第一幕 数日間の積み重ね
X686年――フィオーレ王国、マグノリア。
あれから、数日が経った。
診療所の窓から差し込む朝日が、部屋の床を柔らかく照らしている。
「……よし!」
ユーリが寝台から勢いよく立ち上がった。
「今日こそ、あの感覚を掴んでやるぜ!」
「……朝から騒がしいな」
隣で本を読んでいたプレヒトが、呆れたように顔を上げる。
「何だよ。やる気があっていいだろ?」
「やる気と騒音は別物だ」
「相変わらず細けぇな、お前は!」
「……お前が大雑把すぎるだけだ」
そんな二人を見て、ウォーロッドが苦笑した。
「でも、ユーリの気持ちも分かりますよ。最近は、少しずつ魔力を感じられるようになってきましたから」
「だろ!?」
ユーリは嬉しそうに笑った。
「最初は何が何だか分かんなかったけどよ。今なら、身体の奥に何かあるってのが分かるんだ!」
「……それは俺も同じだ」
プレヒトは本を閉じた。
「まだ曖昧な部分はあるが、以前よりも明確になっている」
「僕もです」
ウォーロッドが頷く。
「目を閉じなくても、時々感じられるようになりました」
「おおっ! やるじゃねぇか!」
ユーリがウォーロッドの肩を叩く。
「ありがとうございます」
そのとき。
「皆さん、おはようございます」
扉が開き、イリスが顔を覗かせた。
「おう! イリス!」
「おはようございます、イリスさん」
「おはよう」
三人の挨拶に、イリスは微笑んだ。
「今日も元気そうですね」
「当たり前だ!」
ユーリは胸を張った。
「もう怪我だって、ほとんど治ったんだぜ!」
「……ほとんど、ですよね?」
「……おう」
「先生からは、まだ無理をしないように言われていますからね」
「分かってるって!」
イリスは小さく苦笑した。
ユーリとプレヒトの怪我は、順調に回復していた。
日常生活には、ほとんど支障がない。
ただし、激しい運動はまだ控える必要がある。
だからこそ、今は身体を動かす訓練よりも、魔力を扱う練習に集中していた。
「ところで、メイビスさんは?」
イリスが尋ねる。
「さっきまで、手帳を見ていましたよ」
ウォーロッドが答えた。
「今日の練習について、何か考えているみたいです」
「……なるほど」
イリスは微笑んだ。
「それなら、今日も頼りにさせてもらいましょうか」
「……お前、教える側だろ?」
ユーリが笑う。
「もちろん、そのつもりですよ?」
イリスはにっこりと微笑んだ。
「ただ、説明が上手な方に協力していただくのは、とても大切なことですから」
「……まあ、確かにな」
プレヒトが頷いた。
「お前の説明は、時々感覚的すぎる」
「……うっ」
イリスの笑顔が、わずかに固まった。
「……そんなに、分かりにくいでしょうか?」
「分かりにくいというか……」
ウォーロッドが困ったように笑う。
「もう少し、言葉で説明してもらえると助かります」
「…………」
イリスは、少しだけ肩を落とした。
「……頑張ります」
その様子に、三人は思わず笑った。
魔法を教えることは、戦うこととはまったく違う。
イリスは、この数日でそれを何度も実感していた。
――――――――――
第二幕 感覚派と理論派
午前中。
一行は、マグノリア郊外の静かな場所に集まっていた。
木々に囲まれた空き地には、柔らかな風が吹いている。
「それでは、今日は魔力を動かす練習をしてみましょう」
イリスが言った。
「動かす?」
ユーリが首を傾げる。
「はい。皆さん、魔力を感じ取ることは、以前よりもできるようになりましたよね?」
「ああ!」
「その魔力を、今度は自分の意思で動かしてみるんです」
「……なるほど」
プレヒトが腕を組んだ。
「感知から操作へ進む、ということか」
「そうですね」
イリスは頷いた。
「まずは、私がやってみますね」
