個性チャクラで影分身 作:切って捨てて
林間合宿当日、まさか同じヒーロー科であるB組と顔を合わせたりしつつも、儂様達を乗せたバスはとある場所に向かったでござる。
「ござるござる。森の中で野生と戯れ心身ともに修行する。これが本当の林間合宿にござったか。儂様認識を改めるでござるよ」
「うっせ忍堂てめーずりーぞ!」
「ござる?」
「ござるで感情表現してんじゃねえ!」
儂様、ただいま分身体が身に着けている背負い籠の中にいるでござる。サスケもこんな感じでヌクモリティ感じてたのかな。
木々を忍びらしく走っているゆえ、乗り心地は最悪にござる。今度座布団もってこよ。
「つかオイラ達も同じように運べよ!」
「ござるござる」
「愉快愉快って言ったぞ! 絶対言った!」
「峰田君! それよりも周りに注意してっ!」
緑谷達が走りながらも土の動物たちと元気に戯れているでござるよ。
儂様? 分身体が四方で露払いしているでござるよ。
現在もチャクラを練っては分身体を作っているでござる。
本格的にバッテリー内蔵発電機職が板についてきたでござるな。
「ござるぅ……」
「あ、なんか気落ちしてる」
「めんどくさいアイデンティティ身に着けてんなアイツ」
分身体が消えれば、土魔獣と戦っていた経験がフィードバックするゆえ、決して無駄にさぼっているわけではござらんよ。
あ、カロリー補給しないと。
「ござる~」
「くっそ~!! なんであいつだけ優雅に飯食ってんだよ!」
「移動、偵察、継続活動、人海戦術、すごい! 自分の個性の弱点をカバーしつつも、スタミナを残して有事の際に備えた万全の構え……!」
「あぁ~っ!!! オイラだけなのか!? 緑谷にツッコミたいのはオイラだけなのかあああ!?」
ちなみに、どうしてこうなっているかというと。
この林間合宿に外部顧問として参加したヒーロー達。ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツなる者達による、初日からのしごきにござる。
本来の合宿所までの遠い森、ピクシーボブなるヒーローによって生み出した自律型土魔獣の群れを切り抜け、合宿所を目指せとのことでござる。
なお、逆口寄せは禁止されてるでござるよ。
なので、こうして分身体に背負われながら、もとより考えていたこの運用を試しているでござる。
「峰田ちょっとうるさいでござるよ。儂様真剣にござる」
「~~~~っ!!!!!」
「み、峰田君落ち着いてっ」
なーんでござるか。せっかくリソースを割いて、ちょいと数減らしも行っているでござるのに、文句言われたでござるよ。
「よし、儂様達! 次の検証でござるよ!」
頷いた分身体が土魔獣に飛びかかるが、先ほどまでの忍具を使った攻撃ではなく、手のひらや指先を土魔獣に当てる。
触れられただけの土魔獣が、きりもみ回転しながら吹き飛ぶか、内部から爆散したでござるよ。
同時に、土魔獣に触れていた分身体のうち、数体がチャクラ切れによってポフンと消えたでござる。
「に、忍堂君! 今の何!?」
「すっげー。触れただけで土魔獣が木っ端みじんだぜ」
「水を使った様子もなかったぞ、あの時とは別の術ってことか……」
何をしたのか、NARUTO読者の皆様ご存じ螺旋丸でござる。
寝ても覚めてもチャクラコントロールを続けて来た儂様にとって、純粋なチャクラコントロールの集大成である螺旋丸は相性が良いでござる。
「影分身の術! 次は最小で頼むでござるよ!」
しかし、螺旋丸をまともに使えばチャクラ消耗は高いでござる。
オーバーキルもいい威力でござるし、強敵以外にはコスパ最悪でござる。
だからこそ、チャクラ消費量を下げた小玉螺旋丸による攻撃を試すでござる。
「小玉螺旋丸!」
消費を抑えた一撃でも、土魔獣が数十メートルは吹き飛んだでござるよ。
「分身体、どうでござる?」
「消費量は通常よりも半分以下に抑えられたでござるよ。小さい分コントロールも容易。これなら練習次第で体術に織り交ぜての行使も可能でござろう」
ふむ。いい感じにござるな。
やっぱり的当てよりも実戦形式で試した方が経験値が多いでござる。
ちょうどいいところに超大型の土魔獣が出たでござるよ。
螺旋丸でも十分にござるが、ここは試しでござる。
「次にござる。儂様達!! 大玉の用意でござる!」
MAXチャクラの半分を持つ分身体が10体。実質的に5倍のチャクラが集まり、一つの大玉な螺旋丸を作るでござる。
