転生しました、主人公でした。   作:チョコラテ

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 ちなみに、アルフィアとザルドは生きてる。病も毒も完治させるスキルが生えて、オラリオに最強の冒険者として君臨し続けてます。


第一章
第一話 僕、結構頑張ったんだよね


 

 

 この世界は異常で満ちていた。

 

 大陸の片隅にひっそりと口を開けていた大穴。遥か昔、人類がその目で確認する以前から在り続けたその『穴』の起源は知るよしもない。

 

 『穴』は無限の怪物を産む、魔窟だった。

 

 大穴より溢れ出る異類異形のモンスターは地上にのさばり、森を山を谷を海を空を、この世界のありとあらゆる領域を席巻した。

 一時なす術なく蹂躙された人類は、地上の支配者であった尊厳を取り戻すため、同胞の復讐を遂げるため、種族の垣根を越えて協力し合い反撃に打って出る。

 

 後世にて『英雄』と称えられる者達の活躍により、モンスターと一進一退の攻防を繰り広げた人類は──やがてモンスターの根源である『穴』のもとへと到達する。

 

 『穴』の奥には、地上とは異なる別世界があった。

 

 数多の階層に分かれる『地下迷宮』。

 

 日の光がなくとも不可思議な光源に満たされ、目にしたことのない草花が隆盛し、ここでしか採取不可能な鉱物が存在した。貴重な資源といい、『魔石』が生じるモンスターといい、この地下迷宮──ダンジョンには、確かな『未知』が横たわっていたのである。

 

 そして、『穴』の上に『蓋』という名目で塔と要塞が築かれ始め、モンスターの地上進出を防ごうとする者達が有志を募るその一方で。

 

 人類の中から、『穴』の向こう側の世界、地底に広がる未開の地を切り開かんとする酔狂な探索者達が現れるようになった。

 

 いつしか、『冒険者』という言葉は。

 

 その多くが、『未知』の誘惑に抗えなかった彼等を指すようになる。

 

 

 そこから時は流れ。

 

 当時の時代、『古代』の節目に、世界へ転機が訪れる。

 

『神々』の降臨。

 

 文字通りの超越存在である彼等が、この世界、『下界』に顕現を果たしたのだ。

 

『天界』にて悠久の時を過ごすことに退屈していた彼等は、様々な文化を育み、そしてモンスターとしのぎを削り合う人類──下界の者の姿に、娯楽を見出したのである。

 

 神々の降臨を境に、世界の有りようは変わった。

 

 下界の者に無限の可能性をもたらす神々の『恩恵』によって、人類は急速に力をつけ、発展の道筋を辿るようになる。

 

 地底にモンスターの巣窟が存在する、彼の地も例外ではなく。

 

 迷宮都市オラリオ。

 

 かつて『穴』の上に建てられた要塞が盛衰を繰り返し、築き上げられた、大陸屈指の大都市。

 

 富が、名声が、何より『未知』が依然として眠る、魅惑の地。

 

 欲に取りつかれた無法者達が、『未知』に焦がれる冒険者達が、そして娯楽を追い求める神々が集う、この世の中心。

 

 多くの者の思惑と、そして物語がこの場所で交錯する。

 

 

 

 祈りを捧げ、神に救済を願う古の時代は終わった。

 

 今や人は神にちっぽけな一助を乞い、その一欠片の施しを手に、己が望みを叶える時代。

 

 富を、名声を、未知を。

 

 遥かなる高みを、宿命を──悲願を。

 

 時は今、神時代。

 

 

 だが、そんな神時代という、不可能すらも可能に出来る世界をもってして異端と言わざる負えない程の埒外の化け物が、この世界にはいる。

 

 この世界は異常事態(イレギュラー)で満ちていた。消える筈だった象神の眷族、失われる筈の正義の使徒達、踏み台となる筈の前時代の『覇者』共、本来なら失われた未来(せいし)となる筈だった世界に、ほんの一つの異端(はもん)が差し込んだ。

 

 曰く、神時代以降、最も才能に愛された“男”だと。やはり、あの義母(はは)にして、最強(ゼウス)と最恐(ヘラ)の最後の系譜にして、あの甥(子)ありだと、神々は口を揃えて言う。

 

 曰く、人類史上最も『剣』を極めた人間だと、振り放たれる剣戟は『神域』にすらも手をかける程だと、正義の女神(かれのしゅしん)は言った。

 

 二つ名は【雷霆の剣杖(トルゼウス・ファッジ)】。

 

 神々から与えられた渾名は『才禍の暴君』。

 

