個性チャクラで影分身 作:切って捨てて
どもども、敵連合所属改め、超常解放戦線幹部補佐と文字が増えたオイラです!
正直、ここまで事態が大きくなるとは思わなかったっすよ。
マキアの屈服から氏子に対してのマーキング。これらが完了すればいよいよ、と思っていたでござるが、まさかの異能解放とか意味わからん思想持ちの集団に喧嘩売られるわ。
万単位VS数人というアホみたいなバトルに巻き込まれて、逃げ回っていたらいつの間にか仲良くなってるし。
つか、プロヒーローがなんでテロリズム!? とか、なんか幹部補佐として荼毘センパイの下に配置させられてたりと、もう何が何やらでござるよ。
正直、ミルコのところに顔出す余裕もあまりなく、学校には分身体を派遣するのみで、基本コッチ勤めでござるよ。
いや、マジでどうしよ。
クソヒーローがテロ参加してるこの事実。もう諦めて特大爆弾投下しようかなって思い始めた今日この頃にござる。
「あれ、君って確かトビ君だよね? 元敵連合下っ端の」
「え、初対面で貶されたんすけど!? しかもNo2じゃないっすか、マジすか!?」
リデストロと名乗る元喧嘩相手の番長と仲良くなった結果、貧乏生活が嘘のような豪華絢爛な拠点に引っ越して数日。
ようやく開発にこぎつけた起爆札を設置する場所探しをしていたとき、まさかのNo2プロヒーローに出くわしてしまったでござるよ。
もう終わりだよこの国。最悪壊理ちゃんだけでも国外に攫おうかなって本気で思うっす。
アメリカとかニンジャー! って言ってたら金稼げそうだし。
ニンジャー! ニンジャー!
「No2がこっち側に来るなんて頼もしいっすね!」
「まあね、俺も今の社会に色々不満があってさ。ヒーローやってると色々臭いもん見るんだよ」
「へー。ヒーローも世知辛いっすね」
にしても、No2がどうしてオイラに話しかけて来たんだろ。
ぶっちゃけ、敵連合所属ってだけで幹部補佐に配置されたみたいなところあるし。
「ちょっと気になってるんだけど、どうして君は敵連合に所属してたんだい?」
「なんすかいきなり怖いんすけど」
「やだなー。雑談ですよ雑談。ほら俺ってNo2だし、新参だしで少しでも馴染めたらなって。嫌なこと聞いちゃったよね、ごめんね」
すっげーフレンドリー。アタシこの人にときめいちゃう!
まぁ、この手の質問がほかの解放メンバーから聞かれなかったわけじゃないし、答えるのもやぶさかじゃないよね。
だって嘘だし。
「こっち、来てもらってもいいっすか?」
演出は欠かさない。
誰もいない物陰に誘導して、仮面と布を少し外す。
「これっすよ」
「……これは?」
あ、ちゃんとエンデヴァーに燃やされちゃったって設定は守ってるっす。
なので、仮面の下には炎症で焼けただれた顔があらほらさっさって感じっす。
「チンケな物取りしてた時っす、エンデヴァーに顔を焼かれて。逃げて。でも、オイラの個性はこんなんっす。戦うこともできなくて逃げて逃げて、顔もこんなんなって。こんな生活が続くのかって思ったときに、敵連合を見たっす」
後輩ムーブって意外に楽しいよね。分かる?
「超かっこよかったっす! 社会のはみ出し者だったオイラ達が、こんなことするヒーローにやり返せるんだって。世界をひっくり返せるんだって!」
ごめんエンデヴァー。
轟の話聞いてから、元からヤベー奴だし、まあええやろでスパイス扱いしてます。
自分の子供にあんなことするぐらいだし、敵ならもっとやっちゃうよね? の精神っす。
「ま、だからってオイラの個性が強くなるわけじゃないんで、それならせめてセンパイ達のお手伝いをって!」
「なるほど。君が彼らをセンパイと呼ぶのはそういうことなんだね。うん、君は頑張り屋だね! いいと思うよ!」
思うなよー。
否定しろよヒーロー、No2だろー?
No2ヒーローでテロリストって属性盛りすぎだろー。
「でも不思議っすねー。No2とかならお金とかもいっぱいあるし、ちやほやされてると思うんすけど」
お前自由じゃん。
自由に空飛んでんじゃん! もう解放するの服ぐらいしかないだろ!