そう言って、右手を軽く持ち上げた。
手のひらに、淡い光が灯る。
光はゆっくりと揺らめき、やがて静かに消えた。
「……おお!」
ユーリが目を輝かせる。
「今のが魔法か!」
「はい。ですが、皆さんはまだ光を出そうとしなくて大丈夫です」
イリスは微笑んだ。
「まずは、身体の中にある魔力を……こう、すーっと動かす感じで」
「…………」
ユーリが眉をひそめた。
「……すーっと?」
「はい。無理に押し出すのではなく、自然に流すように……」
「いや、だからよ!」
ユーリが両手を広げる。
「その『すーっと』が分かんねぇんだって!」
「……あ」
イリスが固まった。
その隣で。
「なるほど!」
メイビスが、ぱっと顔を上げた。
「イリスさん!」
「……はい?」
「つまり、魔力を力任せに押し出すんじゃなくて、自分の内側にある流れを意識して、その方向を少しずつ変えていくんですね!」
「……!」
イリスの表情が明るくなった。
「そうです! まさにそれです!」
「……なるほどな」
プレヒトが頷いた。
「最初からそう説明してくれれば、分かりやすい」
「…………」
イリスは、少しだけ目を逸らした。
「……努力します」
ユーリが吹き出した。
「はははっ! やっぱメイビスがいねぇと駄目だな!」
「もう、ユーリさん!」
メイビスが笑う。
「イリスさんの説明も、ちゃんと意味があるんですよ!」
「……お?」
「魔力を扱う感覚は、人によって少しずつ違うと思うんです。だから、言葉だけで説明するのも難しいんですよね?」
「……はい」
イリスは頷いた。
「私も、最初は感覚で覚えた部分が大きいですから」
「それなら、二つを合わせればいいんです!」
メイビスは嬉しそうに言った。
「イリスさんが実際の感覚を教えて、私が言葉にする。そうすれば、みんなにも伝わりやすくなると思います!」
「……なるほど」
イリスは、感心したように目を瞬かせた。
「……それは、とても良い考えですね」
「えへへ!」
メイビスは嬉しそうに笑った。
「私も、ゼレフさんから教わったことを、みんなに伝えられますし!」
「……そうですね」
イリスも微笑んだ。
魔法を使うことと、魔法を教えること。
その二つは、必ずしも同じではない。
けれど。
自分に足りない部分を、仲間が補ってくれる。
それは、決して悪いことではなかった。
「それでは、メイビスさん」
「はい!」
「今日も、よろしくお願いします」
「こちらこそ!」
二人は顔を見合わせて笑った。
その様子を見て、ウォーロッドが微笑む。
「……何だか、いいですね」
「……ああ」
プレヒトも小さく頷いた。
「互いに足りない部分を補っている」
「よーし!」
ユーリが拳を握る。
「じゃあ、俺たちも負けてらんねぇな!」
「……競争ではありませんよ?」
イリスの言葉に、また笑い声が上がった。
――――――――――
第三幕 四人それぞれの成長
練習が始まった。
四人は、それぞれ少し離れた場所に腰を下ろす。
まずは、自分の魔力を感じ取る。
そして、その流れを意識する。
最初に変化が現れたのは、ウォーロッドだった。
「……あ」
小さな声が漏れる。
「……どうしました?」
イリスが尋ねる。
「今、少し……動いたような気がします」
「……!」
メイビスが顔を上げた。
「本当ですか!?」
「はい。胸のあたりにあったものが、少しだけ手の方へ……」
「それです!」
イリスが嬉しそうに頷いた。
「その感覚を、覚えておいてください!」
「はい!」
ウォーロッドは、穏やかに微笑んだ。
その隣では、プレヒトが静かに目を閉じていた。
(……魔力を感じることはできる)
以前よりも、はっきりと。
だが、それを動かそうとすると、途端に感覚が曖昧になる。
(……意識を集中しすぎているのか?)
