個性チャクラで影分身 作:切って捨てて
緑谷と爆豪チームがオールマイトを相手に、まさかの脱出ではなく専用の手錠を付けての勝利。
もうね、A組全員がビックリ仰天したでござるよ。
なお、なーぜか爆豪により一層睨まれるし、「次はテメエだ、絶対ぶち殺してやる」と殺人予告されたでござる。
「これってどこに訴えたらいいでござるか、相澤先生」
「そうだな。少なくとも俺じゃないことは確実だ」
ひどい。心に傷を負った生徒を適当にあしらうとはでござる。
林間合宿に向けて重要な話があると言うでござるから、こうして職員室に来たというのに。
「早く話を始めて頂けないと5秒で泣くでござる。主に担任の冷たい態度による心理的ダメージにでござる」
「傷も何も気にしてないだろ。それと、男が泣いてもみっともないだけだぞ」
え、辛辣過ぎない?
「それで話だが」
え、このまま話し始めちゃうでござる?
「今度の林間合宿だが、有事に備えてお前にいくつか口寄せ用のマーキングを付けて欲しい」
「生徒に頼むことではないでござるよ。それほどに警戒するならやらない方がいいと思うでござる」
「そうも言ってられない事情がある。雄英体育祭で学校側の体制が盤石な姿勢を見せたが、ヒーロー殺しの一件でヴィラン達が調子づいている。特に敵連合、こいつらはヒーロー殺しとも関わりがあったことも調べがついている。ここで予定を変更、取りやめでもしたらメディアはどうでもいいが、ヴィランどもがさらに調子に乗る」
はへー。学校側も大変にござるね。
儂様としては、危ないなら危ないで別の合宿とかでもいいと思うでござるが。
「もちろん、林間合宿にはこれまで以上の警戒態勢を敷く。だが打てる策を打たないのは合理的じゃない。あくまで最終手段、戦闘のためではなく避難と情報の伝達のためってところだ」
「なるほどにござる。マーキングについては承知したでござるよ。運営側の事情も儂様では畑違いでござるし、必要であれば要請を受けるでござる」
「話が早くて助かる。早速だが、必要分のプレートを用意した、これらにマーキングを付けてくれ。一応、どこに配置するかは当日説明する」
これまた前回同様のプレートを何枚か渡されたので、ちょちょいとマーキングするでござる。
「しかし、これほどまでに先生方が苦慮するとは、事態は表に出てないだけで暗いところがあるようでござるな」
「そこらへん含めて俺達プロの仕事だ。お前たちが気にするところじゃない」
「USJの一件を見ても、そうは言ってられなくなりそうでござるな」
「先に言っておくが、合宿中に何かが起きたとしても戦おうなんてするなよ」
まさか釘を刺されたでござる。
自慢ではないが、身の保全において儂様ほど考えている人はいないと思うでござる。
「もちろんでござるよ。避けられる戦闘は避け、情報の即時伝達を主として指示通り動くでござるよ」
「ま、忍堂についてはそこまで気にしてはいない。USJとヒーロー殺しの両方で、自身の身の安全を第一にした行動を取っているからな。だが、A組には無鉄砲な連中もいる、お前の目指すヒーロー像ならそう言った場面を見逃すとは思えない」
すんません、ステインのは序盤はともかく中盤はバリバリやろうとしてました。
それにしても、ほんとこの先生、いつもダルそうな顔してるのに生徒のことをよく見ているでござる。
あ、感心してたら睨まれたでござる。
「いいか。無茶な行動は絶対にするなよ。認めたくはないが、斥候やおとりにかく乱をリスクゼロで実行可能なお前の個性は、有事の際に最も頼りになる。A組の中でも頭が切れるんだ、ないことに越したことはないが、そんときは優先順位を間違えずに行動してくれ」
「御意にござる」
なんというか、物語がどんどん進んでいる感じがするでござるよ。
というか、学生が巻き込まれるストーリーがままあるのでござるが、当事者としては勘弁してほしいでござるよ。
「お! 忍堂戻ったか!」
教室に戻ると、上鳴たちがワイワイと盛り上がっていたでござる。
「どうしたでござるか、林間合宿補習組の上鳴」
「おま、ほんと言葉選べな? 逆転したと思ったら針地獄なんだぞ」
学期末試験では筆記による不合格者はゼロにござったが、実技試験の方で何人かは不合格になったでござる。
しかし、個性把握テスト同様やる気にさせるための虚偽らしく、ペナルティはあるものの全員が合宿に行けることになったでござるよ。
