ゲーム好きなだけのデスゲーム帰還者   作:myo-n

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第3話

 

辺りを見回す。

のどかな緑が広がる草原の中の小さな村だ。

たしかアバターの勢力地の初心者寄りの村だった気がする。

 

「さて…何するかな」

 

正直攻略とかにはあんまり興味がない。

そういうのはSAOだけでお腹いっぱいだ。

 

強くなるのが目的じゃない、適当にぶらついて観光でもするか。

で、クエストを何個かやって終わるというわけだ。

我ながらなんて完璧なスケジュール。

 

《新着メッセージを受け取りました》

 

視界端に現れる通知。

フレンド枠にいる奴らは限られている。

とても、嫌な予感しかしない。

 

恐る恐るメッセージを確認する

 

《リズベット:やっとログインしたわね!攻略に人手が足りないから来てくれる?》

 

「…………」

 

すっとメッセージをゴミ箱に投げる。

すると座標を示すメッセージが送られてきた。

もう一度ゴミ箱に投げると、また同じ内容のメッセージが来た。

 

強制イベントかよ、くそ。

 

「はぁ…またこの展開かよ……」

 

幸いここからそう遠くはない。

羽を生やして宙に浮かぶ。

 

「何回やっても慣れないなこれ」

 

ALOは羽を生やして早く飛べる。

なんとか補助コントローラー無しで操作はできる様になったが……未だに難しい。

 

村の商人から回復薬だけ買い足す事だけ忘れずに行う。

インベントリの上限数いきそうなくらい回復薬があるが多いに越した事はない。

 

そして、目的地に向けて飛び始めた。

 

▪️▪️▪️▪️

 

「ようやくログインして来たわね」

 

「VRよりビデオゲーム派でな」

 

20分ほど移動した所にある中立エリアのダンジョン前で篠崎が待っていた。

よく見れば他に3人ほどいる。

 

ALOに入ると高確率でクエスト手伝わすのはどうなんだろうか。

 

「えっと…リズさん、この人は……?」

 

小柄なケモ耳が生えた子がリズの後ろに控える。

臆病なチワワみたいだな……

 

「こいつはムー、私の友達よ。皆んなと同じだから安心して」

 

「どうも」

 

「あっ、えっとシリカです。よろしくお願いします」

 

シリカ……なんか今日聞いた気がするが思い出せない。

 

「そんなに畏まらなくてもいいわよ?」

 

「お前が言うな」

 

バシバシと肩を叩いてくるリズベットの手を払い残りの2人を見る。

1人は黒髪の青年で、もう1人は……うっわめっちゃ知り合い。

 

「えっと…アスナさんで、合ってる?」

 

「えぇ、お久しぶり」

 

うんやっぱり。

この人自分の姿に寄せないとゲームできない呪いにかかっているんだろうか。

 

「で、そこの黒い人は?」

 

「分からない?黒の剣士キリト様よ」

 

「お前な…恥ずかしいからやめてくれ」

 

「マジか」

 

黒の剣士来たぁぁぁ

え、凄い帰りたい。

半分以上友達の友達だし、なんか有名人いるし。

 

……と言うことはシリカもSAO帰還者!?

 

「え、なに帰っていい?こんな大人数の輪に呼んだことないじゃん」

 

いつもは適当な採取クエストで使い回す癖にどういう風の吹き回しだろう。

 

「このダンジョン5人からしか入れなくてさぁ……お願い!」

 

「数合わせねなるほど」

 

ゲームが変わったとはいえSAOで先陣を切り開いてきた実力者が2人もいるんだ。

それなら俺は3歩後ろからついていこう。

 

「な訳ないでしょ」

 

「ですよね」

 

団体行動は苦手なんだけどなぁ……

 

「なぁ…アスナ、あの人って」

 

「覚えてないの?50層から攻略に参加してた人よ?」

 

「まぁまぁ…後ろでちょこちょこ動いてただけなんで」

 

信じられないといった顔で呆れるアスナを宥める。

攻略には参加していたけど2人ほど活躍したわけじゃない。

 

アスナとは仕事の関係上付き合いがあったから知っているがシリカとキリトに関してはほぼ初対面だ。

アスナの旦那さんでSAOをクリアした人くらいの知識しかない。

あと変な噂とかぐらいか。

 

「それにしても…ふーん、なるほどね」

 

アスナがジロジロと見つめてくる。

なになに、そんなに変な見た目にはしていないはずだけど。

 

そして俺から篠崎に視線を移す。

何で妙にニヤニヤしてるんだ?

