神の宴はカットで。あそこアストレアがいてヘスティアが居ない以外は一緒。今回は愚痴回です。
ベルは昨日、神の宴から帰ってきたアストレアに「そう言えばベルだけ恩恵の更新をしてなかったわね」と言われ、今は本拠である『星屑の庭』の神室、つまりアストレアの私室へと赴いていた。
木製のドアを開き、入室する。
室内はとても綺麗で、ホコリ一つ落ちていない。壁一面がベルの髪と同じ純白で染まっており、家具の殆ども白が貴重となっており、それを邪魔しないように青や金色の
静謐な室内は、恐ろしい程に音が出ない。それは静寂をこよなく愛するアルフィアが使用している部屋と同じで、アストレアもそれを真似たのだ。
音が出ない、そんな作りをした室内には、余計な物など一切なく、置かれた長机には数本の羽根ペンや淡い茜色の光を放つ
ベッドの皺など一つもなく、隅々まできちんと整頓されている。
「じゃあ、始めましょうか」
「はい、お願いします」
そう言ってアストレアはベッドに腰を掛け、ベルは用意された丸椅子へと座る。
「忘れてたの?【ステイタス】の更新」
「いや〜、ちょっと『アンフィスバエナ』の前にヘルンさんと会って…。その…」
「…そう。そこから先は聞かないでおくわ、私も苦い過去を思い出したくないし」
「はい…、お願いします」
ベルは雑談を交えながら上着を脱いだ。
晒される背中には一切の傷がなく、もとよりそんな
アストレアは慣れた手つきでベッドの上に置かれた器具一式から針を一本だけ出し、自分の指を刺す。
赤い血を浮かび上がらせ、ベルの背中、首の根もとの辺りにその人差し指を触れさせる。
次には慣れた手付きで指を動かし始めた。あたかもサインを描くように血の軌跡をベルの背に滑らせ、最後に「はいっ」と言って縦の一線を走らせる。
瞬間、鍵が開けられたかのように。
何も描かれていなかった筈のベルの背中から、碑文を彷彿させる朱色の文字群がすうっと浮かび上がった。
「ねぇ、ベル。【ステイタス】っていうのは本当に大事な個人情報なのよ、だからあんまり教えちゃ駄目よっ!」
「あの…、僕子供かなんかと勘違いしてません?」
「だってベルったら、聞かれたらあっさり教えちゃいそうだし」
「いやぁ〜、流石にそんな間抜けはしないですよ」
横書きの形式で連なった複雑な文字の集まり。
石碑にも、そして紋章にも見えるその刻印が、眷属に刻まれた神々の『恩恵』──【ステイタス】だ。
神々の扱う【
「ヘスティアとか大丈夫かしら。あの
「ヘスティア様って、じゃが丸君を売ってる神様ですか?」
「えぇ。私の同郷で、あのゼウスやヘラも、ヘスティアの言う事なら耳を貸すくらいには
「そんなに凄い神様なんですか?」
「えぇ、貴方の祖母であるヘラを御せる程…、って言ったら凄さが伝わるかしら?」
「…凄いですね、その神様は」
「えぇ、だけど普段はぐーたら女神だから。まあ、そんなのんびりした所がヘラを鎮められる由縁なんでしょうけど」
神の宴に上がった話題を語りながらも、アストレアは作業を続ける。
ベル達のような眷属に蓄積された【
【ステイタス】の更新、と主に言われるこの行為はほぼ神一人による手作業だ。なので、都市最大派閥である【ロキ・ファミリア】のような多くの団員を抱える【ファミリア】は日割りや更新対象の優先順位などを取り決めて、何とか数を捌いている。
その点、団員が少なく、少数精鋭である【アストレア・ファミリア】は好きな時にアストレアに申告することでいつでも恩恵更新が行える。
「じゃあ、今から写すから待っててね」
「はい、分かりました」
ベルの背中に浮かんでいた【
背中に映し出される【ステイタス】は鏡を用いても非常に読みづらい。また
まあ、目の前の才禍の怪物やもう一人は学んで一週間くらいで完全
それは例外中の例外。眷属ガチャ『
「はい、出来たわ」
「ありがとう御座います」
上着を着て程なくすると、アストレアは更新された【ステイタス】を写し終える。
アストレアから受け取った羊皮紙に、ベルは視線を走らせる。
【ステイタス】
『Lv.7』
≪基本アビリティ≫
力:A898→S901
耐久:B749→B759
器用:S991→S999
敏捷:S999→SS1001
魔力:S943→S970
≪発展アビリティ≫