どんだけ解放したいんだ変態!
「ヒーローに成れば分かるよ、この腐敗した世界をさ」
「うわー。No2が言うと重みが違うっすねー」
うーん。しかし困ったでござるよ。
死柄木は今現在氏子のところでパワーアップイベント真っ最中。
まだ死柄木にマーキングはできていない。オイラの場合、手が個性の発動起点でもあって不用意にボスに手を向けられないんすよね。
一応氏子と初めて会合した場所でアプグレが行われているのは分かっているが、どもどもっす感覚で行けるわけではない。いや行けるか? でもなー、変に思われたら面倒だしなー。誰か見学いかね? 的なこと言ってくんねえかなー。
「ま、俺が敵連合の協力者に成れた直後に、こうして解放戦線になったわけだけどさ」
「え、じゃあ本当ならオイラの後輩だったんすか?」
まさかの新情報!?
バッドなタイミングで参加したんすねー。
「そそ、だから仲良くしてくださいよ。先輩」
「こ、ここ、これはまずいことになったっす!」
やばいやばい。この事実はちょーやばい!
「ちょ、どうしたんです!?」
制止するホークスを置いて走り出す。
トビとして出せる全力疾走、背後からホークスが追いかけていることは分かるがそんなことに構っている余裕はない。
別荘を駆け抜けて到着したるは敵連合メンバーが集まる場所。
「センパーイ!」
「うるせえぞトビ」
「あ、トビ君です。そんなに慌ててどうしました?」
「おうトビ! お前も寿司食いに来たのか?」
「これだけ大所帯になっても君のトンチキなところは変わらないね。その活力をおじさんにも分けて欲しいよ」
「あら、トビちゃん。大丈夫よ、貴方の分のお寿司も残ってるわ」
「トビの後ろにいるのはホークスか?」
死柄木を除く敵連合全員の視線が慌てたオイラ、そして追いついてきたホークスに向けられる。
「え!? 寿司!? ず、ずるいっすよセンパイ!! オイラも食べたい!」
「だからお前の分も取ってあるってマグネが言ってんだろ」
「マジすか!? マグネセンパイ神! お姉さま!!」
「あったりまでしょ~。私がトビちゃんのこと忘れるわけがないじゃないの」
うわー。最近の出来事でマジでストレスマッハだったから、うまい寿司食えるの最高!!
「で、あんな慌ててどうしたんだトビ」
「あ! そうだったっす! 荼毘センパイ!! ホークスがちょっと前に敵連合に参加したってホントなんすか!?」
「言ってなかったか?」
「あれよ、そのときトビちゃんお腹壊したってトイレに駆け込んでたじゃない」
「普段から腹下してるのが悪いってことだな! 下痢か?」
「仁君、今はお食事中なのです。汚いです」
そっか~。
分身体を派遣するための方便だったのが仇になったのかぁ……。
「んなことはいいんだよ。ホークスが入ったから何だってんだ」
「だ、だって! これじゃオイラの後輩キャラが取られちゃうっすよ!!!!」
「「「……」」」
「あれ? なんすかその、何言ってんだこいつって顔」
おかしいなぁ。このキャラとポジション確保のために頑張ってたんだけどなー。
しかもホークスって話した感じすっごい話しやすい。人気出るのも頷けるわ流石No2。
「あらあら。トビちゃんったら可愛いわねー。大丈夫よ、私達のトビちゃんはトビちゃんしかいないんだから」
「お前ほど馬鹿な奴はそういねえ。こんなバカ騒ぎするぐらいだからな」
「気にすんなトビ! お前はいつまでも先輩だぜ! 頭下げろよ」
「下らん」
「トビ君って確か私の年下ですよね? 年上の後輩持つってどんな気分です?」
「あ~、うん。おじさんノーコメント、寿司食べて落ち着かない?」
うーん、この返答のアンバランスさ。流石敵連合って感じ。
解放戦線メンバーとはえらい違い。
「あの~。先輩? 俺が後輩って嫌です?」
「シンキングタイーム!」
ズンチャズンチャ、ズンズンチャ。
ちゃっちゃらちゃーん
「オイラが後輩の心を教えて立派な後輩にして見せるっす! ファースト後輩はオイラっすけど、セカンド後輩の地位をあげるっすよ!」