 

「もしかしてリズの…?」

 

「違うわよ!そんなんじゃないから!」

 

「リズさんも隅におけませんね」

 

「シリカまで…もーー……」

 

男2人残してヒソヒソガールズトークするのはやめてほしい。

しかも隣にいるの友達の友達ぃ…

気まずい。

 

「えっと…すみません覚えてなくて」

 

「いやいや、全然大丈夫。基本ソロだったから知らなくても無理ないよ」

 

「ムーさんもソロだったんですか?」

 

「基本はね、たまにリズの無茶振りに付き合ったりしてたけど」

 

鉱石の採集とか高レベル地域での護衛とか。

あいつレアモンスターを見つけたらなりふり構わず追いかけ回すからついて行くのが大変だった記憶しかない。

 

「別に敬語じゃなくてもいいよ?ゲームの中なんだし」

 

「わかった。そっちの方が俺も喋りやすい」

 

若干肩の力が抜けたキリト。

これなら仲良くなれそうだ。

 

「ところでさ……どうやってアスナさんを口説き落としたんだ?」

 

正直凄い気になっていた。

SAOのトップクランの血盟騎士団、その副団長のアスナは高嶺の花どころじゃない。

 

黒の剣士が閃光を落とした。

一時期その話題でSAO内は持ちきりだったし。

 

「別に口説いた訳じゃないんだけど……色々あったんだよ」

 

「ほうほう」

 

「そっちこそどうなんだよ。随分と仲が良さそうだけど」

 

強引に会話を変えられる。

もっと詳しく聞きたいけど…いつか聞けばいいか。

 

「初期の頃から装備全般で世話になっててさ、長年の…戦友?って感じ。まぁ人使いは荒いけど良いやつだよ」

 

「分かる、俺も鉱石取りにドラゴンの巣まで行った事あってさ」

 

「あーー…聞いた事ある。売り物をぶっ壊した非常識な客がいたってぷりぷりしてた」

 

「いや、あれは試し斬りのつもりで…」

 

思っていたより話しやすい。

SAOの英雄って言われていたからもっと気難しい感じかと思っていた。

なんというか…子供っぽいな。

同じぐらいの年齢なんだろうか。

 

キリトと話を続けて10分程したら女性陣が声をかけてきた。

ガールズトークもひと段落済んだらしい。

 

「仲良くなれた?キリト君」

 

「あぁ、結構話しやすかった」

 

「話は逸れたけど、そろそろ迷宮の中に入りましょ」

 

リズベットがこっちにやって来て、迷宮の情報を送ってくる。

全5階層の主なモンスターがコボルト、ゴブリン、ラットか。

情報を見る限りそんなに難しい所じゃなさそうだ。

 

「前衛はキリトとアスナ、中衛にムーで後ろは私とシリカのフォーメーションで行こうと思うけど良い?」

 

反論の声は出ない。

 

「ムーはどんな武器を使うんだ?」

 

「んー、メインは短剣と長剣かな」

 

腰にダガーホルダーを付けて反対側には片手の両刃剣を装備する。

少し妙な見た目だがSAOで長年研究して考えついたビルドだ。

 

「珍しい組み合わせだな」

 

「ははは…よく言われるよ」

 

《二刀流ってかっこよくない?ほら、攻撃に全振りーって感じで!》

 

過去の言葉を思い出す。

彼女は二つの剣を持っているみたいに手を振り回して笑っていた。

 

そんな無邪気に微笑む彼女を忘れる事は……ない。

……会いたいな。

 

「ムー?」

 

リズベットが心配そうに呼びかける。

どうやら少し過去に浸っていたようだ……

 

周りが不思議そうに見ている。

 

「ごめん、ちょっと考え事してた」

 

「いけそう?」

 

「大丈夫」

 

「それじゃあ行きましょうか!」

 

リズが操作するとダンジョン内に入れるようになった。

 

さて…一仕事しますかね。

 

 

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