幸運:C
魔導:E
耐異常:E
精癒:E
加護:G
覇斬:I
アビリティは本来S、A、B、C、D、E、F、G、H、Iの十段階で能力の高低が示される。
基礎能力値を表す五項目の基本アビリティのみに熟練度が発生し、0~99がI、100~199がHと、SからIまでの能力段階と連動している。熟練度はその能力分野を酷使しなければ上昇しない原理となっており、『魔力』を例に挙げた場合、詠唱を何度も唱え『魔法』を根気良く使用し、更に目標へより強力な効果を発揮することが求められる。
またアビリティの能力高低および熟練度は、戦闘対象の力が自身と同等あるいは格上であるほど上位の【経験値】を得やすく、結果、値が上昇しやすい。弱いモンスターとどれだけ戦ってもほとんど能力値の身にはならないということだ。
また、ベルの場合、『獲得
「熟練度上昇値は50。格下ばっかりでしたけど、かなり上がりましたね」
「えぇ。やっぱり【
スキル【
病による
本来なら【ステイタス】というのは得意は
だが、ベルは『
熟練度の
「ありがとう御座います、アストレア様。それでは、警備の方に行ってきますっ!」
「えぇ、いってらっしゃい」
今日は
東の空から光が見え始め、市壁により遮られてしまうがそれでも尚高らかに都市を朱鷺色に染める朝日に照らされたながら、ベルは本拠を後にした。
「……はぁ」
ベルが去った室内で、アストレアは一人ベルの【ステイタス】を写した羊皮紙を手に持ち、眺めながらため息をついた。
スキル【
『剣技に関する技能の習熟が早まる』、この効果により、元々の才能も相まって彼の剣技は同じ才禍の怪物であるアルフィアでも到底太刀打ち出来ない程へと至っている。
『剣技の極地に至る
技能なんて呼べるようなものではなく、それは正しく人が持っていて良いようなスキルではない。
正しく異能。このスキルの効果により、剣技だけを見れば彼の技量は神域に手を掛けるほどだろう。
「あり得ない」
そう、あり得ていい話ではない。『
その生涯を一生捧げても至れないような高みへ、たかが四半世紀も生きてないような子供が成した。
武神と称される神々と同じく、『
「それに、精霊の加護も」
発展アビリティ【加護】。その力はあらゆる加護、すなわち外部からの与えられた力に対する強化補正。ヘディンの
それ以外にも魔法に対する耐性もあり、【魔防】と同じ効果も持ち、更に精霊魔法に対する強化と特防もある。同種である精霊に対しては無類の強さを誇る。
だが、所詮その程度。
加護がなければ意味がない。いや、加護があり、その素質があったからこそ発展アビリティとして発現したのだが。
ただ、精霊の加護と『
もしこれが古代であれば、最強の英雄へと至っていただろう。今の神時代ではなく、より多くの精霊達が揺蕩っていた古代であれば、精霊の加護はより強化されていた筈だ。
故に、恐ろしい。
ベルの才能とは、言ってしまえば【ステイタス】には記載されていない、
正直、【ステイタス】にあるスキルなど、なくても代替えの効く、もしくはなくても同じような効果を素で出せる為、【ステイタス】自体に意味はない。
それでも【ステイタス】を刻む理由は、本来ならもっと時間を掛けて行かなければならない成長を加速させる為のモノ。アルフィアも同様であり、病があった七年前以前ではその限りではなかったが、病を克服した彼女は前代未聞の
「……ベルの才能」
正直な所、アルフィアとベルに関しては全知零能である神々をもってして予測不可という答えが出るほどには未知数である。
もし二人が古代に生まれたりなんてしていれば、もうその時点で黒竜はおろか、『
「それは…流石に」
ない。とは言い切れない。
神時代とは、選ばれざる者であっても、選ばれた者と同等の力を得る事が出来る時代。そして、選ばれた者達は更に力を伸ばすことが出来る時代。
だが、それでも古代の英雄達の方が質は上。対抗できるのはそれこそ世界最強クラスとも謳われ、古代二十傑達にも至れると言われた八人くらいだろう。
「選ばれた…、誰に?」
そんなモノ、問う必要もない。とアストレアは心の中で一蹴する。
✕ ✕ ✕
都市の風がよく感じられる高台の上で、僕は都市を俯瞰していた。
いやっ!! そんなモノローグは要らんねんっ!?
