジックなどで使われる技術だ。

 

咲は今、それを行った。

 

よく見ててね、とまで言われたら、普通そのスカーフを目で追う。事実、全員が上を向いていて咲から目を離している。

 

咲には、この一瞬の隙で能力を発動出来る。

 

ーーステルス

 

「「「「…………えっ?」」」」

「……へぇ」

 

花びらのようにヒラヒラと舞い落ちるスカーフと共に、視線を下げた先には咲の姿はなかった。

目を離したのは時間にして1秒にも満たない僅かな間。それでは満足に移動することも出来ないはずなのに、一瞬前までいた場所に咲はいなかったのである。

 

「咲さん?」

「どこに行ったのかしら?」

 

慌てて周りを見回す面々。

しかし、目の届く範囲で咲は見つからなかった。

 

そして、異変はそれでは終わらない。

 

「……あれ? 十六夜はどこ」

『えっ?』

 

耀の一言に、全員がキョトンとした声を出した。

 

「……確かに、十六夜君もいなくなってるわ」

「ど、どうなっているんですか⁉︎」

 

この緊急事態に耀は瞳を閉じて耳を澄まし、神経を研ぎ澄ませる。

ギフトで得た数々の動物の力で五感の感度を高め、感じることの出来る全感覚を使って咲と十六夜を

 

「耀ちゃん」

「ッ‼︎?」

 

不意打ちだった。

驚きのあまりに声をあげそうになったほどである。

だがそれもそうだろう。今咲は、全神経を集中した耀に気付かれないままに接近し、あまつさえ手を握ってきたのだから。

 

「分かってはいたが、本当に俺のことも見えてなかったんだな」

「……十六夜?」

 

耀の手を握っている逆の手の先にいたのは、いつの間にか姿が消えていた十六夜だった。

この段階になって耀はやっと理解した。

 

「……もしかして、これも咲のギフト」

「ピンポーン」

 

(咲は一体どれだけのギフトを持ってるの……?)

 

当たり前過ぎる疑問。

咲のギフトは多種多様であり、有能性が極めて高い。それだけでも反則である。

 

「さて、そろそろネタバラししないと飛鳥ちゃんが怒りそうだね」

「お嬢様の性格なら間違いなく怒るだろうな。除け者にされたって」

「それは困るなぁ〜。……じゃあ」

 

咲はこの悪趣味な悪戯を続行することにした。

 

 

 

 

「これで分かった、黒ウサギ?」

「……確かにこれなら作戦は要らないでしょう。ですが! そのために黒ウサギをいじめる必要はあったのですか⁉︎」

 

ステルス

 

存在感を意図的に絶無にする能力。

但し、箱庭の世界でいう霊格が高い相手には効果が薄いらしい。

十六夜を第一に巻き込んだのはそのためだ。

 

この能力は咲に間接的に触れているだけでも効果がある。

 

あの後、飛鳥を怒らせないように取った手段は、共犯者に仕立て上げることだった。

十六夜と耀が空いている手で飛鳥とジンを同時に触る。この時点で二人はステルスで消えている。

残されたのは黒ウサギだけになった。

面白そうなので暫くそのまま観察していた。

 

結果、黒ウサギ号泣。

「ウ、ウサギは寂しいと死んでしまうんですよぉ〜」と、震え声まで出す始末。咲はそれを見てアハハと笑っていた。鬼か悪魔か魔王の所業だった。

余談であるが、ウサギは寂しくても死なない。一人逞しく生きていけるはずだ! ご飯さえあれば!

 

「そろそろ突入するか」

「そうね、あの外道を暗殺しましょう」

 

飛鳥、最早ノリノリである。

 

「それじゃあ、ゲームの開幕ぐらいは派手に行くか!」

 

十六夜はヤハハと笑って門の前に移動し、

 

「ラアッ!」

 

轟音と共に、白亜の宮殿の門を蹴り破った。

 

 

 

 

宮殿の最奥、最上階に位置する天井が開けた闘技場にて、ルイオスは玉座に腰掛けていた。

 

「全く、"名無し"如きとギフトゲームなんて恥も恥。ホントあり得ないよ」

 