 唯一、あの【ヘラ・ファミリア】の『才禍の怪物』さえも乗り越えきることが出来なかった病(くびき)を、何の代償もなしに、生まれながらにして解き放った、縛鎖を引きちぎりし異端にして王道の英雄。

 

 剣の覇者と讃えられ『古代二十英傑』の末席にして、『古代最強の英雄』と評された大英雄アルバートをも超えうる剣技の才を持つ化け物だと、彼の祖父は語った。

 

 超えた偉業の数は“六”。

 

 【ヘラ・ファミリア】の才禍の怪物でさえその階梯へと至ったのは16〜17歳の頃。それなのにも関わらず、彼はたった14という若さをもってして才禍超えの偉業を果たしたのだ。

 

 半年という歳月で『Lv.2』へと、更に半年をもってさらなる高みへと至った。

 

 曰く、その義母(はは)譲りの大鐘楼の鐘の音を持って、古代より生まれいでた漆黒の魔獣【アンタレス】を屠ったと。

 

 曰く、神時代最強の派閥(ファミリア)だった【ゼウス・ファミリア】の【暴食】が身を投げうる覚悟で屠った【陸の王者ベヒーモス】を、その亜種と言われたモンスターを、雷霆の斬光をもって屠ったと。

 

 ダンジョンの厄災も、彼を殺すことは叶わず、そのあらゆる試練を乗り越え、己(おの)が器を超克し続けた。

 

 その名は『ベル・クラネル』。【アストレア・ファミリア】の天才児にして、才禍超えの化け物。【当代の英雄】だと、迷宮都市(オラリオ)にいる神々も冒険者達も、比喩ぬきでそう讃えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 って、考えると僕結構頑張ったよね?! 

 

 いやぁ〜、死んだから転生出来るって聞いて、じゃあするかみたいなノリで転生したら、まさかの、主人公でさぁ。

 

 あれから頑張ったよね、4歳の頃に木陰で寝てたら突然僕の直感が反応して、そしたらアルフィアお義母さんとザルドおじさんが居たんだよね。

 

 取り敢えずそっちに走っていってさ、人差し指を口元に当てながら「お母さん?」って言ったら、もうこれでアルフィアお義母さん達は攻略完了よ。

 

 そっから二人の薫陶を受けてると、アルフィアお義母さんが僕に「この狒々爺といると教育上良くない、オラリオへ行けぞ」と言われ、僕はその時に山程の英雄譚を抱えてったわけですよ。

 

 もうそっからは出来るだけ英雄譚を家から持ち出して、勉強以上に英雄譚を読み込んで、頭に刷り込んで、兎に角叩き込みまくった。

 

 じゃないと、マジで何処で英雄譚が必要になるか分かったもんじゃなかったしさ。そこからはお祖父ちゃんが英雄譚好きなのか?と毎年誕生日にオラリオ外から贈ってくれるようになって、おかげで助かってる訳だが。

 

 オラリオに来たら暗黒期真っ只中で、アルフィアお義母さんとザルドおじさんが治安維持だとかいって闇派閥(イヴィルス)ボコって、オラリオの後進のケツを叩いて、僕達は【アストレア・ファミリア】に入りました。

 

 そこからも色々と大変だったのよ。六年前に冒険者になって、そっから一年後にある『じゃが丸君』邂逅までの間に何が何でも強くなる必要があったので、死ぬ気で強く成り続けた。

 

 あの時はマジで死にかけたし、魔法がなかったら実際死んでたし。いや、『じゃが丸君』やっぱ足速過ぎだろ。マジで斬光連続でぶっ放しても捉えきれんとかどうなってんだよ。

 

 そこからも、天の炎しかり、アンタレスしかり、ベヒーモスの亜種しかり、マジでLv.5から上は殆ど都市外で偉業稼いだからねッ!! 何で『英雄RTA』させられてんのさ。

 

 暗黒期収束及び闇派閥(イヴィルス)の事実的な壊滅(幹部陣の全滅)が五年前にあって、ようやく色んなイベントの対策が出来ると思ったら、次はフレイヤ様は例に漏れず都市魅了するし、僕は分かってたし惑わされなかったけど、【フレイヤ・ファミリア】との抗争および戦争遊戯(ウォーゲーム)ではオッタルさんをアリーゼさんとリューさんと輝夜さんと師匠(マスター)とヘグニさんと僕の六人係で何とかギリギリ粘りに粘ってようやく引き分け…というか認めさせることが出来た。

 

 っていうか僕あの時Lv.4になってからそんなに時間経ってないし、倒しても【ランクアップ】しなかったし。何処ぞのチート狐さんの力でようやく倒せたまである、アルフィアお義母さんは最後まで使うの渋ってたけど。