「馬鹿だな」
「お馬鹿だから可愛いのよ」
「お馬鹿すぎません?」
「ん~、馬鹿だね~」
「頭いいじゃねえかトビ! 小学校出てんのか!?」
「馬鹿が」
気にならないと思うっすけど。
荼毘、マグネ、トガ、コンプレス、トゥワイス、スピナー。の順で馬鹿って言われたっす。
キレそう。
「おー。マジすか、ありがたいです先輩!」
「クッ!? なんすかこのオイラ以上の後輩力は……! スカウターが壊れただとぉ!?」
「トビ、いい加減うるせえ。これ以上騒ぐなら出て行け」
「うっす。大人しく寿司食うっす」
寿司うまぁ。
そんで、寿司を満喫して、ホークスに後輩とは何たるかを説く日々が始まった。
正直やることないんすよね。荼毘と死柄木を除く敵連合にマーキングはどうにか設置したし、起爆札量産は分身体が担ってるし、本体のオイラがやることはチャクラが溜まっては定期的にトイレにこもるぐらい。
荼毘にマーキングを付けられていない理由は、コイツ全然隙を見せねえんっすよマジで。
「そう言えばホークスってNo2じゃないっすか。よく荼毘センパイが応じてくれたっすね」
「あぁ。No3を生贄にしました!」
「え!? じゃあベストジーニストが行方不明なのって……」
「俺っすね!」
「オイラの後輩、コワ」
マジかよテロリスト超怖えよ。
本格的にオールマイト復活計画を断行する必要が出て来たぞ?
「あれ、でもトビ先輩だって敵連合で活躍してたんですよね? 一人二人やっちゃってないんすか?」
「ざ、雑談感覚、だとぉ……!? くっ! オイラが一人も倒せない逃げ上手さんと知っての言葉っすね! 負けないっすよ!」
「マジすか? 本当に一人も?」
「だああ! 言うなっす! こんな個性じゃ攻撃なんてできないっす! それに逃げるのはともかく戦闘はからっきしなんすよ!」
いやねー。潜入中に殺しとかしたくないし?
戦闘要員として前線張らされてもメリットないなって感じで、投げれば暴投、走れば転ける、戦う姿は逃げる背中を貫いたっす。
おかげで戦闘で期待されることもなく、良くておとり要員枠になりました。
「へー。なんていうか面白いですね、先輩」
「み、みてろー! いつか絶対! 凶悪敵として名を上げるっすよ!」
「おいトビ。つまんねえこと言ってねえでこっちこい」
「へあ!?」
まさか普段はありえない荼毘からの呼び出し……?
「おっと、ホークス。お前はお呼びじゃねえ」
ついて来ようとしたホークスを追い返す荼毘の顔は、とても愉快に歪んでいた。
普段クールなくせに、何か悪意を考えたら頬が緩む。荼毘の癖だ。
バレない程度に仮面に付けたカメラが稼働しているか確認する。
「俺は除け者ですかい?」
「あぁ。指くわえて散歩してな」
なーんでそう見合っちゃうかなー。
ファーストコンタクトミスったの?
「ま、俺は新参者ですし。幹部の話ってことなら席を外しますよ」
流石はNo2、一歩下がるのも早い。君なんでこっち来たん?
ホークスが出て行ったのを見送った荼毘に先導されて、いくつもの扉、そして階段を下りる。
通されたのは撮影場だった。
「これから面白いもんを撮る。お前はスパイスだ、合図したらこの紙に書いてある身の上を話せ」
ニチャアと口角が上がる。
「エンデヴァーにやられたその傷。仮面を取って晒せ、大いにエンデヴァーを貶せ。分かったな?」
「う、うっす! 憎きエンデヴァーへの呪詛なら1日話せるっす!」
「あぁそれと、ここで見たことは他言無用だ。いいな?」
見れば解放戦線メンバーのスケプティックが緊張した面持ちでいた。
そして、そのあと語られた内容に俺は絶句した。
エンデヴァーというか、轟家闇深すぎじゃね?
というか、復讐対象でバッティングとかマ?
だが、これはこれでいいことを聞いた。
復讐対象が敵側なんてことはないだろう?
ホークスの一件で信じられる者が減っていたオイラにとって、この上ない味方を知ることができた。