「これから皆で林間合宿用に買い物しに行くんだよ。お前も行くだろ?」
「おー、そう言うことにござるか。もちろん参加するでござるよ」
皆には教えてないでござるが、儂様にとって荷物は封印術で持ち運べる故、どれだけ揃えても問題はないでござる。
相澤先生の話もあったでござるし、万事に備えるためにも物資の確保は急務でござる。
なんて、この時はのほほんと思っていたでござるよ。
「ござるござる。全身に手をくっつけてはいないが、USJにいた者でござるな」
会話が聞こえないほどに離れた物陰から、緑谷と話す男を見て儂様はどうしようかと頭を捻っているでござる。
ショッピングに来た儂様たちは各々で買い物を済ませる話になり、色々入用な儂様が分身体も使って用事を済ませていた時、分身体からフィードバックを受けて現場に駆け付けたでござるよ。
攻撃されたわけではなく、自ら分身を解除したでござる。
「それにしても、緑谷の汗。尋常ではござらんな」
普段からてんぱりやすい緑谷だが、平時の比ではござらん。
奴の手は触れただけでアウト。
しかし、緑谷は掴まれているのにこれといった個性の発動は感じられぬでござる。
任意で個性の発動が可能ということでござろうか。
「ござる。これは緑谷が主人公ということでござろうか」
ヒーローがヴィランと対峙、対話するのはヒーロー物の常にござる。
バットマン然り、アイアンマン然り、スパイダーマン然り。
主人公はオールマイトだと思っていたでござるが、緑谷の確率が高まったでござるよ。
緑谷が主人公ならこんな中途半端なところでは死なぬはず、現実的に見てもヴィランが現時点でそうしていない以上、あくまで対話中でござろう。
「影分身の、と」
分身体を緑谷の救援に向かわせようかと思ったでござるが、麗日が来てしまったでござる。
この場でことを成すには人も多い。手詰まり、でござろう。
現時点における儂様の勝ちは人的被害を防ぐこと。
ヴィランの個性の発動起点である腕を切り落とす。
最悪は息の根を止めるでござること。
分身体を出し、方々に配置。
ヴィランが何もせず帰るなら尾行。
ことを起こそうというなら実力行使にござる。
「……」
ヴィランがなにもせず、緑谷から離れていったでござるな。
とりあえず一安心にござる。
さてと次は尾行を、と思ったらだめでござったか。
確か黒霧でござったな。奴がいたんじゃ尾行なんて無理でござる。
これ以上の行動は危険でござるな。潜入の考えもござったが、得た情報の使い道も限られるでござるし、接触手段がないでござる。
オールマイトという最強の存在がいて、それでも襲う選択ができた者達にござるよ。最低でもオールマイトと対等か勝てる存在がいる。
これを前提とするなら、今の儂様では対応不可。ロックリーやマイトガイのような力を使えればでござるが……。
(ふむ。儂様は何時から英雄思考になっていたでござる?)
ふと気づく。
一人でどうにかしようとするなんて、そんなのは一部の強者や無謀なヒーロー思考を持つ者だけでござるよ。
(緑谷達に、あてられたでござるか)
一度、自分を見つめなおす必要があるでござるな。
儂様の力がどれほどで、何が目的なのか、目的のためにどこまでやれるのか。
現場での迷いには百害あって一利なしでござる。
「おーい! 忍堂!」
峰田が呼んでいるでござるな。
緑谷の調子は流石に戻っていないでござるか。
「ござるござる。もう皆は買い物が終わったでござるか?」
「とっくにな。そういう忍堂は終わったのか?」
「もちのろんでござる。御覧の通り」
背後に山のように積み重なった積み荷を見せれば、めっちゃ驚愕されたでござるよ。
「おま、限度ってもんがあんだろ」
「ござるござる。儂様の限度はこれでござるよ」
「持ち運びどうするの、浮かせようか?」
「忍術でどうにかするでござるよ」
ま、それはそれとして、学生らしく林間合宿を大いに楽しむでござるよ。
☆
(ここ以降は儂様のステータス関係のWiki文体なので、読まなくても問題ないでござるよ。今後の作中でポロッと説明が出てくる可能性もあるでござるし、説明なしに出てくる可能性もあるでござる。儂様的には後者の方が想像できるし読みやすい派でござる)
夏休み。それは授業がなく家で一日中ゴロゴロできる魅惑の言葉。
そんな学生にとってのビッグイベントにて、儂様は庭で座禅を組んでいたでござる。
理由は明白。修行でござる!
