ヤンデレキヴォトスの被害者な先生を助けたら、先生もヤンデレ化したんだが? 作:エタるマン
さて……どこからお話いたしましょうか。まず始めに、今キヴォトスで先生を慕っている生徒のほぼ全員が……いえ、正確にはあなたを除く全ての生徒が先生を性的な目で見ており、かつ襲おうと画策しています。
……ええ、そうです。かく言う私もその一人でした。では次にそうなった原因について、なのですが……正直なところ、
始まりは誰とも知れませんが、それでもその誰かが先生を襲った。そんな不確かな噂は、私たちの無意識の内の抵抗をなくすには十分すぎたのです。私も含め、生徒たちは我先にと先生を襲いました。時には仲の良いはずの生徒たちが対立し、また時には敵対していたはずの生徒たちが協力して、各々の全てを用いて先生を犯し尽くしました。
始めの内こそ困惑と健全な精神性が勝ちなんとか生徒たちを止めようと手段を尽くしていた先生でしたが、その抵抗も虚しく最後の方にはただ皆を発情させるような反応をするだけの
その後はあなたの知る通りです。限界を感じて逃げ出した先生はあなたと出会い、匿われ、そんな現場を目撃していた私に襲撃を受け今に至る。こんなところでしょうか。
……先生が一人で逃げ出せたのは何故か?確かにそれこそミレニアムの生徒たちの手にかかれば、不用意に行動する先生の居場所などすぐに特定されてしまうことでしょう。
そうされなかったのは、私が妨害をしていたから……?そんなことはありません。と言いたいところですが……確信を持っておられるのですね。ならばお話しましょう。
私の中の愛情がねじ曲がってしまった、と先ほどお話しましたが、ある時私はその変化に気が付きました。このように情欲に身を任せあなた様を貪り尽くすのは本当に正しいのか。ほんのわずかですが、そんな考えが浮かぶようにもなりました。しかし私の本能は先生を求めていました。犯し、喰らい、我が物とする。そんな考えに支配されていたと捉えてもらって構いません。
そんな中でわずかに自我を取り戻した「私」ができたことは、自分自身に言い訳をして先生が逃げ出す隙を作ることでした。
一度安心させたところをぐちゃぐちゃに犯せば心を完膚なきまでに手折ることができるから、一度泳がしてみよう。
自分以外の女が先生に近づくことは許せないから邪魔をしておくべきだ。
先生が安寧を覚える相手を傷つければあの方は私に従う他ないはずだから、猶予をもたせるために即座に襲撃をかけることはしないでおこう。
これが私にできた唯一の手助けにもならない悪あがき。自分ではない誰かの行動に愛しい人の実質全てを賭ける大博打。
そんな勝算の薄い賭けに打ち勝ち、先生を助けてくださったこと、そして私すらも救ってくださったこと、本当に感謝しています。
……自分は大したことはしていない、ですか。ええ、あなたがそう思うのならばそれで結構。それでもあなたがあの時私に本心を思い出させてくれたことに対して、感謝の意を抱いていることに変わりはないのですから。この御恩は近い内に返させていただきくとしましょう。
他に何かご質問のほどは?……「ヤンデレ化」なるこの事態に原因となる人物がいるかどうか?そうですね……私のように、他者から多くの恨みを買っている生徒はそれなりにいます。ゲヘナの美食研究会は温泉開発部などがいい例でしょう。ですがもしそういった人物だけを憎んでいるのなら、この現象が生徒全員に起きている理由にはなりません。従ってもし仮に犯人と呼べる存在がいるのなら、それはこのキヴォトスに生きる全ての生徒を恨んでいるような、あるいは先生個人に恨みがある人物である可能性が高いと考えます。
……その様子ですと、どうやら心当たりがあるようですね。無理には聞きませんが、その相手に何か一矢報いる策などがあれば、是非ご相談ください。ご存知かもしれませんが、これでも何かを破壊することは得意なので。
……そろそろ先生が起きてくる頃合いでしょう。その時この場に私がいれば、不用意に心労をかけることになってしまう。それは私の望むところではありません。
ですので私は一旦ここを離れ、あの方を狙う輩を妨害して参ります。何かあればモモトークでご連絡を。
……先生を、私が愛するあの御方のことを、どうかよろしくお願いします。
「……その思い、確かに聞き届けたよ。ワカモ」
今、わたしは夢を見ている。最近そう気付くことが多くなった。こういう状態のことを明晰夢というらしい。なんでも精神的な不安が強い人が見やすいんだとか。
まあ今それは関係ない。大切なのは、今見ている夢が久しぶりに悪夢じゃないということだ。
ただ快楽を叩き込まれ続ける夢をどう捉えるかは人によると思うが、わたしは悪夢でしかないと思う派だ。現実でも散々されたのに夢の中でも
だから今見ている夢は、幸せなものだと言えるだろう。
「もしよかったら、俺の家に来ませんか?」
生徒のみんなにそう誘われる時は、決まって家の中でシたい時でしかなかった。でもセイは違った。純粋にわたしを心配してくれて、わたしが裸になっても恥ずかしそうに顔を背けて、何も混ざってないご飯をくれて、わたしが怖がらないように、少し距離を空けて寝てくれて……わたしをみんなが好きな先生じゃない、ただのルナって呼んでくれて。
嬉しかった。ひさしぶりに、心があったかくなった。寝ている間に襲われるんじゃないか、って不安に駆られずに眠れた。
そんなセイが、ワカモに攻撃された。それも、わたしを守るために。
「セイ……せいぃ……!」
「おきてよぉ……おきてってばぁ!」
必死で声をかけた。セイがいなくなったら、わたしはまた一人ぼっちだ。……別にそれでもいいか。だってセイは……
「……わたしの、せいで」
こうなってしまったんだから。わたしを守ったから。わたしを家に上げてくれたから。わたしに安らぎを与えてくれたから。そうだ。全部ぜんぶ、わたしのせいじゃないか。なら、わたしがセイから離れれば……
「んなこと……ねえ、よ……」
なんでそんなこと言うの?わたしがいなくなればそれでぜんぶよくなるんだよ?