 

 そのあと四年前くらいに、階層主(モンスターレックス)の『ウダイオス』君を単騎で屠ってようやくLv.5だったし、この身体基礎スペ高過ぎて求める偉業も高過ぎる。

 

 いや、最初はね、ベルきゅんの英雄ムーブを見ようと思ってたのにさ、まさかの僕がやる羽目になるだなんて思わんやん。そんなだったらマジで転生しなかったし、過酷過ぎで普通に心折れかけたし。

 

 でもベルきゅんは折れなかったし、アルフィアお義母さん達にも死んで欲しくなかったし、んじゃあ頑張るっきゃないって思って偉業超えて。 いやぁ、マジで『黒竜』殺したら僕死んでも良いわ、本気(マジ)で。

 

 もっと僕以外も適任居るべ? なんで僕なんかになったのか、転生させた愉快神に問い詰めたいわ、マジで。普通に腕とか千切れたら痛いし、もっと戦闘狂なやつ呼べよ、ほんとまじで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…疲れた」

 

 都市の北西部メインストリート、工業区と呼ばれるそこには作業服を着た無所属(フリー)の一般人が多く存在する。当然、そんな場所なので良くない事も普通にある。

 

 工業区は普通に暗黒期の時の前科があるので、此処の警邏は都市最強にして最速の脚を持つ僕に一任されてる。

 『撃鉄装置』を盗まれないようにしながら、闇派閥(イヴィルス)の動向にも目をみはらせないとだから、かなり面倒い。

 

 ただ、自爆装置なるモノを作らせないように、そしてそれらで齎される被害を未然に防ぎ、起こったとしても迅速に対処するのが僕達【正義の眷族(アストレア・ファミリア)】の使命であり、ギルドからの冒険者依頼(クエスト)でもある。

 

 治安を守るのが僕達の役目、それを履き違えたことはないけど、僕が見回ってるとなんか皆怖がって目を合わせてくれないのが、中々心に来る。

 

 まあ、正義の使徒(ぼくたち)と目を合わせたくないっていうことは、まあまあ脛に傷がある人達ってことだし、何か変なことしたりしたら秒で首を跳ね飛ばすから良いんだけどさ。

 

「はぁ、やっぱ怖いよね。僕達って」

 

 処女雪のような白髪の短髪、綺麗に整えられた純白の髪の毛はやはり気品というものを醸し出し、左側の腰に佩いている漆黒の長剣と赫灼の長剣も相まって『騎士』のような風格すらも感じさせる。

 165C(セルチ)というヒューマンとしてはまだまだ発展途上のような体格を持つ彼だが、今や都市最強の片割れとまで称される程の第一級冒険者。体格に見合わぬ偉業も、もはやギャップ萌えとして都市の一部の危険な思想の神々や民衆の中では専らの人気者だ(アマゾネスからの人気が異様に高い)。

 

 都市の機微に目を凝らし、常に全方向に意識と視線を向ける。その瞳の色は深紅(ルベライト)。

 

「まあ、とっとと帰ろう」

 

 うん、そうしよう。明後日から遠征だし、一応準備もしないとだしねッ!!

 

 

  ✕  ✕  ✕

 

 

 外はすっかり暗闇に包まれいる。

 

 闇夜という言葉が相応しいほど暗く、頭上を厚い雲が覆っている中、雲間から覗く星がうっすらと輝いている。ベルはただ一人、星明りに照らされながら帰路を進んだ。

 

 通りを歩いているのはただ一人、威風堂々とした立ち居振る舞いは冒険者達にとっては羨望と嫉妬の象徴だろう。正義の派閥に所属していながら、手が出る速度は超短文詠唱の倍以上という化け物っぷりなので、当然怖がられもする。

 

 その反面、称えられもする。称賛されるのはベルも嫌いじゃない。行ってきた善行を称えられるのは嬉しいことだ、だが同時に申し訳もない。これらは全て自分のためだ。世界を救う理由はただの使命感、他の誰にも理解されず、ただ最後の英雄(ベル・クラネル)として生まれてしまったのなら、民衆の英雄としてあるべきだというだけ、ただそれだけの理由で人々を守るベルには、ほんの少しの罪悪感がある。

 

 それでも、声を掛けられ、お礼を言われれば、屈託のない笑みを浮かべて、感謝の言葉に愛想よく笑いかける。

 

 大通りを抜け、街路をいくつか折れ曲がり、閑静な住宅街へ。

 辿り着くのはオラリオ北の区画、その片隅。 ベル達の本拠(ホーム)『星屑の庭』である。

 

 ───ドォォォオン?!