これだけやっても、NARUTOが使う大玉より少し大きい程度。
本家の九尾有り螺旋丸の常識外れ感でござるよ。流石、少年時代から終盤まで格を落とさなかった術に恥じぬ拡張性にござる。
「儂様特製! 五倍螺旋丸!!」
大玉はちょっとダサいので、技名は野菜星人方式にするでござる。
上半身サイズの螺旋丸が、超巨大土魔獣と衝突。
爆ぜる空気の振動が周囲の木々をなぎ倒し、地面を抉り、巨大土魔獣どころか進行方向の木々すら飲み込んでいく。
圧倒的な暴力の爪痕が、合宿所までの景色を綺麗にしてしまった。
「分身体、どうでござった?」
声を掛ければ、倍付螺旋丸を放った分身体と、周囲に散っていた観察用の分身体が複数体集まってくるでござる。
「想像以上にござる。だが意外にも、込めたチャクラ量以上の火力でござった。おそらく10人で同時にチャクラ制御をした結果、通常よりも強烈に圧縮された結果と推測するでござる」
「なるほどにござる。もとより螺旋丸の威力はチャクラを高速に回転、圧縮させたものを解き放つ反動によるもの。複数人で行う場合はチャクラ量よりも、コントロールの方が威力以上にメリットがあるでござるな」
「脳無のような、高耐久高パワー近接タイプの相手には、隙が少ない小玉螺旋丸が適任でござろう。操作が容易な分、少ないチャクラで威力を上げやすいでござるし、持久戦に強い儂様の方向性とも一致するでござる」
「威力はともかく倍付け螺旋丸は、オールマイトなどには悪手でござるか。ゴジラ向けでござるな。アレ込みなら別にござるが」
「儂様としても、通常の運用は影分身と水遁を併用したほうが効率的でござるよ。過剰なダメージを抑えるよりも、毒を水針系統に仕込めばいいでござる。脳無といった薬が使えない相手を前提とするなら、確実で安定した小玉が運用しやすいでござる」
「そもそも、儂様一人で物事を解決するなんて驕りでござる。大前提が本体の安全にござれば、戦線の即時離脱や回避系も増やすべきでござる」
「手数を増やすのはいいでござるが、その分とっさの行動にタイムラグが発生するでござるよ。そもそも、本体の安全は分身体である儂様達が優先的に行うでござる。その間にアレを使えば撤退は可能でござる」
「ふむ。安全面はアレがある以上、現時点でも安定している認識にござる。まずは戦闘の安定が急務にござろう。アッチもこっちも手を出すには分身体が足りないでござる」
「致し方なしでござるか」
林間合宿の内容はまだ分からぬでござるが、ある程度の方向性は決まったでござるな。
儂様会議を終了すると、緑谷達が凄い目でこちらを見ているでござる。余裕あるでござるなー。
「緑谷」
「なに、峰田君」
「オイラ思うんだ、アイツのヒーロー名は護影なんて謙虚な名前じゃねえ。ワンマンアーミーの間違いだぜ」
「確かに。本体が無事な限り、半永久的に補充される戦闘集団だよね。しかも脳内会議みたいに自分たちで意見交流までしてるし」
「さてさて、道も開けたでござるよ。皆ついてくるでござるー」
爆豪がまたすんごい形相でこちらを見ているのが怖いでござる。
さっさと逃げるでござるよ。
そして、到着した箱入りな儂様に相澤先生が物申したげでござったが、合理的の前には些事でござるよ。
「飯だー!!!」
「うめえ! うめえよぉ!!」
儂様もチャクラを練るのに消耗はしたでござるが、動き続けていたA組の消耗は激しいでござるよ。
WWP(ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ)の方々が用意してくれた飯に凄い勢いでがっついているでござる。
「忍堂、オメー移動中も食ってたのにまだ食うのかよ」
「儂様のチャクラの源でござるよ。食わんと身体エネルギーを消費してしまうでござる」
「なるほど、八百万さんの創造と同じ理屈だね」
飯を食えば元気になるようで、疲労困憊気味だった緑谷達も元気を取り戻していったでござる。
そして、飯が終われば汗泥その他を流すため風呂に向かうことになったでござる。
「オイラ、待ってたんすよ。この瞬間を」
「おい、峰田が悟り開いた顔してんぞ」
「女子が向こうにいるっつう極限の状況で、峰田の欲望が限界突破してんな」
「峰田君! 女子風呂を覗く行為は、彼女たちと君自身を貶める行為に他ならない!」
「うるさいんすよ。飯田。こういうお約束事には、無粋なんすよ」
峰田よ、お前はどこに向かっているでござるか?