プレヒトは呼吸を整えた。
魔力を無理に動かそうとするのではなく、流れを意識する。
そして。
「…………」
ほんのわずか。
身体の奥にある何かが、意識に応じて揺らいだ。
「……なるほど」
プレヒトが目を開ける。
「……プレヒトさん?」
メイビスが尋ねた。
「まだ完全ではないが、少しだけ分かった」
「本当ですか!」
「ああ。力を込めるほど、かえって感覚が鈍るらしい」
「……そうですね」
イリスが頷いた。
「魔力を動かすときは、身体の力を抜くことも大切です」
「……ふむ」
プレヒトは考え込んだ。
「感覚を再現できれば、もっと安定させられるかもしれないな」
その一方で。
「……ぐぬぬぬ……!」
ユーリは、相変わらず苦戦していた。
「……ユーリさん」
「……ぬぬぬぬ……!」
「……力みすぎですよ?」
「分かってるって!」
ユーリは目を開けた。
「でもよ! みんなできてるのに、俺だけできねぇってのは悔しいじゃねぇか!」
「……ユーリ」
プレヒトが呆れたように言った。
「だから、力を抜けと言っているんだ」
「分かってるけどよ!」
その様子を見て、メイビスが小さく笑った。
「ユーリさん」
「……ん?」
「最初に魔力を感じたときのこと、覚えていますか?」
「……ああ」
「そのときも、最初は力を入れすぎていましたよね?」
「……そういや、そうだったな」
「だから、今回も同じだと思うんです!」
メイビスは微笑んだ。
「焦らず、少しずつやってみましょう!」
「……おう」
ユーリは、もう一度目を閉じた。
深く息を吸う。
ゆっくりと吐く。
そして。
身体の奥にある、かすかな温かさへ意識を向ける。
(……動け)
そう思いかけて、やめた。
無理に動かそうとするのではなく。
流れを感じる。
そのまま、少しだけ方向を変えるように。
「…………」
ほんの一瞬。
何かが、動いた。
「……!」
ユーリが目を開けた。
「……今!」
「……どうしました!?」
イリスが尋ねる。
「今、ちょっとだけ動いた気がする!」
「本当ですか!」
「おう!」
ユーリは嬉しそうに笑った。
「まだよく分かんねぇけど……確かに、何かが動いたんだ!」
「……それは良かったです!」
イリスも、心から嬉しそうに微笑んだ。
「その感覚を忘れずに、少しずつ慣れていきましょう!」
「おう!」
ユーリは力強く頷いた。
そして。
「……メイビス」
「はい?」
「ありがとな!」
「……えへへ!」
メイビスは嬉しそうに笑った。
「どういたしまして!」
その姿を見て、イリスも微笑む。
そして、メイビス自身も。
以前よりずっと自然に、自分の魔力を扱えるようになっていた。
ゼレフから教わったこと。
イリスの実演から学んだこと。
その両方を、自分なりに理解し、取り入れている。
「……メイビスさんも、すごいですね」
イリスが言った。
「……え?」
「魔力の扱い方が、とても安定しています」
「……本当ですか!?」
「はい。私が教えることが、なくなってしまいそうなくらいです」
「そ、そんなことありません!」
メイビスは慌てて首を振った。
「私、まだまだ知らないことがいっぱいありますから!」
「……ふふ」
イリスは微笑んだ。
「それなら、一緒に勉強していきましょうか」
「はい!」
四人の魔力は、まだ小さな流れにすぎない。
けれど。
その流れは、確かに自分たちの意思に応え始めていた。
――――――――――
第四幕 次に必要なもの
午後。
練習を終えた一行は、木陰で休憩していた。
「……いやぁ、疲れたぜ」
ユーリが大きく伸びをする。
「身体はほとんど動かしてねぇのに、妙に疲れるな」
「集中力を使うからでしょうね」
ウォーロッドが微笑んだ。
「……それにしても」
プレヒトが、自分の手を見つめる。
「魔力を動かす感覚は、少しずつ分かってきた」
「ああ!」
ユーリが頷く。
「でもよ。これで、どうやったら魔法が使えるようになるんだ?」
「……確かに」
ウォーロッドも首を傾げた。
「魔力を動かすだけでは、まだ魔法にはなりませんよね」
「……そうですね」
イリスは静かに頷いた。
「ここから先は、皆さんに合った魔法を見つける必要があると思います」
「……合った魔法?」