いや、今のオラリオはね、そんなことしてる暇ないのよ!!
分かってますか?貴方達の下界、滅びそうなんですよ?今も都市の下で、なんか陰気臭い人達がせっせこ頑張ってるんですよ。下界の最前基地であるオラリオをっ!!
全く、僕がオラリオに来て、アルフィアお義母さんとザルドおじさんが病と毒が消えたから、後進であるオッタルさん達のケツを叩いてくれたのであって、それがなかったら今頃オラリオ滅んどんねんっ!!
マジでね、オラリオの高齢もしくは高ランクの冒険者達が七年前に本来起きる筈だった大抗争と『死の七日間』で沢山死んじゃったから原作はああなってたけど、今のオラリオはそんなことないっ!からって浮かれてんじゃねぇぞ!!
特に僕っ?!
えっ?!僕ッスか?!
当たり前だ!!死の七日間だったりがなかったおかげで、第二級つまりLv.4の冒険者達が沢山いるし、Lv.5に関しても百人近く居るからって調子乗んなよっ!!
正直、オラリオにいる大抵の高ランク冒険者のスキルとアビリティは知ってるからこそ、言わせてもらおう!
お前ら、そんなんじゃ黒竜殺せんぞっ!!
マジでギルドが権威だかなんだか知らんけど黒竜関連の話題を軒並み蓋してっから、十五年前を知ってる第二級今の第一級冒険者達と下級冒険者達との間で認識に違いがあり過ぎてびっくりしたわ?!
この前たまたまギルドにいたエイナさんと話した時なんて、「世界も平和になったよねぇ〜」とか「クラネル氏達が頑張ってくれたおがげですっ!」なんて言われてビビったわっ!!せめてギルドの職員には報せとけよ、ロイマン。
まあ、今のオラリオはね、崖っぷちなんですよ。都市の地下ではあの屑がなんか暗躍してるし、っていうか七年前に大抗争が起きてないせいでエレボスが天界に送還されてないから、僕としては滅茶苦茶怖いんだけど。
あの神様なら平気で僕とか殺してくる
あ、いやその場合は滅茶苦茶嬉しいの間違いか。
まあ兎に角、エレボス様が下界にいるのは僕にとっては不安要素過ぎでマジで怖い。なんかこの世界僕のせいか知らないけどなんでか皆強くなってるんだよね。
オッタルさん然り、レオンさん然り、アルフィアお義母さんもザルドおじさんも。フィンさん達は知らないけど、団員の人達があまり亡くなってないから多分メンタル面でそうとう余裕があるし。
いや、アイズさんは違うよ。アレは元からそうだし、多分変わらん。あの人僕の言う事露骨に聞いてくれないんだよね、何?僕の事が嫌いなんですか?
お前なんてっ!!原作ではたまたまアリーゼさん達が死んじゃって、その上に更にミノタウロスを上層に放って自分で救っただけのマッチポンプでメインヒロインに成れただけやぞっ!!(ヤケクソ)。
なんかね、多分僕が五条 悟なんだと思う。
だって僕が生まれてから世界のレベルがなんか上がったもん。僕の知ってるオラリオってこんなに厳しくないし、ていうか世界全体が焦ってる?っていうのかな。精霊達も多いし、偉業になる怪物達が軒並み前倒しで暴れたり出現したりしてるし。
つまり、味方側が強化されてるということは、敵側も強化されていると言う事なのだっ!!