「もういい、だなんて言わせねえぞ」
それなのに、なんで……?
「ルナ、これでも俺はお前のことがそれなりに好きなんだよ」
……え?
「だから……お前のことは、俺が守ってやる」
それはみんなから聞いた言葉。「先生のことが好きなんです」そんなもの、何百回も聞いたはずだ。それでもセイのその言葉は、そのどれよりも心に響いて、幸せな気持ちが溢れてきて……!
そうだ。セイがわたしを守ってくれるなら、わたしがセイを守ろう。
そう「ルナ」としての決意を固めた。
その後にもいろいろあった。ワカモが倒れて、黒いワカモが出てきて、撃たれて、そいつをセイが倒してくれて、
そこまで夢が進んだところで、わたしは目が覚めた。
「せい……あれ?」
見慣れない部屋に敷かれた布団。その周りを見ても、セイがいない。どこ?どこ!?どこにいるの!?
知らない家の廊下を走り回る。元からあまりなかった体力はここ最近更に落ちていてすぐ息が切れるけど、それでも走り続ける。
「セイッ!」
「お、ルナ。起きたかっ!?」
勢いのまま、セイに思いっきり抱きつく。ああ、あったかい。落ち着く。幸せ。セイのそばにいると、もう大丈夫だって思える。
「……それだけ動けるなら問題なさそうだな。後で包帯だけ変えとくか」
「……ねえ、セイ。わたしが寝てる間、なにしてたの?」
今のセイからは、「ほかのおんなのけはい」がする。きっとわたしが知らない間に誰かと会ってたんだ。
「ん?ああそれならワカモとちょっと話をな。とりあえず今後のことについてとかは決めておかないといけないしな。……なあルナ」
セイがピシッとした顔になる。
「今のお前には二つの選択肢がある。ひとまずもう少しだけ俺と一緒に身を潜めるのは確定として、俺と一緒に黒幕を倒すか俺じゃなくてワカモみたいに正気に戻した生徒たちのところに行くか。お前はどっちがいい?」
そんなの決まってる。
「セイといっしょがいい」
「……まあ今の状態じゃそうなる、か。よしわかった。でも気が変わったら言ってくれよ?別にいつでも俺から離れていいんだからな」
セイから離れる?そんなこと、想像したくもない。だってわたしは、ずうっとセイといっしょにいるって決めたんだから。
「……うん。わかった」
でも、今そんなこと言ったらきっとセイを困らせちゃう。だからこれは、わたしだけの秘密。だからしばらくはただのルナとして、よろしくね?セイ。
それにしても、セイさんは本当の意味で理解しているのでしょうか。心身が傷つきボロボロになったあの方を受け入れるという、その意味を。
私たちの狂愛は捻じ曲げられて生まれた、言わば人工のもの。それに対して、あの方から垣間見えた執着の色は本心からなる純粋なる狂気。
ヤンデレ、とは中々上手く言ったものです。病んだ好意は己も相手も破滅へと導いてしまうもの。それを受け止め、病んだ心すらも癒やしあの方を幸福な未来に導くことができるのか。
私にそんな資格はないのかもしれませんが……叶うことならば、とそう思わずにはいられません。
頼みましたよ、セイ
このキヴォトスであの方を救える人物は、きっとあなた以外にはいないのですから。
セイ
「……その(私が抱く先生を救ってほしいという思いを)説明をする前に、今のキヴォトスの状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ」「おかのした」
「(理解の程度は)大丈夫か?」「あーそーゆーことね完全に理解した」←(二人の内心については)わかってない
ルナ
ヤンヤンしてきましたね(暗黒微笑)
みんなに襲われまくった影響で精神年齢が幼くなっている
そのため自身の抱える感情を完璧には理解していないし、
それではここでもう一度一話の最初をご覧ください()
現段階でセイに向けている感情は親に向けるものに近い親愛
ワカモ
罪悪感やらなんやらで心はもうボドボド
それでも贖罪のために、ひいては愛する人のために彼女は動き続ける
……たとえもう、その人と結ばれることはないとわかっていても
セイに向けている感情は恩義と切実な懇願
そろそろ書き溜めが尽きそうです
というわけで作者のモチベのためにも高評価・感想を是非!
……というただの催促です