「はい」
イリスは少し考えた。
「魔法には、さまざまな種類があります。得意なものも、扱いやすいものも、人によって違いますから」
「……なるほどな」
プレヒトが頷いた。
「では、俺たちがどんな魔法に向いているのか、調べる必要があるわけか」
「そういうことになりますね」
「……で、どうやって調べるんだ?」
ユーリが尋ねる。
「…………」
イリスは、少しだけ言葉に詰まった。
「……それが、ですね」
困ったように微笑む。
「私の知っている方法が、この世界でもそのまま使えるのか、まだ分からないんです」
「……ああ、そうか」
ユーリが頷いた。
「イリスは、別の世界から来たんだったな」
「はい」
イリスは頷いた。
「魔力を扱う感覚には共通する部分があるようですが、魔法の仕組みまで同じとは限りませんから」
「……慎重に考えるべきだな」
プレヒトが言った。
「そうですね」
イリスは頷いた。
自分の魔法を教えることはできるかもしれない。
けれど、それが彼らに適しているとは限らない。
無理に進めるよりも、まずはこの世界の魔法を理解する必要がある。
そのとき。
「……あ!」
メイビスが顔を上げた。
「それなら、ゼレフさんに相談してみませんか?」
「……ゼレフに?」
ユーリが尋ねる。
「はい!」
メイビスは頷いた。
「ゼレフさんは、魔法について本当にたくさんのことを知っているんです!」
「……確かに」
プレヒトが考え込む。
「以前から、質問にも答えてくれていたな」
「はい!」
メイビスは嬉しそうに笑った。
「みんなの魔法についても、何か分かるかもしれません!」
「……なるほど」
イリスは静かに頷いた。
ゼレフ。
メイビスに魔法を教えている、黒衣の魔導士。
そして。
自分が森で見つけた異質な魔力の痕跡と、何らかの関係があるかもしれない人物。
警戒が消えたわけではない。
けれど、メイビスの話を聞く限り、魔法に詳しく、彼女を大切に扱っていることは確かなようだった。
「……メイビスさん」
「はい?」
「以前、ゼレフさんは、皆さんと会うことについて考えてくださるとおっしゃっていましたよね?」
「はい!」
「それなら、もう一度だけ、お気持ちを確認していただけますか?」
「……!」
メイビスの顔が明るくなった。
「もちろんです!」
「ただし、無理にお願いしてはいけませんよ?」
「分かっています!」
メイビスは力強く頷いた。
「ゼレフさんの気持ちも、大切にしたいですから!」
「……はい」
イリスは微笑んだ。
「それなら、お願いします」
――――――――――
終幕 新しい扉
その日の夕暮れ。
メイビスは、森の中でゼレフと向かい合っていた。
「……なるほど」
ゼレフは、静かに頷いた。
「みんな、かなり魔力を扱えるようになってきたんだね」
「はい!」
メイビスは嬉しそうに答えた。
「イリスさんが教えてくれて、みんなすごく頑張っているんです!」
「……そうなんだ」
ゼレフは微笑んだ。
「それは、良かったね」
「はい!」
メイビスは頷いた。
そして、少しだけ真剣な表情になる。
「……それで、ゼレフさん」
「……ん?」
「前にお話しした、みんなと会うことなんですけど……」
「…………」
ゼレフは、静かに目を伏せた。
しばらく、沈黙が続く。
木々の間を、風が吹き抜けた。
「……メイビス」
「……はい」
「君の友達に会うことについて、僕なりに考えてみたんだ」
「……!」
メイビスが顔を上げる。
「……本当ですか?」
「……うん」
ゼレフは頷いた。
「ただし、二つだけ約束してほしいことがある」
「……約束、ですか?」
「一つは、僕に近づきすぎないこと」
「……はい」
「もう一つは……」
ゼレフは、少しだけ言葉を選んだ。
「僕が帰るように言ったら、理由を聞かずに、すぐに離れてほしい」
「…………」
メイビスは、静かに頷いた。
「……分かりました」
「……ありがとう」
ゼレフは、小さく微笑んだ。
「その二つを、君の友達にも守ってもらえるなら……会ってみようと思う」
「……!」
メイビスの顔が、ぱっと明るくなった。
「本当ですか!?」
「……うん」
「ありがとうございます、ゼレフさん!」