僕は去年の一年間をしっかり原作開始からの怒涛の事件に備えて準備してたのに、お前らオラリオは何やってたんだっ!!
僕は色々とやったぞ!まず一年以上前から原作通りのシナリオにする為にそれ以外の不安要素であるアンタレスやベヒーモスの亜種、天の炎を早めに浄化したし。
アンタレスに関しては開幕
ベヒーモスの亜種に関しては多分アンタレスの一件でランクアップ出来なかった僕に対するエレボス様からの試練だと思うけど。お前、とっととランクアップしろよ、みたいな。
そのあとはアンタレスの左鋏とベヒーモスの亜種から落っこちたドロップアイテム、黒竜の鱗はお祖母ちゃんがくれた(押し付けてきた)のでせっかくだからヴェルフに武器打ってもらって、色々ギルドにも貸しを作ってたからその件も含めてフェルズさんにも協力してもらって、なんか凄い呪剣出来たし。多分僕くらい?あとは毒無効に出来るアルフィアお義母さんとザルドおじさん辺りしか握れない。
あと刀剣自体の
『
なんでも前世から引っ張ってきちゃった感じみたいだし、でも安心したよね。なんかアルバート関連のスキルばっか生えてきたから、アレ?もしかして前世アルバートですか?みたいに思ってたけど、少なくとも違う?可能性があって良かったわ。
もしこれでアイズさんがヒロインの座に入ってきたら、「将来は絶対お父さんと結婚するっ」とか全国のパパっ娘達がよく言いそうな事を本当に実行しちゃうヤバい奴になるし。
んでね、まあ色々とイベントを前倒しにして消化したおかげで去年はあんまりすることがなかったんですよ。まあアンタレスやベヒーモスの毒が残ってたり、天の炎での一件のせいで身体がだいぶボロボロになったから強制的にアミッドさんに
そのあと尊厳破壊プールに浸されて、アレはあんまり痛くなかったから気絶しなかったけど、溺れるかと錯覚してマジで怖かった。前世でも今世でも普通に泳ぎは上手いんだけど、どうしても人の手で沈められるとお義母さんからの特訓の日々の
んでなんだかんだ去年はお休み、原作に向けて準備しようとしてダンジョン向かったらフィルヴィスさんが居たから、病んでそうだし救ってあげたいとベルきゅんも言ってたから救おうとかれこれ四ヶ月くらい?一緒に居たのかな?それでやったことと言えばフィルヴィスさんがランクアップしたのと、これで「悔いはないっ!」みたいな精神にしちゃったことかな。
六年前の『27階層の悪夢』はワンチャン起きないと思ってたし、なんか地上でも
えっ?!四ヶ月無駄になった?って思ったし。もうあの人はレフィーヤさんに任せるか。
まあそのあとはイライラしながらフェルズさんにダンジョンの希少素材を融通したり、異端児の事も聞けないから自分から接触しようとして見つからなかったり、深層のコロシアムで一週間寝泊まりして魔石いっぱい稼いでそれをウダイオスの喰わせて強化種にした後に討伐して偉業にしようとして無理だったり、色々あったよ。
この世界は多分
なんかダンジョンからは熱い視線?っていうか深層に潜ると五回に一回は必ずイレギュラーが起こるし、僕一人だとはいチャンスーっみたいなノリで滅茶苦茶殺しにくるし、まあそれは良いんだけどさ、メインヒロイン君が生まれるのが早まるだけだし。
準備は去年で済ましてるけど、もし原作通りじゃなかったら計画狂うし、それにあのイカれ妖魔共にも何故か好かれたし、あぁ、マジでめんどい。
あのさ、此処まで全然休みがないの。休みだと思ったら原作一年前だし、休んでる暇ないから死ぬ気で対策を講じたり、【ロキ・ファミリア】は遠征前に僕の勇姿(ヒロインとの逢瀬)が見られないから、それがなくても良いように色々対策したり、アリーゼさん達やヘディンさん達と協力出来るように仲を取り持ったりと大変だったんだよね。
全部お前たちのせいだぞッ!!田舎民のクソエルフ共がッ!!