チャクラの個性を得てから今日まで、儂様はチャクラコントロールの修行を暇があれば行っていたでござる。
授業に影分身を出させて、家で体を鍛え、個性のチャクラ生成能力を高め、チャクラコントロールをひたすら繰り返したでござる。
忍術や体術は影分身で修業すれば効率的でござる。
チャクラを練り、影分身をどんどん生み出して術の修行を行う。
本家とは違い、チャクラが外付けバッテリーであり、チャクラを使い切っても一切疲労しない、儂様だけの特権にござるよ。
チャクラを練るのには相当数のカロリー消費にござるが、現代の発達した文明においてカロリーだけを効率的に摂取するのは容易にござる。
ここらで整理するでござるよ。
現時点の儂様がMAXまでチャクラを練る場合、体に疲労がなく動かず集中を乱されない最大効率で5分にござる。
実戦でやるなら10分前後を目安にするでござるよ。
そして、一度にもてるチャクラ量。
塩梅が正直分からぬでござるが、職場体験直前に覚えた水遁水鉄砲なら大体40発前後にござろう。
原作には不可能な、チャクラの消費と生成を繰り返して増やした、子供のころから鍛えた成果でござるよ。
しかし、影分身を多用する儂様にとってはこれでも足りなく感じているでござるよ。
USJで11人に分割すれば、1体3発にござる。分身体の活動にもチャクラの動きによっては2発。
ま、ここら辺は本体が隠れてチャクラを練りながら、都度分身体を出せば問題はないでござる。
次に術。
メインの影分身、口寄せ、封印術、分身、変化。これが幼き儂様がひたすら鍛えて会得した忍術にござる。
水遁、土遁はUSJ襲撃を機に慌てて練習したでござるよ。
師匠がいないゆえのアンバランスには目を瞑るがよいでござる。
そして、現時点の儂様が抱えている問題は二つ。
本体が直接戦闘する場合、チャクラ切れの問題
USJの脳無のような、身体能力や特殊な防御を持つ個性に対しての火力不足。
水鉄砲は確かに強いでござるが、レーザーと同じように射線管理が大変にござる。
なので、これはNARUTOと言えばおなじみ、螺旋丸の会得を目指す。というかもう螺旋丸自体は作れるでござるよ。チャクラコントロール全ぶっぱの儂様舐めんな!
ただ、戦いながらというのがちとむずいでござる。
儂様の目標は、螺旋丸の準備を近接戦闘中に行うことでござる。
水針同様、印を結ばない利点があれど明確な溜めが入るのはいただけないでござる。
螺旋丸の拡張性をもってすれば、投擲や儂様のチャクラ性質である水と土を混ぜてバリエーションも増やせるでござる。
なので、こっちは近々できるでござるよ。
問題はこっち。
本体が戦闘に参加する場合のチャクラ切れにござる。
うーん。これも一応解決策は考えているでござるが、一個問題があるでござる。
解決策は簡単で、封印術で体や物にチャクラを封印。必要になれば解除してチャクラを瞬時に回復するでござる。
できるかできないかで言えば、できる。てかできたでござる。
ただ、一個問題があるでござるよ。
体に封印する場合、めっちゃ入れ墨っぽくなるでござる。学校と親にめっちゃおこられるでござるよ。
じゃあ物にすればと思うでござるが、物から体にチャクラを戻す場合、効率がちと下がるにござる。
大体10分の1でござるよ。影分身ですら、フィードバック時に戻ってくるチャクラ効率はそこまで高くないでござるのに、自分以外の物に封印すると、体に戻る間で四散してしまうでござる。
「あ、食えばいいのか」
思い立ったなんとやら、とりあえず適当な食い物にすこーしだけチャクラを入れて、そのまま食べるでござる。
ぶっ倒れたでござる。
目を覚ましたのは夜、親にめっちゃ怒られたでござる。
どうやら、チャクラ効率が悪いのは空中で四散するからではなく、体が外部からチャクラを一度に吸収できる量があるっぽいでござる。
胃という吸収用に密閉された空間のせいで、無理が来たということでござる。
少量だからセーフでござったが、多分MAX分を入れてたら体内で爆破してるでござるよ。
仕方がないので、バレにくい場所に封印することにしたでござる。
場所? 尻二つでござる。
息子にもと考えたでござるが、万が一を考えて避けたでござる。
夜。皆が寝静まったのを見計らって儂様は布団から出たでござる。
気配を消して、音を立てずに外に出ると、封印巻物からとあるものを取り出したでござる。