名も旗もない"ノーネーム"。

そんなところと形式上対等に、しかも決闘しているなんていう事実は、箱庭の常識的にもあり得ないこと。ルイオスの言う通り、恥ずべき行為でもあった。

 

「まぁ、いいか。負けるなんてあり得ないしね」

 

"ノーネーム"如きに負けるなどとは露ほどにも思っていない。

万が一に緊急事態になったとしても、こちらには切り札である星霊アルゴールの存在がある。

 

星霊アルゴール。

"メデューサ"、"原初(リリス)の悪魔"など多くの仇名を持つ魔王。

色々と説話があるのだが大部分を省略。結論だけ述べると泥酔していたところをペルセウスに暗殺・永久隷属させられた何とも間抜けな魔王である。

これだとただの間抜けだが、所持している恩恵は馬鹿に出来ない。

 

“ゴーゴンの威光”

 

世界の全てに石化の呪いを与える、正真正銘魔王に相応しいギフトを持っている。

また、星霊故にギフトを与える側の存在で、石材などの無機物を蛇蠍の如く変幻させる力や魔獣を生み出すことも可能。

 

持っているジョーカーの強さは圧倒的。

これこそが、ルイオスが敗北を全く考慮に入れていない自信の裏付けでもある。

 

「それにこのゲームが終われば、あの黒ウサギを自由に出来るとか最高でしょ!」

 

完璧に独り言なのだが、ルイオスはそれなりにテンションが上がっていた。

勝つことが当たり前で、尚且つルイオスは"ノーネーム"を徹底的に潰す算段である。それと同時に黒ウサギに色々と条件を付ければ、容易く隷属出来るだろうと踏んでいるのだ。

 

「他にも粒がいいの結構いたし、ガキ共はまた好色家の豚にでも売り払えばまぁ金になるだろ。何だよこれ! ようやく僕にも運が回ってきたじゃん!」

 

既に勝った気でいるルイオスは、興奮抑えきれない様子で、この後の未来予想図を思い浮かべる。

下衆極まりないこの発言の数々。

例え誰かに話し掛けていたとしても、言い憚れるような内容だ。

事実ルイオスはただ舞い上がっているだけで、誰かに聞かせようと言っているわけではない。

 

……言っているわけではないのだが。

 

まさか、それが当の本人達に聞かれているとは思ってもいないだろう。

 

「やはりこの外道は今すぐ殺すべきだわ」

「賛成」

「異議なし」

「ギルティです」

 

因みにこの会話、ルイオスの目の前で行われている。

 

「多数決的には決定ね。十六夜君も文句ないわよね」

「……あぁ、好きにしてくれ」

「ジン君は?」

「どどどどうぞ飛鳥さんの思うままに」

 

"ノーネーム"の面々は、誰にも気付かれることなく、また、宮殿内を歩くこともなくここまで辿り着いていた。

全員で手を繋いでステルス化した後、絶対安全圏を足場として利用し、宮殿最奥、最上階であるこの天井が開いた闘技場まで移動してきた。

そしてこれまた面白そうなので、ルイオスを暫く観察していた。

 

結果、普通に不愉快だった。

話し合いなどする必要なく死刑決定。

 

十六夜的にはそれはつまらないのだけれども、氷点下を優に超え絶対零度まで冷え切った女性陣の瞳を見て諦めた。その眼差しはあの十六夜ですら恐怖を覚えた。うん、怖い。

ジンは随分と前から青い顔をして震え上がっている。付け加えて右手を耀に、左手を飛鳥に握りつぶされているので手が真っ青。凄く痛そうだ。

 

「一応、一ついいか?」

「何でしょうか十六夜さん?」

「契約書類のゲームマスターを打倒ってのは、殺っちゃってもいいのか?」

「YES! ですので、この下衆は殺っちゃっても問題ありません♪」

 

ルール違反にならないという、ルイオス最期の砦が今崩された。

十六夜は溜め息一つ零して。

そして。

テンションに身を任せることにした。

 

「よし!んじゃ殺るか!」

『せーのッ!』

「…………はっ‼︎?」

 

一斉に手を離し、姿を現わす。

ルイオスは突然過ぎる展開についていけてないのか、驚愕の声を上げていた。

 