お前らがヴェルフを毛嫌いしなければ何の対策も講じなくてよかったんだよッ!!それをテメェらが「何故あのような蛮族とッ!!」とか「あり得ない、一族の敵と手を組むなんてッ!!」とか抜かしやがって。
じゃあ何か?僕もフィンさん達殺していいんですか?あの人達マキシムさん達殺してますからね?自分達が弱いせいで、このままじゃオラリオ守れないからっていうなんとも情けない理由で。
はぁ、一体僕が何度
あんだけ頭下げたのは【フレイヤ・ファミリア】との『
マジでアルフィアお義母さんからの許しを得るのに滅茶苦茶苦労したし、ヘラお祖母ちゃんなんて死を覚悟したくらいだし。
はぁ、あの一件からシルさんがあそこまで笑えるようになったのが、唯一の救いですね。僕、フレイヤ様は嫌いだけどシルさんは苦手なだけだから。
フレイヤ様はまず痴女みたいな服が嫌い。性格がムカつく。見初めた、試練与えて自分に相応しい
その点シルさんは、町娘(一応ね)なのになんか神みたいに心のうちを透かしたような発言をしてくるのが厄介なところで、それ以外は別に嫌いでもなんでもない。
まあ、シルさんに告白されても僕は断ったけどね。彼女の全てを知って尚それを受け入れる奴とか、相当に畜生だしね。
まあ、シルさんは僕の大切な守りたい『
あの人は手に入らないモノを求めていた訳であって、手に入ったら意味がないんだよね。
兎に角、エルフ共のせいでヴェルフというとっておきの切り札を使えないせいで、色々対策したり、僕とヴェルフの二人で精霊の力を弱めるような護布を沢山研究したり、レオンさんにも頭下げて『学区』の
マジで僕やアルフィアお義母さん、ザルドおじさんやオッタルさん、フィンさん&ガレスさん&リヴェリアさんで
鍛冶師なのに魔剣持ったらアレンさん達とタメ張るくらいには強いし、Lv.5に加えて『ウルス』居るし。ヴェルフの優秀さに気付いているリヴェリアさんや
っていうかヴェルフヤベェな、僕の歩んできた覇道のせいでヴェルフの軌跡が霞んじゃってんのか知らないけど、ヴェルフも結構ヤバいからね。アイズさん以上の速度でランクアップしてるから。まあ、大半が僕と一緒にいたせいで偉業が恐ろしい速度で溜まってるんだけどね。
あの人ちゃっかりアレンさんを不意打ちとはいえサシで倒してるから。Lv.3の時に。確かに初めてのランクアップは自分を…いや違ったっけ、ウルスの力を利用しようとしたラキアにムカついて国ごと焼いた時だったかな?
はぁ、最後に休んだのいつだっけ?RTAっていっても休ませてもらわないとこっちも疲れるんですわ。黒竜死んだら僕も死んで強制的にあの世で休もうかな?
駄目だ、そんな死んだりなんてしたらアルフィアお義母さんに今世とあの世と来世で三回は蹴りつけるって言われたし。もう、逃げ場がない。多分世界が僕を選んだんすわ、マジで。
あぁ、マジで休みてぇ。精神的に。肉体的には常に全快なんだけど、精神的疲労がエグすぎて。あぁ、アミッドさんに癒してもらうか?精神疲労を癒す魔法か薬があるか知らんけど。っていうかそういう薬みたいな毒物みんなスキル効果で強化された耐異常のせいで効かないし。
あぁ、マジ無理、死ぬ。世界救ったらご褒美に一年くらい事件なし、ダンジョン攻略なし、ギルドに願うわ、マジで。これでそのままの勢いでダンジョンも攻略しろっとか言われたら流石にあの豚を第三魔法で吹き飛ばしてやる。
あの豚が最後に仕事したのっていつだっけ?
