名前 白瀬 朔 (しらせ さく)
誕生日 4月2日
年齢 16歳 (糸師凛と同学年)
利き足 右
ポジション MF
※今後話で出てきた部分を公開していく予定です。
壇上の背後に設置されたスクリーンには、青い文字で『BLUE LOCK』と映し出されていた。
会場には多くの報道関係者が集まり、これから発表される新たなプロジェクトについて、期待と疑念の入り混じった視線を壇上へ向けている。
マイクの前に座るのは、JFUの会長と帝襟アンリ。
アンリは手元の資料へ一度だけ目を落とすと、すぐに顔を上げた。
「日本サッカーが世界の頂点に立つためには、今までと同じことを繰り返しているだけではいけません」
静かな声だった。
しかし、その声には迷いがなかった。
「日本には、優れた技術を持つ選手がいます。組織的に動く力もある。規律を守り、仲間を信じ、チームのために走ることもできる。けれど、それだけで世界一になれるのでしょうか」
アンリは会場を見渡した。
「私は、なれないと思っています」
先ほどよりも、はっきりとした声が響く。
「世界の舞台で最後に勝敗を分けるのは、誰かがゴールを奪えるかどうかです。誰かが責任を引き受け、誰かが相手の守備を壊し、誰かが自分の力で試合を終わらせる。その役割を担うストライカーが、日本にはまだ足りない」
記者たちが一斉にペンを走らせる。
「日本の選手たちは、周囲に合わせることを覚えすぎています。仲間を優先し、空気を読み、失敗しない選択を選ぶ。それはチームにとって必要な能力かもしれません。でも、世界一のストライカーに必要なのは、失敗を恐れず、自分がゴールを奪うと信じて前へ出るエゴです!」
アンリの語気が強まった。
「自分が決める!自分が勝たせる!自分こそが、この試合の主役だと疑わない選手!日本には、そういう人間が必要なんです!」
会場の一角から、ざわめきが起こる。
アンリは止まらなかった。
「だからこそ、私たちは既存の育成システムを一度壊します!優秀な選手を集めて、仲良く練習させるだけではありません。選手たちを一つの施設に集め、互いに競わせる。自分の武器を示し、相手を上回り、最後まで生き残った者だけが次へ進む」
記者の一人が顔をしかめた。
「それは、選手同士に競争を強いるということですか?」
「競争を避けて、どうして世界一になれるんですか!?」
アンリは即座に返した。
「世界のトップに立つ選手たちは、誰もが自分の居場所を奪い合っています!ポジションも、出場機会も、ゴールを決める権利も、誰かが与えてくれるものではありません!自分の力で奪い取るものです!」
声がさらに強くなる。
「仲間を蹴落とすことが目的なのではありません!自分が誰よりも優れていると証明することが目的です!チームの中に埋もれ、誰かの陰に隠れたままでは、世界一のストライカーにはなれません!」
会場の空気が張り詰めた。
アンリは拳を握った。
「世界一のストライカーを生み出すためには、今までの日本にはなかった、イかれたプロジェクトが必要なんです!」
その言葉に、会場が大きくざわめいた。
「選手を使い捨てにするつもりですか?」
「協調性を失わせるだけではありませんか?」
「そんな施設に選手を集めて、本当に日本代表を強くできるのですか?」
否定的な声が次々に飛ぶ。
会長が制止しようと手を上げたが、アンリはそれを遮るように一歩前へ出た。
「使い捨てるつもりなどありません。世界一を目指す覚悟のない選手を、世界一の舞台へ送り出すつもりがないだけです!」
会場が静まる。
「協調性を否定しているわけでもありません。チームワークは必要です。ですが、チームワークを理由に、自分の武器を隠すことは許さない。仲間に合わせるために、自分の可能性を小さくすることも許さない」
アンリの目には、強い光が宿っていた。
「このプロジェクトで問われるのは、誰が一番いい選手かではありません。誰が一番チームに尽くせるかでもない。誰が!最後の瞬間にゴールを奪えるのか!誰が!自分のエゴを武器にして、世界の頂点まで進めるのかです!」
記者たちは黙って彼女を見つめている。
アンリは最後に、スクリーンへ視線を向けた。
「これが、日本フットボール連合が始める新プロジェクト――『BLUE LOCK』です。日本から、世界一のストライカーを生み出します!
…会見は以上です」
アンリは言い終わると、席を立ちその場を離れる。
「待ってください!」
記者の一人が声を上げた。
「まだ質問があります! この計画はあまりにも極端ではありませんか!」
「選手の将来を賭けた実験にしか見えません!」
「日本サッカーの伝統を壊すつもりですか!」
「本当に成功する保証があるんですか!」
「連合は何を考えてるんだ!」
否定と疑問の声が重なり、会場は再び騒然となった。
スクリーンに映る『BLUE LOCK』の文字だけが、騒がしい会場の中で静かに浮かび上がっていた。
その様子を、会場の外から眺めている二人の青年がいた。
「……面白いことを考える奴がいるな」
先に口を開いたのは、糸師冴だった。
普段と変わらない落ち着いた声。しかし、その視線はスクリーンに映る文字から離れていない。
「日本サッカーを変える、か」
冴は小さく息を吐いた。
日本の育成環境に対して、彼が抱いていた不満は少なくない。技術があっても、世界で戦うための意識が足りない。周囲との調和を優先し、自分が主役になることを恐れる。
そんな環境に一石を投じる計画が、本当に実現するというのなら。
「少なくとも、今までの日本とは違うものが見られるかもしれないな」
その呟きを聞きながら、白瀬朔は再度スクリーンへ目を向けた。
「へぇ……ブルーロックねぇ」
口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
「世界一のストライカーを作るために、選手同士を競わせるんだ?」
朔が興味を持ったのは、日本サッカーの未来でも、プロジェクトの理念でもなかった。
そこに集められる選手たちが、どんなプレーをするのか。
どんな考えを持ち、どんな武器を磨き、どんな状況で自分の選択を変えるのか。
そして、そんな選手たちが本気でぶつかり合ったとき、どんなサッカーが生まれるのか。
それがたまらなく知りたくなった。
原作沿いにはしてますが、セリフなど全く同じ様にはしていません。
まぁ、そういう作品だと思って温かい目で見てください。
次回の投稿は日にちが空きます、お仕事が忙しいもので…