「やぁっ!」

「ーー赤口!」

「はぁっ!」

「ラァッ!」

「ア、アルゴッーー」

 

勝敗は既に決していた。

 

星霊アルゴールを召喚させる暇すら与えず、左から飛鳥はギフトカードより取り出した白銀の剣を、右から咲は能力で出現させた炎の剣を、前から耀は電気ウナギより授かった紫電を纏った右手を、最後に十六夜はそのガラ空きな腹部にアッパーカットを、それぞれルイオスに振りかざした。

 

「ガハァッ……⁉︎」

 

鋭利な裂傷と焼け爛れた裂傷。加えて紫電に全身を焼かれ、十六夜により第三宇宙速度の勢いで上空に飛んでいくルイオス。

この時点で十六夜は追撃する気は消え失せていた。第一にあんな雑魚と遊んでも面白くなさそう。第二に弱い者イジメよくない。

 

だが、女性陣はそうはいかなかった。

 

いつの間にか菫色のリングを瞳に浮かべ無極点状態、更に神格まで宿している咲。

咲は続けて右手に台風を纏い、

 

「プラマイゼロ」

 

能力を使ってルイオスの背後に瞬間移動。この時自然に、対象を言わずにプラマイゼロにする術を咲は身に付けた。

コンマ一秒もせずに自身に迫るルイオスの背中。通常状態なら反応も出来ずに巻き込まれてしまうだろうが、今の神格を宿した咲の身体能力はそれを容易に可能にする。

 

「はぁぁっ!」

 

先日襲いかかってきた構成員には手加減したが今度は全力で、文字通り地の果てまで叩き飛ばすつもりでその背に右手を叩きつけた。

 

「ガッ……⁉︎」

 

ルイオスは打撃と共に纏っていた風に切り裂かれ、錐揉み状に吹き飛ばされながら闘技場中央にその身体が打ち付けられる。

闘技場の地盤が砕け陥没。大量の粉塵が視界を覆い隠す。

 

「邪魔」

 

それを耀がグリフォンから授かった風を操るギフトを利用し晴らす。

その先に見えたのはボロ雑巾のように無様な姿を晒すルイオスだった。それでも流石"ペルセウス"のリーダー。まだ息の根も意識もあるらしい。

それを見てジンと十六夜は同時に思った。

可哀想に、意識がなければまだ楽だっただろうに、と。

 

「……こ、…の!」

「あら? 不愉快な声が聞こえるわね。外道は外道らしく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「ッ……⁉︎」

 

飛鳥のギフト“威光”

有する能力は絶対遵守の力。但し霊格の高い相手には通用しない。

本来ならルイオスにも効かないのだが、ボロボロの現在のルイオスには機能するようだ。

飛鳥の言霊通り、立つことすら許させれずに地に這いつくばっているルイオス。

それにトドメを刺したのは耀。

上空から飛行能力を存分に利用し勢いを付け、象より授かった質量を脚に集約。

 

「はぁぁぁっ‼︎」

 

そして、勢いそのままにルイオスを踏み潰した。

 

衝撃と轟音。

 

一点集中したその破壊力は闘技場を、白亜の宮殿を崩壊させるのに十分以上のものだった。崩れ行くその中、ルイオスは降り注ぐ瓦礫に埋もれ、もう姿すら確認出来ない。

耀は飛鳥を抱えて避難。咲が足場に利用していた絶対安全圏に移動して、晴れやかな笑顔でVサインした。

 

「Vッ!」

「耀ちゃん最高っ! 大分スッキリしたよ!」

「よくやってくれたわ春日部さん!」

 

ある意味で大惨事の前なのに、女性陣はキャピキャピ盛り上がっている。

その光景を側から見ていたジンと十六夜。震え上がったジンは一言。

 

「…………こ、怖い」

「俺もそう思った」

 

不用意な発言で女性を敵に回さないようにしよう。絶対に。ジンは心に誓った。

 

 

 

 

その後、結果から言うとレティシアは無事奪還。

"ペルセウス"は"サウザンドアイズ"から追放された。

 

…………因みに、ルイオスはなんとか一命を取り留めたようだ。




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