あぁ、フレイヤ様がオラリオから居なくなるのを避ける為に
いや、あの後僕達が勝ってあの豚が青ざめながら都市中の民衆にフレイヤ・ファミリアが消えたらどうなるかを説いて説得しようと試みたんだっけ?それが最後か。
彼奴、別に役に立ってないんだよね。先見の明があり過ぎで合理的な方法しか取らないからみんなの理解が得られないんだよね。僕やフィンさん達が六年前に27階層に救援に行こうとしたら地上に残れって言ってくるし。いや、別にアルフィアお義母さんとザルドおじさん居たし、ギルドとして…というかロイマンとしては頭を下げたくなかったのか知らないけど、彼奴はマジで余計な事しかしない。
僕の英雄ムーブ邪魔すんのやめてもらっていいですか?こっちはね、世界を救いに来てんの、お前みたいな奴のちっぽけな権威と
──ドゥーユーアンダースタン?
はぁ、マジで無理。さっさと
──ドォォォォオオオオオオオオオンっ!!!!!
ん?あ、そう言えばレフィーヤさん覚醒イベあったわ。ソード・オラトリア完全に忘れてた、って事はもうそろレヴィスちゃんが来るから…、タゲをアイズさんから僕に変えて原作ならLv.7下位くらいだったのをLv.8上位くらいになってもらわないと僕に掠り傷一つ作れないしね。
まあ、過程無き力なんてそんなモン。本物の
じゃあそこら辺は邪魔しないようにして、それ以外の所を
あぁ、誰かひみつ道具の『
ホントにロイマン然り、あのお義母さんの魔法の劣化版みたいな二つ名したエルフさん然り、マジでお前ら今度は僕が森と大聖樹を焼くぞ。
お前らの完全上位互換である『大精霊』引き連れてなッ! 天の炎の残滓とエピメテウスさんの残り火と僕の力が合わさった『
何が高尚な種族だよ、何が『知恵』と『魔力』に長けた種族だよ。
知恵では神に劣り、魔力では僕やアルフィアお義母さんに劣っているお前たちが?高潔だと?笑わせんな。
はぁ、取り敢えずエルフはその驕り高ぶったプライドからへし折ってやるよ、跡形もなくな。
✕ ✕ ✕
都市の住民たちが一斉に逃げ出した。
その理由は単純、極彩色の蛇のようなモンスターが都市のいたる所から現れたからである。
そのせいで、お祭り騒ぎだった都市が一斉に静まり返り、次の瞬間には悲鳴だけが良く響いた。
「『シルフ』、力を貸して」
風が吹いた。
オラリオの市壁、本来立ち入る事が出来ない場所から都市中を俯瞰する少年は、手に持っている市壁の壁の一部を砕いた石ころに、風を纏わせた。
「
詠唱ではなく、祝詞。
精霊の力を行使するためには不可欠な過程であり、逆にいえばこれさえこなせば様々な精霊の力を行使できる。
右手に石ころを持ち、腕を大きく後ろへとやる。身体を傾け、頭の上に右手を持ってきて、左手で照準を合わせる。
左脚を思いっきり踏み込み、身体の回転を使用して下半身と上半身のねじれを利用した力で、
「───フッ!!」
刹那。
都市に翡翠色の閃光が煌めいた。風を纏うその石ころは大砲並みの威力を有し、風の力により空気抵抗を無視した上で更に加速する。
そして、五分後。
実に三十回程度の都市の市壁からの超遠距離精密投擲により、極彩色のモンスター達は次々と狙撃されていった。
「あーうん。もっとマシなの連れて来て」
敵の策略など知った事かと一蹴する覇者は、戦場を俯瞰しながら誰にも気付かれずにほとんどの被害を収束させた。
ベルきゅんの強さを語ってくれたアストレア様に合掌っ!やっぱり善神は違うぜっ!!
ベル君はね、めちゃめちゃ苦労してんのよ。
モチベに繋がるのでコメントやお気に入り、評価などお願いします。