メイビスは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、ゼレフも微笑む。
けれど、彼の胸の奥にある不安が消えたわけではなかった。
自分の呪いが、いつ周囲の命を奪うか分からない。
距離を保ったからといって、安全が保証されるわけでもない。
それでも。
危険を感じたとき、すぐに離れてもらうこと。
それだけは、どうしても必要だった。
「……メイビス」
「はい!」
「みんなにも、ちゃんと伝えてくれるかい?」
「もちろんです!」
メイビスは力強く頷いた。
「みんなに伝えてきます!」
そして、深く頭を下げる。
「それでは、また!」
「……うん。またね」
ゼレフは、少女の後ろ姿を静かに見送った。
***
「――というわけなんです!」
宿に戻ったメイビスは、仲間たちにゼレフとの話を伝えた。
「おおっ! ついに会えるのか!」
ユーリが嬉しそうに声を上げる。
「はい!」
メイビスは頷いた。
「ただし、二つだけ約束があります」
メイビスは、ゼレフから伝えられた条件を説明した。
一定の距離を保つこと。
帰るように言われたら、理由を聞かずに離れること。
「……なるほど」
プレヒトが頷いた。
「ずいぶん慎重な人物のようだな」
「そうですね」
ウォーロッドも静かに頷く。
「それだけ、僕たちの安全を考えてくれているのでしょう」
「……そうですね」
イリスも頷いた。
危険があるからこそ、距離を取る。
何かあれば、すぐに離れるよう求める。
少なくとも、無責任に他人を巻き込もうとする人物ではないようだ。
「……私は、構いません」
イリスが言った。
「ゼレフさんの条件を守りましょう」
「俺も異論はない」
プレヒトが頷く。
「僕もです」
ウォーロッドも微笑んだ。
「おう!」
ユーリが拳を握った。
「会えるなら、約束くらい守るぜ!」
「……ユーリさん」
イリスが、にっこりと微笑む。
「本当に、お願いしますね?」
「……お、おう!」
その様子に、メイビスが笑った。
「えへへ! それじゃあ、決まりですね!」
少女は嬉しそうに両手を合わせた。
「みんなで、ゼレフさんに会いに行きましょう!」
窓の外には、夕暮れの空が広がっていた。
まだ知らない魔法。
まだ出会っていない魔導士。
そして、自分たちの中に眠る可能性。
それらが、少しずつ形になろうとしていた。
新しい出会いは、もうすぐそこまで来ている。
――第15話 完――
【こそこそ妖精話】
ゼーラ「ねえ、メイビス」
メイビス「何ですか、ゼーラ?」
ゼーラ「最近、あんたってイリスの通訳みたいになってない?」
メイビス「通訳、ですか?」
ゼーラ「そうよ。イリスが『すーっと』とか『ふわっと』とか言うたびに、あんたが説明してるじゃない」
メイビス「えへへ。イリスさんの言っていること、何となく分かるんです!」
ゼーラ「……何となくで分かるのも、十分すごいと思うけど」
メイビス「イリスさんの説明って、感覚が伝わってくるんですよ!」
ゼーラ「……それ、あんただけじゃない?」
メイビス「そんなことありません! きっとみんなにも分かるようになります!」
ゼーラ「……ちなみに、イリスが『ぐぐっとして、ぱーん!』って言ったら?」
メイビス「魔力を一点に集中させて、一気に解放するんですね!」
ゼーラ「……即答!?」
メイビス「えへへ!」
ゼーラ「……もう立派なイリス語の翻訳係ね」
メイビス「じゃあ、もっと勉強しないといけませんね!」
ゼーラ「……そこは喜ぶところなの?」
メイビス「もちろんです! イリスさんと一緒に、みんなに魔法を教えられるんですから!」
ゼーラ「……ほんと、楽しそうね」
メイビス「はい!」
ゼーラ「……まあ、あんたが楽しそうなら、それでいいけど」
メイビス「えへへ! ありがとうございます、ゼーラ!」
ゼーラ「……でも、そのうちイリス本人よりイリス語に詳しくなりそうね」
メイビス「……それは、ちょっと面白そうです!」
ゼーラ「面白がるんじゃないわよ!」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
今後とも『妖精と聖剣使い』をよろしくお願いいたします。