ん? 肩を叩いてどうしたでござるか、瀬呂。
「アレ、アレだよ。雄英体育祭で見せたあれ、チアの」
「嫌でござるよ。あの時と違ってこの状況では面白くないでござる」
「女子をあの性欲魔人から守るためだと思って! な!」
守るためにござるか。
確かに、男にとっては些末なことでござるが、性別が違えば踏み越えてはいけないラインも変わるでござる。
A組の女子は育ちの良い子ばかり。麗日に至っては緑谷ラブでござるよ、肌を見せたい相手よりも先に変態の魔の手に掛かるのは忍びないでござる。
「え、忍堂君なんで僕を見るの?」
「瀬呂、緑谷に感謝するでござるよ」
「お! つうことは!」
「いざ! 影分身の術! そして変化!」
「おーい峰田! こっちこっち!」
「なんすか。オイラはいまヴァルハラへの壁を超えるんすよ。些事に構うなんて言語道断なんすよ」
壁にモギモギ第一投した峰田が、こちらを見た。
今にござる!
「秘儀! おいろけハーレム、林間合宿ドキドキ混浴の術!」
総勢7体のタオル美女に変身した儂様を見て、悟り顔だった峰田の顔がなんかこう、爆発したでござる。
目なんか飛び出てるでござる。
「ウッヒョー! これなんだよなア! オイラが求め続けた美女との混浴ゥ! オイラのヴァルハラはここにあったンダアアアアア!」
もはや中身が儂様だとかどうでもいいのでござるな。
高まった性欲をさらけ出し、ついでにタオルも取っ払って色々さらけ出した峰田が突っ込んできたでござる。
「ござる。普通に嫌でござるよ」
みぞおちに一撃、からの顎をかすめる追撃で脳を揺らすでござる。
「ギャピッ!?」
サボーン! と着水した峰田を緑谷が回収。
「一件落着にござる!」
「お、おぉ。峰田を止めてくれたのはありがてえんだけどよ。その……」
「くぅ! 中身が忍堂だって分かってるのに、なんだこの抗いがたい誘惑感は……!?」
切島、瀬呂。それだけではなく大半が顔まで湯船につかってしまったでござる。
「……ござるぅ」
ニヤリ。そう言うことでござるかぁ。
「おい瀬呂! お前のせいだぞ! 性欲魔人倒すために七武海現れてんぞ!」
「ござるござる。面白くなってきたぜござるよおおおおお!」
「やっべ、忍堂がやる気になった!」
「上鳴電気だ! ダメージで影分身は消せる!」
「うぇ?」
「儂様が戦術的ミスを犯すはずがないでござるよ。上鳴はすでにこちらの手中にござる」
「上鳴がヤラレターッ!?」
「轟! 温泉ごと凍らしてくれ!」
「ダメだろ。施設にダメージがいっちまう」
「いざゆかん! 林間合宿という非日常に舞い降りたドキドキ混浴祭りでござるウ!」
轟と爆豪はダメでござろうが、それ以外は面白い反応をしてくれるはずにござるよ。
そうして飛び込もうとした儂様だったが、パシっと布が儂様達に巻き付いたでござる。
「忍堂」
「ア、ドモデゴル」
ん~。相澤先生の眼力こえーでござる。
「お前、補習組行きな」
「おかしいでござるよ先生。確かにはしゃいではしまったでござるが、友達とのお遊びでござ」
「補習、したいよな?」
「ご、ござるぅ~……」
おかしい。
女子を魔人から守ったはずなのに、なぜ儂様が怒られるのでござる。