 

「はぁ、またか」

 

  決して大きくない、けれど瀟洒な白い館の玄関を開けると、ベルを出迎えたのは鐘楼の音色だった。

 

「今回はなんでさ、ア(・)ル(・)フ(・)ィ(・)ア(・)お義母さん」

 

「あぁ、ベルか。 なに、そこのエロフがベルをよこせだなんだのと抜かすのでな、再度教育を施したのだ」

 

「な…?! アルフィアっ!! 私はまず誰もいない大聖樹の森で愛を誓い合うべきだと!!」

 

「何度言えば分かる、そも貴様のような貞操観念が化石なエルフになど渡すか阿呆。たかが一度一緒に深層に落ちたからと言って図に乗るなよ?」

 

「はぁ、何をやってるんだか」

 

 そこにいるのは、灰色の長髪を靡かせる魔女だった。

 

 漆黒のドレスに身を包み、静寂を纏ったかのような彼女の名はアルフィア。ベルの義母(はは)にして、一応は【アストレア・ファミリア】に所属している。っと言っても名前だけであり、遠征などには一切着いてこない。かつては洗礼だと言い、遠征についてく来てはボコられたりもしたが、今はもうただ本拠と主神を守るだけの番人と化している。

 

 相対する女性の名はリュー・リオン。

 

 翠色のケープを纏い、そこから見える四肢は白皙の如く美しく、まさにエルフと言った容姿をしている。綺麗で華やかな尊顔から垂れる金の地毛は美しく、腰にまで届いている。瞳の色は空色で、アストレア・ファミリアの中だとベルについで若輩で、いつも副団長に小馬鹿にされては衝突を繰り返している。

 

「あら、お帰りなさい。ベル」

 

「…はい、ただいま帰りました。アストレア様」

 

 美しい一柱の女神だった。

 

 誰であっても、一目見ればわかる。

 

  彼女が善神にして、慈悲、あるいは慈愛に満ちた神物であることを。

 

  それほどまでに彼女の纏う空気は優しく、正しく、清らかだった。

  胡桃色の長髪は背に流れ、双眸は星海のごとき深い藍色を帯びている。

 

  リューの空色の瞳より澄んでおり、まさに星空のように見る者を惹きつける。

 

  女性らしい、なだからな線を描きながら、けれどしなやかな肢体を包んでいるのは、穢れを知らない純白の衣。

 

 その物腰を含めて貞淑な貴女を彷彿させるが、深い谷間を作る双丘だけは悩ましいと言ってよかった。

 

 女神の中の女神、そう言って差し支えない程に清廉で、潔白で、美しかった。

 

 女神アストレア。

 

 ベル達の主神であり、『正義』を司る超越存在(デウスデア)である。

 

「あら、ベル? おかえり、今日はやけに遅かったわね!!」

 

 大いにその薄い胸を張るのは、きらめく赤の長髪を持つヒューマンの少女。

 

 彼女の名はアリーゼ・ローヴェル。

 

 オラリオの中で最も高潔な『正義』の団旗(エンブレム)を掲げる、【アストレア・ファミリア】の団長である。

 

「娼館通い?それは感心しないわね!」

 

「何言ってるんですかアリーゼさん、そんなことするわけないじゃないですか。 …ね、だからアルフィアお義母さんもそのあげた拳骨(まほう)を下ろしてね」

 

 可憐な仕草──だと彼女本人は思っている振る舞い──で髪を払うアリーゼに、ベルはもはやお約束みたいな風に返す。

 

 そして、愛息子の貞操云々の話題をその地獄耳で捉えたアルフィアは、恐ろしい速度で魔法を執行しかけた。

 

「さっきっから喧しいと思ったら、兎(ベル)か。どうしたんだ?」

 

 まあ、いつも通りだろ?と態度に表しながらも、小人族(パルゥム)の少女、ライラは言葉を発する。

 

 その小人族(パルゥム)らしい幼い顔立ちに似つかわしくないほど、達観した雰囲気を纏う彼女の言葉に、ベルは諦めよろしく肩を竦めてみせた。

 

「えぇ、今回もベルが悪いところはありません。全部何処かの淫妖(エロフ)様が悪いのですから」

 

「なっ?! わ…私はエロフじゃない!!」

 

 ベル達のもとに現れたのはヒューマンの団員にして副団長の、ゴジョウノ・輝夜。

 

 絹のように滑らかな長い黒髪に、島国衣装の着物。ニコニコとした笑みを絶やさず、その声音も琵琶を持つ法師のように軽やかで、流麗だ。

 

 所作一つとっても気品があり、極東で言う『大和撫子』を体現したかのような少女だった。

 

