とりあえず会話をやめて三人で再び黙々とご飯を食べ始めた。途中、少女が彩葉さんのタコライスを食べたいと言い始め、彩葉さんは唯一の食事なので抵抗を試みるが泣き落としにより撃沈。僕に至ってはパスタを食べさせてほしいと言われ、仕方がないからあーんをしてあげた、少女は凄くニコニコしてご機嫌そうだったが、逆に彩葉さんを見ると人間を見る目じゃない程の超ブリザード、怖すぎて銀のフォークを落としてしまった。
「....私も」
「....へ?」
そのまま、少女を無視するように向かい合わせで僕の目の前に座って来たのだ、まるで私にも寄越せとでも言ってるようなそんな目で此方を見ている。
「あ、あのー?」
「何してるわけ、早く」
「えー!やっぱり彩葉も食べたかったんじゃん!」
「.....」
「えーっと....」
何をしているんだ、早く、そのフォークに巻いてあるパスタを寄越せ、私の口の中に入れろと言う視線は気のせいだろうか。
「....はい」
「ん....」
彩葉さんの口元にフォークを寄せるとパクっとフォークを咥えた、キャンディを味わうかのようにゆっくりと何かを感じながら食べている、口元から離れるとツーっと銀色の糸がプツリと離れ、酷くいやらしく感じてしまった。
「ご馳走様。」
「ん」
一言だけで済まして、余計なことを考えることをやめた。考えちゃダメだと察した。
「残り食べる?」
「食べるー!いいの!?」
少女に声を掛けると嬉しそうに残ったパスタを受け取り、夢中になって食べていた。さっきまで彩葉さんのタコライスを平らげたはずだけど、この子のお腹の中はブラックホールか何かかな?そのまま、ゴミを片付けた彩葉さんはタブレットを操作し始めて、少女にある物を見せていた。
「あのさ、因みにだけどこれに心当たりは?」
「なにこれー?」
「竹取物語?この子が月から来たって言ったから?」
「そ、こいつが出てきたのは竹じゃなくて電柱だったけどね」
「それじゃあまるで竹取じゃなくて電取物語だね!!」
「うるさい」
はい、すんません。出しゃばりました、大人しくしてます。
「で、なんの話?」
「....竹取物語、月からやって来た姫が竹の中から出てきた翁が拾って育てて結婚迫られたりとか」
「あぁ、そっかー、彩葉はこのお爺さんだったってことかー」
「ビンゴ!そのとーり!いっでぇ"ぇ"ぇ"!」
「湊....?月まで飛ばされたい...?ん?」
頭を強くひっぱたかれた、非常に痛いよ....タンコブできちゃうよこれ....人生トップ3には入る痛みだよこれは....っ!
「うわぁ....頭から煙が出てるよ湊、大丈夫?」
「大丈夫に見えるか?....この姿を見て」
少女に頭をヨシヨシされた、なんと言うか嬉しい気持ちと情けない気持ちが混ざっていた。
「で、続きは?」
「え?あぁ、うん。お迎えが来てー、翁たちが引き渡すまいと戦うんだけど空しく、姫は地球のことは忘れて帰る」
「おー、で続きは?」
「ない、終わり。めでたしめでたし」
「え、月に帰って終わり?なにそれ!なにがめでたいの!?超バットエンドじゃん!?」
「く....首がぁ!?!?」
グワングワンと僕の首を掴んで揺らす、視界が揺れて息ができない、このままだと僕がバットエンド行きにされるっ....!?
「ちょ!!首!湊の首を絞めてるって!」
「あ、ごめん」
「うっ....!死ぬかと思った....!?」
身体中に酸素が補給された、あぁ生きている実感が素晴らしい....!
「勝手に死のうとしないで、死ぬなら私と一緒に....」
頭をひっぱたかられ、首を絞められて死にかけるって今日はいったい何なんだ....!てか、呼吸に必死で彩葉さんがなんと言ったか、聞こえなかったぞ....確認を...っ。
「彩葉さん、ごめんもう1回言って...?」
「....なんでもない」
なんだよ、めっちゃ気になるじゃん。まぁ言いたくない時もあるよね、仕方ない。
少しずつ、進めていきます...!