 輝夜(カグヤ)とリュー、二人並べばその後ろ姿から姉妹にも見えなくもない彼女達は──しかし険悪そのものだった。

 正確には、リューが一方的に苛立ちをあらわにしていた。

 

「あら、気付いていらっしゃらないので?」

 

「なっ?! …ならば、私の落ち度を言ってみろ!!」

 

 そうして、いつも通りの口論が始まる。輝夜の言い分に対して…、というかリューは、その態度に対して苛立っていた。

 

「何度もいうが、その猫(・)被(・)り(・)を止めなさいっ!貴方のそれは、やはり何度聞いても苛立ちが止まらない!!」

 

 はぁ、ベルはため息をつき、アルフィアはその右手に魔法を装填し、今にも解き放たんとする。

 

「お帰りなさい、ベル様」

 

「はい、ただいま。春姫さん」

 

 メイド服の少女。頭に着けたホワイトブリムとピョコンと生えた狐耳、伸びる金髪はリューとも少し毛色が違い、彼女の美しさを一層引き出していた。

 

 彼女の名前はサンジョウノ・春姫。

 

 極東出身で過去には人身売買のような扱いを受けていた所をアルフィアの元主神であるヘラが見つけ、自分で預かるには純粋過ぎたのでアストレアがかわりに預かることとなったのが五年前。

 

 狐人(ルナール)特有のケモミミと尻尾はピョコピョコと揺れ動き、何処か嬉しそうな表情を露わにしていた。

 

 階位は三、妖術師であり後方型のくせして第二級冒険者な理由は、まあベルと一緒にいるという理由で納得してくれ。

 

 二つ名は【光ノ巫女(ヒカリノミコ)】、神々からの人気は相当に高く、だが背後(バック)に最恐(ヘラ)がいるアストレア・ファミリアに所属しているため手は出されないが、というかそもそも手なんて出したらアルフィアが速攻でその派閥をオラリオどころか下界から主神ごと消し去ってしまうので、誰もやりたがらない。

 

 やはり、命は大事である。

 

「ベル、一応ステイタス更新をしちゃいましょう」

 

 明後日に控えた遠征を前に、アストレアも主神としてやれることをやろうと、ベルに言う。

 

 ちな、厨房(キッチン)から聞こえる大男の声に、ベルは聞かぬ存ぜんを繰り出し、アストレアの神室へと逃げるのように駆け込んだ。

 

 

  ✕  ✕  ✕

 

【ベル・クラネル】

 『Lv.7』

≪基本アビリティ≫

 力:A898

耐久:B749

器用:S991

敏捷:S999

魔力:S943

≪発展アビリティ≫

幸運:C

魔導:E

耐異常:E

精癒:E

加護:G

覇斬:I

≪魔法≫

【レーア・ユピテール】

・速攻魔法。

・雷属性。

 

【ケラウノス】

・付与魔法(エンチャント)。

・雷霆属性。

・魔法防御。

・『敏捷』のアビリティ超高強化。

 

【ヘブンズロア】

・広域攻撃魔法。

・雷、音属性。

・竜種及び神獣種に対する攻撃力超高強化。

≪スキル≫

【天賦才禍(サタナス・ブレッシング)】

・獲得経験値(エクセリア)量大幅増幅。

・全能力(ステイタス)の常時限界解除(リミット・オフ)。

・潜在能力(ポテンシャル)を任意で限界突破(リミット・ブレイク)可能。

 

【剣神恩寵(デウス・アルバート)】

・剣技に関する技能の習熟が早まる。

・『力』『器用』のアビリティ超高強化。

・刀剣装備時、発展アビリティ『剣士』の一時発現および発現ランクはLv.に比例して上昇する。

・刀剣系攻撃の威力強化および軌道補正。

 

【英雄願望(アルゴノゥト)】

・能動的行動(アクティブアクション)に対するチャージ実行権。

・想いの丈にて効果上昇。

 

【雷律曲光(エオ・アルドーレ)】

・『魔力』のアビリティ強化。

・雷及び音属性魔法の『魔法威力』及び『魔法効果』及び『射程範囲』に対する高補正。

・魔法発動時、消費精神力(マインド)量低下。

 

【闘争戦王(ストルトス・ベルセルク)】

・体力及び精神力(マインド)の超回復。

・疲労に対する超抵抗(レジスト)。

・状態異常及び呪詛(カース)に対する超耐性。

・身体機能及び第六感の強化。

・戦闘時、発展アビリティ『狩人』の一時発現。





 モチベに繋がるのでコメントやお気に入り、評価などお願いします。
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